JP2012125678A - 水素分離膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
水素分離膜のベースプレートとのシール溶接を不要としつつ、シール性を確実に保持して水素分離膜モジュールを得ることを可能とし、水素分離膜モジュールの熱変形や水素分離膜の熱的劣化の発生を防止し、かつ水素分離膜の破損の際は、水素分離膜のみを交換可能としてベースプレート、補強板の再利用を可能とした、水素分離膜モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】
補強板2をベースプレート1上に拡散接合により接合する第1工程と、上記補強板2の上にバリア層3をコーティングする第2工程と、上記ベースプレート1上に拡散接合した上記補強板2に対し、水素分離膜4を、上記バリア層3を介して拡散接合する第3工程とを実行し、第3工程で拡散接合を行う際、接合治具5による面圧が、上記補強板3の周縁で極大となるように制御することとした。
【選択図】 図2
水素分離膜のベースプレートとのシール溶接を不要としつつ、シール性を確実に保持して水素分離膜モジュールを得ることを可能とし、水素分離膜モジュールの熱変形や水素分離膜の熱的劣化の発生を防止し、かつ水素分離膜の破損の際は、水素分離膜のみを交換可能としてベースプレート、補強板の再利用を可能とした、水素分離膜モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】
補強板2をベースプレート1上に拡散接合により接合する第1工程と、上記補強板2の上にバリア層3をコーティングする第2工程と、上記ベースプレート1上に拡散接合した上記補強板2に対し、水素分離膜4を、上記バリア層3を介して拡散接合する第3工程とを実行し、第3工程で拡散接合を行う際、接合治具5による面圧が、上記補強板3の周縁で極大となるように制御することとした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、水素分離膜モジュールの製造方法に関する。
省エネルギー型分離技術として、近年、膜を用いて水素を分離する方法が注目されている。
このように膜を用いて水素を分離する方法には、水素分離膜モジュールを用いるものが知られている。
図8に、かかる水素分離膜モジュールの一実施の形態を示す。この水素分離膜モジュール80は、水素のみを選択的に透過するPd又はPd合金などからなる水素分離膜82を備えている。
図8に、かかる水素分離膜モジュールの一実施の形態を示す。この水素分離膜モジュール80は、水素のみを選択的に透過するPd又はPd合金などからなる水素分離膜82を備えている。
ここで、水素分離膜82は、薄肉化すると水素の透過性が向上する。しかしながら、水素分離膜82を薄肉化すると原料側の改質ガスと透過側の水素ガスとの差圧により、水素分離膜82が破損し易くなる。
かかる水素分離膜82の破損を防止するために、補強板86が設けられている。補強板86は、ベースプレート(図示せず)上に設置されている。補強板86は、図8では、一枚(単層)で描かれている。しかし、これを複数枚(複数層)で構成することもできる。補強板86には、多数の孔88が形成されており、水素を透過できるようになっている。
かかる水素分離膜82の破損を防止するために、補強板86が設けられている。補強板86は、ベースプレート(図示せず)上に設置されている。補強板86は、図8では、一枚(単層)で描かれている。しかし、これを複数枚(複数層)で構成することもできる。補強板86には、多数の孔88が形成されており、水素を透過できるようになっている。
ここで、水素分離膜82と補強板86とが直接に接していると、水素分離膜モジュール80の使用中に、補強板86の成分が水素分離膜82に拡散し、水素の透過性が低下する。
その対策として、水素分離膜82と補強板86との間に、バリア層84を設けている。
バリア層84を構成する材料としては、セラミックス、若しくはAl、Si,Zr、Ti、Mg、Ca、Y、Hfなどから選ばれる少なくとも1つの金属元素とO、N、B、Cから選ばれる少なくとも非金属元素との化合物などがある(特許文献1: 特開2007−190455号公報)。
バリア層84を構成する材料としては、セラミックス、若しくはAl、Si,Zr、Ti、Mg、Ca、Y、Hfなどから選ばれる少なくとも1つの金属元素とO、N、B、Cから選ばれる少なくとも非金属元素との化合物などがある(特許文献1: 特開2007−190455号公報)。
水素分離膜モジュール80を作製するには、まず、水素分離膜82を、バリア層84を介して補強板86に積層し、それらを拡散接合する。これによって、水素分離膜82を備えた接合体とする。なお、この接合体は、図8で図示されている部分全体に相当する。
そして、図9に示すように、水素分離膜82の四辺に沿って一致する枠状金属板(以下、枠板ともいう)90を、接合体上に載置する。なお、枠板90の水素分離膜82と接する面にもバリア層84と同様のバリア層92が設けられている。
そして、図9に示すように、水素分離膜82の四辺に沿って一致する枠状金属板(以下、枠板ともいう)90を、接合体上に載置する。なお、枠板90の水素分離膜82と接する面にもバリア層84と同様のバリア層92が設けられている。
さらに、図9に示すように、このようにした接合体とベースプレート94とに対し、シール溶接96を行う。シール溶接96は、接合体とベースプレート94とを重ねた状態で、枠体90、接合体、及びベースプレート94の上方の四辺に沿って行い、これによって、水素が漏洩しない密封構造を備えた水素分離膜モジュール98を構築する(特許文献2: 特開平8−215551号公報)。
しかしながら、図9に示すようにシール溶接96を行うと、溶融状態にある、溶接金属中にバリア層84が溶け込み、これが欠陥となって水素分離膜モジュール98の歩留まりが悪化する。そこで、バリア層84の施工範囲を限定せねばならず、図9の領域Wのように、バリア層84が無い部分を設けなければならない。このため、かかるバリア層84が無い領域Wについては、水素分離膜82の脆化の問題を解消できていなかった。
さらに、シール溶接96を、入熱量の比較的小さいYAGレーザー溶接で行っても、未だ、水素分離膜モジュール98の熱変形や水素分離膜の熱的劣化発生の問題がある。
また、水素分離膜モジュール98のベースプレート94、補強板86などの耐久性(50000時間以上)に対し、水素分離膜82の耐久性が極めて低い(数千時間)。このように、耐久性の格差が大きい状況であるにもかかわらず、周囲の溶接を行っているために、水素分離膜82のみの交換を容易に行うことができなかった。
また、水素分離膜モジュール98のベースプレート94、補強板86などの耐久性(50000時間以上)に対し、水素分離膜82の耐久性が極めて低い(数千時間)。このように、耐久性の格差が大きい状況であるにもかかわらず、周囲の溶接を行っているために、水素分離膜82のみの交換を容易に行うことができなかった。
本発明はかかる課題に鑑み、水素分離膜のベースプレートとのシール溶接を不要としつつ、シール性を確実に保持して水素分離膜モジュールを得ることを可能とし、水素分離膜モジュールの熱変形や水素分離膜の熱的劣化の発生を防止し、かつ水素分離膜の破損の際は、水素分離膜のみを交換可能としてベースプレート、補強板の再利用を可能とした、水素分離膜モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明はかかる目的を達成するもので、水素分離膜モジュールの製造方法であって、補強板をベースプレート上に拡散接合により接合する第1工程と、補強板の上にバリア層をコーティングする第2工程と、ベースプレート上に拡散接合した補強板に対し、水素分離膜を、バリア層を介して拡散接合する第3工程とを実行し、第3工程で拡散接合を行う際、接合治具による面圧が、補強板の周縁で極大となるように制御することを特徴とする。
接合治具による面圧が、補強板の周縁で極大となるように制御するための形態としては、水素分離膜の周縁を補強板よりはみ出させる形態が好適である。
そして、補強板の周囲において、その端部から、接合治具の端部がはみ出すようにすることが好適であり、接合治具のはみ出し幅gの範囲としては、補強板の幅方向寸法をw、補強板の長手方向寸法lとして、補強板の長手方向、及び幅方向とも、以下のような範囲で設定することが好適である。
接合治具のはみ出し幅gの範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
そして、補強板の周囲において、その端部から、接合治具の端部がはみ出すようにすることが好適であり、接合治具のはみ出し幅gの範囲としては、補強板の幅方向寸法をw、補強板の長手方向寸法lとして、補強板の長手方向、及び幅方向とも、以下のような範囲で設定することが好適である。
接合治具のはみ出し幅gの範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
また、接合治具による面圧が、補強板の周縁で極大となるように制御するための他の形態として、水素分離膜の周縁を補強板よりはみ出させる形態で、補強板のメッシュ部と、水素分離膜との間で拡散接合を行い、しかる後に補強板の周囲部と、水素分離膜との間で拡散接合を行うようにしてもよい。
またさらに、接合治具による面圧が、補強板の周縁で極大となるように制御するための他の形態として、シム部材を用いて、ベースプレート上に拡散接合した補強板と、水素分離膜とを拡散接合を行うようにしてもよい。
またさらに、接合治具による面圧が、補強板の周縁で極大となるように制御するための他の形態として、シム部材を用いて、ベースプレート上に拡散接合した補強板と、水素分離膜とを拡散接合を行うようにしてもよい。
本発明によれば、従来の水素分離膜モジュールのようなシール溶接が不要としつつ、シール性を確実に保持して水素分離膜モジュールを得ることを可能とし、水素分離膜モジュールの熱変形や水素分離膜の熱的劣化の発生を防止し、かつ水素分離膜の破損の際は、水素分離膜のみを交換可能としてベースプレート、補強板の再利用を可能とし、かつ、補強板の面全体にバリア層を形成することができるようにした水素分離膜モジュールの製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る水素分離膜モジュール製造方法によって製造される水素分離膜モジュールについて、その一実施の形態を説明する分解斜視図である。
図1は、本発明に係る水素分離膜モジュール製造方法によって製造される水素分離膜モジュールについて、その一実施の形態を説明する分解斜視図である。
図1に示すように、水素分離膜モジュール10は、ベースプレート1と、補強板2と、水素分離膜4とを備えている。
補強板2は、金属多孔質板で構成されており、長方形状の水素透過孔が複数穿孔されている。この補強板2は、例えば、ステンレス鋼板(SUS430)をエッチングによりメッシュ加工した後、メッキ処理し、所定の形状に裁断したものを用いることができる。水素透過孔の長径は、1000μm〜2000μmが好ましく、短径は、100μm〜500μmが好ましい。また、水素透過孔同士の間隔は、10〜100μmが好ましい。なお、それぞれ厚さおよび開孔パターンの異なる金属製の多孔板を積層することによっても補強板2を構成することができる。図1の形態では、3枚の補強板2を備えている。
水素分離膜3は、複数の補強板2に接合されるので、その機械的強度が向上する。
水素分離膜3は、複数の補強板2に接合されるので、その機械的強度が向上する。
水素分離膜4と接する補強板2の表面は、バリア層3で被覆されている。バリア層3は、内部材料成分が水素分離膜4へ拡散することを防止するための層である。かかるバリア層3としては、セラミックス、若しくはAl、Si,Zr、Ti、Mg、Ca、Y、Hfなどから選ばれる少なくとも1つの金属元素とO、N、B、Cから選ばれる少なくとも非金属元素との化合物を挙げることができる。
なお、バリア層3は、通常、補強板2の水素分離膜4と接する面にのみ施す。
なお、バリア層3は、通常、補強板2の水素分離膜4と接する面にのみ施す。
バリア層3は、真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより補強板2の表面上に形成することができる。なお、バリア層3と、補強板2との間にこれらの接合強度を向上させるための中間層を設けることもできる。このような中間層も真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより補強板2上に形成することができる。このような中間層を設ける場合には、中間層を形成した後、該中間層の上に、バリア層3を、真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより形成する。
なおまた、補強板2の補強板2同士が接するいずれか一方の面、及び補強板2とベースプレート1とが接する補強板2の面には、通常、接合インサート層が形成されている。また、水素分離膜4と接する補強板2に設けたバリア層3の上にも、通常、接合インサート層が形成される。
接合インサート層は、別名で接着層とも呼ばれ、Ag,Au,Pt,Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれかの金属層として形成することができる。
例えば、補強板2の材質がステレス鋼である場合、直接接合では炭素やクロムなどの元素が水素分離膜4中に拡散し、水素透過性能を低下させてしまうことを防ぐ、接合温度を低くすることができ熱膨張差に起因する発生応力を低減できるなどの作用を、接合インサート層に期待することができる。
また、補強板2同士の場合であっても、より低温でこれらを接合することができるという利点がある。
例えば、補強板2の材質がステレス鋼である場合、直接接合では炭素やクロムなどの元素が水素分離膜4中に拡散し、水素透過性能を低下させてしまうことを防ぐ、接合温度を低くすることができ熱膨張差に起因する発生応力を低減できるなどの作用を、接合インサート層に期待することができる。
また、補強板2同士の場合であっても、より低温でこれらを接合することができるという利点がある。
この接合インサート層は、補強板2の表面に、これらのいずれかの金属を真空蒸着、スパッタリング法、CVD法などの乾式コーティング法又は電気メッキ、無電解メッキなどの湿式コーティング法によりコーティングすることによって形成することができる。
すなわち、図1の形態であれば、バリア層3を真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより形成した後、以上のいずれかの方法により、バリア層3の上に接合インサート層を形成することができる。
なお、第1〜第3実施形態では、このような接合インサート層を設けている。しかし、これらの説明においては、接合インサート層を設ける工程の詳細については、省略している。
すなわち、図1の形態であれば、バリア層3を真空蒸着、スパッタ法、CVD法などにより形成した後、以上のいずれかの方法により、バリア層3の上に接合インサート層を形成することができる。
なお、第1〜第3実施形態では、このような接合インサート層を設けている。しかし、これらの説明においては、接合インサート層を設ける工程の詳細については、省略している。
水素分離膜4は、従来周知の水素透過性の金属箔からなるものであればよく、例えば、Pd−Ag合金、Pd−希土類元素合金を用いることができる。またPdを含む合金に限られず、Nb合金系や、Zi36Ni64アモルファス合金など、水素透過性能を有するものより適宜選択することもできる。水素分離膜の膜厚としては30μm以下のものを使用することが好ましい。
ベースプレート1は、平板状の金属板の上面に、長手方向に複数の平行な溝1aを加工したものである。
これらの溝1aは、長手方向の両端部で幅方向の溝によって相互に連通される(図示省略)。この各溝1aによって精製ガス回収路を形成している。
最下部に設置された前記ベースプレート1は、ステンレス鋼が用いられている。
これらの溝1aは、長手方向の両端部で幅方向の溝によって相互に連通される(図示省略)。この各溝1aによって精製ガス回収路を形成している。
最下部に設置された前記ベースプレート1は、ステンレス鋼が用いられている。
水素分離モジュールの大きさとしては、使用される設置場所により適宜設計することができるが、例えば、幅20〜60mm、長さ100〜1000mmが好ましく、幅40mm、長さ400mmがより好ましい。また、水素分離膜モジュールへ供給される混合ガスの温度は、例えば300〜700℃であり、その圧力は例えば、0.5〜2MPaである。なお、透過側の圧力は、例えば−0.01〜0.1MPaである。
本発明の第1〜第3実施形態では、最下部に設置されたベースプレート1上に、補強板2を第1の拡散接合により接合する。そして、水素分離膜4と接する補強板2の表面にバリア層3、そしてバリア層3の上に接合インサート層を施工する。その後、このようにして形成したバリア層3に、接合インサート層を介して水素分離膜4を第2の拡散接合により接合する。これによって、水素分離膜モジュール10を作製している。
なお、図1の形態では、ベースプレート1の表側のみに、溝1aを加工している。しかし、溝1aを裏側にも設け、そして裏側にも同様のモジュール構造を設け、表裏に水素分離膜4を持つ水素分離膜モジュールとすることができる。または、ベースプレート1を背中合わせに貼りつけ、表裏に水素分離膜4を持つ同様の水素分離膜モジュールとすることができる。
なお、拡散接合とは、材料同士を融点以下の所定温度(接合インサート材によって異なる)まで熱し加圧することにより、材料同士の接合面に存在する原子の拡散を利用して、固体のまま接合させる方法をいう。
なおまた、従来必要であった、枠体90(図9)は、溶接が不要となるので省略することができる。
なおまた、従来必要であった、枠体90(図9)は、溶接が不要となるので省略することができる。
[第1実施形態]
図2は本発明に係る水素分離膜モジュールの製造方法の第1実施形態を示し、各構成部材を断面で示している。(1)は第1工程、(2)は第2工程、(3)は第3工程を示す。
また、図3は、本第1実施形態の、(A)は図1(3)のX部拡大図、(B)は面圧分布図である。
図2は本発明に係る水素分離膜モジュールの製造方法の第1実施形態を示し、各構成部材を断面で示している。(1)は第1工程、(2)は第2工程、(3)は第3工程を示す。
また、図3は、本第1実施形態の、(A)は図1(3)のX部拡大図、(B)は面圧分布図である。
図2の(1)に示すように、ベースプレート1の表側には、複数の溝1aが図1のA方向に設けられている。
まず、このベースプレート1の表側の溝1aに少なくとも1枚(この例では1枚)の補強板2が、押圧力Pにて、第1の拡散接合により接合される。なお、加圧は、図示しない接合治具を介して、加圧体により加圧することにより行う。
本第1実施形態を含め、本発明の各実施形態では、拡散接合を行う際、このように接合治具を用いた工程を実行する。接合治具は、水素製造膜モジュールを構成する要素と付着を起こさない材質で構成する。例えば、グラファイトが好適である。
まず、このベースプレート1の表側の溝1aに少なくとも1枚(この例では1枚)の補強板2が、押圧力Pにて、第1の拡散接合により接合される。なお、加圧は、図示しない接合治具を介して、加圧体により加圧することにより行う。
本第1実施形態を含め、本発明の各実施形態では、拡散接合を行う際、このように接合治具を用いた工程を実行する。接合治具は、水素製造膜モジュールを構成する要素と付着を起こさない材質で構成する。例えば、グラファイトが好適である。
そして、補強板2の周囲において、その端部から、接合治具の端部がはみ出すようにすることが好適であり、接合治具のはみ出し幅の範囲としては、補強板2の幅方向寸法をw、補強板2の長手方向寸法lとして、補強板2の長手方向、及び幅方向とも、以下のような範囲で設定することが好適である。
接合治具のはみ出し幅の範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
第1工程での押圧力Pは、5〜15MPaの範囲が好適である。
接合治具のはみ出し幅の範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
第1工程での押圧力Pは、5〜15MPaの範囲が好適である。
次に、第2工程では、図2の(2)に示すように、ベースプレート1上の補強板2の上面をバリア層3で被覆する。これにより第1の結合体11を作製する。
このバリア層3は、前述のようにセラミックス、若しくはAl、Si,Zr、Ti、Mg、Ca、Y、Hfなどから選ばれる少なくとも1つの金属元素とO、N、B、Cから選ばれる少なくとも非金属元素との化合物で構成することが好適である。
次に、第3工程では、図2の(3)に示すように、第1の結合体11と、水素分離膜4との第2の拡散接合を行う。
すなわち、下側の接合治具5bと上側の接合治具5aとの間に、前記第1の結合体11の上側に水素分離膜4を配置し、上側及び下側から圧力Pにより加圧して、水素分離膜4を第1の結合体11に、拡散接合により接合する。
すなわち、下側の接合治具5bと上側の接合治具5aとの間に、前記第1の結合体11の上側に水素分離膜4を配置し、上側及び下側から圧力Pにより加圧して、水素分離膜4を第1の結合体11に、拡散接合により接合する。
図3は、第1実施形態における、第3工程をさらに詳細に示す。
図3(A)のように、水素分離膜4の幅方向寸法cは、第1の結合体11の幅方向寸法dより、はみ出す(図中b)ように設定する。なお、図2、図3は、一方向からの断面を示している。水素分離膜4は、その全周囲で補強板からはみ出すように設定する。
図3(A)のように、水素分離膜4の幅方向寸法cは、第1の結合体11の幅方向寸法dより、はみ出す(図中b)ように設定する。なお、図2、図3は、一方向からの断面を示している。水素分離膜4は、その全周囲で補強板からはみ出すように設定する。
この第3工程では、このように補強板2から水素分離膜4をはみ出すように設定し、押圧力Pにより加圧して、水素分離膜4を第1の結合体11に拡散接合により接合する。
第3工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。
第3工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。
第2の拡散接合時には、図3(A)のように、水素分離膜4の外周端部に面圧段差部4aが形成される。
水素分離膜4と第1の結合体11との第2の拡散接合時には、接合治具5a,5bは、水素分離膜4の中央部側分離膜4cの全面を押圧する。一方、面圧段差部4aよりも外周部側の水素分離膜4つまり外周部側分離膜4dはフリーとなる。
水素分離膜4と第1の結合体11との第2の拡散接合時には、接合治具5a,5bは、水素分離膜4の中央部側分離膜4cの全面を押圧する。一方、面圧段差部4aよりも外周部側の水素分離膜4つまり外周部側分離膜4dはフリーとなる。
すなわち、この押圧により接触面圧が増加して、水素分離膜4のフリーの外周部側分離膜4dとの接続部には面圧段差部4aが形成されていることから、面圧段差部4aにおいては接触面圧が局部的に増圧(Pmx)される。換言すれば、補強板2の周縁で接触面圧が極大となる。
このようにして、従来の水素分離膜モジュールのようなシール溶接が不要となる。また、シール溶接を伴わないので、水素分離膜4の異材と接する部分のバリア層3が無い部分での近傍における水素分離膜モジュール10の膜脆化の発生を防止することができる。なお、水素分離膜4と接する補強板2の面全体にバリア層3を形成することができる。
また、シール溶接を行わずに、水素分離膜モジュール10を製作するので、水素分離膜4の破損のときは、水素分離膜4のみを交換することができ、ベースプレート1、補強板3を再利用することができる。
[第2実施形態]
図4に、本発明に係る水素分離膜モジュールの製造方法の第2実施形態について、第3工程を示す。本実施の形態では、第1工程、第2工程は、第1実施形態と同様である。
図4に、本発明に係る水素分離膜モジュールの製造方法の第2実施形態について、第3工程を示す。本実施の形態では、第1工程、第2工程は、第1実施形態と同様である。
第3工程では、図4の(3A)、(3B)に示すように、接合治具5aを、中央部接合治具5a1と、中央部接合治具5a1よりも外周部側に配置された周部接合治具5a2とに分割する。
そして、第3工程で、最初に図4の(3A)に示すように、中央部接合治具5a1で、水素分離膜4と、第1の結合体11の中央部側2cとを拡散接合する。
次いで、図4の(3B)に示すように、周部接合治具5a2で、水素分離膜4と、第1の結合体11の外周部側2dとを拡散接合する。
次いで、図4の(3B)に示すように、周部接合治具5a2で、水素分離膜4と、第1の結合体11の外周部側2dとを拡散接合する。
第3工程で、中央部側2cと、外周部側2dとを、個別に最適面圧で設定でき、特に拡散接合部の外周部側のシール性を向上できる。
なお、第3A工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。第3B工程での押圧力Pは、15〜20MPaの範囲が好適である。
なおまた、第1実施形態に期待できる効果は、本第2実施形態も奏する。
なお、第3A工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。第3B工程での押圧力Pは、15〜20MPaの範囲が好適である。
なおまた、第1実施形態に期待できる効果は、本第2実施形態も奏する。
[第3実施形態]
図5は、本発明に係る水素分離膜モジュールの第3実施形態について、第3工程を示す。本実施の形態では、第1工程、第2工程は、第1実施形態と同様である。
図5は、本発明に係る水素分離膜モジュールの第3実施形態について、第3工程を示す。本実施の形態では、第1工程、第2工程は、第1実施形態と同様である。
第3工程では、さらなる接合治具6を使用し、接合治具6と接合治具5との間に、外周部側7aが中央部側7bよりも厚肉のシム部材7を挿入している。
シム部材7は、中央部側7bをエッチングにより外周部側7aよりも5〜20μm掘り下げて準備する。これにより、外周部側7aが中央部側7bよりも厚肉のシム部材7が得られる。
シム部材7は、中央部側7bをエッチングにより外周部側7aよりも5〜20μm掘り下げて準備する。これにより、外周部側7aが中央部側7bよりも厚肉のシム部材7が得られる。
接合治具5を、前記シム部材7を介して、接合治具6により押圧し、水素分離膜4と第1の結合体11とを締付けて第2の拡散接合を行う。
第3A工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。
第3A工程での押圧力Pは、8〜12MPaの範囲が好適である。
このように、接合治具6と接合治具5との間に、シム部材7を挿入し、第2の拡散接合を行うようにするので、補強板2の周囲部に対応する外周部側7aを、補強板2のメッシュ部に対応する中央部側7bよりも高い面圧で第1の結合体11に圧着でき、拡散接合部のシール性を向上できる。
なお、第1実施形態に期待できる効果は、本第2実施形態も奏する。
なお、第1実施形態に期待できる効果は、本第2実施形態も奏する。
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更及び変形が可能である。
次に、図6、図7を参照して、本発明に係る水素分離膜モジュールの製造方法について行った実施例の結果を説明する。
図6の実験装置を用い、前述の第1〜第3実施形態と同様の第1の結合体11と、水素分離膜4を、接合治具5aと、5bとの間に配置し、上側の加圧体60aと下側の加圧体60bとで加圧した。
ここで、接合治具5aは、その幅方向寸法を、第1の結合体11の幅方向寸法よりも、gだけ大きく形成した。
図6の実験装置を用い、前述の第1〜第3実施形態と同様の第1の結合体11と、水素分離膜4を、接合治具5aと、5bとの間に配置し、上側の加圧体60aと下側の加圧体60bとで加圧した。
ここで、接合治具5aは、その幅方向寸法を、第1の結合体11の幅方向寸法よりも、gだけ大きく形成した。
そして、上側の加圧体60aと下側の加圧体50bで、第1の結合体11の上側で、はみ出して形成した水素分離膜4を、荷重Pにて押圧した。
以上の実験装置による水素分離膜4と第1の結合体11との接触面圧の測定実測線図を、図7に接触面圧比sと中心20からの距離xとの関係で示す。
図7から、明らかなように、接合治具5aのはみ出し幅bが、E1→E5のように大きくなるに従い、接触面圧比sの増加が大きくなった。
すなわち、水素分離膜4と第1の結合体11との接触面圧(接触面圧比s)が、前記面圧段差部4aでPmxのように局部的に増圧されることが分かる。
シール性を確認したところ、gが20mm以上で良好であった。
図7から、明らかなように、接合治具5aのはみ出し幅bが、E1→E5のように大きくなるに従い、接触面圧比sの増加が大きくなった。
すなわち、水素分離膜4と第1の結合体11との接触面圧(接触面圧比s)が、前記面圧段差部4aでPmxのように局部的に増圧されることが分かる。
シール性を確認したところ、gが20mm以上で良好であった。
そして、補強板2(第1の結合体11)の周囲において、その端部から、接合治具5aの端部がはみ出すようにすることが好適であり、接合治具5aのはみ出し幅の範囲としては、補強板2の幅方向寸法をw、補強板2の長手方向寸法lとして、補強板2の長手方向、及び幅方向とも、以下のような範囲で設定することが好適である。
接合治具のはみ出し幅gの範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
また、水素分離膜4のはみ出し寸法は、材端から少しでも大きければ十分な効果があり、5〜gmmが好適である。
接合治具のはみ出し幅gの範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
また、水素分離膜4のはみ出し寸法は、材端から少しでも大きければ十分な効果があり、5〜gmmが好適である。
なお、本実施例の設定諸元は、次の通りであった。
(1)治具
材質: グラファイト
表面粗さ: Ry10μm以下
平坦度: 20μm以下
(2)ベースプレート、補強板
材質: ステンレス鋼
補強板の開口率: 70%
(3)接合工程(1)
温度: 600〜750℃
平均接触面圧: 5MPa〜15MPa
(4)接合工程(2)
温度: 700〜750℃
平均接触面圧: 10MPa
なお、接合インサート層として、接合される部材間に、Ag層を設けた。
(1)治具
材質: グラファイト
表面粗さ: Ry10μm以下
平坦度: 20μm以下
(2)ベースプレート、補強板
材質: ステンレス鋼
補強板の開口率: 70%
(3)接合工程(1)
温度: 600〜750℃
平均接触面圧: 5MPa〜15MPa
(4)接合工程(2)
温度: 700〜750℃
平均接触面圧: 10MPa
なお、接合インサート層として、接合される部材間に、Ag層を設けた。
1 ベースプレート
1a 溝
2 補強板
3 バリア層
3a 平坦部
4 水素分離膜
4a 外周端部
5 枠体
5a1 中央部接合治具
5a2 周部接合治具
5a 上側の接合治具
5b 下側の接合治具
10 水素分離膜モジュール
11 第1の結合体
1a 溝
2 補強板
3 バリア層
3a 平坦部
4 水素分離膜
4a 外周端部
5 枠体
5a1 中央部接合治具
5a2 周部接合治具
5a 上側の接合治具
5b 下側の接合治具
10 水素分離膜モジュール
11 第1の結合体
Claims (5)
- 補強板をベースプレート上に拡散接合により接合する第1工程と、上記補強板の上にバリア層をコーティングする第2工程と、上記ベースプレート上に拡散接合した上記補強板に対し、水素分離膜を、上記バリア層を介して拡散接合する第3工程とを実行し、第3工程で拡散接合を行う際、接合治具による面圧が、上記補強板の周縁で極大となるように制御することを特徴とする水素分離膜モジュールの製造方法。
- 上記接合治具による面圧が、上記補強板の周縁で極大となるように制御するために、上記水素分離膜の周縁を上記補強板よりはみ出させるようにした請求項1の水素分離膜モジュールの製造方法。
- 上記補強板の周囲において、その端部から、上記接合治具の端部をはみ出させ、上記補強板の幅方向寸法をw、上記補強板の長手方向寸法lとして、上記補強板の長手方向、及び幅方向において、上記接合治具のはみ出し幅を以下の範囲:
0.025×(w+l)〜0.0625×(w+l)
に設定してなる請求項2の水素分離膜モジュールの製造方法。 - 上記補強板のメッシュ部と、上記水素分離膜との間で拡散接合を行い、しかる後に上記補強板の周囲部と、上記水素分離膜との間で拡散接合を行う請求項2の水素分離膜モジュールの製造方法。
- 上記接合治具に加えて、追加の接合治具を用い、両接合治具の間に、上記補強板の周囲部に対応する外周部側が上記補強板のメッシュ部に対応する中央部側よりも厚肉のシム部材シム部材を用い、ベースプレート上に拡散接合した補強板と、水素分離膜とを拡散接合を行うようにした請求項2の水素分離膜モジュールの製造方法。
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JP2010277998A JP2012125678A (ja) | 2010-12-14 | 2010-12-14 | 水素分離膜モジュールの製造方法 |
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