JP2012125447A - 被検体情報取得装置および被検体情報取得方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源から光を照射された被検体より発生する音響波を検出しアナログ信号に変換する受信素子を含む検出器と、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、光が照射されたときの被検体内の光量分布を表わす情報を格納するメモリと、被検体内の光量分布を表わす情報を用いて、デジタル信号を補正する信号処理部と、補正されたデジタル信号を用いて被検体情報の画像データを形成する画像処理部とを有し、信号処理部は、被検体内の各位置に照射される光量の大きさに応じてデジタル信号の補正を行う被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図2
Description
フィー)がある。
これは、画像では初期音圧像とアーティファクトの区別がつかないため、初期音圧像及びアーティファクトともに光量補正が行われるためである。
図1を参照しながら本実施形態にかかる被検体情報取得装置の構成を説明する。本実施形態の被検体情報取得装置は、被検体の内部の光学特性値に関する被検体情報を画像データとして取得する装置である。本発明において、音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。本発明の被検体情報取得装置とは、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波(典型的には超音波)を受信して、被検体情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。取得される被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布や、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や、吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度情報分布を示す。物質の濃度情報分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
被検体が生体の場合、光源11からは生体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長の光を照射する。光源は、本実施形態の被検体情報取得装置と一体として設けられていても良いし、光源を分離して別体として設けられていても良い。光源としては数ナノから数百ナノ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源が好ましい。具体的には、効率的に光音響波を発生させるため、10ナノ秒程度のパルス幅が使われる。光源としては大出力が得られるためレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。照射のタイミング、光強度などは不図示の光源制御部によって制御される。なお、この光源制御部は通常、光源と一体化されている。本発明において、使用する光源の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長を使うことが望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、500nm以上1200nm以下である。
光源11から照射された光12は、光学系13により、所望の光分布形状に加工されながら被検体に導かれる。光12を、光ファイバなどの光導波路などを用いて伝搬させることも可能である。光学系13は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を拡散させる拡散板、光ファイバなどである。このような光学部品は、光源から発せられた光12が被検体15に所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、光はレンズで集光させるより、ある程度の面積に広げる方が生体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。
これらは本発明の被検体情報取得装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本発明の被検体情報取得装置は、血管の造影、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの
診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体15としては生体、具体的には人体や動物の乳房や指、手足などの診断の対象部位が想定される。動物では、ねずみなど小動物の場合は特定の部位だけではなく、小動物全体が対象となることもある。
音響波探触子17は、パルス光により被検体表面及び被検体内部などで発生する音響波を検出する検出器である。音響波探触子17は、音響波を検知し、アナログ受信信号(以下、単に「アナログ信号」ともいう)である電気信号に変換する。以後、単に探触子あるいはトランスデューサということもある。圧電現象を用いたトランスデューサ、光の共振を用いたトランスデューサ、容量の変化を用いたトランスデューサなど音響波を検知できるものであれば、どのような音響波検出器を用いてもよい。本実施形態の音響波探触子17は、典型的には複数の受信素子が1次元あるいは2次元に配置されたものが良い。このような多次元配列素子を用いることで、同時に複数の場所で音響波を検出することができ、計測時間を短縮できる。その結果、被検体の振動などの影響を低減できる。
なお、本発明において音響波探触子17は、被検体15に対して、特定の方向のみの音響波を受信できるように設置されることを想定している。
本実施形態の被検体情報取得装置は、探触子17より得られたアナログ受信信号を増幅し、デジタル受信信号(以下、単に「デジタル信号」ともいう)に変換する信号収集器18を有することが好ましい。信号収集器18は、典型的には増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。探触子から得られる
受信信号が複数の場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。それにより、画像を形成するまでの時間を短縮できる。なお、本明細書において「受信信号」とは、探触子17から取得されるアナログ信号も、その後AD変換されたデジタル信号も含む概念である。そして、光吸収体からの光音響波に起因する受信信号は「光音響信号」ともいう。
信号処理部19は、主な役割として、信号収集器18から得られたデジタル受信信号を用いて、画像再構成を行い、被検体の内部の光学特性値情報を画像データとして取得する。また、本発明の特徴的処理として、信号処理部19は、信号収集器18から得られたデジタル受信信号に対して光量分布に応じた補正(以下、「光量補正」ともいう)を行う。その結果、測定領域が制限された場合に得られた初期圧力分布の画像あるいは光吸収エネルギー吸収分布の画像に対して、光量補正を行わない場合と比較して、相対的にアーティファクトの少ない画像を出力することができる。なお、ここで言う測定領域が制限された場合とは、被検体を取り囲むすべての方向からではなく、図1の被検体15と音響波探触子17の関係のように、ある特定の方向のみからしか音響波を受信できないことを示している。
表示装置20は信号処理部19で出力される画像データを表示する装置であり、典型的には液晶ディスプレイなどが利用される。なお、本発明の画像診断装置とは別に提供されていても良い。
次に、本発明の特徴的な処理である、信号処理部19で行うデジタル受信信号の光量補正処理と画像再構成処理の一例について、図2と図3も参照しつつ説明する。下記の番号は図2のフロー図における処理の番号と一致する。
、既知の方法を用いて受信信号から推定することができる。その場合、信号収集器18から得られたデジタル受信信号を解析処理し、被検体の光学特性値である平均的な吸収係数や等価散乱係数を推定する。また、受信信号からの推定が困難な場合、文献などに記載されている統計データなどから値を推定することもできる。
光照射強度分布は、被検体に照射される領域での光強度の分布であり、装置構成及び被検体形状が決まれば予め求めることができる。
被検体形状はカメラなどの撮影データから求めることもできるし、圧迫板などを用いて、被検体の形状を特定の形状に整形することも可能である。
良い。この場合、受信素子を2次元配列した音響波検出器であれば、受信面に垂直な方向に光量分布プロファイルが作成される。
すなわち、光量分布プロファイルは、ある受信素子から被検体に垂直な方向に線を引いた時に、その線上における光量を、被検体の深さを表わす値(距離や時間)と対応付けて示すデータである。したがって光量分布プロファイルは光量分布データから作成可能である。
であるp0(r)あるいはH(r)をφ(r)で除算し、μa(r)を求め、光量の影響を排除する。この場合、H(r)あるいはp0(r)の画像データにアーティファクトが存在すると、それも光量で補正されるため、光量が小さい領域ではそこに存在するアーティファクトが強調される課題がある。
D=Y・P0 …(3)
D=Y・Ma・Φ …(4)
両辺にΦの逆行列Φ−1をかければ、式(4)は、以下の式(5)となる。
D・Φ−1=Y・Ma …(5)
なお、Φの逆行列は、例えば、受信素子の中心から等距離にある光量値を指向性で重み付けして積分したもの、近似的には、受信素子の受信面に対して垂直な方向の光量分布プロファイルなどで表現できる。また、ここではΦの逆行列として一例をあげて示したが、各受信信号が被検体内の光量分布の影響を低減するように補正されれば、デジタル受信信号に対してどのような補正手段を用いてもかまわない。つまり被検体内の光量の差が低減されるように各受信信号が補正されれば、どのような補正手段を用いてもよい。
光音響トモグラフィーで用いられるどのような画像再構成処理を用いることが可能である。例えば、タイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影などである。
Ω0は任意の観測点Pに対する検出器dS0の立体角である。この投影データを式(6)の積
分に従って逆投影することで吸収係数分布μa(r)の画像データを得ることができる。
なす角度である。これらの式で表したように、本発明では、通常の画像再構成とは異なり、光量分布補正された検出音波データを投影データとして用いることが特徴である。
本実施形態を適用した光音響トモグラフィーを用いた被検体情報取得装置の一例について説明する。図1の装置概略図を用いて説明する。本実施例においては、光源11として波長1064nmで約10ナノ秒のパルス光を発生するQスイッチYAGレーザーを用いた。パルス光12から発せられる光パルスのエネルギーは0.6Jである。パルス光12をミラーとビームエキスパンダーなどの光学システム13を用いて、半径約2cm程度まで広げたあと、光を探触子17とは反対側の被検体に照射できるように光学系13をセッティングした。
ァントムは、1%に希釈したイントラリピッドを寒天で固めたものを利用した。このファントムは光学的に均質であり、その平均的な吸収係数は約0.01mm−1、散乱係数は約0.7mm−1であった。また、このファントムのサイズは幅:5cm、高さ:5cm、奥行き:4cmとした。
ファントム内には図4(a)に示されているように、直径0.3mmの円柱状ゴムワイヤが光吸収体14として8個、図のように埋め込まれている。なお、それぞれの光吸収体14の吸収係数値はどれも同じである。また、ファントムや音響波探触子は音響マッチングのため、脱気された水で充たされた水槽の中に置かれている。
することはない。このように、音響波の計測領域が制限された場合において、デジタル受信信号を光量補正することで、従来法よりもアーティファクトの少ない画像が得られる。
本実施形態を適用した光音響トモグラフィーを用いた被検体情報取得装置の一例について説明する。本実施例においては、実施例1と同様なファントム及び測定系を用いた。ただし、本実施例では受信信号の解析により、被検体の光学特性値を求める。
このような方法で得られた画像は図4(b)と同様なものであり、従来技術で得られた画像である図4(c)よりもアーティファクトが低減されていた。
本実施形態を適用した光音響トモグラフィーを用いた被検体情報取得装置の一例について説明する。本実施例においては、実施例1と同様なファントム及び測定系を用いた。
その結果、従来技術よりもアーティファクトが低減され、かつ、図4(b)よりも定量性の向上した吸収係数分布画像を得ることができた。
Claims (8)
- 光源と、
前記光源から光を照射された被検体より発生する音響波を検出しアナログ信号に変換する受信素子を含む検出器と、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、
光が照射されたときの被検体内の光量分布を表わす情報を格納するメモリと、
前記被検体内の光量分布を表わす情報を用いて、前記デジタル信号を補正する信号処理部と、
前記補正されたデジタル信号を用いて被検体情報の画像データを形成する画像処理部と、
を有し、
前記信号処理部は、前記被検体内の各位置に照射される光量の大きさに応じて前記デジタル信号の補正を行うことを特徴とする被検体情報取得装置。 - 前記信号処理部は、前記被検体内の各位置に照射される光量の差を低減するように、デジタル受信信号を補正することを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
- 前記信号処理部は、前記被検体内の光量分布を算出する演算部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記演算部は、被検体の光学特性値および形状を用いて、前記被検体内の光量分布を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記演算部は、前記デジタル信号を解析することにより、前記被検体の光学特性値を得る
ことを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。 - 前記信号処理部は、前記被検体内の光量分布に基づいて、前記検出器の受信素子の受信面から垂直な方向に、被検体の深さと光量の関係を示す光量分布プロファイルを作成し、当該光量分布プロファイルを用いて前記受信素子に対応するデジタル信号を補正する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記信号処理部は、前記検出器の受信素子の中心から所定の角度の範囲にある被検体の部位の光量分布に基づいて、前記光量分布プロファイルを作成する
ことを特徴とする請求項6に記載の被検体情報取得装置。 - 光を照射された被検体より発生する音響波を検出しアナログ信号に変換する工程と、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換する工程と、
光が照射されたときの被検体内の光量分布を表わす情報を用いて前記デジタル信号を補正する工程と、
前記補正されたデジタル信号を用いて被検体情報の画像データを形成する工程と、
を有する被検体情報取得方法であって、
前記デジタル信号を補正する工程では、前記被検体内の各位置に照射される光量の大きさに応じて前記デジタル信号の補正を行うことを特徴とする被検体情報取得方法。
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