以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(静電容量計測装置の基本構成例)
2.第2の実施の形態(計測時間を短縮可能にする例)
3.第3の実施の形態(静電容量の計測に方向性を持たせる例)
4.第4の実施の形態(検出電極とシールド電極が同じ電圧になるように制御する例)
5.第5の実施の形態(第4の実施の形態の計測時間を短縮可能にする例)
6.第6の実施の形態(複数の電極を検出電極とシールド電極の両方に使用可能にする例)
7.第7の実施の形態(2枚の電極間の静電容量を計測する例)
8.第8の実施の形態(静電容量センサに適用した例)
9.第9の実施の形態(閾値電圧を自動設定できるようにした例)
10.変形例
<1.第1の実施の形態>
図1乃至図21を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
[静電容量計測装置101の構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態である静電容量計測装置101の構成例を示す図である。
静電容量計測装置101は、検出電極112と検出電極112の周囲の空間との間の静電容量を計測する装置である。
なお、静電容量そのものを計測するかわりに、静電容量に対応する静電容量パラメータを計測するようにすることも可能である。静電容量パラメータは、計算式によって静電容量に換算できる物理量であり、例えば、電圧、電荷量、所定の電圧になるまでの動作の繰り返し回数、所定の電圧になるまでの時間等を含む。
また、本発明の静電容量計測装置が計測する静電容量には、計算式によって静電容量に換算できる物理量である静電容量パラメータを含む。従って、以下、静電容量を計測する処理を、「静電容量パラメータを計測する」と記載する場合もある。
後述するように、静電容量計測装置101は、例えば、検出電極112が所定の位置に設置された状態で、電源104により所定の基準電圧点に対して所定の電位を有し、検出対象ではない物体103が検出電極112の近くに存在する場合に、検出電極112に電荷を蓄積させることによって検出電極112の基準電圧点に対する電位を変化させて、検出電極112と物体103の電位が等しくなったときに静電容量を計測する。これにより、物体103の有する電位の影響を除去して、検出対象となる物体102と検出電極112との間の静電容量を正確に計測することができる。
なお、基準電圧点は、静電容量計測装置101の使用用途などに応じて任意に設定することができ、例えば、アース、車両のボディアース等に設定される。
静電容量計測装置101は、マイクロコンピュータ111、検出電極112、抵抗R1、コンデンサC1、C2、および、接続端子T1を含むように構成される。また、マイクロコンピュータ111は、ポートP1乃至P3を備えている。
抵抗R1の一端はポートP1に接続され、抵抗R1の他の一端はコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他の一端はポートP2に接続されている。コンデンサC2は、ポートP2とポートP3の間に接続されている。接続端子T1は、ポートP3に接続されている。検出電極112は、接続端子T1に着脱自在である。なお、検出電極112を、接続端子T1ではなく、ポートP3に直接接続するようにしてもよい。
また、コンデンサC1およびコンデンサC2の静電容量は、検出電極112と周囲の空間との間の静電容量より十分大きい値になるように設定されている。
図2は、マイクロコンピュータ111の構成例を詳細に示す図である。マイクロコンピュータ111は、電圧計測部121,122、パラメータ計測部123、演算処理部124、出力部125、電荷供給部126−1,126−2、および、SW(スイッチ)1乃至5を含むように構成される。
SW1の一端は、電荷供給部126−1に接続され、SW1の他の一端は、ポートP1に接続されている。SW2の一端は、ポートP1に接続され、SW2の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW3の一端は電荷供給部126−2に接続され、SW3の他の一端は、ポートP2に接続されている。SW4の一端は、ポートP2に接続され、SW4の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW5の一端はポートP3に接続され、SW5の他の一端は、グラウンドに接続されている。なお、グラウンドは外部の基準電圧点に接続され、その結果、マイクロコンピュータ111の動作の基準電圧が基準電圧点に設定される。
電圧計測部121は、入力端子がポートP1に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
電圧計測部122は、入力端子がポートP2に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
例えば、電圧計測部121、122は、図3に示されるように、比較器141により構成される。比較器141は、入力端子に入力された電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値電圧Vrefと比較し、その結果を出力する。
なお、比較器141として、マイクロコンピュータ111のデジタル信号入力端子を用いることが可能である。すなわち、デジタル信号入力端子は、入力信号の電圧が所定の閾値以上であるか否かに基づいて、入力信号がハイレベルかローレベルかを識別しているため、その機能を利用することが可能である。また、例えば、入出力用にマイクロコンピュータ111の2ビット分の端子を用いて、抵抗分圧して電圧を入力することで、閾値電圧Vrefを任意の値に設定することが可能である。
パラメータ計測部123は、SW1乃至SW5の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部123は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータに基づいて、他の静電容量パラメータ、例えば、静電容量の演算を行う。演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータ、および、演算した静電容量パラメータを出力部125に供給する。
出力部125は、静電容量パラメータを外部に出力する。
なお、以下、コンデンサC1の静電容量をC1、電圧をVc1、蓄積電荷量をQc1で表す。また、コンデンサC2の静電容量をC2、電圧をVc2、蓄積電荷量をQc2で表す。さらに、検出電極112と周囲の空間との間の静電容量をCxで表し、検出電極112の電圧をVx、蓄積電荷量をQxで表す。また、抵抗R1の抵抗値をR1で表す。さらに、以下、コンデンサC1の抵抗R1側の電極を正極と称し、ポートP2側の電極を負極と称する。また、以下、コンデンサC2のポートP2側の電極を正極と称し、ポートP3側の電極を負極と称する。
また、以下、電荷供給部126−1,126−2を、定電圧電源である電源Vccにより構成する例を示す。それに伴い、明細書および図面において、電荷供給部126−1,126−2の代わりに、電源Vccを示す。また、以下、電源Vccの電圧をVccで表す。
さらに、以下、抵抗R1とコンデンサC1の間のA点の電圧(基準電圧点を基準とするA点の電位)をVaで表す。また、コンデンサC1、コンデンサC2およびポートP3の間のB点の電圧(基準電圧点を基準とするB点の電位)をVbで表す。なお、電圧Vbは、電圧計測部122に入力される電圧とほぼ等しくなる。さらに、コンデンサC2、接続端子T1およびポートP3の間のC点の電圧(基準電圧点を基準とするC点の電位)をVcで表す。
[静電容量計測装置101の処理]
次に、図4乃至図16を参照して、静電容量計測装置101の処理について説明する。
まず、図4乃至図6を参照して、静電容量計測装置101により実行される計測処理について説明する。なお、図4は、計測処理を説明するためのフローチャートである。図5は、計測処理中のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1、コンデンサC2の電荷蓄積量Qc2、および、検出電極112の蓄積電荷量Qxの推移を示す図である。図6は、A点の電圧Va、B点の電圧Vb、および、C点の電圧Vcの推移を示すグラフである。なお、図6の横軸は時間を示し、縦軸は電圧(基準電圧点に対する電位)を示している。
ステップS1において、静電容量計測装置101は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図7および図8を参照して、ステップS1の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図7は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図8は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS21において、パラメータ計測部123は、SW2、SW4、SW5をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A1の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW4を介してグラウンドに矢印A2の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A3の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS22において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、コンデンサC2および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS23において、パラメータ計測部123は、SW2、SW4、SW5をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
これにより、図5Aに示されるように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2、および、検出電極112の蓄積電荷量Qxは、ほぼ0になる。また、全電荷放電終了時の時刻をt0とすると、図6に示されるように、時刻t0において、A点の電圧Va、B点の電圧Vb、および、C点の電圧Vcは、基準電圧点とほぼ等しくなる。
図4に戻り、ステップS2において、静電容量計測装置101は、C1、C2充電処理を実行する。
ここで、図9および図10を参照して、ステップS2のC1、C2充電処理の詳細について説明する。なお、図9は、C1、C2充電処理を説明するためのフローチャートであり、図10は、C1、C2充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS41において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC2の正極に矢印A4の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極からコンデンサC2の正極に矢印A5の方向にほぼ同じ量の正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW5を介してグラウンドに矢印A6の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。このとき、矢印A4乃至A6の方向に移動する電荷量はほぼ等しいため、コンデンサC1とコンデンサC2の充電量はほぼ等しくなる。
ステップS41の処理の開始時刻をt1とすると、図6に示されるように、時刻t1以降、A点の電圧VaおよびB点の電圧Vbが、コンデンサC1、C2の充電が進むにつれて、徐々に上昇する。
ステップS42において、電圧計測部122は、コンデンサC2の電圧Vc2(より正確には、コンデンサC2の正極と基準電圧点との間の電圧)を計測する。そして、電圧計測部122は、計測した電圧Vc2を所定の閾値、すなわち閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS43において、パラメータ計測部123は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値(=閾値電圧Vref)以上であるか否かを判定する。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS42に戻る。その後、ステップS43において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定されるまで、ステップS42およびS43の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上に達するまで、コンデンサC1、C2が充電される。
一方、ステップS43において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS44に進む。
ステップS44において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1、C2の充電が停止する。その後、C1、C2充電処理は終了する。
これにより、図5Bに示されるように、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2は、約Qref(=C2×Vref)となる。コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1も、コンデンサC2と同様に、約Qrefとなる。検出電極112の蓄積電荷量はほぼ0のままとなる。
なお、図5は、コンデンサC1とコンデンサC2の静電容量が等しい場合の例を示しており、この場合、図5Bにおいて、各コンデンサの蓄積電荷量の高さ(=電圧)はほぼ等しくなる。ただし、コンデンサC1とコンデンサC2の静電容量は必ずしも等しくする必要はなく、静電容量が異なる場合、図5Bにおける各コンデンサの蓄積電荷量の高さは異なることになる。
また、C1、C2充電処理が終了した時刻をt2とすると、図6に示されるように、時刻t2において、A点の電圧Vaは、電源Vccの電圧と閾値電圧Vrefの間の電圧になり、B点の電圧Vbは閾値電圧Vrefとほぼ等しくなる。C点の電圧Vcは、ほぼ0のままとなる。
図4に戻り、ステップS3において、静電容量計測装置101は、検出電極充電処理を実行する。
ここで、図11および図12を参照して、ステップS3の検出電極充電処理の詳細について説明する。なお、図11は、検出電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図12は、検出電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS61において、パラメータ計測部123は、SW3をオンする。これにより、B点の電圧Vbは電圧Vccとほぼ等しくなり、コンデンサC2と検出電極112からなる直列回路の両端には電圧Vccとほぼ等しい電圧が印加される。そして、電源VccからSW3を介してコンデンサC2の正極に矢印A7の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A8の方向にほぼ同じ量の正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。このとき、矢印A7の方向に移動する電荷量と矢印A8の方向に移動する電荷量はほぼ等しいため、コンデンサC2と検出電極112の電荷の増加量はほぼ等しくなる。
ステップS62において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS63において、パラメータ計測部123は、SW3をオフする。これにより、コンデンサC2および検出電極112の充電が停止する。その後、検出電極充電処理は終了する。
この検出電極充電処理が終了した時点のコンデンサC2の電圧Vc2および検出電極112の電圧Vxは、検出電極充電処理の前に予めコンデンサC2に電荷量Qref(=C2×Vref)の電荷が蓄積されているため、次式(1)および(2)となる。
ここで、コンデンサC2の静電容量C2≫検出電極112の静電容量Cxに設定されているため、Cx/(C2+Cx)≒0、C2/(C2+Cx)≒1となる。これを式(1)および(2)に適用すると、コンデンサC2の電圧Vc2≒Vref、検出電極112の電圧Vx≒Vcc−Vrefとなる。そして、閾値電圧Vrefを適切な値に設定することにより、検出電極112の充電時の電圧Vxを物体103の電圧とほぼ等しい値に設定することができる。従って、閾値電圧Vrefは、電源Vccの電圧Vccから、物体103の基準電圧点に対する電圧(=電源104の電圧)を引いた値に設定される。
そして、検出電極112の充電時の電圧Vxを物体103の電圧とほぼ等しい値に設定することにより、検出電極112と物体103との間の静電容量がほぼ0の状態で、検出電極112に電荷が蓄積される。換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷が、検出電極112に蓄積される。すなわち、物体103の電位の影響をほとんど受けずに、検出電極112に電荷が蓄積される。
また、検出電極充電処理によるコンデンサC2の電荷の増加量をΔQとすると、ΔQは、検出電極充電処理の終了時の検出電極112の蓄積電荷量とほぼ等しくなる。従って、コンデンサC2の電荷増加量ΔQも、物体103の影響をほとんど受けない値となる。
そして、図5Cに示されるように、検出電極充電処理が終了した時点で、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2=Qref+ΔQとなり、検出電極112の蓄積電荷量Qx=ΔQとなる。コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1はQrefのままである。なお、電荷増加量ΔQは、次式(3)により表される。
図4に戻り、ステップS4において、静電容量計測装置101は、C2電圧調整処理を実行する。
ここで、図13および図14を参照して、ステップS4のC2電圧調整処理の詳細について説明する。なお、図13は、C2電圧調整処理を説明するためのフローチャートであり、図14は、C2電圧調整処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS81において、パラメータ計測部123は、SW2、SW5をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A9の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC1の正極から正電荷が放電されることにより、コンデンサC2の正極からコンデンサC1の負極に矢印A10の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A11の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS82において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測され、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値(=閾値電圧Vref)以下であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS82に戻る。その後、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定されるまで、ステップS82およびS83の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下になるまで、コンデンサC1、C2の放電が行われる。
一方、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS84に進む。
ステップS84において、パラメータ計測部123は、SW2、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1、C2の放電が停止する。その後、C2電圧調整処理は終了する。
このC2電圧調整処理により、図5Dに示されるように、ステップS3の検出電極充電処理によるコンデンサC2の電荷の増加量ΔQとほぼ等しい量の電荷が、コンデンサC1、C2から放電される。すなわち、コンデンサC1およびC2の蓄積電荷量とも、約ΔQ減少する。従って、この時点のコンデンサC1の電圧Vc1は、次式(4)により求められる。
上述したように、ステップS3の検出電極充電処理によるコンデンサC2の電荷の増加量ΔQは、物体103の影響をほとんど受けないため、C2電圧調整処理後のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1も物体103の影響をほとんど受けない。
図4に戻り、ステップS5において、パラメータ計測部123は、ステップS3乃至S5の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS3に戻り、ステップS5において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS3乃至S5の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS5において、ステップS3乃至S5の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS6に進む。
なお、ステップS3乃至S5の処理をn回繰り返したとすると、図5Eに示されるように、コンデンサC1には、約Qref−n×ΔQの量の電荷が残る。また、ステップS3乃至S5の処理をn回繰り返した後のコンデンサC1の電圧Vc1(n)は、次式(5)により示される値となる。
従って、図6に示されるように、ステップS3乃至S5の処理を繰り返している期間(図中、時刻t2と時刻t3の間の期間)において、コンデンサC1の放電が進むにつれて、A点の電圧Vaは徐々に下降していく。なお、時刻t2と時刻t3の間の期間において、A点の電圧Vaは、検出電極112の放電時に、式(5)の値とほぼ等しくなり、検出電極112の充電時に、式(5)の値にVcc−Vrefを加算した値とほぼ等しくなる。また、A点の電圧Vaは、電源Vccの電圧を超える場合がある。
また、B点の電圧Vbは、検出電極112の放電時に基準電圧Vrefとほぼ等しくなり、検出電極112の充電時に電圧Vccとほぼ等しくなる。
さらに、C点の電圧Vcは、検出電極112の放電時に基準電圧点の電圧とほぼ等しくなり、検出電極112の充電時にVcc−Vrefとほぼ等しくなる。
ステップS6において、静電容量計測装置101は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図15および図16を参照して、ステップS6のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図15は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図16は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS101において、パラメータ計測部123は、SW1、SW4をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A12の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の負極からSW4を介してグラウンドに矢印A13の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。
従って、パラメータ計測処理の開始時刻をt3とすると、図6に示されるように、時刻t3において、A点の電圧Vaは、式(5)に示される電圧とほぼ等しくなり、B点の電圧Vbは基準電圧点の電圧とほぼ等しくなる。また、A点の電圧Vaは、時刻t3以降、徐々に上昇していく。
ステップS102において、パラメータ計測部123は、時間計測を開始する。
ステップS103において、パラメータ計測部123は、SW1をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が一時的に停止する。
ステップS104において、電圧計測部121は、コンデンサC1の電圧Vc1(より正確には、コンデンサC1の正極と基準電圧点との間の電圧)を計測する。そして、電圧計測部121は、計測した電圧Vc1を所定の閾値、すなわち閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS105において、パラメータ計測部123は、SW1をオンする。これにより、コンデンサC1の充電が再開する。
ステップS106において、パラメータ計測部123は、電圧計測部121による計測結果に基づいて、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS103に戻る。その後、ステップS106において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS103乃至S106の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS106において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS107に進む。
ステップS107において、パラメータ計測部123は、時間計測を終了する。これにより、コンデンサC1の電圧Vc1が、上述した式(5)に示される電圧から閾値電圧Vrefに達するまでの充電時間tが計測される。パラメータ計測部123は、計測した充電時間tを演算処理部124に供給する。
なお、ステップS4の電荷転送処理をn回行った後のコンデンサC1の電圧Vc1(n)と充電時間tとの関係は、次式(6)により表される。
なお、検出電極112の静電容量Cxが大きく、蓄積電荷量ΔQの値が大きくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が小さくなるため、充電時間tは長くなる。逆に、検出電極112の静電容量Cxが小さくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が大きくなるため、充電時間tは短くなる。
また、上述したように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1は、物体103の影響をほとんど受けないため、充電時間tも物体103の影響をほとんど受けない。すなわち、充電時間tは、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを反映した値となる。
ステップS108において、パラメータ計測部123は、SW1、SW4をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が停止する。
ステップS109において、パラメータ計測部123は、SW5をオンする。これにより、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A14の方向に正電荷が移動し、検出電極112の電荷が放電される。
その後、パラメータ計測処理は終了する。
パラメータ計測処理の終了時の時刻をt4とすると、t4において、A点の電圧Vaは閾値電圧Vrefとほぼ等しくなり、B点の電圧VbおよびC点の電圧Vcは、基準電圧点の電圧とほぼ等しくなる。
なお、コンデンサC1に対する閾値電圧VrefとコンデンサC2に対する閾値電圧Vrefを、必ずしも同じ値に設定する必要はない。なお、図5は、コンデンサC1とコンデンサC2の静電容量および閾値電圧Vrefを同じ値に設定した場合の例を示しており、この場合、図5Fに示されるように、パラメータ計測処理終了時のコンデンサC1の蓄積電荷量は約Qrefとなる。
図4に戻り、ステップS7において、演算処理部124は、演算処理を行う。例えば、演算処理部124は、充電時間tを用いて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。具体的には、上述した式(6)に、式(5)を代入し、静電容量Cxについて解くと、次式(7)となる。
演算処理部124は、式(7)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。これにより、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電時間tを出力部125に供給する。
ステップS8において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電時間tの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、基準電圧点と異なる電圧の物体103の影響を除去して、検出電極112とその周囲の空間との間の静電容量に基づく静電容量を計測することができる。
例えば、自動車の車内で周囲の空間の静電容量を計測する場合、他の電子回路や他のセンサの検出部など、基準となるボディアースと電位差をもつ物体が、検出電極の周囲に存在することが多い。しかし、静電容量計測装置101を用いれば、検出電極112の周囲にボディアースに対して電位差を持つ物体が存在する場合でも、その物体の影響を受けずに静電容量を計測することができる。
また、図6に示されるように、C点の電圧Vc(≒検出電極112の電圧Vx)は、ほとんどの時間で基準電圧点に落ちているため、静電容量の計測において、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
[検出電極充電処理およびC2電圧調整処理の変形例]
ここで、図17乃至図19を参照して、図4のステップS3の検出電極充電処理およびステップS4のC2電圧調整処理の変形例について説明する。なお、図17は、検出電極充電処理の変形例を説明するためのフローチャートであり、図18は、C2電圧調整処理の変形例を説明するためのフローチャートであり、図19は、検出電極充電処理およびC2電圧調整処理中の正電荷の流れを示す図である。
まず、図17および図19を参照して、図4のステップS3の検出電極充電処理の変形例について説明する。
ステップS121において、パラメータ計測部123は、SW4をオンする。これにより、B点の電圧Vbは基準電圧点の電圧とほぼ等しくなり、コンデンサC2と検出電極112からなる直列回路の両端には−Vrefとほぼ等しい電圧が印加される。そして、コンデンサC2の正極からSW4を介して矢印A21の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極から正電荷が放電されることにより、検出電極112からコンデンサC2の負極に矢印A22の方向にほぼ同じ量の正電荷が移動し、検出電極112の正電荷の放電が開始される。なお、ステップS1の全電荷放電処理により検出電極112の蓄積電荷量がほぼ0になっているため、検出電極112は、正電荷を放出することにより、実質的に負電荷により充電される。
このとき、矢印A21の方向に移動する電荷量と矢印A22の方向に移動する電荷量はほぼ等しいため、コンデンサC2と検出電極112の電荷の減少量はほぼ等しくなる。
ステップS122において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS123において、パラメータ計測部123は、SW4をオフする。これにより、コンデンサC2の放電、および、検出電極112の充電が停止する。その後、検出電極充電処理は終了する。
次に、図18および図19を参照して、図4のステップS4のC2電圧調整処理の変形例について説明する。
ステップS141において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A23の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極からコンデンサC2の正極に矢印A24の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW5を介して矢印A25の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。このとき、コンデンサC1とコンデンサC2の電荷の増加量はほぼ等しくなる。
また、図示していないが、グラウンドからSW5を介して検出電極112に正電荷が移動することにより、検出電極112の放電が開始される。
ステップS142において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測され、ステップS143において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値(=閾値電圧Vref)以上であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS142に戻る。その後、ステップS143において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定されるまで、ステップS142およびS143の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上になるまで、コンデンサC1およびコンデンサC2の充電が継続する。
一方、ステップS143において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS144に進む。
ステップS144において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1およびコンデンサC2の充電が停止する。
従って、この変形例では、検出電極充電処理およびC2電圧調整処理を実行する毎に、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1がΔQずつ増加する。
なお、静電容量パラメータは、以上の例に限定されるものではなく、検出電極112の静電容量Cx(1回の充電で蓄積される検出電極112の蓄積電荷量ΔQ)に応じて変化する他の種類のパラメータを計測するようにしてもよい。ここで、図20および図21を参照して、静電容量パラメータの他の例について説明する。
[静電容量パラメータの第1の変形例]
まず、図20を参照して、静電容量パラメータの第1の変形例について説明する。図20は、静電容量パラメータの第1の変形例に対応する計測処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS161において、図4のステップS1の処理と同様に、全電荷放電処理が実行される。
ステップS162において、図4のステップS2の処理と同様に、C1、C2充電処理が実行される。
ステップS163において、図4のステップS3の処理と同様に、検出電極充電処理が実行される。
ステップS164において、図4のステップS4の処理と同様に、電荷転送処理が実行される。
ステップS165において、図15のステップS104の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が計測される。
ステップS166において、パラメータ計測部123は、コンデンサC1の放電回数をインクリメントする。
ステップS167において、パラメータ計測部123は、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以下であるか否かを判定する。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS163に戻る。その後、ステップS167において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以下であると判定されるまで、ステップS163乃至S167の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS167において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS168に進む。
ステップS168において、演算処理部124は、演算処理を行う。具体的には、パラメータ計測部123は、カウントした放電回数nを演算処理部124に供給する。演算処理部124は、放電回数nに基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。なお、コンデンサVc1が閾値電圧Vref以下になったときの放電回数をnとすると、上述した式(5)の左辺にVc1(n)=Vrefを代入することにより、検出電極112の静電容量Cxを算出することができる。ただし、このときの閾値電圧Vrefは、C1、C2充電処理終了時のコンデンサC1の電圧Vc1より低い値に設定する必要がある。
演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された放電回数nを出力部125に供給する。
ステップS169において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび放電回数nの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
なお、放電回数nの代わりに、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以下になるまでの放電時間を静電容量パラメータとして計測するようにしてもよい。
[静電容量パラメータの第2の変形例]
次に、図21を参照して、静電容量パラメータの第2の変形例について説明する。
この第2の変形例の場合、電圧計測部121、122は、例えば、A/D変換器により構成される。すなわち、電圧計測部121、122は、入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換して出力する。
また、この場合、図4のステップS6のパラメータ計測処理は、図21のフローチャートに従って実行される。
すなわち、ステップS181において、パラメータ計測部123は、SW4をオンする。
ステップS182において、電圧計測部122は、コンデンサC1の電圧Vc1を計測し、計測結果をパラメータ計測部123に供給する。この場合、コンデンサC1の電圧Vc1と閾値電圧Vrefの比較結果ではなく、電圧Vc1の実測値がパラメータ計測部123に供給される。パラメータ計測部123は、取得した電圧Vc1の実測値を静電容量パラメータに設定する。
そして、電圧Vc1が分かれば、上述した式(5)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、図22乃至図27を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、計測時間を短縮できるようにするものである。
[静電容量計測装置201の構成例]
図22は、本発明の第2の実施の形態である静電容量計測装置201の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置201は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ211が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ211は、マイクロコンピュータ111と比較して、ポートP4およびSW6が追加され、パラメータ計測部123の代わりにパラメータ計測部221が設けられている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置201では、静電容量計測装置101と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1はポートP1とポートP4の間に接続され、コンデンサC1はポートP4とポートP2の間に接続されている。SW6の一端はポートP4に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部121は、入力端子がポートP4に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置101と同様である。
パラメータ計測部221は、SW1乃至SW6の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部221は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
[静電容量計測装置201の処理]
次に、図23乃至図27を参照して、静電容量計測装置201の処理について説明する。
まず、図23のフローチャートを参照して、静電容量計測装置201により実行される計測処理について説明する。
ステップS201において、静電容量計測装置201は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図24および図25を参照して、ステップS201の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図24は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図25は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS221において、パラメータ計測部221は、SW4、SW5、SW6をオンする。これにより、コンデンサC1の正極からSW6を介してグラウンドに矢印A31の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW4を介してグラウンドに矢印A32の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A33の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
このとき、コンデンサC1の電荷を抵抗R1を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。
ステップS222において、パラメータ計測部221は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、コンデンサC2および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS223において、パラメータ計測部123は、SW4、SW5、SW6をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図23に戻り、ステップS202乃至S205の処理は、図4のステップS2乃至S5の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS206において、静電容量計測装置201は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図26および図27を参照して、ステップS206のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図26は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図27は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS241において、パラメータ計測部221は、SW1、SW4をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A34の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の負極からSW4を介してグラウンドに矢印A35の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。
ステップS242において、パラメータ計測部221は、時間計測を開始する。
ステップS243において、図15のステップS104の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が計測される。このとき、図15のパラメータ計測処理と比較して、SW1をオフせず、コンデンサC1の充電を継続したまま、コンデンサC1の電圧Vc1を計測することができ、計測時間を短縮することができる。
ステップS244において、パラメータ計測部221は、電圧計測部121による計測結果に基づいて、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS243に戻る。その後、ステップS244において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS243乃至S244の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS244において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS245に進む。
ステップS245およびS246の処理は、図15のステップS107およびS108の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図23に戻り、ステップS207およびS208の処理は、図4のステップS7およびS8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
このようにして、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、静電容量の計測時間を短縮することができる。
<3.第3の実施の形態>
次に、図28および図29を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、検出電極112の静電容量Cxの検出に方向性を持たせるようにするものである。
[静電容量計測装置の構成例]
図28は、本発明の第3の実施の形態である静電容量計測装置301の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置301は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ311が設けられ、シールド電極312および接続端子T2が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ311は、マイクロコンピュータ111と比較して、ポートP4が追加されている点が異なる。
ポートP4は、グラウンドに接続されるとともに、接続端子T2に接続されている。
シールド電極312は、電界の遮蔽に用いられる電極であり、接続端子T2に着脱自在である。また、シールド電極312は、接続端子T2に接続された状態において、接続端子T2およびポートP3を介してマイクロコンピュータ311のグラウンドに接続され、基準電圧点の電圧に保持される。なお、シールド電極312を、接続端子T2ではなく、ポートP3に直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、シールド電極312と周囲の空間との間の静電容量をCsで表し、シールド電極312の電圧をVs、蓄積電荷量をQsで表す。
図29は、シールド電極312の形状の一例を模式的に示す断面図である。この例において、シールド電極312は、検出電極112を覆うような箱形の形状をしている。
上述したように、シールド電極312は、基準電圧点の電圧に保持されるため、シールド電極312側から物体が接近しても、検出電極112周辺の電界はほとんど変化しない。従って、シールド電極312側から物体が接近しても、検出電極112の静電容量Cxはほとんど変化しないため、静電容量の計測方向を限定することが可能である。例えば、図29の例の場合、静電容量の計測方向を紙面の上方向に限定することが可能である。また、例えば、図28に示されるように、検出電極112と物体103の間にシールド電極312を配置することにより、物体103の影響をより小さくして、静電容量を計測することが可能になる。
なお、以上の説明では、シールド電極312をグラウンドに接続する例を示したが、グラウンド以外の電圧保持手段に接続して、シールド電極312の電圧がほぼ一定になるようにするようにしてもよい。
<4.第4の実施の形態>
次に、図30乃至図39を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、第3の実施の形態と比較して、検出電極112とシールド電極312が同じ電圧になるように制御するようにしたものである。
[静電容量計測装置401の構成例]
図30は、本発明の第4の実施の形態である静電容量計測装置401の構成例を示す図である。なお、図中、図28と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置401は、図28の静電容量計測装置301と比較して、マイクロコンピュータ311の代わりマイクロコンピュータ411が設けられ、抵抗R2およびコンデンサC3が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ411は、マイクロコンピュータ311と比較して、電圧計測部421、同電位制御部422、SW7乃至SW9、および、ポートP5が追加されている点が異なる。
抵抗R2の一端は、ポートP5に接続され、抵抗R2の他の一端は、コンデンサC3の一端に接続されている。コンデンサC3の他の一端は、ポートP4および接続端子T2に接続されている。また、SW7の一端は、電源Vccに接続され、SW7の他の一端は、ポートP5に接続されている。SW8の一端は、ポートP5に接続され、SW8の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW9の一端は、ポートP4に接続され、SW9の他の一端は、グラウンドに接続されている。
また、コンデンサC3の静電容量は、シールド電極312と周囲の空間との間の静電容量Csより十分大きい値になるように設定されている。
なお、以下、コンデンサC3の静電容量をC3、電圧をVc3、蓄積電荷量をQc3で表す。
また、以下、コンデンサC3の抵抗R3側の電極を正極と称し、接続端子T2側の電極を負極と称する。
電圧計測部421は、入力端子がポートP5に接続されている。電圧計測部421は、電圧計測部121、122と同様に、入力端子に入力される電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値(閾値電圧Vref)と比較し、比較した結果を同電位制御部422に供給する。
同電位制御部422は、電圧計測部122および電圧計測部421の計測結果に基づいて、SW7乃至SW9の開閉を制御して、検出電極112とシールド電極312の電圧が同じになるように調整する。
[静電容量計測装置401の処理]
次に、図31至図39を参照して、静電容量計測装置401の処理について説明する。
まず、図31のフローチャートを参照して、静電容量計測装置401により実行される計測処理について説明する。
ステップS301において、静電容量計測装置401は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図32および図33を参照して、ステップS301の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図32は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図33は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS321において、パラメータ計測部123は、SW2、SW4、SW5をオンし、同電位制御部422は、SW8、SW9をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A51の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW4を介してグラウンドに矢印A52の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A53の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
また、コンデンサC3の正極から抵抗R2およびSW8を介してグラウンドに矢印A54の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。さらに、シールド電極312からSW9を介してグラウンドに矢印A55の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の放電が開始される。
ステップS322において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、および、シールド電極312の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS323において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3、SW5をオフし、同電位制御部422は、SW8、SW9をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図31に戻り、ステップS302において、静電容量計測装置401は、C1、C2、C3充電処理を実行する。
ここで、図34および図35を参照して、ステップS302のC1、C2、C3充電処理の詳細について説明する。なお、図34は、C1、C2、C3充電処理を説明するためのフローチャートであり、図35は、C1、C2、C3充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS341において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオンし、同電位制御部422は、SW7、SW9をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A56の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極からコンデンサC2の正極に矢印A57の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW5を介してグラウンドに矢印A58の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。
さらに、電源VccからSW7および抵抗R2を介してコンデンサC3の正極に矢印A59の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の負極からSW9を介してグラウンドに矢印A60の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。
ステップS342において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5がオンであるか否かを判定する。SW1、SW5がオンであると判定された場合、処理はステップS343に進む。
ステップS343において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測され、ステップS344において、図9のステップS43の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS345に進む。
ステップS345において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1、C2の充電が停止する。その後、処理はステップS346に進む。
一方、ステップS344において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、ステップS345の処理はスキップされ、処理はステップS346に進む。
また、ステップS342において、SW1、SW5がオフであると判定された場合、ステップS343乃至S345の処理はスキップされ、処理はステップS346に進む。
ステップS346において、同電位制御部422は、SW7、SW9がオンであるか否かを判定する。SW7、SW9がオンであると判定された場合、処理はステップS347に進む。
ステップS347において、電圧計測部421は、コンデンサC3の電圧Vc3を計測する。具体的には、電圧計測部421は、コンデンサC3の電圧Vc3(より正確には、コンデンサC3の正極と基準電圧点との間の電圧)を計測し、計測した電圧Vc3を閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果を同電位制御部422に供給する。
ステップS348において、同電位制御部422は、電圧計測部421による計測結果に基づいて、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS349に進む。
ステップS349において、同電位制御部422は、SW7、SW9をオフする。これにより、コンデンサC3の充電が停止する。その後、処理はステップS350に進む。
一方、ステップS348において、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値未満であると判定された場合、ステップS349の処理はスキップされ、処理はステップS350に進む。
また、ステップS346において、SW7、SW9がオフであると判定された場合、ステップS347乃至S349の処理はスキップされ、処理はステップS350に進む。
ステップS350において、パラメータ計測部123は、全てのスイッチがオフであるか否かを判定する。1つ以上のスイッチがオンであると判定された場合、処理はステップS342に戻る。その後、ステップS350において、全てのスイッチがオフであると判定されるまで、ステップS342乃至S350の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS350において、全てのスイッチがオフであると判定された場合、C1、C2、C3充電処理は終了する。
このようにして、コンデンサC2、C3が、ほぼ同じ電圧(閾値電圧Vref)になるまで充電される。
図31に戻り、ステップS303において、静電容量計測装置401は、検出電極、シールド電極充電処理を実行する。
ここで、図36および図37を参照して、ステップS303の検出電極、シールド電極充電処理の詳細について説明する。なお、図36は、検出電極、シールド電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図37は、検出電極、シールド電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS361において、パラメータ計測部123は、SW3をオンし、同電位制御部422は、SW7をオンする。これにより、電源VccからSW3を介してコンデンサC2の正極に矢印A61の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A62の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。さらに、電源VccからSW7および抵抗R2を介してコンデンサC3の正極に矢印A63の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。また、コンデンサC3の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC3の負極からシールド電極312に矢印A64の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の充電が開始される。
ステップS362において、パラメータ計測部123および同電位制御部422は、所定の時間、すなわち、検出電極112およびシールド電極312が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS363において、パラメータ計測部123は、SW3をオフし、同電位制御部522は、SW7をオフする。これにより、コンデンサC2、コンデンサC3、検出電極112およびシールド電極312の充電が停止する。その後、検出電極、シールド電極充電処理は終了する。
ここで、コンデンサC3の静電容量C3≫シールド電極312の静電容量Csなので、充電後のシールド電極312の電圧は、電源Vccの電圧Vcc−基準電圧Vrefとほぼ等しくなる。よって、充電後のシールド電極312の電圧は、充電後の検出電極112の電圧とほぼ等しくなる。
従って、検出電極112、シールド電極312および物体103の電圧がほぼ等しく、検出電極112と物体103およびシールド電極312との間の静電容量がほぼ0の状態で、検出電極112に電荷が蓄積される。換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103およびシールド電極312との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷が、検出電極112に蓄積される。
従って、1回あたりの検出電極112の充電量ΔQ(=後述するC2、C3電圧調整処理1回あたりのコンデンサC1の放電量)は、物体103およびシールド電極312の影響をほぼ除いた値となる。そのため、検出電極112およびシールド電極312の形状、比誘電率、温度等が変化しても、その影響をほとんど受けることなく、静電容量を計測することが可能になる。
図31に戻り、ステップS304において、静電容量計測装置401は、C2、C3電圧調整処理を実行する。
ここで、図38および図39を参照して、ステップS304のC2、C3電圧調整処理の詳細について説明する。なお、図38は、C2、C3電圧調整処理を説明するためのフローチャートであり、図39は、C2、C3電圧調整処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS381において、パラメータ計測部123は、SW2、SW5をオンし、同電位制御部422は、SW8、SW9をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A65の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC1の正極から正電荷が放電されることにより、コンデンサC2の正極からコンデンサC1の負極に矢印A66の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A67の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
また、コンデンサC3の正極から抵抗R2およびSW8を介してグラウンドに矢印A68の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。また、シールド電極312からSW9を介してグラウンドに矢印A69の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の放電が開始される。
ステップS382において、パラメータ計測部123は、SW2、SW5がオンであるか否かを判定する。SW2、SW5がオンであると判定された場合、処理はステップS383に進む。
ステップS383において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測され、ステップS384において、図13のステップS83の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS385に進む。
ステップS385において、パラメータ計測部123は、SW2、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1、C2の放電が停止する。
一方、ステップS384において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、ステップS385の処理はスキップされ、処理はステップS386に進む。
また、ステップS382において、SW2、SW5がオフであると判定された場合、ステップS383乃至S385の処理はスキップされ、処理はステップS386に進む。
ステップS386において、同電位制御部422は、SW8、SW9がオンであるか否かを判定する。SW8、SW9がオンであると判定された場合、処理はステップS387に進む。
ステップS387において、図34のステップS347の処理と同様に、電圧計測部421によりコンデンサC3の電圧Vc3が計測される。
ステップS388において、同電位制御部422は、電圧計測部421による計測結果に基づいて、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以下であるか否かを判定する。コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS389に進む。
ステップS389において、同電位制御部422は、SW8、SW9をオフする。これにより、コンデンサC3の放電が停止する。その後、処理はステップS390に進む。
一方、ステップS388において、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値より大きいと判定された場合、ステップS389の処理はスキップされ、処理はステップS390に進む。
また、ステップS386において、SW8、SW9がオンであると判定された場合、ステップS387乃至S389の処理はスキップされ、処理はステップS390に進む。
ステップS390において、パラメータ計測部123は、全てのスイッチがオフであるか否かを判定する。1つ以上のスイッチがオンであると判定された場合、処理はステップS382に戻る。その後、ステップS390において、全てのスイッチがオフであると判定されるまで、ステップS382乃至S390の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS390において、全てのスイッチがオフであると判定された場合、C2、C3電圧調整処理は終了する。
図31に戻り、ステップS305において、パラメータ計測部123は、ステップS303乃至S305の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだステップS303乃至S305の処理を所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS303に戻る。その後、ステップS305において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS303乃至S305の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS305において、ステップS303乃至S305の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS306に進む。
ステップS306乃至S308の処理は、図4のステップS6乃至S8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、第3の実施の形態と比較して、さらに静電容量の計測精度を向上させることができる。
[静電容量計測装置401の変形例]
図40は、静電容量計測装置401の変形例を示している。この例では、シールド電極312に、静電容量が既知のオフセットコンデンサ451が追加され、シールド電極312およびオフセットコンデンサ451により1つのシールド電極が構成される。なお、オフセットコンデンサ451の一端は、接続端子T2に接続され、他の一端は基準電圧点に接続されている。
このように、オフセットコンデンサ451を追加することにより、シールド電極312に物体が近づくなどの要因によりシールド電極312の静電容量が変化しても、その変化の度合いを小さくすることができる。その結果、シールド電極312の電圧の変動が小さくなり、検出電極112とシールド電極312を同じ電圧にする制御が容易になる。
例えば、シールド電極312の静電容量をCs、オフセットコンデンサ451の静電容量をCofsとすると、シールド電極全体の静電容量Ctは、次式(9)により表される。
Ct=Cs+Cofs
=Cofs×(Cs/Cofs+1) ・・・(9)
ここで、Cs≪Cofsとなるように静電容量Cofsを設定すると、Cs/Cofsがほぼ0になる。従って、静電容量Csが変化しても、静電容量Ctはほとんど変化しないようになる。
<5.第5の実施の形態>
次に、図41乃至図46を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態は、第4の実施の形態と比較して、計測時間を短縮できるようにするものである。
[静電容量計測装置501の構成例]
図41は、本発明の第5の実施の形態である静電容量計測装置501の構成例を示す回路図である。なお、図中、図22および図30と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置501は、図30の静電容量計測装置401と比較して、マイクロコンピュータ411の代わりにマイクロコンピュータ511が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ511は、マイクロコンピュータ411と比較して、SW6、SW10、SW11およびポートP6、P7が追加され、パラメータ計測部123および同電位制御部422の代わりに、パラメータ計測部521および同電位制御部522が設けられている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置501では、静電容量計測装置401と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1はポートP1とポートP6の間に接続され、コンデンサC1はポートP2とポートP6の間に接続されている。SW6の一端はポートP6に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部121は、入力端子がポートP6に接続されている。
また、抵抗R2は、ポートP5とポートP7の間に接続され、コンデンサC3は、ポートP4とポートP7の間に接続されている。SW10の一端は、電源Vccに接続され、SW10の他の一端は、ポートP7に接続されている。SW11の一端は、ポートP7に接続され、SW11の他の一端は、グラウンドに接続されている。電圧計測部421は、入力端子がポートP7に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置401と同様である。
パラメータ計測部521は、SW1乃至SW6の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部521は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
同電位制御部522は、電圧計測部122および電圧計測部421の計測結果に基づいて、SW7乃至SW11の開閉を制御して、検出電極112とシールド電極312の電圧が同じになるように調整する。
[静電容量計測装置501の処理]
次に、図42至図46を参照して、静電容量計測装置501の処理について説明する。
まず、図42のフローチャートを参照して、静電容量計測装置501により実行される計測処理について説明する。
ステップS401において、静電容量計測装置501は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図43および図44を参照して、ステップS401の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図43は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図44は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS421において、パラメータ計測部521は、SW4、SW5、SW6をオンし、同電位制御部422は、SW9、SW11をオンする。これにより、コンデンサC1の正極からSW6を介してグラウンドに矢印A81の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW4を介してグラウンドに矢印A82の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW5を介してグラウンドに矢印A83の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
このとき、コンデンサC1の電荷を抵抗R1を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。
また、コンデンサC3の正極からSW11を介してグラウンドに矢印A84の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。さらに、シールド電極312からSW9を介してグラウンドに矢印A85の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の放電が開始される。
このとき、コンデンサC3の電荷を抵抗R2を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。
ステップS422において、パラメータ計測部521は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、および、シールド電極312の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS423において、パラメータ計測部521は、SW4、SW5、SW6をオフし、同電位制御部422は、SW9、SW11をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図42に戻り、ステップS402において、図31のステップS302の処理と同様に、C1、C2、C3充電処理が実行される。
ステップS403において、静電容量計測装置501は、検出電極、シールド電極充電処理を実行する。
ここで、図45および図46を参照して、ステップS403の検出電極、シールド電極充電処理の詳細について説明する。なお、図45は、検出電極、シールド電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図46は、検出電極、シールド電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS461において、パラメータ計測部123は、SW3をオンし、同電位制御部422は、SW10をオンする。これにより、電源VccからSW3を介してコンデンサC2の正極に矢印A86の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A87の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。さらに、電源VccからSW10を介してコンデンサC3の正極に矢印A88の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。また、コンデンサC3の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC3の負極からシールド電極312に矢印A89の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の充電が開始される。
このとき、抵抗R2を介さずにコンデンサC3を充電することができ、その結果、コンデンサC3およびシールド電極312の充電時間を短縮することができる。
ステップS462において、パラメータ計測部521および同電位制御部522は、所定の時間、すなわち、検出電極112およびシールド電極312が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS463において、パラメータ計測部123は、SW3をオフし、同電位制御部522は、SW10をオフする。これにより、コンデンサC2、コンデンサC3、検出電極112およびシールド電極312の充電が停止する。その後、検出電極、シールド電極充電処理は終了する。
図42に戻り、ステップS404乃至S408の処理は、図31のステップS303乃至S308の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
以上のようにして、第4の実施の形態と比較して、静電容量の計測時間を短縮することができる。
<6.第6の実施の形態>
次に、図47乃至図49を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態は、複数の電極を設けて、各電極を検出電極またはシールド電極のいずれにも使用できるようにするものである。
[静電容量計測装置601の構成例]
図47は、本発明の第6の実施の形態である静電容量計測装置601の構成例を示す図である。
静電容量計測装置601は、マイクロコンピュータ611、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、コンデンサC2−1乃至C2−n、接続端子T1−1乃至T1−n、および、電極612−1乃至612−nにより構成される。また、マイクロコンピュータ611は、ポートP1−1乃至P1−n、P2−1乃至P2−n、および、P3−1乃至P3−nを備える。
抵抗R1−i(i=1〜n)の一端は、ポートP1−iに接続され、抵抗R1−iの他の一端は、コンデンサC1−iの一端に接続されている。コンデンサC1−iの他の一端は、ポートP2−iに接続されている。コンデンサC2−iは、ポートP2−iとポートP3−iの間に接続されている。接続端子T1−iは、ポートP3−iに接続されている。電極612−iは、接続端子T1−iに着脱自在である。なお、電極612−iを、接続端子T1−iではなく、ポートP3−iに直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、コンデンサC2−1乃至C2−n、接続端子T1−1乃至T1−n、電極612−1乃至612−n、ポートP1−1乃至P1−n、P2−1乃至P2−n、および、P3−1乃至P3−nを個々に区別する必要がない場合、単に、抵抗R1、コンデンサC1、コンデンサC2、接続端子T1、電極612、ポートP1、ポートP2、および、ポートP3と称する。
[マイクロコンピュータ611の構成例]
図48は、マイクロコンピュータ611の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には、同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
マイクロコンピュータ611は、計測部631−1乃至631−n、役割設定部632、および、同電位制御部633を含むように構成される。
計測部631−1乃至631−nは、それぞれ図2のマイクロコンピュータ111と同様の構成を有している。従って、計測部631−i(i=1〜n)、抵抗R1−i、コンデンサC1−i、コンデンサC2−i、および、電極612−iにより、静電容量計測装置101と同様の構成を備える1つのユニットが構成され、合計n個のユニットが、静電容量計測装置601に設けられている。
なお、以下、計測部631−1乃至631−nを個々に区別する必要がない場合、単に計測部631と称する。
役割設定部632は、各計測部631に接続されている電極612の役割を設定する。すなわち、役割設定部632は、各電極612を、検出電極として用いるか、シールド電極として用いるかを設定する。
同電位制御部633は、図30の同電位制御部422と同様の機能を有しており、各電極612が同じ電圧になるように制御する。
[静電容量計測装置601の処理]
次に、図49のフローチャートを参照して、静電容量計測装置601により実行される計測処理について説明する。
ステップS601において、役割設定部632は、各電極612の役割を設定する。すなわち、役割設定部632は、ユーザ設定等に基づいて、各電極612を検出電極またはシールド電極のいずれの電極として用いるかを設定する。
ステップS602乃至S609の処理は、図4のステップS1乃至S8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
[静電容量計測装置601の使用例]
静電容量計測装置601では、各電極の役割を切り替えることにより、静電容量を計測する位置や方向を変更することが可能である。
例えば、車両のドアの表と裏にそれぞれ1つずつ電極612を設置しておき、ドアの表側の電極612を検出電極に設定し、裏側の電極612をシールド電極に設定することにより、ドアの裏側の影響を受けずに、ドアの表側の静電容量を計測することができる。逆に、ドアの表側の電極612をシールド電極に設定し、裏側の電極612を検出電極に設定することにより、ドアの表側の影響を受けずに、ドアの裏側の静電容量を計測することができる。
<7.第7の実施の形態>
次に、図50を参照して、本発明の第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態は、2枚の電極間の静電容量を計測できるようにするものである。
[静電容量計測装置701の構成例]
図50は、本発明の第7の実施の形態である静電容量計測装置701の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので省略する。
静電容量計測装置701は、図2の静電容量計測装置101と比較して、接続端子T2および基準電圧電極711が追加されている点が異なる。
接続端子T2は、基準電圧点に接続されており、基準電圧電極711は、接続端子T2に接続されている。従って、基準電圧電極711の電圧は基準電圧点の電圧に保持される。
これにより、検出電極112と基準電圧電極711との間に発生する静電容量を計測することができる。そして、検出電極112と基準電圧電極711とで形成される空間付近に導電帯や誘電体が存在すると、静電容量の実測値が変化する。
<8.第8の実施の形態>
次に、図51および図52を参照して、本発明の第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態は、本発明を、静電容量に基づいて周囲の物体の検出(例えば、物体の有無や動き等の検出)を行う静電容量センサに適用するようにしたものである。
[静電容量センサ801の構成例]
図51は、本発明の第8の実施の形態である静電容量センサ801の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量センサ801は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ811が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ811は、マイクロコンピュータ111と比較して、物体検出部821が設けられ、演算処理部124および出力部125が設けられていない点が異なる。
物体検出部821は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、検出電極112の周囲の物体の有無を検出する。
[計測静電容量センサ801の処理]
次に、図52のフローチャートを参照して、静電容量センサ801により実行される物体検出処理について説明する。
ステップS701乃至S706において、図4のステップS1乃至S6と同様の処理が行われ、検出電極112の静電容量Cxに基づく静電容量パラメータである、コンデンサC1の充電時間tが計測される。なお、上述したように、検出電極112の静電容量Cxが大きくなるほど、充電時間tは長くなり、静電容量Cxが小さくなるほど、充電時間tは短くなる。
ステップS707において、物体検出部821は、充電時間tが所定の閾値以上であるか否かを判定する。充電時間tが閾値以上であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値以上である場合、処理はステップS708に進む。
ステップS708において、物体検出部821は、検出電極112の周囲に物体が存在すると判定する。物体検出部821は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
一方、ステップS707において、充電時間tが閾値未満であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値未満である場合、処理はステップS709に進む。
ステップS709において、物体検出部821は、検出電極112の周囲に物体が存在しないと判定する。物体検出部821は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
上述したように、静電容量パラメータの計測値は、物体103の影響をほとんど受けないため、物体103の影響をほとんど受けずに、検出電極112の周囲の物体(例えば、物体102)を確実に検出することができる。
なお、他の静電容量パラメータ、例えば、上述した放電回数n、コンデンサC1の電圧Vc1、検出電極112の静電容量Cx等を用いて、物体の検出を行うようにしてもよい。
また、静電容量パラメータの変化に基づいて、物体の接近または遠離などの動きを検出するようにすることも可能である。
<9.第9の実施の形態>
次に、図53および図54を参照して、本発明の第9の実施の形態について説明する。この第9の実施の形態では、物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動設定できるようにするものである。
[静電容量計測装置901の構成例]
図53は、本発明の第9の実施の形態である静電容量計測装置901の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置901は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ911が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ911は、マイクロコンピュータ111と比較して、閾値電圧設定部921が設けられている点が異なる。
閾値電圧設定部921は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、閾値電圧Vrefを求め、電圧計測部121、122に設定する。
[静電容量計測装置901の処理]
次に、図54のフローチャートを参照して、静電容量計測装置901により実行される閾値電圧設定処理について説明する。なお、この処理は、例えば、検出電極112を実際に使用する位置に設置し、検出対象から除外したい物体103以外の物体が、検出電極112の周囲に存在しない状態で行われる。
ステップS801において、閾値電圧設定部921は、閾値電圧Vrefを仮設定する。例えば、閾値電圧設定部921は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを基準電圧点の電圧に設定する。
ステップS802において、図4を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS901において仮設定した閾値電圧Vrefを用いて静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部921に供給される。
ステップS803において、閾値電圧設定部921は、閾値電圧Vrefを変更する。例えば、閾値電圧設定部921は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを所定の値だけ大きくする。
ステップS804において、図4を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS803において変更した閾値電圧Vrefを用いて、静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部921に供給される。
ステップS805において、閾値電圧設定部921は、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少しているか否かを判定する。いまの場合、まだ計測処理が2回しか行われていないため、この処理は行われずに、処理はステップS803に戻る。
その後、ステップS805において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定されるまで、ステップS803乃至S805の処理が繰り返し実行される。これにより、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefが検索される。
一方、ステップS805において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定された場合、処理はステップS806に進む。
ステップS806において、閾値電圧設定部921は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値に設定する。すなわち、前回の閾値電圧Vrefは、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefであり、検出電極112の充電時の電圧(電圧Vcc−閾値電圧Vref)が物体103の電圧に最も近くなると予想される。従って、閾値電圧設定部921は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値として、電圧計測部121、122に設定する。
その後、閾値電圧設定処理は終了する。
このようにして、検出対象から除外したい物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動的に設定することができる。
なお、以上の説明では、静電容量に基づいて閾値電圧Vrefを設定する例を示したが、静電容量以外の静電容量パラメータを用いて設定するようにしてもよい。
<10.変形例>
以上の説明では、静電容量パラメータを計測した後、演算処理部124により検出電極112の静電容量Cxを算出する例を示したが、静電容量Cxの値を特に求める必要がない場合、この演算処理を省略するようにしてもよい。
また、可能な範囲で各実施の形態を組み合わせるようにしてもよい。例えば、第3の実施の形態および第6乃至第9の実施の形態に、第2の実施の形態の静電容量計測装置201の構成を適用することが可能である。
さらに、以上の説明では、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、シールド電極312に電荷を供給する電荷供給部126−1,126−2に電源Vccを用いる例を示したが、他の電荷供給手段を用いるようにしてもよい。なお、以上の説明では電源電圧Vccを元に電荷量を計算して静電容量を計算していたが、各コンデンサ、検出電極112、シールド電極312に供給される電荷量がわかれば、供給された電荷量をもとに静電容量を計算できる。
例えば、定電流回路を電荷供給手段として用いるようにしてもよい。この場合、定電流回路は一定の電流で電荷を供給し続けるので、所定の時間の間に供給される電荷量は一定となる。従って、所定の時間の間に供給される電荷量に基づいて静電容量を求めることができる。また、この場合、各静電容量計測装置の抵抗R1の抵抗値を小さい値に設定することができる。
また、例えば、単位時間毎に所定の条件を満たす電荷を供給する所定電荷供給回路を用いるようにしてもよい。この場合、例えば、単位時間に所定量の電荷を供給するようにすることで、供給された所定量の電荷量を基に静電容量を求めることができる。なお、この場合、マイクロコンピュータのプログラム制御により供給する電荷量を変更できるようにしてもよい。
さらに、例えば、時間間隔を空けて、繰り返し電荷を供給する間歇電荷供給回路を用いるようにしてもよい。この場合、間歇的に所定の電荷が供給されるようにすれば、供給された電荷量をもとに静電容量を求めることができる。
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、上述したマイクロコンピュータの他、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
また、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。