以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(静電容量計測装置の基本構成例)
2.第2の実施の形態(計測時間を短縮可能にする第1の例)
3.第3の実施の形態(計測時間を短縮可能にする第2の例)
4.第4の実施の形態(静電容量の計測に方向性を持たせる例)
5.第5の実施の形態(検出電極とシールド電極が同じ電圧になるように制御する例)
6.第6の実施の形態(第5の実施の形態の計測時間を短縮可能にする例)
7.第7の実施の形態(複数の電極を検出電極とシールド電極の両方に使用可能にする例)
8.第8の実施の形態(2枚の電極間の静電容量を計測する例)
9.第9の実施の形態(静電容量センサに適用した例)
10.第10の実施の形態(閾値電圧を自動設定できるようにした例)
11.変形例
<1.第1の実施の形態>
図1乃至図18を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
[静電容量計測装置101の構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態である静電容量計測装置101の構成例を示す図である。
静電容量計測装置101は、検出電極112と検出電極112の周囲の空間との間の静電容量を計測する装置である。
なお、静電容量そのものを計測するかわりに、静電容量に対応する静電容量パラメータを計測するようにすることも可能である。静電容量パラメータは、計算式によって静電容量に換算できる物理量であり、例えば、電圧、電荷量、所定の電圧になるまでの動作の繰り返し回数、所定の電圧になるまでの時間等を含む。
また、本発明の静電容量計測装置が計測する静電容量には、計算式によって静電容量に換算できる物理量である静電容量パラメータを含む。従って、以下、静電容量を計測する処理を、「静電容量パラメータを計測する」と記載する場合もある。
後述するように、静電容量計測装置101は、例えば、検出電極112が所定の位置に設置された状態で、電源104により所定の基準電圧点に対して所定の電位を有し、検出対象ではない物体103が検出電極112の近くに存在する場合に、検出電極112に電荷を蓄積させることによって検出電極112の基準電圧点に対する電位を変化させて、検出電極112と物体103の電位が等しくなったときに静電容量を計測する。これにより、物体103の有する電位の影響を除去して、検出対象となる物体102と検出電極112との間の静電容量を正確に計測することができる。
なお、基準電圧点は、静電容量計測装置101の使用用途などに応じて任意に設定することができ、例えば、アース、車両のボディアース等に設定される。
静電容量計測装置101は、マイクロコンピュータ111、検出電極112、抵抗R1、コンデンサC1、C2、および、接続端子T1を含むように構成される。また、マイクロコンピュータ111は、ポートP1乃至P4を備えている。
コンデンサC1は、ポートP1とポートP2の間に接続されている。抵抗R1は、ポートP2とポートP3の間に接続されている。コンデンサC2は、ポートP3とポートP4の間に接続されている。接続端子T1は、ポートP4に接続されている。検出電極112は、接続端子T1に着脱自在である。なお、検出電極112を、接続端子T1ではなく、ポートP4に直接接続するようにしてもよい。
また、コンデンサC1およびコンデンサC2の静電容量は、検出電極112と周囲の空間との間の静電容量より十分大きい値になるように設定されている。
図2は、マイクロコンピュータ111の構成例を詳細に示す図である。マイクロコンピュータ111は、電圧計測部121,122、パラメータ計測部123、演算処理部124、出力部125、電荷供給部126−1,126−2、および、SW(スイッチ)1乃至6を含むように構成される。
SW1の一端は、ポートP1に接続され、SW1の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW2の一端は、ポートP4に接続され、SW2の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW3の一端は電荷供給部126−1に接続され、SW3の他の一端は、ポートP2に接続されている。SW4の一端は、ポートP2に接続され、SW4の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW5の一端は電荷供給部126−2に接続され、SW5の他の一端は、ポートP3およびSW6の一端に接続されている。SW6の他の一端は、グラウンドに接続されている。なお、グラウンドは外部の基準電圧点に接続され、その結果、マイクロコンピュータ111の動作の基準電圧が基準電圧点に設定される。
電圧計測部121は、入力端子がポートP2に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
電圧計測部122は、入力端子がポートP3に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
例えば、電圧計測部121、122は、図3に示されるように、比較器141により構成される。比較器141は、入力端子に入力された電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値電圧Vrefと比較し、その結果を出力する。
なお、比較器141として、マイクロコンピュータ111のデジタル信号入力端子を用いることが可能である。すなわち、デジタル信号入力端子は、入力信号の電圧が所定の閾値以上であるか否かに基づいて、入力信号がハイレベルかローレベルかを識別しているため、その機能を利用することが可能である。また、例えば、入出力用にマイクロコンピュータ111の2ビット分の端子を用いて、抵抗分圧して電圧を入力することで、閾値電圧Vrefを任意の値に設定することが可能である。
パラメータ計測部123は、SW1乃至SW6の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部123は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータに基づいて、他の静電容量パラメータ、例えば、静電容量の演算を行う。演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータ、および、演算した静電容量パラメータを出力部125に供給する。
出力部125は、静電容量パラメータを外部に出力する。
なお、以下、コンデンサC1の静電容量をC1、電圧をVc1、蓄積電荷量をQc1で表す。また、コンデンサC2の静電容量をC2、電圧をVc2、蓄積電荷量をQc2で表す。さらに、検出電極112と周囲の空間との間の静電容量をCxで表し、検出電極112の電圧をVx、蓄積電荷量をQxで表す。また、抵抗R1の抵抗値をR1で表す。さらに、以下、コンデンサC1のポートP2側の電極を正極と称し、ポートP1側の電極を負極と称する。また、以下、コンデンサC2のポートP3側の電極を正極と称し、ポートP4側の電極を負極と称する。
また、以下、電荷供給部126−1,126−2を、定電圧電源である電源Vccにより構成する例を示す。それに伴い、明細書および図面において、電荷供給部126−1,126−2の代わりに、電源Vccを示す。また、以下、電源Vccの電圧をVccで表す。
さらに、以下、抵抗R1、コンデンサC1およびポートP2の間のA点の電圧(基準電圧点を基準とするA点の電位)をVaで表す。なお、電圧Vaは、電圧計測部121に入力される電圧とほぼ等しくなる。また、抵抗R1、コンデンサC2およびポートP3の間のB点の電圧(基準電圧点を基準とするB点の電位)をVbで表す。なお、電圧Vbは、電圧計測部122に入力される電圧とほぼ等しくなる。さらに、コンデンサC2、接続端子T1およびポートP4の間のC点の電圧(基準電圧点を基準とするC点の電位)をVcで表す。
[静電容量計測装置101の処理]
次に、図4乃至図16を参照して、静電容量計測装置101の処理について説明する。
まず、図4乃至図6を参照して、静電容量計測装置101により実行される計測処理について説明する。なお、図4は、計測処理を説明するためのフローチャートである。図5は、計測処理中のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1、コンデンサC2の電荷蓄積量Qc2、および、検出電極112の蓄積電荷量Qxの推移を示す図である。図6は、A点の電圧Va、B点の電圧Vb、および、C点の電圧Vcの推移を示すグラフである。なお、図6の横軸は時間を示し、縦軸は電圧(基準電圧点に対する電位)を示している。
ステップS1において、静電容量計測装置101は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図7および図8を参照して、ステップS1の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図7は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図8は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS21において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオンする。これにより、コンデンサC1の正極からSW4を介してグラウンドに矢印A1の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW6を介してグラウンドに矢印A2の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A3の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS22において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、コンデンサC2および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS23において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
これにより、図5Aに示されるように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2、および、検出電極112の蓄積電荷量Qxは、ほぼ0になる。また、全電荷放電終了時の時刻をt0とすると、図6に示されるように、時刻t0において、A点の電圧Va、B点の電圧Vb、および、C点の電圧Vcは、基準電圧点とほぼ等しくなる。
図4に戻り、ステップS2において、静電容量計測装置101は、C2充電処理を実行する。
ここで、図9および図10を参照して、ステップS2のC2充電処理の詳細について説明する。なお、図9は、C2充電処理を説明するためのフローチャートであり、図10は、C2充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS41において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオンする。これにより、電源VccからSW3および抵抗R1を介してコンデンサC2の正極に矢印A4の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW2を介してグラウンドに矢印A5の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。
ステップS41の処理の開始時刻をt1とすると、図6に示されるように、時刻t1において、A点の電圧Vaは電圧Vccとほぼ等しくなり、B点の電圧Vbは、時刻t1以降、コンデンサC2の充電が進むにつれて、徐々に上昇する。
ステップS42において、電圧計測部122は、コンデンサC2の電圧Vc2(より正確には、コンデンサC2の正極と基準電圧点との間の電圧)を計測する。そして、電圧計測部122は、計測した電圧Vc2を所定の閾値、すなわち閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS43において、パラメータ計測部123は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値(=閾値電圧Vref)以上であるか否かを判定する。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS42に戻る。その後、ステップS43において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定されるまで、ステップS42およびS43の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上に達するまで、コンデンサC2が充電される。
一方、ステップS43において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS44に進む。
ステップS44において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオフする。これにより、コンデンサC2の充電が停止する。その後、C2充電処理は終了する。
これにより、図5Bに示されるように、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2は、約Qref(=C2×Vref)となり、コンデンサC1および検出電極112の蓄積電荷量はほぼ0のままとなる。また、C2充電処理が終了した時刻をt2とすると、図6に示されるように、時刻t2において、A点の電圧VaおよびC点の電圧Vcは基準電圧点の電圧とほぼ等しくなり、B点の電圧Vbは閾値電圧Vrefとほぼ等しくなる。
図4に戻り、ステップS3において、静電容量計測装置101は、検出電極充電処理を実行する。
ここで、図11および図12を参照して、ステップS3の検出電極充電処理の詳細について説明する。なお、図11は、検出電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図12は、検出電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS61において、パラメータ計測部123は、SW5をオンする。これにより、B点の電圧Vbは電圧Vccとほぼ等しくなり、コンデンサC2と検出電極112からなる直列回路の両端には電圧Vccとほぼ等しい電圧が印加される。そして、電源VccからSW5を介してコンデンサC2の正極に矢印A6の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A7の方向にほぼ同じ量の正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。このとき、矢印A6の方向に移動する電荷量と矢印A7の方向に移動する電荷量はほぼ等しいため、コンデンサC2と検出電極112の電荷の増加量はほぼ等しくなる。
ステップS62において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS63において、パラメータ計測部123は、SW5をオフする。これにより、コンデンサC2および検出電極112の充電が停止する。その後、検出電極充電処理は終了する。
この検出電極充電処理が終了した時点のコンデンサC2の電圧Vc2および検出電極112の電圧Vxは、検出電極充電処理の前に予めコンデンサC2に電荷量Qref(=C2×Vref)の電荷が蓄積されているため、次式(1)および(2)となる。
ここで、コンデンサC2の静電容量C2≫検出電極112の静電容量Cxに設定されているため、Cx/(C2+Cx)≒0、C2/(C2+Cx)≒1となる。これを式(1)および(2)に適用すると、コンデンサC2の電圧Vc2≒Vref、検出電極112の電圧Vx≒Vcc−Vrefとなる。そして、閾値電圧Vrefを適切な値に設定することにより、検出電極112の充電時の電圧Vxを物体103の電圧とほぼ等しい値に設定することができる。従って、閾値電圧Vrefは、電源Vccの電圧Vccから、物体103の基準電圧点に対する電圧(=電源104の電圧)を引いた値に設定される。
そして、検出電極112の充電時の電圧Vxを物体103の電圧とほぼ等しい値に設定することにより、検出電極112と物体103との間の静電容量によって蓄積される電荷がほぼ0の状態で、検出電極112に電荷が蓄積される。換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷が、検出電極112に蓄積される。すなわち、物体103の電位の影響をほとんど受けずに、検出電極112に電荷が蓄積される。
また、検出電極充電処理によるコンデンサC2の電荷の増加量をΔQとすると、ΔQは、検出電極充電処理の終了時の検出電極112の蓄積電荷量とほぼ等しくなる。従って、コンデンサC2の電荷増加量ΔQも、物体103の影響をほとんど受けない値となる。
そして、図5Cに示されるように、検出電極充電処理が終了した時点で、コンデンサC2の蓄積電荷量Qc2=Qref+ΔQとなり、検出電極112の蓄積電荷量Qx=ΔQとなる。なお、電荷増加量ΔQは、次式(3)により表される。
図4に戻り、ステップS4において、静電容量計測装置101は、電荷転送処理を実行する。
ここで、図13および図14を参照して、ステップS4の電荷転送処理の詳細について説明する。なお、図13は、電荷転送処理を説明するためのフローチャートであり、図14は、電荷転送処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS81において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2をオンする。これにより、コンデンサC2から抵抗R1を介してコンデンサC1に矢印A8の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が開始される。また、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A9の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS82において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測され、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値(=閾値電圧Vref)以下であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS82に戻る。その後、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定されるまで、ステップS82およびS83の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下になるまで、コンデンサC2からコンデンサC1に電荷が転送される。
一方、ステップS83において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS84に進む。
ステップS84において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2をオフする。これにより、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が停止する。その後、電荷転送処理は終了する。
この電荷転送処理により、図5Dに示されるように、ステップS3の検出電極充電処理によるコンデンサC2の電荷の増加量ΔQとほぼ等しい量の電荷が、コンデンサC2からコンデンサC1へ転送される。従って、この時点のコンデンサC1の電圧Vc1は、次式(4)により求められる。
上述したように、コンデンサC2の電荷の増加量ΔQは、物体103の影響をほとんど受けないため、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1も物体103の影響をほとんど受けない。
図4に戻り、ステップS5において、パラメータ計測部123は、ステップS3乃至S5の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS3に戻り、ステップS5において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS3乃至S5の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS5において、ステップS3乃至S5の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS6に進む。
なお、ステップS3乃至S5の処理をn回繰り返したとすると、図5Eに示されるように、コンデンサC1には、n×ΔQの量の電荷が蓄積される。また、ステップS3乃至S5の処理をn回繰り返した後のコンデンサC1の電圧Vc1(n)は、次式(5)により示される値となる。
従って、図6に示されるように、ステップS3乃至S5の処理を繰り返している期間(図中、時刻t2と時刻t3の間の期間)において、コンデンサC1の充電が進むにつれて、A点の電圧Vaは徐々に上昇していく。なお、時刻t2と時刻t3の間の期間において、A点の電圧Vaは、検出電極112の放電時に、式(5)の値とほぼ等しくなり、検出電極112の充電時に、電圧Vccとほぼ等しくなる。また、A点の電圧Vaは、電圧Vccを超えることはない。
また、B点の電圧Vbは、検出電極112の放電時に基準電圧Vrefとほぼ等しくなり、検出電極112の充電時に電圧Vccとほぼ等しくなる。
さらに、C点の電圧Vcは、検出電極112の放電時に基準電圧点の電圧とほぼ等しくなり、検出電極112の充電時にVcc−Vrefとほぼ等しくなる。
ステップS6において、静電容量計測装置101は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図15および図16を参照して、ステップS6のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図15は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図16は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS101において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW5および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A10の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の負極からSW1を介してグラウンドに矢印A11の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。
従って、パラメータ計測処理の開始時刻をt3とすると、図6に示されるように、時刻t3において、B点の電圧Vbは電圧Vccとほぼ等しくなり、A点の電圧Vaは、時刻t3以降、徐々に上昇していく。
ステップS102において、パラメータ計測部123は、時間計測を開始する。
ステップS103において、電圧計測部121は、コンデンサC1の電圧Vc1(より正確には、コンデンサC1の正極と基準電圧点との間の電圧)を計測する。そして、電圧計測部121は、計測した電圧Vc1を所定の閾値、すなわち閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS104において、パラメータ計測部123は、電圧計測部121による計測結果に基づいて、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS103に戻る。その後、ステップS104において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS103およびS104の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS104において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS105に進む。
ステップS105において、パラメータ計測部123は、時間計測を終了する。これにより、コンデンサC1の電圧Vc1が、上述した式(5)に示される電圧から閾値電圧Vrefに達するまでの充電時間tが計測される。パラメータ計測部123は、計測した充電時間tを演算処理部124に供給する。
なお、ステップS4の電荷転送処理をn回行った後のコンデンサC1の電圧Vc1(n)と充電時間tとの関係は、次式(6)により表される。
なお、検出電極112の静電容量Cxが大きく、蓄積電荷量ΔQの値が大きくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が大きくなるため、充電時間tは短くなる。逆に、検出電極112の静電容量Cxが小さくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が小さくなるため、充電時間tは長くなる。
また、上述したように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1は、物体103の影響をほとんど受けないため、充電時間tも物体103の影響をほとんど受けない。すなわち、充電時間tは、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを反映した値となる。
ステップS106において、パラメータ計測部123は、SW1、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が停止する。その後、パラメータ計測処理は終了する。
なお、パラメータ計測処理の終了時の時刻をt4とすると、図6に示されるように、時刻t4において、A点の電圧Vaは閾値電圧Vrefとほぼ等しくなり、B点の電圧Vbは電圧Vccとほぼ等しくなる。また、コンデンサC1の静電容量C1とコンデンサC2の静電容量C2が等しい場合、図5Fに示されるように、コンデンサC1およびコンデンサC2の蓄積電荷量はともに約Qrefとなる。
なお、コンデンサC1とコンデンサC2の静電容量は必ずしも合わせる必要はない。
図4に戻り、ステップS7において、演算処理部124は、演算処理を行う。例えば、演算処理部124は、充電時間tを用いて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。具体的には、上述した式(6)に、式(5)を代入し、静電容量Cxについて解くと、次式(7)となる。
演算処理部124は、式(7)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。これにより、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電時間tを出力部125に供給する。
ステップS8において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電時間tの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
なお、以上では、静電容量の計測処理を1回行う場合について説明したが、繰り返し計測処理を行うようにすることも可能である。計測処理を繰り返し行う場合には、図4に破線で示されるように、ステップS8の処理が終了した後に、ステップS1に戻るようにすればよい。なお、この場合、図15のステップS105において、SW5のみをオフするようにする必要がある。
これにより、ステップS8の処理が終了した後、ステップS1において、図7の全電荷放電処理が実行され、コンデンサC1,C2と検出電極112に蓄積された電荷が放電される。このときの時刻をt5とすると、図6に示されるように、時刻t5において、A点の電圧VaおよびB点の電圧Vbとも、基準電圧点の電圧とほぼ等しくなる。そして、続けて、図4のステップS2以降の処理を行なうことで、繰り返し静電容量パラメータの計測を行なうことが可能となる。
以上のようにして、基準電圧点と異なる電圧の物体103の影響を除去して、検出電極112とその周囲の空間との間の静電容量を計測することができる。
例えば、自動車の車内で周囲の空間の静電容量を計測する場合、他の電子回路や他のセンサの検出部など、基準となるボディアースと電位差をもつ物体が、検出電極の周囲に存在することが多い。しかし、静電容量計測装置101を用いれば、検出電極112の周囲にボディアースに対して電位差を持つ物体が存在する場合でも、その物体の影響を受けずに静電容量を計測することができる。
また、図6に示されるように、C点の電圧Vc(≒検出電極112の電圧Vx)は、ほとんどの時間で基準電圧点に落ちているため、静電容量の計測において、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
さらに、図6に示されるように、A点の電圧VaおよびB点の電圧Vbが電源Vccの電圧を超える場合がなく、電圧計測部121および電圧計測部122に電源Vccの電圧を超える電圧が印加されることがない。従って、電圧計測部121を構成する素子等の故障や劣化の発生を抑制することができる。
なお、静電容量パラメータは、以上の例に限定されるものではなく、検出電極112の静電容量Cx(1回の充電で蓄積される検出電極112の蓄積電荷量ΔQ)に応じて変化する他の種類のパラメータを計測するようにしてもよい。ここで、図17および図18を参照して、静電容量パラメータの他の例について説明する。
[静電容量パラメータの第1の変形例]
まず、図17を参照して、静電容量パラメータの第1の変形例について説明する。図17は、静電容量パラメータの第1の変形例に対応する計測処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS121において、図4のステップS1の処理と同様に、全電荷放電処理が実行される。
ステップS122において、図4のステップS2の処理と同様に、C2充電処理が実行される。
ステップS123において、図4のステップS3の処理と同様に、検出電極充電処理が実行される。
ステップS124において、図4のステップS4の処理と同様に、電荷転送処理が実行される。
ステップS125において、図15のステップS103の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が計測される。
ステップS126において、パラメータ計測部123は、コンデンサC1の充電回数をインクリメントする。
ステップS127において、図15のステップS104の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS123に戻る。その後、ステップS127において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS123乃至S127の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS127において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS128に進む。
ステップS128において、演算処理部124は、演算処理を行う。具体的には、パラメータ計測部123は、カウントした充電回数nを演算処理部124に供給する。演算処理部124は、充電回数nに基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。なお、コンデンサVc1が閾値電圧Vref以上になったときの充電回数をnとすると、上述した式(5)の左辺にVc1(n)=Vrefを代入することにより、検出電極112の静電容量Cxを算出することができる。演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電回数nを出力部125に供給する。
ステップS129において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電回数nの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
なお、充電回数nの代わりに、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上になるまでの充電時間を静電容量パラメータとして計測するようにしてもよい。
[静電容量パラメータの第2の変形例]
次に、図18を参照して、静電容量パラメータの第2の変形例について説明する。
この第2の変形例の場合、電圧計測部121、122は、例えば、A/D変換器により構成される。すなわち、電圧計測部121、122は、入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換して出力する。
また、この場合、図4のステップS6のパラメータ計測処理は、図18のフローチャートに従って実行される。
すなわち、ステップS161において、パラメータ計測部123は、SW1をオンする。
ステップS162において、電圧計測部122は、コンデンサC1の電圧Vc1を計測し、計測結果をパラメータ計測部123に供給する。この場合、コンデンサC1の電圧Vc1と閾値電圧Vrefの比較結果ではなく、電圧Vc1の実測値がパラメータ計測部123に供給される。パラメータ計測部123は、取得した電圧Vc1の実測値を静電容量パラメータに設定する。
そして、電圧Vc1が分かれば、上述した式(5)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、図19乃至図30を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、低コスト化を実現できるようにするものである。
[静電容量計測装置201の構成例]
図19は、本発明の第2の実施の形態である静電容量計測装置201の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置201は、図2の静電容量計測装置101と比較して、抵抗R2が追加され、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ211が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ211は、マイクロコンピュータ111と比較して、パラメータ計測部123の代わりにパラメータ計測部221が設けられ、電圧計測部122、SW5、SW6、ポートP3が削除されている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置201では、静電容量計測装置101と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1の一端は抵抗R2の一端に接続され、抵抗R1の他の一端はコンデンサC2の一端に接続されている。抵抗R2の他の一端は、ポートP2に接続されている。コンデンサC1の一端は、抵抗R1と抵抗R2の間に接続され、コンデンサC1の他の一端はポートP1に接続されている。コンデンサC2の抵抗R1に接続されている一端と異なる一端は、ポートP4および接続端子T1に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置101と同様である。
パラメータ計測部221は、SW1乃至SW4の開閉を制御するとともに、電圧計測部121の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部221は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
[静電容量計測装置201の処理]
次に、図20乃至図30を参照して、静電容量計測装置201の処理について説明する。
まず、図20のフローチャートを参照して、静電容量計測装置201により実行される計測処理について説明する。
ステップS201において、静電容量計測装置201は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図21および図22を参照して、ステップS201の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図21は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図22は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS221において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2、SW4をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R2およびSW4を介してグラウンドに矢印A21の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極から抵抗R1、抵抗R2およびSW4を介してグラウンドに矢印A22および矢印A21の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A23の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS222において、パラメータ計測部221は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、コンデンサC2および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS223において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2、SW4をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図20に戻り、ステップS202において、静電容量計測装置201は、C2充電処理を実行する。
ここで、図23および図24を参照して、ステップS202のC2充電処理の詳細について説明する。なお、図23は、C2充電処理を説明するためのフローチャートであり、図24は、C2充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS241において、パラメータ計測部221は、SW2、SW3をオンする。これにより、電源VccからSW3、抵抗R2および抵抗R1を介してコンデンサC2の正極に矢印A24の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW2を介してグラウンドに矢印A25の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。
ステップS242において、パラメータ計測部221は、所定の時間経過後、SW3をオフする。これにより、コンデンサC2の充電が停止する。
ステップS243において、電圧計測部121は、コンデンサC2の電圧Vc2を計測する。そして、電圧計測部121は、計測した電圧Vc2を閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部221に供給する。
ステップS244において、図9のステップS43の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS245に進む。
ステップS245において、パラメータ計測部221は、SW3をオンする。これにより、コンデンサC2の充電が再開する。
その後、処理はステップS242に戻り、ステップS244において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定されるまで、ステップS242乃至S245の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上に達するまで、コンデンサC2が充電される。
一方、ステップS244において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS246に進む。
ステップS246において、パラメータ計測部221は、SW2をオフする。その後、C2充電処理は終了する。
図20に戻り、ステップS203において、静電容量計測装置201は、検出電極充電処理を実行する。
ここで、図25および図26を参照して、ステップS203の検出電極充電処理の詳細について説明する。なお、図25は、検出電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図26は、検出電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS261において、パラメータ計測部221は、SW3をオンする。これにより、電源VccからSW3、抵抗R2および抵抗R1を介してコンデンサC2の正極に矢印A26の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A27の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。
ステップS262において、パラメータ計測部221は、所定の時間、すなわち、検出電極112が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS263において、パラメータ計測部221は、SW3をオフする。これにより、コンデンサC2および検出電極112の充電が停止する。その後、検出電極充電処理は終了する。
図20に戻り、ステップS204において、静電容量計測装置201は、電荷転送処理を実行する。
ここで、図27および図28を参照して、ステップS204の電荷転送処理の詳細について説明する。なお、図27は、電荷転送処理を説明するためのフローチャートであり、図28は、電荷転送処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS281において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2をオンする。これにより、コンデンサC2から抵抗R2を介してコンデンサC2に矢印A28の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が開始される。また、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A29の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS282において、図23のステップS243の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測される。
ステップS283において、図13のステップS83の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS282に戻る。その後、ステップS283において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定されるまで、ステップS282およびS283の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下になるまで、コンデンサC2からコンデンサC1に電荷が転送される。
一方、ステップS283において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS284に進む。
ステップS284において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2をオフする。これにより、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が終了する。その後、電荷転送処理は終了する。
図20に戻り、ステップS205において、パラメータ計測部221は、ステップS203乃至S205の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS203に戻り、ステップS205において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS203乃至S205の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS205において、ステップS203乃至S205の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS206に進む。
ステップS206において、静電容量計測装置201は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図29および図30を参照して、ステップS206のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図29は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図30は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS301において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2、SW3をオンする。これにより、電源VccからSW3および抵抗R2を介してコンデンサC1の正極に矢印A30の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。
ステップS302において、パラメータ計測部221は、時間計測を開始する。
ステップS303において、パラメータ計測部221は、所定の時間経過後、SW3をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が停止する。
ステップS304において、図15のステップS103の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が計測される。
ステップS305において、図15のステップS104の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS306に進む。
ステップS306において、パラメータ計測部221は、SW3をオンする。これにより、コンデンサC1の充電が再開する。
その後、処理はステップS303に戻り、ステップS305において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS303乃至S306の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS305において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS307に進む。
ステップS307において、図15のステップS105の処理と同様に、時間計測が終了する。
以上のステップS302乃至S307の処理により、図15のステップS102乃至S105の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が、上述した式(5)に示される電圧から閾値電圧Vrefに達するまでの充電時間tが計測される。
ステップS306において、パラメータ計測部221は、SW1、SW2をオフする。その後、パラメータ計測処理は終了する。
図20に戻り、ステップS207において、図4のステップS7の処理と同様に、演算処理が行われ、ステップS208において、図4のステップS8の処理と同様に、計測結果が出力される。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、静電容量計測装置201は、静電容量計測装置101と同様に、基準電圧点と異なる電圧の物体103の影響を除去して、検出電極112とその周囲の空間との間の静電容量を計測することができる。また、静電容量計測装置201は、静電容量計測装置101と比較して、電圧計測部122、SW5、および、SW6を削減することができ、低コスト化を実現することができる。
なお、計測時間については、抵抗R2が追加されている分、電荷の流れが遅くなるため、静電容量計測装置201の方が、静電容量計測装置101より遅くなる。
[第2の実施の形態の変形例]
図31は、本発明の第2の実施の形態の変形例である静電容量計測装置251の構成例を示す図である。静電容量計測装置251は、図19の静電容量計測装置201から、抵抗R2を削除したものである。
なお、この構成を採用した場合、電圧計測部121に、A/D変換器のように入力電圧の実測値を計測できるものを採用するか、あるいは、図17を参照して上述した方法で計測処理を行うようにする必要がある。
<3.第3の実施の形態>
次に、図32乃至図43を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態と比較して、低コスト化を実現できるようにするものである。
[静電容量計測装置301の構成例]
図32は、本発明の第3の実施の形態である静電容量計測装置301の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置301は、図1の静電容量計測装置101と比較して、抵抗R2が追加され、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ311が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ311は、マイクロコンピュータ111と比較して、パラメータ計測部123の代わりにパラメータ計測部321が設けられ、電圧計測部121、SW3、SW4、ポートP2が削除されている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置301では、静電容量計測装置101と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1の一端は抵抗R2の一端に接続され、抵抗R1の他の一端はコンデンサC1の一端に接続されている。抵抗R2の他の一端は、ポートP3に接続されている。コンデンサC1の抵抗R1に接続されている一端とは異なる一端は、ポートP1に接続されている。コンデンサC2の一端は、抵抗R1と抵抗R2の間に接続され、コンデンサC2の他の一端はポートP4および接続端子T1に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置101と同様である。
パラメータ計測部321は、SW1、SW2、SW5、および、SW6の開閉を制御するとともに、電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部321は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
[静電容量計測装置301の処理]
次に、図33乃至図43を参照して、静電容量計測装置301の処理について説明する。
まず、図33のフローチャートを参照して、静電容量計測装置301により実行される計測処理について説明する。
ステップS401において、静電容量計測装置301は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図34および図35を参照して、ステップS401の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図34は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図35は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS421において、パラメータ計測部321は、SW1、SW2、SW6をオンする。これにより、コンデンサC2の正極から抵抗R2およびSW6を介してグラウンドに矢印A41の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。また、コンデンサC1の正極から抵抗R1、抵抗R2およびSW6を介してグラウンドに矢印A42および矢印A41の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A43の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS422において、パラメータ計測部321は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、コンデンサC2および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS423において、パラメータ計測部321は、SW1、SW2、SW6をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図33に戻り、ステップS402において、静電容量計測装置301は、C2充電処理を実行する。
ここで、図36および図37を参照して、ステップS402のC2充電処理の詳細について説明する。なお、図36は、C2充電処理を説明するためのフローチャートであり、図37は、C2充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS441において、パラメータ計測部321は、SW2、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW5、抵抗R2を介してコンデンサC2の正極に矢印A44の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW2を介してグラウンドに矢印A45の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。
ステップS442において、図9のステップS42の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測される。
ステップS443において、図9のステップS43の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS442に戻る。その後、ステップS443において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定されるまで、ステップS442およびS443の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上に達するまで、コンデンサC2が充電される。
一方、ステップS443において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS444に進む。
ステップS444において、パラメータ計測部321は、SW2、SW5をオフする。これにより、コンデンサC2の充電が停止する。その後、C2充電処理は終了する。
図33に戻り、ステップS403において、静電容量計測装置301は、検出電極充電処理を実行する。
ここで、図38および図39を参照して、ステップS403の検出電極充電処理の詳細について説明する。なお、図38は、検出電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図39は、検出電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS461において、パラメータ計測部321は、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW5および抵抗R2を介してコンデンサC2の正極に矢印A46の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A47の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。
ステップS462において、パラメータ計測部321は、所定の時間、すなわち、検出電極112が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS463において、パラメータ計測部321は、SW5をオフする。これにより、コンデンサC2および検出電極112の充電が停止する。その後、検出電極充電処理は終了する。
図33に戻り、ステップS404において、静電容量計測装置301は、電荷転送処理を実行する。
ここで、図40および図41を参照して、ステップS404の電荷転送処理の詳細について説明する。なお、図40は、電荷転送処理を説明するためのフローチャートであり、図41は、電荷転送処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS481において、パラメータ計測部321は、SW1、SW2をオンする。これにより、コンデンサC2から抵抗R1を介してコンデンサC1に矢印A48の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が開始される。また、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A49の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS482において、図13のステップS82の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が計測される。
ステップS483において、図13のステップS83の処理と同様に、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であるか否かが判定される。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS482に戻る。その後、ステップS483において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定されるまで、ステップS482およびS483の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下に達するまで、コンデンサC2からコンデンサC1に電荷が転送される。
一方、ステップS483において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS484に進む。
ステップS484において、パラメータ計測部321は、SW1、SW2をオフする。これにより、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が終了する。その後、電荷転送処理は終了する。
図33に戻り、ステップS405において、パラメータ計測部321は、ステップS403乃至S405の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS403に戻り、ステップS405において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS403乃至S405の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS405において、ステップS403乃至S405の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS406に進む。
ステップS406において、静電容量計測装置301は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図42および図43を参照して、ステップS406のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図42は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図43は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS501において、パラメータ計測部321は、SW1、SW5をオンする。これにより、電源VccからSW5および抵抗R2および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A50の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の負極からSW1を介してグラウンドに矢印A51の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。
ステップS502乃至S505において、図15のステップS102乃至S105と同様の処理が実行され、コンデンサC1の電圧Vc1が、上述した式(5)に示される電圧から閾値電圧Vrefに達するまでの充電時間tが計測される。
ステップS506において、パラメータ計測部321は、SW1、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が停止する。その後、パラメータ計測処理は終了する。
図33に戻り、ステップS407において、図4のステップS7の処理と同様に、演算処理が行われ、ステップS408において、図4のステップS8の処理と同様に、計測結果が出力される。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、静電容量計測装置301は、静電容量計測装置101と同様に、基準電圧点と異なる電圧の物体103の影響を除去して、検出電極112とその周囲の空間との間の静電容量を計測することができる。また、静電容量計測装置301は、静電容量計測装置101と比較して、電圧計測部121、SW3、および、SW4を削減することができ、低コスト化を実現することができる。
なお、計測時間については、抵抗R2が追加されている分、電荷の流れが遅くなるため、静電容量計測装置301の方が、静電容量計測装置101より遅くなる。
<4.第4の実施の形態>
次に、図44および図45を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、検出電極112の静電容量Cxの検出に方向性を持たせるようにするものである。
[静電容量計測装置の構成例]
図44は、本発明の第4の実施の形態である静電容量計測装置401の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置401は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ411が設けられ、シールド電極412および接続端子T2が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ411は、マイクロコンピュータ111と比較して、ポートP5が追加されている点が異なる。
ポートP5は、グラウンドに接続されるとともに、接続端子T2に接続されている。
シールド電極412は、電界の遮蔽に用いられる電極であり、接続端子T2に着脱自在である。また、シールド電極412は、接続端子T2に接続された状態において、接続端子T2およびポートP5を介してマイクロコンピュータ411のグラウンドに接続され、基準電圧点の電圧に保持される。なお、シールド電極412を、接続端子T2ではなく、ポートP5に直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、シールド電極412と周囲の空間との間の静電容量をCsで表し、シールド電極412の電圧をVs、蓄積電荷量をQsで表す。
図45は、シールド電極412の形状の一例を模式的に示す断面図である。この例において、シールド電極412は、検出電極112を覆うような箱形の形状をしている。
上述したように、シールド電極412は、基準電圧点の電圧に保持されるため、シールド電極412側から物体が接近しても、検出電極112周辺の電界はほとんど変化しない。従って、静電容量の計測方向を限定することが可能である。例えば、図45の例の場合、静電容量の計測方向を紙面の上方向に限定することが可能である。また、例えば、図44に示されるように、検出電極112と物体103の間にシールド電極412を配置することにより、物体103の影響をより小さくして、静電容量を計測することが可能になる。
なお、以上の説明では、シールド電極412をグラウンドに接続する例を示したが、グラウンド以外の電圧保持手段に接続して、シールド電極412の電圧がほぼ一定になるようにするようにしてもよい。
<5.第5の実施の形態>
次に、図46乃至図55を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態は、第4の実施の形態と比較して、検出電極112とシールド電極412が同じ電圧になるように制御するようにしたものである。
[静電容量計測装置401の構成例]
図46は、本発明の第5の実施の形態である静電容量計測装置501の構成例を示す図である。なお、図中、図44と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置501は、図44の静電容量計測装置401と比較して、マイクロコンピュータ411の代わりマイクロコンピュータ511が設けられ、コンデンサC3、抵抗R3が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ511は、マイクロコンピュータ411と比較して、電圧計測部521、同電位制御部522、SW7乃至SW9、および、ポートP6が追加されている点が異なる。
抵抗R3の一端はポートP5に接続され、抵抗R3の他の一端はコンデンサC3の一端に接続されている。コンデンサC3の他の一端は接続端子T2およびポートP6に接続されている。SW7の一端はポートP6に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。SW8の一端は電源Vccに接続され、SW8の他の一端はポートP5に接続されている。SW9の一端はポートP5に接続され、SW9の他の一端はグラウンドに接続されている。
また、コンデンサC3の静電容量は、シールド電極412と周囲の空間との間の静電容量Csより十分大きい値になるように設定されている。
なお、以下、コンデンサC3の静電容量をC3、電圧をVc3、蓄積電荷量をQc3で表す。
また、以下、コンデンサC3の抵抗R3側の電極を正極と称し、接続端子T2側の電極を負極と称する。
電圧計測部521は、入力端子がポートP5に接続されている。電圧計測部521は、電圧計測部121、122と同様に、入力端子に入力される電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値(閾値電圧Vref)と比較し、比較した結果を同電位制御部522に供給する。
同電位制御部522は、電圧計測部521の計測結果に基づいて、SW7乃至SW9の開閉を制御して、検出電極112とシールド電極412の電圧が同じになるように調整する。
[静電容量計測装置501の処理]
次に、図47至図55を参照して、静電容量計測装置501の処理について説明する。
まず、図47のフローチャートを参照して、静電容量計測装置501により実行される計測処理について説明する。
ステップS601において、静電容量計測装置501は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図48および図49を参照して、ステップS601の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図48は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図49は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS621において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオンし、同電位制御部522は、SW7、SW9をオンする。これにより、コンデンサC1からSW4を介してグラウンドに矢印A61の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW6を介してグラウンドに矢印A62の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A63の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。
また、コンデンサC3の正極から抵抗R3およびSW9を介してグラウンドに矢印A64の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。さらに、シールド電極412からSW7を介してグラウンドに矢印A65の方向に正電荷が移動し、シールド電極412の放電が開始される。
ステップS622において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、および、シールド電極412の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS623において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオフし、同電位制御部522は、SW7、SW9をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図47に戻り、ステップS602において、静電容量計測装置501は、C2、C3充電処理を実行する。
ここで、図50および図51を参照して、ステップS602のC2、C3充電処理の詳細について説明する。なお、図50は、C2、C3充電処理を説明するためのフローチャートであり、図51は、C2、C3充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS641において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオンし、同電位制御部522は、SW7、SW8をオンする。これにより、電源VccからSW3および抵抗R1を介してコンデンサC2の正極に矢印A66の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の負極からSW2を介してグラウンドに矢印A67の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、電源VccからSW8および抵抗R3を介してコンデンサC3の正極に矢印A68の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の負極からSW7を介してグラウンドに矢印A69の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。
ステップS642において、パラメータ計測部123は、SW3がオンであるか否かを判定する。SW3がオンであると判定された場合、処理はステップS643に進む。
ステップS643において、電圧計測部122および電圧計測部521は、コンデンサC2、コンデンサC3の電圧を計測する。具体的には、電圧計測部122は、コンデンサC2の電圧Vc2を計測し、計測した電圧Vc2を閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS644において、パラメータ計測部123は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS645に進む。
ステップS645において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオフする。これにより、コンデンサC2の充電が停止する。その後、処理はステップS646に進む。
一方、ステップS644において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値未満であると判定された場合、ステップS645の処理はスキップされ、処理はステップS646に進む。
また、ステップS642において、SW3がオフであると判定された場合、ステップS643乃至S645の処理はスキップされ、処理はステップS646に進む。
ステップS646において、同電位制御部522は、SW8がオンであるか否かを判定する。SW8がオンであると判定された場合、処理はステップS647に進む。
ステップS647において、電圧計測部521は、コンデンサC3の電圧を計測する。具体的には、電圧計測部521は、コンデンサC3の電圧Vc3を計測し、計測した電圧Vc3を閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果を同電位制御部522に供給する。
ステップS648において、同電位制御部522は、電圧計測部521による計測結果に基づいて、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC3の電圧Vc3が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS649に進む。
ステップS649において、同電位制御部522は、SW7、SW8をオフする。これにより、コンデンサC3の充電が停止する。その後、処理はステップS650に進む。
一方、ステップS648において、コンデンサC3の電圧Vc3が閾値未満であると判定された場合、ステップS649の処理はスキップされ、処理はステップS650に進む。
また、ステップS646において、SW8がオフであると判定された場合、ステップS647乃至S649の処理はスキップされ、処理はステップS650に進む。
ステップS650において、パラメータ計測部123は、SW3、SW8が両方オフであるか否かを判定する。SW3、SW8の少なくとも一方がオンであると判定された場合、処理はステップS642に戻る。その後、ステップS650において、SW3、SW8が両方オフであると判定されるまで、ステップS642乃至S650の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS650において、SW3、SW8が両方オフであると判定された場合、C2、C3充電処理は終了する。
このようにして、コンデンサC2、C3が、ほぼ同じ電圧(閾値電圧Vref)になるまで充電される。
図47に戻り、ステップS603において、静電容量計測装置501は、検出電極、シールド電極充電処理を実行する。
ここで、図52および図53を参照して、ステップS603の検出電極、シールド電極充電処理の詳細について説明する。なお、図52は、検出電極、シールド電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図53は、検出電極、シールド電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS661において、パラメータ計測部123は、SW5をオンし、同電位制御部522は、SW8をオンする。これにより、電源VccからSW5を介してコンデンサC2の正極に矢印A70の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A71の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。さらに、電源VccからSW8および抵抗R3を介してコンデンサC3の正極に矢印A72の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。また、コンデンサC3の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC3の負極からシールド電極412に矢印A73の方向に正電荷が移動し、シールド電極412の充電が開始される。
ステップS662において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112およびシールド電極412が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS663において、パラメータ計測部123および同電位制御部522は、SW5をオフし、同電位制御部522は、SW8をオフする。これにより、コンデンサC2、コンデンサC3、検出電極112およびシールド電極412の充電が停止する。その後、検出電極、シールド電極充電処理は終了する。
ここで、コンデンサC3の静電容量C3≫シールド電極412の静電容量Csなので、充電後のシールド電極412の電圧は、電源Vccの電圧Vcc−基準電圧Vrefとほぼ等しくなる。よって、充電後のシールド電極412の電圧は、充電後の検出電極112の電圧とほぼ等しくなる。
従って、検出電極112、シールド電極412および物体103の電圧がほぼ等しく、検出電極112と物体103およびシールド電極412との間の静電容量によって蓄積される電荷がほぼ0の状態で、検出電極112に電荷が蓄積される。換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103およびシールド電極412との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷が、検出電極112に蓄積される。
従って、1回あたりの検出電極112の充電量ΔQ(=1回あたりのコンデンサC1の充電量)は、物体103およびシールド電極412の影響をほぼ除いた値となる。そのため、検出電極112およびシールド電極412の形状、比誘電率、温度等が変化しても、その影響をほとんど受けることなく、静電容量を計測することが可能になる。
図47に戻り、ステップS604において、静電容量計測装置501は、電荷転送処理を実行する。
ここで、図54および図55を参照して、ステップS604の電荷転送処理の詳細について説明する。なお、図54は、電荷転送処理を説明するためのフローチャートであり、図55は、電荷転送処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS681において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2をオンし、同電位制御部522は、SW7、SW9をオンする。これにより、コンデンサC2から抵抗R1を介してコンデンサC1に矢印A74の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が開始される。また、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A75の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。さらに、コンデンサC3の正極から抵抗R3およびSW9を介してグラウンドに矢印A76の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。また、シールド電極412からSW7を介してグラウンドに矢印A77の方向に正電荷が移動し、シールド電極412の放電が開始される。
ステップS682において、図50のステップS642の処理と同様に、コンデンサC2、コンデンサC3の電圧が計測される。
ステップS683において、パラメータ計測部123は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であるか否かを判定する。コンデンサC2の電圧Vc2が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS682に戻る。その後、ステップS683において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定されるまで、ステップS682およびS683の処理が繰返し実行される。これにより、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下に達するまで、コンデンサC2からコンデンサC1に電荷が転送される。
一方、ステップS683において、コンデンサC2の電圧Vc2が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS684に進む。
ステップS684において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2をオフする。これにより、コンデンサC2からコンデンサC1への電荷の転送が停止する。
ステップS685において、同電位制御部522は、電圧計測部521の計測結果に基づいて、コンデンサC3の電圧が閾値以下であるか否かを判定する。コンデンサC3の電圧が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS682に戻る。その後、ステップS685において、コンデンサC3の電圧が閾値以下であると判定されるまで、ステップS682乃至S685の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS685において、コンデンサC3の電圧が閾値以下であると判定された場合、処理はステップS686に進む。
ステップS686において、同電位制御部522は、SW7、SW9をオフする。これにより、シールド電極412の放電が停止する。その後、電荷転送処理は終了する。
図47に戻り、ステップS605において、パラメータ計測部123は、ステップS603乃至S605の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだステップS603乃至S605の処理を所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS603に戻る。その後、ステップS605において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS603乃至S605の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS605において、ステップS603乃至S605の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS606に進む。
ステップS606乃至S608の処理は、図4のステップS6乃至S8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、第4の実施の形態と比較して、さらに静電容量の計測精度を向上させることができる。
<6.第6の実施の形態>
次に、図56乃至図61を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態は、第5の実施の形態と比較して、計測時間を短縮できるようにするものである。
[静電容量計測装置601の構成例]
図56は、本発明の第6の実施の形態である静電容量計測装置601の構成例を示す図である。なお、図中、図46と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置601は、図46の静電容量計測装置501と比較して、マイクロコンピュータ511の代わりマイクロコンピュータ611が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ611は、マイクロコンピュータ511と比較して、SW10、SW11、および、ポートP7が追加され、同電位制御部522の代わりに、同電位制御部621が設けられている点が異なる。
また、静電容量計測装置601では、静電容量計測装置501と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R3の一端はポートP5に接続され、抵抗R3の他の一端は、ポートP7およびコンデンサC3の一端に接続されている。コンデンサC3の他の一端は接続端子T2およびポートP6に接続されている。SW10の一端は電源Vccに接続され、SW10の他の一端はポートP7に接続されている。SW11の一端はポートP7に接続され、SW11の他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部521の入力部はポートP7に接続されている。
同電位制御部621は、電圧計測部521の計測結果に基づいて、SW7乃至SW11の開閉を制御して、検出電極112とシールド電極412の電圧が同じになるように調整する。
[静電容量計測装置601の処理]
次に、図57乃至図61を参照して、静電容量計測装置601の処理について説明する。
まず、図57のフローチャートを参照して、静電容量計測装置601により実行される計測処理について説明する。
ステップS701において、静電容量計測装置601は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図58および図59を参照して、ステップS701の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図58は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図59は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS721において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオンし、同電位制御部621は、SW7、SW11をオンする。これにより、コンデンサC1からSW4を介してグラウンドに矢印A81の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC2の正極からSW6を介してグラウンドに矢印A82の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。さらに、検出電極112からSW2を介してグラウンドに矢印A83の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の放電が開始される。
また、コンデンサC3の正極からSW11を介してグラウンドに矢印A84の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の放電が開始される。このとき、静電容量計測装置501の場合(図49)と異なり、コンデンサC3の電荷は抵抗R3を介さずに放電されるため、放電時間を短縮することができる。また、シールド電極412からSW7を介してグラウンドに矢印A85の方向に正電荷が移動し、シールド電極412の放電が開始される。
ステップS722において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、および、シールド電極412の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS723において、パラメータ計測部123は、SW1、SW2、SW4、SW6をオフし、同電位制御部621は、SW7、SW11をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図57に戻り、ステップS702において、図47のステップS602の処理と同様に、C2、C3充電処理が実行される。
ステップS703において、静電容量計測装置601は、検出電極、シールド電極充電処理を実行する。
ここで、図60および図61を参照して、ステップS703の検出電極、シールド電極充電処理の詳細について説明する。なお、図60は、検出電極、シールド電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図61は、検出電極、シールド電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS761において、パラメータ計測部123は、SW5をオンし、同電位制御部621は、SW10をオンする。これにより、電源VccからSW5を介してコンデンサC2の正極に矢印A86の方向に正電荷が移動し、コンデンサC2の充電が開始される。また、コンデンサC2の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC2の負極から検出電極112に矢印A87の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。
さらに、電源VccからSW10を介してコンデンサC3の正極に矢印A88の方向に正電荷が移動し、コンデンサC3の充電が開始される。また、コンデンサC3の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC3の負極からシールド電極412に矢印A89の方向に正電荷が移動し、シールド電極412の充電が開始される。このとき、静電容量計測装置501の場合(図49)と異なり、電源VccからコンデンサC3に抵抗R3を介さずに電荷が流れるため、充電時間を短縮することができる。
ステップS762において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112およびシールド電極412が満充電の状態になるのに十分な時間待機する。
ステップS763において、パラメータ計測部123は、SW5をオフし、同電位制御部621は、SW10をオフする。これにより、コンデンサC2、コンデンサC3、検出電極112およびシールド電極412の充電が停止する。その後、検出電極、シールド電極充電処理は終了する。
図57に戻り、ステップS704乃至S708の処理は、図47のステップS604乃至S608の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、静電容量計測装置601では、静電容量計測装置501と比較して、コンデンサC3およびシールド電極412の充電時間、および、コンデンサC3の放電時間を短縮することができ、その結果全体の計測時間を短縮することができる。
<7.第7の実施の形態>
次に、図62乃至図64を参照して、本発明の第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態は、複数の電極を設けて、各電極を検出電極またはシールド電極のいずれにも使用できるようにするものである。
[静電容量計測装置701の構成例]
図62は、本発明の第7の実施の形態である静電容量計測装置701の構成例を示す図である。
静電容量計測装置701は、マイクロコンピュータ711、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、コンデンサC2−1乃至C2−n、接続端子T1−1乃至T1−n、および、電極712−1乃至712−nにより構成される。また、マイクロコンピュータ711は、ポートP1−1乃至P1−n、P2−1乃至P2−n、P3−1乃至P3−n、および、P4−1乃至P4−nを備える。
コンデンサC1−i(i=1〜n)は、ポートP1−iとポートP2−iの間に接続されている。抵抗R1−iは、ポートP2−iとポートP3−iの間に接続されている。コンデンサC2−iは、ポートP3−iとポートP4−iの間に接続されている。接続端子T1−iは、ポートP4−iに接続されている。電極712−iは、接続端子T1−iに着脱自在である。なお、電極712−iを、接続端子T1−iではなく、ポートP4−iに直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、コンデンサC2−1乃至C2−n、接続端子T1−1乃至T1−n、電極712−1乃至712−n、ポートP1−1乃至P1−n、P2−1乃至P2−n、P3−1乃至P3−n、および、P4−1乃至P4−nを個々に区別する必要がない場合、単に、抵抗R1、コンデンサC1、コンデンサC2、接続端子T1、電極712、ポートP1、ポートP2、ポートP3、および、ポートP4と称する。
[マイクロコンピュータ711の構成例]
図63は、マイクロコンピュータ711の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には、同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
マイクロコンピュータ711は、計測部731−1乃至731−n、役割設定部732、および、同電位制御部733を含むように構成される。
計測部731−1乃至731−nは、それぞれ図2のマイクロコンピュータ111と同様の構成を有している。従って、計測部731−i(i=1〜n)、抵抗R1−i、コンデンサC1−i、コンデンサC2−i、および、電極712−iにより、静電容量計測装置101と同様の構成を備える1つのユニットが構成され、合計n個のユニットが、静電容量計測装置701に設けられている。
なお、以下、計測部731−1乃至731−nを個々に区別する必要がない場合、単に計測部731と称する。
役割設定部732は、各計測部731に接続されている電極712の役割を設定する。すなわち、役割設定部732は、各電極712を、検出電極として用いるか、シールド電極として用いるかを設定する。
同電位制御部733は、図46の同電位制御部522と同様の機能を有しており、各電極712が同じ電圧になるように制御する。
[静電容量計測装置701の処理]
次に、図64のフローチャートを参照して、静電容量計測装置701により実行される計測処理について説明する。
ステップS901において、役割設定部732は、各電極712の役割を設定する。すなわち、役割設定部732は、ユーザ設定等に基づいて、各電極712を検出電極またはシールド電極のいずれの電極として用いるかを設定する。
ステップS902乃至S909の処理は、図4のステップS1乃至S8の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
[静電容量計測装置701の使用例]
静電容量計測装置701では、各電極の役割を切り替えることにより、静電容量を計測する位置や方向を変更することが可能である。
例えば、車両のドアの表と裏にそれぞれ1つずつ電極712を設置しておき、ドアの表側の電極712を検出電極に設定し、裏側の電極712をシールド電極に設定することにより、ドアの裏側の影響を受けずに、ドアの表側の静電容量を計測することができる。逆に、ドアの表側の電極712をシールド電極に設定し、裏側の電極712を検出電極に設定することにより、ドアの表側の影響を受けずに、ドアの裏側の静電容量を計測することができる。
<8.第8の実施の形態>
次に、図65を参照して、本発明の第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態は、2枚の電極間の静電容量を計測できるようにするものである。
[静電容量計測装置801の構成例]
図65は、本発明の第8の実施の形態である静電容量計測装置801の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので省略する。
静電容量計測装置801は、図2の静電容量計測装置101と比較して、接続端子T2および基準電圧電極811が追加されている点が異なる。
接続端子T2は、基準電圧点に接続されており、基準電圧電極811は、接続端子T2に接続されている。従って、基準電圧電極811の電圧は基準電圧点の電圧に保持される。
これにより、検出電極112と基準電圧電極811との間に発生する静電容量を計測することができる。そして、検出電極112と基準電圧電極811とで形成される空間付近に導電帯や誘電体が存在すると、静電容量の実測値が変化する。
<9.第9の実施の形態>
次に、図66および図67を参照して、本発明の第9の実施の形態について説明する。この第9の実施の形態は、本発明を、静電容量に基づいて周囲の物体の検出(例えば、物体の有無や動き等の検出)を行う静電容量センサに適用するようにしたものである。
[静電容量センサ901の構成例]
図66は、本発明の第9の実施の形態である静電容量センサ901の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量センサ901は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ911が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ911は、マイクロコンピュータ111と比較して、物体検出部921が設けられ、演算処理部124および出力部125が設けられていない点が異なる。
物体検出部921は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、検出電極112の周囲の物体の有無を検出する。
[計測静電容量センサ901の処理]
次に、図67のフローチャートを参照して、静電容量センサ901により実行される物体検出処理について説明する。
ステップS1001乃至S1006において、図4のステップS1乃至S6と同様の処理が行われ、検出電極112の静電容量Cxに基づく静電容量パラメータである、コンデンサC1の充電時間tが計測される。なお、上述したように、検出電極112の静電容量Cxが大きくなるほど、充電時間tは短くなり、静電容量Cxが小さくなるほど、充電時間tは長くなる。
ステップS1007において、物体検出部921は、充電時間tが所定の閾値以上であるか否かを判定する。充電時間tが閾値未満であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値以上である場合、処理はステップS1008に進む。
ステップS1008において、物体検出部921は、検出電極112の周囲に物体が存在すると判定する。物体検出部921は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
一方、ステップS1007において、充電時間tが閾値以上であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値未満である場合、処理はステップS1009に進む。
ステップS1009において、物体検出部921は、検出電極112の周囲に物体が存在しないと判定する。物体検出部921は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
上述したように、静電容量パラメータの計測値は、物体103の影響をほとんど受けないため、物体103の影響をほとんど受けずに、検出電極112の周囲の物体(例えば、物体102)を確実に検出することができる。
なお、他の静電容量パラメータ、例えば、上述した充電回数n、コンデンサC1の電圧Vc1、検出電極112の静電容量Cx等を用いて、物体の検出を行うようにしてもよい。
また、静電容量パラメータの変化に基づいて、物体の接近または遠離などの動きを検出するようにすることも可能である。
<10.第10の実施の形態>
次に、図68および図69を参照して、本発明の第10の実施の形態について説明する。この第10の実施の形態では、物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動設定できるようにするものである。
[静電容量計測装置1001の構成例]
図68は、本発明の第10の実施の形態である静電容量計測装置1001の構成例を示す図である。なお、図中、図2と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置1001は、図2の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ1011が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ1011は、マイクロコンピュータ111と比較して、閾値電圧設定部1021が設けられている点が異なる。
閾値電圧設定部1021は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、閾値電圧Vrefを求め、電圧計測部121、122に設定する。
[静電容量計測装置1001の処理]
次に、図69のフローチャートを参照して、静電容量計測装置1001により実行される閾値電圧設定処理について説明する。なお、この処理は、例えば、検出電極112を実際に使用する位置に設置し、検出対象から除外したい物体103以外の物体が、検出電極112の周囲に存在しない状態で行われる。
ステップS1101において、閾値電圧設定部1021は、閾値電圧Vrefを仮設定する。例えば、閾値電圧設定部1021は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを基準電圧点の電圧に設定する。
ステップS1102において、図4を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS1101において仮設定した閾値電圧Vrefを用いて静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部1021に供給される。
ステップS1103において、閾値電圧設定部1021は、閾値電圧Vrefを変更する。例えば、閾値電圧設定部1021は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを所定の値だけ大きくする。
ステップS1104において、図4を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS1103において変更した閾値電圧Vrefを用いて、静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部1021に供給される。
ステップS1105において、閾値電圧設定部1021は、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少しているか否かを判定する。いまの場合、まだ計測処理が2回しか行われていないため、この処理は行われずに、処理はステップS1103に戻る。
その後、ステップS1105において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定されるまで、ステップS1103乃至S1105の処理が繰り返し実行される。これにより、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefが検索される。
一方、ステップS1105において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定された場合、処理はステップS1106に進む。
ステップS1106において、閾値電圧設定部1021は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値に設定する。すなわち、前回の閾値電圧Vrefは、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefであり、検出電極112の充電時の電圧(電圧Vcc−閾値電圧Vref)が物体103の電圧に最も近くなると予想される。従って、閾値電圧設定部1021は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値として、電圧計測部121、122に設定する。
その後、閾値電圧設定処理は終了する。
このようにして、検出対象から除外したい物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動的に設定することができる。
なお、以上の説明では、静電容量に基づいて閾値電圧Vrefを設定する例を示したが、静電容量以外の静電容量パラメータを用いて設定するようにしてもよい。
<11.変形例>
以上の説明では、静電容量パラメータを計測した後、演算処理部124により検出電極112の静電容量Cxを算出する例を示したが、静電容量Cxの値を特に求める必要がない場合、この演算処理を省略するようにしてもよい。
また、可能な範囲で各実施の形態を組み合わせるようにしてもよい。例えば、第4乃至第10の実施の形態に、第2の実施の形態の静電容量計測装置201または第3の実施の形態の静電容量計測装置301の構成を適用することが可能である。
さらに、以上の説明では、コンデンサC1乃至C3、検出電極112、シールド電極412に電荷を供給する電荷供給部126−1,126−2に電源Vccを用いる例を示したが、他の電荷供給手段を用いるようにしてもよい。なお、以上の説明では電源電圧Vccを元に電荷量を計算して静電容量を計算していたが、各コンデンサ、検出電極112、シールド電極412に供給される電荷量がわかれば、供給された電荷量をもとに静電容量を計算できる。
例えば、定電流回路を電荷供給手段として用いるようにしてもよい。この場合、定電流回路は一定の電流で電荷を供給し続けるので、所定の時間の間に供給される電荷量は一定となる。従って、所定の時間の間に供給される電荷量に基づいて静電容量を求めることができる。また、この場合、各静電容量計測装置の抵抗R1の抵抗値を小さい値に設定することができる。
また、例えば、単位時間毎に所定の条件を満たす電荷を供給する所定電荷供給回路を用いるようにしてもよい。この場合、例えば、単位時間に所定量の電荷を供給するようにすることで、供給された所定量の電荷量を基に静電容量を求めることができる。なお、この場合、マイクロコンピュータのプログラム制御により供給する電荷量を変更できるようにしてもよい。
さらに、例えば、時間間隔を空けて、繰り返し電荷を供給する間歇電荷供給回路を用いるようにしてもよい。この場合、間歇的に所定の電荷が供給されるようにすれば、供給された電荷量をもとに静電容量を求めることができる。
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、上述したマイクロコンピュータの他、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
また、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。