JP2012122104A - 加熱蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体フィルムに形成する蒸着膜の厚みを均一化し、製造される金属化フィルムコンデンサの特性を安定化する。
【解決手段】この課題を解決するために本発明の加熱蒸着装置は、鉛直方向に対し垂直な回転軸7を有し、蒸着材料から発生する微粒子を、側壁に設けられた開口部8から外部へと飛散させる筒状部材3と、筒状部材の回転軸に接続され、筒状部材を回転させる駆動機構と、筒状部材3を覆うように設けられ、筒状部材3から放出された微粒子を基材方向へと導くホルダ4を備えた構成とした。このように蒸着時に筒状部材3を回転させる構成とすることで蒸着材料は適度に分散され、筒状部材3の内周面と接触している蒸着材料の面積は、時間が経過してもさほど変化することはない。この結果、発生する微粒子の量を均一化でき、誘電体フィルムに形成する膜の厚みを均一化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属化フィルムコンデンサ等の金属化フィルムの製造に用いられる、蒸着材料を加熱し蒸発させ基材上に蒸着を行う加熱蒸着装置に関するものである。
近年、環境保護の観点から、あらゆる電気機器がインバータ回路で制御され、省エネルギー化、高効率化が進められている。中でも自動車業界においては、電気モータとエンジンで走行するハイブリッド車(以下、HEVと呼ぶ)が市場導入される等、地球環境に優しく、省エネルギー化、高効率化に関する技術の開発が活発化している。
このようなHEV用の電気モータは使用電圧領域が数百ボルトと高いため、電気モータに関連して使用されるコンデンサとして高耐電圧で低損失の電気特性を有する金属化フィルムコンデンサが注目されており、更に市場におけるメンテナンスフリー化の要望からも極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が目立っている。
そして、このような金属化フィルムコンデンサは、金属箔を電極に用いるものと、誘電体フィルム上に設けた蒸着金属を電極に用いるものとに大別される。中でも、蒸着金属を電極(以下、金属蒸着電極と呼ぶ)とする金属化フィルムコンデンサは、金属箔のものに比べて電極の占める体積が小さく小型軽量化が図れることと、金属蒸着電極特有の自己回復機能(絶縁欠陥部で短絡が生じた場合に、短絡のエネルギーで欠陥部周辺の金属蒸着電極が蒸発・飛散して絶縁化し、コンデンサの機能が回復する機能)により絶縁破壊に対する信頼性が高いことから、従来から広く用いられているものである。
この種の金属化フィルムコンデンサの製造において、誘電体フィルムへの金属の蒸着は専用の蒸着ボートに蒸着させたい蒸着材料を供給し、これを抵抗加熱等の手段により蒸着材料の蒸発温度以上に加熱して発生した微粒子を誘電体フィルムに付着させることで行われていた。
ここで、製造される金属化フィルムコンデンサの特性を安定化するためには、微粒子が蒸着されて形成される蒸着膜の厚みをできるだけ均一とすることが望ましい。
また、このように蒸着膜の厚みをできるだけ均一とするためには、ボートに供給された蒸着材料をいかに均一な大きさ、均一な量で蒸発させるかが重要となる。
このため、特許文献1では以下のような蒸着ボートの構成が提案されていた。
図4を用いて特許文献1に記載の蒸着ボート100の構成について説明する。図4は特許文献1に記載の蒸着ボート100の分解斜視図である。
図4に示すように、蒸着ボート100は上板101a、下板101bからなる金属容器101にて構成され、さらに上板101aの上部には微粒子を外部へと放出するための吹き出し穴103が設けられている。
そして、蒸着時には下板101bの蒸着部に蒸着材料104を供給し、これら上板101a、下板101bの間に隔壁102を介在させた状態で、蒸着材料104を加熱、蒸発させる。
ここで、隔壁102の特徴的な構造としては、緻密な編目構造をとる金網で構成されていることが挙げられる。
すなわち、特許文献1に記載の技術は、蒸着材料104から発生した微粒子を隔壁102の編目を通過させてから外部へ放出する構成とすることにより、できるだけ上板101aの吹き出し穴103から放出される微粒子の大きさを均一にしようとするものであった。
特開平7−126838号公報
確かに、上述したように特許文献1に記載の蒸着ボート100の構成によると誘電体フィルムに形成する蒸着膜の厚みをある程度は均一化でき、製造される金属化フィルムコンデンサの特性を安定化させることが可能であった。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では発生する微粒子の大きさを均一化できるものの、均一な量にて蒸発させるということに関しては未だに課題を有していた。
一般に、このような蒸着材料104の蒸着においては、加熱された蒸着ボート100の輻射熱によって蒸着ボート100内の蒸着材料104を加熱するものであるが、やはり蒸着ボート100の内壁に直接接触している蒸着材料104の方が比較的温度が上昇しやすく、蒸発しやすい。
すなわち、蒸着材料104が蒸発することで蒸着ボート100から放出される微粒子の量は、蒸着材料104と蒸着ボート100の内壁の接触面積にある程度依存すると考えられる。
一方、特許文献1に記載の蒸着ボート100では必然的に時間経過により蒸着ボート100内の蒸着材料104の量が減り、また、蒸着材料104は昇華性物質であることから液状となって蒸着ボート100表面に広がることはない。このため、蒸着材料104と蒸着ボート100の内壁の接触面積が減り、時間が経つほど放出される微粒子の量が減少してしまう。
この様子をより具体的に図5に図示する。図5は蒸着ボート100のような従来の平板状のボート110にて蒸着材料111を蒸発させる様子を模式的に示した図であり、図5(a)はボート110に蒸着材料111を供給した直後の状態を示す図、図5(b)は蒸着材料111を供給してしばらく経過した後の状態を示す図である。
図5(a)に示すように、ボート110に蒸着材料111を供給した直後は、蒸着材料111の大きさも大きく、その底部でボート110の表面と接触している。上述したように放出する微粒子の量は、蒸着材料111とボート110の接触面積にある程度依存するため、この時発生する微粒子の量は比較的多い。しかしながら、時間が経過すると蒸着材料111が蒸発し、その大きさが減少し、図5(b)で示すような状態となる。この時は蒸着材料111の大きさの減少に伴って蒸着材料111とボート110との接触面積が減少している。この結果、図5(a)の状態と比較して発生する微粒子が減少してしまった状態となっている。
このように従来の平板状のボート110では放出される微粒子の量が経時的に変化することで膜の形成に影響を与えてしまい、均一な厚みの膜を形成することを難しくしていた。
そこで、本発明は発生する微粒子の量を均一化し、誘電体フィルムに形成する蒸着膜の厚みを均一化することで、製造される金属化フィルムの特性を安定化することを目的とする。
そして、この課題を解決するために本発明の加熱蒸着装置は、蒸着材料を蒸発させ、発生した微粒子を所定の速度で搬送される基材の表面に蒸着させる加熱蒸着装置であり、鉛直方向に対し垂直な回転軸を有し、内部に供給された蒸着材料から発生する微粒子を、側壁に設けられた開口部から外部へと飛散させる筒状部材と、前記筒状部材の回転軸に接続され、前記筒状部材を回転、あるいは揺動させる駆動機構と、前記筒状部材の外周面を覆うように設けられ、前記筒状部材の前記開口部から放出された前記微粒子を基材方向へと導く蒸着口が開設されたホルダを備えた構成とした。
本発明の構成の加熱蒸着装置によると、発生する微粒子の量を均一化できる。
これは、蒸着の際に蒸着材料を内部に収容した筒状部材を回転(あるいは揺動)させることによる。
すなわち、筒状部材を回転させることによりその内部に収容された蒸着材料は常に適度に分散され、上述した従来の蒸着ボート100と比較して、筒状部材の内壁と接触している蒸着材料の面積は、時間が経過してもさほど変化することはない。
この結果、発生する微粒子の量を均一化でき、誘電体フィルムに形成する蒸着膜の厚みを均一化することができる。そして、製造される金属化フィルムの特性を安定化することができる。
(a)実施例1の加熱炉の切り欠き斜視図、(b)同加熱炉を構成する筒状部材の切り欠き斜視図、(c)同加熱炉を構成するホルダの切り欠き斜視図、(d)図1(a)の加熱炉を矢印の方向から示した正面図 実施例1の加熱蒸着装置の構成を示す概略正面図 実施例1の加熱炉による蒸発の様子を示した図 従来の蒸着ボートの構成を示した図 従来の蒸着ボートによる蒸発の様子を示した図
(実施例1)
まず、本実施例の加熱蒸着装置1を構成する部材のうち、発明のポイントである加熱炉2の構成について図1を用いて説明する。ここで、図1(a)は加熱炉2の切り欠き斜視図であり、図1(b)は加熱炉2を構成する筒状部材3の切り欠き斜視図、図1(c)は加熱炉2を構成するホルダ4の切り欠き斜視図、図1(d)は加熱炉2を図1(a)の矢印の方向から示した正面図である。
図1(a)に示すように本実施例の加熱炉2は、筒状部材3と、筒状部材3よりも大きな径を有するホルダ4にて構成されており、筒状部材3がホルダ4の内壁面と非接触の状態でホルダ4の中空部に挿入されている。なお、ホルダ4は図示しない固定手段で後述する加熱蒸着装置1の内部に固定されているものである。この固定手段としてはホルダ4の動作を妨げたり、あるいは製造される金属化フィルムの特性に影響を与えるものでなければ、特に限定されるものでない。
筒状部材3は、図1(b)に示すように、円筒部5と、この円筒部5の開放端を塞ぐキャップ6、さらにキャップ6の中央部に接続された回転軸7とを備えている。本実施例においてこれら、円筒部5、キャップ6、回転軸7は全てStainless Used Steel(以下、SUSと表記)にて形成されている。
円筒部5は、中空を有する円筒状の形状を有し、その側壁の軸方向にスリット状の開口部8が複数設けられている。図1(b)においてはこの開口部8が6個設けられた円筒部5を示したが、特にこの個数に限定されるものではなく、製造条件に合わせて適宜個数を変更すればよい。円筒部5はキャップ6からの取り外しが自在となっており、蒸着時には円筒部5がキャップ6に差し込まれ、固定される。具体的には、キャップ6の内面に雌ねじ、円筒部5の外面に雄ねじを設け、これらを螺合させることで締結固定すればよい。なお、円筒部5の構成を明瞭に示すために、図示はしなかったが、実際に蒸着をする際には図1(b)でキャップ6にて塞がれた開放端とは逆側の開放端(図1(b)の手前側)もキャップ6にて塞がれた構成となっている。
円筒部5の開放端を塞ぐキャップ6は、円板状の形状を有している。このキャップ6は円柱状の回転軸7とその中央部で固定接続されており、回転軸7を回転させると、キャップ6、円筒部5も同様に回転する。この回転軸7はモータ等の駆動機構(図示せず)と接続され、これが駆動することにより回転する。
また、上述したように図1(b)の手前側の図示しないキャップ6にも回転軸7を接続する構成とし、円筒部5をその両端方向から2本の回転軸7にて支持する構成としてもよいし、あるいは1本の回転軸7のみで支持、回転させる構成としてもよい。
なお、本実施例の円筒部5にはヒータ(図示せず)が埋め込まれている。加熱蒸着装置1を駆動させ、蒸着を行う際には、このヒータにより筒状部材3が加熱され、この熱が筒状部材3の中空部に供給された蒸着材料に伝熱することによって、蒸着材料が蒸発、微粒子が発生する。
ホルダ4はSUSにて形成されており、図1(c)に示すように、外周面を軸方向に一部切り欠いた円筒状の形状となっている。この切り欠きは蒸着時には微粒子が外部へと放出される開口部の役目を果たし、すなわち微粒子を基材方向へと導く蒸着口9となる。
なお、蒸着時においてホルダ4は図1(a)に示すように、筒状部材3の外周面を覆うように配設される。本実施例においては、ホルダ4を筒状部材3の外周面に配設した状態では、回転軸7のみがホルダ4の外部に露出した状態となっている。ホルダ4と筒状部材3の回転軸7とは図1(d)で示すように、高炭素クロム鋼で形成されたベアリング10が介在した状態で接続されている。したがって、回転軸7を回転させた際には、この回転と連動して円筒部5およびキャップ6が回転するが、ホルダ4にはこの回転は伝わらない。すなわち、蒸着時には筒状部材3のみが回転し、ホルダ4は加熱蒸着装置1内で固定されたままとなっている。また、このベアリング10を設けたホルダ4端部の構成はホルダ4の両端面に適用してもよいし、あるいは図1(a)の手前側のホルダ4の端面は適宜キャップ等で塞ぐ構成としてもよい(この場合、筒状部材3は一本の回転軸7で支持されることになる)。
なお、このように筒状部材3とホルダ4を組み合わせた際には、ホルダ4の両端面は封止された構成となっているので、蒸気はホルダ4の蒸着口9のみから外部に放出される。
次に、この加熱炉2を用いた加熱蒸着装置1の構成とその動作について図2を用いて説明する。図2は加熱蒸着装置1の構成を示した概略正面図である。
真空槽11は加熱蒸着装置1の本体部であり、蒸着時にはこの真空槽11は真空ポンプ(図示せず)により真空排気され、内部が真空状態となっている。
この真空槽11内でターゲットの基材となる誘電体フィルム12への蒸着が行われる。本実施例では誘電体フィルム12として幅650mm、厚さ3μmのポリプロピレンフィルムを用いている。ただし、ターゲットとなる誘電体フィルム12はこの態様に限られることなく、他の幅、厚さ、材質のものを用いてもよい。
この誘電体フィルム12は原反ロール13を所定の方向(図2の矢印の向き)に回転させることで巻き出される。巻き出された誘電体フィルム12は所定の速度で連続搬送され、回転ローラ14にてその進行方向を変えてメインキャン15へと到達する。
メインキャン15は内部に不凍液を添加した−15℃〜0℃の冷媒を循環させており、メインキャン15に到達した誘電体フィルム12は冷却されながらメインキャン15の表面に沿って矢印方向に搬送される。
そして、まず誘電体フィルム12はパターンロール16に到達し、ここでは誘電体フィルム12の所定の部分にオイルが転写される。
メインキャン15の下方には本発明の特徴部である加熱炉2が配置されている。オイルが転写された誘電体フィルム12は、加熱炉2へ到着する。この時、加熱炉2の筒状部材3内部には昇華性物質よりなる蒸着材料17が供給されており、筒状部材3は回転しながらヒータの熱により加熱され、この熱が蒸着材料17に伝熱する。蒸発温度以上に加熱された蒸着材料17から発生した蒸気は円筒部5の開口部8からまず筒状部材3とホルダ4との間の空間に放出され、その後ホルダ4の蒸着口9から外部へと放出される。ここで、蒸着口9は鉛直上方向、すなわちメインキャン15の下部に向けて開設されており、蒸着材料17の蒸気は蒸着口9により誘電体フィルム12方向へと導かれる。そして、誘電体フィルム12に微粒子が付着して、蒸着が行われる。
ただし、上述したパターンロール16にてオイルが転写された箇所には微粒子が付着せず、蒸着が行われない。この非蒸着部は、蒸着終了後の誘電体フィルム12において絶縁マージン部や分割電極どうしの間のスリット部となる。
なお、上記蒸着材料17としては、Zns、CdS、SiO等の無機材料、Cr、Mn、Mg、Co、Ni等の金属が挙げられる。
この蒸着材料17の蒸着は、誘電体フィルム12がメインキャン15にて冷却されながら行われているため、蒸気は瞬時に誘電体フィルム12上で固化し、付着する。
また、加熱炉2による蒸着材料17の蒸着は本実施例では連続的に行うものとしたが、加熱炉2にシャッター機構を追加し、蒸着のタイミングを制御してもよい。
そして、蒸着が行われた誘電体フィルム12は回転ローラ18にて搬送方向を変え、最後に巻き取りロール19を矢印方向に回転させることで巻き取られ金属化フィルムが完成する。
なお、図2に示されるように真空槽11内には蒸気と反応しない金属にて形成された仕切り板20が設けられている。本実施例では仕切り板20を形成する金属としてSUSを用いている。この仕切り板20は加熱炉2で発生させた蒸気が目的方向以外に飛散し、例えば完成体である金属化フィルムや真空槽11の内壁に付着してしまうことを防ぐものである。
このように構成された加熱蒸着装置1において、加熱炉2の特徴的な構成により、放出される蒸着材料17の微粒子の量の経時的な変化を抑制できる。
この理由について、図3を用いて示す。図3(a)は蒸着材料17を供給した直後の加熱炉2の様子を示す正面断面図であり、図3(b)は蒸着材料17を供給し、しばらく時間が経過した後の加熱炉2の様子を示す正面断面図である。
図3(a)に示すように、筒状部材3は断面円形の形状をしているため、重力により蒸着材料17の個片が筒状部材3の下方に密集し、蒸着材料17を加熱炉2に供給した直後は、個片どうしが重なり合った状態となっている。前述したように、輻射熱により蒸着材料17を蒸発させるとはいえど、やはり筒状部材3の内周面に直接接触している蒸着材料17の方が温度が上昇しやすく、蒸気は、重なり合った個片の上部(筒状部材3の中心軸に近い位置)に位置している蒸着材料17よりも、下部の筒状部材3の内周面に直接接触している蒸着材料17から積極的に発生する。
時間が経過するにつれ、重なり合った個片の下部に位置している蒸着材料17が蒸発し、筒状部材3の内部に存在する蒸着材料17全体の量が減少する。しかしながら、本実施例の筒状部材3は蒸着時には回転しているため、筒状部材3の内部の蒸着材料17は筒状部材3の内部で適度に分散する。すなわち、図3(b)のような、残存した蒸着材料17ができるだけ多く筒状部材3の内周面と接触した状態となる。
図3(a)と図3(b)の筒状部材3の内部の状態を比較してわかるように、蒸着材料17全体の量は図3(a)から図3(b)にかけて減少しているが、蒸着材料17が筒状部材3の内周面に接触している面積はさほど変化しておらず、筒状部材3から放出される微粒子の量の変化も抑制される。
これらの結果、誘電体フィルム12上に形成する蒸着膜の厚みを均一とすることができ、製造される金属化フィルムコンデンサの特性を安定化させることができる。
なお、本実施例では、蒸着中は筒状部材3を常に回転させる構成としたが、この態様に限られるものではない。例えば、所定時間ごとに所定の角度ごと回転させる構成としてもよい。要するに、筒状部材3の内部で蒸着材料17を適度に分散させ、蒸着材料17と筒状部材3の内周面との接触面積の変化を極力少なくすることが重要であり、この構成であっても、本実施例と同様の効果を得ることができる。
あるいは、筒状部材3を回転させるのではなく、揺動させる構成としてもよい。揺動させることによっても蒸着材料17を筒状部材3の内部で適度に分散させることができる。さらに、回転させる構成に比べ、揺動させる構成の方が蒸着材料17をより分散させることができる。
また、本実施例では加熱手段であるヒータを筒状部材3の円筒部5に内蔵させた構成とした。この構成により、筒状部材3を蒸着材料17の蒸発温度以上の温度に加熱し、蒸発させている。このように筒状部材3を加熱した場合、筒状部材3から発生した熱はホルダ4の内部にこもり、外部に放熱することなく効率的に蒸着材料17を加熱することができる。
あるいは、ヒータを筒状部材3ではなくホルダ4に設け、ホルダ4内部に向けて発熱する構成としてもよい。この構成によっても蒸着材料17を十分に加熱することができる。
さらに、本実施例では蒸気を筒状部材3の内部から外部へと放出させるため開口部8を設けた円筒部5を使用したが、この構成に変えて例えば円筒部5を金網状の構成としてもよい。この場合、蒸気は金網の編目を通って、外部へと放出させる構成となる。そして、本実施例の開口部8と比較して外部に向けて開口した総面積が大きくなるため、外部への蒸気の放出が積極的に行われ、効率的に蒸着材料17の蒸着が行われることになる。
ただし、円筒部5に金網を用いた場合、外部へ向けて開口した面積が大きくなるため、加熱により体積が減少した蒸着材料17が金網の編目から落下する可能性がある。このため、編目の径は2mm以下とできるだけ小さくすることが望ましい。
同様の理由で、本実施例の円筒部5の切り込み状の開口部8に金網を貼り、この金網の編目の径を2mm以下とすることで円筒部5からの蒸着材料17の落下を防ぐことができる。
また、筒状部材3を形成する材料としては銅やアルミナ、プラチナ、タングステン、酸化マグネシウム、SUSのいずれかの金属、あるいはこれらの金属のうち、少なくとも1つを用いた合金であることが望ましい。このような材料であれば、耐熱性にも優れており、長期間劣化することなく蒸着材料17を蒸発させることができる。
本発明による加熱蒸着装置は、蒸着材料の蒸着量の経時的な変化を抑制することができ、誘電体フィルムに均一な蒸着膜を形成することができる。したがって、本発明の加熱蒸着装置にて製造された金属化フィルムコンデンサは特性のばらつきが少なく、各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に用いられる金属化フィルムコンデンサとして好適に採用することができる。
1 加熱蒸着装置
2 加熱炉
3 筒状部材
4 ホルダ
5 円筒部
6 キャップ
7 回転軸
8 開口部
9 蒸着口
10 ベアリング
11 真空槽
12 誘電体フィルム
13 原反ロール
14 回転ローラ
15 メインキャン
16 パターンロール
17 蒸着材料
18 回転ローラ
19 巻き取りロール
20 仕切り板

Claims (6)

  1. 蒸着材料を蒸発させ、発生した微粒子を所定の速度で搬送される基材の表面に蒸着させる加熱蒸着装置であり、
    鉛直方向に対し垂直な回転軸を有し、内部に供給された蒸着材料から発生する微粒子を、側壁に設けられた開口部から外部へと飛散させる筒状部材と、
    前記筒状部材の回転軸に接続され、前記筒状部材を回転、あるいは揺動させる駆動機構と、
    前記筒状部材の外周面を覆うように設けられ、前記筒状部材の前記開口部から放出された前記微粒子を基材方向へと導く蒸着口が開設されたホルダを備えた加熱蒸着装置。
  2. 加熱手段を前記筒状部材に設け、
    前記筒状部材を前記蒸着材料の蒸発温度以上に加熱することで前記蒸着材料を蒸発させる請求項1に記載の加熱蒸着装置。
  3. 加熱手段を前記ホルダに設け、
    前記ホルダを前記蒸着材料の蒸発温度以上に加熱することで前記蒸着材料を蒸発させる請求項1に記載の加熱蒸着装置。
  4. 前記筒状部材の側壁は格子状の金網にて構成され、この金網の編目から前記微粒子を外部へと放出させる請求項1に記載の加熱蒸着装置。
  5. 前記金網の編目の径は2mm以下である請求項4に記載の加熱蒸着装置。
  6. 前記筒状部材の円筒部は銅、アルミナ、プラチナ、タングステン、酸化マグネシウム、SUSの金属のいずれか、あるいはこれらの金属のうち、少なくとも1つを用いた合金である請求項1に記載の加熱蒸着装置。
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