JP2012118552A - デュアルディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示についての多くの要求に応える。
【解決手段】同じ映像信号の表示が可能なディスプレイを2つ有するデュアルディスプレイ装置であって、2つのディスプレイの画素は、表示データを記憶するメモリとして利用可能であり、一方のディスプレイを表示に利用する際に他方のディスプレイの画素を表示データのメモリとして利用する。2つのディスプレイは、有機ELディスプレイであり、有機ELディスプレイの各画素には、スタティックメモリが設けられている。
【選択図】図7

Description

本発明は、映像信号の1フレーム分の画像を表示可能なディスプレイを2つ有するデュアルディスプレイ装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)に代表されるフラットパネルディスプレイはそれぞれの表示特性を生かすことで高性能化を実現し、多くの顧客に受け入れられている。
例えばLCDはバックライトの高輝度化や高色純度化により、より明るく鮮明な映像を表示できるようになっており、また元来のホールド型の表示特性から、目にやさしく、薄型で低消費電力であるため、ノートパソコン、液晶モニターから液晶テレビに至るまで様々な用途で採用されている。しかしながら黒表示時のバックライトの光もれによるコントラストの低下が課題となっており、さらなる改善が必要とされている。その点、PDPは自発光型であるため、応答が速く、黒レベルを低く抑えることができ、高コントラストを実現できるためLCDより高画質化が期待できる。しかし、自発光型であるため、映像表示時に、画素間で発光頻度や、発光強度の偏りが著しいと焼きつきが発生してしまうという課題があり、やはり改善が望まれる。
同じ自発光型の有機ELディスプレイも同様な焼きつきの課題を有するものの、より応答が速いため、動画を含めてさらに高画質化が実現でき、またLCDと同様にアクティブマトリクスで駆動できるため、携帯端末から大型のテレビまで様々な用途に応用が期待できる。
また、電子ペーパーは、一度映像を書き込むと電力を消費せずに映像を表示できるため、超低消費電力という特長があるが、反射光を利用するため、暗いところでは利用できない。
いずれにしても、上記に挙げたフラットパネルディスプレイにはそれぞれの表示特性に特徴があり、それぞれ長所と短所を同時に備えている。しかし、言い換えれば、明るく、色鮮やかで、高コントラストであるにもかかわらず、低消費電力で、目にやさしく、焼きつきがないという性能をすべて持ち合わせることはその性質上困難である。
NIKKEI MICRODEVICES監修、「日経FPD 2007<戦略編>」日経BP社2006年10月発行、p.170〜186
今や携帯電話ですらインターネットに接続でき、Webサイトを自由に行き来して、情報を容易に収集できるし、搭載されているカメラでとった映像を、電子メールを介して自由に他者とやりとりすることも簡単にできる。ワンセグなどのデジタル放送に基づくサービスも普及しつつあり、いつでもどこでも携帯端末でテレビを見ることができるようになった。一つの端末で様々なコンテンツを処理できるようになると、それぞれのコンテンツに最適な表示を行うディスプレイが望まれている。つまり、高コントラストで高画質かつ低消費電力で焼きつきが少ない、長く使えるディスプレイが求めてられている。
本発明は、同じ映像信号の表示が可能なディスプレイを2つ有するデュアルディスプレイ装置であって、2つのディスプレイの画素は、表示データを記憶するメモリとして利用可能であり、一方のディスプレイを表示に利用する際に他方のディスプレイの画素を表示データのメモリとして利用することが好適である。
また、2つのディスプレイは、有機ELディスプレイであることが好適である。
また、前記有機ELディスプレイの各画素には、スタティックメモリが設けられていることが好適である。
また、前記有機ELディスプレイの各画素は、一方のRGB画素がそれぞれ異なる有機EL材料で形成され、他方は白色有機EL材料とカラーフィルタで形成されていることが好適である。
また、封止基板が両ディスプレイで共有されていることが好適である。
また、前記メモリとして利用可能な画素は、表示メモリの一部として利用されている場合、表示時と異なる電圧で駆動されて低消費電力で動作することが好適である。
このように、本発明によれば、ディスプレイを2つ有し、その特性を生かした表示についての多くの要求に応えて適切な表示を行うことができる。
デュアルディスプレイ装置を搭載した携帯端末を示す図である。 デュアルディスプレイ装置を搭載したパーソナルモニターを示す図である。 デュアルディスプレイ装置の表示システム構成を示す図である。 有機EL素子の時間に対する輝度と駆動電圧の劣化特性を示す図である。 有機EL素子の異なるストレスにより劣化した電流電圧(I−V)特性を示す図である。 1ビットのダイナミックメモリ画素回路を示す図である。 1ビットのスタティックメモリ画素回路を示す図である。 6ビットのDA変換機能を有する単位画素を示す図である。 デュアルサイド有機ELディスプレイの表示システム構成を示す図である。 デュアルサイド有機ELディスプレイの貼り合わせ構成を示す図である。
図1には、第1の表示デバイス1と第2の表示デバイス2が搭載された携帯端末の例が示されている。第1の表示デバイス1は例えばLCD、第2の表示デバイスは例えば有機ELである。有機ELはパッシブマトリクス型とアクティブマトリクス型とがあるが、消費電力と解像度の点からアクティブマトリクス型が主流であるため、以降アクティブマトリクス型を前提として説明する。また、携帯端末は、例えば携帯電話機であるが、これに限らず、携帯ゲーム機、デジタルカメラなどでもよく、また携帯端末はTV信号を受信して表示する機能を有していることが好適である。
図1の携帯端末に搭載される第1、第2の表示デバイス1、2は表示面が外側になるように貼り合わせ形態で搭載されている。つまり、この場合、携帯端末を開くと第1の表示デバイス1であるLCDがアクティブな画面としてユーザーに映像を表示し、折りたたむと第2の表示デバイス2である有機ELがアクティブとなる。携帯端末を開いた状態で、入力操作部であるキーパッドが使用可能となる。
Webの閲覧やスケジュール管理、メール作成などは頻繁にキーパッドでの操作が必要になるため、携帯端末を開いて利用する。つまり、表示デバイス1であるLCDがアクティブになり、ユーザーはLCDの提供する表示性能で作業をすることになる。LCDは高解像度化が比較的容易であり、またホールド型であるため目が疲れにくい。そのためコンテンツの閲覧や、テキストデータの編集作業が長時間に及んでもストレスが少なく操作を続けることができる。また自発光型でないため、コンテンツが明るいデータ、例えば白色の背景が多くても消費電力は変わらない。すなわちコンテンツに依存せず消費電力をほぼ一定に維持できるため、バッテリーの消費がコンテンツに依存しない。ユーザーは、LCDを使っている限り、好きな映像を表示することを一定時間保証され、焼きつきを気にすることなく利用できる。
ワンセグテレビやデジタルカメラの機能を利用する場合は折りたたんで利用する。折りたたむと表示デバイス2である有機ELがアクティブになり、受信したテレビ映像や、カメラから取り込んだ映像を表示する。有機ELはLCDと異なり、黒レベルが発光しない真の黒であるため、コントラストが高く、高画質である。ユーザーはより自然な映像を楽しむことができる。
有機ELのように自発光型の表示デバイスはできる限り発光させないほうがより消費電力が少ない。したがって、有機EL画面を使う場合には、メニュー画面などのユーザーインターフェースは黒を中心としたものにするとより低消費電力化できる。
さらに、図1の携帯端末を開いて、表示デバイスを接続しているヒンジを回転すれば、裏表を切替えることができ、折りたたんだ際でもLCDの映像が表示できる。キーパッドの操作を有機ELでの表示を見ながら行ってもよい。
なお、上述したように、折り畳んだ場合にLCDが内側に位置するのが基本である。そこで、有機ELを外側として折り畳んだときには、その状態で必要な操作が行えるように、その状態における外表面に音量、チャネルなどの操作ボタンなどを配置するとよい。
図2は、図1と同様に両面に異なる表示特性を有する表示デバイスを搭載したパーソナルモニターの例である。図1と同様に、第1の表示デバイス1をLCD、第2の表示デバイス2を有機ELとすると、パソコンなどで作業をする場合にはLCDを利用し、テレビなどを視聴する場合には有機ELを使って高画質映像を楽しむことができる。両面に表示デバイスが搭載されているため、表示デバイスを支えるヒンジを回転すれば容易に使う表示デバイスを切替えることができる。通常は、前面側のみが自動的にアクティブになるように設定するとよい。
このように2種の異なる表示特性を有する表示デバイス1,2を両面に導入することで、提供されるサービスに適した表示性能を有する表示デバイスを選択することができるため、携帯端末並びにノートパソコンのモニターやパーソナルモニターを容易に高性能化できる。また、それぞれの表示デバイスを薄型、軽量化して両面に配置するとよりコンパクトになり、従来のスペースでの使用に支障がない。なお、表示デバイス1,2の画面サイズは同一であることが好ましいが、同じ映像信号の表示が可能であれば、サイズは若干異なっても問題はない。また、両画面とも、映像信号の1フレーム分の画像を表示できることが好ましい。
表示デバイスをコンテンツに応じて切替えるには、図3に示されるような表示システムを導入すればよい。図3には一つのディスプレイに搭載される複数の表示デバイスを制御する表示システムの例が示されている。外部ホストから映像データといずれの表示デバイスを利用するかを示す表示デバイス選択信号が供給されると信号処理回路3が選択される表示デバイスに対応した信号処理を施し、表示デバイスに対応するタイミングで制御信号と映像データを出力する。セレクタ4は表示デバイス選択信号により、信号処理回路3と選択される表示デバイスを接続し、選択された表示デバイスに、それに対応して処理された映像データと制御信号が供給されるように動作する。
第1、第2の表示デバイス1、2には、駆動回路としてドライバICなどが搭載されている場合もあるが、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)などの高性能なトランジスタを用いることができれば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの回路で駆動回路を形成することができるため、駆動回路をディスプレイのパネルに形成してドライバICを省略できる。
ドライバICが表示デバイスに搭載され、片方の表示デバイスのドライバIC内に信号処理回路3やセレクタ4の機能が導入されていてもよい。
携帯端末やノートパソコンのモニター、パーソナルモニターなど、シングルユーザーがコンテンツに応じて表示デバイスを切替えるディスプレイの場合、複数の表示デバイスのうち1つしか使わないため、少なくとも1系統の外部入力を受ける1つの信号処理回路3を、セレクタ4を介して複数の表示デバイスで共有することができる。これは、単一のそれぞれ異なる表示デバイスを搭載したディスプレイを2台所有するより低コストである。マルチユーザーで同時に複数の表示デバイスを利用する場合には本来それぞれの表示デバイスに外部入力と信号処理回路3を備える必要があるが、少なくとも2系統の外部入力を備えた図3の表示システムを用いて、セレクタ4を一定のタイミングで交互に切替えることでも対応できる。その場合、テレビのような動画コンテンツの場合にはコマ飛びが発生するが、パソコンなどの映像の場合は更新頻度が比較的少ないため、切替え頻度が更新頻度より十分早ければユーザーに違和感を与えずに表示できる。
シングルユーザー向けの携帯端末やパーソナルモニターでは、複数の表示デバイスの一方に有機ELが導入されている場合、焼きつきが懸念されるが、ディスプレイの使用頻度は単一のディスプレイを導入した場合と比較して確実に少なくなるため、焼きつきは低減される。さらに図4に示される有機EL素子の劣化特性を利用して、次のような処理を施すと焼きつきをより低減できる。
図4には有機EL素子の時間に対する輝度劣化と高抵抗化による電圧上昇の関係(図4A)、及び有機EL素子の電流電圧特性(図4B)が示されている。図4Aには横軸を時間にとり、定電流駆動を続けた時の輝度とその定電流を流すのに必要な駆動電圧の変化の過程が示され、図4Bには異なる定電流で劣化した有機EL素子a、bに横軸の電圧を印加した場合の流れる電流の違いが示されている。
有機EL素子を定電流で駆動すれば駆動電圧上昇の影響は少ないが、図4Bに示されるように、定電圧で駆動した場合、劣化度合いで有機EL素子a、bに流れる電流がIa、Ibのように差が生じるため、有機EL素子の発光効率の低下を併せると、短時間で焼きつきとなって表示に影響される。
この焼きつきを回避するには、表示デバイス2としての有機ELの非使用期間に、すべての画素の有機EL素子に定電圧を印加すればよい。これにより、より劣化の少ない有機EL素子aにはより大きな電流Iaが流れ、より劣化の少ない有機EL素子bにはより少ない電流Ibが流れる。劣化速度は有機EL素子に流れる電流が大きいほど加速されるため、有機EL素子aはより速く劣化し、有機EL素子bはゆっくり劣化が進む。やがて両者の劣化速度が同じになり、劣化が自動的に均一化されることが期待できる。
この処理は有機EL素子を表示期間に定電流で駆動するか、定電圧で駆動するかは関係なく、いずれにしても、非表示期間に定電圧を印加すればよい。
ただし、定電圧を印加して、どのくらいの電流を流すかに関しては工夫が必要である。なぜなら、あまり電流が少ないと劣化の均一化の効果が期待できないし、電流が多いと均一化はうまく作用しても全体が早く劣化し、暗くなってしまう。そこで表示されてきた映像データから例えば平均的な明るさを示すデータを算出し、そのデータと表示された時間データをもとに画素にどの程度の劣化が生じているかを予測することで、劣化均一化処理の電流を決定するとより適応的である。
例えば、ある時刻の平均的な画素データがD(t)であり、T時間表示が続いたならば、平均的な輝度劣化ΔLの程度は少なくともΔL∝∫0TD(t)*dtと見なせるであろう。したがって、あらかじめ任意で想定した一定の想定非表示期間をτとすると、劣化均一化電流a∝ΔL/τとなるように設定すればよい。劣化均一化電流aは発光期間を変えるか、電圧値を変えることにより実現される。電圧値を変えて劣化均一化電流aを変える場合、より電流差が大きくなる電圧値を設定すると効果的である。この処理により、全く点灯しなかった画素に少なくとも平均的な劣化ストレスを与えることが期待できる。ただし、劣化均一化電流の算出結果があまりに大きいと、全体の輝度低下と消費電力の観点から現実的でないため、上限値が設定されていてもよい。
有機ELの画面をユーザーが見える環境にある場合、均一化処理は消極的であるほうが望ましい。つまり、より少ない電流で暗いほうがよいが、ユーザーがもう一方のデバイス、ここではLCDを使用していて、有機ELの表示画面を見ない場合には、劣化均一化処理を比較的積極的に行ってもよい。図1のような携帯端末やノートパソコンの場合には充電中などのユーザーに目立たない、かつ十分な電力供給が得られる環境であればさらに積極的な劣化均一化処理を実行してもよい。
また、図3の表示システムの中に電流計測回路を導入して表示デバイスとしての有機ELに流れる電流を測定し、それを平均的なデータD(t)の代わりに用いて劣化均一化電流aを算出してもよい。
さらに、画素毎に点灯を制御して定電圧を印加し、画素電流を測定して劣化の度合いを画素毎に抽出し、劣化の度合いに応じて劣化均一化電流aij(画素ijの均一化電流)を各画素に与えても良い。ユーザーから均一化処理を行う表示画面が見えないのであれば、各画素を点灯して測定する状況も目立たないし、均一化処理によって見える映像も気にならない。画素個別に均一化電流を変えることでより高速に均一化処理が行われ、劣化させる必要の無い画素の劣化も最小限に抑えられるし、全面を点灯する必要がないため、より低消費電力である。
なお、この場合も非使用期間に応じて劣化均一化電流aijは変えても良い。つまり想定非使用期間τが長いときは小さく、短いときは大きくすれば良い。
ユーザーが有機EL画面を再び使い始めると、進行中の劣化均一化処理は中断されるが、この非使用期間の履歴を保存し、その履歴をもとに想定非表示期間τを更新してもよい。例えば、いくつかの最近発生した非使用期間の履歴から平均的な非使用期間を算出し、想定非表示期間τを決定すると、平均非使用期間が短いユーザー(よく有機EL画面を使うユーザー)の場合には均一化処理が積極的となり、非使用期間が長いユーザー(あまり有機EL画面を使わないユーザー)の場合には均一化処理が消極的となる。
このように、有機ELと、LCDのような異なる表示特性を有する表示デバイスを両方導入すると、有機ELの使用頻度を少なくでき、また劣化の均一化処理を行える頻度を多くできるため、劣化による焼きつきの発生を抑制できると共にディスプレイとしての性能を互いに補うことで全体としての表示性能を向上することができる。
本実施形態では、表示デバイスの組み合わせは特に限定されない。第1の表示デバイスはLCDでも電子ペーパーでもよいし、第2の表示デバイスは有機ELでもLCDでもよい。あるいは第1、第2の表示デバイスは同じ種類の表示デバイスでもよい。同じ表示デバイスでも、解像度が異なったり、画素配列がストライプ配列やデルタ配列という表示特性に違いがあるとより全体としての表示性能は向上する。なぜなら、高解像度化は視認性には利点があるが、開口率が低下するため、より明るくするためには消費電力を要する。また、ストライプ配列は水平垂直の線はシャープに表示できるものの、斜め線を滑らかに表示できず、デルタ配列ならばより自然に表示できる。つまり、それぞれコンテンツに向き不向きがあるため、多種多様なコンテンツを扱う場合には異なる表示性能を持つ表示デバイスを組み合わせることが望ましい。
同様なことは駆動方法や画素回路にも言える。このことを第1、第2の表示デバイス1、2がともに有機ELの場合を例として説明する。
図5には、デジタルデータを画素に供給して、発光期間や発光強度を制御し、画素内でデジタルアナログ変換(DA変換)を行うデジタル駆動の画素回路が示されている。図5にはダイナミック回路でDA変換を行う画素(図5A)とスタティック回路で行う画素(図5B)が示されている。
図5Aの画素回路13は、(第1)有機EL素子5、それを駆動する(第1)駆動トランジスタ6、ゲートライン10に選択電圧が印加されると、データライン9からのデジタルデータを画素内に取り込むゲートトランジスタ7、デジタルデータを保持する保持容量8から構成されている。有機EL素子5のカソードはカソード電極12、アノードは駆動トランジスタ6のドレイン端子に接続され、駆動トランジスタ6のソース端子は電源ライン11、ゲート端子は保持容量の一端とゲートトランジスタ7のソース端子へ接続されている。ゲートトランジスタ7のゲート端子はゲートライン10、ドレイン端子はデータライン9へ、また保持容量の他端は電源ライン11へ接続されている。
ゲートライン10に選択電圧が供給され、保持容量に駆動トランジスタ6をオンするのに十分低い電圧(Lowデータ)が供給されると、有機EL素子5に電源ライン11からカソード電極12へオン電流が流れ、有機EL素子5は発光する。駆動トランジスタ6がオフするのに十分高い電圧(Highデータ)が書き込まれれば有機EL素子5には電流は流れず、発光しない。デジタル駆動では、この発光期間を制御したり、発光面積や印加電圧などが異なる図5の画素を複数備えて多階調化が実現されるが、図5Aの画素では、保持容量8に書き込まれたデータは時間の経過に伴い変化するため、繰り返し一定周期でデータを書き込む必要がある。
図5Bの画素回路13では、図5Aの保持容量8が省略され、代わりに第2有機EL素子14、第2駆動トランジスタ15が導入されている。第2有機EL素子14のカソードはカソード電極12、アノードは第2駆動トランジスタ15のドレイン端子、及び第1駆動トランジスタのゲート端子とゲートトランジスタ7との接続点に接続され、第2駆動トランジスタ15のゲート端子は第1有機EL素子5と第1駆動トランジスタ6の接続点に、ソース端子は電源ライン11へ接続されている。
図5Bの画素回路13では、書き込み選択電圧(より低いLow電圧)がゲートライン10へ供給され、デジタルデータが一度書き込まれると書き込まれたデータは維持されるため、図5Aと異なり一定周期で再度データを書き込む必要はない。例えばLowデータが書き込まれれば第1駆動トランジスタ6はオンし、第2駆動トランジスタ15はオフするが、第1駆動トランジスタ6のゲート端子は第2有機EL素子14のアノードに接続されているため、ゲートトランジスタ7がオフした後も第2有機EL素子14によりLow電圧が継続して印加され、第1有機EL素子5の発光状態が維持される。Highデータが書き込まれた場合でも第1駆動トランジスタ6はオフ、第2駆動トランジスタ15はオンし第2有機EL素子14に電流が流れて発光するが、第2有機EL素子14のアノード電圧が、ゲートトランジスタ7がオフした後も、第1駆動トランジスタ6のゲート電位をHighに維持するため、第1有機EL素子5の非発光状態が維持される。ただし、第2有機EL素子14の発光は配線メタルやブラックマトリクスなどで外部へ漏れないように遮光され、第2有機EL素子14の発光によるコントラストの低下は回避される。
図5A,Bのような画素回路13を図6のように6ビット導入し、各メモリ画素13−0〜13−5の発光に寄与する有機EL素子5をその発光強度の比が1:2:4:8:16:32となるように形成すれば画素回路13においてDA変換することで6ビット階調を生成することができる。
図7には第1の表示デバイス1として、図5Bのスタティックメモリを含む画素回路13を単位画素としてアレイ状に配置したスタティック画素アレイ16、ゲートデコーダ17、データデコーダ18から構成される表示デバイスを、また第2の表示デバイス2として、図5Aのダイナミックメモリを含む画素回路13を単位画素としてアレイ状に配置したダイナミック画素アレイ19、ゲートドライバ20、データドライバ21から構成される表示デバイスを導入したデュアルサイド有機ELディスプレイ(デュアルディスプレイ装置)の表示システム例が示されている。
第1の表示デバイス1は主にキーパッドによる操作を伴うインタラクティブな表示が多いことを想定しており、ユーザーのアクションによりトリガーされて映像の表示が更新されることから、定期的な更新処理の必要のないスタティック画素アレイを採用している。各スタティックメモリを含む画素回路13のデータを更新する場合、ゲートデコーダ17により該当するゲートライン10を選択し、データデコーダ18により該当するカラムのデータのみをデータライン9に供給し、更新の必要なメモリ画素のデータのみを書き換える。一定周期で画素データを更新する必要がないため、不要なデータ転送による消費電力を低減できる。
一方、第2の表示デバイスはテレビ映像などのように一定周期で送られてくる動画データを表示するため、定期的に画素データを書き換える。したがってダイナミックメモリを含む画素回路13で十分であり、シフトレジスタなどで構成されるゲートドライバ20やデータドライバ21を用いて順次送られてくる画素データをゲートラインの上から下まで一定周期で順次更新する。
第1の表示デバイス1にはあまり色純度は必要ないが、同じ映像が表示され続けるため焼きつきにくいほうがよい。また高解像度が望ましいであろう。第2の表示デバイス2は高色純度が必要であるが、映像が頻繁に変わるため焼きつきは比較的少ないと考えられる。これらの各表示デバイスに表示されるコンテンツの特徴を考慮すると、第1の表示デバイス1は高解像度化が容易で、比較的寿命の長い白色とカラーフィルタでフルカラー化する有機EL形成手段を採用し、第2の表示デバイス2は高色純度の発光特性が得られるR(赤)G(緑)B(青)の材料をそれぞれ形成する手段を適用するなど、異なる有機ELの形成方法をそれぞれに施してもよい。
白色とカラーフィルタでフルカラー化する場合、サブピクセルをRGBの3サブピクセルに加え、白色画素Wを追加した4サブピクセルとして、使用頻度の多い白色を1サブピクセルで生成できるようにすると、カラーフィルタでのロスが少ないため、低消費電力化に効果的である。LCDの場合にもRGBWのサブピクセル構成は効果的であるし、また色域を広げるために追加するサブピクセルは異なる色であってもよい。
一方の表示デバイスが使用されている最中は、他方は非使用期間に入り、定電圧が印加され、劣化均一化処理がなされる。両面に有機ELを導入すると、焼きつきが懸念されるが、2枚に使用頻度が分散されるため、1枚あたりの焼きつきは単一の場合と比較して低減されるだけでなく、非使用期間に均一化処理を行う機会が増えるため、さらに焼きつきを低減できる。
均一化処理の間、ゲートライン10を順に選択するか、すべてのゲートライン10を同時に選択し、その間データライン9に同時にLowデータを供給すれば全画素の有機EL素子5は定電圧で点灯される。ゲートライン10を選択したまま、データライン9をLowからHighにすれば定電圧印加は解除され、これを長い周期で繰り返すと有機EL素子は点滅しながら劣化均一化処理がなされるし、短い周期で繰り返せば、中間調の表示で均一化処理がなされているように見える。点灯消灯のデューティ比を変えれば劣化均一化電流を可変することができるため、先に述べたように非使用期間の程度に応じて適応的に劣化均一化電流を制御できる。
図6のように多ビットのメモリ画素13−0〜13−5を単位画素に導入すると信号処理回路3などにフレームメモリを導入しなくて済むため、低コスト化が可能となる。特に複数の表示デバイスを搭載するディスプレイは部品点数が多くなり、コストが高くなるため、低コスト化は重要である。デジタル駆動のよい点は低温ポリシリコンTFTなどの高速動作が可能なデバイスを効果的に利用できる点である。特に低温ポリシリコンTFTを用いるとゲートデコーダ17、データデコーダ18、ゲートドライバ20、データドライバ21などのデジタル回路をメモリ画素と同じ基板上に形成できるため、ドライバICを必要とせず、低コスト化に有利である。
あるいは、いずれかの表示デバイスのみにドライバICを導入し、信号処理回路3とセレクタ4の機能を追加することで、フレームメモリなどのリソースを共有し、もう一方の表示デバイスを制御してもよい。これは片方がアナログ駆動でもう片方がデジタル駆動の場合に便利である。なぜならアナログ駆動の場合、DA変換回路をデータドライバ側に必要とするため、ドライバICとして実現するほうが容易であるからである。このドライバICに信号処理回路3とセレクタ4を導入して、もう一方の表示デバイスを制御できる手段を設ければ異なる信号を画素に供給する組み合わせでも低コストに実現できる。
あるいは低温ポリシリコンTFTを用いたアナログ回路でDA変換を行うデータドライバを形成し、もう一方のデジタル駆動の表示デバイスにドライバICを搭載し、こちらに信号処理回路3、セレクタ4を内蔵して他方を制御してもよい。ただし、アナログ駆動時の有機ELの画素回路は図5Aに示されるように、駆動トランジスタ6を定電流源として用い、保持容量8にアナログ電圧を書き込み、有機EL素子5を電流駆動することになる。
図1の携帯端末のようにより小型で精細度が求められる場合には図6のように1単位画素内に多ビットを導入することは困難である。その場合は1単位画素内の画素回路13を例えば1ビットにし、信号処理回路3か、もしくはデータデコーダ18とデータドライバ21をドライバICとして、そのドライバIC内にフレームメモリを導入して、サブフレームを用いて発光期間を制御することにより多階調化するほうがよい。表示デバイスの一つはサブフレームを用いたデジタル駆動で高精細化し、もう一方は1単位画素に多ビットを導入してメモリレスとし、低コスト化してもよい。
図5Bのスタティックメモリ画素は、データライン9をLowにプリチャージし、ゲートライン10に書き込み時とは異なる読み出し選択電圧(より高いLow電圧)を供給することで、第1駆動トランジスタ6のゲート端子に保持されているデータをデータライン9に読み出すことができる。第1駆動トランジスタ6のゲート端子にHighが保持されている際、第1駆動トランジスタ6がオフして、第2駆動トランジスタ15がオンしているが、ゲートトランジスタ7をより高い読み出し選択電圧でオンすることで、第2駆動トランジスタ15より高抵抗なオン抵抗でデータライン9と第1駆動トランジスタ6のゲート端子が接続されるため、電源ライン11から第2駆動トランジスタ15を介して、第1駆動トランジスタ6のゲート端子をHighに維持しながら電流が流れ、データライン9をLowからHighにチャージしてデータが読み出される。
第1駆動トランジスタ6のゲート端子にLowが保持されている場合には、第1駆動トランジスタ6はオン、第2駆動トランジスタ15はオフしているが、ゲートトランジスタ7をオンしてもデータライン9には変化がない。したがって一定時間経過後にデータライン9の電位を読み出すことで、LowのままであればLowデータ、Highに変化していればHighデータが保持されているものと判断する。
図5Bのメモリ画素を導入するとデータを読み出せるため、外部のフレームメモリを省略できる。
例えば、第1、第2の表示デバイス1、2として、両方に同じ単位画素数のスタティック画素アレイを導入すると、片方を表示に使用している際、もう片方をメモリデバイスとして用いることができる。そうすれば、例えばそれぞれ1単位画素に3ビットのメモリ画素を導入しているとすると、外部にメモリを導入しなくとも、表示に使われていないもう片方の3ビットのメモリ画素を用いて6ビット階調を表示できる。
片方がLCDの場合でも同様に、図5Bのメモリ画素によるスタティック画素アレイをメモリデバイスとして用いればフレームメモリの一部として動作させることで、LCDの表示に用いるフレームメモリの一部を削減することができるし、LCDの画素にスタティックメモリを導入して、有機ELの表示の際にそのメモリを表示メモリの一部として利用してもよい。
いずれの場合でも、スタティック画素アレイを表示デバイスとして用いず、情報を格納するメモリデバイスとして用いる場合、その情報によって、有機EL素子が発光するため、電力を消費するし、この不要な発光により、有機EL素子が劣化する。これを避けるため、有機EL素子に流れる電流をできる限り小さくする目的で、メモリデバイスとして用いる場合に限り、有機EL素子に印加する電圧を、メモリ画素として動作する最低のレベルまで下げて動作させることが望ましい。
図8には、デュアルサイド有機ELディスプレイモジュールの全体構成が示されている。従来では片面にトランジスタ及び有機EL素子が形成された表示デバイスガラス基板と、片面に乾燥剤用のポケットが設けられ、その中に乾燥剤が入れられた封止ガラス基板の2枚を張り合わせて、周辺をシールする形態が用いられていたが、これを応用することで両面に表示デバイスを備える場合でも適切に封止することができる。両面に乾燥剤用のポケットを設けた封止用ガラス基板22を用意し、両面の乾燥剤用ポケットに乾燥剤を入れ、表示デバイス1、2のガラス基板を封止ガラス基板22の両側から挟み込み合わせ、両方の周辺をシールすればガラス3枚で従来同様の封止効果が期待できる。その後、各表示デバイス1、2のガラス基板に映像信号や制御信号を供給するためのフレキケーブルを圧着すれば、図8のモジュールは完成する。
表示デバイスとして有機ELを用いると1枚のガラス基板上に表示デバイスを形成できるため、モジュールを非常に薄くできる。図2のパーソナルモニターの場合も同様に作製できるため、デュアルサイド有機ELディスプレイが大型化してもその厚みを薄くすることができる。
LCDでもバックライトを表と裏で共有し、薄いデュアルサイドLCD(デュアルディスプレイ装置)を形成可能であるが、共有されるバックライトの光の一部は使用されていない他方のLCDに使用されるため、シングルサイドの場合よりも明るくしなくてはならず、共有する効果が少ない。したがって、デュアルディスプレイ装置を構成するならばいずれかの表示デバイスに有機ELディスプレイを用いるとモジュールの厚みをより薄くすることができる。
以上説明してきた内容はガラス基板、プラスチック基板、あらゆる基板に対しても同様に適用可能であるし、画素回路を形成する半導体材料の種別にも依存しない。また表示デバイスが透過型、反射型かにも依存しない。
また、デュアルディスプレイ装置を構成する際、表示デバイス同士を直接張り合わせて形成しなくともよく、間に放熱板や、駆動回路基板を介してモジュール化される形態であってもよい。
1 第1の表示デバイス、2 第2の表示デバイス、3 信号処理回路、4 セレクタ、5 (第1)有機EL素子、6 (第1)駆動トランジスタ、7 ゲートトランジスタ、8 保持容量、9 データライン、10 ゲートライン、11 電源ライン、12 カソード電極、13 画素回路、14 第2有機EL素子、15 第2駆動トランジスタ、16 スタティック画素アレイ、17 ゲートデコーダ、18 データデコーダ、19 ダイナミック画素アレイ、20 ゲートドライバ、21 データドライバ、22 封止ガラス基板。

Claims (6)

  1. 同じ映像信号の表示が可能なディスプレイを2つ有するデュアルディスプレイ装置であって、
    2つのディスプレイの画素は、表示データを記憶するメモリとして利用可能であり、一方のディスプレイを表示に利用する際に他方のディスプレイの画素を表示データのメモリとして利用することを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
  2. 請求項1に記載のデュアルディスプレイ装置において、
    2つのディスプレイは、有機ELディスプレイであることを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
  3. 請求項2に記載のデュアルディスプレイ装置において、
    前記有機ELディスプレイの各画素には、スタティックメモリが設けられていることを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
  4. 請求項2または3に記載のデュアルディスプレイ装置において、
    前記有機ELディスプレイの各画素は、一方のRGB画素がそれぞれ異なる有機EL材料で形成され、他方は白色有機EL材料とカラーフィルタで形成されていることを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のデュアルディスプレイ装置において、
    封止基板が両ディスプレイで共有されていることを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のデュアルディスプレイ装置において、
    前記メモリとして利用可能な画素は、表示メモリの一部として利用されている場合、表示時と異なる電圧で駆動されて低消費電力で動作することを特徴とするデュアルディスプレイ装置。
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