JP2012118249A - 眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シロキサン系被覆層を中間層として有する眼鏡レンズにおいて品質の低下を抑制するための手段を見出し、これにより高品質な眼鏡レンズを提供すること。
【解決手段】レンズ基材上に、シロキサン系被覆層と少なくとも一層の機能性層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法。上記シロキサン系被覆層表面に紫外線照射処理を施し、次いで加熱処理を施した後に該シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を行うこと、および、上記洗浄処理後のシロキサン系被覆層表面に前記機能性層を形成すること、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼鏡レンズの製造方法に関するものであり、詳しくは、レンズ基材上に形成された機能性層同士の密着性が良好な眼鏡レンズの製造方法に関するものである。
眼鏡レンズは、一般に、レンズ基材により所望の屈折率を実現した上で、基材上に設けられる機能性層により各種性能(調光性能、反射防止能、耐久性向上等)が付与される(例えば特許文献1参照)。
特開2004−35613号公報
上記機能性膜の中で、特許文献1に記載されているようなシロキサン系被覆層は、いわゆるハードコート層として機能するものであり、眼鏡レンズの最表層のみならず中間層として形成することでも眼鏡レンズに耐衝撃性を付与することができ、これにより優れた耐久性を有する眼鏡レンズを提供することができる。
しかし本発明者らの検討の結果、中間層としてシロキサン系被覆層を有する眼鏡レンズでは、眼鏡レンズ製造直後ないし使用中に機能性層の剥離が生じる、機能性層が白化する等の現象が生じ、品質が低下する場合があることが明らかとなった。
そこで本発明の目的は、シロキサン系被覆層を中間層として有する眼鏡レンズにおいて、品質の低下を抑制するための手段を見出し、これにより高品質な眼鏡レンズを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、シロキサン系被覆層中のシロキサン系化合物が紫外線の影響により低分子量化し上層にブリードアウトすることが、各種品質低下の原因であると推察するに至った。
しかるに、眼鏡レンズの製造工程や使用環境下において、紫外線の影響を避けることは事実上不可能である。仮にレンズ製造工程において紫外線照射工程を排除したとしても、日常的な使用環境では紫外線の影響は避けられない。
そこで本発明者らは更に検討を重ね、シロキサン系被覆層から製造工程や使用環境においてブリードアウトが懸念される成分を、紫外線照射→加熱処理→洗浄処理、により予め除去したうえで機能性層の形成を行うことにより、機能性層形成中や使用環境におけるシロキサン系被覆層からのブリードアウトによる眼鏡レンズの品質低下を防ぐことができることを新たに見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]レンズ基材上に、シロキサン系被覆層と少なくとも一層の機能性層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法であって、
上記シロキサン系被覆層表面に紫外線照射処理を施し、次いで加熱処理を施した後に該シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を行うこと、および、
上記洗浄処理後のシロキサン系被覆層表面に前記機能性層を形成すること、
を含むことを特徴とする、前記眼鏡レンズの製造方法。
[2]前記シロキサン系被覆層上にフォトクロミック層を形成する、[1]に記載の眼鏡レンズの製造方法。
[3]前記機能性層の形成において紫外線照射が行われる、[1]または[2]に記載の眼鏡レンズの製造方法。
[4]前記シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を、溶剤による拭き取りにより行う、[1]〜[3]のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造方法。
本発明によれば、耐久性の低下等のない高品質な眼鏡レンズを提供することができる。
ハードコート層におけるシロキサン系化合物の存在およびシロキサン系化合物のプライマー層への透過浸出の確認結果(TOF−SIMS分析結果)を示す。
本発明は、レンズ基材上に、シロキサン系被覆層と少なくとも一層の機能性層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法に関する。なお本発明において、シロキサン系被覆層とは、シロキサン系化合物、即ちシロキサン結合(Si−O−Si)を有する化合物を含む被覆層をいうものとする。当該被覆層は、先に説明したようにシロキサン系化合物の低分子量化により、上層へのブリードアウトが生じることが懸念される。これに対し本発明の眼鏡レンズの製造方法では、シロキサン系被覆層表面に紫外線照射処理を施し、次いで加熱処理を施した後に該シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を行い、上記洗浄処理後のシロキサン系被覆層表面に機能性層を形成する。これによりブリードアウトが懸念される成分を予め除去した後に機能性層を形成することが可能となり、シロキサン系被覆層のブリードアウトによる上層に位置する機能性層の品質低下を防ぎ、高品質な眼鏡レンズを提供することができる。
以下、本発明の眼鏡レンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
レンズ基材
レンズ基材としては、特に限定されるものではなく、プラスチック、無機ガラス等の通常のレンズ基材を用いることができる。プラスチックとしては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体等などが挙げられる。レンズ基材の厚さは、特に限定されるものではないが、通常1〜30mm程度である。レンズ基材の直径は、例えば50mm〜100mm程度、通常の眼鏡レンズでは70〜80mm程度である。また、その上にシロキサン系被覆層が設けられる基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
シロキサン系被覆層
シロキサン系被覆層とは、一般にハードコート層として用いられる各種シロキサン系被覆層を挙げることができる。レンズ基材の中には、シロキサン系被覆層がハードコート層として形成された状態で市販されているものもあり、本発明ではそのようなレンズ基材を使用して眼鏡レンズを製造することもできる。レンズ基材上の形成されるシロキサン系被覆層は、通常、耐久性向上の観点から0.5〜10μmの厚さとされるが特に限定されるものではない。
シロキサン系被覆層は、レンズ基材上にコーティング組成物を塗布し必要に応じて硬化処理を施すことにより形成することができる。コーティング組成物としては、耐久性向上の観点からは、シロキサン系化合物とともに金属酸化物粒子を含むものが好ましい。そのようなコーティング組成物の一例としては、特開昭63−10640号公報に記載されているものを挙げることができる。または、特表2001−520699号公報に記載されている組成物を用いることもできる。
また、上記シロキサン系被覆層に含まれる成分としては、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物を挙げることもできる。
(R1a(R3bSi(OR24-(a+b) ・・・(I)
一般式(I)中、R1は、グリシドキシ基、エポキシ基、ビニル基、メタアクリルオキシ基、アクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、フェニル基等を有する有機基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアシル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、aおよびbはそれぞれ0または1を示す。
2で表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖または分岐のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
2で表される炭素数1〜4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
2で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
3で表される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖または分岐のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
3で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、特開2007−077327号公報段落[0073]に記載されているものを挙げることができる。一般式(I)で表される有機ケイ素化合物は硬化性基を有するため、塗布後に硬化処理を施すことにより、硬化膜としてハードコート層を形成することができる。
前記コーティング組成物に含まれる金属酸化物粒子は、ハードコート層の屈折率の調整および硬度向上に寄与し得る。具体例としては、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb25)等の粒子が挙げられ、単独または2種以上の金属酸化物粒子を併用することができる。金属酸化物粒子の粒径は、耐擦傷性と光学特性とを両立する観点から、5〜30nmの範囲であることが好ましい。同様の理由から、シロキサン系被覆層における金属酸化物粒子の含有量は、屈折率および硬度を考慮して適宜設定可能であるが、通常、コーティング組成物の固形分あたり5〜80質量%程度である。また、上記金属酸化物粒子は、被覆層中での分散性の点から、コロイド粒子であることが好ましい。
シロキサン系被覆層は、具体的には、上記成分および必要に応じて有機溶媒、界面活性剤(レベリング剤)等の任意成分を混合して調製したコーティング組成物をレンズ基材上に塗布し、硬化性基に応じた硬化処理(熱硬化、光硬化等)を施すことにより形成することができる。塗布手段としては、ディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通常行われる方法を適用することができる。また、上記シロキサン系被覆層は、レンズ基材表面に直接設けてもよく、公知のプライマー層等を介して形成してもよい。
シロキサン系被覆層への処理
本発明では先に説明したように、シロキサン系被覆層表面に、紫外線照射→加熱処理→洗浄処理、を施す。紫外線照射によりシロキサン系被覆層中の低分子量化しやすい成分が低分子量化し、この低分子量化した成分が加熱処理によりシロキサン系被覆層表面に染み出し、これを洗浄処理により除去することで、製造工程ないし使用中にシロキサン系被覆層から低分子量化した成分がブリードアウトし、機能性層の密着性低下や白化を起こすことを防ぐことができると、本発明者らは推察している。
以下、上記処理について、順次説明する。
紫外線照射処理は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、無電極ランプ等の公知の光源を用いて行うことができる。照射する紫外線の波長は、例えば波長200〜420nm程度である。光源とシロキサン系被覆層表面との距離、照射エネルギー、照射時間は、シロキサン系被覆層の組成や膜厚を考慮して調整することが好ましい。具体的には、照射エネルギーは1〜100J/cm2とすることができ、1〜75J/cm2することが好ましい。例えば、光源と塗布面との距離は100〜300mm、照度は100〜250mW/cm2、照射時間は10〜400秒とすることができる。照射時間に関しては10〜300秒であるとさらに好適である。
紫外線照射処理後に行われる加熱処理は、例えば、紫外線照射処理後のシロキサン系被覆層を含むレンズ基材全体を加熱炉に導入して行うことができ、または紫外線照射処理後のシロキサン系被覆層表面上に赤外線ランプ等の熱源を配置して行うこともできる。紫外線照射により低分子量化した成分をシロキサン系被覆層表面に効率的に染み出させるためには、シロキサン系被覆層の表面温度が90〜120℃程度となる条件下で0.5〜12時間程度、加熱処理を施すことが好ましい。前記表面温度を90℃以上、加熱時間を0.5時間以上とすれば、低分子量化した成分がシロキサン系被覆層表面に短時間で染み出すため好ましい。また、前記表面温度を120℃以下、加熱時間を12時間以下とすれば、加熱による基材の劣化や着色の発生を抑制ないし防止できるため好ましい。
上記加熱処理後に行う洗浄処理は、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、溶剤洗浄等の各種方法で行うことができる。中でも溶剤による拭き取り処理を行うことが、洗浄処理により表面荒れを起こすことなく、低分子量化した成分を効率的に除去することができ好ましい。溶剤としては、100℃以下で容易に揮発する有機溶剤を用いることが、洗浄処理後の表面に溶剤が多量に残留しその後の工程に影響を及ぼすことを回避するうえで好ましい。この点から好ましい溶剤としては、イソヘキサン、シクロヘキサン、等の無極性溶媒や、アセトン、メタノール等の極性溶媒を挙げることができる。
機能性層の形成
上記洗浄処理後、シロキサン系被覆層表面に必要に応じて乾燥処理を施した後、機能性層を形成する。機能性層としては、眼鏡レンズに通常設けられる各種機能性層を挙げることができる。具体的には、フォトクロミック層、偏光層、反射防止層、撥水層等を挙げることができ、これら層の密着性を高めるために層間にプライマー層を形成することもできる。
本発明者らの検討によれば、シロキサン系被覆層上に形成すると密着性低下や白化が生じやすい機能性層はフォトクロミック層であった。これは、フォトクロミック層は通常、紫外線照射による硬化処理を経て形成されるため、硬化処理中にシロキサン系被覆層においてシロキサン系化合物の低分子量化が起こりやすいためであると推察される。これに対し本発明によれば、フォトクロミック層形成前に低分子量化しやすい成分を除去することで、上記硬化処理によるシロキサン系被覆層からのブリードアウトを抑制できると考えられる。したがって本発明は、シロキサン系被覆層上にフォトクロミック層を有する眼鏡レンズの製造方法として好適である。
また、通常、フォトクロミック層とシロキサン系被覆層との間には、両層の密着性を高めるためにプライマー層が形成されるが、本発明者らにより、シロキサン系被覆層上にプライマー層とフォトクロミック層を有する眼鏡レンズでは、プライマー層とフォトクロミック層との密着性が低下する現象が確認された。この現象も、フォトクロミック層の硬化処理時にシロキサン系被覆層から低分子量化された成分がブリードアウトすることが原因と考えられる。この現象もまた、プライマー層およびフォトクロミック層形成前に低分子量化しやすい成分を除去することで抑制できると考えられる。したがって本発明は、シロキサン系被覆層上に、プライマー層とフォトクロミック層をこの順に有する眼鏡レンズの製造方法としても好適である。
本発明においてフォトクロミック層は、例えば特開2009−285978号公報段落[0040]〜[0095]に記載の組成物を塗布および紫外線照射により硬化することによって形成することができる。フォトクロミック層の厚さは通常、フォトクロミック特性を良好に発現させる観点から、10μm以上であることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。フォトクロミック層形成用の組成物の塗布は、スピンコート法、ディップ法等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線照射条件は、組成物の組成および形成するフォトクロミック層の厚さに応じて決定すればよい。また、プライマー層としては、接着層として機能し得る、ポリウレタン等の公知の樹脂を用いることができる。プライマー層の厚さは、密着性向上の観点から、0.5〜10μm程度とすることが好適である。
以上説明した本発明の製造方法によれば、シロキサン系被覆層に起因する機能性層の品質低下が防止ないし抑制された、高品質な眼鏡レンズを提供することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.ハードコート層におけるシロキサン系化合物存在および低分子量化の確認
市販のメニスカス形状のレンズ基材(厚さ約3μmのハードコート付きポリカーボネート基材)の凸面側に、ハードコート層の上面からUV照射+加熱処理を行った。その後、プライマー液としてポリウレタン骨格にアクリル基を導入したポリウレタンの水分散液(ポリカーボネートポリオール系ポリウレタンエマルジョン)をスピンコート法により塗布した。プライマー層の表面についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析により得られた分子量分布および帰属を、図1に示す。UV照射条件は、UVランプで波長405nmの紫外線を20J/cm2の強度で少なくとも50秒とし、加熱処理は、100℃のオーブンに投入し、十分に加熱することで行った。
プライマー層成分としてはシロキサン系化合物が実質的に含まれないため、図1に示すようにUV照射+加熱処理後に形成したプライマー層にシロキサン系化合物が存在することは、ハードコート層にシロキサン系化合物が存在し、これがUV照射+加熱処理によりシロキサン系ハードコート層から染み出して、プライマー層を透過してその表面に浸出したことを示す結果である。先に説明したように、UV照射により低分子量化した成分が加熱処理によりハードコート層表面に染み出したため、プライマー層表面においてシロキサン系化合物が検出されたと推察される。
2.フォトクロミックレンズ作製の実施例・比較例
(1)ハードコート層の処理
上記1.と同様のレンズ基材に対して、下記表1に示す処理を施した。
上記表1に示す処理は、それぞれ以下の方法で行った。
紫外線照射:UVランプで波長405nmの紫外線を20J/cm2の強度で50秒以上照射。
加熱処理:100℃のオーブンに投入し、加熱。
溶剤による拭き取り:シクロヘキサンを90質量%以上含む溶剤を紙製のウエスに軽く湿潤させ、ハードコート層表面を人の手で拭き取り。
(2)プライマー層の形成
上記処理を施したハードコート層表面に、上記1.と同様の方法のポリウレタン水分散液をスピンコート法により塗布した後、温度25℃湿度50%RHの雰囲気下で15分風乾処理し、厚さ約7μmのプライマー層を形成した。
(3)フォトクロミック層の形成
上記(2)で形成したプライマー層上にフォトクロミック色素を含む硬化性組成物をスピンコート法でコーティングした。その後、このレンズを窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)にて、UVランプで波長405nmの紫外線照射し、さらに、100℃で硬化処理を行い、厚さ40μmのフォトクロミック層を形成した。
以上の工程により、レンズ基材上にシロキサン系ハードコート層、プライマー層、フォトクロミック層をこの順に有する実施例1および比較例1、2のフォトクロミックレンズを得た。
3.密着性の評価
フォトクロミック層側のレンズ表面を1.5mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットしたところに粘着テープ(セロファンテープ ニチバン株式会社製)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がした後の100目中の剥離マス目数を調べた。実施例1では剥離マス目は0であったのに対し、比較例1、2および3ではすべてのマス目(100)が剥離した。
この結果から、シロキサン系ハードコート層表面に紫外線照射→加熱処理→洗浄処理を施した後に機能性膜を形成することにより、機能性膜の密着性を良好に維持できることが確認された。
本発明は、フォトクロミックレンズ等の各種眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (4)

  1. レンズ基材上に、シロキサン系被覆層と少なくとも一層の機能性層とをこの順に有する眼鏡レンズの製造方法であって、
    上記シロキサン系被覆層表面に紫外線照射処理を施し、次いで加熱処理を施した後に該シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を行うこと、および、
    上記洗浄処理後のシロキサン系被覆層表面に前記機能性層を形成すること、
    を含むことを特徴とする、前記眼鏡レンズの製造方法。
  2. 前記シロキサン系被覆層上にフォトクロミック層を形成する、請求項1に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  3. 前記機能性層の形成において紫外線照射が行われる、請求項1または2に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  4. 前記シロキサン系被覆層表面の洗浄処理を、溶剤による拭き取りにより行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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