JP2012116877A - 植物油および植物粕の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物種子を圧搾又は圧搾・抽出することにより植物油を製造するにおいて、精製工程の簡素化およびコストの大幅な削減が可能となる製造方法、およびこの植物油の製造において副産物として生じる植物粕の成分調整が容易である植物粕の製造方法を提供する。
【解決手段】脱脂菜種種皮を、脱皮菜種種子、脱皮ジャトロファ種子及び米糠からなる群から選択されてなるいずれかに対して、配合した後、圧搾することを特徴とする植物油の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は植物油および植物粕の製造方法の製造方法に関するものである。詳しく述べると本発明は、植物種子を圧搾又は圧搾・抽出することにより植物油を製造するにおいて、精製工程の簡素化およびコストの大幅な削減が可能となる製造方法、およびこの植物油の製造において副産物として生じる植物粕の成分調整が容易である植物粕の製造方法に関するものである。
従来、菜種(キャノーラ種を含む)、ジャトロファなどの植物種子を圧搾又は圧搾・抽出して、植物油を製造することが広く行われている。一方で、大豆、米糠等の油分の少ない植物原料については、圧搾を行わず最初から溶剤で油分を抽出することも行われている。
このうち、菜種油の風味は淡白で軽く、酸化安定性が高い上に、大豆油と比較して加熱安定性も優れているなど特徴から、わが国において食用油として菜種油は最も大きな需要を有している。
菜種には、油分が約40〜45質量%存在し、従来、菜種油を製造するには、一般にまず菜種を圧扁し、熱処理を加えた後に、圧搾機で搾油することが行われていた。これにより菜種含油の約1/2〜約3/4を採取することができる。次に、圧搾粕に残された油は、n−ヘキサンを用いて抽出される。抽出された油は、その後、脱溶剤工程を経た後に、先の圧搾工程で得られた油と併せられ又は別々に、脱ガム工程および精製工程(脱酸、脱色、脱ロウ、脱臭)の一連の工程にかけられる。
ここで、菜種の種皮は、菜種種子の12〜18質量%を占め、その含有油分は8〜15%程度である。また、菜種の種皮には、タンニン等の苦味成分とダークカラーの原因となるクロロフィルも多く含まれている。このため、従来のような圧搾、抽出工程を経て製造された圧搾油および抽出油の中には、菜種種皮に含まれていた食用油として適さない多くの成分が含まれていることとなる。従って、油の精製工程においては、これらの成分を取り除くために、多大な労力とコストが必要となっていた。また、副産物として得られる菜種粕は蛋白含有量が低く、家畜飼料としての機能性は十分なものとはいえないものであった。さらに、圧搾後に圧搾粕に残存する油分を抽出するための抽出工程において、圧搾粕の菜種種子には種皮が付着したままであり、この種皮の存在によってn−ヘキサン等の抽出溶媒と種子の胚珠部位との接触が十分に行われない部分が生じ、いわゆる「抽出むら」が起こり、抽出効率の低下および不安定化を招いていた。
このような観点から、菜種を脱皮してから搾油することも、従前に考慮されたこともあったが、脱皮した菜種種子を圧搾しようとすると、脱皮菜種種子はその表面が平滑となり油分も多く含むこともあって、圧搾機でうまく圧搾できずに圧搾効率が低下しまうため、
現状菜種の脱皮処理はほとんど行われていない(非特許文献1)。また、脱皮菜種を圧搾した際に得られる菜種粕は、その残油分が高くかつ粕がもろい為抽出機のセルが目詰りし易く、抽出機の効率が悪くなってしまうものであった。
菜種油をはじめとする植物油の製造方法としては、この他にも、搾油効率の改善、油の精製度の向上、それに歩留まりの増大等を目的として、様々な改良が加えられてきた。
例えば、上記したような従来の製造方法では、菜種油成分の加水分解が著しく、遊離脂肪酸と非水和性リン脂質を多量に生じさせ、その結果、原油の精製が非常に困難であり精製歩留りが低い、といった問題を有する。そこで、菜種種子を圧扁せずに丸粒のまま90℃以下という低温にてクッキングし、その後圧搾して菜種油を得る方法が提案されている(特許文献1)。しかしながらこの方法においても、圧搾粕を抽出処理する際には非水和性リン脂質の発生を十分に抑えることはできず、原油は精製し易いものではない。
また、水分含量5〜20重量%の菜種種子を丸粒のまま101〜150℃、1〜120分間加熱後、菜種種子の組織を破壊することを特徴とする菜種油の製造方法が提案されている(特許文献2)。この方法によれば、予め種子中の酵素を高温加熱により失活させておいてから、種子組織の破壊を行ため、組織破壊によって、酵素と油成分とが接触し更に酵素活性温度にまで昇温されたとしても、既に酵素は失活しているので、もはや油成分が加水分解されることがなく、従って遊離脂肪酸や難脱ガム性リン脂質も生成しないということから、脱ガム工程が容易となり、またグルコシノレート含量の少ない圧搾粕が得られることから圧搾粕の飼料原料としての利用にも適するものであることが述べられている。
しかしながら、このような方法であっても、菜種を脱皮することなく用いた場合、圧搾油ないし抽出油中には、上記したような菜種種皮に含まれていた食用油として適さない多くの成分が含まれていることとなり、このような成分の除去に要する精製工程の必要性は根本的に解決されていない。また、得られる圧搾粕は、グルコシノレート含量の少ないと述べられているものの、低蛋白質のものであって、家畜肥料としての機能性の改善は不十分なものであった。
また、特許文献1においては、脱皮種子を用いることも可能であることも述べられているが、この場合、圧搾機でうまく圧搾できずに圧搾効率が低下しまうという問題は残ることとなる。
一方、ジャトロファなどの菜種以外の植物種子を圧搾又は圧搾・抽出して、植物油を製造する場合においても、上記したような種皮に含まれる成分に由来して精製工程に要する労力およびコストが多大となることが菜種油の場合と同様に問題となっていた。
米国特許第4024168号明細書 特願平4−123428号公報
Fat and Oil HandBook, Michael Bockisch, AOC Press (1993), 第371〜372頁
従って、本発明は、上記したような従来技術における問題点を鑑み、植物種子を圧搾又は圧搾・抽出することにより植物油を製造するにおいて、精製工程の簡素化およびコストの大幅な削減が可能となり、かつ抽出の際の抽出むらの発生が抑制される製造方法、およびこの植物油の製造において副産物として生じる植物粕の成分調整が容易である植物粕の製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究および検討を重ねた結果、菜種種子を圧搾または圧搾・抽出して菜種油を得るにおいて、まず菜種種子を脱皮し、脱皮処理により得られた種皮を、圧搾又は圧搾・抽出又は抽出処理にかけて、種皮より油分を採取して脱脂菜種種皮を調製し、この脱脂菜種種皮を所定量、脱皮菜種種子あるいは他種の脱皮種子に加えて混合した後、この脱皮種子と脱脂菜種種皮との混合物を、圧搾又は圧搾・抽出にかけると、(1)脱皮種子のみを圧搾又は圧搾・抽出にかけた場合と比較して、圧搾処理が効率よく行えること、(2)また圧搾又は圧搾・抽出により得られた植物油は、菜種種皮に含まれていた食用油として適さない成分をほとんど含有しないため、その後の精製に要する労力およびコストを大幅に削減可能であること、(3)圧搾後に圧搾粕を抽出工程にかけた場合において、抽出むらの発生が抑制され、安定かつ高効率で油分抽出が可能であること、(4)さらに脱皮種子に対する脱脂菜種種皮の配合量を調整可能であるため、副産物として得られる圧搾粕の蛋白含有量を所望値とすることができ、高機能性家畜肥料として提供可能である等の利点が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、上記課題を解決する本発明に係る植物油の製造方法は、このような知見に基づきなされたものであり、脱脂菜種種皮を、脱皮菜種種子、脱皮ジャトロファ種子及び米糠からなる群から選択されてなるいずれかに対して、配合した後、圧搾することを特徴とするものである。
本発明はまた、上記植物油の製造方法において得られる植物粕の製造方法であって、脱脂菜種種皮の配合量を調整することにより、得られる植物粕の蛋白含有量および嗜好性を調整することを特徴とするものである。また、ジャトロファ種子は発ガン性物質であるホルボールエステルを含み、その多くは皮に含まれると言われている。本皮部を脱皮した後に、脱脂菜種種皮と混合して圧搾する事で、毒性の少ない圧搾粕の製造が可能となる。
本発明によれば、上記したように、菜種種子を予め脱皮処理して、脱皮菜種種子および菜種種皮に分離し、得られた菜種種皮を圧搾又は圧搾・抽出又は抽出処理にかけて、種皮より油分を採取して脱脂菜種種皮を調製し、この脱脂菜種種皮を脱皮菜種種子に配合した後、この脱皮種子と脱脂菜種種皮との混合物を、圧搾又は圧搾・抽出にかけるものであることから、食用油に適さない菜種種皮に含まれる多くの成分を除去した脱脂菜種種皮を使用して脱皮菜種種子から圧搾油及び抽出油を製造する為、圧搾油及び抽出油に溶け込む食用油に適さない成分の含有量が少なくなり、従来の方式と比べ精製コストを削減する事ができる。また、脱脂菜種種皮を脱皮菜種種子に配合することによって、脱皮菜種種子のみを圧搾する場合と比較して、圧搾機において種子原料のスベリ・逃げが防止でき、圧搾効率を高めることができる。さらに、圧搾粕をn−ヘキサン等の抽出溶媒を用いて抽出処理する際に、圧搾粕に含まれる脱脂種皮部分と圧搾種子内部(胚珠)部分とが分離されているために、脱皮してない菜種種子を用いた場合の圧搾粕を抽出処理する場合と比較して、抽出溶媒と圧搾種子内部(胚珠)部分との接触が均一に行われるため、抽出効率の向上および安定化を図ることができる。
また、本発明によれば、脱脂菜種種皮をそのまま加えるか又は粉砕して加え、添加量を調整する事により高蛋白質の菜種粕や嗜好性の改善された菜種粕の製造が可能となる。
さらに、本発明によれば、菜種以外の原料、すなわち、ジャトロファ種子及び米糠を原料として植物油を製造する場合においても、脱脂菜種種皮を、脱皮菜種種子、脱皮ジャトロファ種子及び米糠に対し、脱脂菜種種皮を配合して、圧搾処理又は圧搾・抽出処理を行うことで、植物油に適さないこれらの種子種皮に含まれる多くの成分を除去したかたちで、植物油を得ることができ、上記菜種種子の場合と同様に、従来の方式と比べ、精製コストの削減、圧搾効率の向上、抽出効率の向上を図ることができ、また、得られる植物粕の蛋白含有量や嗜好性の改善が可能となる。
は、本発明の植物油の製造方法の一実施形態における各工程を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明に係る植物油の製造方法は、脱脂菜種種皮を、脱皮菜種種子、脱皮ジャトロファ種子及び米糠からなる群から選択されてなるいずれかに対して、配合した後、圧搾することを特徴とするものである。
1.原料
まず、本発明に係る植物油の製造方法において、用いられる各原料について説明する。
(1)菜種
本発明において用いられる菜種としては、特に限定されるものではなく、従来、植物油の製造に用いられている各種の品種のものが含まれ得る。すなわち、菜種とは、アブラナ科(Cruciferae)、アブラナ属(Brassica)に属する植物であって、北 欧、シベリア、カスピ海近辺などが原産地とされており、主なものに、Brassica campestris(在来種、和種)とBrassica napus(西洋種)の二種があるが、これらのいずれのものも包含される。
さらに、菜種には、品種改良によって作り出された、エルカ酸およびグルコシノレート双方の含量の低い、いわゆるダブル・ロー・タイプ(Doube Low Type)のキャノーラ(Canola)種(この「キャノーラ種」とは、油脂中のエルカ酸含量が2%以下で、かつ乾燥粕中のグルコシノレート含量が30μg/ml以下のBrassica campestris系またはBrassica napus系品種の菜種である、とする旨が定義されている(カナダ・キャノーラ協会))があり、一般的には、このキャノーラ種より製造された油はキャノーラ油(canola oil)として、菜種油(rapeseed oil)と区別される場合もあるが、本願明細書において「菜種」ないし「菜種油」という場合には、このようなキャノーラ種およびキャノーラ油も包含されるものである。
なる。
(2)その他の種子
本発明において用いられるその他の種子、すなわち、ジャトロファ種子としても、特に限定されるものではなく、従来、植物油の製造に用いられている各種の品種のものが含まれ得る。すなわち、ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)種子は、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、ナンヨウアブラギリ属(Jatropha)に属する植物の種子であれば、野生種ないし改良種のいずれでも良い。
(3)米糠
本発明において用いられる米糠とは、一般的に知られるように、イネ科(Poaceae)の植物である稲の果実である籾から外皮を取り去った粒状の穀物、すなわち、米を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分(穎果の表層部分)であり、植物油原料として用いることができるものであれば、特にその品種、亜種等は問わない。
2.脱皮菜種種子および菜種種皮
次に、本発明において用いられる脱皮菜種種子および菜種種皮について説明する。
本明細書において用いられる脱皮菜種種子および菜種種皮とは、上記したような菜種種子を、完全脱皮あるいは部分脱皮処理し、分別された結果物のことを意味する。
ここで、完全脱皮あるいは部分脱皮とは、特に限定されるものではないが、少なくとも15%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは88%以上の種皮を脱皮したものであることが望まれる。すなわち、脱皮の割合が15%未満では、上記したような本発明の所期の効果が十分に得られない可能性があるためである。
従って、一般に菜種種子は、種皮が種子質量の12〜18%を占めるが、当該脱皮処理により得られる脱皮菜種種子は、その種皮含有量が、15.72%未満、好ましくは10.38%未満、より好ましくは5.17%未満、さらに好ましくは1.44%未満となることが望ましい。
なお、脱皮処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、空気衝撃法、すなわち、壁面に対して種子を吹き付け、種子を割裂させる方法や、所定の変形を種子に加える方法等を用いることができる。
3.菜種油の製造方法
次に本発明の植物油の製造方法の一実施形態として、菜種油および菜種粕の製造について説明する。
図1は、本実施形態に係る菜種油および菜種粕の製造の各工程を説明するフローチャートである。
図1に示すように、菜種油および菜種粕の製造においては、まず、必要に応じ、常法に基づき、菜種種子の精選(選別)を行う。
すなわち、製油所に運び込まれた菜種種子に混在する異種植物の種子に茎や葉、傷の付いた種子、未熟種子などを除去する。この種子の精選は、フルイ(篩)分け、種子の比重差を利用する風別、磁石による鉄片の除去などを適宜組み合わせて実施する。また、傾斜した振動篩板上に均一な空気層を形成することで、種子のわずかな比重差に基づいて正確に優良な菜種種子だけを選抜する方法(キップケリー方式)や、グレンセパレーターなども利用できる。
次に、精選された菜種種子を脱皮処理にかけ、脱皮菜種種子および菜種種皮に分離する。脱皮処理の方法としては、上記に例示したような方法を用いることができる。
そして、脱皮処理によって脱皮菜種種子より分離された菜種種皮を、まず単独で脱脂処理する。菜種種皮の脱脂方法としては、物理的な圧搾方法(バッチ式または連続式圧搾方法)と、n−ヘキサン等の有機溶剤を用いた化学抽出法、あるいは圧搾後に抽出を行うこれらを併用する方法が挙げられるが、これらいずれの方法も、菜種種皮の脱脂処理として利用できる。
菜種種皮は、一般に含有油分が8〜15%程度であるが、この脱脂処理によって、含有油分が5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは0.5〜1.0%程度となる脱脂菜種種皮とすることが望ましい。すなわち、脱脂菜種種皮の含有油分が7%を超えるものであると、残存油分とともにタンニン等の苦味成分とダークカラーの原因となるクロロフィル等も多く残存してしまうので、本発明の製造方法における精製工程の改善効果が十分なものとならない虞れが生じるためである。
この上記脱脂処理によって得られた脱脂菜種種皮は、本発明の製造方法において、後述するように、脱皮菜種種子を圧搾する際に脱皮菜種種子に対して所定量配合する用途として用いられ得るが、脱脂菜種種皮(特に、脱皮菜種種子に対して所定量配合した後の余剰量)は、本発明の他の実施形態である、脱皮ジャトロファ種子又は米糠からの植物油の製造方法において、これらの脱皮種子又は米糠に対し圧搾に先立ち同様に所定量配合する用途として用いられ得る。また、脱脂菜種種皮は、繊維質分を多く含むものであるため、繊維分が必要とされる牛などの飼料への添加剤や、土壌改良剤用としての用途等に用いることも可能である。
一方、菜種種皮の脱脂処理によって得られる油分は、タンニン、クロロフィル等の有用成分を多く含むため、これら有用成分の抽出原料として別途有効に活用できる。
そして、本実施形態に係る菜種油および菜種粕の製造においては、上記脱脂処理によって得られた脱脂菜種種皮を、前記脱皮処理によって菜種種皮より分離された脱皮菜種種子に対し、所定量配合し、脱皮菜種種子と脱脂菜種種皮とが均一分散するように混合した後、この混合物を圧搾処理にかける。
なお、脱脂菜種種皮は、脱皮菜種種子への配合に先立ち、必要に応じて粉砕処理を施されることができる。
脱皮菜種種子に対する脱脂菜種種皮の配合割合は、特に限定されるものでなく、例えば、圧搾効率の向上効果、また、圧搾又は圧搾・抽出工程後に得られる菜種粕の組成、特に蛋白含有量、窒素含量、繊維質含量、その他、タンニンのような苦味成分の含有量などの家畜の嗜好性等を考慮して、適宜調整可能である。
すなわち、原料として使用した菜種の蛋白含有量、窒素含量等の組成は、菜種の収穫時期や品種でばらつきが見られるが、脱皮菜種種子に対する脱脂菜種種皮の配合割合を適宜調整することで、得られる菜種粕の組成を調節し、家畜飼料、土壌肥料等の菜種粕の用途に応じ、最適な組成とすることができるものである。
なお、脱皮菜種種子に対し、分離された菜種種皮の全量に対応する脱脂菜種種皮を配合することも可能であり、この場合であっても、配合される菜種種皮は予め脱脂処理が施され、タンニン等の苦味成分とダークカラーの原因となるクロロフィル等が除去されているため、圧搾油ないし圧搾・抽出油の精製処理に要する労力およびコストは大幅に改善することができる。
また、特に限定されるものではないが、脱皮菜種種子の圧搾効率の改善効果の面からは、脱皮菜種種子に対し約3%以上に相当する量の脱脂菜種種皮を配合することが望ましく、この条件を満たした上で、上記したような菜種粕の用途に応じ、最適な組成となるような配合割合とすることが最も望ましい。特に限定されるものではないが、例えば、家畜用飼料としての菜種粕の利用を考慮した場合には、具体的には例えば、脱皮菜種種子に対し約4〜8%程度に相当する量の脱脂菜種種皮を配合する実施形態が好ましい例として挙げることができる。
圧搾方法としては、従来、植物種子から植物油を製造する場合に用いられる圧搾方法と同様の方法を用いることが可能であり、バッチ式または連続式圧搾方法のいずれであっても良い。連続式圧搾方法が粗油の工業的な大量取得に適しており、本発明にあっても、この方式が好適に利用できる。この連続式圧搾法とは、通常、種子原料を連続的にエキスペラーに供給し、スクリュープレスの原理を利用して効率良く粗油を取得するものである。この方法にあっては、プレスケーク(圧搾粕)中の残油分が4〜7%程度になるように圧搾することが一応の目安とされている。なお、後述するように、圧搾に引き続いて溶剤抽出を実施して採油する場合、残油分を12〜20%程度にとどめる。このように、圧搾法と溶剤抽出を組み合わせることで、比較的低圧の押圧負荷による圧搾の場合でも、大容量の採油が可能となる。
なお、上記したような菜種種子の脱皮処理、あるいは脱皮菜種種子と脱脂菜種種皮の配合物の圧搾処理に先立ち、従来、植物種子からの植物油の製造方法において公知である、水分調整(加熱処理)、圧扁処理等を種子ないしは脱皮菜種種子に対し、必要に応じて施すことが可能である。
また水分調整は、粗油(圧搾油)の性状は、菜種種子の水分含量と加熱温度に大きく影響されることから、粗油の収率・収量と品質を高める作業工程として知られている。通常、菜種種子にはミロシナーゼが多く含まれており、これは種子中の水分が13%以上の場合、40〜70℃の温度条件下で酵素活性が最も強く、また、水分が6〜10%になると、70〜80℃の温度条件下で酵素活性が強くなる。この酵素は、グルコシノレートを加水分解して、グルコース、硫酸塩、イソチオシアネートおよびl−5−ビニル−2−オキサゾリジンチオンを生成する作用を呈するものであって、その失活には、80℃以上の温度が必要であるため、クッカーなどの加熱手段によって可及的速やかに種子片を80〜90℃に加熱し、ミロシナーゼの失活を図ることも肝要である。これら加熱手段としては、掃き寄せ・かき混ぜ式(Sweep Type)の撹拌機を備えたスチームジャケット釜を数段に積み上げてなるタイプ、あるいはロータリーキルンのようなスチームチューブ式ドライヤーなどが使用できる。
圧扁処理は、種子ないし種子片を圧扁なものとして、圧搾工程での圧搾効率を高めるための処理であって、例えば、圧扁ロール(フレーキングロール:Flaking Roll)と呼ばれる滑面ロール(一段式ペアロール)に種子ないし種子片を通すことで行われる。
図1に示すように、採油は、前述の圧搾処理に加えて、溶剤による粗油の化学的溶出(抽出工程)を併用することができる。溶剤抽出の態様には、バッチ式抽出法と連続式抽出法とがあり、これらいずれの方法も本発明にあっては利用できる。これらの内でも、連続式抽出方法が工業的な大量製油ラインへの組み込みが容易で、粗油の大量処理に適していることから、本発明にあっても、この方式が好適に利用できる。この連続式抽出方法には、溶剤と圧搾粕との接触のさせ方の違いによって、貫流式(Percolation System)と浸漬式(Immersion System)に大別されるが、そのいずれの方式であってもよい。この溶剤抽出に用いる溶剤としては、菜種粗油の溶剤抽出にて通常用いられているものであれば、いずれも使用可能であるが、粗油収量、精製の容易さ、コスト面などの点からして、本発明にあっては、ヘキサン、特に、n−ヘキサンが好ましい。
なお、前記したように、本発明では、圧搾工程後に得られる圧搾粕中において、種皮部分残渣と、種子内部(胚珠)部分残渣とは、互いに結合しておらず分離しているので、n−へキサン等の有機溶媒と種子内部(胚珠)部分残渣との接触は、良好に進行し、抽出むらが生じる虞れはない。
このように抽出工程を併用した場合、抽出工程を経て得られた粗油は、圧搾工程を経て得られた粗油と合わせられて、又は別々にその後の精製工程へと運ばれる。
一方、抽出粕は、脱溶剤処理を施されて、菜種粕として製造される。脱溶剤処理は、従来と同様に、抽出粕に水蒸気を接触させて行われるが、本発明において得られた抽出粕の脱溶剤に要する時間は、従来方法で一般的に製造されている抽出粕が同程度に脱溶剤される時間と比較して、大きく短縮化可能である。このことは、抽出工程に使用される蒸気使用量の大半を占める脱溶剤工程におけるコスト削減に大きく寄与できるものである。
圧搾工程または圧縮・抽出を経て得られた粗油は、圧搾時に混入した脱脂粕の微粉や水分、さらに水和して析出しはじめた水和性ガム質など、非油溶性の夾雑物が懸濁するのみならず、従来の製造方法と比べて少ないながらも、遊離脂肪酸や、モノグリセリド、ジグリセリド、脂質の酸化生成物、各種の着色物質や有臭成分など、油溶性の不純物質が混在しているために、その後、従来の製造方法と同様に粗油の精製を行う。しかし、本発明においては、得られる粗油は、種皮由来のタンニン等の苦味成分やクロロフィル等の着色物質等の含有量が非常に少ないものであるため、その精製工程は非常に簡素化することが可能である。
粗油の精製は、その方法および条件は特に限定されるものではないが、JAS(日本農林規格)に定める精製油あるいはサラダ油の規格に適合する程度の食用油を得るに充分な精製条件であることが望ましい。好ましくは、本願発明の菜種油の精製工程は、粗油の脱ガム、脱酸、脱色および脱臭の一連の工程を含む。
まず、粗油に含まれるガム質を除去するための脱ガム工程を行う。この工程は、圧搾して得られた粗油に関しては必須工程ではなく、溶剤抽出して得た粗油に対しては効果的に利用できる。すなわち、溶剤抽出して得た粗油からガム質が除去されていないと、清澄な菜種油の取得が難しくなり、菜種油の品質を低下させる原因となる。この脱ガム工程は、ガム質やリン脂質を水和するのに必要な量の水、例えば、約0.5〜約5%、好ましくは、約1〜約3%の水分に調整されるように粗油に対して水を加え、撹拌しながら、約50〜約90℃にまで加熱し、ガム質を水和膨潤させる。その後、温度を少し下げてガム質成分を集合(凝集)させて後、ガム質と油脂分との比重差を利用して、遠心分離機などを用いて両者を分離する。なお、油溶性のガム質は、金属塩の形態になりやすいので、リン酸、酢酸、シュウ酸またはクエン酸などを、例えば、約0.01〜約1.0%の濃度で添加することで、水和性ガム質に変化せしめてから分離することも可能である。
脱ガム処理した粗油または圧搾油を、次に、脱酸工程に適用する。粗油中の遊離脂肪酸(Free Fatty Acid)の量は、通常、酸価として表現され、この酸価は、原料の良否、保存状態の適否、採油方法の適否など、粗油の性状・由来を指し示す指標でもある。色調と風味が良好で、劣化の少ない菜種油を得る上で、この脱酸工程(遊離脂肪酸の除去工程)は必須であり、油脂の精製工程の中で最も重要な工程である。菜種種子を対象とする場合、脱ガム処理した粗油または圧搾油を、まず、例えば、約40〜約110℃、好ましくは、約70〜約90℃に加熱し、次いで、リン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸などを、例えば、約0.01〜約2.0%の濃度で添加して、よく撹拌する。そして、中和量〜100%過剰量のアルカリをこれに添加し、水層(石けん水層)と油層の分離ならびに水層(石けん水層)の除去を行う。この作業を繰り返して油中の遊離脂肪酸の除去を進める。本発明で使用可能なアルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが使用できる。なお、前述した脱酸方法の他にも、ゼニスプロセスによる脱酸や、ミセラ脱酸法なども、本発明にて利用することができる。
そして、脱酸した粗油(脱酸油)は、吸着剤を用いた吸着脱色法で処理される。すなわち、この吸着脱色法とは、粗油に固体微粒子の吸着剤などを添加し、そして、真空下で加熱攪拌して、粗油中の色素類などの不純物を吸着分離するための方法である。
活性炭や活性白土などを吸着剤として利用する場合には、約40〜約100℃、好ましくは、約70〜約90℃の温度下、大気圧下または減圧下で、約10〜約90分間、好ましくは、約30〜約60分間、粗油と吸着剤を接触せしめる。この吸着処理に用いる吸着剤としては、濾過助剤的な機能を備えたものであれば特に限定されるものではなく、酸性白土、活性白土、活性炭などが使用できるが、油の付着損失を最小ならしめる上で、活性白土が好ましい。また、吸着剤の添加量は、粗油中の不溶性物質などの不純物を吸着・回収するに十分な量であって、吸着剤の種類によっても所要量は変化するが、本発明においては、上記したように粗油中に含まれる有色成分量が非常に少ないため、概してその使用量・交換頻度等は極めて小さなものとすることができ、精製コストの低減および精製に要する時間の短縮化が図られる。
吸着脱色処理を終えた後、粗油中に混在している吸着剤、吸着物質、不溶性物質および夾雑物を除去すべく、例えば、フィルタープレス、密閉形濾過機、完全自動型濾過機、フンダフィルターなどの加圧濾過、あるいは減圧濾過や吸引濾過をはじめとする真空濾過などの濾過手段に粗油を通す。なお、前述してきた吸着脱色法に代えて、工業用原料としての動物脂やパーム脂の脱色に利用されている酸化剤を用いて、着色物質を化学的に酸化破壊して脱色する化学脱色法を利用することもできる。
なお、必要に応じて、脱色した粗油(脱色油)の清澄度を高めるために、ウィンタリング処理(脱ロウ処理)を適用することもできる。
次に、脱色された粗油(脱色油)を、必要に応じて、従来と同様に、脱臭工程に適用する。本発明に好適な脱臭方法として、減圧水蒸気蒸留法、すなわち、粗油中に含まれているグリセリドより揮発性が大きな有臭物質を、減圧下、高温条件下で揮発性を高めて蒸留除去する方法がある。この方法によると、脱色済みの粗油に連続的に反応容器内に水蒸気が吹き込まれ、そこから発生する水蒸気と共に遊離脂肪酸をはじめとする臭気成分(臭気物 質)が除去される。そして、この脱臭処理を終えて得られた油が、本実施形態の製造方法により得られる菜種油となる。
なお、この脱臭処理時に、最終製品である菜種油の品質に嗜好性・多様性を付与すべく、風味安定剤、消泡剤、酸化防止剤、固化防止剤、脂肪結晶調整剤、金属キレート剤、色素、ビタミン、香辛料、香料 など、通常のサラダ油、天ぷら油、それにクッキングオイルなどに利用されている加工助剤や添加物を適宜任意に使用できる。
風味安定剤とは、油脂中に天然に含まれる抗酸化物質であるトコフェロールの抗酸化作用の補助、すなわち、金属の酸化促進物質と金属複塩を生成してその酸化促進作用を抑制し、その相互作用によって抗酸化性を高めるものであり、クエン酸やリンゴ酸などが本発明において使用できる。例えば、クエン酸の場合、菜種油の0〜約50重量ppm、好ましくは、約10〜約20重量ppmの量が用いられる。
消泡剤とは、油の劣化に伴う泡立ちに対して消泡効果を呈するものであり、例えば、シリコン樹脂がこれに該当し、それによれば、油の熱重合を本質的に改善して油の酸価・粘度の上昇を抑え、油の消費量を低減ならしめる熱安定剤としての機能も果たす。シリコン樹脂を用いる場合、例えば、粗油の0〜約6重量ppm、好ましくは、約2〜約3重量ppmの量で使用される。
酸化防止剤としては、食 品衛生法で使用許可されている抗酸化物質が使用でき、例えば、グアヤク脂、ジエチルヒドロキシトリエン(BHT)、ノルジヒドログアヤレチック酸 (NDGA)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル・クエン酸プロピル、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸−パルミチン酸エステルや、例えば、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物などの天然物の抽出物などが使用できる。また、他の酸化防止剤として、トコフェロールなどが使用でき、この場合、例えば、粗油の0〜約400重量ppm、好ましくは、約100〜約200重量ppmの濃度で添加する。
なお、上記したような化学精製に代えて、本発明にあっては、物理精製を利用することも可能である。すなわち、スーパーデガミング法やアルコンプロセスのように、精製処理の前段階や脱ガム工程にて、油溶性のガム質(非水和性リン脂質)の量を減らすことで、前出の脱酸工程を省くことが可能となり、これによって、蒸留脱酸法による物理精製法(Physical Refining)に適用することもできる。
4.その他の植物油の製造方法
次に本発明の植物油の製造方法の別の実施形態として、その他の植物油および植物粕の製造、すなわち、ジャトロファ種子及び米糠を原料としての植物油および植物粕の製造について説明する。
ジャトロファ種子及び米糠を原料としての植物油および植物粕の製造は、基本的には上記菜種油および菜種粕の製造方法とほぼ同様に行われる。
すなわち、またはジャトロファ種子を原料とする場合には、これらの種子を予め脱皮処理を施し、脱皮ジャトロファ種子を調整する。脱皮処理の方法および脱皮の割合については、特に限定されるものではなく、上記菜種種子の場合と同様のものとすることができる。一方、米糠を原料とする場合には、これをそのまま用いる。
そして、脱皮ジャトロファ種子又は米糠に対し、前記したような方法で調製された脱脂菜種種皮を所定量配合し、均質に混合した後、圧搾処理を行うものである。
このように脱脂菜種種皮を配合することによって、これらの脱皮種子又は米糠を単独で圧搾した場合と比較して、圧搾機における種子のスベリ、逃げがなくなり、圧搾効率が改善される。さらに、精製工程のコストおよび労力の低減、抽出を行った場合の抽出むらの防止、得られる植物粕の高機能化等の効果も前記菜種油および菜種粕の場合と同様に得られるものである。
脱脂菜種種皮の配合量としては、特に限定されるものでなく、例えば、圧搾効率の向上効果、また、圧搾又は圧搾・抽出工程後に得られる植物粕の組成、特に蛋白含有量、窒素含量、繊維質含量、その他、タンニンのような苦味成分の含有量などの家畜の嗜好性等を考慮して、適宜調整可能である。
圧搾処理後の製造工程としては、これらのジャトロファ種子及び米糠を原料としての植物油および植物粕の製造方法として従来知られる方法と同様に、必要に応じて抽出工程を経た後、精製工程へと運ばれる。
以下本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
実施例1
菜種種子1000gの脱皮を行い、脱皮種子872gと種皮128gに分けた。なお、脱皮の割合は75%であった。
本種皮128gの抽出を行い、油分をはじめとする各種成分を取り除いた。本抽出種皮の重量は104gであり、残油分は1.24%であった。
本抽出種皮104gを粉砕した後、脱皮種子872gと混合し、圧搾を行った。製造された圧搾油は黄金色様であり、精製に要する負担を大きく軽減するものであり、例えば、後述する比較例1と比べて精製に要する吸着剤の使用量を約30%低減できた。圧搾粕の残油分は7%であった。
尚、本圧搾粕をn−ヘキサンによる更なる油分の抽出を行い、溶剤を30%程度含む抽出粕を製造した。本抽出粕の脱溶剤に要する時間は、後述する比較例1におけるように一般的に製造されている抽出粕が同程度に脱溶剤される時間と比べ、約2/3であった。これは抽出工場に使用される蒸気使用量の大半を占める脱溶剤工程におけるコスト削減に、大きく寄与するものである。
また、この結果得られた菜種粕の窒素含有量は5.9%で、家畜肥料用として好適なものとなった。
比較例1
比較のために、菜種種子1000gを従来方式通り加熱後圧扁しクッキングした後、圧搾した。製造された圧搾油は茶褐色であり、精製に要する負担は大きいものであった。圧搾粕の残油分は18%であった。
尚、本圧搾粕をn−ヘキサンによる更なる油分の抽出を行なったが、抽出後の抽出粕を観察すると、圧搾粕中の種子残渣において種皮部分と内部部分(胚珠)が結合した状態であることに起因して抽出むらが生じたと思われ、抽出粕の残油分が、抽出粕の部分ごとに不均一なものとなってしまった。得られた溶剤を30%程度含む抽出粕の脱溶剤に要する時間は、実施例1の抽出粕が同程度に脱溶剤される時間と比べ、約1.5倍であった。
また、この結果得られた菜種粕の窒素含有量は5.9%であった。
参考例1
実施例1と同様にして得られた脱皮菜種種子872gを単独で使用して、圧搾を行ったが、圧搾機において、脱皮種子をうまく圧搾できず、圧搾粕の残油分が、25%となり、圧搾効率が非常に悪いものであった。
実施例2
実施例1における脱皮の割合を15〜60%に変える以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、脱皮の割合が55〜75%の範囲内であれば、得られる粗油の精製に要する負担を効果的に軽減するものであり、例えば、比較例1と比べて精製に要する吸着剤の使用量を約15〜30%低減できた。
実施例3
実施例1における脱皮種子1000gと混合される、抽出種皮の量を30〜80gに変える以外は、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、抽出種皮の量が40〜80gの範囲内であれば、圧搾処理における圧搾効率は十分なものであり、圧搾粕の残油分を8〜15%程度とすることができた。また、最終的に得られた菜種粕の窒素含有量は、抽出種皮の配合量に応じて6.5〜7.5%の範囲内で調整でき、家畜肥料用として好適なものとなった。
実施例4
別途調製した各1000gの脱皮ジャトロファ種子及び米糠それぞれ対し、実施例1と同様にして得られた脱脂菜種種皮(抽出種皮)200gを粉砕後に混合し、圧搾を行った。製造された圧搾油はいずれも淡白色のものであり、精製に要する負担を大きく軽減することができた。圧搾粕の残油分は、ジャトロファの場合10%、米糠の場合8%、であり、いずれも十分効率よく圧搾ができた。

Claims (3)

  1. 脱脂菜種種皮を、脱皮菜種種子、脱皮ジャトロファ種子及び米糠からなる群から選択されてなるいずれかに対して、配合した後、圧搾することを特徴とする植物油の製造方法。
  2. 圧搾の後、圧搾粕をさらに有機溶媒により抽出するものである請求項1に記載の植物油の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の植物油の製造方法において副産物として得られる植物粕の製造方法であって、前記脱脂菜種種皮の配合量を調整することにより、得られる植物粕の蛋白含有量および嗜好性を調整することを特徴とする植物粕の製造方法。
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