JP2012115723A - ロールコーティング設備における塗料攪拌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗料収容パン2に収容された塗料4中に配置されるブレード部6と、塗料4中に少なくとも一部が浸漬するピックアップロール12の軸方向に沿ってブレード部6を往復運動させるブレード部往復運動手段8を備えた塗料攪拌装置1であって、ブレード部6に取り付けられるとともに、塗料4中において塗料収容パン2の底面と近接または接触する位置に配置された攪拌部材10を備えており、この攪拌部材10は、複数の開口部を有する平板状の部材であるとともに、塗料収容パン2の底面に沿って配置されている。
【選択図】図2
Description
このようなロールコーティング設備で行う塗料の塗装では、目標とする乾燥後の皮膜厚や、塗装後の外観等に応じたコーティング条件で処理を行っている。ここで、コーティング条件とは、例えば、ロールの回転速度である周速、ロールコーティング設備に複数備えられたロール間のニップ圧、鋼帯を塗装する処理速度、塗料濃度等である。
この問題に対し、塗料収容パン内に収容した塗料を攪拌する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、フィンの周辺とフィンから離れた位置とでは、攪拌の度合いが異なるため、フィンからの位置によって塗装される塗料の成分が偏ってしまうという問題が発生する。
この問題に対し、塗料収容パン内に収容した塗料を攪拌するとともに、塗料収容パン内における塗料の成分の偏りを抑制する技術として、例えば、特許文献2及び3に記載の技術が提案されている。
また、特許文献3に記載の技術は、ピックアップロールの軸方向に往復動する支持フレームと、この支持フレームに取り付けられた、塗料収容パンの略幅一杯に延びる複数本の細長い攪拌部材を備えた装置であり、各攪拌部材は、塗料収容パン内に収容された塗料内に配置されている。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、塗料中に塗料と比重差の大きい顔料等を含む場合であっても、鋼帯等の帯状材料に形成する塗装皮膜の成分を均一化することが可能な、ロールコーティング設備における塗料攪拌装置を提供することを課題とする。
前記塗料中に少なくとも一部が浸漬するピックアップロールの軸方向に沿って前記ブレード部を往復運動させるブレード部往復運動手段と、を備えたロールコーティング設備における塗料攪拌装置であって、
前記ブレード部に取り付けられ、前記塗料中において前記塗料収容パンの底面と近接または接触する位置に配置された攪拌部材を備え、
前記攪拌部材は、複数の開口部を有する平板状の部材であり且つ前記塗料収容パンの底面に沿って配置されていることを特徴とするものである。
このため、攪拌部材により、塗料収容パンに収容された塗料を、塗料収容パンの底面と近接または接触する位置において攪拌することが可能となるため、塗料収容パンの底面に沈殿している粉末等を、塗料中へ均一に拡散させることが可能となる。
ここで、攪拌部材及びブレード部を往復運動させる方向は、ピックアップロールの軸方向に平行な方向であってもよく、また、ピックアップロールの軸方向に対して傾斜した方向であってもよい。
本発明によると、攪拌部材が金属製または樹脂製の網形状部材であるため、網形状部材の線材部分により、塗料収容パンの底面に沈殿している粉末等を塗料中へ巻き上げるとともに、この巻き上げた粉末等が網形状部材の開口部を通過するため、塗料を効率的に攪拌することが可能となる。
本発明によると、ブレード部及び攪拌部材のうち少なくとも一方が、上下方向から見てピックアップロールと重なっているため、塗料収容パンに収容された塗料のうちピックアップロールの下方に存在する塗料を、少なくとも攪拌部材により効率的に攪拌することが可能となる。
このため、ピックアップロールにより塗料収容パンから持ち上げられる塗料を、塗料収容パンの底面に沈殿している粉末等が均一に拡散している塗料とすることが可能となる。
前記ブレード部及び前記攪拌部材の前記延在方向への長さは、前記塗料収容パンの前記ピックアップロールの軸方向と直交する方向への長さに対して50%以上の長さであることを特徴とするものである。
このため、ピックアップロールの軸方向に沿って往復運動するブレード部及び攪拌部材により、塗料収容パンに収容された塗料の50[%]以上を、直接的に攪拌することが可能となる。
ここで、塗料収容パンのピックアップロールの軸方向と直交する方向への長さに対する、ブレード部及び攪拌部材の延在方向への長さの上限値は、100[%]未満の長さとすることにより、塗料収容パンとブレード部及び攪拌部材との接触を防止する。
前記塗料収容パンに収容された前記塗料の液面と前記ブレード部との距離は、前記塗料収容パンに収容された前記塗料の深さに対して70%以上の距離であることを特徴とするものである。
本発明によると、攪拌部材をブレード部の下方に配置し、さらに、塗料収容パンに収容された塗料の液面とブレード部との距離を、塗料収容パンに収容された塗料の深さに対して、70[%]以上の距離としている。
ここで、塗料収容パンに収容された塗料の深さに対する、塗料収容パンに収容された塗料の液面とブレード部との距離の上限値は、ブレード部及び攪拌部材の、塗料の深さと平行な方向への長さに応じて設定する。これは、例えば、攪拌部材が塗料収容パンの底面を押圧しない値とする。
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態のロールコーティング設備における塗料攪拌装置(以下、「塗料攪拌装置」と記載する)の構成を説明する。
図1は、本実施形態の塗料攪拌装置1の概略構成を示す上面図であり、図2は、図1のII線矢視図である。
図1及び図2中に示すように、本実施形態の塗料攪拌装置1は、塗料収容パン2に収容された塗料4を攪拌するための装置であり、ブレード部6と、ブレード部往復運動手段8と、攪拌部材10を備えている。
ここで、ピックアップロール12及び関連する構成について説明する。
ピックアップロール12は、金属材料を用いて形成された円柱形状または円筒形状の部材(ロール)であり、図外の支持部材によって、回転可能に支持されている。
アプリケーターロール14は、ピックアップロール12の周面及び帯状材料(図示せず)の表面(塗装面)と接する円柱形状または円筒形状の部材(ロール)であり、図外の支持部材によって、回転可能に支持されている。したがって、アプリケーターロール14の周面には、ピックアップロール12が塗料収容パン2から持ち上げた塗料4が転写され、この転写された塗料4は、帯状材料の表面に塗装されて塗装皮膜を形成する。
なお、本実施形態では、めっき及び下地処理済みの冷延鋼板に、沈殿しやすい成分としてNi(ニッケル)の金属粉末を含有する塗料の塗布を行った。
ブレード部6の延在方向(ピックアップロール12の軸方向と直交または略直交する方向)への長さLbは、塗料収容パン2の、ピックアップロール12の軸方向と直交する方向への長さLpに対して、50%以上の長さとなっている。すなわち、ブレード部6の延在方向への長さLbと、塗料収容パン2の、ピックアップロール12の軸方向と直交する方向への長さLpとの間には、Lb≧0.5Lpの関係式が成立している。
ここで、塗料収容パン2の、ピックアップロール12の軸方向と直交する方向への長さLpに対する、ブレード部6の延在方向への長さLbの上限値は、100[%]未満の長さとなっている。これにより、塗料収容パン2とブレード部6との接触を防止している。
ここで、塗料収容パン2に収容された塗料4の深さDに対する、塗料収容パン2に収容された塗料4の液面とブレード部6との距離Rbとの距離の上限値は、ブレード部6及び攪拌部材10の、塗料4の深さと平行な方向(図2中の上下方向)への長さに応じて設定する。これは、例えば、攪拌部材10が塗料収容パン2の底面を押圧しない値とする。
ブレード部往復運動手段8は、ブレード支持部16と、ブレード駆動部18を備えている。
ブレード支持部16は、上部がブレード駆動部18に連結されるとともに、下部が塗料収容パン2に収容された塗料4内に配置される板状の部材であり、厚さ方向をピックアップロール12の軸方向と平行に向けた状態で、ブレード部6を上方から支持している。
ここで、本実施形態では、図1中に示すように、ブレード支持部16が、五つのブレード部6をそれぞれ支持する、五つのブレード支持部16a〜16eから構成されている場合について説明する。
なお、ブレード支持部16の構成を、貫通孔20を有していない構成としてもよい。
ブレード駆動部18は、例えば、駆動源としてエアシリンダー等を備えて形成されており、駆動源を駆動させることにより、ピックアップロール12の軸方向に沿って、各ブレード支持部16を往復運動させる。なお、駆動源としては、エアシリンダー以外に、モータ等を用いてもよい。
ここで、攪拌部材10及びブレード部6を往復運動させる方向は、ピックアップロール12の軸方向に平行な方向であってもよく、また、ピックアップロール12の軸方向に対して傾斜した方向であってもよい。
攪拌部材10は、ブレード部6の下方に配置されてブレード部6に取り付けられており、塗料4中において、塗料収容パン2の底面と近接または接触する位置に配置されている。なお、ブレード部6に攪拌部材10を取り付ける手段としては、特に限定するものではないが、例えば、溶接や接着等による固着や、針金やボルト等による固定等を用いる。
なお、攪拌部材10としては、複数の開口部を有する平板状の部材であればよい。開口部の大きさは特に限定するものではないが、開口部が小さすぎると攪拌能力が不足したり、攪拌部材の下部に沈殿が堆積したりする場合があるため、開口部面積が50%以上であることが好ましい。これは、金属製または樹脂製の網形状部材の場合は、特に好適である。本実施形態では、攪拌部材10として、SUS等の金属材料を用いて形成された金網(各開口部の形状が正方形であり、また、各開口部を形成する一辺の長さ10[mm]である金網)を用いた。攪拌部材10の材質は特に限定するものではないが、塗料に対しての耐薬品性と摩耗に耐える部材が好ましく、金属製や樹脂製が例示される。
また、攪拌部材10は、ブレード部6と同様、上下方向から見てピックアップロール12と重なっている。
以下、図1及び図2を参照し、本実施形態の塗料攪拌装置1を用いて、塗料収容パン2に収容された塗料4を攪拌する際の動作について説明する。
塗料攪拌装置1を用いて、塗料収容パン2に収容された塗料4を攪拌する際には、各ブレード部6及び攪拌部材10を塗料収容パン2に収容された塗料4内に配置した状態で、ブレード駆動部18が備える駆動源を駆動させて、各ブレード支持部16a〜16eを、ピックアップロール12の軸方向に沿って往復運動させる。これにより、各ブレード部6及び攪拌部材10を、ピックアップロール12の軸方向に沿って往復運動させる。
また、攪拌部材10は、複数の開口部を有する平板状の部材である金網であり、塗料収容パン2の底面と面同士が対向しているとともに、塗料4中において、塗料収容パン2の底面に沿って配置されている。
塗料収容パン2に沈殿している比重の大きい顔料が、塗料4中へ均一に拡散すると、塗料4中において、塗料成分が均一に混合される。すなわち、塗料収容パン2に収容された塗料4を攪拌部材10及び各ブレード部6により攪拌することにより、塗料4中における、ニッケルの沈殿を抑制することが可能となる。
このため、帯状材料に塗料4を塗装する際には、アプリケーターロール14の周面には、成分が均一に混合された塗料4が転写されるため、形成される塗装皮膜は、成分が均一化された塗装皮膜となる。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の塗料攪拌装置1では、塗料4中において塗料収容パン2の底面と近接または接触する位置に配置され、複数の開口部を有する平板状の部材である攪拌部材10を、ブレード部6と共に、ピックアップロール12の軸方向に沿って往復運動させることが可能となる。
その結果、塗料4が、比重の大きい顔料等を含む場合であっても、帯状材料に形成する塗装皮膜の成分を、均一化することが可能となる。
その結果、複数の開口部を有する平板状の部材である攪拌部材10を、一般的な構成である金網を用いて、容易に形成可能となるとともに、塗料4が、ニッケル等や、比重の大きい金属粉末等、比重の大きい顔料を含む場合であっても、帯状材料に形成する塗装皮膜の成分を、均一化することが可能となる。
その結果、ピックアップロール12により塗料収容パン2から持ち上げられる塗料4を、塗料収容パン2の底面に沈殿しやすい金属粉末等の比重の大きい顔料が均一に拡散している塗料4とすることが可能となる。
このため、ピックアップロール12の軸方向に沿って往復運動するブレード部6及び攪拌部材10により、塗料収容パン2に収容された塗料4の50[%]以上を、直接的に攪拌することが可能となる。
その結果、塗料収容パン2に収容された塗料4の50[%]以上を、ブレード部6及び攪拌部材10により、効率的に攪拌することが可能となる。
その結果、塗料収容パン2に収容された塗料4中において、ブレード部6及び攪拌部材10が配置される位置を、塗料4の液面から離れた位置とすることが可能となり、塗料4の攪拌時において発生する液面の荒れを、抑制することが可能となる。これは、ブレード支持部16が有する貫通孔20によっても、発揮される効果である。
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の塗料攪拌装置1では、攪拌部材10を金網で形成したが、これに限定するものではなく、攪拌部材10を、例えば、パンチングメタル等の多孔板で形成してもよい。
(2)本実施形態の塗料攪拌装置1では、ブレード部6及び攪拌部材10が、上下方向から見てピックアップロール12と重なっている構成としたが、これに限定するものではなく、ブレード部6及び攪拌部材10が、上下方向から見てピックアップロール12と重なっていない構成としてもよい。
以下、図1及び図2を参照して、本発明例の塗料攪拌装置1が奏する効果を検証した結果について説明する。
なお、本実施例では、上述した第一実施形態と同様、上述した第一実施形態と同様、塗料を、ニッケル粉末を含む塗料とした。
本発明例の塗料攪拌装置1は、その構成を、上述した第一実施形態と同様の構成とした。
一方、比較例の塗料攪拌装置は、その構成を、攪拌部材10を備えていない点を除き、上述した第一実施形態と同様の構成とした。
その結果、比較例の塗料攪拌装置を用いた作業では、塗装皮膜の成分が均一化されていないことにより、製品として出荷できない塗装鋼板が、約1.6%発生した(塗装後の皮膜で、皮膜成分中に含有するべきニッケル量を100としたときに80未満となっている場所がある場合に製品として出荷できないと判断した)。
したがって、本発明例の塗料攪拌装置1では、比較例の塗料攪拌装置と比較して、製品として出荷できない塗装鋼板の発生率を、減少させることが可能であることが確認された。
これにより、本発明例の塗料攪拌装置1では、比較例の塗料攪拌装置と比較して、製造効率の向上、製造コストの低減、資源の節約が可能となることが確認された。
2 塗料収容パン
4 塗料
6 ブレード部
8 ブレード部往復運動手段
10 攪拌部材
12 ピックアップロール
14 アプリケーターロール
16 ブレード支持部
18 ブレード駆動部
20 貫通孔
Lb ブレード部6の延在方向への長さ
Lp 塗料収容パン2の、ピックアップロール12の軸方向と直交する方向への長さ
Rb 塗料収容パン2に収容された塗料4の液面とブレード部6との距離
D 塗料収容パン2に収容された塗料4の深さ
Ln 攪拌部材10の延在方向への長さ
Claims (5)
- 塗料収容パンに収容された塗料中に配置されるブレード部と、
前記塗料中に少なくとも一部が浸漬するピックアップロールの軸方向に沿って前記ブレード部を往復運動させるブレード部往復運動手段と、を備えたロールコーティング設備における塗料攪拌装置であって、
前記ブレード部に取り付けられ、前記塗料中において前記塗料収容パンの底面と近接または接触する位置に配置された攪拌部材を備え、
前記攪拌部材は、複数の開口部を有する平板状の部材であり且つ前記塗料収容パンの底面に沿って配置されていることを特徴とするロールコーティング設備における塗料攪拌装置。 - 前記攪拌部材は、金属製または樹脂製の網形状部材であることを特徴とする請求項1に記載したロールコーティング設備における塗料攪拌装置。
- 前記ブレード部及び前記攪拌部材のうち少なくとも攪拌部材は、上下方向から見て前記ピックアップロールと重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したロールコーティング設備における塗料攪拌装置。
- 前記ブレード部及び前記攪拌部材は、前記ピックアップロールの軸方向と直交または略直交する方向に延在し、
前記ブレード部及び前記攪拌部材の前記延在方向への長さは、前記塗料収容パンの前記ピックアップロールの軸方向と直交する方向への長さに対して50%以上の長さであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載したロールコーティング設備における塗料攪拌装置。 - 前記攪拌部材は、前記ブレード部の下方に配置され、
前記塗料収容パンに収容された前記塗料の液面と前記ブレード部との距離は、前記塗料収容パンに収容された前記塗料の深さに対して70%以上の距離であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載したロールコーティング設備における塗料攪拌装置。
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