JP2012113217A - 投写型映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学部品の劣化状態を検出することにより、該光学部品が劣化した状態での継続使用によるプロジェクタ全体の寿命低下を抑制するとともに、画質に対するユーザの不満を解消することが可能な投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタ100の画像投写部40は、光源と、入力された画像信号に応じて光源から出射された光を変調することにより、画像光を形成する光変調素子と、光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方に配置され、所定の偏光方向の光を透過する偏光素子と、光変調素子により形成された画像光を投写する投写部とを含む。制御部50は、画面全体を単色表示とするテスト画像を投写したときに撮像部80によって撮像される投写画像に基づいて、上記偏光素子の劣化状態を検出する。
【選択図】図2
【解決手段】プロジェクタ100の画像投写部40は、光源と、入力された画像信号に応じて光源から出射された光を変調することにより、画像光を形成する光変調素子と、光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方に配置され、所定の偏光方向の光を透過する偏光素子と、光変調素子により形成された画像光を投写する投写部とを含む。制御部50は、画面全体を単色表示とするテスト画像を投写したときに撮像部80によって撮像される投写画像に基づいて、上記偏光素子の劣化状態を検出する。
【選択図】図2
Description
この発明は、投写型映像表示装置に関し、より特定的には、光学部品の劣化状態を検出する機能を備えた投写型映像表示装置に関する。
投写型映像表示装置(以下、プロジェクタとも称する)においては、所定時間の寿命を有する種々の消耗部品が使用されており、使用中に寿命に到達することがないよう、新しい部品への交換が必要とされる。たとえば、液晶デバイスを利用して映像を投写する液晶プロジェクタは、このような消耗部品として、光源ランプ以外に、液晶パネル、偏光板および偏光変換素子などの光学部品を含んでいる。これらの光学部品はいずれも、光源ランプから出射された光が通過する光路上に配設されており、一定時間光に照射され続けることによって、熱的または化学的に変化して劣化するために、交換が必要とされる。
従来より、光源ランプの交換時期をユーザに知らせる機能としては、光源ランプの累積使用時期を記憶し、光源ランプの寿命までの時間を通知するプロジェクタが検討されている。たとえば、特開2009−223112号公報(特許文献1)には、光源ランプおよび冷却用ファンのフィルタの使用環境に応じて使用限界閾値を設定し、光源ランプおよびフィルタの通算の使用時間が該使用限界閾値に達したときには、消耗部品のメンテナンス(交換、修理など)を促す報知を行なう構成が開示される。
上記の特許文献1に記載のプロジェクタにおいては、プロジェクタの使用開始時(納品時)に環境設定画面を介して入力された環境情報に基づいて消耗部品の使用限界閾値が設定される。しかしながら、プロジェクタの実際の使用状態を鑑みると、一定の使用環境の下で継続して使用されることは稀であり、温度、湿度および粉塵の量に応じて使用限界閾値が異なってくる。また、消耗部品の個体差も影響することから、使用限界閾値を適切かつ正確に算出することは困難である。
一方、一般的に、液晶パネル、偏光板および偏光変換素子などの光学部品の劣化による画質の劣化は、投写画像の色むらや黒浮きとして現れることが多いため、ユーザにとって気付きにくい現象である。そのため、ユーザは、画質に不満を持ちながらも継続使用するケースが多い。なお、このように光学部品が劣化した状態で継続使用することは、プロジェクタ全体の寿命を低下させる原因となり得る。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光学部品の劣化状態を検出することにより、該光学部品が劣化した状態での継続使用によるプロジェクタ全体の寿命低下を抑制するとともに、画質に対するユーザの不満を解消することが可能な投写型映像表示装置を提供することである。
この発明のある局面に従う投写型映像表示装置は、光源と、入力された画像信号に応じて光源から出射された光を変調することにより、画像光を形成する光変調素子と、光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方に配置され、所定の偏光方向の光を透過する偏光素子と、光変調素子により形成された画像光を投写する投写部と、投写画像を撮像するための撮像部と、画面全体を単色表示とする特定の画像を投写したときに撮像部によって撮像される投写画像に基づいて、偏光素子の劣化状態を検出する劣化状態検出手段とを備える。
好ましくは、劣化状態検出手段は、撮像部によって撮像された投写画像の輝度分布に基づいて、偏光素子の劣化状態を検出する。
好ましくは、偏光素子は、光源から出射された光を、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光と第2の直線偏光光とに分離し、第1の直線偏光光を有する偏光光に揃えて出射するための偏光変換素子と、光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方の配置され、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光および第2の直線偏光光のうちの第1の直線偏光光を透過させ、第2の直線偏光光を吸収する偏光板とを含む。劣化状態検出手段は、偏光変換素子および偏光板の劣化状態に応じた投写画像の輝度分布を予め取得しており、当該輝度分布と撮像部によって撮像された投写画像の輝度分布とを比較することにより、偏光変換素子または偏光板の劣化状態を検出する。
好ましくは、投写型映像表示装置は、偏光素子のメンテナンスを推奨するための警告を報知する報知手段をさらに備える。
好ましくは、劣化状態検出手段は、電源投入時に投写型映像表示装置の各部を初期化するための初期化処理が実行されるタイミングに合わせて実行される。
好ましくは、投写型映像表示装置は、投写状態の自動調整を指示するための入力操作を受け付ける操作受付部をさらに備える。劣化状態検出手段は、操作受付部が受け付けた入力操作に応じて投写状態の自動調整が実行されるタイミングに合わせて実行される。
この発明によれば、光学部品の劣化状態を検出することにより、該光学部品が劣化した状態での継続使用による投写型映像表示装置全体の寿命低下を抑制するとともに、画質に対するユーザの不満を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置の外観構成を示す図である。 図1を参照して、本実施の形態に係る投写型映像表示装置(以下、プロジェクタという)100は、液晶デバイスを利用して映像を投写する液晶プロジェクタであって、スクリーンSCに液晶デバイスにより表示される映像の光を投写することにより、投写画像1を表示する。投写面は、スクリーンSCに限定されず、壁面であってもよい。
プロジェクタ100は、投写画像1を含む領域を、撮像面を介して撮像して撮像画像を生成する撮像部80を備える。撮像部80は、撮像素子と、当該撮像素子の各画素からの出力信号の取得など撮像素子を制御する撮像素子制御部と、撮像光学系とを含む。撮像素子としては、たとえばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などを用いることができる。なお、撮像部80の撮像範囲は、投写画像1が十分収まる範囲とする。
プロジェクタ100は、入力部60と、操作受付部70とをさらに備える。入力部60は、外部の信号供給装置(図示せず)から供給される画像信号を受け付けるための入力ポートを含む。信号供給装置には、DVD(Digital Versatile Disc)再生装置、Blu−Rayディスク再生装置などのデジタル信号を出力するデジタル信号供給装置と、コンピュータなどのアナログ信号を出力するアナログ信号供給装置とが含まれる。
操作受付部70は、ユーザが動作するリモコン(リモートコントローラの略)から送信される赤外線変調されたリモコン信号を受信する。リモコン信号には、プロジェクタ100を遠隔制御するためのコマンド信号が含まれる。
なお、操作受付部70は、リモコン信号を受信するだけでなく、プロジェクタ100の本体に設けられ、プロジェクタ100を操作するための複数の操作用ボタンを有する操作部(図示せず)からの信号を受付けることができる。
図2は、図1におけるプロジェクタ100の主要部の制御ブロック図である。
図2を参照して、プロジェクタ100は、画像供給部62と、画像処理部64と、液晶表示駆動部66と、OSD(On Screen Display)回路68と、画像投写部40と、制御部50と、記憶部52と、タイマ54とを備える。
図2を参照して、プロジェクタ100は、画像供給部62と、画像処理部64と、液晶表示駆動部66と、OSD(On Screen Display)回路68と、画像投写部40と、制御部50と、記憶部52と、タイマ54とを備える。
画像供給部62は、画像データを画像処理部64に供給する。具体的には、画像供給部62は、入力部60に接続されており、入力部60から入力された画像信号を、画像処理部64で処理可能な形式の画像データに変換し、画像処理部64に出力する。
画像処理部64は、制御部50からの指示に基づいて、画像供給部62から供給された画像データに対し、解像度を液晶パネル18,24,33(図3)の解像度(画素数)に合わせる解像度変換や、輝度調整、コントラスト調整、シャープネス調整などの各種画質調整を施し、画像信号を液晶表示駆動部66に出力する。なお、画像処理部64から出力される画像信号は、液晶パネル18,24,33のすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものである。
液晶表示駆動部66は、画像処理部64から出力された画像信号に従い、画像投写部40による画像の表示動作を制御するための駆動信号を生成して画像投写部40に出力する。この結果、画像信号に応じた画像(画像光)が画像投写部40から投写される。
図3は、図2における画像投写部40の構成を模式的に示す図である。図3を参照して、画像投写部40は、光学エンジン2と、投写レンズ3とを含む。
光学エンジン2は、光源10を含む。光源10は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電発光型光源ランプからなる。さらに、放電発光型の光源ランプに限らず、LED(Light Emitting Diode)、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の各種固体発光素子を採用してもよい。
光源10から出射された光は、フライアイインテグレータ11を介して、PBS(偏光ビームスプリッタ)アレイ12およびコンデンサレンズ13に入射される。フライアイインテグレータ11は、蝿の目状のレンズ群からなるフライアイレンズを備え、液晶パネル18,24,33に入射する光の光量分布が均一となるよう、光源10から入射される光に光学作用を付与する。
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板とがアレイ状に配列されたものであり、フライアイインテグレータ11から入射された光の偏光方向を一方向に揃える。コンデンサレンズ13は、PBSアレイ12から入射された光に集光作用を付与する。コンデンサレンズ13を通過した光は、ダイクロイックミラー14に入射する。
ダイクロイックミラー14は、コンデンサレンズ13から入射された光のうち、青色波長域の光(以下、「B光」という)のみを透過し、赤色波長域の光(以下、「R光」という)および緑色波長域の光(以下、「G光」という)を反射する。ダイクロイックミラー14を透過したB光は、ミラー15に導かれ、そこで反射され、コンデンサレンズ16に入射される。
コンデンサレンズ16は、B光がほぼ平行光で液晶パネル18に入射するよう、B光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ16を透過したB光は、入射側偏光板17を介して液晶パネル18に入射される。液晶パネル18は、青色用の画像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル18によって変調されたB光は、出射側偏光板19を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
ダイクロイックミラー14によって反射された光のうちG光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射される。コンデンサレンズ22は、B光がほぼ平行光で液晶パネル24に入射するよう、G光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ22を透過したG光は、入射側偏光板23を介して液晶パネル24に入射される。液晶パネル24は、緑色用の画像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル24によって変調されたG光は、出射側偏光板25を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
ダイクロイックミラー21を透過したR光は、コンデンサレンズ26に入射される。コンデンサレンズ26は、R光がほぼ平行光で液晶パネル33に入射するよう、R光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ26を透過したR光は、光路長調整用のリレーレンズ27,29,31と2つのミラー28,30とからなる光路を進み、入射側偏光板32を介して液晶パネル33に入射される。液晶パネル33は、赤色用の画像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。液晶パネル33によって変調されたR光は、出射側偏光板34を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
ダイクロイックプリズム20は、液晶パネル18,24,33によって変調されたB光、G光およびR光を色合成し、投写レンズ3へと入射させる。投写レンズ3は、投写光をスクリーンSCに結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータとを備えている。ダイクロイックプリズム20によって色合成された光は、投写レンズ3によってスクリーンSC上に拡大投写される。
再び図2を参照して、液晶表示駆動部66は、画像処理部64から出力される画像信号に応じた駆動電圧を液晶パネル18,24,33の各画素に印加することにより、各画素は、画像信号に応じた光透過率に設定される。これにより、光源10から出射された光は、液晶パネル18,24,33を通過することによって変調され、画像信号に応じた画像光が色光ごとに形成される。形成された各色の画像光は、色合成光学系によって画素ごとに合成されてカラー画像を示す画像光となった後、投写レンズ3によってスクリーンSCに拡大投写される。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、フラッシュメモリ等からなるROM(Read Only Memory)、各種データ等の一時記憶等に用いられるRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を備え、コンピュータとして機能するものである。制御部50は、CPUが記憶部52に記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、プロジェクタ100の動作を統括制御する。なお、この制御プログラムには、後述する偏光素子の劣化状態検出するためのプログラムとしての「劣化状態検出プログラム」が含まれている。
OSD回路68は、制御部50からの指示に従って、プロジェクタ100の各種状態を示す文字や記号、画像歪み補正、画質調整および動作条件設定等を行なう際のメニュー画像や、後述する劣化状態検出処理においてユーザに光学部品のメンテナンスを推奨するための警告画像(以下、これらの画像を「OSD画像」という)をOSD画像信号として生成し、画像処理部64へ出力する。画像処理部64は、OSD画像信号を、投写画像用の画像信号に合成し、その合成した画像信号を液晶表示駆動部66へ出力する。なお、OSD映像を表示しない場合には、画像処理部64は、上記の合成処理を行なわず、画像信号をそのまま液晶表示駆動部66へ出力する。
操作受付部70は、操作部あるいはリモコンへの操作がなされると、当該操作を受付け、制御部50へ各種動作のトリガとなるコマンド信号を送る。
図2に示す構成において、本実施の形態に係るプロジェクタ100は、撮像部80と、撮像画像記憶部82と、輝度分布検出部84とをさらに備える。制御部50は、操作受付部70を介してプロジェクタ100の電源投入が指示されると、プロジェクタ100の各部に対して電源供給を開始して、光源10の点灯等の一連の初期化処理を行なう。次いで、制御部50は、撮像部80、撮像画像記憶部82および輝度分布検出部84を制御することによって、投写された画像の輝度に基づいて、偏光素子の劣化状態を検出する。
具体的には、撮像部80は、制御部50からの指示に基づいて、投写画像を撮像し、撮像画像データを取得する。撮像部80により取得された撮像画像データは、撮像画像記憶部82に記憶される。
輝度分布検出部84は、撮像画像記憶部82に記憶される撮像画像データに基づいて、投写画像の輝度分布を算出する。輝度分布検出部84は、算出した投写画像の輝度分布を制御部50に出力する。
制御部50は、輝度分布検出部84により検出された投写画像の輝度分布に基づいて、光学部品の劣化状態を検出する。光学部品には、PBSアレイ12、入射側偏光板17,23,32、出射側偏光板20,25,34(図3)等の偏光素子が含まれる。この検出において、偏光素子の劣化度合いが、偏光素子の継続使用が許容される限界値に達したと判断された場合には、制御部50は、ユーザに対して偏光素子のメンテナンスを推奨するための警告を行なう。
[劣化状態検出処理]
以下に、この発明の実施の形態に係るプロジェクタ100が実行する劣化状態検出処理について、図面を参照して詳細に説明する。
以下に、この発明の実施の形態に係るプロジェクタ100が実行する劣化状態検出処理について、図面を参照して詳細に説明する。
図4は、プロジェクタ100の電源投入時の動作を説明する図である。
図4を参照して、電源が投入されて、制御部50に電源電圧が供給されると、制御部50内のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってプロジェクタ100の各部の初期化および制御を開始する。制御部50は、この初期化によってプロジェクタ100内の各部を動作可能な状態とする。具体的には、動作可能とするための信号を画像処理部64、液晶表示駆動部66およびOSD回路68に送信することによって、各部を初期化する。また、動作条件等を規定するための設定が必要なものには、予め定められた値(初期値)を設定する。また、制御部50は、タイマ54を初期化する。
図4を参照して、電源が投入されて、制御部50に電源電圧が供給されると、制御部50内のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってプロジェクタ100の各部の初期化および制御を開始する。制御部50は、この初期化によってプロジェクタ100内の各部を動作可能な状態とする。具体的には、動作可能とするための信号を画像処理部64、液晶表示駆動部66およびOSD回路68に送信することによって、各部を初期化する。また、動作条件等を規定するための設定が必要なものには、予め定められた値(初期値)を設定する。また、制御部50は、タイマ54を初期化する。
次に、制御部50は、光源制御部(図示せず)を初期化するとともに、光源制御部に指示をして、光源10(図3)に対する点灯動作(電圧印加)を行なう。光源10は、上記のように、放電発光型光源ランプからなるため、点灯を開始してから十分な明るさで安定した点灯状態となるまでに数十秒程度の時間を要する。タイマ54は、光源10の点灯を開始してからの経過時間をカウントし、カウント値を制御部50へ出力する。
図4に示すように、制御部50は、光源10が安定した点灯状態となるまでの間に所定の画像(初期画像)を投写させる。具体的には、制御部50は、OSD回路68に指示をして、初期画像を示すOSD画像信号(初期画像信号)を生成させる。OSD回路68は、生成した初期画像信号を画像処理部64へ出力する。画像処理部64は、入力された初期画像信号を図示しないフレームメモリに格納するとともに、液晶表示駆動部66へ出力する。液晶表示駆動部66は、初期画像信号に基づいて画像投写部40による画像の表示動作を制御するための駆動信号を生成して画像投写部40に出力する。この結果、初期画像信号に応じた初期画像が画像投写部40から投写される。このとき、光源10が正常に点灯していれば、その後の時間経過により光源10の輝度が高まるにつれて、投写された初期画像が視認可能となる。このように、初期画像を表示することで、点灯状態が安定して入力画像信号に応じた画像を投写可能となるまでの間、プロジェクタ100が準備中である旨を認識することができる。
次に、制御部50は、タイマ54のカウント値が初期値に達すると、光源10の点灯状態が安定したと判断する。そして、制御部50は、ROMに記憶されている劣化状態検出プログラムに従って、プロジェクタ100内の光学部品の劣化状態検出を開始する。
ここで、検出対象となる光学部品には、偏光素子(PBSアレイ12、入射側偏光板17,23,32、出射側偏光板19,25,34)が含まれる。これらの偏光素子は、光源10からの光が通過する光路上に設けられている。通過する光による熱的および化学的な影響を受けて偏光素子の光学特性が劣化すると、以下のように画質を劣化させる場合がある。
(PBSアレイの劣化)
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板とがアレイ状に配列されて形成されている。PBSは、断面が平行四辺形の柱状の透光性部材が複数張り合わされた形状を有している。界面には偏光分離膜と反射膜とが交互に設けられている。偏光分離膜は、S偏光光を反射し、P偏光光を透過する。反射膜はS偏光光を反射する。
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板とがアレイ状に配列されて形成されている。PBSは、断面が平行四辺形の柱状の透光性部材が複数張り合わされた形状を有している。界面には偏光分離膜と反射膜とが交互に設けられている。偏光分離膜は、S偏光光を反射し、P偏光光を透過する。反射膜はS偏光光を反射する。
1/2波長板は、有機の延伸フィルムを用いて構成されており、PBSの出射側に、光束が偏光分離膜を通過する部位に接着などによって固定されている。1/2波長板は、直線偏光光の偏光方向を変える機能を有し、S偏光光をP偏光光に、P偏光光をS偏光光にそれぞれ変換する。
PBSに入射した光束は、偏光分離膜にて、S偏光光が反射され、P偏光光が透過して2つの直線偏光光に分離される。偏光分離膜にて分離されたS偏光光は、反射膜にて反射してPBSから出射される。一方、偏光分離膜を透過したP偏光光は、PBSを透過して1/2波長板に入射する。1/2波長板に入射したP偏光光は、S偏光光に変換されて出射される。
このようにして、PBSアレイ12は、入射した光をS偏光光を有する偏光光に揃えて出射する。このとき、PBSアレイ12は、P偏光光およびS偏光光の一部を吸収して発熱する。特に、1/2波長板が発熱して偏光光を変換する機能が劣化すると、適切に偏光光をフィルタリングできないために不要な偏光成分が増加し、投写画像に色むらが生じてしまう。また、1/2波長板の機能が劣化した状態でPBSアレイ12の使用を継続すると、1/2波長板が過熱により損傷するとともに、周囲の光学部品をも損傷させるおそれが生じる。なお、このようにPBSアレイ12の劣化に起因した投写画像の色むらは、画面内にランダムに発生する場合が多い。
(入出射側偏光板の劣化)
入射側偏光板17,23,32は、ダイクロイックミラー14,21およびミラー15,28,30によって分離された各色光のうち、S偏光光を透過させ、P偏光光を吸収するものであり、透光性基板上に偏光膜が貼付されて構成されている。入射側偏光板17,23,32は、S偏光光およびP偏光光の一部を吸収することによって発熱する。この発熱によって入射側偏光板17,23,32の光学特性が劣化すると、適切に偏光光をフィルタリングできないために不要な偏光成分が増加する。これにより、投写画像においては、黒画像を投写したときに画面内に黒浮きが発生する。あるいは、白画像を投写したときには画面内に色むらが発生する。
入射側偏光板17,23,32は、ダイクロイックミラー14,21およびミラー15,28,30によって分離された各色光のうち、S偏光光を透過させ、P偏光光を吸収するものであり、透光性基板上に偏光膜が貼付されて構成されている。入射側偏光板17,23,32は、S偏光光およびP偏光光の一部を吸収することによって発熱する。この発熱によって入射側偏光板17,23,32の光学特性が劣化すると、適切に偏光光をフィルタリングできないために不要な偏光成分が増加する。これにより、投写画像においては、黒画像を投写したときに画面内に黒浮きが発生する。あるいは、白画像を投写したときには画面内に色むらが発生する。
出射側偏光板19,25,34は、入射側偏光板17,23,32と同様の機能を有し、液晶パネル18,24,33から出射された光のうち、S偏光光を透過させ、P偏光光を吸収する。出射側偏光板19,25,34は、S偏光光およびP偏光光の一部を吸収することによって発熱する。この発熱によって出射側偏光板19,25,34の光学特性が劣化すると、投写画像に黒浮きや色むらが発生する。
ここで、入射側偏光板および出射側偏光板の劣化状態は、色光ごとに異なる。本実施の形態においては、放電発光型光源ランプを光源10としているため、白色光を得るために必要な光のうちG光の強度がR光およびB光の強度に比較して小さい。そのため、液晶パネル24から出射されたG光を透過する出射側偏光板25の劣化度合いが、R光を透過する出射側偏光板19およびB光を透過する出射側偏光板34の劣化度合いと比較して大きくなる。
また、R光およびG光に比較して波長が短いB光が入射される入射側偏光板32においては、B光を透過させる一方で紫外光を吸収するため、R光が入射される入射側偏光板17およびG光が入射される入射側偏光板23と比較して劣化度合いが大きくなる。
なお、入射側偏光板および出射側偏光板は、図示しない冷却装置から供給される冷却風によって冷却される。しかしながら、冷却風は入射側偏光板および出射側偏光板と液晶パネルとの間の間隙を流路とするところ、該間隙が狭いために入射側偏光板および出射側偏光板においては、周囲部分よりも中央部分の方が温度が高くなる傾向にある。その結果、偏光板の中央部分の劣化度合いが周囲部分の劣化度合いと比較して大きくなるため、上述した入射側偏光板および出射側偏光板の劣化に起因した投写画像の黒浮きや色むらは、該中央部分に発生する場合が多い。
(液晶パネルの劣化)
なお、上述した偏光素子(PBSアレイ、入出射側偏光板)が劣化するとともに、液晶パネル18,24,33においても長期の使用によって劣化が進行する。液晶パネル18,24,33は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有しており、液晶表示駆動部66から出力される駆動信号に応じて該液晶の配向状態が制御されることにより、入射側偏光板17,23,32から出射された偏光光の偏光方向を変調する。この液晶パネル18,24,33においても、色光ごとに劣化状態が異なる。一般的に、短波長であるB光側の液晶パネル33の劣化度合いが、R光側の液晶パネル18およびG光側の液晶パネル24の劣化度合いと比較して大きくなる。特に、液晶パネル内の配向膜が劣化しやすい。該配向膜の劣化によって液晶の配向状態が乱れると、適切に偏光光を変調できないため、画面内の特定の領域において画像を適切に表示できないといった画質の劣化を生じさせる。
なお、上述した偏光素子(PBSアレイ、入出射側偏光板)が劣化するとともに、液晶パネル18,24,33においても長期の使用によって劣化が進行する。液晶パネル18,24,33は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有しており、液晶表示駆動部66から出力される駆動信号に応じて該液晶の配向状態が制御されることにより、入射側偏光板17,23,32から出射された偏光光の偏光方向を変調する。この液晶パネル18,24,33においても、色光ごとに劣化状態が異なる。一般的に、短波長であるB光側の液晶パネル33の劣化度合いが、R光側の液晶パネル18およびG光側の液晶パネル24の劣化度合いと比較して大きくなる。特に、液晶パネル内の配向膜が劣化しやすい。該配向膜の劣化によって液晶の配向状態が乱れると、適切に偏光光を変調できないため、画面内の特定の領域において画像を適切に表示できないといった画質の劣化を生じさせる。
なお、上述したPBSアレイ、入出射側偏光板および液晶パネルの劣化は、液晶プロジェクタにおける光学部品の劣化状態の一例を説明したものであるが、DLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクタにおいては、DMD(Digital Micro-Mirror Device)パネルおよびカラーホイール等が劣化することにより投写画像の画質が低下する。
(劣化状態検出)
以下、偏光素子の劣化状態を検出する具体的な方法について、図面を参照して説明する。
以下、偏光素子の劣化状態を検出する具体的な方法について、図面を参照して説明する。
まず、制御部50は、劣化状態を検出するための特定の画像(以下、「テスト画像」という)を投写させる。このテスト画像は、図4に示すように、たとえば黒色無地の画像(全黒画像)からなる。画像処理部64は、制御部50からの全黒画像の投写の指示を受けて、各画素の光透過率が最小となるように画像信号を生成して液晶表示駆動部66へ出力する。液晶表示駆動部66が、画像処理部64から入力される画像信号に従って液晶パネル18,24,33を駆動することにより、全黒画像が形成されて投写レンズ3から投写される。
撮像部80は、全黒のテスト画像が投写されたスクリーンSCを撮像する。撮像部80により取得された撮像画像データは、撮像画像記憶部82に記憶される。輝度分布検出部84は、該撮像画像データに基づいて、投写画像に相当する領域とそれ以外の領域とを判別する。そして、輝度分布検出部84は、投写画像の輝度分布を算出する。
図5は、本実施の形態の一例に係る投写画像の輝度分布の模式図である。
図5(a)に示す投写画像の例では、画面の中央部分が周囲部分と比較して明るくなっている。輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に積算する。具体的には、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を垂直方向に積算(加算)することにより、図5(b)に示すような、水平方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。同様に、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向に積算することにより、垂直方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。輝度分布検出部84は、生成したデータを制御部50へ出力する。
図5(a)に示す投写画像の例では、画面の中央部分が周囲部分と比較して明るくなっている。輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に積算する。具体的には、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を垂直方向に積算(加算)することにより、図5(b)に示すような、水平方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。同様に、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向に積算することにより、垂直方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。輝度分布検出部84は、生成したデータを制御部50へ出力する。
制御部50は、輝度分布検出部84により生成されたデータに基づいて、偏光素子の劣化状態を判定する。具体的には、制御部50は、偏光素子の劣化状態と投写画像の積算輝度との関係を示すデータを予め取得しており、輝度分布検出部84により生成されたデータと当該データとを比較することにより、偏光素子の劣化状態を判定する。
図5の例では、投写画像の画面中央部分が周囲部分よりも明るくなることに応じて(図5(a))、水平方向における輝度値においても、画面中央部分の輝度値が周囲部分の輝度値と比較して高くなっている(図5(b))。制御部50は、図5(b)に示すデータを予め取得しているデータと比較することにより、入射側偏光板17,23,32および出射側偏光板19,25,34の少なくとも一方の劣化度合いが使用限界値を超えており、継続使用不可な状態であると判定する。これは、上述したように、入射側偏光板および出射側偏光板の劣化に起因した投写画像の黒浮きは、画面の中央部分に発生する場合が多いことに基づいている。
図6は、本実施の形態の他の例に係る投写画像の輝度分布の模式図である。
図6(a)に示す投写画像の例では、画面内に他の部分と比較して明るい部分が散在している。輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に積算する。具体的には、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を垂直方向に積算(加算)することにより、図6(b)に示すような、水平方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。同様に、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向に積算することにより、垂直方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。輝度分布検出部84は、生成したデータを制御部50へ出力する。
図6(a)に示す投写画像の例では、画面内に他の部分と比較して明るい部分が散在している。輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)に積算する。具体的には、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を垂直方向に積算(加算)することにより、図6(b)に示すような、水平方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。同様に、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向に積算することにより、垂直方向と積算輝度との関係を示すデータを生成することができる。輝度分布検出部84は、生成したデータを制御部50へ出力する。
制御部50は、輝度分布検出部84により生成されたデータと予め取得している偏光素子の劣化状態と投写画像の積算輝度との関係を示すデータとを比較することにより、偏光素子の劣化状態を判定する。
図6の例では、投写画像の画面内に明るい部分が散在することに応じて(図6(a))、水平方向における輝度値においても、輝度値が高くなる部分がランダムに存在している(図6(b))。この場合、制御部50は、PBSアレイ12の劣化度合いが使用限界値を超えており、継続使用不可な状態であると判定する。これは、上述したように、PBSアレイ12の劣化に起因した投写画像の色むらは、画面内にランダムに発生する場合が多いことに基づいている。
以上の処理は、図7に示すような処理フローにまとめることができる。
(フローチャート)
図7は、本実施の形態に係る劣化状態検出処理の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す各ステップは、制御部50内のCPUが記憶部52に記憶されている劣化状態検出プログラムに従って動作することにより実現される。
(フローチャート)
図7は、本実施の形態に係る劣化状態検出処理の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す各ステップは、制御部50内のCPUが記憶部52に記憶されている劣化状態検出プログラムに従って動作することにより実現される。
図7を参照して、まず、制御部50は、画像処理部64に指示をして、テスト画像(全黒画像、図4参照)を投写させる(ステップS01)。
次に、制御部50は、投写されているテスト画像を撮像部80に撮像させる(ステップS02)。撮像部80により取得された撮像画像データは、撮像画像記憶部82に記憶される。
次に、制御部50は、輝度分布検出部84に指示をして、投写画像の輝度分布を算出させる(ステップS03)。具体的には、輝度分布検出部84は、投写画像の各画素の輝度値を水平方向および垂直方向にそれぞれ積算することにより、水平方向および垂直方向と積算輝度との関係を示すデータを生成する。
次に、制御部50は、輝度分布検出部84によって生成されたデータに基づいて、偏光素子の劣化状態を判定する(ステップS04)。具体的には、制御部50は、水平方向と積算輝度との関係を示すデータおよび垂直方向と積算輝度との関係を示すデータと、予め取得している偏光素子の劣化状態と投写画像の積算輝度との関係を示すデータとを比較する。たとえば、制御部50は、輝度分布検出部84によって生成されたデータから輝度値が所定の閾値を超える画素の座標位置を検出し、その検出した座標位置に基づいて、輝度値が所定の閾値を超える画素が投写画像の画面内の中央部分を含む所定領域内に所定数以上存在していると判断されたときには、入射側偏光板17,23,32および出射側偏光板19,25,34の少なくとも一方の劣化度合いが使用限界値を超えており、継続使用不可な状態であると判定する。
また、制御部50は、輝度分布検出部84によって生成されたデータから、輝度値が所定の閾値を超える画素が投写画像の画面内にランダムに位置していると判断されたときには、PBSアレイ12の劣化度合いが使用限界値を超えており、継続使用不可な状態であると判定する。
なお、本実施の形態では、偏光素子の劣化状態の判定において画素の輝度値そのものを用いたが、画素間の輝度値の差分値を用いてもよい。また、輝度値以外にも、照度値、明度値等の種々の明るさの指標値を適用してもよい。さらに、画像を構成する画素の水平方向および垂直方向のラインを輝度分析の処理単位としたが、画素、画素ブロック等を用いてもよい。
上記の劣化状態の判定処理において、偏光素子の劣化度合いが使用限界値を超えており、継続使用不可な状態であると判定されたときには、制御部50は、OSD回路68に指示をして、ユーザに偏光素子のメンテナンスを推奨するための警告画像を示すOSD画像信号(警告画像信号)生成させる。OSD回路68は、生成した警告画像信号を画像処理部64へ出力する。画像処理部64は、入力された警告画像信号を図示しないフレームメモリに格納するとともに、液晶表示駆動部66へ出力する。液晶表示駆動部66は、警告画像信号に基づいて画像投写部40による画像の表示動作を制御するための駆動信号を生成して画像投写部40に出力する。この結果、警告画像が画像投写部40から投写される(ステップS05)。一方、ステップS04における判定処理において、偏光素子の劣化度合いが小さく、継続使用可能な状態であると判定されたときには、処理が終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、プロジェクタ100は、投写画像の撮像情報に基づいて画像投写部40を構成する光学部品である偏光素子の劣化状態を検出することができる。この検出した劣化状態に応じてユーザにメンテナンスを推奨する警告を発することにより、偏光素子が劣化した状態で継続使用することによって、プロジェクタ100全体での寿命が低下するのを抑制することができる。また、画質の劣化に対するユーザの不満を解消することができる。
なお、上記の警告画像は、ユーザにメンテナンスを推奨する旨を表示する画像に限定されない。たとえば、ユーザにメーカへの連絡を促す旨を表示するようにしてもよい。また、画面上で警告を行なう際には、警告直後に実行される画像信号に基づく画像の投写の妨げにならないように、画面の上端部や下端部に警告画像を表示させることが望ましい。
さらに、画面上で警告を行なうのに代えて、操作部に設けられた警告ランプを点灯させる、あるいは音声を出力するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図4に示したように、劣化状態検出処理は、プロジェクタ100の電源投入時の初期化処理に連続して実行される。図8は、プロジェクタ100の電源投入時の動作を説明するフローチャートである。
図8を参照して、電源が投入されて、制御部50に電源電圧が供給されると(ステップS01)、制御部50は、プロジェクタ100内の各部を動作可能な状態とする初期化処理を実行する。具体的には、動作可能とするための信号を画像処理部64、液晶表示駆動部66およびOSD回路68に送信することによって、各部を初期化する。また、動作条件等を規定するための設定が必要なものには、予め定められた値(初期値)を設定する。また、制御部50は、タイマ54を初期化する。
次に、制御部50は、光源制御部(図示せず)を初期化するとともに、光源制御部に指示をして、光源10(図3)に対する点灯動作(電圧印加)を行なう。光源10は、上記のように、放電発光型光源ランプからなるため、点灯を開始してから十分な明るさで安定した点灯状態となるまでに数十秒程度の時間を要する。タイマ54は、光源10の点灯を開始してからの経過時間をカウントし、カウント値を制御部50へ出力する。
次に、制御部50は、光源10が安定した点灯状態となるまでの間に初期画像(図4参照)を投写させる。そして、制御部50は、タイマ54のカウント値が初期値に達すると(ステップS13)、光源10の点灯状態が安定したと判断する。そして、制御部50は、ROMに記憶されている劣化状態検出プログラムに従って、図7に示す劣化状態検出処理を開始する(ステップS14)。
このステップS14の劣化状態検出処理において、偏光素子の継続使用不可な状態であると判定されたときには、制御部50は、警告画像を投写させる(ステップS15)。一方、偏光素子の継続使用可能な状態であると判定されたときには、画像処理部64に指示をして、画像供給部62から供給された画像データに基づく画像信号を生成させる。液晶表示駆動部66は、画像処理部64から出力された画像信号に従い、画像投写部40による画像の表示動作を制御するための駆動信号を生成して画像投写部40に出力する。この結果、画像信号に応じた画像(画像光)が画像投写部40から投写される(ステップS16)。
図8に示すように、電源投入時に劣化状態検出処理を実行する構成とすることにより、プロジェクタ100の使用時には毎回光学部品の劣化状態を確認することができるため、ユーザは光学部品の劣化状態に応じた適切な運用を実現することができる。
また、プロジェクタ100は、電源投入時以外にも、ユーザにより指示された場合においても、劣化状態検出処理を実行する構成としてもよい。当該構成の一例として、プロジェクタ100において、ユーザにより投写状態の調整を指示するための投写状態調整ボタンが操作された場合に、投写状態が自動調整されるタイミングに合わせて、劣化状態を検出することができる。
具体的には、ユーザにより投写状態調整ボタンが操作されると、操作受付部70は、この入力操作を検知して制御部50に操作信号を出力する。制御部50は、この操作信号を受けると、画像の投写状態(フォーカス状態、ズーム状態および画像の歪み状態など)を自動調整するための処理を行なう。このとき、制御部50は、画像処理部64に指示をして、投写状態を調整するためのテスト画像(たとえば単色無地の画像)を画像投写部40から投写させるとともに、撮像部80により投写されたテスト画像を撮像させる。そして、制御部50は、撮像画像を解析し、投写画像が適切な投写状態となるように、投写レンズ3を駆動するアクチュエータを制御するとともに、画像処理部64に指示をして画像歪みを補正させる。
そして、このような投写画像の自動調整に合わせて、制御部50は、撮像画像から投写画像の輝度分布を算出し、その算出結果に基づいて光学部品の劣化状態を検出する。光学部品が継続使用不可な状態であると判定されたときには、制御部50は、投写状態の自動調整が終了した後に、警告画像を投写させる。
このように、ユーザにより指示された場合に劣化状態検出処理を実行する構成としたことにより、ユーザが気付きにくい光学部品の劣化を効果的にユーザに知らしめることができる。
なお、上述した実施例では、投写状態が自動調整されるタイミングに合わせて劣化状態検出処理を実行するについて例示したが、劣化状態の検出を指示するための操作ボタンを単独で設けておき、該操作ボタンの入力操作に応じて劣化状態検出処理を実行するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 投写画像、2 光学エンジン、3 投写レンズ、10 光源、11 フライアイインテグレータ、12 PBSアレイ、13,16,22 コンデンサレンズ、14,21 ダイクロイックミラー、15,28,30 ミラー、17,23,32 入射側偏光板、18,24,33 液晶パネル、19,25,34 出射側偏光板、20 ダイクロイックプリズム、27,29,31 リレーレンズ、40 画像投写部、50 制御部、52 記憶部、54 タイマ、60 入力部、62 画像供給部、64 画像処理部、66 液晶表示駆動部、68 OSD回路、70 操作受付部、80 撮像部、82 撮像画像記憶部、84 輝度分布検出部、100 プロジェクタ。
Claims (6)
- 光源と、
入力された画像信号に応じて前記光源から出射された光を変調することにより、画像光を形成する光変調素子と、
前記光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方に配置され、所定の偏光方向の光を透過する偏光素子と、
前記光変調素子により形成された画像光を投写する投写部と、
投写画像を撮像するための撮像部と、
画面全体を単色表示とする特定の画像を投写したときに前記撮像部によって撮像される投写画像に基づいて、前記偏光素子の劣化状態を検出する劣化状態検出手段とを備える、投写型映像表示装置。 - 前記劣化状態検出手段は、前記撮像部によって撮像された投写画像の輝度分布に基づいて、前記偏光素子の劣化状態を検出する、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
- 前記偏光素子は、
前記光源から出射された光を、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光と第2の直線偏光光とに分離し、前記第1の直線偏光光を有する偏光光に揃えて出射するための偏光変換素子と、
前記光変調素子の入射側および反射側の少なくとも一方の配置され、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光および第2の直線偏光光のうちの前記第1の直線偏光光を透過させ、前記第2の直線偏光光を吸収する偏光板とを含み、
前記劣化状態検出手段は、前記偏光変換素子および前記偏光板の劣化状態に応じた投写画像の輝度分布を予め取得しており、当該輝度分布と前記撮像部によって撮像された投写画像の輝度分布とを比較することにより、前記偏光変換素子または前記偏光板の劣化状態を検出する、請求項2に記載の投写型映像表示装置。 - 前記偏光素子のメンテナンスを推奨するための警告を報知する報知手段をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の投写型映像表示装置。
- 前記劣化状態検出手段は、電源投入時に前記投写型映像表示装置の各部を初期化するための初期化処理が実行されるタイミングに合わせて実行される、請求項1から3のいずれか1項に記載の投写型映像表示装置。
- 投写状態の自動調整を指示するための入力操作を受け付ける操作受付部をさらに備え、
前記劣化状態検出手段は、前記操作受付部が受け付けた前記入力操作に応じて投写状態の自動調整が実行されるタイミングに合わせて実行される、請求項1から3のいずれか1項に記載の投写型映像表示装置。
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