JP2012111127A - 熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面にシボが均一に転写された、転写ムラによる斑模様の発生のない、優れたシボ装飾面を有する射出成形品を提供する。
【解決手段】表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する熱可塑性樹脂製射出成形品であって、
装飾面(A)および裏側面(B)における各表面の算術平均粗さをそれぞれRa(A)、Ra(B)、単位面積あたりの表面積をそれぞれS(A)、S(B)とした際、
Ra(A)<Ra(B) かつ S(A)<S(B)であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品による。
【選択図】なし
【解決手段】表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する熱可塑性樹脂製射出成形品であって、
装飾面(A)および裏側面(B)における各表面の算術平均粗さをそれぞれRa(A)、Ra(B)、単位面積あたりの表面積をそれぞれS(A)、S(B)とした際、
Ra(A)<Ra(B) かつ S(A)<S(B)であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品による。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、熱可塑性樹脂を射出成形した表面に微細な凹凸状シボを有する成形品であって、斑模様の発生のない熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂等に代表される熱可塑性樹脂は、軽量で耐衝撃性などの機械的強度に優れ、耐薬品性、耐油性、成形加工性などにも優れるため、自動車用部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、機械部品、建材・住設関連部品などの分野で広く使用されている。
そして、特に自動車用の内外装部品や家電機器部品等の分野では、高級感が志向され、成形品表面の光沢を抑えるため、艶消しを施した成形品に対する需要が、近年ますます高まっている。
そして、特に自動車用の内外装部品や家電機器部品等の分野では、高級感が志向され、成形品表面の光沢を抑えるため、艶消しを施した成形品に対する需要が、近年ますます高まっている。
表面光沢を抑え高級感を醸し出す方法として、射出成形の金型面に凹凸状のシボを設け、これを成形品に転写することにより、表面にシボ加工が施され外観の優れた射出成形品を得ることが行われている。
このような射出成形法においては、金型に溶融樹脂を充填し保圧すると、金型表面に溶融した熱可塑性樹脂が接触し、凹凸状のシボが、理想的には均一に転写され、そのまま離型されて、均一なシボ表面の成形品が得られるものと考えられる。
このような射出成形法においては、金型に溶融樹脂を充填し保圧すると、金型表面に溶融した熱可塑性樹脂が接触し、凹凸状のシボが、理想的には均一に転写され、そのまま離型されて、均一なシボ表面の成形品が得られるものと考えられる。
しかし、実際の成形においては、均一な転写が得られずに、成形品表面に斑模様が出現することが少なくない確度で起こってしまう。この斑模様は、例えば白黒模様の白モヤであって、特に一方向の視野で出現し、擦っても簡単には消えず、その商品価値を著しく損なってしまう。
従来、このような成形の場合には、通常は射出圧力や保圧を高くするとか、熱可塑性樹脂の流動性を高いものにする等の手法が用いられるが、前者の手法では充填時の流動抵抗や固化速度の不均一性が高まり、成形品の変形等を生じてしまう。また、後者の手法では成形品の機械強度の低下が心配される。
また、特許文献1では、型内に設けた多孔部材から圧縮空気を送り込んで、溶融樹脂を表面側に押圧することも提案されているが、この方法では均一な離型を損ない、得られる成形品の外観が低下する恐れがある。
従来、このような成形の場合には、通常は射出圧力や保圧を高くするとか、熱可塑性樹脂の流動性を高いものにする等の手法が用いられるが、前者の手法では充填時の流動抵抗や固化速度の不均一性が高まり、成形品の変形等を生じてしまう。また、後者の手法では成形品の機械強度の低下が心配される。
また、特許文献1では、型内に設けた多孔部材から圧縮空気を送り込んで、溶融樹脂を表面側に押圧することも提案されているが、この方法では均一な離型を損ない、得られる成形品の外観が低下する恐れがある。
こうした状況下、斑模様の発生のない、シボ装飾面を有する熱可塑性樹脂製射出成形品とそれを得る方法が強く望まれていた。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、斑模様の発生のない、高級感を与えるシボ装飾面を有する熱可塑性樹脂製射出成形品を得ることにある。また、成形品の不良率が激減し、生産効率を大幅に向上することができる。
本発明者は、上記課題を達成すべく、シボ付き金型による斑模様の発生の機構を詳細に解析し、鋭意検討を重ねた結果、シボとの離型が良いところと悪いところがあって、シボとの離型が良いところが起点となって引け(ヒケともいう。)が発生し、引け始めの部分は周辺より高温のため、弾性率(または粘度)が周辺部より低く、周辺部により引っ張られるために、ヒケの面積が大きくなり、また、ヒケの周辺部は自身の厚み方向の収縮量が小さくなり、このような機構により黒色の斑が形成されると推察されることを見出した。
そして、シボ金型からの離型のタイミングを全体として早めに均一に合わせることが出来れば、シボの斑模様のない成形体が得られるのではと想到するに至り、装飾面(A)を形成する凹凸状シボの金型表面の粗さ及び表面積、並びに、裏側面(B)を形成する金型表面の粗さ及び表面積との関係を検討することにより、斑模様の発生のないシボ装飾面を有する熱可塑性樹脂製射出成形品を得るに至った。
そして、シボ金型からの離型のタイミングを全体として早めに均一に合わせることが出来れば、シボの斑模様のない成形体が得られるのではと想到するに至り、装飾面(A)を形成する凹凸状シボの金型表面の粗さ及び表面積、並びに、裏側面(B)を形成する金型表面の粗さ及び表面積との関係を検討することにより、斑模様の発生のないシボ装飾面を有する熱可塑性樹脂製射出成形品を得るに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する熱可塑性樹脂製射出成形品であって、
装飾面(A)および裏側面(B)における各表面の算術平均粗さをそれぞれRa(A)、Ra(B)、単位面積あたりの表面積をそれぞれS(A)、S(B)とした際、
Ra(A)<Ra(B) かつ S(A)<S(B)
であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品が提供される。
装飾面(A)および裏側面(B)における各表面の算術平均粗さをそれぞれRa(A)、Ra(B)、単位面積あたりの表面積をそれぞれS(A)、S(B)とした際、
Ra(A)<Ra(B) かつ S(A)<S(B)
であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、平均肉厚が5mm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、装飾面(A)の凹凸状シボが、梨地もしくは皮シボであることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成形品が自動車用ドアミラーステイであることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、熱可塑性樹脂を用いて、表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する成形品を射出成形により製造する方法であって、
装飾面(A)に凹凸状シボを転写させる金型表面の、算術平均粗さをRa(A’)、単位面積あたりの表面積をS(A’)とし、裏側面(B)を形成する金型表面の、算術平均粗さをRa(B’)、単位面積あたりの表面積をS(B’)とした際、
Ra(A’)<Ra(B’) かつ S(A’)<S(B’)
である金型を使用することを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品の製造方法が提供される。
装飾面(A)に凹凸状シボを転写させる金型表面の、算術平均粗さをRa(A’)、単位面積あたりの表面積をS(A’)とし、裏側面(B)を形成する金型表面の、算術平均粗さをRa(B’)、単位面積あたりの表面積をS(B’)とした際、
Ra(A’)<Ra(B’) かつ S(A’)<S(B’)
である金型を使用することを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品の製造方法が提供される。
本発明の成形品は、表面にシボが均一に転写された、転写ムラによる斑模様の発生のない、優れたシボ装飾面を有する射出成形品であり、またその製造方法によれは、斑模様の発生のない、優れたシボ装飾面を有する射出成形品を生産効率よく製造することができる。
以下、本発明について実施形態および例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態および例示物等に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。
本発明は、表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する熱可塑性樹脂製射出成形品であって、
装飾面(A)表面の算術平均粗さRa(A)および裏側面(B)表面の算術平均粗さRa(B)が、Ra(A)<Ra(B)を満たし、
装飾面(A)の単位面積あたりの表面積S(A)および裏側面(B)の単位面積あたりの表面積S(B)が、S(A)<S(B)を満たすことを特徴とする。
装飾面(A)表面の算術平均粗さRa(A)および裏側面(B)表面の算術平均粗さRa(B)が、Ra(A)<Ra(B)を満たし、
装飾面(A)の単位面積あたりの表面積S(A)および裏側面(B)の単位面積あたりの表面積S(B)が、S(A)<S(B)を満たすことを特徴とする。
また、本発明は、熱可塑性樹脂を用いて、上記成形品を射出成形により製造するにあたり、装飾面(A)に凹凸状シボを転写させる金型表面の、算術平均粗さをRa(A’)、単位面積あたりの表面積をS(A’)とし、裏側面(B)を形成する金型表面の、算術平均粗さをRa(B’)、単位面積あたりの表面積をS(B’)とした際、
Ra(A’)<Ra(B’) かつ S(A’)<S(B’)を満たす金型を用いることを特徴とする。
Ra(A’)<Ra(B’) かつ S(A’)<S(B’)を満たす金型を用いることを特徴とする。
本発明において、射出成形に供する原料熱可塑性樹脂は、特に制限はないが、本発明での使用に適した熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂等のキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂等のポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂(PC樹脂);変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂);ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマー等を例示することができ、これらを2種以上併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂製射出成形品は、表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)を有している。
ここで、凹凸状シボとは、広義の意味でのシボ模様であり、皮シボ、梨地、木目、砂目、しわ模様、岩目等、高低差のある微細な模様が含まれる。なかでも、表面光沢の抑制効果、離型の均一性又はシボの転写性の点で、梨地もしくは皮シボが好ましい。
ここで、凹凸状シボとは、広義の意味でのシボ模様であり、皮シボ、梨地、木目、砂目、しわ模様、岩目等、高低差のある微細な模様が含まれる。なかでも、表面光沢の抑制効果、離型の均一性又はシボの転写性の点で、梨地もしくは皮シボが好ましい。
本発明の成形品は、装飾面(A)表面の算術平均粗さRa(A)および裏側面(B)表面の算術平均粗さRa(B)が、Ra(A)<Ra(B)を満たし、また、装飾面(A)の単位面積あたりの表面積S(A)および裏側面(B)の単位面積あたりの表面積S(B)が、S(A)<S(B)を満たす。
装飾面(A)表面のRa(A)が、裏側面(B)のRa(B)より小さいということは、裏側面(B)の凹凸の高低差が大きいことを意味し、これに加えて、さらに、装飾面(A)の表面積S(A)が裏側面(B)の表面積S(B)より小さいということは、裏側面(B)は凹凸の高低差が大きい深いシボがより緻密な密度で形成されていることを意味する。
このような射出成形品にすることで、装飾面(A)におけるシボ金型からの離型のタイミングが、裏面側(B)におけるシボ金型からの離型のタイミングより早く、離型が均一となることにより、装飾面(A)全体が均一にヒケ、斑模様のない成形品となる。
装飾面(A)表面のRa(A)が、裏側面(B)のRa(B)より小さいということは、裏側面(B)の凹凸の高低差が大きいことを意味し、これに加えて、さらに、装飾面(A)の表面積S(A)が裏側面(B)の表面積S(B)より小さいということは、裏側面(B)は凹凸の高低差が大きい深いシボがより緻密な密度で形成されていることを意味する。
このような射出成形品にすることで、装飾面(A)におけるシボ金型からの離型のタイミングが、裏面側(B)におけるシボ金型からの離型のタイミングより早く、離型が均一となることにより、装飾面(A)全体が均一にヒケ、斑模様のない成形品となる。
ここで、表面の算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡観察により測定する。
具体的には、以下の方法で測定した。
キーエンス社製、レーザー顕微鏡「VK−8500」を用い、倍率500倍、測定ピッチ0.1μmの条件で、任意に選択した100μm×100μmの領域5ヶ所について表面粗さの計測を行い、その平均値を算術平均粗さRaとした。
具体的には、以下の方法で測定した。
キーエンス社製、レーザー顕微鏡「VK−8500」を用い、倍率500倍、測定ピッチ0.1μmの条件で、任意に選択した100μm×100μmの領域5ヶ所について表面粗さの計測を行い、その平均値を算術平均粗さRaとした。
また、表面積は、上記表面粗さと同様の条件で測定した。すなわち、得られる表面積は、上記レーザー顕微鏡によって観察して得た表面粗さを考慮した表面積である。
装飾面(A)表面の算術平均粗さRa(A)の具体的な値は、0.1〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜30μm、さらには4〜20μm、特には10〜20μmである。
また、裏側面(B)表面の算術平均粗さRa(B)は、1〜100μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは4〜70μm、さらには10〜50μm、特には15〜50μmである。
そして、両者の差(Ra(B)−Ra(A))は、0.5〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらには3〜30μm、特には5〜20μmである。
また、裏側面(B)表面の算術平均粗さRa(B)は、1〜100μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは4〜70μm、さらには10〜50μm、特には15〜50μmである。
そして、両者の差(Ra(B)−Ra(A))は、0.5〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらには3〜30μm、特には5〜20μmである。
本発明の射出成形品としては、特に限定されるものではなく、板状、棒状、柱状、箱状、塊状、その他複雑な形状を有するものなど各種形状のものが挙げられる。
例えば、
(1)全体として、厚さが略一定の板状である成形品、
(2)一部分が肉厚となっており、他の部分の厚さが略一定の板状である成形品、
(3)全体として、厚さが徐々に薄くなる板状である成形品、
等を例示することができる。なお、本発明での板状とは、薄い板形状であるものを指し、断面が湾曲していてもよい。また、機能性やデザインのために、リブ、ボス等の凹凸や穴等を施したものであってもよい。
例えば、
(1)全体として、厚さが略一定の板状である成形品、
(2)一部分が肉厚となっており、他の部分の厚さが略一定の板状である成形品、
(3)全体として、厚さが徐々に薄くなる板状である成形品、
等を例示することができる。なお、本発明での板状とは、薄い板形状であるものを指し、断面が湾曲していてもよい。また、機能性やデザインのために、リブ、ボス等の凹凸や穴等を施したものであってもよい。
本発明においては、これら成形品の表面において、表面粗さ、表面積の測定を行う。測定にあたっては、上記リブ、ボス等の凹凸や穴等部がある場合は、それら除いた表面において、100μm×100μmの領域5ヶ所を任意に選択して行う。
射出成形品の厚みは特に限定されないが、平均肉厚(リブ、ボス等の凹凸や穴等がある場合は、それらを除く部分の平均肉厚)が5mm以下であるものが好ましく、4mm以下がより好ましい。成形品の肉厚が5mm以下であるような薄肉成形品に均一なシボを有するものは簡単には得られ難いが、本発明によればこれを安定的に得ることができる。
射出成形品の厚みは特に限定されないが、平均肉厚(リブ、ボス等の凹凸や穴等がある場合は、それらを除く部分の平均肉厚)が5mm以下であるものが好ましく、4mm以下がより好ましい。成形品の肉厚が5mm以下であるような薄肉成形品に均一なシボを有するものは簡単には得られ難いが、本発明によればこれを安定的に得ることができる。
射出成形品としては、自動車・航空機等の内装・外装部品、電気・電子・OA機器部品、携帯電話、機械部品、建築部材、レジャ−用品・雑貨類等など各種用途のものを挙げることができる。
自動車外装部品としては、ドアミラーステイ(支持支柱)、アウターハンドル、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ルーフレール、ワイパーアームなどがあり、自動車内装部品としては、インナーハンドル、センターコンソール、インパネ、アシストグリップ、シートベルトストッパーなどが挙げられる。
これらの中でも、ドアミラーステイが特に好適である。
自動車外装部品としては、ドアミラーステイ(支持支柱)、アウターハンドル、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ルーフレール、ワイパーアームなどがあり、自動車内装部品としては、インナーハンドル、センターコンソール、インパネ、アシストグリップ、シートベルトストッパーなどが挙げられる。
これらの中でも、ドアミラーステイが特に好適である。
本発明の成形品は、射出成形法を用いて製造する。
射出成形法としては、具体的には例えば、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空射出成形法、インサート射出成形法による金属部品、その他の部品との一体成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法等が挙げられる。
射出成形法としては、具体的には例えば、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空射出成形法、インサート射出成形法による金属部品、その他の部品との一体成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂製射出成形品の製造方法において、射出成形法に用いる金型として、装飾面(A)に凹凸状シボを転写させるシボ付き金型(A’)と、裏側面(B)を形成するシボ付き金型(B’)を使用する。
そして、金型(A’)の表面の算術平均粗さをRa(A’)、金型(B’)表面の算術平均粗さをRa(B’)としたとき、Ra(A’)<Ra(B’)を満たし、また、金型(A’)表面の単位面積あたりの表面積S(A’)および金型(B’)表面の単位面積あたりの表面積S(B’)が、S(A’)<S(B’)を満たす構成とする。
金型(A’)のRa(A’)が、金型(B’)のRa(B’)より小さいということは、金型(B’)の方が凹凸の高低差が大きいことを意味し、これに加えて、さらに、金型(A’)の表面積S(A’)が金型(B’)の表面積S(B’)より小さいということは、金型(B’)は凹凸の高低差が大きい深いシボがより緻密な密度で形成されていることを意味する。
このような金型構成にすることで、装飾面(A)における金型(A’)からの離型のタイミングが、裏面側(B)における金型(B’)からの離型のタイミングよりも早く、離型が均一となることにより、装飾面(A)全体が均一にヒケ、斑模様のない成形品を製造することができる。
そして、金型(A’)の表面の算術平均粗さをRa(A’)、金型(B’)表面の算術平均粗さをRa(B’)としたとき、Ra(A’)<Ra(B’)を満たし、また、金型(A’)表面の単位面積あたりの表面積S(A’)および金型(B’)表面の単位面積あたりの表面積S(B’)が、S(A’)<S(B’)を満たす構成とする。
金型(A’)のRa(A’)が、金型(B’)のRa(B’)より小さいということは、金型(B’)の方が凹凸の高低差が大きいことを意味し、これに加えて、さらに、金型(A’)の表面積S(A’)が金型(B’)の表面積S(B’)より小さいということは、金型(B’)は凹凸の高低差が大きい深いシボがより緻密な密度で形成されていることを意味する。
このような金型構成にすることで、装飾面(A)における金型(A’)からの離型のタイミングが、裏面側(B)における金型(B’)からの離型のタイミングよりも早く、離型が均一となることにより、装飾面(A)全体が均一にヒケ、斑模様のない成形品を製造することができる。
Ra(A’)の具体的な値は、0.5〜60μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは3〜50μm、さらには7〜30μm、特には15〜30μmである。
また、Ra(B’)は、4〜110μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは8〜80μm、さらには15〜60μm、特には20〜60μmである。
そして、両者の差(Ra(B’)−Ra(A’))は、0.5〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特には5〜20μmである。
また、Ra(B’)は、4〜110μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは8〜80μm、さらには15〜60μm、特には20〜60μmである。
そして、両者の差(Ra(B’)−Ra(A’))は、0.5〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特には5〜20μmである。
金型表面に凹凸状シボを形成する方法としては、サンドブラスト等により金型の成形表面に凹凸をつける方法、さらにこの凹凸表面を研磨する方法、放電加工による方法が挙げられる。
また、シリコン基板上にフォトマスクを形成しドライエッチング加工し、このシリコン基板を金型として、熱熱インプリントをして、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の熱可塑性樹脂表面に金型の凹凸構造を転写し、この表面に凹凸構造をもつ熱可塑性樹脂に電鋳によりニッケルを析出させ、樹脂を有機溶剤によって溶解除去することによって、所望どおりの微細なニッケル金型を得る等の公知の方法も適用できる。
また、シリコン基板上にフォトマスクを形成しドライエッチング加工し、このシリコン基板を金型として、熱熱インプリントをして、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の熱可塑性樹脂表面に金型の凹凸構造を転写し、この表面に凹凸構造をもつ熱可塑性樹脂に電鋳によりニッケルを析出させ、樹脂を有機溶剤によって溶解除去することによって、所望どおりの微細なニッケル金型を得る等の公知の方法も適用できる。
射出成形の条件は、従来から適用される各種条件がそのまま適用でき、新たな最適成形条件の検討が不要である点も、本発明の効果であるということもできる。
本発明に使用する熱可塑性樹脂は、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができ、例えば、無機充填材、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などを挙げられる。
無機充填材としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブ、黒鉛などの炭素系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中では良好な表面意匠性を得る目的で、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ガラス繊維が好ましく、タルク、マイカ、ガラス繊維がより好ましい。
無機充填材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜250質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部である。
これらの中では良好な表面意匠性を得る目的で、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ガラス繊維が好ましく、タルク、マイカ、ガラス繊維がより好ましい。
無機充填材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜250質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜200質量部である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(表面の算術平均粗さRa、単位面積あたりの表面積Sの測定)
表面粗さの測定は、キーエンス社製、レーザー顕微鏡「VK−8500」を用い、倍率500倍、測定ピッチ0.1μmの条件で、任意に選択した100μm×100μmの領域5ヶ所について表面粗さの計測を行い、その平均値を算術平均粗さRaとした。
また、表面積も、上記表面粗さと同様の条件で測定し、1mm2あたりの表面積を、単位面積あたりの表面積Sとして算出した。
表面粗さの測定は、キーエンス社製、レーザー顕微鏡「VK−8500」を用い、倍率500倍、測定ピッチ0.1μmの条件で、任意に選択した100μm×100μmの領域5ヶ所について表面粗さの計測を行い、その平均値を算術平均粗さRaとした。
また、表面積も、上記表面粗さと同様の条件で測定し、1mm2あたりの表面積を、単位面積あたりの表面積Sとして算出した。
(実施例1)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、グレード名「レニー1022H」(ガラス繊維を50質量%の割合で含有するポリメタキシリレンアジパミド樹脂)を用い、下記の金型を用い、ゲートサイズ90mm×1mm厚(成形品一辺から流動)で、射出成形を実施し、100mm×100mm×3mm厚の成形品を得た。
射出成形機はファナック社製100Tを使用し、シリンダー温度280℃(一律)、金型温調機温度130℃の条件で行った。また、充填時間を1秒、約95質量%充填時に充填/保圧切替となるように保圧に切り替えた。保圧は400kg/cm2、保圧時間は3秒で実施した。
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、グレード名「レニー1022H」(ガラス繊維を50質量%の割合で含有するポリメタキシリレンアジパミド樹脂)を用い、下記の金型を用い、ゲートサイズ90mm×1mm厚(成形品一辺から流動)で、射出成形を実施し、100mm×100mm×3mm厚の成形品を得た。
射出成形機はファナック社製100Tを使用し、シリンダー温度280℃(一律)、金型温調機温度130℃の条件で行った。また、充填時間を1秒、約95質量%充填時に充填/保圧切替となるように保圧に切り替えた。保圧は400kg/cm2、保圧時間は3秒で実施した。
[金型]
サンドブラスト処理により以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
サンドブラスト処理により以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 15μm
S(A) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 25μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 15μm
S(A) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 25μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
[外観評価]
得られた成形品の装飾面(A)側に直接光を当て、以下の基準で装飾面(A)の外観を目視確認した。
○:どのような角度から光を当てても転写ムラが確認されず、シボが均一に転写されている。
×:斑模様等の転写ムラが確認され、転写が不均一である。
得られた成形品は、○(転写ムラが確認されず、シボが均一に転写されている。)であった。
成形品の表面の写真は、図1のように、斑模様の発生がない綺麗なものであった。
得られた成形品の装飾面(A)側に直接光を当て、以下の基準で装飾面(A)の外観を目視確認した。
○:どのような角度から光を当てても転写ムラが確認されず、シボが均一に転写されている。
×:斑模様等の転写ムラが確認され、転写が不均一である。
得られた成形品は、○(転写ムラが確認されず、シボが均一に転写されている。)であった。
成形品の表面の写真は、図1のように、斑模様の発生がない綺麗なものであった。
(実施例2)
実施例1において、金型装飾面(A’)の表面形状を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 19μm
S(A’) : 1.5mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
実施例1において、金型装飾面(A’)の表面形状を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 19μm
S(A’) : 1.5mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 18μm
S(A) : 1.4mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 25μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
得られた成形品の外観は、実施例1と同様のものであり、評価は○であった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 18μm
S(A) : 1.4mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 25μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
得られた成形品の外観は、実施例1と同様のものであり、評価は○であった。
(実施例3)
実施例1において、熱可塑性樹脂を、ポリカーボネート樹脂14質量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂31質量%、ガラス繊維40質量%、マイカ15質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
金型としては、実施例1と同じものを用いた。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
実施例1において、熱可塑性樹脂を、ポリカーボネート樹脂14質量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂31質量%、ガラス繊維40質量%、マイカ15質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
金型としては、実施例1と同じものを用いた。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.6mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 14μm
S(A) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 24μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
得られた成形品の外観は、実施例1と同様のものであり、評価は○であった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A): 14μm
S(A) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B): 24μm
S(B) : 1.5mm2/mm2
得られた成形品の外観は、実施例1と同様のものであり、評価は○であった。
(比較例1)
実施例1において、金型裏側面(B’)のS(B’)の値を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.2mm2/mm2
実施例1において、金型裏側面(B’)のS(B’)の値を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 27μm
S(B’) : 1.2mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):15μm
S(A) :1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):25μm
S(B) :1.2mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真を図2に示すように、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):15μm
S(A) :1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):25μm
S(B) :1.2mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真を図2に示すように、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
(比較例2)
実施例1において、金型裏側面(B’)の表面形状を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
金型としては、実施例1と同じものを用意し、金型裏側面(B’)を、1000番のサンドペーパーを用いて研磨することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 1μm
S(B’) : 1.0mm2/mm2
実施例1において、金型裏側面(B’)の表面形状を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
金型としては、実施例1と同じものを用意し、金型裏側面(B’)を、1000番のサンドペーパーを用いて研磨することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 16μm
S(A’) : 1.3mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 1μm
S(B’) : 1.0mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):15μm
S(A) :1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):1μm
S(B) :1.0mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真は、図2と同様であり、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):15μm
S(A) :1.3mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):1μm
S(B) :1.0mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真は、図2と同様であり、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
(比較例3)
実施例1において、金型装飾面(A’)と裏側面(B’)を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 27μm
S(A’) : 1.6mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 16μm
S(B’) : 1.3mm2/mm2
実施例1において、金型装飾面(A’)と裏側面(B’)を以下に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
[金型]
サンドブラスト処理において、砂の粒径及びブラスト時間を調整することにより、以下の表面形状のシボ付き金型を用意した。
・装飾面(A’)側表面形状:
Ra(A’): 27μm
S(A’) : 1.6mm2/mm2
・裏側面(B’)表面形状:
Ra(B’): 16μm
S(B’) : 1.3mm2/mm2
得られた成形品の表面形状は、以下のとおりであった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):25μm
S(A) :1.5mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):15μm
S(B) :1.3mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真は、図2と同様であり、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
・装飾面(A)側表面形状:
Ra(A):25μm
S(A) :1.5mm2/mm2
・裏側面(B)表面形状:
Ra(B):15μm
S(B) :1.3mm2/mm2
得られた成形品の評価は、×であり、写真は、図2と同様であり、成形品の装飾面側には白黒の斑模様があり、転写が不均一であった。
本発明の成形品は、表面にシボが均一に転写された、転写ムラによる斑模様の発生のない、優れたシボ装飾面を有する射出成形品であり、また本発明の製造方法によれば、斑模様の発生のない、優れたシボ装飾面を有する射出成形品を生産効率よく製造することができるので、特に、自動車等の車両内外装部品分野、電気・電子機器部品分野等の広い分野に適用でき、産業上の利用性は非常に高い。
Claims (5)
- 表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する熱可塑性樹脂製射出成形品であって、
装飾面(A)および裏側面(B)における各表面の算術平均粗さをそれぞれRa(A)、Ra(B)、単位面積あたりの表面積をそれぞれS(A)、S(B)とした際、
Ra(A)<Ra(B) かつ S(A)<S(B)
であることを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品。 - 平均肉厚が5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂製射出成形品。
- 装飾面(A)の凹凸状シボが、梨地もしくは皮シボであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂製射出成形品。
- 成形品が自動車用ドアミラーステイであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製射出成形品。
- 熱可塑性樹脂を用いて、表面に装飾のための凹凸状シボを有する装飾面(A)と、装飾が必要ではない裏側の面(B)を有する成形品を射出成形により製造する方法であって、
装飾面(A)に凹凸状シボを転写させる金型表面の、算術平均粗さをRa(A’)、単位面積あたりの表面積をS(A’)とし、裏側面(B)を形成する金型表面の、算術平均粗さをRa(B’)、単位面積あたりの表面積をS(B’)とした際、
Ra(A’)<Ra(B’) かつ S(A’)<S(B’)
である金型を使用することを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010261987A JP2012111127A (ja) | 2010-11-25 | 2010-11-25 | 熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010261987A JP2012111127A (ja) | 2010-11-25 | 2010-11-25 | 熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012111127A true JP2012111127A (ja) | 2012-06-14 |
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ID=46495862
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JP2010261987A Pending JP2012111127A (ja) | 2010-11-25 | 2010-11-25 | 熱可塑性樹脂製射出成形品およびその製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012111127A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2017119516A1 (ja) * | 2016-01-07 | 2018-11-01 | 帝人株式会社 | 表面の少なくとも一部にシボを有する繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 |
-
2010
- 2010-11-25 JP JP2010261987A patent/JP2012111127A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2017119516A1 (ja) * | 2016-01-07 | 2018-11-01 | 帝人株式会社 | 表面の少なくとも一部にシボを有する繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 |
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