JP2012109370A - 薄膜トランジスターの製造方法、及び電気光学装置 - Google Patents

薄膜トランジスターの製造方法、及び電気光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所期の特性が得られ高品位な表示を得ることができる薄膜トランジスターの製造方法、及び電気光学装置を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスターとしてのTFT素子の製造方法は、第1基板12上に半導体膜38を形成する工程と、半導体膜38上にゲート絶縁膜53を形成する工程と、ゲート絶縁膜53上にゲート電極35aを形成する工程と、ゲート絶縁膜53及びゲート電極35aを覆って、半導体膜38に注入する不純物72の量を調整するための、ゲート絶縁膜53とエッチングの選択比が異なる調整膜73を形成する工程と、調整膜73を介して半導体膜38に不純物72を注入する工程と、半導体膜38にアニール処理を施す工程と、を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、薄膜トランジスターの製造方法、及びその製造方法を用いて製造された薄膜トランジスターを備える電気光学装置に関する。
上記薄膜トランジスターを備えた装置として、例えば、電気光学装置の一つである液晶装置が挙げられる。液晶装置としては、例えば、液晶プロジェクターのライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置がある。具体的には、液晶装置を構成する画素のスイッチング素子として薄膜トランジスターが用いられる。
この薄膜トランジスターは、リーク電流の発生を抑えるために、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有する。LDD構造を有する薄膜トランジスターの製造方法としては、例えば、特許文献1に記載のように、まず、透明基板101上に遮光膜102、半導体層103、ゲート電極104などを形成する(図9(a)参照)。
次に、ポジレジスト105を塗布し、透明基板101の裏面101a側から露光する(図9(b)参照)。このとき、遮光膜102がマスクとなって、ゲート電極104より一回り大きい不純物注入用マスク106が形成される(図9(c)参照)。その後、不純物イオン107を注入することによって、ソース/ドレイン領域108,109、及び低濃度不純物領域110が形成される。
特開平8−321619号公報
しかしながら、先行文献1に記載の方法では、遮光膜102とゲート電極104との相対位置にばらつきが生じる恐れがある。詳しくは、遮光膜102とゲート電極104とを別々のマスクや別々の工程で形成しており、更に、遮光膜102から何層か重なった上にゲート電極104を形成しているため、位置ずれが生じやすくなる。これにより、ゲート電極104とソース領域(108,110)及びドレイン領域(109,110)が重なることで寄生容量が発生し、スイッチング特性が低下するなど、所期の特性が得られないという課題がある。また、遮光膜102などを形成するためマスクが必要となり、製造工程が増えるという課題がある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る薄膜トランジスターの製造方法は、低濃度不純物領域と前記低濃度不純物領域より不純物の濃度が高い高濃度不純物領域とを有する薄膜トランジスターの製造方法であって、基板上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、前記半導体膜上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆って、前記半導体膜に注入する不純物の量を調整するための、前記ゲート絶縁膜とエッチングの選択比が異なる調整膜を形成する調整膜形成工程と、前記調整膜を介して前記半導体膜に前記不純物を注入する不純物注入工程と、前記半導体膜にアニール処理を施すアニール処理工程と、を有することを特徴とする。
この方法によれば、ゲート電極を基準に調整膜を積層し、この調整膜をマスクとして半導体膜に不純物を注入するので、半導体膜における正規の領域に不純物を注入することができる。これにより、ゲート電極と不純物領域とが平面的に重なることによる寄生容量が発生することを防ぐことが可能になり、スイッチング特性が低下しないなど、所期の特性を得ることができる。また、不純物を注入するために専用のマスクをパターニングする必要がないため、製造工程を減らすことができる。
[適用例2]上記適用例に係る薄膜トランジスターの製造方法において、前記ゲート絶縁膜は、シリコン酸化膜であり、前記調整膜は、シリコン窒化膜であることが好ましい。
この方法によれば、シリコン酸化膜上に、シリコン酸化膜とエッチングの選択比が異なるシリコン窒化膜を形成するので、不純物を注入した後、調整膜であるシリコン窒化膜のみを除去することができる。
[適用例3]上記適用例に係る薄膜トランジスターの製造方法において、前記調整膜の厚みは、前記低濃度不純物領域の長さに対応した厚みにすることが好ましい。
この方法によれば、調整膜の厚みに対応して半導体膜における不純物が注入される領域が変わるので、形成するべく低濃度不純物領域の長さに応じて調整膜の膜厚を決めることにより、所定の領域に低濃度不純物領域を形成することができる。
[適用例4]上記適用例に係る薄膜トランジスターの製造方法において、前記調整膜の表面は、前記ゲート電極の端部と平面的に重なる部分から、前記端部の外側に向かうに従って勾配していることが好ましい。
この方法によれば、調整膜の表面が勾配しているので、調整膜の表面から半導体膜までの深さを除々に浅くすることができる。よって、半導体膜における、ゲート電極の下方に形成されたチャネル領域からソース/ドレイン領域に向かって、除々に不純物の量を多くしていくことが可能となる。これにより、アニール処理工程によって不純物が拡散されてチャネル領域側に広がったとしても、ゲート電極と低濃度不純物領域とが平面的に重なることを抑えることができる。
[適用例5]本適用例に係る電気光学装置は、上記に記載の薄膜トランジスターの製造方法を用いて形成された薄膜トランジスターを備えることを特徴とする。
この構造によれば、上記した製造方法を用いて形成された薄膜トランジスターを備えるので、所期の薄膜トランジスターの特性が得られ、高品位な表示が得られる電気光学装置を提供することができる。
電気光学装置としての液晶装置の構造を示す模式平面図。 図1に示す液晶装置のA−A'線に沿う模式断面図。 液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。 液晶装置の構造を示す模式断面図。 液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャート。 液晶装置の製造方法のうち薄膜トランジスターの製造方法を工程順に説明する模式断面図。 薄膜トランジスターの製造方法を工程順に説明する模式断面図。 薄膜トランジスターの製造方法を工程順に説明する模式断面図。 従来の薄膜トランジスターの製造方法を工程順に説明する模式断面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。本実施形態では、一例として投射型映像装置である液晶プロジェクターにおいてライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げて説明する。
<薄膜トランジスター及び電気光学装置の構成>
図1は、電気光学装置としての液晶装置の構造を示す模式平面図である。図2は、図1に示す液晶装置のA−A'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、液晶装置11は、例えば、薄膜トランジスター(以下、「TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶装置である。液晶装置11は、第1基板12と第2基板13とが、平面視略矩形枠状のシール材14を介して貼り合わされている。
第1基板12及び第2基板13は、例えば、石英などの透光性材料によって構成されている。液晶装置11は、シール材14に囲まれた領域内に液晶層15が封入された構成になっている。なお、シール材14には液晶を注入するための液晶注入口16が設けられ、液晶注入口16は封止材17により封止されている。
液晶層15としては、例えば、誘電率異方性が負の液晶組成物が用いられる。液晶装置11は、シール材14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁遮光膜18が第2基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領域19となっている。
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミニウム(Al)で形成されており、第2基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路22及びパネル接続端子43が第1基板12の一辺(図1における下側)に沿って形成されている。パネル接続端子43には、外部と接続するためのフレキシブル基板100が、FPC接続端子44を介して電気的に接続されている。
また、シール材14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回路24がそれぞれ形成されている。第1基板12の残る一辺(図1における上側)には、検査回路25が形成されている。第2基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば、第1基板12上に形成された走査線駆動回路24及び検査回路25に対向する位置(平面的に重なる位置)に形成されている。
一方、第2基板13の各角部(例えば、シール材14のコーナー部の4箇所)には、第1基板12と第2基板13との間の電気的導通をとるための上下導通端子26が配設されている。
また、図2に示すように、第1基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形成されており、これら画素電極27を覆うように第1配向膜28が形成されている。画素電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。
一方、第2基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そして、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜である。
液晶装置11は透過型であって、第1基板12及び第2基板13における光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶装置11の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
図3は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の電気的な構成を、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、液晶装置11は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領域21には、薄膜トランジスターとしてのTFT素子33が形成されている。
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素子33のソース側には、データ線34が電気的に接続されている。各データ線34には、例えば、データ線駆動回路22(図1参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるようになっている。
また、TFT素子33のゲート側には、走査線35が電気的に接続されている。走査線35には、例えば、走査線駆動回路24(図1参照)から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33のドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
走査線35から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、データ線34から供給された画像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極27と共通電極31(図2参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電極27に電気的に接続された画素電位側容量電極と、容量線の一例であるシールド層57(図4参照)に電気的に接続された容量電極36との間に蓄積容量37が形成されている。
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像光が生成されるようになっている。
図4は、液晶装置及びTFT素子の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置及びTFT素子の構造を、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。
図4に示すように、液晶装置11は、素子基板41と、これに対向配置される対向基板42とを備えている。素子基板41を構成する第1基板12、及び対向基板42を構成する第2基板13は、上記したように、例えば、石英基板等によって構成されている。
第1基板12上には、チタン(Ti)やクロム(Cr)等からなる下側遮光膜51が形成されている。下側遮光膜51は、平面的に格子状にパターニングされており、各画素の開口領域を規定している。第1基板12及び下側遮光膜51上には、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁層52が形成されている。
下地絶縁層52上には、TFT素子33及び走査線35等が形成されている。TFT素子33は、例えば、LDD構造を有しており、ポリシリコン等からなる半導体膜38と、半導体膜38上に形成されたゲート絶縁膜53と、ゲート絶縁膜53上に形成されたポリシリコン膜等からなる走査線35とを有する。上記したように、走査線35は、ゲート電極としても機能する。
半導体膜38は、チャネル領域38aと、低濃度不純物領域としての低濃度ソース領域38b及び低濃度ドレイン領域38cと、高濃度不純物領域としての高濃度ソース領域38d及び高濃度ドレイン領域38eとを備えている。チャネル領域38aは、走査線35からの電界によりチャネルが形成される。下地絶縁層52上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜54が形成されている。
第1層間絶縁膜54上には、蓄積容量37及びデータ線34等が設けられている。蓄積容量37は、TFT素子33の高濃度ドレイン領域38e及び画素電極27に接続された画素電位側容量電極としての中継層55と、固定電位側容量電極としての容量電極36とが、誘電体膜56を介して対向配置されている。
容量電極36及びデータ線34は、下層に導電性ポリシリコン膜A1、上層にアルミニウム膜A2の二層構造を有する膜として形成されている。
容量電極36及びデータ線34は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、かつ、光吸収性能に比較的優れたポリシリコンを含むことから、遮光層として機能し得る。よって、TFT素子33の半導体膜38に対する入射光の進行を、その上側で遮ることが可能である。
このような容量電極36は、蓄積容量37の固定電位側容量電極として機能する。容量電極36を固定電位とするためには、上述のように、画素領域21外の定電位源に接続されることで固定電位とされたシールド層57と、コンタクトホール58を介して電気的に接続されることによってなされている。
第1層間絶縁膜54には、TFT素子33の高濃度ソース領域38dとデータ線34とを電気的に接続するコンタクトホール61が開孔されている。言い換えれば、データ線34は、誘電体膜56及び第1層間絶縁膜54を貫通するコンタクトホール61を介して、TFT素子33の半導体膜38と電気的に接続されている。
具体的には、データ線34が上述のような二層構造をとっており、中継層55が導電性のポリシリコン膜からなることにより、データ線34及び半導体膜38間の電気的接続は、導電性のポリシリコン膜によって実現されている。すなわち、下から順に、半導体膜38、中継層55のポリシリコン膜、データ線34の下層の導電性ポリシリコン膜A1、その上層のアルミニウム膜A2となる。
また、第1層間絶縁膜54には、TFT素子33の高濃度ドレイン領域38eと蓄積容量37を構成する中継層55とを電気的に接続するコンタクトホール62が開孔されている。第1層間絶縁膜54上には、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜63が形成されている。
第2層間絶縁膜63上には、例えば、アルミニウム等からなるシールド層57が形成されている。また、第2層間絶縁膜63には、上記したように、シールド層57と容量電極36とを電気的に接続するためのコンタクトホール58が形成されている。第2層間絶縁膜63上には、シリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜64が形成されている。
第2層間絶縁膜63及び第3層間絶縁膜64には、画素電極27と中継層55とを電気的に接続するためのコンタクトホール65,66が開孔されている。具体的には、第2層間絶縁膜63上に形成された第2中継層67を介してコンタクトホール65とコンタクトホール66とが電気的に接続されている。第2中継層67は、シールド層57と同一の膜構成となっており、下層にアルミニウム膜、上層に窒化チタン膜という二層構造を備えている。
つまり、高濃度ドレイン領域38eと画素電極27とは、コンタクトホール62、中継層55、コンタクトホール65、第2中継層67、コンタクトホール66を介して、電気的に接続されている。第3層間絶縁膜64上には、上記した画素電極27及び第1配向膜28が形成されている。
画素電極27は、平面的にマトリクス状に形成されており、例えば、ITO膜等の透明導電性膜からなる。反射型の液晶装置とする場合にはアルミニウム等の材料を用いる。また、画素電極27上には、所定の方向に配向処理が施された第1配向膜28が形成されている。第1配向膜28は、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料からなる無機配向膜である。更に、第1配向膜28は、例えば、液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜でもある。
第1配向膜28上には、シール材14(図2参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入された液晶層15が設けられている。第2基板13の液晶層15に面する側には、透明な共通電極31を覆って所定の方向に配向処理が施された第2配向膜32が形成されている。
第2配向膜32は、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料からなる無機配向膜である。更に、第2配向膜32は、例えば、液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜でもある。
液晶層15は、画素電極27からの電界が印加されていない状態で第1配向膜28及び第2配向膜32によって所定の配向状態をとる。シール材14は、素子基板41及び対向基板42をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサー(ギャップ材)が混入されている。以下、液晶装置11の製造方法を説明する。
<薄膜トランジスターの製造方法、電気光学装置の製造方法>
図5は、電気光学装置としての液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図6〜図8は、液晶装置の製造方法のうち、薄膜トランジスターの製造方法を工程順に説明する模式断面図である。以下、薄膜トランジスターの製造方法を含む液晶装置の製造方法を、図5〜図8を参照しながら説明する。
最初に、素子基板41側の製造方法を説明する。ステップS11では、石英基板などからなる第1基板12上にTFT素子33を形成する。具体的には、図6〜図8に示す模式断面図を参照しながら説明する。
図6(a)に示す工程(半導体膜形成工程)では、第1基板12上に半導体膜38をパターニングする。具体的には、まず、第1基板12上に、下地絶縁層52(図4参照)を形成する。次に、下地絶縁層52上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてポリシリコン膜を形成する。続いて、このポリシリコン膜に対し、例えば、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、第1基板12上に半導体膜38をパターニングする。
図6(b)に示す工程(ゲート絶縁膜形成工程)では、半導体膜38を含む第1基板12上の全体にゲート絶縁膜53を形成する。ゲート絶縁膜53は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)である。具体的には、例えば、半導体膜38及び下地絶縁層52の表面を熱酸化することにより、半導体膜38上や下地絶縁層52上にゲート絶縁膜53が形成される。
図6(c)に示す工程では、半導体膜38におけるチャネル領域に不純物71を注入する。ここでは、例えば、ボロン(B)を注入する(チャネルドープ)。具体的には、半導体膜38(第1基板12)の全面にイオン注入を行う。
図7(a)に示す工程(ゲート電極形成工程)では、ゲート絶縁膜53上にゲート電極35aを形成する。具体的には、まず、ゲート絶縁膜53上に、例えば、CVD法を用いてポリシリコン膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターニングし、ゲート絶縁膜53上にゲート電極35aを形成する。このとき、半導体膜38のチャネル領域38aとなるべき領域と重なるように、ゲート電極35aを形成する。
図7(b)に示す工程(調整膜形成工程)では、第1基板12上の全体(ゲート電極35a及びゲート絶縁膜53)に、半導体膜38への不純物72(図7(c)参照)の注入量を調整するための調整膜73を形成する。調整膜73としては、ゲート絶縁膜53とエッチングの選択比が異なる材料であればよく、例えば、シリコン窒化膜(SiN)が挙げられる。
調整膜73の形成方法としては、例えば、CVD法が用いられる。半導体膜38から調整膜73の表面までの高さは、ゲート電極35a及びその周囲の上方が一番高く(X領域)、この部分から外側にいくに従って高さが除々に低くなり(勾配)(Y領域)、その周囲が更に低くなる(Z領域)。
詳述すると、低濃度ソース/ドレイン領域38b,38cの幅は、調整膜73の厚みとアスペクト比で決められる。本実施形態では、例えば、低濃度ソース/ドレイン領域38b,38cの幅が1μmだとすると、調整膜73の厚みは1万Åである。
図7(c)に示す工程(不純物注入工程)では、半導体膜38(ソース領域74、ドレイン領域75)に不純物72を注入する。ここでは、例えば、リン(P)を注入する。前工程において調整膜73を形成したことにより、半導体膜38に注入されるリンの量を領域ごと変えることができる。
半導体膜38におけるX領域は、半導体膜38までの深さが他の領域と比較して一番深いため、リンの注入量がほとんどない状態である。Y領域は、半導体膜38までの深さが除々に浅くなるため、リンの注入量が、半導体膜38において外側(Z領域側)にいくほど多くなる。Z領域は、半導体膜38までの深さが他に比べて浅いので、リンの注入量が多い。
図8(a)に示す工程では、シリコン窒化膜からなる調整膜73を除去する。具体的には、熱リン酸を用いて第1基板12上から剥離する。
図8(b)に示す工程(アニール処理工程)では、半導体膜38にアニール処理を施す。アニール処理の温度は、例えば、1000℃である。具体的には、アニール処理を施すことにより、不純物(71,72)の注入された領域が活性化し、チャネル領域38aの外側に低濃度ソース領域(N−)38b及び低濃度ドレイン領域(N−)38cが形成され、更にその外側に、高濃度ソース領域(N+)38d及び高濃度ドレイン領域(N+)38eが形成される。以上により、TFT素子33が完成する。
以上のように、ゲート電極35aを基準にゲート電極35a上に調整膜73を積層し、この調整膜73をマスクとして半導体膜38に不純物72を注入するので、半導体膜38における正規の領域に不純物72を注入することができる。これにより、ゲート電極35aと低濃度ソース/ドレイン領域38b,38cとが平面的に重なることによる寄生容量が発生することを防ぐことが可能になり、スイッチング特性が低下しないなど、所期の特性を得ることができる。また、不純物72を注入するために専用のマスクをパターニングする必要がないため、製造工程を減らすことができる。引き続き、図5に記載のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS12では、画素電極27を形成する。具体的には、まず、第3層間絶縁膜64まで、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成する。その後、同様の技術を用いて、第3層間絶縁膜64上に画素電極27を形成する。
ステップS13では、画素電極27の上方に第1配向膜28である無機配向膜を形成する。無機配向膜の製造方法は、画素電極27及び第3層間絶縁膜64上に、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着(斜方蒸着法)によって形成する。以上により、素子基板41が完成する。次に、対向基板42側の製造方法を説明する。
まず、ステップS21では、石英基板等の透光性材料からなる第2基板13上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、共通電極31を形成する。
ステップS22では、共通電極31上に第2配向膜32である無機配向膜を形成する。無機配向膜の製造方法は、第1配向膜28の製造方法と同様である。まず、対向基板42における共通電極31上に、斜方蒸着法を用いて無機配向膜を形成する。以上により、対向基板42が完成する。次に、素子基板41と対向基板42とを貼り合わせる方法を説明する。
ステップS31では、素子基板41上にシール材14を塗布する。詳しくは、素子基板41とディスペンサー(吐出装置でも可能)との相対的な位置関係を変化させて、素子基板41における表示領域19の周縁部にシール材14を塗布する。
ステップS32では、素子基板41と対向基板42とを貼り合わせて、液晶装置11となる前の液晶パネルを形成する。具体的には、素子基板41に塗布されたシール材14を介して素子基板41と対向基板42とを貼り合わせる。より具体的には、互いの基板41,42の平面的な縦方向や横方向の位置精度を確保しながら行う。
ステップS33では、液晶パネルの液晶注入口16(図1参照)から構造体の内部に液晶を注入し、その後、液晶注入口16を真空封止する。封止には、例えば、樹脂等の封止材17が用いられる。以上により、TFT素子33を有する液晶装置11が完成する。
以上詳述したように、本実施形態の薄膜トランジスターとしてのTFT素子33の製造方法、及び液晶装置11によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態のTFT素子33の製造方法によれば、ゲート電極35aを基準に調整膜73を積層し、この調整膜73をマスクとして半導体膜38に不純物72を注入するので、半導体膜38における正規の領域に(合わせずれなく)不純物72を注入することができる。これにより、ゲート電極35aと低濃度ソース/ドレイン領域38b,38cとが平面的に重なることによる寄生容量が発生することを防ぐことが可能になり、スイッチング特性が低下しないなど、所期の特性を得ることができる。また、不純物72を注入するために専用のマスクをパターニングする必要がないため、製造工程を減らすことができる。
(2)本実施形態のTFT素子33の製造方法によれば、調整膜73の表面が勾配しているので(Y領域)、調整膜73の表面から半導体膜38までの深さを除々に浅くすることができる。よって、半導体膜38における、ゲート電極35aの下方に形成されたチャネル領域38aからソース/ドレイン領域74,75に向かって、除々に不純物72の量を多くしていくことが可能となる(濃度勾配をつけることが可能となる)。これにより、アニール処理工程によって不純物72が拡散されてチャネル領域38a側に広がったとしても、ゲート電極35aと低濃度ソース/ドレイン領域38b,38cとが平面的に重なることを抑えることができる。
(3)本実施形態の液晶装置11によれば、上記した製造方法を用いて形成されたTFT素子33を備えるので、所期のTFT素子33の特性が得られ、高品位な表示が得られる液晶装置11を提供することができる。
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)
上記したように、調整膜73は、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜53とエッチングの選択比が異なる材料であればよく、上記したシリコン窒化膜であることに限定されず、酸化膜や導電膜を用いるようにしてもよい。これによれば、調整膜73は、半導体膜38に不純物72を注入したあと剥離されるので、TFT素子33に悪影響を及ぼすことなく所期の特性を有するTFT素子33を形成することができる。
(変形例2)
上記したように、半導体膜38に注入する不純物72としてリン(P)を用いることに限定されず、例えば、砒素(As)などを用いるようにしてもよい。
(変形例3)
上記したように、電気光学装置は、液晶装置11であることに限定されず、例えば、有機EL(Electro Luminescence)装置や電気泳動装置などであってもよい。
11…電気光学装置としての液晶装置、12…第1基板、13…第2基板、14…シール材、15…液晶層、16…液晶注入口、17…封止材、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、31…共通電極、32…第2配向膜、33…薄膜トランジスターとしてのTFT素子、34…データ線、35…走査線、35a…ゲート電極、36…容量電極、37…蓄積容量、38…半導体膜、38a…チャネル領域、38b…低濃度不純物領域としての低濃度ソース領域、38c…低濃度不純物領域としての低濃度ドレイン領域、38d…高濃度不純物領域としての高濃度ソース領域、38e…高濃度不純物領域としての高濃度ドレイン領域、41…素子基板、42…対向基板、43…パネル接続端子、44…FPC接続端子、51…下側遮光膜、52…下地絶縁層、53…ゲート絶縁膜、54…第1層間絶縁膜、55…中継層、56…誘電体膜、57…シールド層、58,61,62,65,66…コンタクトホール、63…第2層間絶縁膜、64…第3層間絶縁膜、67…第2中継層、71…不純物、72…不純物、73…調整膜、74…ソース領域、75…ドレイン領域、100…フレキシブル基板。

Claims (5)

  1. 低濃度不純物領域と前記低濃度不純物領域より不純物の濃度が高い高濃度不純物領域とを有する薄膜トランジスターの製造方法であって、
    基板上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、
    前記半導体膜上にゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工程と、
    前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆って、前記半導体膜に注入する不純物の量を調整するための、前記ゲート絶縁膜とエッチングの選択比が異なる調整膜を形成する調整膜形成工程と、
    前記調整膜を介して前記半導体膜に前記不純物を注入する不純物注入工程と、
    前記半導体膜にアニール処理を施すアニール処理工程と、
    を有することを特徴とする薄膜トランジスターの製造方法。
  2. 請求項1に記載の薄膜トランジスターの製造方法であって、
    前記ゲート絶縁膜は、シリコン酸化膜であり、
    前記調整膜は、シリコン窒化膜であることを特徴とする薄膜トランジスターの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の薄膜トランジスターの製造方法であって、
    前記調整膜の厚みは、前記低濃度不純物領域の長さに対応した厚みにすることを特徴とする薄膜トランジスターの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の薄膜トランジスターの製造方法であって、
    前記調整膜の表面は、前記ゲート電極の端部と平面的に重なる部分から、前記端部の外側に向かうに従って勾配していることを特徴とする薄膜トランジスターの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスターの製造方法を用いて形成された薄膜トランジスターを備えることを特徴とする電気光学装置。
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