JP2012109015A - 磁気抵抗効果メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】読み出しディスターブを低減する磁気抵抗効果メモリを提供する。
【解決手段】本発明の例に関わる磁気抵抗効果メモリは、磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子1と、磁気抵抗効果素子1にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路2と、を具備し、読み出し電流のパルス幅は、第2の磁性層内に含まれる磁化が、初期状態から共動してコヒーレントに歳差運動するまでの期間より短い。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を用いた磁気抵抗効果メモリに関する。
これまで、様々のタイプの磁気抵抗効果メモリが提案されている。近年では、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)のような、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto Resistive)効果を示す強磁性トンネル接合素子を用いた磁気抵抗効果メモリが注目されている。TMR効果素子としては、スピン偏極トンネル効果による磁気抵抗の変化を利用したMTJ(magnetic tunnel junction)素子を使用するのが一般的である。MTJ素子は、2枚の強磁性層の相対的な磁化配列によって、低抵抗状態と高抵抗状態とを取り、それらの抵抗状態に“0”又は“1”を対応させて、データを記憶する。
磁気抵抗効果メモリのデータの書き込み方式の1つとして、電流(電子)のスピントルクによって磁性層の磁化の向きを変化させるスピン注入書き込み方式がある。スピン注入書き込み方式では、MTJ素子にある電流値以上の書き込み電流を直接流す。そして、書き込み電流がMTJ素子を流れる向きによって、MTJ素子を構成する2枚の強磁性層の相対的な磁化配列を、平行状態から反平行状態、或いは反平行状態から平行状態に変化させて、データを書き込み。磁気抵抗効果メモリのデータの読み出しは、MTJ素子の高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗差を利用して、データを判別する。データの読み出しにおいても、データの書き込みと同様に、MTJ素子に電流(読み出し電流)を直接流す。
従来は、スピン注入によるMTJ素子の磁化の反転確率は、(式1)で表されような、単純な熱活性過程で示すことができると考えられてきた(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 2012109015
(式1)で示される磁化反転モデルは、MTJ素子に対する電流の供給時間τに対して、スピン注入によって磁化が反転しない確率(1−P(τ))は指数関数的に減少する。また、(式1)に示されるモデルでは、パルス電流を供給した直後、つまり、電流のパルス幅τが0に向かう極限の場合であってもスピン注入による磁化の反転が有限の確率で起こることになる。
一方、非特許文献2においては、以下の(式2)及び(式3)に示されるように、MTJ素子に対する電流の供給を開始した直後は、反転確率がほぼゼロである時間が存在し、その一定時間を経過した後で反転確率が増加することが、記載されている。
Figure 2012109015
Figure 2012109015
スピン注入型MRAMにおいて、書き込み電流の電流値は、スピン注入によって磁化反転が生じるしきい値(以下、反転しきい値とよぶ)よりも大きな電流値に設定され、読み出し電流の電流値は、その反転しきい値よりも小さな電流値に設定される。
しかし、メモリセルアレイを構成するMTJ素子の特性ばらつきに起因して、反転しきい値もばらつく。また、同じ素子に対して、データを繰り返して書き込んだ場合においても、その素子に対する反転しきい値が揺らぐ現象がある。
そのため、読み出し電流の電流値を、メモリセルアレイ内の反転しきい値の平均値近くに設定した場合、反転しきい値の小さいMTJ素子が、読み出し電流によって誤って反転し、読み出しディスターブが発生する可能性がある。
読み出しディスターブの発生を防ぐためには、読み出し電流を反転しきい値電流よりも十分小さくする必要がある。しかし、読み出し電流を小さくすると、読み出し信号(ビット線の電位変動)が小さくなり、十分な読み出し感度が得られない。
Z. Li and S. Zhang, Physical Review B, Vol. 69, 134416 (2004) H. Tomita et al., Applied Physics Express, Vol. 1 (2008) 061303
本発明は、読み出しディスターブを低減する磁気抵抗効果メモリを提案する。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリは、磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、を具備し、前記読み出し電流のパルス幅は、前記第2の磁性層内に含まれる磁化が、初期状態から共動してコヒーレントに歳差運動するまでの期間より短い。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリは、磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、を具備し、前記読み出し電流の電流密度が、10nsecのパルス幅を有する書き込み電流を用いて前記磁気抵抗効果素子にデータを書き込んだ場合に前記磁気抵抗効果素子の磁化反転確率が0.5以下になる電流密度の0.9倍以下であり、かつ、前記読み出し電流のパルス幅が8nsec以下である。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリは、磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、を具備し、前記読み出し電流のパルス幅をT、前記読み出し電流の電流密度をJread、前記第1の電流の電流密度をJ(10ns,midpoint)、読み出しディスターブの発生確率をパラメータとする第1の値をA、前記読み出しディスターブの発生確率をパラメータとする第2の値をBとした場合に、前記パルス幅Tは以下の条件式(i)を満たす。
Figure 2012109015
本発明によれば、読み出しディスターブを低減する磁気抵抗効果メモリを提供できる。
本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリを説明するための図。 磁気抵抗効果素子の構造の一例を示す図。 本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルを説明するための図。 本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルを説明するための図。 本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルを説明するための図。 本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルを説明するための図。 本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例を説明するための図。 本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例を説明するための図。 本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例を説明するための図。 電流密度に対する磁化反転時間の特性を示す図。 電流密度に対する磁化反転時間の特性を示す図。 電流密度に対する磁化反転時間の特性を示す図。 電流密度に対する磁化反転時間の特性を示す図。 磁化反転時間が含むパラメータの読み出しディスターブの依存性を示す図。 磁化反転時間に対する磁性層の減衰定数の依存性を示す図。 本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの適用例を示す図。 メモリセルの構造の一例を示す図。 適用例に係るメモリに用いられる読み出し回路の構成例を示す図。 適用例に係るメモリに用いられる読み出し回路の構成例を示す図。 適用例に係るメモリに用いられる読み出し回路の構成例を示す図。 図18及び図19に示されるメモリの読み出し動作を示す波形図。 適用例に係るメモリに用いられる読み出し回路の構成例を示す図。 図21に示されるメモリの読み出し動作を示す波形図。 配線をプリチャージした場合における読み出し電圧の時間変化を示す図。 読み出し電流とメモリセルの個数との相関関係を説明するための図。 読み出し電流とメモリセルの個数との相関関係を説明するための図。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための形態について詳細に説明する。
[実施形態]
図1乃至図6を用いて、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリについて、説明する。
図1の(a)は、本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの構成例を示している。
図1の(a)に示すように、磁気抵抗効果素子1は、2つのビット線BLに接続される。磁気抵抗効果素子1の一端は、ビット線BLに接続され、磁気抵抗効果素子1の他端は、スイッチTrを経由して、ビット線bBLに接続される。
スイッチTrは、例えば、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。以下、スイッチTrのことを、選択トランジスタTrとよぶ。選択トランジスタTrの電流経路の一端(ソース/ドレイン)は、磁気抵抗効果素子1の他端に接続され、選択トランジスタTrの電流経路の他端(ソース/ドレイン)は、ビット線bBLに接続される。選択トランジスタTrの制御端子(ゲート)は、ワード線WLに接続される。ワード線WLは、例えば、ビット線BL,bBLの延在方向と交差する方向に延在している。
図2は、本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリに含まれる1個の磁気抵抗効果素子1の構成を示す断面図である。磁気抵抗効果素子1は、スピン偏極トンネル効果による磁気抵抗の変化を利用したMTJ(magnetic tunnel junction)素子が使用される。以下では、磁気抵抗効果素子1のことを、MTJ素子1とよぶ。
MTJ素子1は、参照層(磁化不変層ともいう)11A,11B、中間層(非磁性層)12A,12B、記憶層(磁化自由層ともいう)13A,13B、が順に積層された積層構造を有する。尚、参照層11A,11Bと記憶層13A,13Bとは、積層順序が逆であってもよい。
図2の(a)に示されるMTJ素子1は、参照層11A及び記憶層13Aの容易磁化方向が、膜面に対して平行になっている。図2の(a)に示されるMTJ素子1は、面内磁化型MTJ素子とよばれる。
図2の(b)に示されるMTJ素子1は、参照層11B及び記憶層13Bの容易磁化方向が、膜面(或いは積層面)に対して垂直になっている。図2の(b)に示されるMTJ素子は、垂直磁化型MTJ素子と呼ばれる。
面内磁化の磁性層は、面内方向の磁気異方性を有し、垂直磁化の磁性層は、膜面に垂直方向の磁気異方性を有している。MTJ素子1に垂直磁化型を用いた場合は、面内磁化型のように磁化方向を決定するのに素子形状を制御する必要がなく、微細化に適しているという利点がある。
記憶層13A,13Bは、磁化(或いはスピン)の方向が可変である(反転する)。参照層11A,11Bは、磁化の方向が不変である(固着している)。「参照層11A,11Bの磁化方向が不変である」とは、記憶層13A,13Bの磁化方向を反転させるために使用される磁化反転電流(反転しきい値)を、参照層11A,11Bに流した場合に、参照層11A,11Bの磁化方向が変化しないことを意味する。したがって、MTJ素子1において、参照層11A,11Bとして反転しきい値の大きな磁性層を用い、記憶層13A,13Bとして参照層11A,11Bよりも反転しきい値の小さい磁性層を用いることによって、磁化方向が可変の記憶層13A,13Bと磁化方向が不変の参照層11A,11Bとを備えたMTJ素子1を実現することができる。
また、参照層11A,11Bの磁化を固定する方法としては、参照層11A,11Bに隣接して反強磁性層(図示せず)を設け、参照層11A,11Bと反強磁性層との交換結合によって、参照層11A,11Bの磁化方向を固定することができる。但し、垂直磁化型のMTJ素子においては、参照層11Aに隣接して反強磁性層(図示せず)を設けずともよい。MTJ素子1の平面形状については特に制限がなく、円、楕円、正方形、長方形等のいずれを用いてもよい。また、正方形或いは長方形の角が丸くなった形状、或いは角が欠けた形状であってもよい。
参照層11A,11B及び記憶層13A,13Bは、高い保磁力を持つ磁性材料から構成され、例えば、1×10erg/cc以上の高い磁気異方性エネルギー密度を有することが好ましい。
中間層12A,12Bは、非磁性体からなり、例えば、絶縁体、半導体、金属などを用いることが可能である。中間層13は、これに絶縁体或いは半導体を用いた場合はトンネルバリア層と呼ばれる。
尚、参照層11A,11B及び記憶層13A,13Bの各々は、図示するような単層に限定されず、複数の強磁性層からなる積層構造であってもよい。また、参照層11A,11B及び記憶層13A,13Bの各々は、第1の強磁性層/非磁性層/第2の強磁性層の3層からなり、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合(交換結合)した反強磁性結合構造であってもよいし、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が平行状態となるように磁気結合(交換結合)した強磁性結合構造であってもよい。
また、MTJ素子1は、ダブルジャンクション構造を有していてもよい。ダブルジャンクション構造のMTJ素子1は、第1の参照層、第1の中間層、記憶層、第2の中間層、第2の参照層が順に積層された積層構造を有する。このようなダブルジャンクション構造は、スピン注入による記憶層13A,13Bの磁化反転を制御しやすいという利点がある。
ビット線BLには、例えば、読み出し回路2が接続される。読み出し回路2は、電流源又は電圧源やセンスアンプを備える。読み出し回路2は、読み出し動作時、読み出し電流IREADを出力する。
読み出し回路2は、スイッチ30がオフしたときに、ビット線BLから電気的に分離される。スイッチ30がオンしたときに、ビット線BLと電気的に接続される。MTJ素子1からデータの読み出す際に、スイッチ30がオンし、読み出し回路2とMTJ素子1が、電気的に接続される。
以下、MTJ素子1の低抵抗状態及び高抵抗状態、及び、スピン注入によるデータの書き込みについて説明する。
参照層11A,11Bと記憶層13A,13Bとの磁化方向が平行となる平行状態(低抵抗状態)について説明する。
参照層11A,11Bを通過した電子のうちマジョリティーな電子は、参照層11A,11Bの磁化方向と平行なスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が記憶層13A,13Bに移動することにより、スピントルクが記憶層13A,13Bに印加され、記憶層13A,13Bの磁化方向は、参照層11A,11Bの磁化方向と平行に揃えられる。この平行配列のとき、MTJ素子1の抵抗値は最も小さくなる。この場合が、例えば、“0”データとして扱われる。
次に、参照層11A,11Bと記憶層13A,13Bとの磁化方向が反平行となる反平行状態(高抵抗状態)について説明する。
参照層11A,11Bによって反射された電子のうちマジョリティーな電子は、参照層11A,11Bの磁化方向と反平行のスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が記憶層13A,13Bに移動することにより、スピントルクが記憶層13A,13Bに印加され、記憶層13A,13Bの磁化方向は、参照層11A,11Bの磁化方向と反平行に揃えられる。この反平行配列のとき、MTJ素子1の抵抗値は最も大きくなる。この場合が、例えば、“1”データとして扱われる。
データの読み出しは、MTJ素子1に読み出し電流IREADを供給することで行われる。平行状態の抵抗値をR0、反平行状態の抵抗値をR1とすると、“(R1−R0)/R0”で定義される値を磁気抵抗比(MR比)とよぶ。磁気抵抗比はMTJ素子1を構成する材料やプロセス条件によって異なるが、数10%から数100%程度の値を取り得る。
このMR比に起因する読み出し電流(ビット線の電位)の変動量を、検知することで、MTJ素子1に記憶された情報の読み出しを行なう。
読み出し回路2は、MTJ素子1に記憶されたデータを読み出す際に、例えば、図1の(b)に示されるようなパルス形状の読み出し電流IREADを、MTJ素子1に流す。
本実施形態の磁気抵抗効果メモリにおいて、読み出し電流IREADのパルス幅Tは、初期状態から記憶層の磁化が共動してコヒーレントな歳差運動をするまでの期間よりも短い、ことを特徴とする。
また、読み出し電流IREADの電流値iRの最大値は、例えば、磁化が反転する反転しきい値ithよりも小さい値に設定される。読み出し電流IREADの電流値iRは、例えば、パルス電流の立ち上がりが終了する時間tから立ち下がりが開始する時間tまでの期間に、一定に出力される。
尚、本実施形態では、読み出し電流IREADのパルス幅Tは、パルスの半値全幅(FWHM:Full width at half maximum)で規定される。具体的には、パルス幅Tは、最大電流値iの1/2の値i/2を基準としたパルス幅であって、パルス電流の立ち上がりが開始する時間tと立ち上がりが終了する時間tの中間の時間と立ち下がりが開始する時間tと立ち下がりが終了する時間tの中間の時間との間の期間である。
これによって、本実施形態の磁気抵抗効果メモリは、読み出しディスターブが発生するのを低減する。
このように、読み出し電流IREADのパルス幅Tが、記憶層の磁化が共動してコヒーレントな歳差運動を始めるまでの時間よりも短く設定されることで、読み出しディスターブが防止されるのは、以下に述べるスピン注入磁化反転モデルに基づく。
図3は、本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルにおける、磁化反転確率の時間依存性を示している。図3の横軸は時間(単位:nsec(ナノ秒))を示している。図3の縦軸は、磁化反転確率に対応する。但し、磁化反転確率が“P”で示された場合、図3の縦軸では、Log(1−P)が示されている。“1−P”は、磁化が反転しない(データが書き込まれない)確率を示す。尚、磁化反転確率とは、あるMTJ素子に一定の電流を流した場合に、記憶層の磁化方向が反転する確率である。
図3に示される各特性曲線は、LLG(Landau-Liftshitz-Gilbert)方程式を用いたマイクロマグネティックシミュレーション(micromagnetic simulation)によって得られた結果である。このシミュレーションに用いた各パラメータは、以下のとおりである。
シミュレーションに用いられたMTJ素子は、垂直磁化型のMTJ素子である。MTJ素子の膜厚は、2.2nm、MTJ素子の直径は、30nmに設定されている。記憶層の磁化は、膜面に対して垂直方向に向いており、記憶層の磁気異方性エネルギーKuは、3.5Merg/cc、記憶層の飽和磁化Msは、500emu/ccである。エネルギーバリアΔEは、86kT(k:ボルツマン定数)である。“T”は絶対温度を示している。エネルギーバリアΔEaはMTJ素子が平行状態から反平行状態、あるいは反平行状態から平行状態に反転する過程で超えなければいけないエネルギーバリアの大きさを示している。温度(絶対温度)Tは300Kに設定される。また、MTJ素子に流れる電流密度Jの範囲は、2.8〜4MA/cmに設定される。そして、0.934〜1.436の範囲内における電流密度比J/J(22nsec,midpoint)を用いて、シミュレーションが実行されている。尚、“J”は、パルス電流の電流密度を示し、“J(22nsec,midpoint)”は、パルス幅が22nsecの書き込み電流を用いてMTJ素子にデータを書き込んだ場合に、そのMTJ素子の記憶層の磁化反転確率が0.5になる電流密度を示している。
図3においては、各電流密度比0.934〜1.436を用いたシミュレーションから得られた特性曲線に対する1次近似特性線も示されている。
図3に示される各特性曲線に基づいて、スピン注入磁化反転確率P(t)は、(式4)のように近似的に表すことができる。
Figure 2012109015
“P(t)”はパルス幅tの電流パルスが、MTJ素子に流されることにより反転する確率を示している。“f”は、MTJ素子が単位時間に熱エネルギー(フォノン)を受け取る頻度である。“f”は1×10Hz程度である。“I”はパルス電流の電流値を示し、“IC0”は、1個のフォノンを受け取る時間(〜1ns程度)にパルス幅が設定された場合における0K(絶対温度)での磁化反転電流の電流値である。(式4)において、“n”は、1.5〜2の定数である。
図3に示されるように、確率Log(1−P)は、時間の変化に対して、負の値を示す。非特許文献2及び(式2)に示されるのと同様に、パルス電流がMTJ素子に与えられた直後は、記憶層の磁化の反転は起こらず、時間tを経過した後に磁化の反転が開始される。
そして、本実施形態においては、パルス電流の印加を開始してから磁化反転が開始するまでの時間は、MTJ素子の記憶層内において、記憶層を構成する磁性粒(結晶粒)内でそれぞれ歳差運動している磁化の位相が揃わない状態であり、磁化の位相が揃ったコヒーレントな歳差運動が実現してから、熱活性過程により磁化反転が開始される。このような磁化反転モデルが、図3及び以下の実験及びシミュレーションによって実証された。
図4の(a)は、図3で用いた垂直磁化型MTJ素子のスピン注入磁化反転のLLG方程式によるシミュレーション結果の1つを解析したグラフである。
そのシミュレーションは、例えば、記憶層(磁性層)内の32個の磁化を示すセルを用いて、実行された。セルは、磁性層内に含まれる磁性粒に対応する。図4の(a)において、横軸は時間(単位:nsec)を示している。図4の(a)において、破線で示される特性線は、左側の軸Mz−aveに対応している。図4の(a)の左側の軸Mz−aveは、磁化のz成分(垂直成分)の平均値Mz−ave(単位:a.u.(arbitrary unit))を示している。尚、磁化のz成分のMz−aveにおいて、“1”は磁化が記憶層の膜面に対して上側を向いている状態を示し、“−1”は磁化が記憶層の膜面に対して下側を向いている状態を示している。
図4の(a)に示されるシミュレーションでは、初期状態(0nsec)において、磁化の平均値Mz−aveは、ほぼ1を示し、磁化はMTJ素子の膜面に対して垂直上向き方向を向いている。そして、0nsecにおいて、記憶層に対して磁化反転電流の供給を開始し、スピン注入によって磁化が反転して、平均値Mz−aveがほぼ−1になるまでの過程が、検証された。
図4の(a)に示すように、0nsecから3nsecまでの期間は、磁化の平均値Mz−aveの値は、ほとんど変化しない。これは、記憶層の磁化(スピン)が、反転していない期間とみなすことができる。
図4の(a)において、実線で示される特性曲線は、右側の軸σΦに対応し、記憶層内の32個の磁化の歳差運動の位相ばらつきを示している。
図4の(b)に示されるように、磁化の向きは2つの偏角θ及び偏角Φを用いた極座標で表わすことができる。垂直磁化膜の磁化は、膜面垂直方向(z軸)を回転軸として、歳差運動を行う。赤道面cにおける、歳差運動の位相を、偏角Φと定義する。また、歳差運動を行っている際に、磁化Mの傾きとz軸とがなす角を、偏角θと定義する。
歳差運動の位相ばらつきは、偏角Φのばらつきを調べることで得られる。しかし、極座標で示される偏角Φは、+π又は−πの周期で不連続になるか、あるいは多値になる。そのため、偏角Φを単に用いて位相の分散(位相のばらつき)を計算すると、数値が不連続な部分において正確な計算結果が得られない。
そこで、本実施形態では、偏角Φの代わりに、歳差運動の位相を複素数、つまり、“Φ=cosφ+isinφ”で表わすことによって、位相の分散σΦを計算し、位相のばらつきを求めた。このように、複素数を用いて偏角Φを表現することで、数値の不連続に起因する問題は解消され、簡単に位相ばらつきを計算することができる。位相の分散σΦは以下の(式5)及び(式6)式で表わされる。
Figure 2012109015
Figure 2012109015
(式5)及び(式6)中の“n”は、記憶層が含む磁化の個数(セル数)を示し、本例では32個である。(式5)及び(式6)中の“Σ”は、記憶層が含む全ての磁化(本例では、32個)の和(合計値)を計算することを示している。(式5)中の“*”は共役複素数を示している。(式5)及び(式6)中の“  ̄ ”は、記憶層内の全ての磁化のセル(本例では、32個)の平均値であることを示している。よって、(式5)中の“μ”は、記憶層内の全ての磁化の“Φ”の平均値を示している。
図5は、記憶層17内に配置された磁化のセルを模式的に示している。尚、図5においては、複数のセル18が2次元に配置されている例を示しているが、これは、説明の簡単化のためであって、これに限定されないのはもちろんである。
例えば、図5の(a)に示すように、記憶層17内の各セル18の磁化19の位相が、全てランダムである場合には、位相の分散σΦは、“1”を示す。一方、図5の(b)に示すように、記憶層14内の全ての磁化19の位相が完全に揃い、且つ、偏角“Φ”の値が同じになる場合には、位相の分散σΦは“0”を示す。
本実施形態においては、磁性層内の各磁性粒の磁化の位相が揃い、共動して歳差運動することを、“コヒーレントな歳差運動”と呼ぶ。
図4の(a)に示すように、記憶層内の磁化の位相の分散σΦが減少し、磁化がコヒーレントな歳差運動になると、磁化の運動が熱活性過程に移行して、磁化が反転し始める。そして、磁化の平均値Mz−aveは減少を始める。
図4の(a)中の期間t’は、コヒーレントな歳差運動になるまでの時間に相当する。但し、同一条件でシミュレーションを繰り返して行った場合においても、初期状態からコヒーレントな歳差運動が実現するまでの期間t’は変動する。しかし、記憶層内の磁化の位相が揃い、コヒーレントな歳差運動が実現した時に、磁化の反転が開始される現象は再現される。
以上のことより、スピン注入磁化反転における時間t’は、記憶層17内において、磁化18の歳差運動の位相がそろわない状態(図5の(a)参照)から磁化18の歳差運動の位相がそろったコヒーレントな状態(図5の(b)参照)へ遷移するまでの時間であるとみなすことができる。したがって、コヒーレントな歳差運動になるまでの時間を経過することよって、熱活性過程に移行し、MTJ素子の記憶層のスピン反転が開始されるといえる。
尚、位相の分散σΦが、0.5程度になると、磁化の平均値Mz−aveは、初期状態(1)の95%程度に減少する。典型的な例としては、位相の分散σΦが0.5になるまでの時間を、磁化がコヒーレントな歳差運動を始めるまでの時間とみなすことができる。
この磁化の歳差運動がコヒーレントな運動になるまでの時間は、電流Iの大きさに依存し、電流Iの大きさが減少すると、磁化の歳差運動がコヒーレントな運動になるまでの時間は増加する。
このコヒーレントな歳差運動が実現するまでの時間t’が存在し、且つ、コヒーレントな歳差運動が実現した後、スピン反転が開始してからスピン反転が完了するまでに有限な時間が存在する。そのため、それらの時間t’を考慮して、(式4)内の時間tが、本実施形態で述べるスピン注入磁化反転モデルのパラメータに含まれている。
尚、ここでは、スピン注入磁化反転が完了する条件は、電流(パルス電流)をオフしても記憶層のスピンが元の状態にもどらず、最後まで反転することとする。これは、図4の(b)において、磁化の向きが赤道面cまで回転し、磁化の垂直成分Mzが、“0”になることを意味する。
図6は、磁化反転確率の時間依存性を示しており、図4の(a)と同一条件のMTJ素子の磁化反転確率の時間依存性を示している。尚、図6に示される結果は、LLG方程式を用いたマイクロマグネティックシミュレーションによって、演算されている。図6の横軸は、時間を示し、図6の縦軸は、図3と同様に、Log(1−P)を示している。
図6においても、記憶層の磁化がコヒーレントな歳差運動となった後、磁化の運動が熱活性過程に遷移して、記憶層の磁化が反転することが、示されている。尚、図6に示される特性線Aは、熱活性過程における磁化反転モデルを示す近似直線であり、(式4)で示される直線である。
このように、MTJ素子1の記憶層13A,13B内に存在する磁化が共動してコヒーレントに歳差運動し、その後、記憶層13A,13B内の磁化の方向が反転する。
本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリにおいて、MTJ素子に供給する読み出し電流IREADのパルス幅Tは、記憶層内の磁化が共動してコヒーレントな歳差運動し始めるまでの時間より短くされる。
これによれば、MTJ素子に読み出し電流が供給されている時間が、磁化が反転するのに要する時間より短くなり、記憶層内の磁化がコヒーレントな歳差運動をする前に、読み出し電流の供給が停止される。その結果として、読み出し電流によって磁化が反転する、すなわち、読み出し電流によってデータが書き込まれるのを抑制できる。
したがって、本実施形態の磁気抵抗効果メモリによれば、読み出しディスターブが発生するのを低減できる。
[具体例]
以下、図7A及び図14を用いて、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例について、説明する。
(式4)の近似式では表せていないが、上記のように、図4の(a)に示されるコヒーレントな歳差運動が実際に実現するまでの時間t’は、MTJ素子の動作状況、記憶層の膜質、記憶層内の磁化の位相のばらつきの度合いなどによって、変動する。
そのため、読み出し電流IREADのパルス幅Tがある一定の時間t以下に設定されても、反転確率がゼロになるとは、必ずしも言えない。
すなわち、ある一定の電流IをMTJ素子に供給した時に、磁化が反転するのに要する時間(以下、磁化反転時間又はスイッチング時間と呼ぶ)tswは、同一のMTJ素子であっても揺らぐ。この磁化反転時間tswは、(式4)中の時間t或いはコヒーレントな歳差運動になるまでの時間t’に近い値を示す。
図7Aは、MTJ素子の磁化反転時間tswの揺らぎの分布を説明するための図である。図7Aの(a),(b)の縦軸は、Z値(標準化係数)を示し、図7Aの(a),(b)の横軸は、磁化反転時間tswを示している。尚、図7Aの分布を得るのに用いたMTJ素子の条件は、図4の(a)に示した条件と同じである。
図7Aに示されるように、磁化反転時間tswの揺らぎの分布は、図7Aの(a)に示される正規分布よりも、図7Aの(b)に示される対数正規分布に近似する。換言すると、自然対数(Ln)を用いて磁化反転時間tswの分布を表現したLn(tsw)が、正規分布を示す。
磁化反転時間tswの分布Ln(tsw)におけるZ値は、以下の式で表される。
Figure 2012109015
ここで、(式7)中の“E(I)”と“F(I)”は電流Iに依存する定数である。また、(式7)を変形すると、(式8)のようになる。
Figure 2012109015
図7Aの(b)に示すように、磁化反転時間tswの分布Ln(tsw)は、正規分布を有する。そのため、図7BのZ値に対する確率密度の分布に示されるように、−∞(マイナス無限大)から所定のZ値になるまでの範囲における累積確率を求めることができる。換言すると、累積確率をある値に設定することで、Z値を決めることができる。
ここで、(式8)中の電流Iを、読み出し電流とする。そして、ある読み出し電流Iを1つのMTJ素子に供給した時、読み出しディスターブが発生する確率を、読み出しディスターブ発生確率qとする。この場合、図7Bに示される磁化反転時間の分布Ln(tsw)において、累積確率は、1ビット(1つのMTJ素子)の読み出しディスターブ発生確率に相当する。
それゆえ、図7Bに示されるように、例えば、読み出しディスターブ発生確率qが0.001(=1×10−3)に設定された場合、そのZ値は、−3.09となる。このZ値(−3.09)を、(式8)の係数Zに代入することで、読み出しディスターブ発生確率qが0.001になる磁化反転時間tsw(q=1×10-3)を算出できる。そして、この得られた磁化反転時間tsw(q=1×10-3)以下に読み出し電流のパルス幅Tを設定する。これによって、その読み出し電流を用いた磁気抵抗効果メモリにおいて、読み出しディスターブ発生確率を0.001以下にできる。
ある読み出し電流における読み出しディスターブ発生確率qを1×10−9以下にする場合には、図7B中から、Z値=−6.00を求める。そして、このZ値を(式8)中の係数Zに代入して、磁化反転時間tsw(q=1×10-9)を算出する。そして、読み出し電流のパルス幅Tを時間tsw(q=1×10-9)以下に設定することで、その読み出し電流を用いた磁気抵抗効果メモリにおいて、読み出しディスターブ発生確率を1×10−9以下にできる。
これと同様に、読み出しディスターブ発生確率qを1×10−12以下にする場合には、(式8)の係数Zに、Z値=−7.03を代入して、時間tsw(q=1×10-12)を算出し、この時間tsw(q=1×10-12)以下に、読み出し電流のパルス幅Tを設定すればよい。また、読み出しディスターブ発生確率qを4×10−14以下にする場合には、(式8)の係数Zに、Z値=−7.47を代入して、時間tsw(q=4×10-14)を算出し、この時間tsw(q=4×10-14)以下に、読み出し電流のパルス幅Tを設定すればよい。
尚、Z値は、平均値からの標準偏差を表す値であって、MTJ素子の構成部材などの条件に依存しない。
以下、磁気抵抗効果メモリの使用形態に応じたより具体的な例を提示して、許容される読み出しディスターブ発生確率、及び、要求される読み出し電流IREADのパルス幅T(tsw又は)について、説明する。
尚、読み出し電流のパルス幅に要求される条件を求めるにあたって、基準となる電流(電流密度)が必要になる。基準となる電流として、ここでは、“電流密度J(10nsec,midpoint)”を用いる。
図8を用いて、この電流密度J(10nsec,midpoint)について説明する。図8は、磁化反転確率Pの電流密度比J/JC0に対する依存性を示している。“J”は、パルス電流の電流密度を示し、“JC0”は、1個のフォノンを受け取る時間にパルス幅が設定された場合における反転しきい値の電流密度である。
MTJ素子に一定のパルス幅を有する電流を流して、MTJ素子の磁化を反転させる場合、MTJ素子に供給した磁化反転電流の電流密度に応じて、磁化反転確率Pは、一意に決まる。
(式2)に示される磁化反転確率P(t)を、電流密度を用いて表現すると、次式(式9)になる。
Figure 2012109015
図8及び(式9)に示すように、あるMTJ素子に対して、複数の電流密度を用いて磁化反転確率P(t)を演算することによって、ある磁化反転確率になる電流密度を求めることができる。
磁化反転確率P(t)が0.5になる電流密度は、磁化反転確率P(t)を示す特性曲線の縦軸の中点(midpoint)であり、他の電流密度を用いた磁化反転確率の算出より比較的少ない実験回数でより正確な値を求めることができる。
よって、以下、本具体例では、基準となる電流(電流密度)は、磁化反転確率が0.5になる電流とする。
基準となるパルス幅については、以下のとおりである。
例えば、電流のパルス幅が1nsec程度になると、磁性層の磁化反転は、ダイナミック領域或いはプリセッション領域と呼ばれる領域における磁化反転となる。その領域における磁化反転は、10nsec以上のパルス幅を有する電流を用いた場合とは、異なる磁化反転過程を示し、磁化反転過程が断熱的な過程となる。それゆえ、1nsec程度のパルス幅の電流を読み出し電流として用いた場合には、熱擾乱によって読み出しディスターブが支配される状況とは異なる。また、磁気抵抗効果メモリに用いられる書き込み電流の典型例としては、10nsecのパルス幅が用いられている。よって、10nsecのパルス幅の書き込み電流を基準として用いることは、実用的で、検証しやすい。
それゆえ、以下の各具体例においては、10nsecのパルス幅を有し、磁化反転確率Pが0.5になる電流密度J(10nsec,midpoint)を用いて、読み出し電流のパルス幅に要求される条件を求める。すなわち、電流密度J(10nsec,midpoint)が、(式8)の“I”のパラメータとなる。
以下、この電流密度J(10nsec,midpoint)を用いて、磁気抵抗効果メモリの使用形態に応じて要求される条件について説明する。
(a) 具体例1
以下、図9を用いて、本実施系形態に係る磁気抵抗効果メモリを、電力使用量メータに用いた例について、説明する。
電力使用量メータに用いられた磁気抵抗効果メモリ(例えば、MRAM)は、例えば、512kbit程度の記憶容量を有する。
本具体例1の磁気抵抗効果メモリは、電力使用量記録を記憶するデータとし、そのデータが高速且つ頻繁に書き込まれる。その一方で、データの読み出し頻度は非常に少なく、その磁気抵抗効果メモリは、例えば、電力使用量の記録が1ヶ月に1回、読み出される。すなわち、データの読み出しは、1年間で12回行われる。
このように、電力使用量メータに磁気抵抗効果メモリを用いた場合には、1ビットの読み出しディスターブ発生確率が0.001以下になっていれば、20年間の使用期間において、読み出しディスターブが発生しないで使用できる。
また、読み出しディスターブ発生確率qを0.001以下にするには、上述のように、図7Bにおいて、−3.09が、Z値として用いられる。
図9は、読み出しディスターブ発生確率qが0.001になる場合における、電流密度比J/J(10nsec,midpoint)に対する磁化反転時間tsw(q=1×10-3)を求めた結果を実線で示している。図9の縦軸は、磁化反転時間tswを示し、図9の横軸は、MTJ素子に供給する電流の電流密度Jと電流密度J(10nsec,midpoint)との比を示している。尚、図9中の破線で示される特性線は、同じ電流密度比J/J(10nsec,midpoint)が用いられた場合における(式1)に示される磁化反転モデルに基づいている。
図9内の実線で示された値以下の磁化反転時間tswを、読み出し電流IREADのパルス幅Tに用いて、メモリに対する読み出しを行うことによって、読み出しディスターブ発生確率が0.001以下になる。
これによって、電力使用量メータとして使用される磁気抵抗効果メモリとして、動作が保証され、実用に耐えることができる。また、得られた特性線の形状の違いから、本発明の実施形態で述べた磁化反転モデル((式4)参照)が、(式1)に示される磁化反転モデルと異なることが分かる。
これを鑑みて、読み出し電流のパルス幅T(=tsw)(単位:nsec)として許容される条件を、読み出し電流の電流密度Jreadの関数として表すと、(式10)のようになる。
Figure 2012109015
回路のばらつきによる読み出し電流のビット間ばらつきが数%程度見込まれるので、電流密度比J/J(10nsec,midpoint)は0.9倍以下、つまり、読み出し電流の電流密度が電流密度J(10nsec,midpoint)の0.9倍以下に設定される必要がある。図9に示すように、電流密度比J/J(10nsec,midpoint)が0.9の場合、読み出し電流のパルス幅が8nsec以下になることが分かる。
尚、本具体例では、本実施形態の磁気抵抗効果メモリを電力使用量メータに用いた場合について述べたが、これに限定されず、ガスや水道の使用量メータに用いてもよい。
(b) 具体例2
以下、図10を用いて、本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例2について説明する。ここでは、磁気抵抗効果メモリを、コンピュータのワークメモリとして用いた場合について説明する。
コンピュータのワークメモリは、読み出し頻度が高いため、読み出しディスターブの影響を受けやすい。
以下では、1Gbitの磁気抵抗効果メモリ(例えば、MRAM)を例として、説明するが、メモリ容量には依存しないのはもちろんである。ここで、ワークメモリとしての磁気抵抗効果メモリの使用形態は、1回の書き込みサイクルが50nsecに設定され、1回の読み出しサイクルが50nsecに設定され、10年間使用する場合を例にして説明する。そして、読み出しディスターブが発生した場合、読み出しディスターブに起因するエラー(誤書き込み)は、例えば、ECC(Error checking and correcting)によって、訂正される。書き込み/読み出しデータは、例えば、32bitを1単位とし、ハミングコードで誤り訂正するためにさらに6bitを付加し、38bitのデータを1ブロックとする。そして、この1ブロックのデータに対して、書き込み/読み出しデータ内のエラーが訂正される。そして、読み出されたデータは、ECCによって毎回エラーの検知及び訂正が実行された後、メモリに再び書き込まれる。
本具体例2では、1回の読み出しサイクルにおいて、読み出しディスターブが発生して、読み出しディスターブに起因するエラー(誤書き込み)が1ブロック内に2bit以上同時に発生する確率p2+を、1.59×10−16未満に抑制することを要求する。この場合、ワークメモリとして磁気抵抗効果メモリを、10年間使用した場合の読み出しディスターブに起因するエラーは、0.5回未満になる。
1ビット(1つのMTJ素子)の読み出しディスターブ発生確率qと1ブロックに2ビット以上同時にエラーが発生する確率p2+との関係式は、(式11)乃至(式13)を用いて、以下のように示される。
まず、1回の読み出しサイクルで、読み出しディスターブに起因するエラーが発生しない確率pは、(式11)のように表せる。
Figure 2012109015
ここで、(式11)において、“j”は1ブロック内のビット数を示し、本具体例2では、38である。
1回の読み出しサイクルで、1ブロック内に1ビットの読み出しディスターブに起因するエラーが発生する確率pは、(式12)のように表せる。
Figure 2012109015
1ブロック内に2ビット以上同時に読み出しディスターブに起因するエラーが発生する確率p2+は、(式11)と(式12)とを用いて、(式13)のように示される。
Figure 2012109015
上記のように、本具体例2では、2ビット以上同時に読み出しディスターブが発生する確率p2+は、1.59×10−16未満であることが要求される。
(式13)に基づくと、1ビットの読み出しディスターブ発生確率qが1×10−9未満にされることで、2ビット以上同時に読み出しディスターブに起因するエラーが発生する確率p2+が1.59×10−16未満になる。
よって、コンピュータのワークメモリとして使用し、10年間使用する場合において読み出しディスターブに起因するエラーの発生を0.5回未満にするには、1ビットの読み出しディスターブ発生確率qを、1×10−9未満に設定すればよい。
図10は、読み出しディスターブ発生確率qが1×10−9になる場合における電流密度比J/J(10nsec,midpoint)に対する磁化反転時間tsw(q=1×10-9)を求めた結果を実線で示している。図10内の破線で示される特性線は、(式1)に示される磁化反転モデルに基づいている。
尚、読み出しディスターブ発生確率qが1×10−9になるZ値は、上記のように、−6.00である。
実線で示された値以下の磁化反転時間tswを、読み出し電流IREADのパルス幅Tに用いて、メモリに対する読み出しを行うことによって、読み出しディスターブ発生確率qが、1×10−9以下になる。
これによって、ワークメモリとして使用される磁気抵抗効果メモリとして、動作が保証され、実用に耐えることができる。また、図10中に示されるように、得られた特性線が示す傾向の違いから、本発明の実施形態で述べた磁化反転モデル((式4))が、(式1)に示される磁化反転モデルと異なることが分かる。
また、図9に示された例と同様に、読み出し電流のパルス幅Tとして許容される条件を、読み出し電流の電流密度Jreadの関数として表すと(式14)のように表せる。
Figure 2012109015
(c)具体例3
図11を用いて、本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例3について、説明する。
ここでは、具体例2と同様に、コンピュータのワークメモリとして使用した場合について述べる。具体例3においては、10年間の使用期間において、読み出しディスターブに起因するエラーが0.5回程度起きる不良の発生頻度を、1ppm(1×10−6)以下にする場合を考える。この場合、1ビットのリードディスターブ発生確率qは1×10−12未満になればよい。
図11は、読み出しディスターブ発生確率qが1×10−12になる場合における電流密度比J/J(10nsec,midpoint)に対する磁化反転時間tsw(q=1×10-12)を求めた結果を実線で示している。図11内の破線で示される特性線は、(式1)に示される磁化反転モデルに基づいている。尚、読み出しディスターブ発生確率qが1×10−12になるZ値は、上記のように、−7.03である。
図9及び図10で述べたのと同様に、実線で示された値以下の磁化反転時間tswを、読み出し電流IREADのパルス幅Tに用いて、メモリに対する読み出しを行うことによって、読み出しディスターブ発生確率qが、1×10−12以下になる。
これによって、10年間の使用期間において、読み出しディスターブに起因するエラーを0.5回程度起こす不良の発生頻度が、1ppm以下になり、ワークメモリとして使用される磁気抵抗効果メモリとして、動作が保証され、実用に耐えることができる。また、図11に示すように、得られた特性線が示す傾向の違いから、本発明の実施形態で述べた磁化反転モデル((式4)参照)が、(式1)に示される磁化反転モデルと異なることが分かる。
また、図9及び図10に示された例と同様に、本具体例3において、読み出し電流のパルス幅Tとして許容される条件を、読み出し電流の電流密度Jreadの関数として表すと、(式15)のように表せる。
Figure 2012109015
(d)具体例4
図12を用いて、本実施形態に係る磁気抵抗効果メモリの具体例4について、説明する。具体例4においては、具体例2及び具体例3と同様に、コンピュータのワークメモリとして使用する場合について述べる。
具体例4では、データを読み出すたびにECCを毎回行って、データを検証及び訂正するのではなく、1000回の読み出し動作に対して、1回程度データを訂正し、訂正したデータをメモリに書き戻す場合について考える。
そして、10年間の使用期間において、読み出しディスターブに起因するエラーが0.5回程度起きる不良の発生頻度を、1ppm以下にする。この場合、1ビットの読み出しディスターブ発生確率qは4×10−14未満になればよい。
図12において、読み出しディスターブ発生確率qが4×10−14になる場合における電流密度比J/J(10nsec,midpoint)に対する磁化反転時間tsw(q=4×10-14)を求めた結果を実線で示している。尚、図12内の破線で示される特性線は、(式1)に示される磁化反転モデルに基づいている。尚、読み出しディスターブ発生確率qが4×10−14になるZ値は、上記のように、−7.47である。
他の例と同様に、実線で示された値以下の磁化反転時間tswを、読み出し電流IREADのパルス幅Tに用いて、メモリに対する読み出しを行うことによって、読み出しディスターブ発生確率qが、4×10−14以下になる。
これによって、10年間の使用期間内で、1000回の読み出し動作に対して1回データを訂正する場合に、読み出しディスターブに起因するエラーが0.5回程度起きる不良の発生頻度を、1ppm以下になる。尚、図12に示す例においても、本発明の実施形態で述べた磁化反転モデル((式4)参照)が、(式1)に示される磁化反転モデルと異なることが分かる。
本具体例4においても、他の例と同様に、読み出し電流のパルス幅Tとして許容される条件を、読み出し電流の電流密度Jreadの関数として表すと、(式16)のように表せる。
Figure 2012109015
(e)まとめ
(読み出し電流のパルス幅について)
具体例1乃至具体例4で述べたように、メモリチップにおいて、1ビット(1つのMTJ素子)に対する読み出しディスターブ発生確率qとして許容される値は、不良発生の頻度の保証値、読み出し回数の動作条件、ECCなどの誤り訂正技術の適用など、メモリチップの使用状況によって、一意的に求めることができる。
読み出しディスターブ発生確率qを使用形態に応じた許容値以下にするためには、他の条件が一定とした場合、読み出し電流のパルス幅Tをある一定値以下にしなければならない。
(式10)、(式14)、(式15)及び(式16)のような読み出し電流IREADのパルス幅T(磁化反転時間tsw)として許容される条件に基づいて、読み出し電流IREADのパルス幅Tについて規格化を行うと、以下の式で表される。
Figure 2012109015
(式17)中の係数“A”及び係数“B”は、1ビット、つまり、1つのMTJ素子に対する読み出しディスターブ発生確率qに依存するパラメータである。係数“A”及び係数“B”は、記憶層の材料特性や寸法に依存するパラメータである。特に、係数“A”は、記憶層の減衰定数や飽和磁化に強く依存する。記憶層の他の材料特性及び寸法に対する係数“A”及び“B”の依存性は、小さい。
図13は、シミュレーションや実験から、(式16)に含まれるパラメータ“A”及び“B”の読み出しディスターブ発生確率qに対する依存性を示している。尚、シミュレーション及び実験に用いられた記憶層の減衰定数αdampは0.01、記憶層の飽和磁化Msは500emu/ccに設定されている。
図13において、横軸は、読み出しディスターブ発生確率qを示している。図13において、左側の縦軸はパラメータAの値を示し、右側の縦軸はパラメータBの値を示している。また、実線はパラメータAの特性線を示し、破線は係数Bの特性線を示している。図13に示されるパラメータA,Bの特性線は、例えば、以下の(式18)及び(式19)のように表せる。尚、(式18)及び(式19)において、“Ln”は、自然対数を表している。
Figure 2012109015
Figure 2012109015
上記の(式17)乃至(式19)を用いて、読み出し電流のパルス幅をより精細に設定することで、読み出しディスターブを低減する磁気抵抗効果メモリを提供できる。
(磁化反転時間の減衰定数の依存性について)
ここでは、MTJ素子の磁化反転時間(読み出し電流のパルス幅)に対する記憶層の減衰定数依存性について、述べる。
MTJ素子の磁化反転時間は、記憶層の飽和磁化が大きいほど長くなり、記憶層の減衰定数が小さいほど長くなる。
図14は、記憶層の減衰定数をαdamp=0.01とαdamp=0.03とに、それぞれ設定した場合における、電流密度比J/J(10nsec,midpoint)対する磁化反転時間tswの変化を示している。尚、図14においては、読み出しディスターブ発生確率qは、1×10−3に設定される。図14の横軸は電流密度比J/J(10nsec,midpoint)を示し、図14の縦軸は磁化反転時間tsw(=パルス幅T)を示している。
図14に示すように、記憶層の減衰定数αdampを0.01とした場合、その磁化反転速度tswは、減衰定数αdampを0.03とした場合の磁化反転速度に比較して、2.3倍程度大きくなる。
図14から得られる磁化反転時間の記憶層の依存性に基づいて、パラメータAは、以下の(式20)で示すことができる。
Figure 2012109015
(式20)内で示される各定数は、以下のとおりである。“αdamp”は記憶層の減衰定数を示し、例えば、0.05〜0.01の値である。“MS”は記憶層の飽和磁化を示し、単位はemu/ccである。記憶層の飽和磁化Msは、例えば、500〜1000emu/ccである。“Ln”は自然対数を示す。“q”は、1ビット(1つのMTJ素子)の読み出しディスターブ発生確率である。
このように、(式20)に示される係数Aは、記憶層の減衰定数及び飽和磁化を用いて示すことができる。よって、(式20)に示される読み出し電流のパルス幅Tは、記憶層の減衰定数及び飽和磁化に依存した値である。
以上のように、MTJ素子を構成する記憶層の減衰定数及び飽和磁化を考慮することで、より好ましい読み出し電流のパルス幅Tを設定できる。
以上、本実施形態の具体例で述べたように、(式17)乃至(式20)を用いて読み出し電流のパルス幅Tを設定することによって、磁気抵抗効果メモリ(例えば、MRAM)の使用形態に応じた好ましいパルス幅Tを設定できる。
したがって、磁気抵抗効果メモリの読み出しディスターブを低減できる。
[適用例]
本発明の実施形態の適用例について説明する。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果メモリは、スピン注入型磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)に用いられる。以下、図15乃至図25を用いて、MRAMの構成について、説明する。
(1) 全体構成
図15は、MRAMのメモリセルアレイ近傍の回路構成を示す図である。
複数のメモリセルMCは、メモリセルアレイ20内にアレイ状に配置される。
図16は、メモリセルアレイ20内に設けられるメモリセルMCの構造の一例を示す図である。MTJ素子1の上端は、上部電極31を介して上部ビット線32に接続される。また、MTJ素子1の下端は、下部電極33、引き出し配線34及びプラグ35を介して、選択トランジスタSTのソース/ドレイン拡散層37aに接続される。選択トランジスタSTのソース/ドレイン拡散層37bは、プラグ41を介して下部ビット線42に接続される。
ソース/ドレイン拡散層37a及びソース/ドレイン拡散層37b間の半導体基板(チャネル領域)36上には、ゲート絶縁膜38を介してゲート電極(ワード線)39が形成される。
尚、下部電極33及び引き出し電極34の少なくとも1つを省略してもよい。例えば、下部電極33を省略する場合には、MTJ素子1は、引き出し配線34上に形成される。また、引き出し配線34を省略する場合には、下部電極33は、プラグ35上に形成される。さらに、下部電極33及び引き出し電極34を省略する場合には、磁気抵抗効果素子1は、プラグ35上に形成される。
ワード線WLは、ロウ方向に延び、メモリセルMCを構成する選択トランジスタTrのゲートに接続される。
ワード線WLの一端は、ロウ制御回路4に接続される。ロウ制御回路4は、ワード線WLに対する選択動作を行う。
ビット線BL,bBLは、カラム方向に延在している。ビット線BLには、MTJ素子1の一端が接続され、ビット線bBLは、選択トランジスタTrの電流経路の一端に接続されている。2本のビット線BL,bBLが、ビット線対を構成している。
ビット線BL,bBLの一端及び他端には、カラム制御回路3A,3Bが接続される。書き込み回路5A,5Bは、カラム制御回路3A,3Bを介して、ビット線の一端及び他端に接続される。書き込み回路5A,5Bは、書き込み電流を生成するための電流源や電圧源などのソース回路、書き込み電流を吸収するためのシンク回路を、それぞれ備える。
また、読み出し回路2A,2Bは、ビット線BL,bBLの一端及び他端には、カラム制御回路3A,3Bを介して、接続される。読み出し回路2A,2Bは、読み出し電流を発生する電圧源又は電流源や、読み出し信号の検知及び増幅を行うセンスアンプ、データを一時的に保持するラッチ回路などを含んでいる。
カラム制御回路3A,3B内には、ビット線BL,bBLと書き込み回路5A,5Bとの導通状態を制御するスイッチ回路や、ビット線BL,bBLと読み出し回路2A,2Bとの導通状態を制御するスイッチ回路が設けられている。
書き込み動作時、カラム制御回路3A,3B内において、書き込み対象となるメモリセルMCに接続されたスイッチ回路がオンになり、その他のスイッチ回路がオフになる。また、ロウ制御回路2によって、選択されたメモリセルMC内の選択トランジスタSTがオンされる。そして、書き込みデータに応じた向きの書き込み電流が、選択されたメモリセルMCに供給される。データの書き込み時、電流を流す向きに応じて、いずれか一方の書き込み回路5A,5Bはソース側となり、他方の書き込み回路5A,5Bはシンク側となる。
以下、MRAMの読み出し回路の構成例及び読み出し動作例について、詳細に述べる。
(2) 読み出し回路
(a) 基本構成
図17は、読み出し回路2A,2Bが備えるセンスアンプ21及びラッチ回路22の構成例を示す図である。
図17の(a)に示されるように、センスアンプ21は、制御信号(以下、S/A駆動信号とよぶ)EN,bENによって、その動作が制御される。センスアンプ21の2つの入力端子には、参照信号REF及び入力信号(読み出し信号)INが、それぞれ入力される。読み出し信号INは、読み出し電流IREADがMTJ素子を流れたときに、MTJ素子のMR比(データ)に応じて変動するビット線の電位の値である。参照信号REFは、読み出し信号の電位レベルを判定するための基準となる一定の電位である。
センスアンプ21の出力端子は、ラッチ回路22の入力端子に接続される。
ラッチ回路22は、制御信号(以下、データ取り込み信号とよぶ)LCHによって、その動作が制御される。ラッチ回路22は、センスアンプ21から出力された信号を一時的に保持し、その保持した信号を、出力信号OUTとして出力する。出力信号OUTが、メモリセルから読み出されたデータに対応する。
図17の(b)は、センスアンプ21とラッチ回路22とを組み合わせた回路の一例を示している。
図17の(b)に示される例では、2つのCMOSインバータから構成されるフリップフロップ回路FFが設けられている。フリップフロップ回路FFには、Pチャネル型電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)24Bを経由して、電源電位Vddが供給される。Pチャネル型FET24Bのゲートには、制御信号bENが入力され、その制御信号bENによって、FET24Bのオン/オフが制御される。
また、フリップフロップ回路FFには、Nチャネル型FET24Aを経由して、グランド電位Vss(GND)が供給される。FET24Aのゲートには、制御信号ENが入力され、その制御信号ENによって、FET24Aのオン/オフが制御される。
制御信号ENと制御信号bENは互いに相補の関係を有しており、制御信号ENが“H(high)”レベルのとき、制御信号bENは“L(low)”レベルを示す。制御信号ENが“L”レベルの時には、制御信号bENは“H”レベルを示す。
フリップフロップ回路FFの2つのノードn1,n2には、Nチャネル型FET23A,23Bがそれぞれ接続される。
ノードn1には、Nチャネル型FET23Aの電流経路の一端が接続される。Nチャネル型FET23Aの電流経路の他端には、参照信号REFが入力される。Nチャネル型FET23Aのゲートには、データ取り込み信号LCHが入力され、データ取り込み信号LCHによって、FET23Aのオン/オフが制御される。
ノードn2には、Nチャネル型FET23Bの電流経路の一端が接続される。Nチャネル型FET23Bの電流経路の他端には、読み出し信号INが入力される。Nチャネル型FET23Bのゲートには、データ取り込み信号LCHが入力され、データ取り込み信号LCHによって、FET23Bのオン/オフが制御される。
2つのFET23A,23Bにそれぞれ入力されるデータ取り込み信号LCHは、同じ信号レベルを有して、FET23A,23Bにそれぞれ入力される。
ノードn1とFET23Aとの間には、ノードn3が設けられ、このノードn3に出力端子bOUTが接続される。また、ノードn2とFET23Bとの間には、ノードn4が設けられ、このノードn4に出力端子OUTが接続される。
(b) 構成例1
(回路構成)
図18乃至図20を用いて、本適用例に係るMRAMに用いられる読み出し回路及び読み出し動作の一例について説明する。ここでは、読み出し回路及び読み出し動作を説明するのに必要な構成要素を抽出して説明し、他の構成要素に関しては図示及び説明を省略する。尚、図15及び図17を用いて説明した構成要素と同じ要素については、同じ符号を付し、その説明は必要に応じて行う。
図18及び図19は、本適用例に係るMRAMの読み出し回路及び読み出し動作を説明するための構成要素を示した模式図である。図18及び図19においては、説明の簡単化のため、4個のメモリセルがロウ方向及びカラム方向に沿ってマトリクス状に配置された2×2のメモリセルアレイを図示している。
以下では、図18及び図19において、破線で囲まれたメモリセルSelected_MCが選択され、そのメモリセル(以下、選択セルとよぶ)内のMTJ素子に記憶されたデータの読み出す場合について説明する。
メモリセルアレイ内には、4本のビット線BL<0>,bBL<0>,BL<1>,bBL<1>が設けられている。2本のビット線BL<0>,bBL<0>は一対のビット線対をなしている。これと同様に、2本のビット線BL<1>,bBL<1>が、一対のビット線対をなしている。また、メモリセルアレイ内には、2本のワード線WL<0>,WL<1>が設けられている。
選択セルSelected_MCは、ビット線対BL<0>、bBL<0>間に接続されている。ビット線BL<0>には、MTJ素子1の一端が接続される。MTJ素子1の他端は、選択トランジスタTrの電流経路の一端に接続される。選択トランジスタTrの電流経路の他端は、ビット線bBL<0>に接続されている。
図18及び図19に示す例では、MTJ素子1の記憶層13Bがビット線BL<0>に接続され、MTJ素子1の参照層11Bが選択トランジスタTrを経由してビット線bBL<0>に接続されている。尚、MTJ素子1は、垂直磁化型であってもよいし、面内磁化型であってもよい。また、ビット線に対する参照層/記憶層の接続関係は、図18及び図19に示される例と反対であってもよい。
選択セルSelected_MC内の選択トランジスタTrのゲートには、ワード線WL<1>が接続されている。つまり、ワード線WL<1>が、選択されたワード線(以下、選択ワード線)となる。他のワード線WL<0>は、非選択ワード線となる。
読み出し回路2Aは、カラム制御スイッチ(例えば、FET)30A,31Aをそれぞれ経由して、ビット線BL<0>,BL<1>に接続される。読み出し回路2Bは、カラム制御スイッチ30B,31Bをそれぞれ経由して、ビット線bBL<0>,bBL<1>に接続される。
カラム制御スイッチ30A,30B,31A,31Bは、例えば、カラム制御回路3A,3B内に、設けられている。
ビット線対BL<0>,bBL<0>の一端及び他端に接続されたカラム制御スイッチ30A,30Bは、カラム制御信号CS<0>によって、動作(オン/オフ)が制御される。カラム制御スイッチ30A及びカラム制御スイッチ30Bには、同じ信号レベルのカラム制御信号CS<0>が入力される。
ビット線対BL<1>,bBL<1>の一端及び他端に接続されたカラム制御スイッチ31A,31Bは、カラム制御信号CS<1>によって、動作が制御される。カラム制御スイッチ31A及びカラム制御スイッチ31Bには、同じ信号レベルのカラム制御信号CS<1>が入力される。
カラム制御信号CS<0>,CS<1>が“H(high)”レベル(Vddレベル)のとき、カラム制御スイッチはオンし、カラム制御信号CS<0>,CS<1>が“L(low)”レベル(Vssレベル)のとき、カラム制御スイッチはオフする。
選択されたビット線(以下、選択ビット線とよぶ)に接続されたカラム制御スイッチはオンされ、選択ビット線以外のビット線(以下、非選択ビット線とよぶ)に接続されたカラム制御スイッチは、オフにされる。
カラム制御スイッチがオンされることによって、選択セルSelected_MCと読み出し回路2A,2Bが電気的に接続される。
ここでは、選択ビット線はビット線BL<0>とビット線bBL<0>であり、オン状態にされるカラム制御スイッチは、スイッチ30Aとスイッチ30Bである。
読み出し回路2A,2B内には、図17に示されるセンスアンプ21及びラッチ回路22のほかに、読み出し電流IREADを生成するための電源(電圧源)Vdd,Vss(GND)やスイッチ25A,25B,26を備える。図18及び図19において、センスアンプ21及びラッチ回路22は、一方の読み出し回路2B内に設けられる。但し、センスアンプ21及びラッチ回路22は、ビット線の配線長に起因した読み出し感度の低減を抑制するため、読み出し回路2A及び読み出し回路2Bの両方に、設けられてもよい。
スイッチ25Aは、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタ(FET)である。スイッチ25Aの電流経路の一端には、電源電圧Vddが供給される。スイッチ25Aの電流経路の他端は、共通配線DQ1に接続される。スイッチ25Aは、制御信号(以下、読み出し電流駆動信号とよぶ)bRBによって、その動作が制御される。
スイッチ25Bは、例えば、Nチャネル型電界効果トランジスタ(FET)である。スイッチ25Bの電流経路の一端には、グランド電位Vss(GND)が供給される。スイッチ25Bの電流経路の他端は、共通配線DQ2に接続される。スイッチ25Bは、制御信号RBによって、その動作が制御される。
尚、本構成例1においては、読み出し電流駆動信号bRBは、制御信号RBと個別に制御される信号として述べるが、読み出し電流駆動信号bRBと制御信号RBは、互いに相補の信号レベルを示してもよい。つまり、互いに相補の信号レベルを示す場合、読み出し電流駆動信号bRBが“L”レベルのとき、制御信号RBが読み出し電流駆動信号bRBの反転信号(“H”レベル)を示す。これによって、Pチャネル型FETのスイッチ25Aがオンするのと同時に、Nチャネル型FETであるスイッチ25Bがオンするように、制御できる。
図18及び図19においては、読み出し回路2A及び読み出し回路2Bのそれぞれに、スイッチ25A,25Bを1つずつ図示しているが、読み出し回路2A,2B内には、スイッチ25Aとスイッチ25Bの両方が設けられ、それぞれ、共通配線DQ1,DQ2に接続されてもよい。
読み出し回路2B内には、スイッチ26が、設けられている。スイッチ26は、例えば、Nチャネル型電界効果トランジスタ(FET)である。スイッチ26の電流経路の一端は、センスアンプ21の入力端子に接続され、スイッチ26の電流経路の他端は、共通配線DQ1に接続される。スイッチ26のゲートには、制御信号Vclが入力され、その信号Vclによって、スイッチ26の動作(オン/オフ)が制御される。このスイッチ26は、読み出し時に、MTJ素子に印加される電位が所定の値になるように、調整する。
図18に示されるように、読み出し電流IREADが、読み出し回路2Bから読み出し回路2Aへ向かって流される場合、読み出し回路2B内のスイッチ25Aがオンされ、共通配線DQ1に電源電位Vddが供給される。また、読み出し回路2A内のスイッチ25Bがオンされ、共通配線DQ2にグランド電位Vssが供給される。図18に示される例では、読み出し電流IREADは、MTJ素子1の参照層11Bから記憶層13Bへ流れる。尚、電子の移動方向は、読み出し電流IREADが流れる方向と反対方向であるのはもちろんである。
図19に示されるように、読み出し電流IREADが、読み出し回路2Aから読み出し回路2Bへ向かって流される場合、読み出し回路2A内のスイッチ25Aがオンされ、共通配線DQ2に電源電位Vddが供給される。また、読み出し回路2B内のスイッチ25Bがオンされ、共通配線DQ1にグランド電位Vssが供給される。図19に示される例では、読み出し電流IREADは、MTJ素子1の記憶層13Bから参照層11Bへ流れる。
尚、図18及び図19では、読み出し電流IREADが電源電位(電圧源)Vddを用いて生成される例を示しているが、電圧源の代わりに、定電流源をスイッチ25Aの電流経路の一端に接続して、読み出し電流IREADを生成してもよいのは、もちろんである。
図18及び図19に示されるMRAMにおいて、読み出し回路2A,2Bによって生成される読み出し電流IREADのパルス幅Tは、記憶層13B内の磁化がコヒーレントな歳差運動を開始するまでの時間よりも短くなるように、スイッチ25A,25Bの動作が制御される。より具体的には、読み出し電流IREADのパルス幅Tは、(式17)乃至(式20)に示される条件を満たすように、設定及び制御される。
(動作)
図20を用いて、図18及び図19に示される回路(MRAM)の読み出し動作について、説明する。図20は、図18及び図19に示される回路の読み出し動作のタイミングチャートを示している。ここでは、図18又は図19も用いる。図18及び図19に示す回路において、MTJ素子を流れる読み出し電流の向きが異なるのみで、その動作は実質的に同じである。尚、上述したように、読み出しの対象となる選択セルは、図18及び図19中において、破線で囲まれたセルSelected_MCであり、選択ワード線はワード線WL<1>、選択ビット線はビット線BL<0>とビット線bBL<0>である。
はじめに、選択ワード線WL<1>に電位Vdd(“H”レベル)が供給され、選択ワード線WL<1>が活性化される。これと同時に、選択ビット線BL<0>,bBL<0>に対するカラム制御信号SelectedCS(ここでは、CS<0>)の電位が、電位Vss(“L”レベル)から電位Vdd(“H”レベル)に遷移される。これによって、選択ビット線BL<0>,bBL<0>に接続されたカラム制御スイッチ30A,30Bがオンし、ビット線BL<0>,bBL<0>が活性化される。但し、選択ワード線WL<1>と選択ビット線BL<0>,bBL<0>は、同時に活性化せずともよい。
尚、選択セルに対する読み出し動作中、スイッチ26の制御信号Vclは一定の信号レベル(電位)に設定され、オン状態にされている。また、読み出し動作中、非選択ワード線WL<0>には、電位Vssが供給され、非選択ビット線に対するカラム制御信号OtherCS(ここでは、CS<1>)には電位Vssが供給される。すなわち、非選択ワード線WL<0>及び非選択ビット線BL<1>,bBL<1>は、読み出し動作中、非活性化されている。
選択ワード線WL<1>及び選択ビット線BL<0>,bBL<0>が活性化されてから所定の期間T1,T2が経過した後、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが、電位Vddから電位Vssに遷移される。これによって、読み出し電流駆動信号bRBによって制御されるスイッチ(Pチャネル型FET)25Aがオンし、ビット線bBL<0>(又は、BL<0>)に電位Vddが印加される。また、読み出し動作中、例えば、制御信号RBの信号レベルは、電位Vddに一定に設定され、スイッチ(Nチャネル型FET)25Bはオンされている。よって、ビット線BL<0>(又は、bBL<0>)に電位Vssが印加される。尚、上述したように、制御信号RBが、読み出し電流駆動信号bRBの反転信号となってもよい。この場合、読み出し動作において、制御信号RBの信号レベルが、電位Vddに一定に設定され、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが、電位Vssに一定に設定される。
これによって、読み出し電流IREADが、選択セルSelected_MC内のMTJ素子1に供給される。
読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが電位Vssに遷移されてから所定の期間T3が経過した後、データ取り込み信号LCHの信号レベルが、電位Vssから電位Vddへ遷移される。
このように、読み出し電流駆動信号bRBが駆動されて、読み出し電流IREADが出力された後、データ取り込み信号LCHが駆動されて、ラッチ回路22がオンされるのは、読み出し電流IREADがMTJ素子1を流れることによって生じるビット線の電位変動、すなわち、読み出し信号が、MTJ素子1の抵抗状態(MR比)を十分に反映した信号となる前に、ラッチ回路22が、その不十分な信号をデータとして誤って取り込むのを防ぐためである。
所定の期間を経過した後、データ取り込み信号LCHの信号レベルが電位Vddから電位Vssにされ、ラッチ回路22はデータの取り込みを停止する。
この後、期間T4を経過してから、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが、電位Vssから電位Vddにされる。読み出し電流IREADは、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが、電位Vssになっている期間TREADの間、選択セル内のMTJ素子に供給されている。
ラッチ回路22が停止されてから読み出し電流IREADの供給が停止されるのは、上記と同様に、ラッチ回路22が誤ったデータを取り込むのを防止するためである。
データ取り込み信号LCHの信号レベルが電位Vssにされてから所定の期間T5を経過した後、S/A駆動信号ENの信号レベルが電位Vssから電位Vddにされる。これによって、センスアンプ21が駆動し、センスアンプ21は、読み出し信号(入力信号)INと参照信号REFとを比較して、MTJ素子1の抵抗状態(MR比)に対応したビット線の電位変動を検知する。ラッチ回路22が停止された後に、センスアンプ21が駆動されることによって、センスアンプ21はビット線BL<0>,bBL<0>の変動電位(データ)の増幅を高速に行える。
ここで、図17を用いて、センスアンプ21及びラッチ回路22の動作について、より具体的に説明する。
読み出し電流IREADが、選択セルSelected_MC内のMTJ素子1に供給されている状態で、センスアンプ21は、MTJ素子1のMR比の影響を受けたビット線BL<0>,bBL<1>の電位を読み出し信号INとして、検知する。センスアンプ21は、検知した読み出し信号INと参照信号REFとの比較結果(電位差)をラッチ回路22へ出力する。センスアンプ21の出力をラッチ回路22が保持し、データとして外部へ出力する。
図17の(b)において、読み出し電流IREADが出力され、センスアンプ21の入力となる読み出し信号INと参照信号REFとの間の電位差が検知するのに十分な値(大きさ)になったときに、データ取り込み信号LCHの信号レベルが“H(Vdd)”レベルであれば、読み出し信号INと参照信号REFに対応する電位は、出力端子OUT,bOUTに転送される。
この後、データ取り込み信号LCHが“H”レベルから“L(Vss)”レベルに遷移れても、出力端子OUT,bOUT(ノードn3,n4)に存在する容量によって、出力端子OUT,bOUTの電位は保持される。
この保持状態で、S/A駆動信号ENが“H”レベルにされ、それと相補の関係にある制御信号bENが“L”レベルに設定されることによって、出力端子OUT,bOUTの電位が、電位Vddのレベルと電位Vssのレベルにそれぞれ増幅される。尚、電位レベルの増幅を高速化するために、出力端子OUT,bOUTの容量が等しくされることが好ましい。
そして、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが電位Vddにされてから所定の期間T6を経過した後、選択ワード線WL<1>の信号レベルが、電位Vddから電位Vssにされ、選択ワード線WL<1>が非活性化される。
また、読み出し電流駆動信号bRBの信号レベルが電位Vssにされてから所定の期間T7を経過した後、選択されたカラム制御信号CS<0>の信号レベルが、電位Vddから電位Vssにされ、選択ビット線BL<0>,bBL<0>が非活性化される。これによって、選択セルselected_MCと読み出し回路2A,2Bが電気的に分離される。
以上によって、MRAMの読み出し動作が終了する。
上記のように、MTJ素子に読み出し電流IREADが供給されているのは、信号bRBの信号レベルが、電位Vssになっている期間TREADである。それゆえ、この期間TREADが、記憶層13B内の磁化がコヒーレントな歳差運動するまでの時間より短くされる。より具体的には、期間TREADが、(式17)乃至(式20)を満たすMTJ素子1の磁化反転時間(スイッチング時間)tswに、設定される。
これによって、パルス幅Tが磁化反転時間tsw以下の読み出し電流IREADを、選択セル内のMTJ素子に供給できる。
したがって、本構成例1に係るMRAMによれば、読み出しディスターブが低減されたMRAMを提供できる。
(c) 構成例2
(回路構成)
図21及び図22を用いて、本実施形態の適用例であるMRAMの構成例2について、説明する。ここでは、構成例1で述べた構成例との相違点を主に説明し、共通する構成要素についての説明は、必要に応じて行う。
図21に示されるMRAMは、プリチャージ回路29A〜29Cを、さらに備えることが、図18及び図19に示されるMRAMと相違している。
プリチャージ回路29A〜29Cは、例えば、カラム制御回路3A,3Bや読み出し回路2A,2B内に設けられる。
図21に示すように、プリチャージ回路29A〜29Cは、共通配線DQ1やビット線bBL<0>,bBL<1>に接続される。プリチャージ回路29A〜29Cは、スイッチと電源Vpreから、構成される。スイッチは、例えば、Nチャネル型FETである。スイッチの電流経路の一端が、電源Vpreに接続され、スイッチの電流経路の他端がビット線bBL<0>,bBL<1>又は共通配線DQ1に接続される。スイッチのゲートには、プリチャージ駆動信号PREが入力される。この駆動信号PREによって、プリチャージ回路29A〜29C内のスイッチの動作(オン/オフ)が制御され、配線に対するプリチャージが制御される。
プリチャージに用いる電位(以下、プリチャージ電位とよぶ)Vpreの大きさは、読み出し電流IREAD及びスイッチ26に対する供給電位によってビット線/共通配線に印加される電位と、ほぼ同じ大きさ(例えば、電位Vdd)に設定される。
読み出し動作を実行する際、プリチャージ回路29A〜29Cは、読み出し電流IREADをMTJ素子に供給する前に、共通配線DQ1やビット線bBL<0>,bBL<1>に、プリチャージ電位Vpreをあらかじめ印加する。尚、読み出し動作時において、プリチャージされるビット線は、高電位に設定されるビット線及び共通配線であって、低電位(Vss)に設定されるビット線はプリチャージされない。また、非選択ビット線は、プリチャージせずともよい。
図22は、図21に示されるMRAMの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
図22に示すように、本構成例2においては、はじめに、プリチャージ駆動信号PREの信号レベルが電位Vssから電位Vddにされ、プリチャージ回路29A〜29Cが駆動する。これによって、ビット線及び共通配線に、プリチャージ電位Vpreが印加される。
そして、所定の期間が経過した後、プリチャージ駆動信号PREの信号レベルが、電位Vddから電位Vssにされ、プリチャージ回路29A〜29C内のスイッチがオフする。これによって、プリチャージ回路29A〜29Cが、各配線から電気的に分離され、各配線のプリチャージが終了する。
プリチャージ駆動信号PREの信号レベルが電位Vssにされてから所定の期間T0が経過した後、選択ワード線WL<1>に電位Vddが供給され、カラム制御信号CS<0>の信号レベルが、電位Vddにされる。これによって、選択ワード線WL<1>及び選択ビット線BL<0>,bBL<0>が活性化される。これ以降の動作は、図20に示される動作と同様である。
このように、プリチャージ回路29A〜29Cは、選択ワード線WL<1>や選択ビット線BL<0>,BL<1>が活性化される前に、ビット線及び共通配線に対してプリチャージ電位Vpreを供給し、各配線をプリチャージする。
図18及び図19に示すMRAMにおいては、ビット線や共通配線は、読み出し電流IREAD及びスイッチ26の供給電位によって、充電される。この場合では、配線の充電の開始と読み出し電流の供給の開始が実質的に同時に実行されるので、読み出し電流駆動信号bRB(スイッチ25A)の応答速度やビット線/共通配線の配線容量に起因して、読み出し電流IREADの電流値が所定の値に達するまでの時間が長くなる。すなわち、図1の(b)に示される読み出し電流の立ち上がり期間t〜tが長くなり、読み出し電流IREADのパルス幅Tが大きくなる。
一方、図21に示すように、プリチャージ回路29A〜29Cがビット線及び共通配線をプリチャージすることによって、読み出し電流IREADの立ち上がり時間t〜tにおいて、ビット線や共通配線の寄生容量に充電される読み出し電流の電荷量が小さくなる。その結果として、配線遅延の影響を緩和でき、より短いパルス幅Tの読み出し電流IREADを用いて、読み出し動作を実行できる。
図23は、ビット線の配線容量が200fF、MTJ素子1と選択トランジスタTrとの抵抗値の合計が15kΩに設定された場合における読み出し信号の時間変化のシミュレーション結果を示している。図23の横軸は時間(単位:nsec)を示し、図23の縦軸は読み出し信号に対応する電圧(単位:a.u.)を示している。図23に示すように、プリチャージを行わなかった場合においては、読み出し信号が立ち上がって飽和するまでに、7nsec程度を要している。一方、本例のように、各配線のプリチャージが実行された場合には、読み出し信号が、2nsec程度で所定のレベルに達している。
このように、配線を充電する時間が短くなり、選択セル内のMTJ素子に記憶されたデータを、高速に読み出すことができる。また、配線容量の影響を低減されるので、読み出し電流のパルス幅Tをより短くできる。さらに、配線に起因するパルス幅Tの変動が小さくなるので、MRAMの動作が安定化される。
したがって、図21に示される本構成例2のMRAMによれば、読み出しディスターブを低減できると共に、プリチャージ回路29A〜20Cをさらに備えることによって、読み出し動作の高速化を図ることができる。
(d) 読み出す電流に対するメモリセル数の影響
図24及び図25を用いて、ビット線に接続されたメモリセルの個数が、読み出し電流に及ぼす影響について、検討する。
図15に示すMRAMのように大規模なメモリセルアレイが構成された場合、読み出し電流IREADのパルス幅Tを、どの程度まで小さくできるかは、センスアンプ21によって検知される読み出し信号の大きさや、図1の(b)に示される読み出し電流IREADの立ち上がりの遅延時間t〜tも影響する。
例えば、センスアンプ21は、MTJ素子1のMR比の大きさに相関して、より大きな読み出し信号を検知する。例えば、MTJ素子の抵抗値が数kΩの場合、100%以上のMR比が得られることが望ましい。
また、読み出し電流のパルスの立ち上がり時間t〜tは、ビット線や共通配線など、読み出し電流IREADが流れる配線の抵抗値及び容量の影響を受ける。
但し、ビット線や共通配線の抵抗値は、メモリセルMCを構成するMTJ素子1及び選択トランジスタTrの抵抗値に比べて、十分に小さい。よって、ここでは、読み出し電流IREADが流れる配線経路において、MTJ素子1と選択トランジスタの抵抗値を考慮し、配線の抵抗値は実質的に0として、検討する。
図24は、MTJ素子1と選択トランジスタTrの抵抗値の合計が15kΩの場合において、読み出し電流IREADによって生じる電圧(読み出し信号)の経時変化のシミュレーション結果を、示している。図24の横軸は、時間(単位:nsec)を示し、図24の縦軸は、電圧(単位:a.u.)を示している。図24に示されるシミュレーションにおいて、ビット線BLの配線容量は、20fF、50fF、100fF、200fF及び500fFにそれぞれ設定されている。尚、図24においては、読み出し電流駆動信号bRBの信号の立ち上がり時間を1nsecに設定している。
図24に示されるように、配線の容量が大きくなると、電圧(読み出し電流)の立ち上がり時間が長くなる。これは、ビット線などの配線容量によって、データの読み出しが可能な最小なパルス幅が規定されることを意味する。
配線容量は、配線の長さや幅、隣接する配線間の間隔などに依存する。例えば、配線の幅が100nm、隣接する配線間のスペースが100nm、酸化シリコンを用いた層間絶縁膜の厚さを2000nmと設定した場合、1μmの配線長に対する配線容量は、約0.2fFになる。
図25は、1本のビット線に接続されるメモリセルの個数と読み出し電流IREADの最小パルス幅との関係を示している。図25の横軸は、1本のビット線に接続されるメモリセルの個数を示し、図25の縦軸は、読み出し電流の最小パルス幅を示している。図25においては、1つのメモリセル(図16参照)のビット線の延在方向のサイズを、200nmと設定して、検証している。ここでは、図23において、あるパルス幅の範囲内で、特性線がカーブして飽和していれば、そのパルス幅を有する読み出し電流を用いて、正常にデータの読み出しが可能であるとした。
読み出し電流のパルス幅Tは、ビット線に接続されたメモリセルの個数に応じて、図25中の実線が示す値以下にする必要がある。
図25に示される傾向から、1本のビット線BLに接続されるメモリセル数が、5000個以下であれば、読み出し電流IREADのパルス幅TPを、8nsec以下にできる。
よって、メモリセルアレイの規模が大きいMRAMを構成した場合において、メモリセルの個数を考慮することで、読み出し電流のパルス幅Tを設定することができる。
したがって、本発明の実施形態によれば、読み出しディスターブを低減した磁気抵抗効果メモリを提供できる。
4.その他
本発明の例は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1:MTJ素子(磁気抵抗効果素子)、2,2A,2B:読み出し回路、Tr:選択トランジスタ、BL,bBL:ビット線、WL:ワード線、30:スイッチ(カラム制御スイッチ)。
本発明の実施形態の磁気抵抗効果メモリは、磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、を具備し、前記読み出し電流のパルス幅は、前記第2の磁性層の磁化を形成する前記第2の磁性層内の複数の磁性粒のスピンのそれぞれがランダムな位相で歳差運動を行っている状態から前記複数の磁性粒のスピンが共動してコヒーレントに歳差運動するまでの期間より短い。

Claims (4)

  1. 磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、
    を具備し、
    前記読み出し電流のパルス幅は、前記第2の磁性層内に含まれる磁化が、初期状態から共動してコヒーレントに歳差運動するまでの期間より短いことを特徴とする磁気抵抗効果メモリ。
  2. 磁化方向が不変な第1の磁性層と、磁化方向が可変な第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層の間に設けられた中間層とを有する磁気抵抗効果素子と、
    前記磁気抵抗効果素子にパルス形状の読み出し電流を流して、前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを判別する読み出し回路と、
    を具備し、
    前記読み出し電流の電流密度が、10nsecのパルス幅を有する書き込み電流を用いて前記磁気抵抗効果素子にデータを書き込んだ場合に前記磁気抵抗効果素子の磁化反転確率が0.5以下になる電流密度の0.9倍以下であり、かつ、前記読み出し電流のパルス幅が8nsec以下であることを特徴とする磁気抵抗効果メモリ。
  3. 前記読み出し回路は、
    前記磁気抵抗効果素子に記憶されたデータに対応する読み出し信号を増幅するセンスアンプと、
    前記センスアンプによって増幅された読み出し信号を保持するラッチ回路を具備し、
    前記ラッチ回路がオフされた後に、前記センスアンプが前記読み出し信号を増幅することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果メモリ。
  4. 前記磁気抵抗効果素子に前記読み出し電流を供給する前に、前記磁気抵抗効果素子と前記読み出し回路とを接続する配線を充電するプリチャージ回路を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果メモリ。
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