JP2012106331A - 非接触吸着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワーク表面と一定の間隙を介して対向する底面を有するとともに、その中央部に該底面に向けて拡開する開口部が形成された本体と、この開口部の内部に配設された中間部材とを有し、中間部材の底面が、開口部の底面より上方に位置して、開口部の内周面との間で全周にわたりスリットを形成する。このスリットを介して、開口部の内周面に沿い、その底面の外周縁の全周に向けて空気を噴出させ、コアンダ効果により、該外周縁の全周から本体の底面に沿って、外周に向かう高速空気流を形成して、中間部材の底面とワークの表面との間で形成される空間を、その全周にわたり包囲して、中間部材の底面を吸着面とする。
【選択図】図3
Description
そこで、こうした製造工程においては、吸着部がワークに直接接触することのない、非接触吸着装置を採用することが主流である。
なお、ベルヌーイ法のほか、吸着面の間に渦を作り、これにより、ワークとの間に負圧を発生させて吸着するボルテックス法も知られている。
これにより、本体dの底面には、テーパ部gの内周とスタッド部eの外周との間に隙間が形成され、テーパ部gの上方から、圧縮空気aを供給すると、圧縮空気aは、この隙間からワークcの外周に向けて噴出することになる。噴出された圧縮空気aは、本体dの底面とワークcの表面の間に高速空気流を形成し、ベルヌーイの原理で発生する負圧により、ワークcの非接触吸着を実現している。
さらに、テーパ部gの内周とスタッド部eの外周との間に隙間から、本体d底面の外周縁までの面積が、ベルヌーイの原理により発生する負圧による吸着面として作用することから、吸着面を確保するため、本体dを大型化せざるを得ず、小さなワークの吸着が困難である。
そこで、本発明は、このような課題を解決するため、コアンダ効果を活用し、吸着面の全周にわたり高速空気流を包囲することにより、効率的な吸着面を形成することを目的としている。
図2は、本発明の一実施例である非接触吸着装置の全体図を示し、本実施例では、本体1は略円筒形状をしており、上部部材1a、中央部材1b、下部部材1cの3つの部材からなり、これらが複数のボルト1dにより結合されて、本体1が構成される。
上部部材1a、中央部材1b、下部部材1cには、それぞれ空気供給通路が形成されており、これらがボルト1dで結合されることにより、上部部材1aの円筒状空間部から、軸方向に沿って大径円筒部、中央部材1bに形成された空気通路を経て、下部部材1cで円錐状に絞られ、さらに下部部材1cに形成された小径の円筒状空間部の下端から、本体1の底面に向けて略円錐状に拡開するテーパー状開口部2を備えている。なお、この実施例では、テーパー状開口部2は、平板状のワーク3の表面に対し水平な底面開口を形成する。
中間部材7の端部7a底面は、テーパー状開口部2の底面より上方に位置しており、その外周縁がテーパー状開口部2の内周面に対向している。なお、略円錐形状の端部底面7aも、テーパー状開口部2の底面開口と段差をもって、ワーク3に対し水平に位置し、後述するように、略円錐形状の端部7a底面がワーク3を保持する吸着面を構成することになる。
また、図5左側の図は、r/Rを横軸とした平均圧力(kPa)を示し、図5右側の図は、供給圧力Pr(MPa)を横軸とした吸着力F(N)を示している。
以上のように、実施例1によれば、空気圧縮ポンプの容量を小さくしても、中間部材7の端部7a底面に対応する部分を強力な負圧に高効率で維持し、無接触でワーク3を強力に吸着することができる。そして、ワーク3を吸着して所定位置に搬送して、吸着を解除して位置決めする際には、吸着力を空気圧縮ポンプを停止したり、パイプ4等に設けた遮断弁を作動させて、高速空気流を停止すればよい。
しかし、空気圧縮ポンプを停止しても、空気圧縮ポンプの慣性や、アキュムレータ5、パイプ4の影響により、空気流が実際に停止して、吸着力が減少するまでに相応の時間を要する。さらに、次工程で吸着を行うため、空気圧縮ポンプを再起動しても、吸着が可能となる高速空気流が発生するまでに所要の時間を要するため、高速のワーク搬送、位置決めが求められる半導体製造工程や液晶製造工程には適していない。また、遮断弁を作動させると、急激な圧力変動により、本体1の底面がワーク3の表面に接触して損傷を与えたり、機械的な衝撃が発生して、装置全体の耐久性を低下させたり、騒音発生の原因となる。
例えば、凹部1dの円筒面1eに小円筒部8aをスプライン結合し、小円筒部8a上方に形成した直線上のギヤと、モータ駆動されるギヤとを組み合わせ、小円筒部8aを直接上下動作させたり、電磁アクチュエータや、空気圧縮ポンプからの空気圧を利用した空気アクチュエータを周方向に等間隔に配置して、吸着位置、吸着解除位置に駆動するようにしてもよい。
要は、中間部材7の端部7a底面が、ワークの被吸着面との間に負圧となる吸着空間を形成し、その吸着面の外周がコアンダ効果による空気流により隙間なく、全周にわたり包囲されていれば、吸着面の形状にかかわらず、中間部材7の下方に強力な吸着面を形成することができる。
(1)空気圧縮ポンプから供給される空気圧、空気量。
(2)中間部材の端部外側面と、テーパー状開口部の内周面との間に形成される空間形状と、ワーク外周方向とでなす傾斜角度。
(3)中間部材の端部底面の外縁とテーパー状開口部の内周面との間に形成されるスリットの形状及びその隙間の大きさ。
(4)テーパー状開口部に対する中間部材の端部底面との段差の大きさ、すなわち、中間部材の底面下方に形成される吸着空間の高さ。
(5)本体1のテーパー状開口部の底面外縁から外方に向けて形成されるワーク表面との空間形状。
以上(1)〜(5)を、ワークの形態や重量に応じて、最適に設計すれば、どのようなワークに対しても、コンパクトで強力な吸着力を発揮する非接触吸着装置を実現することができる。
2 テーパ状開口部
3 ワーク
4 パイプ
5 アキュムレータ
6 空気圧縮ポンプ
7 中間部材
8 吸着解除装置
Claims (3)
- ワーク表面と一定の間隙を介して対向する底面を有するとともに、その中央部に該底面に向けて拡開する開口部が形成された本体と、
前記開口部の内部に配設された中間部材とを有し、
該中間部材の端部底面の外周縁が、前記開口部の底面側外周縁より上方に位置して、前記開口部の内周面との間で全周にわたりスリットを形成し、
前記開口部の上方から空気圧縮ポンプを介して供給された空気を、前記スリットを介して、前記開口部の内周面に沿い、その底面側外周縁全周に向けて噴出させ、
コアンダ効果により、該底面側外周縁全周から前記本体の底面に沿って、外周に向かう高速空気流を形成して、前記中間部材の端部底面と前記ワークの表面との間で形成される空間を、その全周にわたり包囲することにより、該空間を負圧に維持し、前記中間部材の端部底面と前記ワークとの間に吸着空間を形成したことを特徴とする非接触吸着装置。 - 前記中間部材の外周面を、該中間部材の底面外縁が、前記開口部の内周面に徐々に近接するようにして、前記スリットに向けて空気通路を絞り、前記開口部の内周面に向けて高速の空気流を吹き付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の非接触吸着装置。
- 前記本体に、前記開口部の底面側外周縁から底面に沿って外周に向かう高速空気流の噴出方向を変化させ、前記吸着空間の負圧を低減させて、前記ワークの吸着を解除する吸着解除装置を配設したことを特徴とする請求項1または2記載の非接触吸着装置。
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