JP2012106231A - 分離回収装置および分離回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る分離回収装置は、複合2材が収容される第1のケース11と、第1のケース11が収容される第2のケース12と、第2のケース12が収容される分離槽10と、分離層10内の複合材2を加熱する一または複数の加熱手段と、を備え、第1のケース11は、少なくとも底部に、前記加熱手段の加熱によって融解した熱可塑性樹脂材料が通過可能な貫通孔11aが設けられ、第2のケース12は、融解した熱可塑性樹脂材料を貯留可能な貯留部13が設けられ、分離槽10は、第2のケース12を支持して回転させる回転体15が設けられ、複合材2が前記加熱手段によって加熱された状態でもしくは加熱された後、回転体15によって第2のケース12が回転される。
【選択図】図1
Description
その一方で、環境問題、省エネ、省資源、リサイクル、CO2排出削減が世界的課題として大きく取り上げられるようになった現在、複合材を廃棄する場合の機械的処理方法を確立することが重要な課題となっている。
(1)刃物あるいは加熱手段を用いて人手により分離・回収する方法(2)産業廃棄物として埋め立て処理をする方法(3)焼却が許可された施設において焼却処理をする方法が挙げられる。
具体的には、(1)インサート・アウトサート成形品の金型の立ち上げは、金型と同時に試作用の金属部品が必要となるが、形状が決定して量産に至るまでは当該金属部品は試作毎に手作りとなる。したがって、金属部品が分離できなければ再利用ができないため、試作を繰り返す中での費用・時間の損失が多大なものとなってしまう。(2)量産開始後においても、大量の成形品に成形不良が発生した場合に、金属部品が分離できなければ再利用ができないため、特に高価な金属等を用いる製品になる程、費用の損失が多大なものとなってしまう。(3)上記の(1)、(2)の理由によって、機能面・加工性に劣っていても、低コストの金属材料を採用せざるを得ない場合が多く生じている。
ここで、マテリアルリサイクルシステムに用いられる複合材の処理装置の一例として、特許文献1記載の処理装置100が提案されている(図5参照)。この処理装置100は、過熱蒸気を熱源として熱可塑性プラスチックと金属からなる複合材の廃棄物を酸素の不存在下で加熱する乾留炉101と、乾留炉101で生じた分解ガスを燃焼する燃焼炉111とを備え、燃焼炉111の加熱手段として電気ヒータ142が設けられ、燃焼炉111に、炉内の熱伝達を向上させる炭化けい素充填層143が設けられている。これによれば、複合材を構成する有価金属と熱可塑性プラスチックを分離し、これらをそれぞれ再利用できる形態で回収することができるというものである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る分離回収装置1の例を示す正面断面図(概略図)である(部分的に断面図として図示している)。
この分離回収装置1は、熱可塑性樹脂材料と金属材料とを用いて形成された複合材2から、該熱可塑性樹脂材料と該金属材料とを分離して回収する装置である。当該複合材2として想定されるものは、自動車、家電等の製品・部品として製造・使用されて廃棄されたもの、あるいはそれらの製品・部品の試作品として製造されたもの等である。
複合材2を構成する熱可塑性樹脂材料および金属材料は、いずれも材料が限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂材料として、POM(ポリアセタール樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、ABS(共重合合成樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)等が挙げられる。
これによれば、複合材2に対して噴射ノズル21から高温気体Hを噴射することによって、当該複合材2を形成している熱可塑性樹脂材料を融解させて分離させることができる。
なお、形成材料は、ステンレス合金に限定されるものではない。また、メッシュ状材料に代えて、パンチング等により加工された材料を用いてもよい。
なお、第1のケース11は、上記の三種類に限定されるものではなく、複合材2を構成している金属材料の大きさに応じて複数種類用意しておくことが好適である。より具体的には、極小小物用として網目が相対的に極めて小さなケース、一例として、注射針が通過しない網目の大きさに形成されたメッシュ状ケースを用意すれば、廃棄方法が課題となっている注射器を注射針と樹脂とに分離してそれぞれ回収することが可能となる。また、加熱手段により加熱を行っていることから、殺菌作用を得ることもできるため、非常に取扱いが安全・容易となる効果も得られる。
これによれば、第2のケース12を回転させることができ、その結果、第1のケース11および収容された複合材2を回転させることができる。したがって複合材2を回転させながら、当該複合材2に対して高温気体Hを噴射することができる。その結果、複合材2から、融解した熱可塑性樹脂材料を遠心分離作用によって、分離させることができ、分離効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、回転速度が可変であることによって、複合材2の形状、形成材料(すなわち熱可塑性樹脂材料)の種類等に応じて、熱可塑性樹脂材料の融解作用を最適化することが可能となる。
なお、回転体はターンテーブルに限定されるものではなく、例えば、上方からの吊下げ式回転機構等を用いることも考えられる(不図示)。
また、発生した過熱水蒸気を圧送する手段についても種々の公知技術を用いることができるため、説明を省略する。
ここで、噴射ノズル21は、噴射角度が可変に構成されている(角度可変機構については図示省略)。これによれば、複合材2の形状、形成材料(すなわち熱可塑性樹脂材料)の種類等に応じて、熱可塑性樹脂材料の融解作用を最適化することが可能となる。
これによれば、複合材2を加熱することが可能となる。すなわち、金属材料を電磁誘導加熱することで周囲の熱可塑性樹脂材料も加熱することができるため、噴射された過熱水蒸気が複合材2に触れて水滴化してしまう現象を防止でき、熱可塑性樹脂材料の融解を省エネルギーで且つ効率的に行うことが可能となる。
また、熱可塑性樹脂材料の種類によって、融解時に発生するガスは高熱のヒータに触れると発火するおそれがあるが、上記構成によれば、槽内にヒータ等の熱源を直接設ける必要がないため、ガスがヒータに触れて発火することが防止できる。
なお、誘導コイル14と共に他の加熱手段を併設する構造も考えられる。
先ず、収容工程を実施する。具体的には、第2のケース12内に、第1のケース11を収容して、当該第1のケース11内に、熱可塑性樹脂材料と金属材料とを用いて形成された複合材2を収容する。もちろん、先に第1のケース11内に複合材2を収容してから、当該第1のケース11を第2のケース12内に収容しても構わない。
これによれば、金属材料が電磁誘導加熱されることで、金属材料の周囲の熱可塑性樹脂材料に伝熱が行なわれて加熱される効果が生じる。
これによれば、過熱水蒸気Hを噴射することによって、複合材2を形成している熱可塑性樹脂材料を融解させることができる。一方、金属材料は熱可塑性樹脂材料よりも融点が高いため、融解することなく、第1のケース11内に残留する。
このとき、上記工程により熱可塑性樹脂材料が加熱された状態となっているため、噴射された過熱水蒸気が熱可塑性樹脂材料に触れて水滴化してしまう現象が防止できる。
また、遠心分離作用によって、融解した熱可塑性樹脂材料を複合材2から分離させることができ、分離効率を大幅に向上させることが可能となる。
ここで、本実施形態では、第1のケース11が、ステンレス合金からなるメッシュ状材料を用いて形成されている。これによれば、収容された複合材2から融解した熱可塑性樹脂材料がメッシュ状の隙間(前記貫通孔11aに相当)を通過して、底部のみならず側面からも外部へ(第2のケース12へ)向けて流出することが可能となる。
このようにして、熱可塑性樹脂材料と金属材料とを用いて形成された複合材2から、熱可塑性樹脂材料と金属材料とを分離することができる。さらに、分離された熱可塑性樹脂材料は第2のケース12の貯留部13から回収することができ、また、金属材料は第1のケース11から回収することができる(詳細は後述)。
このように、第1のケース11が第2のケース12に対して着脱自在であり、且つ、第2のケース12が分離槽10に対して着脱自在である構成によって、熱可塑性樹脂材料の分離作業が終了した時点で、即、未処理の別の複合材2に対して処理を開始することができるため、連続処理が可能となり、作業時間を短縮して、作業効率を高めることが可能となる。
ここで、本実施形態では、貯留部13としての複数の凹状部13aが設けられており、融解した熱可塑性樹脂材料を小分けに個片化した状態で冷却・固化させることができるため、取り出しが非常に容易となる効果が得られる。このようにして、熱可塑性樹脂材料および金属材料をそれぞれ回収することができる。
また、融解する温度(融点)が相対的に高温である熱可塑性樹脂材料の分離回収を行うためには当該高温で加熱を行う必要があるが、その際に、融解する温度(融点)が相対的に低温である熱可塑性樹脂材料の構成分子が分解されてしまうという課題を解決することが可能となる。
続いて、本発明の第二の実施形態に係る分離回収装置1について説明する。第二の実施形態に係る分離回収装置1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成および分離・回収作用については同様であるが、特に複合材2を加熱する加熱手段において相違点を有する。図2に第二の実施形態に係る分離回収装置1の例を示す。
なお、槽加熱ヒータ16は、前述の誘導コイル14、後述の気体加熱ヒータ18等の他の加熱手段と併設してもよい。
続いて、本発明の第三の実施形態に係る分離回収装置1について説明する。第三の実施形態に係る分離回収装置1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成および分離・回収作用については同様であるが、特に複合材2を加熱する加熱手段において相違点を有する。図3に第三の実施形態に係る分離回収装置1の例を示す。
なお、気体加熱ヒータ18は、前述の誘導コイル14、槽加熱ヒータ16等の他の加熱手段と併設してもよい。
続いて、本発明の第四の実施形態に係る分離回収装置1について説明する。第四の実施形態に係る分離回収装置1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成および分離・回収作用については同様であるが、特に複合材2を加熱する加熱手段において相違点を有する。図4に第四の実施形態に係る分離回収装置1の例を示す。
これに対し、本実施形態は、加熱手段として、分離層10内(第1のケース11内)の複合材2の金属材料を電磁誘導加熱によって加熱させる誘導コイル14が設けられている一方、噴射ノズル21および高温気体発生手段20は設けられていない構成であることを特徴とする。なお、誘導コイル14は、前述の槽加熱ヒータ16、気体加熱ヒータ18等の他の加熱手段と併設してもよい。また、図示しないが、分離層10内の換気や圧力調整を行う機構を設けてもよい。
特に、複数種類の熱可塑性樹脂材料が金属材料と結合している複合材において、それぞれの熱可塑性樹脂材料毎に、もしくは、融解する温度(融点)が一定の温度領域内にある複数の熱可塑性樹脂材料毎に、複合材から分離させて回収することが可能となる。
2 複合材
3 駆動手段
10 分離層
11 第1のケース
12 第2のケース
13 貯留部
14 誘導コイル
15 回転体(ターンテーブル)
16 槽加熱ヒータ
17 気体循環路
18 気体加熱ヒータ
20 高温気体発生手段
21 噴射ノズル
22 キャスター
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂材料と金属材料とを用いて形成された複合材から、該熱可塑性樹脂材料と該金属材料とを分離して回収する分離回収装置であって、
前記複合材が収容される第1のケースと、
前記第1のケースが着脱自在に収容される第2のケースと、
前記第2のケースが着脱自在に収容される分離槽と、
前記分離層内の前記複合材を加熱する一または複数の加熱手段と、を備え、
前記第1のケースは、少なくとも底部に、前記加熱手段の加熱によって融解した熱可塑性樹脂材料が通過可能な貫通孔が設けられ、
前記第2のケースは、前記貫通孔を通過して流出した前記融解した熱可塑性樹脂材料を貯留可能な貯留部が設けられ、
前記分離槽は、前記第2のケースを支持して回転させる回転体が設けられ、
前記複合材が前記加熱手段によって加熱された状態でもしくは加熱された後、前記回転体によって前記第2のケースが回転されること
を特徴とする分離回収装置。 - 前記加熱手段の一つとして、前記分離槽には内部に収容される前記複合材の前記金属材料を電磁誘導加熱によって加熱させる誘導コイルが設けられていること、
を特徴とする請求項1記載の分離回収装置。 - 前記加熱手段の一つとして、前記分離層内の前記複合材に向けて高温気体を噴射する噴射ノズルと、前記高温気体を発生させると共に前記噴射ノズルに向けて圧送する高温気体発生手段と、を有し、
前記分離槽は、開閉可能な蓋部、および噴射された前記高温気体を排気する排気口が設けられていること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の分離回収装置。 - 前記噴射ノズルは、噴射角度が可変であり、且つ、前記回転体は、回転速度が可変であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の分離回収装置。 - 前記第2のケースは、一端側が開口する筒状に形成されており、内底部に前記貯留部としての複数の凹状部が設けられていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の分離回収装置。 - 前記第1のケースは、ステンレス合金からなるメッシュ状材料を用いて、一端側が開口する筒状に形成されていること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の分離回収装置。 - 前記第1のケースとして、前記メッシュ状材料の網目の大きさが異なる複数種類のケースを択一的に用いること
を特徴とする請求項6記載の分離回収装置。 - 前記加熱手段の一つとして、前記分離槽には周壁部を加熱させることによって内部の温度を上昇させる槽加熱ヒータが設けられていること
を特徴とする請求項1記載の分離回収装置。 - 前記加熱手段の一つとして、前記排気口から排気された前記高温気体を再加熱する気体加熱ヒータと、前記再加熱された高温気体を再度、前記分離槽内へ導入させる気体循環路と、を有すること
を特徴とする請求項1記載の分離回収装置。 - 前記高温気体は、過熱水蒸気もしくは加熱不活性ガスであること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の分離回収装置。 - 請求項1〜10のいずれか一項記載の分離回収装置を使用して、熱可塑性樹脂材料と金属材料とを用いて形成された複合材から、該熱可塑性樹脂材料と該金属材料とを分離して回収する分離回収方法であって、
前記第1のケースおよび収容された前記複合材を前記第2のケースに収容したうえで前記分離層内に収容して、前記加熱手段によって前記複合材を250〜260℃程度で加熱して、前記回転体によって前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を回転させた後、前記分離層から前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を取り出す第1分離回収工程と、
前記第1分離工程の後、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を別の第2のケースに収容したうえで前記分離層内に収容して、前記加熱手段によって前記複合材を300℃程度で加熱して、前記回転体によって前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を回転させた後、前記分離層から前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を取り出す第2分離回収工程と、
前記第2分離工程の後、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を別の第2のケースに収容したうえで前記分離層内に収容して、前記加熱手段によって前記複合材を350℃程度で加熱して、前記回転体によって前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を回転させた後、前記分離層から前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を取り出す第3分離回収工程と、
前記第3分離工程の後、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を別の第2のケースに収容したうえで前記分離層内に収容して、前記加熱手段によって前記複合材を450〜500℃程度で加熱して、前記回転体によって前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を回転させた後、前記分離層から前記第2のケース、前記第1のケースおよび収容された前記複合材を取り出す第4分離回収工程と、を備えること
を特徴とする分離回収方法。
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