JP2012104409A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池スタックと、エア供給管を開閉する上流バルブと、エア排出管を開閉する下流バルブと、上流バルブおよび下流バルブを同時に駆動する単一のバルブ駆動装置と、このバルブ駆動装置でバルブ開度θを所定の調圧領域内で調整することにより、カソード極におけるエアの圧力を制御する制御装置と、を備える。バルブ開度θが上記調圧領域内で調整されているとき、上流バルブによりエア供給管内に形成されるエアの流路断面積は、バルブ開度θによらず、発電中の燃料電池システムに許容される範囲内に定められた所定の大きさに保たれ、また、上流バルブでエア供給管が全閉されたとき、エア排出管は下流バルブで全閉される。
【選択図】図5
Description
燃料電池システムでは、燃料電池スタックのアノード極に燃料ガスを供給し、カソード極に酸化剤ガスを供給し、電気化学反応により発電させる。この発電時に生成されるのは、基本的に無害な水だけであるため、環境への影響や利用効率の観点から、自動車の新たな動力源として燃料電池システムが注目されている。
また、酸化剤極における酸化剤ガスの圧力を制御するべく第2のバルブの開度を調圧領域内で調整しているとき、第1のバルブにより酸化剤ガス供給管内に形成される酸化剤ガスの流路の断面積は、上記第2のバルブと同時に駆動される第1のバルブの開度によらず、発電中の燃料電池システムに許容される範囲内に定められた所定の大きさに保たれるようにした。ここで調圧領域とは、第2のバルブの開度と酸化剤ガス排出管内の酸化剤ガスの流れ抵抗との間に概ねリニアな関係がある第2のバルブの開度の範囲であって、酸化剤極内の酸化剤ガスの圧力を精度良く制御するのに適した領域である。また、酸化剤ガス供給管を介して酸化剤ガスを供給する際、第1のバルブにより大きな圧損が生じてしまうと、酸化剤極における酸化剤ガスの圧力を効率的に制御することが困難となる。このため、燃料電池スタックによる発電中の燃料電池システムについて、酸化剤ガス供給管内における酸化剤ガスの流路の断面積に対し上述のような許容範囲が設定される。
したがって、単一の駆動手段で第1、第2のバルブを同時に駆動し第2のバルブを調圧領域内で調整することにより、酸化剤ガス供給管内における酸化剤ガスの流路の断面積を上記許容範囲内に定められた所定の大きさに保ち、酸化剤極の上流側の圧損を最小限にしながら、酸化剤極の下流側の酸化剤ガスの流れ抵抗を調整することができるので、酸化剤極内における酸化剤ガスの圧力を精度良く制御することができる。
以上のように、本発明によれば、2つのバルブおよびこれらを同時に駆動する単一の駆動手段のみにより、発電停止中に酸化剤極を封止する封止機能と、発電中に酸化剤極内の酸化剤ガスの圧力を制御する調圧機能とを併せ持つ燃料電池システムを構成することができる。したがって、従来と比較して部品点数を低減、ひいては重量およびコストを低減することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に燃料電池システム1の概略構成を示すブロック図である。
燃料電池システム1は、反応ガスを反応させて発電を行う燃料電池スタック10と、この燃料電池スタック10に燃料ガスとしての水素ガスや酸化剤ガスとしてのエア(空気)を供給および排出する供給装置20と、これら燃料電池スタック10および供給装置20などを制御する制御装置50と、を有する。燃料電池スタック10は、燃料極としてのアノード極(陰極)に水素ガスが供給され、酸化剤極としてのカソード極(陽極)に酸素を含むエアが供給されると、電気化学反応により発電する。この燃料電池システム1は、例えば、燃料電池スタック10で発電した電力を動力源として走行する燃料電池車両に搭載される。
カソードバルブシステム3は、エア供給管21を開閉する上流バルブ31と、エア排出管22を開閉する下流バルブ32と、これらバルブ31,32を同時に駆動する単一の駆動手段としてのバルブ駆動装置33と、を含んで構成される。
図4は、シャフト331に対し略垂直な面に沿った下流バルブ収容部221および下流バルブ32の断面図である。図4において、右方が燃料電池スタック側すなわちエアの上流側を示し、左方が下流側を示す。
なお、これら図3および図4には、シャフト331を時計周りに回転し、バルブ開度θを変えたときにおける上流バルブ31の断面図を、(a)、(b)、(c)として示す。より具体的には、図3の(a)および図4の(a)はバルブ開度θを0deg.としたときの断面を示し、図3の(b)および図4の(b)はバルブ開度θを90deg.としたときの断面を示し、図3の(c)および図4の(c)はバルブ開度θを150deg.としたときの断面を示す。
特に、バルブ開度θが90deg.から180deg.の範囲内にあるとき、エア排出管22内の流路断面積はバルブ開度θに比例して大きくなる。すなわち、0deg.から180deg.までの下流バルブの可動範囲内のうち、上記90deg.から180deg.の範囲は、バルブ開度θとエア排出管内の流れ抵抗との間に概ねリニアな関係があるため、カソード極内のエアの圧力を制御するための調圧領域として利用するのに適している。
また、バルブ開度θが上記90deg.から180deg.の範囲内にある間、エア供給管内の流路断面積はバルブ開度θによらず最大値で略一定に保たれるため、したがって上流バルブにおける圧損は最小となる。
したがって、90deg.から180deg.を調圧領域とし、バルブ開度θをこの調圧領域内で調整することにより、カソード極の上流側の圧損を最小限にしながら、カソード極の下流側のエアの流れ抵抗を調整することができるので、カソード極内におけるエアの圧力を精度良く制御することができる。
また、燃料電池スタック10による発電を停止している間、制御装置50は、エア供給管21およびエア排出管22を介してカソード極内にエアが流入し、燃料電池スタック10が劣化するのを防止するため、カソードバルブシステム3によりア供給管21およびエア排出管22を全閉し、カソード極を封止する。より具体的には、バルブ駆動装置33でバルブ開度θを0deg.に調整することにより、カソード極を封止する。
(1)本実施形態によれば、単一のバルブ駆動装置33で上流バルブ31および下流バルブ32を同時に駆動し、エア供給管21およびエア排出管22を全閉し、燃料電池スタック10のカソード極を封止することができる。また、単一のバルブ駆動装置33で上流バルブ31および下流バルブ32を同時に駆動し下流バルブ32を調圧領域内で調整することにより、エア供給管21内におけるエアの流路断面積をその最大値で略一定に保ち、カソード極の上流側の圧損を最小限にしながら、カソード極の下流側のエアの流れ抵抗を調整することができるので、カソード極内におけるエアの圧力を精度良く制御することができる。
以上のように、本実施形態によれば、2つのバルブ31,32およびこれらを同時に駆動する単一のバルブ駆動装置33のみにより、発電停止中にカソード極を封止する封止機能と、発電中にカソード極内のエアの圧力を制御する調圧機能とを併せ持つ燃料電池システム1を構成することができる。したがって、従来と比較して部品点数を低減、ひいては重量およびコストを低減することができる。
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上流バルブ収容部211Aのうちエアの上流側である流入部216A側には、ディスク311の外径よりも十分に大きな隙間部217Aが形成されている。したがって、バルブ開度θが90deg.から180deg.の範囲内にあり、ディスク311が隙間部217A内にある間、ディスク311と上流バルブ収容部211Aとの間にはバルブ開度θによらず常に十分な隙間があるため、エアの流路断面積の大きさはバルブ開度θによらずその最大値で略一定に保たれる。
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果がある。
以下、本発明の第3実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上流バルブ収容部211Bのうちエアの上流側である流入部216B側には、ディスク311の外径よりも十分に大きな隙間部217Bが形成されている。したがって、バルブ開度θが90deg.から180deg.の範囲内にあり、ディスク311が隙間部217B内にある間、ディスク311と上流バルブ収容部211Bとの間にはバルブ開度θによらず常に十分な隙間があるため、エアの流路断面積の大きさはバルブ開度θによらずその最大値で略一定に保たれる。
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果がある。
例えば、上記実施形態では、上流、下流バルブとして、シャフトが貫通する貫通孔がディスクの中心から一端面側へオフセットして形成された1軸偏心のバタフライバルブを用いたが、上流、下流バルブの種類はこれに限るものではない。これら上流、下流バルブには、図8に示すように、シャフト331の貫通孔323Cが、ディスク321Cの中心軸aから間隔εだけオフセットして形成された、いわゆる2軸偏心のバタフライバルブ32Cを用いてもよい。この他、上流、下流バルブには、ディスクに対しシャフトが偏心していないバタフライバルブや、球状の弁体を備えるボールバルブなどを用いてもよい。
10…燃料電池スタック
21…エア供給管(酸化剤ガス供給管)
211,211A,211B…上流バルブ収容部
22…エア排出管(酸化剤ガス排出管)
221…下流バルブ収容部
3…カソードバルブシステム
31…上流バルブ(第1のバルブ)
32…下流バルブ(第2のバルブ)
33…バルブ駆動装置(駆動装置)
50…制御装置(制御手段)
Claims (1)
- 燃料ガスの供給を受ける燃料極および酸化剤ガスの供給を受ける酸化剤極を備えた燃料電池スタックと、
前記酸化剤極に供給される酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス供給管と、
前記酸化剤極から排出される酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス排出管と、
前記酸化剤ガス供給管を開閉する第1のバルブと、
前記酸化剤ガス排出管を開閉する第2のバルブと、を備えた燃料電池システムであって、
前記第1のバルブおよび第2のバルブを同時に駆動する単一の駆動手段と、
前記駆動手段で前記第2のバルブの開度を所定の調圧領域内で調整することにより、前記酸化剤極における酸化剤ガスの圧力を制御する制御手段と、を備え、
前記第2のバルブの開度が前記調圧領域内で調整されているとき、前記第1のバルブにより前記酸化剤ガス供給管内に形成される酸化剤ガスの流路の断面積は、前記第1のバルブの開度によらず、前記燃料電池スタックによる発電中の燃料電池システムに許容される範囲内に定められた所定の大きさに保たれ、かつ、前記第1のバルブで前記酸化剤ガス供給管が全閉されたとき、前記酸化剤ガス排出管は前記第2のバルブで全閉されることを特徴とする燃料電池システム。
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