以下、本実施形態の給湯機1について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の給湯機1は、蓄熱タンクユニット2,ヒートポンプユニット(加熱手段)3を含んで構成されている。
蓄熱タンクユニット2は、蓄熱タンク10,一般給湯回路20,浴槽給湯回路30,給湯用加熱回路40,給湯熱交換器(給湯用熱交換器)50,浴槽水循環回路60,追焚き熱交換器(浴槽用熱交換器)70,熱媒体導入回路80,逃し弁90,コントローラ100などで構成されている。
ヒートポンプユニット3は、図示していないが、例えば、冷媒(例えば、二酸化炭素)を圧縮して高温・高圧にするコンプレッサと、コンプレッサからの冷媒を凝縮させるとともに蓄熱タンク10からの水を熱交換することによって加熱するコンデンサと、コンデンサからの冷媒を膨張させる膨張弁と、大気中の熱を吸熱して膨張した冷媒を蒸発させるエバポレータと、を備えて構成されている。
また、ヒートポンプユニット3は、その熱媒体入口がヒートポンプ往き管4を介して蓄熱タンク10の下部と接続され、熱媒体出口がヒートポンプ戻り管5を介して蓄熱タンク10の上部に接続されている。なお、図示していないが、例えばヒートポンプユニット3側には、蓄熱タンク10とヒートポンプユニット3との間において蓄熱タンク10内の熱媒体を循環させる循環ポンプが設けられている。
また、ヒートポンプ往き管4の途中には、配管6を介してヒートポンプ戻り管5が接続され、ヒートポンプ往き管4と配管6との接続部に三方弁7が設けられている。コントローラ100によって、蓄熱タンクユニット2の外部に位置するヒートポンプ往き管4およびヒートポンプ戻り管5が凍結するおそれがあると判断されたときには、三方弁7を切り換えるとともにヒートポンプユニット3および循環ポンプ(不図示)を作動させて、ヒートポンプユニット3で温められた冷媒をヒートポンプ戻り管5,配管6,ヒートポンプ往き管4を流れるように循環させる。これにより、蓄熱タンクユニット2の外側の外気に曝されている配管の凍結を防止できるようになっている。
なお、蓄熱タンク10内の湯水を加熱するための熱源ユニットとしてヒートポンプユニット3を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば電気ヒータによるものであってもよい。
蓄熱タンク10は、熱媒体として湯水を溜める密閉式のタンクであり、縦長の円筒形状を呈している。また、蓄熱タンク10は、保温性能向上のため、その周囲が発泡スチロールなどの断熱材などで覆われている。
また、蓄熱タンク10には、異なる高さ位置での熱媒体(湯水)の温度を検知する複数のタンク温度センサ11〜15が設けられている。具体的には、蓄熱タンク10には、上部から下部にかけて5つのタンク温度センサ11〜15が設けられている。これにより、コントローラ100によって、蓄熱タンク10内の湯水の温度分布を把握できるようになっている。
一般給湯回路20は、一般給湯端末Aに湯を供給する流路であり、給水管(給水回路)21と給湯管22とで構成されている。
給水管21は、上流端が給水源に接続され、下流端が後記する給湯熱交換器50の二次側の給水の入口51aに接続されている。
なお、給水管21が接続される給水源としては、水道に限定されるものではなく、井戸水(地下水),温泉,河川などを挙げることができる。給水源としては、水道を使用したときの給水の種類は水道水であり、地下水を使用したときの給水の種類は井戸水(地下水)であり、温泉を使用したときの給水の種類は温泉水(温度の低いもの)であり、河川を使用したときの給水の種類は河川水である。特に、本実施形態に係る給湯機1は、硬度成分の少ない水道水(軟水)のみに適用されるものではなく、硬度成分を多く含む水道水や井戸水(高硬度水)にも適用することが可能なものである。すなわち、本実施形態に係る給湯機1は、軟水であるか高硬度水であるかにかかわらず、幅広い種類の給水に対応することができる。
給湯管22は、上流端が給湯熱交換器50の二次側の給湯の出口51bに接続され、下流端が各種の一般給湯端末Aに接続されている。また、給湯管22には、上流側から順に、流量センサ23,アキュムレータ24が設けられている。なお、一般給湯端末Aとは、台所,洗面所,風呂場などの蛇口やシャワー等であり、供給された湯を一度利用して完了するような利用形態のものを意味している。
流量センサ23は、給湯管22を流れる湯の流量(一般給湯端末Aに供給される湯の流量)を検出するものであり、検出される流量に合わせて後記する給湯循環ポンプ44のモータの回転速度を調整する。例えば、給湯温度が40℃に設定されているのであれば、40℃になるように給湯循環ポンプ44の回転速度を調整して給湯する。
アキュムレータ24は、蛇口やシャワーなどから出湯したときに、湯をなましてから(湯の温度を下げてから)出湯させるバッファとしての機能を有している。
また、給水管21には、給湯熱交換器50の上流側に給水温度センサ25が設けられ、給湯管22には、給湯温度センサ26が設けられている。給水温度センサ25は、給湯熱交換器50に導入される前の給水の温度を検知するものである。給湯温度センサ26は、給湯熱交換器50から放出される給湯の温度を検知するものである。
浴槽給湯回路30は、浴槽Bに湯を供給する流路であり、給水管21と、風呂注湯管31〜35と、風呂戻り管61とで構成されている。ところで、前記一般給湯回路と浴槽給湯回路とは、上流側の一部を共用し、且つ、下流側を分岐させて設けられる。具体的には、浴槽給湯回路30の給水管21は、一般給湯回路20の給水管21と共有の配管となっている。また、風呂注湯管31は、給湯管22の一部と共有の配管となっており、分岐部Sを介して一般給湯端末A,浴槽Bに延びている。また、風呂戻り管61は、後記する浴槽水循環回路60の共有の配管となっている。
前記浴槽給湯回路30には、電磁弁37と流量調整弁36とが直列に配置される。具体的には、前記流量調整弁36は、一般給湯回路と浴槽給湯回路との分岐部Sよりも下流側に配置されている。同様に、電磁弁37も分岐部Sよりも下流側に配置されている。このようにすることにより、一般給湯端末へ給湯している場合であっても、浴槽への給湯量のみを選択的に絞ることが可能となる。より具体的には、風呂注湯管31には、上流側から順に、流量調整弁36,風呂注湯管32,電磁弁37,風呂注湯管33,風呂循環ポンプ38,風呂注湯管34,循環調整弁(流量調整弁)39,風呂注湯管35を介して浴槽Bに接続されている。また、風呂注湯管33には、流量センサ33aが設けられている。
流量調整弁36は、風呂注湯管31〜35に流れる湯の流量を調整するものである。流量調整弁36は、コントローラ100からの指令によって開度調整される。例えば、一般給湯を使用せず浴槽給湯のみ(湯張りのみ)の場合には、流量が最大になるように流量調整弁36を調整し、また浴槽給湯時に一般給湯を使用する場合には、風呂注湯管31〜35の流量が少なくなるようにまたは流量がゼロになるように流量調整弁36を調整する。
電磁弁37は、電磁作動式の遮断弁であり、コントローラ100からの指令によって開閉制御される。電磁弁37を閉じることにより、浴槽Bへの給湯が遮断される。なお、電磁弁37には、浴槽水が一般給湯回路20に逆流しないように逆流防止機能(逆止弁など)を備えている。
風呂循環ポンプ38は、追焚きモード時に駆動されるものであり、浴槽Bに張られた浴槽水を後記する浴槽用熱交換器70との間で循環させる機能を有している。
循環調整弁39は、風呂注湯管34から風呂注湯管35への流量、風呂注湯管34から後記する浴槽水循環回路60の追焚き熱交換器往き管62への流量を調整することができる機能を有する流量調整弁である。
流量センサ33aは、風呂注湯管33を流れる湯の流量(浴槽Bに供給される湯の流量)を検出するものであり、検出される流量に合わせて後記する給湯循環ポンプ44のモータの回転速度を調整する。
なお、前記給湯温度センサ26は、分岐部Sの上流側に位置しており、一般給湯モード時と浴槽給湯モード時の給湯温度をそれぞれ検出する共有の温度センサとなっている。
給湯用加熱回路40は、蓄熱タンク10に貯留された熱媒体(湯水)を取り出して蓄熱タンク10に戻すものであり、給湯熱交換器往き管41と、給湯熱交換器戻り管42,43と、給湯循環ポンプ44とで構成されている。
給湯熱交換器往き管41は、蓄熱タンク10内の熱媒体(湯水)を給湯熱交換器50に供給する流路であり、上流端が蓄熱タンク10の上部に接続され、下流端が給湯熱交換器50の一次側の入口51cに接続されている。
給湯熱交換器戻り管42は、上流端が給湯熱交換器50の一次側の出口51dに接続され、下流端が給湯循環ポンプ44の入口に接続されている。
給湯熱交換器戻り管43は、上流端が給湯循環ポンプ44の出口(吐出口)に接続され、下流端が蓄熱タンク10の下部に接続されている。
給湯循環ポンプ44は、コントローラ100により駆動されることによって、蓄熱タンク10内の上部から熱媒体(湯水,高温水)を取り出し、蓄熱タンク10の下部に戻すようにして循環させるようになっている。
また、給湯循環ポンプ44は、コントローラ100によって図示しないモータの回転速度が制御されることにより、給湯熱交換器50における二次側の給水への熱伝達率を変化させて、一般給湯モード時の給湯温度および浴槽給湯モード時の給湯温度などを調整するようになっている。換言すると、本実施形態では、給湯熱交換器50によって熱交換された後の給湯(湯)について、給水と混合させて所望の給湯温度(湯)にするような混合弁を備えることはせず、蓄熱タンク10から出た湯は、全量蓄熱タンク10に戻すようになっている。
給湯熱交換器50は、給水管21から供給される水を、蓄熱タンク10の上部から取り出した熱媒体(湯水)と熱交換させて、水を加熱するようになっている。生成された給湯は、給湯管22を介して一般給湯に使用され、また風呂注湯管31〜35,風呂戻り管61を介して浴槽給湯に使用される。
また、給湯熱交換器50は、給水管21,給湯管22(風呂注湯管31),給湯熱交換器往き管41および給湯熱交換器戻り管42との間において着脱自在に構成されている。つまり、仮に給湯熱交換器50の交換が必要になったときには、蓄熱タンクユニット2から給湯熱交換器50のみを取り外すことができるようになっている。なお、給湯熱交換器50の着脱機構については後記する。
このように、本実施形態では、給湯用加熱回路40が閉回路によって構成されているので、一般給湯端末Aおよび浴槽Bに蓄熱タンク10内の湯水を放出しないようになっている。言い換えると、一般給湯や浴槽給湯の際に蓄熱タンク10内の湯水(熱媒体)を、二次側の給水を加熱するための熱媒体としてのみ利用するようになっている。
浴槽水循環回路60は、浴槽Bに貯留された浴槽水を取り出して浴槽Bに戻すものであり、風呂戻り管61と、風呂注湯管33,34と、追焚き熱交換器往き管62と、風呂往き管63と、風呂注湯管35とで構成されている。このように浴槽水循環回路60は、浴槽給湯回路30の一部、つまり風呂注湯管33の一部、風呂注湯管34および風呂注湯管35の一部と共有の配管となっている。
風呂戻り管61は、浴槽Bから浴槽水を取り出す流路であり、上流端が浴槽Bに接続され、下流端が風呂注湯管33に接続されている。
追焚き熱交換器往き管62は、上流端が循環調整弁39に接続され、下流端が追焚き熱交換器70の入口に接続されて、浴槽水を追焚き熱交換器70に送る流路となっている。
風呂往き管63は、上流端が追焚き熱交換器70の出口に接続され、下流端が風呂注湯管35の途中に接続されて、追焚き熱交換器70で熱交換された浴槽水を風呂注湯管35に送る流路となっている。
風呂戻り管61には、水位センサ64,水流スイッチ65,風呂温度センサ66が設けられている。
水位センサ64は、浴槽Bに貯留された浴槽水の水位を検知するものである。コントローラ100は、例えば、浴槽給湯モード時に、水位センサ64によって予め設定された水位に達したことを検知すると、浴槽給湯を停止するようになっている。
水流スイッチ65は、追焚きモード時に浴槽水が流れているかどうかを検出するセンサであり、浴槽Bに貯留された浴槽水が風呂戻り管61を矢印(図示上側)の方向に流れているか否かを検知する。
風呂温度センサ66は、浴槽給湯モード時の浴槽水の温度,追焚きモード時の浴槽水の温度を検知するものである。
また、風呂往き管63には、追焚き熱交換器70で熱交換された後の浴槽水の温度を検知する追焚き温度センサ67が設けられている。
追焚き熱交換器70は、蓄熱タンク10の上部に配設され、追焚き熱交換器往き管62から導入された浴槽水(湯または水)と、蓄熱タンク10内の熱媒体(湯水,高温の湯)とで熱交換を行い、風呂往き管63に向けて供給するようになっている。
熱媒体導入回路80は、給水タンク入り管81,82と減圧弁83とで構成され、給水源から供給された給水を蓄熱タンク10に導入する流路を構成している。すなわち、熱媒体導入回路80は、時間の経過とともに蓄熱タンク10内の熱媒体が減少した場合に補充を行う熱媒体補充回路である。
給水タンク入り管81は、上流端が給水管21の途中の分岐P1と接続され、下流端が減圧弁83の一次側と接続されている。
給水タンク入り管82は、上流端が減圧弁83の二次側と接続され、下流端が給湯熱交換器戻り管43と合流するように接続されている。
減圧弁83は、給水の圧力(一次圧)を所定の圧力(二次圧)に減圧して、蓄熱タンク10を保護するものである。減圧弁83に設定される所定の圧力は、蓄熱タンク10の強度に応じて適宜変更することができる。
逃し弁90は、蓄熱タンク10の耐圧を超えない所定圧になったときに開弁するものであり、コントローラ100によって電気的に制御されるものではなく、前記所定圧に至ったときに機械的に開弁するように構成されたものである。よって、開弁後に蓄熱タンク10内の圧力が所定圧を下回ったときには、自動的に閉弁するようになっている。
また、逃し弁90は、逃し管91に設けられている。逃し管91は、一端が給湯熱交換器往き管41に対して分岐するように接続され、他端が大気(外気)に開放している。なお、逃し弁90は、機械的に動作するものに限定されず、蓄熱タンク10内の圧力を検知する圧力センサを設けて、圧力センサの検出値に基づき(前記と同様な所定圧になったときに)逃し弁90を電気的に開弁するものであってもよい。
また、蓄熱タンク10と三方弁7との間のヒートポンプ往き管4には、排出弁95を備えた排出管96が接続されている。なお、排出弁95は、例えば手動で開閉するものであり、蓄熱タンク10内によごれが蓄積した場合、また給湯機1を長期間使用しない場合などに開弁させて、蓄熱タンク10内の熱媒体(湯水)を外部に抜き取ることができるようになっている。
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などを備えて構成され、風呂循環ポンプ38および給湯循環ポンプ44のモータの回転速度、三方弁7の流路切り換え、流量調整弁36および循環調整弁39の流量、電磁弁37の開閉をそれぞれ制御し、水流スイッチ65による浴槽水の流れ、水位センサ64による浴槽Bに貯留された浴槽水の水位、各種温度センサ11〜15,25,26,66,67による温度を取得する。
なお、コントローラ100には、図示しない風呂リモコンや台所リモコンが有線または無線により接続され、風呂リモコンや台所リモコンに設けられた操作部の操作にしたがって、給湯循環ポンプ44および風呂循環ポンプ38,三方弁7,流量調整弁36,電磁弁37,循環調整弁39が適宜制御される。
次に、給湯熱交換器50と配管との着脱機構について図2および図3を参照して説明する。図2はクイックファスナを用いて給湯熱交換器と配管とを接続した状態を示す断面図である。図3はクイックファスナ単体を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)正面図である。
図2に示すように、給水管21,給湯管22(風呂注湯管31),給湯熱交換器往き管41および給湯熱交換器戻り管42(以下、これらをまとめて配管Hとする)の先端部には、それぞれ同様な継手部Eが形成されている。すなわち、継手部Eは、配管Hの先端の外周面に、2つのフランジ部e1,e2が軸方向に所定の間隔を開けて形成され、フランジ部e1とフランジ部e2との凹部にオーリングRが配設されている。
一方、給湯熱交換器50には、配管Hが接続される部分に、略円筒状の継手Fが溶接などによって固定されている。この継手Fは、円筒部f1が給湯熱交換器50の表面から突出して形成されるとともに、配管Hが挿入される側の円筒部f1の先端に鍔部f2が全周にわたって外側に突出して形成されている。なお、給湯熱交換器50の内部構造については省略する。
このように構成された継手Fの挿入孔f3に継手部Eが挿入されると、オーリングRが挿入孔f3に接触して弾性変形して、挿入孔f3の内壁面に密着することで継手部分から漏水しないようになっている。
図3(a)〜(c)に示すように、図2のクイックファスナ52は、例えば、ステンレス鋼板を用いてプレス加工して成形され、配管Hを弾性力によって把持する弓形状の一対の配管把持部52a,52aと、継手Fを弾性力によって把持する弓形状の一対の継手把持部52b,52bと、前記継手Fに形成された鍔部f2が嵌入され係合する鍔部嵌入孔52c,52cと、一端(図示上側)において、配管把持部52a同士、および継手把持部52b同士、配管把持部52aと継手把持部52bとを連結する連結部52dと、他端(図示下側)において、配管把持部52aと継手把持部52bとを連結するとともに外方に向かって延出する取付けガイド52e,52eとを有している。
継手部Eを継手Fに挿入後、クイックファスナ52を、配管把持部52aが配管Hと対向するように、そして継手把持部52bが継手Fと対向するように、取付けガイド52e側から押圧することによって、その押圧力によって配管把持部52aおよび継手把持部52bがそれぞれ押し広げられ、配管把持部52aおよび継手把持部52bを乗り越えることによって弾性復帰することで、配管Hと継手Fとが把持されて連結される。このとき、継手Fの鍔部f2が鍔部嵌入孔52cに入り込むことで、配管Hと継手Fとが連結され、配管Hが給湯熱交換器50から抜け出ることがない。
なお、着脱機構は、パイプ固定部材(継手F)と配管Hとを弾性力によって連結するクイックファスナ52に限定されるものではなく、配管Hがパイプ固定部材から外れないように固定できるものであれば、どのようなものであってもよい。また、オーリングRの設置個数についても、フランジ部を増やして、オーリングRを軸方向に複数段設けてもよい。
次に、本実施形態の給湯機1における沸き上げモード,一般給湯モード,浴槽給湯モード,追焚きモードについて説明する。沸き上げモードについては、図4を参照して、一般給湯モードについては、図5を参照して、浴槽給湯モードについては、図6を参照して、追焚きモードについては、図7を参照して説明する。なお、図4ないし図7において、太線で示す部分が熱媒体(湯水),水,湯が流れている状態を示している。また、図4については、沸き上げモードとタンク自動給水の状態をまとめて図示している。
図4に示すように、沸き上げモードの場合には、蓄熱タンク10内の熱媒体(水)をヒートポンプユニット3によって沸き上げる。すなわち、蓄熱タンク10の下部からヒートポンプ往き管4を介して熱媒体(水)をヒートポンプユニット3に送り、ヒートポンプユニット3によって温められた熱媒体(湯)を、ヒートポンプ戻り管5を介して蓄熱タンク10の上部に戻すことで、蓄熱タンク10内には、例えば、下部に低温水、中間部に中温水、上部に高温水が層状に貯留される。
図5に示すように、一般給湯モードの場合には、流量センサ23によって一般給湯回路20内の流れが検知されることによって運転が開始される。なお、このとき電磁弁37は閉じている。すなわち、コントローラ100の制御によって、一般給湯端末A(蛇口など)が開動作されると、流量センサ23によって一般給湯回路20の流れが検知され、台所リモコンの操作部に設定された給湯温度の湯が一般給湯端末Aから供給されるように、給湯循環ポンプ44が駆動される。
詳述すると、給水温度センサ25で検知された給水温度と流量センサ23で検知された流量に基づいて、給湯温度センサ26で検知される温度が目標温度となるように給湯循環ポンプ44のモータの回転速度を調整する。このとき、給湯熱交換器50の一次側を流れる熱媒体によって、二次側の給水が熱交換によって加熱される。そして、一般給湯端末Aが閉動作されたことが流量センサ23で検知されることにより、給湯循環ポンプ44が停止する。
なお、給湯温度センサ26での目標温度は、湯が給湯温度センサ26から一般給湯端末Aに到達するまでの間の温度低下等を考慮して、設定温度よりも高く設定される。ただし、このような制御に限定されるものではなく、目標温度が設定温度と同じであってもよい。
このように、本実施形態では、給湯循環ポンプ44のモータの回転速度を制御することで一般給湯端末Aから供給される湯の温度を調整しているので、給湯熱交換器50の下流側に、給湯熱交換器50で生成された給湯(湯)と、給湯熱交換器50をバイパスして設けられた給水とを混合させて一般給湯端末Aから供給させる混合弁を設けることが必須ではない。ただし、湯の温度をより精度よく調整する目的などで混合弁を設けるものであってもよい。
図6に示すように、浴槽給湯モードの場合には、例えば風呂リモコンの操作部に設けられた湯張り開始の操作スイッチの操作によって運転が開始される。なお、このとき、電磁弁37が開弁し、循環調整弁39が風呂注湯管34と風呂注湯管35とが連通するように設定されている。
このとき、図10に示すように、コントローラ100からの指示により浴槽給湯回路出湯制御S10が実行され、ステップS101に進む。ステップS101において、現在が出湯停止中か否かを判定する。現在が浴槽給湯回路30への出湯停止中の場合(S101・YES)、浴槽給湯回路出湯制御S10はステップS102に進む。一方、現在が浴槽給湯回路30への出湯中の場合(S101・NO)、浴槽給湯回路出湯制御S10はステップS103に進む。
ステップS102において、出湯開始指令がある場合(S102・YES)、浴槽給湯回路出湯制御S10はステップS20に進む。一方、出湯開始指令がない場合(S102・NO)、浴槽給湯回路出湯制御S10を離脱し、コントローラ100からの指示があるまで待機する。
ステップS103において、出湯停止指令がある場合(S103・YES)、浴槽給湯回路出湯制御S10はステップS30に進む。一方、出湯停止指令がない場合、(S103・NO)、浴槽給湯回路出湯制御S10を離脱し、コントローラ100からの指示があるまで待機する。
<浴槽給湯開始時>
浴槽への給湯を開始する際は、前記流量調整弁36の開度が全開よりも小さい状態で前記電磁弁37を開けた後に、前記流量調整弁36を開方向に制御する。具体的には、前記流量調整弁36が閉じた状態で前記電磁弁37を開けた後に、前記流量調整弁36を開方向に制御する。以下、制御のフローを説明する。
図11に示すように、ステップS201において、コントローラ100は電磁弁37の開弁指令を出し、ステップS202に進む。
ステップS202において、電磁弁37が完全に開いているか否かを判定する。電磁弁37が完全に開いている場合(S202・YES)、浴槽給湯回路出湯開始制御S20はステップS203に進む。一方、電磁弁37が完全に開いていない場合(S202・NO)、浴槽給湯回路出湯開始制御S20はステップS202にて電磁弁が完全に開くまで待機する。
ステップS203において、コントローラ100は流量調整弁36の開弁指令を出し、浴槽給湯回路出湯開始制御S20を離脱する。
このように、浴槽給湯回路30へ供給する湯水の流量を徐々に上げていくことで、浴槽給湯回路を構成する配管や、浴槽給湯回路に配置される構成部品に過度の圧力または衝撃を与えることなく湯水を供給することができる。また、浴槽給湯開始直後は、浴槽に供給される湯水の温度が設定温度から逸脱している場合があるが、上述した流量調整弁36及び電磁弁37の制御によれば、浴槽給湯開始直後は供給される湯水の量が少なくなるため、設定温度を逸脱した温度の湯水が浴槽に供給される量を少なくすることができる。
<浴槽給湯終了時>
浴槽への給湯を終了する際は、前記流量調整弁36を閉方向に制御した後に電磁弁37を閉じる。具体的には、浴槽への給湯を終了するのに先立って前記流量調整弁36を閉じた後に、電磁弁37を閉じる。なお、浴槽給湯は、予め給湯量が設定されているものであるため、浴槽給湯を終了するタイミングを予め判断することができる。従って、浴槽への給湯を終了するのに先立ってこのような制御が可能となる。以下、制御のフローを説明する。
図12に示すように、ステップS301において、コントローラ100は流量調整弁36の閉弁指令を出し、ステップS302に進む。
ステップS302において、流量調整弁36が完全に閉じているか否かを判定する。流量調整弁36が完全に閉じている場合(S302・YES)、浴槽給湯回路出湯停止制御S30はステップS303に進む。一方、流量調整弁36が完全に閉じていない場合(S302・NO)、浴槽給湯回路出湯停止制御S30はステップS302にて流量調整弁36が完全に閉じるまで待機する。
ステップS303において、コントローラ100は電磁弁37の閉弁指令を出し、浴槽給湯回路出湯停止制御S30を離脱する。
このように、浴槽給湯回路30へ供給する湯水の流量を徐々に下げていくことで、浴槽給湯回路を構成する配管や、浴槽給湯回路に配置される構成部品に過度の圧力または衝撃を与えることなく湯水の供給を終了することができる。
なお、浴槽給湯回路に配置される構成部品とは、例えば、流量センサ33a,水位センサ64,水流スイッチ65,風呂温度センサ66や、給湯熱交換器50などである。各種センサは、過度の圧力や衝撃が加わると故障してしまうおそれがある。また、給湯熱交換器50は、着脱可能に配管と接続されるものであるため、過度の圧力や衝撃や振動で接続部が緩んでしまうおそれがある。さらに、各種配管は、溶接によって他の配管等と接続されるものであるが、過度の圧力や衝撃や振動で溶接部分が劣化するおそれがある。この点、上述した流量調整弁36及び電磁弁37の制御によれば、そのような事態を防止することができる。本実施形態の給湯機は、タンク内の温水を浴槽に給湯する方式の一般的な給湯機に比べて水圧を高くすることができる一方、瞬間的に電磁弁を閉めた際の圧力や衝撃が前記一般的な給湯機に比べて高くなりやすいため、上述した流量調整弁36及び電磁弁37の制御は特に有効である。
また、浴槽給湯の際、一次側では次のように給湯循環ポンプ44が制御される。具体的には、運転が開始されると、設定された湯張り温度の湯が浴槽Bに供給されるように、給湯循環ポンプ44が駆動される。詳述すると、給水温度センサ25で検知される給水温度と流量センサ33aによって検知された流量に基づいて、給湯温度センサ26で検知される温度が目標温度となるように、給湯循環ポンプ44を制御する。
これにより、給水管21から給湯熱交換器50を介して生成された湯が、主に風呂注湯管31〜33および風呂戻り管61を通って浴槽Bに供給されるとともに、一部が風呂注湯管33〜35を通って浴槽Bに供給される。このように、浴槽給湯モードの際には、風呂戻り管61を湯が逆方向に流れるようになっている。そして、浴槽Bに所定量の湯が貯留されたことが水位センサ64によって検知されることで、給湯循環ポンプ44が停止して、湯張りが終了する。
ところで、前記流量調整弁36及び電磁弁37は、浴槽への給湯が行われていないときは、閉じた状態に制御される。これにより、電源投入時や停電後の電源復帰時に前記流量調整弁36及び電磁弁37が閉じた状態となっているため、電源投入後や停電から電源復帰後に初めて浴槽給湯する際にウォータハンマ現象が発生するのを防止することができる。
なお、浴槽給湯モードとしては、湯張りのほか、設定温度と同等の湯を追加する足し湯、設定温度よりも高い温度の湯を追加して浴槽Bの温度を上げる差し湯といった、給水源からの給水を加熱して浴槽Bに給湯する各種の給湯態様も含まれる。また、この他に、給水を給湯熱交換器50で加熱せずに浴槽Bへ供給する差し水といった給湯態様がある。
また、浴槽給湯モード時に一般給湯端末Aが開動作された場合には、浴槽給湯回路30の流量調整弁36を絞る(閉方向に制御する)。これにより、給湯熱交換器50で生成された給湯について、浴槽給湯回路30に供給される流量が減少し、一般給湯回路20に給湯が開始される。このように、一般給湯と浴槽給湯の両方が同時に必要といった場合には、あくまでも一般給湯端末Aを優先、つまり体感的に感じられる一般給湯端末Aを優先して、浴槽Bの湯張りを絞ることが好ましい。なお、このような場合、流量調整弁36を全閉にして、浴槽給湯回路30への湯の流量を完全に停止させてもよい。また、浴槽給湯回路30への湯の流量を完全に停止させる方法としては、電磁弁37を閉とするものであってもよい。
なお、浴槽給湯モード時に一般給湯端末Aが開動作されて、一般給湯端末Aへの給湯を優先するために電磁弁37を閉とする場合にも、上述した浴槽給湯終了時の電磁弁37の制御を利用することができる。同様に、一般給湯端末Aの使用が終了した後浴槽給湯を再開する場合にも、上述した浴槽給湯開始時の電磁弁37の制御を利用することができる。
このように、浴槽給湯モード時に一般給湯端末Aからの給湯要求がなされた場合の浴槽給湯の調整(絞り)については、給湯器1の給湯能力(蓄熱タンク10の容積,給湯圧、給湯熱交換器50の熱交換能力など)に応じて適宜変更することができる。例えば、給湯能力が低い給湯機であれば、一般給湯端末Aからの給湯要求が停止するまで浴槽への給湯を停止するように構成できる。
図7に示すように、追焚きモードの場合には、例えば風呂リモコンの操作部に設けられた追焚きスイッチの操作によって運転が開始される。まず、電磁弁37が閉じられた状態において、循環調整弁39の開度が風呂注湯管34から風呂注湯管35側に全開となるように設定され、風呂循環ポンプ38が駆動される。これにより、浴槽Bに貯留された浴槽水が、風呂戻り管61,風呂注湯管33,34,35を介して循環する。
そして、循環調整弁39が追焚き熱交換器往き管62側へと徐々に開くように制御され、風呂注湯管35内の温度が所定温度(例えば、60℃)になるように風呂温度センサ66と追焚き温度センサ67の検出温度から予測しながら循環調整弁39の開度が制御される。そして、風呂温度センサ66で検知される温度(浴槽水の温度)が設定温度になったら、風呂循環ポンプ38を停止して追焚きモードを終了する。
なお、浴槽給湯モードおよび追焚きモードにおいても、一般給湯モードと同様に、追焚き温度センサ67で検知される温度と、浴槽Bの浴槽水の温度との差を考慮して、目標温度よりも高く設定される。ただし、これに限定されず、目標温度が設定温度と同じであってもよい。
また、追焚きモード時に一般給湯端末Aが開動作された場合には、図5で説明した一般給湯モードの制御と同様に、給水温度センサ25の温度と流量センサ23の流量に基づいて、給湯温度センサ26の温度が目標温度となるように、給湯循環ポンプ44が制御される。
ところで、図4において説明した沸き上げモードでは、蓄熱タンク10内の水の温度が上昇することで、蓄熱タンク10内の圧力が上昇する。蓄熱タンク10の上部に設けられた逃し弁90は、蓄熱タンク10の圧力が耐圧を超える圧力に近づいたとき(蓄熱タンク10の耐圧を超えないように予め設定された値のとき)に逃し弁90が自動的に開弁する。これにより、蓄熱タンク10内の熱媒体(体積膨張分の湯水)が外部に排出されることになる。
また、一般給湯モード,浴槽給湯モードにおいて、熱媒体(高温水)を給湯循環ポンプ44によって循環させ、給湯熱交換器50において二次側の給水と熱交換して、二次側の給水を加熱することで、一般給湯や浴槽給湯などに使用される。このとき、給湯熱交換器50から給湯熱交換器戻り管42,43を通って蓄熱タンク10に戻る熱媒体(水)は、給水とほぼ同じ温度になっているため、蓄熱タンク10内の温度および圧力は下降する。このように、蓄熱タンク10内の圧力が下がることで、逃し弁90から排出された熱媒体と同等量の水(前記体積膨張分の給水)が、給水タンク入り管81,82から補給されることになる。したがって、蓄熱タンク10内には、逃し弁90から排出された分の熱媒体が自動的に供給されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態の給湯機1によれば、蓄熱タンク10内の湯水を一般給湯や浴槽給湯に用いることがない、つまり蓄熱タンク10内の湯は、全量蓄熱タンク10に戻るように構成されているので、硬度の高い水道水,井戸水や地下水などの硬度の高い水を使用することが可能になる。しかも、このような高硬度の水を使用したとしても、給湯機1内の水路の高温部(ヒートポンプユニット3,給湯熱交換器50など)にスケールによる配管の詰まりが生じるのを防止することができる。その結果、蓄熱タンク10内の熱媒体として、特殊な液体ではなく、一般給湯や浴槽給湯などに使用している給水と同様の水を使用しているので、蓄熱タンク10内に熱媒体を補充する際の取り扱いが容易になる。
また、本実施形態の給湯機1によれば、熱媒体を貯える蓄熱タンク10を密閉式のものとして、熱媒体を蓄熱タンク10外へ排出する逃し弁90を備えて、逃し弁90がヒートポンプユニット3(加熱手段)によって熱媒体を加熱したときの膨張体積分を蓄熱タンク10の外部に排出するようにしたので、蓄熱タンク10を保護することが可能になる。
また、本実施形態の給湯機1では、熱媒体を蓄熱タンク10内に導入する熱媒体導入回路80を備え、熱媒体導入回路80が一般給湯および浴槽給湯に使用する給水管21(給水回路)から分岐するように構成されている。これにより、タンク内圧力の上昇によって逃し弁90から熱媒体の一部が排出されたとしても、給湯熱交換器50において熱媒体と給水との熱交換によって熱媒体の温度が低下して熱媒体の圧力が低下したときに、その不足分の熱媒体を蓄熱タンク10内に補充することができる。したがって、蓄熱タンク10への熱媒体の補充を自動で行うことが可能になる。
また、本実施形態の給湯機1では、図2および図3で説明したように、給湯熱交換器50が交換可能に構成されている。これにより、仮にスケールなどによって給湯熱交換器50の流路に詰まりが発生したとしても、クイックファスナ52を取り外した後に配管Hを継手Fから引き抜くことで、給湯熱交換器50を蓄熱タンクユニット2から容易に取り外すことが可能になる。また、蓄熱タンクユニット2に対して新たな給湯熱交換器50を装着することも容易になる。したがって、給湯熱交換器50のみを交換するだけでよいので、給湯機1全体(または蓄熱タンクユニット2全体)を交換するといった無駄を無くすことが可能になる。
また、本実施形態の給湯機1によれば、一般給湯回路20および浴槽給湯回路30が、給湯熱交換器50の下流において分岐部Sを介して形成され、分岐部Sの下流に流量調整弁36が設けられている。これにより、浴槽給湯モード時に一般給湯モードが作動して、流量調整弁36が絞られる方向に制御されたとしても、一般給湯回路20側の給湯の流量が連動して絞られるのを防止することができる。
次に、本実施形態の給湯機1を、井戸水ポンプ210と組み合わせた給湯システム200について図8を参照して説明する。なお、図8において図示した給湯機1は、図1で説明した給湯機1を簡略化して図示したものである。
図8に示すように、給湯システム200は、給湯機1(蓄熱タンクユニット2,ヒートポンプユニット3),井戸水ポンプ210,井戸水を井戸水ポンプ210まで汲み上げる井戸水汲上げ管(井戸水導入回路)220,井戸水を井戸水ポンプ210から給湯機1まで送る井戸水送り管(井戸水導入回路)230,砂こし器(フィルタ)240,ストレーナ(フィルタ)250を含んで構成されている。
砂こし器(砂取り器)240は、井戸水ポンプ210の上流側に配置され、汲み上げた井戸水に含まれる異物(砂など)を除去する機能を有している異物除去装置である。これにより、井戸水ポンプ210の砂かじりによるモータの焼損やポンプの摩擦を防止することができる。
ストレーナ250は、給湯機1の入口に配置され、砂こし器240で除去しきれなかった異物を除去する機能を有している。
なお、砂こし器240に配設されるフィルタは、例えば100メッシュであり、ストレーナ250に配設されるフィルタは、例えば60メッシュである。このように、上流側(一次側)に配置される砂こし器(フィルタ)240のろ過粗さを、下流側のストレーナ250のろ過粗さ以下に設定することにより、井戸水ポンプ210および給湯機1を一つの砂こし器240によって砂かじりから保護することが可能となる。なお、メッシュとは、1インチ当たりの網の目の数であり、数値が小さいほど目が粗いことを示している。
ところで、従来方式の井戸水ポンプは、図8(a)に示すようにポンプ吐出圧力(位置S1参照)が脈動し、本実施形態のように、蓄熱タンク10を介さずに給湯熱交換器50を通って給湯されるものでは、脈動しながらから出湯されるおそれがある。しかし、本実施形態の給湯システム200において従来方式の井戸水ポンプ210を使用した場合であっても、流量センサ23と給湯温度センサ26とを用いて、給湯循環ポンプ44(一次側ポンプ)をフィードバック制御することで、給湯循環ポンプ44の回転速度(一次側流量)を二次側の水の流量変化に追従させることができ、出湯時の流量や温度の脈動を抑えることが可能になる。また、配管に比べて圧損の大きい給湯熱交換器50やアキュムレータ24を給水回路に設けることで、脈動をより小さく抑えることが可能になる。
なお、井戸水ポンプ210としては、従来方式のもの(一定水圧を保持するために水栓の水量変化に応じてモータの回転速度を変化させないもの)に代えてインバータ方式のもの(一定水圧を保持するために水栓の水量変化に応じてモータの回転速度を変化させるもの)を使用することが好ましい。これは、図8(b)に示すように、井戸水ポンプ210からの圧力の脈動を小さくすることができ、よって、本実施形態のように蓄熱タンク10を介さずに給湯熱交換器50を通って給湯されるものにおいても出湯時に脈動を小さく抑えることが可能になる。このように、本実施形態の給湯システム200によれば、給湯機1にインバータ方式の井戸水ポンプ210を適用することで、井戸水を給水として使用するものであっても、より快適に使用することができる。
また、本実施形態では、熱媒体導入回路80にのみ減圧弁83を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、図9(a)に示すように、減圧弁83とともに給水管21の分岐P1の下流側に減圧弁84を設ける構成であってもよい。また、図9(b)に示すように、減圧弁83とともに、給水管21の分岐P1の上流側(分岐前)に減圧弁85を設ける構成であってもよい。換言すると、図1に示すように、二次側の給水を減圧しないで給湯に使用するものに限定されず、二次側(一般給湯回路20,浴槽給湯回路30を通る側)を減圧して給湯するものであってもよい。なお、図9(a),(b)に示すように、減圧弁84,85を給水管21の分岐P1の前後に追加して設ける場合には、蓄熱タンク10を保護できる圧力となるように適宜設定することができる。
また、本実施形態では、密閉式の蓄熱タンク10を例に挙げて説明したが、密閉式のものに限定されず、開放型の蓄熱タンクであってもよい。開放型の蓄熱タンクの場合には、主に蒸発によって蓄熱タンク10内の熱媒体が減少する状況が生じる。開放型のタンクにすることで、それに伴う付随設備は必要になるが、蓄熱タンク10を円筒状ではなく、四角筒状にすることができ、デッドスペースを無くすことができる。その結果、給湯機全体を小型化することができる。しかも、高い強度が不要になり、板厚などを薄くすることができる。なお、開放型の蓄熱タンクの場合には、蓄熱タンク10に給水を補充すべく開制御される電磁弁を設ける構成が考えられる。
また、本実施形態では、蓄熱タンク10内の湯水をタンク上部から取り出すように構成したが、これに限定されるものではなく、蓄熱タンク10の鉛直方向の中間部に熱媒体の取り出し部を追加して設けて、蓄熱タンク10の上部と中間部とから切換弁を介して適宜取り出すようにしてもよい。
なお、本発明に係る給湯機及び給湯システムは、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
即ち、浴槽給湯回路上に電磁弁が備えられる給湯機であればどのような方式のものであっても適用可能である。従って、タンク内の温水を浴槽に給湯する方式の給湯機や、タンク内の湯水をヒータで加熱する方式の給湯機や、ガスや石油等の燃料を燃焼させて加熱した温水を給湯する方式の給湯機にも適用可能である。