JP2012101248A - シーム溶接装置及びシーム溶接方法 - Google Patents

シーム溶接装置及びシーム溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属箔をシーム溶接して三次元形状あるいは曲面形状を製造する。
【解決手段】溶接電極16をNC制御装置の主軸14に取り付け、バック電極18をバック電極固定治具20に固定してNC制御装置のフライス盤24に取り付ける。溶接電極16はローラ電極ではなく固定の半球状電極とする。溶接電極16あるいはバック電極18の少なくともいずれかを駆動して溶接部位を三次元的に走査しつつ金属箔をシーム溶接する。
【選択図】図1

Description

本発明はシーム溶接装置及びシーム溶接方法に関し、特に金属箔をシーム溶接する技術に関する。
シーム溶接は、溶接継手部に大電流を流し、ここに発生する抵抗熱によって加熱し、圧力を加えて行う溶接であり、円板状のローラ電極で溶接継手部を挟み込み、ローラ電極を回転させながら加圧・通電することにより連続的に抵抗溶接を行うものである。
下記の特許文献1には、シーム溶接の溶接品質を安定させるために、包絡線を有する溶接電流を通電し、溶接開始からの一定時間内に溶接電流の最高値が徐々に定常値まで上昇するように通電する技術が開示されている。
また、特許文献2には、高密度エネルギビームにより金属箔を接合する技術が開示されており、シーム溶接する際に、溶接予定部位を隔てた両側を拘束するとともに、金属箔の溶接予定部位に引張力を付与しながら溶接することが開示されている。
特開2000−141054号公報 特開平1−306085号公報
通常のシーム溶接では、上下のローラ電極を回転させることでシーム溶接の走査を可能としているため、構造上、シーム溶接形状が円形状をはじめとする曲線を有する形状に対応することができない。また、溶接終了点において、溶接電極の回転速度が低下するときに被溶接物への単位容量当たりの入熱量が大きくなり、溶け落ちが生じ易い。
また、高エネルギの熱源を用いて金属箔を接合する場合、金属箔間の隙間を防止することが必要であり、金属箔同士を密着させるために種々の支持具ないし拘束具が必要となる。このため、シーム溶接形状が円形状であるときには溶接予定部位の両側を固定すること、溶接予定部位に引張力を付与しながら溶接することは著しく困難である。さらに、溶接するために必要なレーザ出力を備えた装置は大型となり、安全性の観点からも十分な対応が要求される問題がある。
本発明の目的は、金属箔をシーム溶接することが可能であり、特に、シーム溶接形状が直線以外の曲線形状あるいは三次元形状であってもシーム溶接することが可能な装置及び方法を提供することにある。
本発明は、金属箔を溶接するシーム溶接装置であって、数値制御(NC)装置の主軸に設けられた溶接電極と、前記数値制御装置のワークテーブルに設けられたバック電極と、前記溶接電極と前記バック電極との間に電流を通電する電源と、前記溶接電極を前記金属箔を挟んで前記バック電極に対向させ、前記溶接電極あるいは前記バック電極の少なくともいずれかを駆動することで溶接部位を三次元的に走査する駆動手段とを備え、前記溶接電極は固定の半球状電極部を備えることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記溶接電極は、前記半球状電極部を前記溶接部位の方向に付勢する付勢部を備える。
また、本発明の他の実施形態では、前記電源は、前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定の期間においてのみ通電する。
また、本発明の他の実施形態では、前記バック電極は、曲率部及び直線部あるいは片方の1つ面部位を備える。前記駆動手段は、前記溶接電極と前記バック電極が前記曲率部において対向する場合には前記溶接電極を固定しバック電極を前記ワークテーブルの平面内において回転させ、前記溶接電極と前記バック電極が前記直線部において対向する場合には前記バック電極を固定し前記溶接電極を前記バック電極に沿って移動させる。
また、本発明は、金属箔を溶接するシーム溶接方法であって、数値制御装置の主軸に固定の半球状電極部を備える溶接電極を設け、前記数値制御装置のワークテーブルにバック電極を設け、前記溶接電極を前記金属箔を挟んで前記バック電極に対向させ、前記溶接電極あるいは前記バック電極の少なくともいずれかを駆動することで溶接部位を三次元的に走査しつつ前記溶接電極と前記バック電極との間に電流を通電することで溶接することを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、さらに、前記溶接電極の前記半球状電極部と前記金属箔の間に導電性グリスを供給する。
また、本発明の他の実施形態では、溶接開始位置において前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定となったタイミングで電流を通電し、溶接終了位置において前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定であるタイミングで電流を遮断する。
また、本発明の他の実施形態では、前記バック電極は、曲率部及び直線部を備え、前記溶接電極と前記バック電極が前記曲率部において対向する場合には前記溶接電極を固定しバック電極を前記ワークテーブルの平面内において回転させ、前記溶接電極と前記バック電極が前記直線部において対向する場合には前記バック電極を固定し前記溶接電極を前記バック電極に沿って移動させる。
本発明によれば、金属箔同士をシーム溶接することができ、特に非直線状に溶接部位を走査して金属箔同士をシーム溶接できる。これにより、気球等の三次元形状を金属箔で容易に製造することができる。
実施形態の装置全体構成図である。 溶接電極の縦断面図である。 バック電極の概観斜視図である。 溶接電極とバック電極の相対的変位(移動)説明図である。 溶接時の走査速度と電流オン/オフのタイミングとの関係を示す説明図である。 溶接時の金属箔保持説明図である。 気球形状を保持する骨組の概観斜視図である。 1枚の金属箔の説明図である。 金属箔溶接の説明図(その1)である。 金属箔溶接の説明図(その2)である。 金属箔溶接の説明図(その3)である。 金属箔接合後のバック電極抜き取り作業説明図である。 天板溶接の説明図である。 底板溶接の説明図である。 完成後の気球の概観斜視図である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
1.装置の全体構成
まず、装置の全体構成について説明する。図1に、本実施形態におけるシーム溶接機のシステム構成図を示す。本実施形態のシーム溶接機は、NC(数値制御)フライス盤を基本とした構成であり、プロセッサ及びメモリを備える制御装置10と、直流型抵抗溶接機12と、制御装置主軸14と、溶接電極16と、バック電極18と、バック電極固定治具20と、回転テーブル22と、NCフライス盤24とを備える。
溶接電極16は、制御装置主軸14の刃物取付部に組み付けられ、制御装置主軸14は制御装置10により駆動制御される。制御装置10は、メモリに記憶された加工プログラムないし教示プログラムに従って制御装置主軸14を制御する。溶接電極16は、通常のシーム溶接におけるようなローラ電極ではなく、半球形状の固定電極である。溶接電極16の構成については、さらに後述する。
バック電極18は、バック電極固定治具20に固定され、バック電極固定治具20はNCフライス盤24に設けられた回転テーブル22に固定される。回転テーブル22は制御装置10により回転駆動される。バック電極18は、弓形形状をなし、バック電極固定治具20に固定された状態で溶接電極16と対向配置される。溶接電極16とバック電極18との間の間隙には被溶接部材が配置される。本実施形態では、被溶接部材は金属箔である。
直流型抵抗溶接機12は、NCフライス盤24上に搭載され、一方の電極(プラス電極)が溶接電極16に接続され、他方の電極(マイナス電極)がバック電極18に接続される。溶接電極16とバック電極18とで金属箔を挟み込み、所定の接触面圧力を印加した状態で直流型抵抗溶接機12から直流電力を溶接電極16とバック電極18に供給することで金属箔同士をシーム溶接する。
このように、本実施形態では、NC制御装置を用い、NC制御装置の主軸側に溶接電極16、NC制御装置のワークのテーブル上にバック電極18を配置し、溶接電極16及びバック電極18を相対的に変位させることで三次元のシーム溶接を可能としている。制御装置10は、加工プログラムに従って任意の形状に金属箔を溶接できるが、本実施形態では一例として気球を製造する。制御装置10は、気球製造用の加工プログラムに従って、以下の手順を実行する。
(1)2枚の金属箔を互いに溶接する。
(2)さらに金属箔を順次溶接し、頂部及び底部に開口を有する気球形状を製造する。
(3)気球形状からバック電極を抜き取る。
(4)別のバック電極を気球形状内に挿入して気球形状の頂部に天板を溶接する。
(5)気球形状の底部に底板を溶接する
なお、バック電極の設置、気球形状からの抜き取り、別のバック電極の挿入等は、適宜、ユーザが手操作で行ってもよい。
2.溶接電極の構成
次に、溶接電極16の構成について説明する。図2に、溶接電極16の縦断面図を示す。溶接電極16は、従来のようなローラ電極ではなく、先端形状が半球状の固定電極である。溶接電極16の端部(溶接側端部であって図における下端)にはタフピッチ銅等の電極部16fが設けられる。電極部16fは、円柱状であってその端部(先端部)が半球状をなす。電極部16fは、絶縁体16eを介して溶接電極ケース内部の擦動シャフト16cに接続される。擦動シャフト16cはケース内部を擦動自在に設けられ、擦動シャフト16cとケース内壁との間には無給油ブッシュ16dが設けられ摩擦が軽減される。擦動シャフト16cの電極部16fと反対側の端部にはスプリング16bが設けられ、擦動シャフト16c及び電極部16fは溶接方向、すなわち図中下方に向けてスプリング16bにより付勢される。スプリング16bの他端にはスプリング荷重調整ネジ16aが設けられ、スプリング16bの荷重、すなわち付勢力が増減調整される。
なお、擦動シャフト16c及び電極部16fを溶接方向に付勢する手段としては、スプリング16d以外にも油圧を用いてもよい。
バック電極18及び被溶接部材である金属箔が所定の位置に配置されると、制御装置10は加工プログラムに従って制御装置主軸14を駆動して溶接電極16をバック電極18の方向に移動させる。溶接電極16の半球状の電極部16fが金属箔に当接し、スプリング16bの付勢力により金属箔に所定の接触面圧力を印加する。この状態で制御装置10は制御装置主軸14をバック電極18の弓形形状に沿って走査駆動、あるいは制御装置主軸14を固定して回転テーブル22を回転駆動することで溶接電極16とバック電極18とを相対的に変位させる。
溶接電極16が仮にローラ電極である場合、金属箔のような薄い被溶接部材をシーム溶接する際に回転するローラと金属箔との間に一定の加圧力あるいは一定の接触抵抗を維持することが困難であり、円滑にローラが回転することができず回転と滑りを交互に繰り返す等、溶接品質を維持できない。特に、被溶接部位が平面ではなく三次元形状をなす場合には接触抵抗を維持することはできない。これに対し、本実施形態のように半球上の固定電極を用いることで、特に溶接部位が直線的ではなく曲線あるいは曲面である場合においてもスプリング16bの付勢力により接触抵抗を一定に維持することができる。
但し、ローラのような可動電極ではない固定電極の場合、溶接電極16の電極部16fと金属箔との間の摩擦により金属箔にシワが生じたり破れたりする事態が懸念されるが、この場合には必要に応じて電極部16fと金属箔との間にグリス等の潤滑剤を介在させるのが望ましい。グリス等の潤滑剤は導電性とする必要があるのは言うまでもない。
なお、金属箔同士をレーザで溶接する場合には、レーザ装置自体が高価で可搬性に乏しいという問題に加え、レーザ光の焦点を金属箔の溶接部位に正確に合わせる必要があり、溶接部位が直線状であればともかく、曲線上あるいは曲面上の場合にはこの焦点合わせが困難である問題もある。一方、本実施形態のように溶接電極16を金属箔に当接させて溶接する方法では、このような問題がなく、曲線状あるいは曲面状の溶接に適している。要約すれば、本実施形態では、半球状の固定電極を用い、スプリング16bで付勢しながら電極を金属箔に当接させ、導電性グリスで電極走査時の滑りを向上させてシーム溶接を行うものといえる。
3.バック電極の構成
次に、バック電極18の構成について説明する。図3に、バック電極18の概観斜視図を示す。バック電極18は弓形状をなし、大別して曲率部18aと直線部18bと端部18cの3つの部位から構成される。曲率部18aは、ほぼ一定の曲率半径を有して湾曲しており、その一端がバック電極固定治具20に固定され、他端が直線部18bに接続される。直線部18bは、その一端が曲率部18aに接続され、他端が端部18cに接続される。端部18cは、直線的な形状でありその一端が直線部18bに接続され、他端がバック電極固定治具20に固定される。
バック電極18は、溶接により製造される物体の三次元形状に適した形状とすべきなのは当然であり、本実施形態では金属箔を溶接して気球を製造することを考慮して弓形状としている。溶接電極16とバック電極18との相対的変位により溶接部位が走査されるが、バック電極18が弓形状をなしているため、本実施形態では特異的な相対変位が実行される。すなわち、初期位置では、溶接電極16はバック電極18の曲率部18aの端部においてバック電極18と対向し、この位置からシーム溶接が開始される。そして、バック電極18の曲率部18aでは、制御装置10は制御装置主軸14の位置を固定し、回転テーブル22を回転駆動する。一方、溶接電極16がバック電極18の直線部18bと対向するようになると、制御装置10は次に回転テーブル22を固定して制御装置主軸14を駆動する。以下に、本実施形態の溶接動作を詳細に説明する。
4.溶接動作
図4に、溶接電極16とバック電極18との間の相対的変位の様子を示す。バック電極18の図中P点からQ点までが曲率部18aを構成し、図中Q点からR点までが直線部18bを構成するものとする。
初期位置であるP点において溶接電極16とバック電極18が対向し、この位置から制御装置10は溶接電極16を停止させつつ回転テーブル22を回転駆動してバック電極18を回転させる。これにより、溶接電極16とバック電極18とは相対的に変位し、溶接電極16はバック電極18の曲率部18aに沿って相対的に移動し、これに伴い溶接部位が変化して金属箔がシーム溶接されていく。
溶接電極16がバック電極18のQ点、すなわち曲率部18aの終点であって直線部18bの始点に達すると、制御装置10は回転テーブル22の回転を停止させ、制御装置主軸14を駆動して溶接電極16を移動させる。溶接電極16は、制御装置主軸14の駆動とともにバック電極18の直線部18bに沿ってQ点からR点まで移動し、これに伴い溶接部位が変化して金属箔がシーム溶接されていく。
溶接電極16がバック電極18のR点、すなわち直線部18bの終点に達すると、制御装置10は制御装置主軸14の駆動を停止させ、溶接が完了する。
このように、バック電極18の曲率部18aではバック電極18を回転させることで溶接部位を走査し、バック電極18の直線部18bでは溶接電極16を直線的に移動させることで溶接部位を走査する。この一連の動作により、溶接電極16を常に金属箔の法線方向あるいはバック電極18の法線方向に維持して走査することができる。
なお、溶接開始点であるP点や溶接終了点であるR点、あるいは曲率部18aから直線部18bへの遷移点であるQ点において、溶接電極16とバック電極18との相対速度が安定していないため、火花や溶け落ちが生じるおそれがある。従って、これらの位置においては、溶接電極16とバック電極18との相対速度、すなわち電極走査速度が一定となるタイミングにおいて電流を通電することが望ましい。
図5に、本実施形態における金属箔100の溶接開始点と溶接終了点、電極走査速度と電流のオン/オフとの関係を示す。図5(a)は被溶接部である金属箔100の平面図であり、溶接部位100aと、その溶接部位100aの溶接開始点と溶接終了点を示す。図4との関係では、溶接開始点はP点であり、溶接終了点はR点である。Q点において溶接電極16とバック電極18との相対速度がゼロとなる場合には、溶接開始点はP点で溶接終了点はQ点であり、かつ、溶接開始点はQ点で溶接終了点がR点である。図5(b)に示すように、溶接開始時には電極走査速度はゼロから有限の時間Δtの間に所定の速度まで加速する。一方、溶接終了時には電極走査速度は所定の速度から有限の時間Δtの間にゼロまで減速する。このように、所定の速度に達するまでに一定の時間Δtを要するため、この期間に電流を通電すると金属箔100への入熱量が大きくなり火花や溶け落ちが生じるおそれがある。
そこで、図5(c)に示すように、溶接開始時には電極走査速度が所定の速度に達してから電流をオフ状態からオン状態(通電状態)とし、かつ、溶接終了時には電極走査速度が所定の速度から減速を開始する時点において電流をオン状態からオフ状態(遮断状態)とする。要するに、電極走査速度が所望の速度に達している期間においてのみ電流を通電する。以上の処理により、金属箔100の溶接部位100aでは常に電極走査速度が一定となり、入熱量も一定となって火花や溶け落ちを確実に防止できる。
また、金属箔100の溶接時には、金属箔100が例えば10μm程度と薄いことから確実に溶接電極16とバック電極18との間に保持する必要がある。このためには、図6に示すように、バック電極18をCu等の高導電金属18cをFe等の強磁性体18dで挟むサンドイッチ構造とし、溶接電極16側であって金属箔100の溶接部位102を挟むようにバック電極18の強磁性体18dに対向する位置にマグネット34を配設するのが望ましい。バック電極18に金属箔100を配置し、溶接電極16とともにマグネット34をバック電極18の方に移動させると、マグネット34とバック電極18の強磁性体18dとの磁力により金属箔100が保持される。マグネット34の代わりに電磁石を用いてもよい。
さらに、金属箔100を溶接した後には、金属箔100の自重によりシワが生じたり自重による垂れが生じることを防止すべく、マグネット付保持治具32を用いて溶接後の金属箔100の形状を維持することが望ましい。
図7に、金属箔をシーム溶接して気球を製造する場合に用いられる骨組30の一例を示す。骨組30は、気球形状の頂部に対応する部分に設けられたボス30aと気球形状の底部に対応する部分に設けられた円環状リム30bとの間を複数のスポーク30cで結合して構成される。複数のスポーク30cはそれぞれ気球の曲面に沿った曲率を有する。図では、円環状のリム30bに等間隔に16本のスポーク30cが結合されており、これら16本のスポーク30cが頂部のボス30aに結合される。16本のスポーク30cのそれぞれには所定位置(例えば、スポーク30cに沿って等間隔に4個)にマグネット付保持治具32が設けられる。図では簡略化のため、あるスポーク30cに設けられた1個のマグネット付保持治具32のみ示してある。この骨組30は溶接された金属箔100を包むように配置され、所定位置に設けられたマグネット付保持治具32により金属箔100の形状を気球形状に保持する。もちろん、骨組30を気球形状の外部に配置するのではなく、気球形状の内部に配置して気球形状を保持してもよい。この場合には、傘の開閉のような折り畳み可能な構成とすることで接合後に骨組30を気球形状の内部から取り除くようにする。
以下、本実施形態のシーム溶接機を用いて気球を製造する方法について詳細に説明する。
5.気球の製造方法
図8に、気球製造に用いる金属箔100の平面図及び斜視図を示す。金属箔100は一端から他端に向けて順次幅広となり、次に順次幅狭となって先細る形状であり、厚さは例えば10μmである。金属箔100の材料は任意であり、例えば比重が軽く強度の高いチタンである。先細の端部100aは溶接後に気球の頂部をなし、他端100bは溶接後に気球の底部をなす。図8の金属箔を例えば16枚用意し、これらを互いに溶接して気球を製造する。
図9に、溶接電極16及びバック電極18を用いて2枚の金属箔100をシーム溶接した状態を示す。2枚の金属箔100同士を、その側部において互いに一部重なるように配置して溶接電極16とバック電極18との間に配置し、マグネット34とバック電極18との間の磁力で保持しつつ溶接電極16あるいはバック電極18を駆動して走査する。すなわち、最初にバック電極18を回転駆動し、次に溶接電極16を駆動する。バック電極18のP点からR点まで走査しつつ通電することで、2枚の金属箔100は互いに溶接される。
次に、溶接した金属箔100をこれを支持する骨組30ごと支持軸回りに回転させて溶接された金属箔100を回転する。そして、新たな金属箔100をその側部において溶接後の金属箔と互いに一部重なるように配置して溶接電極16とバック電極18との間に配置し、同様の手順で電極走査しシーム溶接していく。図10には、複数の金属箔100を互いにシーム溶接した状態を示す。
以上のようにして、金属箔100を新たに追加溶接する毎に骨組30を回転させ、さらに新たな金属箔100を溶接する作業を繰り返すことで、図11に示すように合計16枚の金属箔100が互いに溶接され、気球形状200となる。この後、気球形状200の内部に残るバック電極18を気球から抜き取り、気球形状の頂部及び底部の開口にそれぞれ天板及び底板を溶接する作業に移行する。
図12に、バック電極18を抜き取る作業を模式的に示す。図12(a)に、金属箔100を溶接して気球形状200を形成した直後の状態を示す。この状態では、バック電極18は気球形状200の内部に存在している。気球形状200の頂部200a及び底部200bはともに溶接されていないため開口状態のままである。
この状態から図12(b)に示すように、バック電極18を回転させてバック電極18の直線部18bが底部200bの開口中心近傍に位置するようにし、この状態でバック電極18の直線部18bを底部200bから徐々に引き抜いていく。バック電極18の直線部18bのほぼ全てが底部200bから引き抜かれた後、図12(c)、(d)、(e)に示すように、バック電極18の曲率部18aの曲率に応じた角度だけバック電極18を回転させながらさらにバック電極18を底部200bから引き抜いていく。最後に、図12(e)に示すように、バック電極18の曲率部18aの先端が底部200bから引き抜かれて、バック電極18の抜き取り作業が完了する。バック電極18が弓形形状をなしているため、このようにバック電極18を回転させながら底部200bの開口から引き抜くことが容易となる。バック電極18は、製造すべき物体の形状に応じた形状とすべきであるが、同時に、溶接が完了した後の抜き取り作業も考慮した形状とすべきことが理解されよう。
次に、頂部及び底部の溶接について説明する。
図13に、天板の溶接方法を示す。図13(a)は天板溶接時の平面図、図13(b)は気球形状200を頂部200aから見た平面図である。気球形状200の内部は図12に示すようにバック電極18が抜き取られて空の状態であり、天板42を溶接する際には、気球形状200の底部200bの開口から新たなバック電極40を挿入する。バック電極40はバック電極固定治具20に固定された直線状の電極であり、気球形状200の頂部に対向する端部は平板形状をなす。金属箔100と同一の金属で構成された厚さ10μmの天板42は気球形状200の頂部200aに配置され、溶接電極16とバック電極40とで天板42を挟み込む。この状態でバック電極40を固定し、溶接電極16を天板42の中心、すなわち頂部200aの開口中心の回りに回転させつつ天板42と気球形状200をシーム溶接する。
図14に、底板の溶接方法を示す。底板44を溶接する際には、バック電極40を気球形状200の底部200bから抜き出し、端部の平板部分を底部200bに位置させる。一方、バック電極40を底板44の内径と同じ寸法の外径形状を持つバック電極45に変換し、皿状の底板44をバック電極45上に配置し、溶接電極16とバック電極45とで底板44を挟み込む。底板44は金属箔100や天板42と同一の金属で、厚さは例えば50μm以下である。この状態で溶接電極16を固定し、気球形状200とバック電極45及び底板44をともに回転させつつ底板44と気球形状200をシーム溶接する。以上のようにして天板42及び底板44を気球形状200にシーム溶接することで、最終的に気球300が製造される。図15に、気球300の一例を示す。気球300の下部には各種の観測機器が搭載されたゴンドラ400が設けられる。本実施形態の気球300は金属箔から製造されているため軽量かつ高い耐熱性と強度を持ち、惑星のような苛酷な環境にも対応し得るため惑星探査用としての利用に供することができる。
以上の実施形態では、気球製造を例にとってシーム溶接を説明したが、本実施形態における溶接電極16とバック電極を用いた金属箔のシーム溶接は、これに限定されるものではなく、電磁シールドフィルムの接合、リチウムイオン電池等の二次電池の電極封止等にも応用することが可能である。現状の電磁シールドフィルムはスポット溶接を多点で行っているが、シーム溶接を行うことでより強固なシールドフィルムが得られる。また、現状のリチウムイオン電池の電極封止は金属と樹脂のラミネート構造であるが、シーム溶接を行うことで耐熱性や耐腐食性が向上する。
また、本実施形態では、2枚の金属箔同士を溶接する場合について説明したが、必要に応じて3枚あるいはそれ以上の金属箔を溶接してもよい。
さらに、本実施形態では、バック電極18の曲率部18aでは溶接電極16を固定してバック電極18を回転させ、直線部18bではバック電極18を固定して溶接電極16を移動させて溶接しているが、曲率部18a及び直線部18bともにバック電極18を固定し溶接電極16を移動させて溶接してもよい。
10 制御装置、12 抵抗溶接機、14 制御装置主軸、16 溶接電極、18 バック電極、20 バック電極固定治具、22 回転テーブル、24 NCフライス盤、42 天板、44 底板、100 金属箔、200 気球形状、300 気球。

Claims (9)

  1. 金属箔を溶接するシーム溶接装置であって、
    数値制御装置の主軸に設けられた溶接電極と、
    前記数値制御装置のワークテーブルに設けられたバック電極と、
    前記溶接電極と前記バック電極との間に電流を通電する電源と、
    前記溶接電極を前記金属箔を挟んで前記バック電極に対向させ、前記溶接電極あるいは前記バック電極の少なくともいずれかを駆動することで溶接部位を三次元的に走査する駆動手段と、
    を備え、前記溶接電極は固定の半球状電極部を備えることを特徴とするシーム溶接装置。
  2. 請求項1記載のシーム溶接装置において、
    前記溶接電極は、前記半球状電極部を前記溶接部位の方向に付勢する付勢部
    を備えることを特徴とするシーム溶接装置。
  3. 請求項1記載のシーム溶接装置において、
    前記電源は、前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定の期間においてのみ通電する
    ことを特徴とするシーム溶接装置。
  4. 請求項1記載のシーム溶接装置において、
    前記バック電極は、曲率部及び直線部あるいは片方の1つ面部位を備えることを特徴とするシーム溶接装置。
  5. 請求項4記載のシーム溶接装置において、
    前記駆動手段は、前記溶接電極と前記バック電極が前記曲率部において対向する場合には前記溶接電極を固定しバック電極を前記ワークテーブルの平面内において回転させ、前記溶接電極と前記バック電極が前記直線部において対向する場合には前記バック電極を固定し前記溶接電極を前記バック電極に沿って移動させる
    ことを特徴とするシーム溶接装置。
  6. 金属箔を溶接するシーム溶接方法であって、
    数値制御装置の主軸に固定の半球状電極部を備える溶接電極を設け、
    前記数値制御装置のワークテーブルにバック電極を設け、
    前記溶接電極を前記金属箔を挟んで前記バック電極に対向させ、前記溶接電極あるいは前記バック電極の少なくともいずれかを駆動することで溶接部位を三次元的に走査しつつ前記溶接電極と前記バック電極との間に電流を通電することで溶接する
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  7. 請求項6記載のシーム溶接方法において、さらに、
    前記溶接電極の前記半球状電極部と前記金属箔の間に導電性グリスを供給する
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  8. 請求項6記載のシーム溶接方法において、
    溶接開始位置において前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定となったタイミングで電流を通電し、溶接終了位置において前記溶接電極と前記バック電極との間の走査速度が一定であるタイミングで電流を遮断する
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  9. 請求項6記載のシーム溶接方法において、
    前記バック電極は、曲率部及び直線部を備え、
    前記溶接電極と前記バック電極が前記曲率部において対向する場合には前記溶接電極を固定しバック電極を前記ワークテーブルの平面内において回転させ、前記溶接電極と前記バック電極が前記直線部において対向する場合には前記バック電極を固定し前記溶接電極を前記バック電極に沿って移動させる
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
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