JP2012099697A - 回路基板、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属板と、金属板の一方の面の上に形成された絶縁層と、絶縁層の露出面に形成された導体回路で形成された回路基板であり、絶縁層を構成する組成物がエポキシ樹脂、硬化剤及び無機フィラーを含有する。無機フィラーは第一無機フィラーと第二無機フィラーの混合体であり、第一無機フィラーが熱伝導率10W/(m・K)以上270W/(m・K)以下のものであり、第二無機フィラーが全放射率0.65以上0.98以下のものである。
【選択図】図1
Description
本発明にあっては、無機フィラーを、高い熱伝導率を有する第一無機フィラーと、高い全放射率を有する第二無機フィラーとの混合体にしたので、回路基板に高熱伝導性及び高熱放射性を与えることができた。
絶縁層を構成する組成物の一つであるエポキシ樹脂としては、回路基板の絶縁層として必要な絶縁性、他の素材との密着性、耐熱性を有するものであればよく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂があり、多官能エポキシ樹脂としてはクレゾールのノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂がある。これらエポキシ樹脂の中でも、絶縁性、他の素材との密着性、耐熱性のバランスが優れたビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、エポキシ当量で400以下であるものがさらに好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ基と反応する活性水素化合物や酸無水物基を有する化合物が好ましい。活性水素化合物としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボキシル基、チオール基を有する化合物が好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ基と硬化剤の反応を促進するため、硬化触媒を加えるのが好ましい。硬化触媒としては、3級アミン、イミダゾール類、オニウム化合物のボロン塩がある。
溶剤は、エポキシ樹脂及び硬化剤と相溶するものであるのが好ましく、配合量は、あまりに多いと絶縁層中に残存した溶剤により熱硬化時に欠陥が発生し耐電圧に悪影響を及ぼすため、エポキシ樹脂、硬化剤、無機フィラーの総量に対して20質量部未満が好ましい。
絶縁層の熱伝導率は、無機フィラーの組成及び配合量によって影響を受けるが、あまりに小さいと回路基板上で発生した熱の放散や熱放射の率が少なくなる傾向にあるので、1.0W/(m・K)以上が好ましく、さらに好ましくは2.0W/(m・K)以上である。
熱伝導率の測定は、次の要領で行った。
本発明の実施例、比較例に係る回路基板の導体回路上にTO−220型トランジスタを半田付けし、水冷した放熱フィン上に放熱グリースを介して固定し、トランジスタに通電し、発熱させ、定常状態になった後でトランジスタと金属板の温度差を測定し、熱抵抗を算出した。熱抵抗値は、放熱グリースの熱抵抗値を補正した後、絶縁層の熱伝導率を次式より計算した。
熱伝導率=絶縁層の厚み÷(熱抵抗×トランジスタ実装面積)
ここで、熱伝導率の単位はW/(m・K)、絶縁層の厚みはm、熱抵抗の単位はK/W、トランジスタ実装面積はm2である。
本発明において絶縁層の全放射率とは、黒体の全放射出力に対する、絶縁層の全放射出力の比である。
回路基板の絶縁層の全放射率の測定は、次の要領で行った。
フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 IR-Prestige-21)と拡散反射付属装置(島津製作所製 DRA-8000A)とを用いて温度90℃、波長2.5〜25μmにて絶縁層の反射率(%)を測定し、次式より絶縁層の分光放射率を計算した。
絶縁層の分光放射率
=絶縁層の吸収率(%)÷100=(100(%)−絶縁層の反射率(%))÷100
プランクの放射則を用いて、90℃の黒体の分光放射出力を算出し、波長2.5〜25μmで黒体の分光放射出力を積分し、黒体の全放射出力とした。
黒体の分光放射出力に絶縁層の分光放射率を掛けて絶縁層の分光放射出力を算出し、波長2.5〜25μmで絶縁層の分光放射出力を積分し、絶縁層の全放射出力とし、絶縁層の全放射率を次式より計算した。
絶縁層の全放射率=絶縁層の全放射出力/黒体の全放射出力
絶縁層の全放射率は、無機フィラーの組成及び配合量によって影響を受けるが、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましい。放射率が0.60より小さいと、熱放射による放熱効果を得ることが困難である。
絶縁層の厚みは、あまりに薄いと耐電圧が低下する傾向にあり、あまりに厚いと放熱性が低下する傾向にあるので、40μm以上180μm以下が好ましい。
絶縁層の耐電圧は、あまりに小さいと半導体部品の電圧印加時に絶縁破壊が発生する可能性があるため、1.0kV以上が好ましく、より好ましくは2.0kV以上である。
金属板を構成する金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス、マグネシウム、シリコン及びこれらの合金がある。放熱性、軽量性、加工性の面でバランスが取れているアルミニウムが好ましい。金属板と絶縁層との密着性を向上させるため、金属板の絶縁層側の面にアルマイト処理、アルカリ洗浄、羽布研磨、サンドブラスト、エッチング、メッキ処理、カップリング剤によるプライマー処理等の表面処理を行うことが好ましい。
導体回路を構成する金属としては、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス、ニッケル、金及びこれらの合金やクラッド箔があり、絶縁接着層との密着性を向上させるため、絶縁層と密着する側の面に脱脂処理、サンドブラスト、エッチング、メッキ処理、カップリング剤等のプライマー処理等の表面処理を行うことが好ましい。
この電子機器は、上述の回路基板を用いているため、放熱性、高熱伝導性及び高熱放射性を有し、これにより熱に起因する部品の誤作動、性能の低下や劣化、さらには信頼性低下が生じ難いものである。
本発明に係る実施例1の回路基板は、図1に示すように、金属板1と、金属板1の一方の面の上に形成された絶縁層2と、絶縁層2の露出面に形成された導体回路3を有するものである。導体回路3のパターンは、一例であり、細い回路パターンや後述する電子部品4とのワイヤボンディングの表示は省略した。表1の第一無機フィラー及び第二無機フィラーの素材名における数値は、体積%である。
得られた基板について、銅箔上の局所をエッチングレジストでマスクして、不要な部分の銅箔をエッチングにより除去した後、エッチングレジストをアルカリ水溶液にて剥離し、導体回路3を形成し、回路基板とした。
この回路基板に、導体回路3の上に半導体部品4としてのLEDを搭載した。
表1にある平均粒径(単位:μm)は、無機フィラーを純水中で分散させ、レーザー回折式粒度分布装置(島津製作所社製SALD−2000)にて測定したものである。
既述の説明どおりに測定した。
既述の説明どおりに測定した。
回路基板の導体回路3の上にLEDを半田付けし、電圧を印可し、空気中の自然対流下で定常状態になった後で、最高温度を赤外線サーモグラフィ(山武商会社製FLIR SC600)にて測定した。
2 絶縁層
3 導体回路
4 半導体部品
Claims (8)
- 金属板と、金属板の一方の面の上に形成された絶縁層と、絶縁層の露出面に形成された導体回路を有し、絶縁層を構成する組成物がエポキシ樹脂、硬化剤及び無機フィラーを含有し、無機フィラーが第一無機フィラーと第二無機フィラーの混合体であり、第一無機フィラーが熱伝導率10W/(m・K)以上270W/(m・K)以下のものであり、第二無機フィラーが全放射率0.65以上0.98以下のものである回路基板。
- 第一無機フィラーが、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムの単体又は混合体である請求項1記載の回路基板。
- 第二無機フィラーが、カーボンブラック、酸化チタン、ジルコニア、酸化マンガン、酸化タングステン、三酸化モリブデン、酸化鉄、五酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化アンチモン含有酸化錫の単体又は混合体である請求項1又は2記載の回路基板。
- 第一無機フィラーが絶縁層を構成する組成物中5体積%以上85体積%以下、第二無機フィラーが絶縁層を構成する組成物中0.001体積%以上40体積%以下であり、第一無機フィラーと第二の無機フィラーの総量が絶縁層を構成する組成物中5.001体積%以上90体積%以下である請求項1乃至3のいずれか一項記載の回路基板。
- 第一無機フィラーの平均粒径が10μm以上40μm以下、第二無機フィラーの平均粒径が8μm以下である請求項1乃至4のいずれか一項記載の回路基板。
- 絶縁層の全放射率が0.60以上である請求項1乃至5のいずれか一項記載の回路基板。
- 金属板と導体回路の間の熱抵抗より算出した絶縁層の熱伝導率が1.0W/(m・K)以上である請求項1乃至6のいずれか一項記載の回路基板。
- 請求項1乃至7のいずれか一項記載の回路基板と、回路基板に搭載された電子部品を有する電子機器。
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JP2010247195A JP2012099697A (ja) | 2010-11-04 | 2010-11-04 | 回路基板、電子機器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016524033A (ja) * | 2013-10-29 | 2016-08-12 | 廣東生益科技股▲ふん▼有限公司Shengyi Technology Co.,Ltd. | 熱硬化性樹脂組成物及びその用途 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001057408A (ja) * | 1999-06-09 | 2001-02-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | パワーモジュールとその製造方法 |
JP2002322372A (ja) * | 2001-04-26 | 2002-11-08 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 樹脂組成物およびそれを用いた金属ベース回路基板 |
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