JP2012095370A - 鉄心製造方法及び鉄心製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な制御で最終工程を行うことができる積層鉄心の製造技術を提供する。
【解決手段】各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する際に、鉄心材10の複数の加工対象部分において円弧状部材21を形成して鉄心材に押し戻し、押し戻された円弧状部材を押圧手段60により押下して鉄心材10から分離させ、この分離が行われる毎に、分離された円弧状部材を、受取り済みの円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次各円弧状部材を、積層鉄心を構成する位置に配置する。
【選択図】図2
【解決手段】各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する際に、鉄心材10の複数の加工対象部分において円弧状部材21を形成して鉄心材に押し戻し、押し戻された円弧状部材を押圧手段60により押下して鉄心材10から分離させ、この分離が行われる毎に、分離された円弧状部材を、受取り済みの円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次各円弧状部材を、積層鉄心を構成する位置に配置する。
【選択図】図2
Description
本発明は、各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する鉄心製造方法及び鉄心製造装置に関する。
従来、電磁鋼板をプレス加工等して得られる円環状の薄板部材を、数十枚から数百枚積層した積層鉄心からなるモータコアが知られている。薄板部材の厚さは0.15〜0.5mm程度であり、薄いほどエネルギー効率が良好であるとされている。さらに、歩留りを改善するために、円環状の薄板部材を、複数に分割した円弧状の薄板部材により構成するようにしたものも知られている。
たとえば、特許文献1には、円弧状の複数の薄板セグメントにより1枚の円環状の薄板部材を構成し、これを多数積層して結合させることにより成層鉄心を製造する装置が記載されている。円弧状の薄板セグメントの中心角は360°/nであり、n枚の薄板セグメントにより1枚の円環状の薄板部材が構成される。隣接する各層の円環状の薄板部材は、それらを構成する各円弧状の薄板セグメントが、れんが積みのようにずれて重なるように、ずらして積層される。
この装置においては、薄板セグメントはプレス機で母型内に打ち抜かれる。上述のnが3であるとすれば、打抜かれた薄板セグメントは、母型の回転により、周方向に120°回転される。そして、次の薄板セグメントが打ち抜かれる。打ち抜かれた薄板セグメントは隣接する他の薄板セグメントと互いに結合される。このようにして3枚の薄板セグメントにより1枚の円環状の薄板部材が構成されると、母型が60°回転された後、その薄板部材の上に、次の層の円環状の薄板部材が同様にして構成される。
これによれば、薄板セグメントの打抜き及び薄板部材の積層が、母型を保持して一体的に回転する機構により行われるので、成層鉄心の製造装置をコンパクトに構成することができる。
しかしながら、上述の成層鉄心の製造装置によれば、最終工程において、切断加工により薄板セグメントを薄板素材から母型内に切り離すとともに、切断加工を行う毎に、母型を所定角度回転させるようにしているので、薄板素材の送りピッチと、母型の回転位置の置決めとを同時に高い精度で制御する必要がある。したがって、薄板素材及び母型の位置決め制御が複雑となり、装置のコストが高くなる。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、より簡便な制御で最終工程を行うことができる積層鉄心の製造技術を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明の鉄心製造方法は、各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する鉄心製造方法であって、帯状の鉄心材における複数の加工対象部分を第1及び第2の位置に順次移送する移送工程と、前記第1位置で、各加工対象部分において所定の加工を施すことにより、前記円弧状部材を形成し、前記鉄心材へ押し戻す形成工程と、前記第2位置で、前記鉄心材に押し戻された円弧状部材を押下して該鉄心材から分離させる分離工程と、前記分離工程が行われる毎に、分離されて下降する円弧状部材を、先に下降して一層を構成した複数の円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次下降した円弧状部材を、前記積層鉄心を構成する位置に配置する積層工程とを具備することを特徴する。
これによれば、最終の分離工程及び積層工程においては、鉄心材に押し戻された円弧状部材を押下して鉄心材から分離させ、積層ガイドに受け渡すだけでよいため、従来のように、鉄心材の送りピッチと、回転するダイの置決めとを同時に高い精度で制御する必要がないので、最終の分離工程及び積層工程を簡便な制御で行うことができる。
また、最終工程に至る前に不要部分のほとんどを予め打ち抜いて除去する従来の場合に比べ、形成工程において鉄心材に押し戻される円弧状部材により、最終の分離工程及び積層工程に至るまで、ある程度鉄心材の剛性が維持されるので、鉄心材の両側のさん幅を小さくし、歩留りを向上させることができる。また、不要部分を予め打ち抜いて除去する工程が不要となるため、生産速度を向上させることができる。
本発明の鉄心製造方法においては、前記第1位置は、第3及び第4の位置を含み、前記移送工程は、各加工対象部分を前記第3位置及び第4位置に順次移送する工程を備え、前記形成工程は、前記第3位置で、各加工対象部分において半抜き加工を施すことにより前記円弧状部材となる部分を半抜きする半抜き工程と、前記第4位置で、前記半抜き加工を経た加工対象部分に平押し加工を施すことにより、前記半抜きされた部分を前記鉄心材から切断して前記円弧状部材を形成し、該鉄心材に押し戻す平押し工程とを備えるようにしてもよい。
これによれば、半抜きされた部分を平押し加工により鉄心材から切断し、円弧状部材を形成するようにしているので、円弧状部材の形成時にバリが発生し難くすることができる。
また、本発明の鉄心製造装置は、各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する鉄心製造装置であって、帯状の鉄心材における複数の加工対象部分を第1及び第2の位置に順次移送する移送手段と、前記第1位置で、各加工対象部分において所定の加工を施すことにより、前記円弧状部材を形成し、前記鉄心材へ押し戻す形成手段と、前記第2位置で、前記鉄心材に押し戻された円弧状部材を押下して該鉄心材から分離させる分離手段と、前記分離手段による分離が行われる毎に、分離されて下降する円弧状部材を、先に下降して一層を構成した複数の円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次下降した円弧状部材を、前記積層鉄心を構成する位置に配置する積層手段とを具備することを特徴する。
これによれば、上述の鉄心製造方法の場合と同様に、円弧状部材を鉄心材から分離して積層する最終工程を簡便な制御で行うことができる。また、鉄心材の両側のさん幅を小さくし、歩留りを向上させることができる。また、不要部分の打抜きを不要とし、生産速度を向上させることができる。
本発明の鉄心製造装置においては、前記第1位置は、第3及び第4の位置を含み、前記移送手段は、各加工対象部分を前記第3位置及び第4位置に順次移送するものであり、前記形成手段は、前記第3位置で、各加工対象部分において半抜き加工を施すことにより前記円弧状部材となる部分を半抜きする半抜き手段と、前記第4位置で、前記半抜き加工を経た加工対象部分に平押し加工を施すことにより、前記半抜きされた部分を前記鉄心材から切断して前記円弧状部材を形成し、該鉄心材に押し戻す平押し手段とを備えるようにしてもよい。
これによれば、上述の鉄心製造方法の場合と同様に、円弧状部材の形成時にバリが発生し難くすることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る鉄心製造装置により鉄心材が加工される様子を示す。この鉄心製造装置は、ステータコアを積層鉄心として製造するためのものである。この積層鉄心は、同図に示すように、帯状の鉄心材10を加工して得られる3枚の円弧状部材21により1つの環状層20を構成し、環状層20を所定数積層して結合させることにより製造される。
鉄心材10は電磁鋼板を帯状に薄く加工したものであり、一定の板厚を有する。板厚は、0.15〜0.5mm程度である。円弧状部材21の中心角は120°である。したがって、3枚の円弧状部材21により積層鉄心の1層分の環状層20が構成される。積層鉄心は所定数の環状層20が積層されたものとして構成される。なお、1つの環状層20を構成する円弧状部材21の枚数は、3枚に限らず他の枚数、たとえば2枚や4枚、6枚等であってもよい。ただし、この枚数は、多いほど歩留りは向上するが、生産速度は低下する。
同図に示すように、鉄心材10は、所定の送りピッチで送られながら、複数の加工工程を経て、円弧状部材21に形成される。加工工程には、円弧状部材21となる部分を半抜きする半抜き工程A、半抜きされた円弧状部材21となる部分を鉄心材10に押し戻すことにより鉄心材10から完全に切断し、円弧状部材21を形成する平押し工程B、及び鉄心材10に押し戻された円弧状部材21を鉄心材10から分離し、下方の環状層20上に結合させる分離工程Cが含まれる。
ただし、半抜き工程Aに先立ち、各加工工程における鉄心材10の位置決めに必要なパイロット孔11の形成、ステータコアの巻き線スロットとなる部分22の打抜き、ステータコアをモータに組み付ける際に用いる孔23の形成、及び円弧状部材21をかしめにより結合させるための半抜き穴24の形成が行われる。
図2は鉄心製造装置の要部を説明するための説明図である。同図に示すように、この鉄心製造装置は、鉄心材10をY方向に断続的に所定の送りピッチで送る送り手段30と、半抜き工程Aにおける半抜きを行う半抜き手段40と、平押し工程Bにおける平押し加工を行う平押し手段50と、分離工程Cにおける分離及び結合を行う押圧手段60とを備える。
鉄心製造装置はまた、押圧手段60により結合される円弧状部材21が積層鉄心を構成する位置に配置されるように、押圧手段60により結合された円弧状部材21を保持して回転する積層ガイド70を備える。
半抜き手段40は、円弧状部材21の輪郭に対応する形状を有するダイ41と、ダイ41に対して鉄心材10の円弧状部材21となる部分を押し込むことにより該部分を半抜きするメインパンチ42と、カウンタ荷重を付与するカウンタパンチ43とを備える。図2中の51はダイ41を保持するダイプレートであり、52はメインパンチ42が半抜きを行うとき、鉄心材10を押さえ、かつメインパンチ42を案内するストリッパプレートである。
カウンタパンチ43は、メインパンチ42が鉄心材10をダイ41に押し込む間、半抜きされる鉄心材10部分の下面に対し、メインパンチ42の押圧力に抗して、上方向のカウンタ荷重を付与する。このカウンタ荷重を生じさせるために、カウンタパンチ43は皿ばね等により上方向に付勢されている。
平押し手段50はダイプレート51及びストリッパプレート52により構成される。すなわち、メインパンチ42が半抜き工程Aにおける半抜きを行うために下降するとき、ストリッパプレート52も下降する。このとき、既に半抜き工程Aを経て半抜きされた鉄心材10の部分13に対し、ダイプレート51及びストリッパプレート52により、平押し工程Bにおける平押し加工が施される。つまり、半抜き工程Aから分離工程Cに至るまでの間のアイドル工程において、自動的に平押し工程Bが行われる。
押圧手段60は、ストリッパプレート52により上下方向に案内される押圧部材61を備える。半抜き工程Aにおける半抜きを行うためにストリッパプレート52が下降して鉄心材10をダイプレート51との間で押さえたとき、押圧部材61が下降する。このとき押圧部材61は、平押し工程Bにおいて押し戻された円弧状部材21を押圧して鉄心材10から分離させ、さらに下方の積層ガイド70上に支持された環状層20上に結合させる。
積層ガイド70は、積層された各層の環状層20の外周に沿った円筒形状の内壁71と、積層された環状層20を支持する支持部材72とを備える。積層ガイド70は支持部材72と一体的に中心軸73の周りで回転し得るように支持されており、回転機構73により回転位置が制御される。回転機構73は、積層ガイド70の外周に固定されたプーリ、該プーリを回転させる歯付ベルト等により構成することができる。
支持部材72は環状層20の積層数に応じ、上下方向の位置が、図示していない駆動手段により制御される。すなわち支持部材72は、環状層20が積層されていない初期状態においては、ダイプレート51の上面よりやや下の所定位置まで上昇し、環状層20の積層数が増加するに従って下降するように制御される。これにより、支持している一番上の環状層20の上面が、該所定位置に位置するように制御される。
積層ガイド70は、分離工程Cが行われる毎に、中心軸73の周りに所定角度だけ回転するように制御される。この回転により、積層ガイド70によって支持されている円弧状部材21も、その周方向に、所定角度だけ回転することになる。この回転は、最上の環状層20に順次結合されてゆく円弧状部材21が、積層鉄心を構成する位置に配置されるように行われる。
図3は環状層20が形成される様子を示す。同図に示すように、1つの環状層20(20i)が3枚の円弧状部材21(21a〜21c)により構成され(同図(e))、かつ円弧状部材21がレンガ積み状に重なるように、所定角度の回転は、120°で2回(同図(b)及び(d))、60°で1回(同図(f))という回転を繰り返すことにより行われる。
すなわち、積層ガイド50は、i−1番目の環状層20i−1の上に、i番目の環状層20iを構成する最初の円弧状部材21aを受け取ると(同図(a))、120°回転する(同図(b))。そして、次の円弧状部材21bを受け取ると(同図(c))、さらに120°回転し(同図(d))、次の円弧状部材21cを受け取る(同図(d))。これにより、i番目の環状層20iを構成する位置に対する3枚の円弧状部材21a〜21cの配置が完了する(同図(e))。
次に、積層ガイド50は、60°回転する(同図(f))。このとき、支持部材72が1つの環状層20の厚さ分だけ下降する。この後、同図(a)と同様にして、次のi+1番目の環状層20を形成するための円弧状部材21dを受け取る(同図(g))。このようにして、各環状層20が3枚の円弧状部材21で構成され、かつ各円弧状部材21がレンガ積み状に重なった積層鉄心を構成するように、円弧状部材21が配置される。
この構成において、積層鉄心を製造する際には、装置各部の動作が図示していない装置の制御部及び制御機構により次のように制御される。すなわち、送り手段30により、鉄心材10が所定の送りピッチでY方向に送られる。これにより、鉄心材10上の各加工対象部分が順次、各加工位置に移送される。各加工位置には、上述の加工工程A〜Cが含まれる。各加工位置における正確な位置決めは、パイロット孔11を用いて行われる。
各加工対象部分に対しては、図1に示すように、複数の加工工程を経てパイロット孔11、巻き線スロット部分22、及び半抜き穴24が設けられた後、順次加工工程A〜Cにおける加工が行われる。加工工程A〜Cを行うに際し、ストリッパプレート52は一定周期で上下動する。図2においては、ストリッパプレート52が下降し、鉄心材12をダイプレート51との間で挟んでいるときの様子が示されている。
ストリッパプレート52の上下動に同期し、鉄心材10が所定ピッチでY方向に順次送られる。鉄心材10の送りは、ストリッパプレート52が上昇位置にあるときに行われる。このとき、鉄心材10の両側端は図示していない送りガイドにより支持され、鉄心材10はダイプレート51から持ち上げられた状態で送られる。
ストリッパプレート52の上下動に同期して、鉄心材10上の異なる加工対象部分についての加工工程A〜Cが、図2に示すように、加工位置Pa〜Pcにおいて並行して行われる。
図4(a)〜(f)は加工位置Paで行われる半抜き工程Aにおけるプレス下死点からプレス上死点までの装置の動作を示す。加工位置Paにおいては、まず、メインパンチ42及びストリッパプレート52が一体となって下降する。ストリッパプレート52が下降すると、鉄心材10を持ち上げている送りガイドも押し下げられる。
そして、ストリッパプレート52がダイ41との間で鉄心材10を挟むと、メインパンチ42はカウンタパンチ43によるカウンタ荷重に抗して、ストリッパプレート52から突出し、鉄心材10をダイ41内に押し込み、同図(a)に示すように、下死点に至る。下死点の位置は、鉄心材10の板厚の20〜30%程度が切断されずに残るように設定されている。
これにより、円弧状部材21となる部分13が半抜きされた状態となる。次に、メインパンチ42が上昇してカウンタパンチ43が元のレベルに復帰し、ストリッパプレート52が上昇を開始する(同図(b)〜(d))。これに伴い、押し下げられていた送りガイドも復帰し、鉄心材10が持ち上げられる(同図(d))。
その後、メインパンチ42がストリッパプレート52とともにさらに上昇し(同図(e))、上死点に至ると(同図(f))、鉄心材10の送りが開始される。これにより、加工工程Aによる半抜き加工が完了する。
加工位置Pbにおいては、図2に示すように、ストリッパプレート52が下降し、鉄心材10をダイプレート51との間で挟む平押し加工が行われる。これにより、加工工程Aにおいて半抜きされた部分13が、鉄心材10内に押し戻される。これにより、半抜きされた部分13は鉄心材10から完全に切断され、円弧状部材21に成形される。押し戻された円弧状部材21は、加工位置Pcにおいて鉄心材10から分離されるまで、鉄心材10により保持される。
加工位置Pcにおいては、ストリッパプレート52が下降し、鉄心材10がダイプレート51との間で押さえられたとき、鉄心材10に嵌合している円弧状部材21が押圧部材61により押下され、下方の積層ガイド70により支持されている環状層20上に押圧される。これにより、円弧状部材21は鉄心材10から分離し、環状層20と結合する。
この結合は、円弧状部材21の半抜き穴24の凸形状が、下方の環状層20の対応する半抜き穴24の凹形状に嵌合することにより行われる。ただし、結合する円弧状部材21は、図3(g)のように、下の環状層20の円弧状部材21に対し、60°ずれているので、下の2つの円弧状部材21に跨って、これらの円弧状部材21と結合する。
このようにして積層ガイド70が順次受け取る円弧状部材21は、図3のように、積層ガイド70の回転、及び支持部材72の上下動により、積層鉄心を構成する位置に配置され、積層される。
つまり、結合された円弧状部材21が1つの環状層20を構成する1枚目又は2枚目の円弧状部材21である場合には、積層ガイド70は、その円弧状部材21を受け取った後、120°回転する(図3(a)〜(d))。3枚目の円弧状部材21である場合には、次の円弧状部材21を60°ずらしてレンガ積みのように重ねるために、60°回転し、支持部材72を環状層20の厚さ分だけ下降させる(図3(e)、(f))。
なお、加工位置Pcにおいて切り離された円弧状部材21が、1つの積層鉄心における最初の環状層20を構成するものである場合には、その円弧状部材21の半抜き穴24を、半抜き穴ではなく、貫通孔として形成することにより、不要な凸部が積層鉄心の下端に形成されるのを回避することができる。
このようにして、数十〜数百の環状層20の積層が完了すると、積層された環状層20は、積層ガイド70から積層鉄心として取り出される。
本実施形態によれば、最終の分離工程Cを簡便な制御により行うことができる。すなわち、従来は、最終工程において、円弧状部材を鉄心材から分離させるために、回転するダイを用いた切断加工を行うようにしていたため、鉄心材の送りピッチと、ダイの回転位置の置決めとを同時に高い精度で制御する必要があった。
これに対し、本実施形態では、半抜き加工及び平押し加工により円弧状部材21を鉄心材10に押し戻して形成し、その後、最終工程においては、鉄心材10中の円弧状部材21を押下して分離させ、積層ガイド70上の環状層20に結合させるようにしたため、ダイの置決めが不要となり、最終工程を簡便な制御で行うことができる。
また、最終工程に至る前に不要部分のほとんどを予め打ち抜いて除去する従来の場合に比べ、平押し工程Bにおいて鉄心材10に押し戻される円弧状部材21により、最終の分離工程Cに至るまで、ある程度鉄心材10の剛性が維持されるので、鉄心材10の両側に設けるさん幅を小さくし、歩留りを向上させることができる。また、不要部分を予め打ち抜いて除去する工程が不要となるため、生産速度を向上させることができる。
図5は本発明の他の実施形態に係る鉄心製造装置におけるプッシュバック工程での動作を示す。この装置においては、上述の半抜き工程A及び平押し工程Bの代わりにこのプッシュバック工程を採用し、この工程により円弧状部材21の形成及び鉄心材10への押し戻しを行うようにしている。したがってこの装置は、半抜き工程A及び平押し工程Bを行うための構成の代わりにプッシュバック工程を行うための構成を備える。他の構成及び工程は、上述図1〜図3の実施形態の場合と同様である。
図5に示すように、本実施形態の鉄心製造装置は、プッシュバック工程を行うための構成として、円弧状部材21の輪郭に対応する形状を有するダイ81と、ダイ81に対して鉄心材10の円弧状部材21となる部分を押し込むことにより該部分を打ち抜いて円弧状部材21を形成するメインパンチ82と、カウンタ荷重を付与するカウンタパンチ83と、メインパンチ82が打抜きを行うとき、鉄心材10を押さえ、かつメインパンチ82を案内するストリッパプレート84とを備える。
カウンタパンチ83は、メインパンチ82が鉄心材10をダイ81に押し込む間、打ち抜かれる鉄心材10部分の下面に対し、メインパンチ82の押圧力に抗して、上方向のカウンタ荷重を付与する。このカウンタ荷重を生じさせるために、カウンタパンチ83は皿ばね等により上方向に付勢されている。
プッシュバック工程においては、まず、メインパンチ82及びストリッパプレート84が一体となって下降する。ストリッパプレート84が下降すると、鉄心材10を持ち上げている送りガイドも押し下げられる。
そして、ストリッパプレート84がダイ81との間で鉄心材10を挟むと、メインパンチ82はカウンタパンチ83によるカウンタ荷重に抗して、ストリッパプレート84から突出し、鉄心材10をダイ81内に押し込み、同図(a)に示すように、下死点に至る。
これにより、円弧状部材21となる部分が打ち抜かれ、円弧状部材21に形成される。なお、下死点の位置は、円弧状部材21となる部分が完全に打ち抜かれることなく、鉄心材10の板厚の20〜30%程度が切断されずに残るように設定するようにしてもよい。
次に、メインパンチ82が上昇するとともに、これに追従してカウンタパンチ83が元のレベルに復帰する(同図(b))。これにより、形成された円弧状部材21は鉄心材10に押し戻され、鉄心材10により保持される。なお、上述のように、下死点の位置を、円弧状部材21となる部分が半抜き状態となるように設定した場合には、この押し戻しにより該部分の切断が完了し、円弧状部材21が形成されることになる。
メインパンチ82がさらに上昇すると(同図(c))、ストリッパプレート84も上昇を開始する(同図(d))。これに伴い、押し下げられていた送りガイドも復帰し、鉄心材10が持ち上げられる(同図(d))。
その後、メインパンチ82がストリッパプレート84とともにさらに上昇し(同図(e))、上死点に至ると(同図(f))、鉄心材10の送りが開始される。これにより、プッシュバック工程が完了する。プッシュバック工程において鉄心材10に押し戻された円弧状部材21は、上述の分離工程Cにおいて、鉄心材10から分離され、下方の環状層20上に結合されることになる。
なお、本発明は、上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては言及しなかったが、各環状層20間の結合を、レーザ光による溶接により強化させるようにしてもよい。また、各環状層20間の結合を、打抜き孔24を用いたかしめにより行う代わりに、接着剤により接着することにより行うようにしてもよい。
また、上述においては、積層鉄心としてステータコアを製造する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ロータコア等の他の積層鉄心を製造する場合にも適用することができる。
10…鉄心材、20…環状層、21…円弧状部材、30…送り手段、40…半抜き手段、41,81…ダイ、42,82…メインパンチ、43,83…カウンタパンチ、50…平押し手段、51…ダイプレート、52,84…ストリッパプレート、60…押圧手段、61…押圧部材、70…積層ガイド。
Claims (4)
- 各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する鉄心製造方法であって、
帯状の鉄心材における複数の加工対象部分を第1及び第2の位置に順次移送する移送工程と、
前記第1位置で、各加工対象部分において所定の加工を施すことにより、前記円弧状部材を形成し、前記鉄心材へ押し戻す形成工程と、
前記第2位置で、前記鉄心材に押し戻された円弧状部材を押下して該鉄心材から分離させる分離工程と、
前記分離工程が行われる毎に、分離されて下降する円弧状部材を、先に下降して一層を構成した複数の円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次下降した円弧状部材を、前記積層鉄心を構成する位置に配置する積層工程とを具備することを特徴する鉄心製造方法。 - 前記第1位置は、第3及び第4の位置を含み、
前記移送工程は、各加工対象部分を前記第3位置及び第4位置に順次移送する工程を備え、
前記形成工程は、
前記第3位置で、各加工対象部分において半抜き加工を施すことにより前記円弧状部材となる部分を半抜きする半抜き工程と、
前記第4位置で、前記半抜き加工を経た加工対象部分に平押し加工を施すことにより、前記半抜きされた部分を前記鉄心材から切断して前記円弧状部材を形成し、該鉄心材に押し戻す平押し工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の鉄心製造方法。 - 各層が複数の円弧状部材からなる環状の積層鉄心を製造する鉄心製造装置であって、
帯状の鉄心材における複数の加工対象部分を第1及び第2の位置に順次移送する移送手段と、
前記第1位置で、各加工対象部分において所定の加工を施すことにより、前記円弧状部材を形成し、前記鉄心材へ押し戻す形成手段と、
前記第2位置で、前記鉄心材に押し戻された円弧状部材を押下して該鉄心材から分離させる分離手段と、
前記分離手段による分離が行われる毎に、分離されて下降する円弧状部材を、先に下降して一層を構成した複数の円弧状部材の上に受け取り、該円弧状部材の周方向に所定角度だけ回転させることにより、順次下降した円弧状部材を、前記積層鉄心を構成する位置に配置する積層手段とを具備することを特徴する鉄心製造装置。 - 前記第1位置は、第3及び第4の位置を含み、
前記移送手段は、各加工対象部分を前記第3位置及び第4位置に順次移送するものであり、
前記形成手段は、
前記第3位置で、各加工対象部分において半抜き加工を施すことにより前記円弧状部材となる部分を半抜きする半抜き手段と、
前記第4位置で、前記半抜き加工を経た加工対象部分に平押し加工を施すことにより、前記半抜きされた部分を前記鉄心材から切断して前記円弧状部材を形成し、該鉄心材に押し戻す平押し手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載の鉄心製造装置。
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JP2009273202A (ja) * | 2008-05-01 | 2009-11-19 | Nissan Motor Co Ltd | 積層鉄心の製造方法および製造装置、並びに積層鉄心 |
-
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Patent Citations (2)
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