JP2012092538A - 水位制御装置および水位制御方法 - Google Patents

水位制御装置および水位制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下流側ダムの水位のハンチングを抑えつつ、目標とする水位に安定させることができる水位制御装置および水位制御方法を提供する。
【解決手段】下流側ダム3に貯留された水の水位と、上流側ダム2の発電機2Gの出力とを監視して前記下流側ダム3の水位を制御する水位制御装置4であって、前記水位制御装置4は、前記発電機2Gの目標出力Pを演算する目標出力演算部41と、前記目標出力演算部41で演算された前記目標出力Pに基づいて、前記発電機2Gの出力を調整する発電機出力調整部42と、前記発電機2Gの出力を記憶する記憶部44と、を備え、前記目標出力演算部41は、前記下流側ダム3の現在水位Hと、前記記憶部44に記憶された前記発電機2Gの過去の出力とに基づいて、前記目標出力Pを演算する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ダムの水位を制御する水位制御装置および水位制御方法に関するもので、特に上流側ダムの水力発電機の出力を調整して、上流側ダムから放流される水量を調整することで、下流側ダムの水位を制御する水位制御装置および水位制御方法に関する。
特許文献1には、ゲートを開閉制御して放流量を調整することによりダム水位を低下させるよう制御する「水位低下制御モード」またはダム水位を上昇させるよう制御する「ダム水位上昇制御モード」において、ダムの目標全放流量(MQ)を、現在全放流量(TOQ)と比例項(Kp・Δh)を各項とする計算式:MQ=TOQ+Kp・Δh(但し、TOQ:現在全放流量、Kp:比例係数、Δh:水位偏差、Δh=DWL−MWL、DWL:現在ダム水位、MWL:目標ダム水位である。)によって算出するダム水位制御方法が開示されている。
特開2003−330547号公報
上流側ダムと下流側ダムとが連接する連接水系において、上流側ダムの水力発電機の出力を調節して(即ち、ゲートの開度を調節して)、上流側ダムから放流される水量を調整することで、下流への放流量をコントロールして、下流にある下流側ダムの水位を制御する水位制御方法において、従来の水位制御方法では、下流側ダムの水位がハンチングしてしまい、水位を目標とする水位に安定させることができない場合があった。
また、従来の水位制御方法は、下流側ダムの水位変化に対して、上流側ダムの水力発電機の現在出力を基にして、目標となる発電機出力を計算し、出力の調節を行う制御方法であった。しかし、従来の水位制御方法では、上流側ダムから放流された水が下流側ダムに流れ込むまでに要する時間差(流下時間)により、上流側ダムからの放流している水量と下流側ダムに流れ込んでいる水量に差異が発生することがあり、そのような場合に、目標となる発電機出力の計算結果が適正な値とならず、その結果、下流側ダムの水位がハンチングしてしまうことがあった。
そこで本発明は、下流側ダムの水位のハンチングを抑えつつ、目標とする水位に安定させることができる水位制御装置および水位制御方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、下流側ダムに貯留された水の水位と、上流側ダムの発電機の出力とを監視して前記下流側ダムの水位を制御する水位制御装置であって、前記水位制御装置は、前記発電機の目標出力を演算する目標出力演算部と、前記目標出力演算部で演算された前記目標出力に基づいて、前記発電機の出力を調整する発電機出力調整部と、前記発電機の出力を記憶する記憶部と、を備え、前記目標出力演算部は、前記下流側ダムの現在水位と、前記記憶部に記憶された前記発電機の過去の出力とに基づいて、前記目標出力を演算することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、下流側ダムに貯留された水の水位と、上流側ダムの発電機の出力とを監視して前記下流側ダムの水位を制御する水位制御装置の水位制御方法であって、前記水位制御装置は、前記発電機の目標出力を演算する目標出力演算ステップと、前記目標出力演算ステップで演算された前記目標出力に基づいて、前記発電機の出力を調整する発電機出力調整ステップと、前記発電機の出力を記憶する記憶ステップと、を備え、前記目標出力演算ステップは、前記下流側ダムの現在水位と、前記記憶ステップで記憶された前記発電機の過去の出力とに基づいて、前記目標出力を演算することを特徴とする。
本発明によれば、下流側ダムの水位のハンチングを抑えつつ、目標とする水位に安定させることができる水位制御装置および水位制御方法を提供することができる。
上流側ダムと下流側ダムとの関係の説明図である。 本実施形態に係る水位制御装置の機能ブロック図である。 本実施形態に係る水位制御装置が実行する水位制御処理を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る水位制御装置により調整された上流側発電機の出力を示すグラフである。 本実施形態に係る水位制御装置により制御された下流側ダムの水位を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図1は、上流側ダム2と下流側ダム3との関係の説明図である。
連接水系1には、上流側ダム2と、下流側ダム3とが設けられており、上流側ダム2から放流された水は下流側ダム3に流入する。上流側ダム2は、上流側ダム2に貯留された水を下流に放流することにより発電用水車(図示せず)を回転させ発電を行う上流側発電機2Gを備えている。下流側ダム3は、下流側ダム3に貯留された水の水位を検出する下流側ダム水位センサ3Sを備えている。
なお、図1には図示されていないが、上流側ダム2に貯留された水の水位を検出する上流側ダム水位センサ(図示せず)を備えていてもよい。また、図示されていないが、下流側ダム3に貯留された水を下流に放流することにより発電する下流側発電機(図示せず)を備えていてもよい。
≪水位制御装置≫
水位制御装置4は、上流側発電機2Gの出力と、下流側ダム水位センサ3Sを介して下流側ダム3の水位とが入力信号として入力される。また、水位制御装置4は、上流側発電機2Gの出力を調整することにより、下流側ダム3の水位を目標水位H(図5参照)に安定させるように制御する。
水位制御装置4は、所定の制御周期T(図4,5参照)ごとに上流側発電機2Gの目標出力Pを演算する。なお、図4において、制御周期時刻Tにおいて演算された目標出力Pmaである。
そして、水位制御装置4は、上流側発電機2Gの出力が演算された目標出力Pとなるように上流側発電機2Gを調整する。そして、一定時間(次の制御周期時刻まで)上流側発電機2Gの出力を目標出力Pで固定して、下流側ダム3の水位を監視する。この一連の処理を制御周期Tごとに繰り返し実行することで、下流側ダム3の水位を制御する。
図2は、本実施形態に係る水位制御装置4の機能ブロック図である。
水位制御装置4は、目標出力演算部41と、発電機出力調整部42と、発電機出力・水位変化監視部43と、記憶部44とを有している。
目標出力演算部41は、所定の制御周期T(図4,5参照)ごとに上流側発電機2Gの目標出力Pを演算する機能を有している。なお、上流側発電機2Gの目標出力Pを演算する演算方法については、後述する。
発電機出力調整部42は、上流側発電機2Gの出力を目標出力演算部41で演算された目標出力Pとなるように上流側発電機2Gを調整する機能を有している。例えば、発電機出力調整部42は、上流側ダム2の上流側から下流側に連通する管路(図示せず)に設けられたゲート(図示せず)の開度を調整することにより、管路を流れる水の流量を調整して、上流側発電機2Gの出力を調整する。
発電機出力・水位変化監視部43は、上流側発電機2Gの出力を受信して、記憶部44の発電機出力記憶部45に記憶する機能を有している。また、発電機出力・水位変化監視部43は、下流側ダム水位センサ3Sの出力信号を受信して、記憶部44の水位変化記憶部46に記憶する機能を有している。
記憶部44は、時間ごとの上流側発電機2Gの出力を記憶する発電機出力記憶部45と、時間ごとの下流側ダム2の水位を記憶する水位変化記憶部46とを有している。また、記憶部44には、入力部(図示せず)から入力された下流側ダム3の目標水位Hが記憶されている。
図3は、本実施形態に係る水位制御装置4が実行する水位制御処理を説明するフローチャートである。
ステップS101において、水位制御装置4の目標出力演算部41は、上流側発電機2Gの目標出力Pを演算する。
ここで、目標出力Pは、過去の発電機平均出力Pおよび貯水量補正出力Pを用いて、以下に示す式(1)によって定義する。
Figure 2012092538
まず、過去の発電機平均出力Pについて、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る水位制御装置4により調整された上流側発電機2Gの出力を示すグラフである。
ここで、図4に示すTは前回の制御周期時刻であり、Tは今回の制御周期時刻であり、Tは制御周期である。
また、図4に示すように、前回の制御周期時刻Tにおいて、水位制御装置4により、前回の目標出力Pmaが設定され、今回の制御周期時刻Tまでの間、上流側発電機2Gの出力が前回の目標出力Pmaとなるように調整されている。
ここで、上流側ダム2(図1参照)から放流された水が下流側ダム3(図1参照)に流入するまでに経過する時間を流下時間rとする。
流下時間rを考慮すると、前回の制御周期時刻Tから今回の制御周期時刻Tまでにおける下流側ダム3に流入する水と対応する上流側発電機2Gの出力は、補正した前回の制御周期時刻Ta-r(=T−r)から補正した今回の制御周期時刻Tb-r(=T−r)までの上流側発電機2Gの出力(図4のハッチングで示す範囲)に相当する。
このように、過去の発電機平均出力Pは、流下時間rを考慮して、時刻Ta-rから時刻Tb-rまでの上流側発電機2Gの出力の平均値とする。即ち、過去の発電機平均出力Pの計算式は、式(2)のようになる。
Figure 2012092538
次に、貯水量補正出力Pについて、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る水位制御装置4により制御された下流側ダム3の水位を示すグラフである。
ここで、図5に示すTは前回の制御周期時刻であり、Tは今回の制御周期時刻であり、Tは次回の制御周期時刻であり、Tは制御周期である。また、Hは前回の制御周期時刻Tにおける下流側ダム3の水位であり、Hは今回の制御周期時刻Tにおける下流側ダム3の水位であり、Hは下流側ダム3の目標水位である。
下流側ダム3の貯水量は、下流側ダム3の形状により、水位に対して一意に求めることができる。すなわち、下流側ダム3の貯水量Fは、下流側ダム3の水位Hの関数で表すことができる。そのため、下流側ダム3が水位Hの状態における下流側ダム3の貯水量をF(H)とする。前回の制御周期時刻Tから今回の制御周期時刻Tまでにおける下流側ダム3の貯水量の変化速度Qは、式(3)のようになる。
Figure 2012092538
次に、今回の制御周期時刻Tから次回の制御周期時刻Tまでに下流側ダム3が水位が目標水位Hとなるための下流側ダム3の貯水量の理想変化速度Qは、式(4)のようになる。
Figure 2012092538
そして、貯水量の変化速度Qと、貯水量の理想変化速度Qとの差分を補うために、上流側発電機2Gの発電効率(放流量Qと上流側発電機2Gの出力Pとの関係式;P=QP(Q))を用いると、貯水量補正出力Pは、式(5)のようになる。
Figure 2012092538
このように、目標出力演算部41は、上流側発電機2Gの過去の出力と、下流側ダム3の水位変化に基づいて、上流側発電機2Gの目標出力Pを演算する。
図3に戻り、水位制御装置4が実行する水位制御処理の説明を続ける。
ステップS102において、水位制御装置4の発電機出力調整部42は、ステップS101で目標出力演算部41が演算した目標出力Pに基づいて、上流側発電機2G(図1参照)の出力を調整する。なお、上流側発電機2Gの出力調整は、例えば、現在の上流側発電機2Gの出力が目標出力Pよりも大きい場合にはゲート(図示せず)の開度を減少させ、現在の上流側発電機2Gの出力が目標出力Pよりも小さい場合にはゲート(図示せず)の開度を増加させ、現在の上流側発電機2Gの出力が目標出力Pの場合にはゲート(図示せず)の開度を維持させるように調整する。
ステップS103において、水位制御装置4の発電機出力・水位変化監視部43は、上流側発電機2Gの出力を監視して、記憶部44の発電機出力記憶部45に記憶する。また、発電機出力・水位変化監視部43は、下流側ダム水位センサ3Sで取得した下流側ダム3の水位を監視して、記憶部44の水位変化記憶部46に記憶する。
なお、記憶部44の発電機出力記憶部45に記憶された上流側発電機2Gの出力は、ステップS101における過去の発電機平均出力P(上流側発電機2Gの目標出力P)の演算に用いられる。また、記憶部44の水位変化記憶部46に記憶された下流側ダム3の水位は、ステップS101における貯水量補正出力P(上流側発電機2Gの目標出力P)の演算に用いられる。
ステップS104において、水位制御装置4の発電機出力・水位変化監視部43は、制御周期時刻であるか否かを判定する。ここで、制御周期時刻とは、制御周期Tごとに目標出力演算部41が目標出力Pを演算する時刻である。
制御周期時刻である場合には(S104・Yes)、水位制御装置4の処理はステップS101に戻る。一方、制御周期時刻でない場合には(S104・No)、水位制御装置4の処理はステップS102に戻る。
これにより、制御周期時刻まで、上流側発電機2Gの出力を目標出力Pとしつつ、上流側発電機2の出力と下流側ダム3の水位を監視する。制御周期時刻となると、新たに目標出力Pを演算し(S101)、新たに演算された目標出力Pに基づいて上流側発電機2Gの出力を調整する(S102)。
上記処理を繰り返すことにより、水位制御装置4は、下流側ダム3の水位を次回の制御周期時刻における目標水位Hに安定させるもので、自動制御により水位を維持することができる。
本発明は、流下時間rによる制御遅れを考慮し、水力発電機(上流側発電機2G)の過去の出力を基にして、目標となる発電機出力(目標出力P)を計算することで、下流側ダム2に流れ込んでいる水量を基準とした発電機出力のフィードバック制御が可能となるため、水位のハンチングを抑えながら、水位を目標とする水位に安定させることができる。
なお、水位制御装置4の処理は、制御周期時刻となるまで(S104・No)ステップS102に戻り、上流側発電機2Gの現在の出力が目標出力Pとなるように調整し(S102)、上流側発電機2Gの出力と下流側ダム3の水位を監視・記憶する(S103)構成であるものとして説明したが、上流側発電機2Gの出力を固定すれば制御周期T内における出力変化はわずかであると考えられるため、ステップS104でNoの後にステップS103に戻る構成であるものとしてもよい。
また、ステップS103で、上流側発電機2Gの出力を監視した際に、目標出力Pとの差異が所定値以上であった場合にはステップS104・NoからステップS102に戻り、所定値未満であった場合にはステップS104・NoからステップS103に戻る構成であるものとしてもよい。
1 連接水系
2 上流側ダム
2G 上流側発電機(発電機)
3 下流側ダム
3S 下流側ダム水位センサ
4 水位制御装置
41 目標出力演算部
42 発電機出力調整部
43 発電機出力・水位変化監視部
44 記憶部
45 発電機出力記憶部
46 水位変化記憶部
目標水位
目標出力
ma 前回の目標出力
過去の発電機平均出力
貯水量補正出力
貯水量の変化速度
貯水量の理想変化速度
r 流下時間
T 制御周期
前回の制御周期時刻
今回の制御周期時刻
次回の制御周期時刻
a-r補正した前回の制御周期時刻
b-r補正した今回の制御周期時刻

Claims (4)

  1. 下流側ダムに貯留された水の水位と、上流側ダムの発電機の出力とを監視して前記下流側ダムの水位を制御する水位制御装置であって、
    前記水位制御装置は、
    前記発電機の目標出力を演算する目標出力演算部と、
    前記目標出力演算部で演算された前記目標出力に基づいて、前記発電機の出力を調整する発電機出力調整部と、
    前記発電機の出力を記憶する記憶部と、を備え、
    前記目標出力演算部は、
    前記下流側ダムの現在水位と、前記記憶部に記憶された前記発電機の過去の出力とに基づいて、前記目標出力を演算する
    ことを特徴とする水位制御装置。
  2. 前記目標出力演算部は、
    前記上流側ダムから放流された水が前記下流側ダムに流れ込むまでの流下時間を用いて、前記下流側ダムの水位が目標水位に近づけるように、前記発電機の前記目標出力を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の水位制御装置。
  3. 下流側ダムに貯留された水の水位と、上流側ダムの発電機の出力とを監視して前記下流側ダムの水位を制御する水位制御装置の水位制御方法であって、
    前記水位制御装置は、
    前記発電機の目標出力を演算する目標出力演算ステップと、
    前記目標出力演算ステップで演算された前記目標出力に基づいて、前記発電機の出力を調整する発電機出力調整ステップと、
    前記発電機の出力を記憶する記憶ステップと、を備え、
    前記目標出力演算ステップは、
    前記下流側ダムの現在水位と、前記記憶ステップで記憶された前記発電機の過去の出力とに基づいて、前記目標出力を演算する
    ことを特徴とする水位制御方法。
  4. 前記目標出力演算ステップは、
    前記上流側ダムから放流された水が前記下流側ダムに流れ込むまでの流下時間を用いて、前記下流側ダムの水位が目標水位に近づけるように、前記発電機の前記目標出力を演算する
    ことを特徴とする請求項3に記載の水位制御方法。
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