JP2012092372A - 真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸着ステージを移動しながら、多層膜の蒸着を行う場合に、蒸着マスクと基板の熱膨張の差によって、蒸着マスクと基板が位置ずれを起こすことを防止する。
【解決手段】
蒸着ステージにおいて蒸着マスクを介して基板に所定の蒸着を行い、その後蒸着マスク、基板および押さえ板30の組を移動させ、他の蒸着ステージにおいて、蒸着マスクを介して基板に他の蒸着を行う。蒸着マスク、基板、押さえ板30の組が移動している間、冷却ローラ60を押さえ板30に接触させ、蒸着マスクを介して基板に他の蒸着を行っている間は、冷却ローラ60は押さえ板30からは離しておく。冷却ローラ60は金属で形成され、表面に高分子材料がコーティングされており、内部を冷却媒体が流れることが出来る。基板および蒸着マスクの温度が上がって熱膨張することを回避することが出来るので、有機EL表示装置の製作裕度を向上させることが出来る。
【選択図】図3
【解決手段】
蒸着ステージにおいて蒸着マスクを介して基板に所定の蒸着を行い、その後蒸着マスク、基板および押さえ板30の組を移動させ、他の蒸着ステージにおいて、蒸着マスクを介して基板に他の蒸着を行う。蒸着マスク、基板、押さえ板30の組が移動している間、冷却ローラ60を押さえ板30に接触させ、蒸着マスクを介して基板に他の蒸着を行っている間は、冷却ローラ60は押さえ板30からは離しておく。冷却ローラ60は金属で形成され、表面に高分子材料がコーティングされており、内部を冷却媒体が流れることが出来る。基板および蒸着マスクの温度が上がって熱膨張することを回避することが出来るので、有機EL表示装置の製作裕度を向上させることが出来る。
【選択図】図3
Description
本発明は有機EL表示装置の製造装置に係り、真空蒸着装置内において、熱膨張による基板と蒸着マスクのズレを対策した真空蒸着装置に関する。
有機EL表示装置では下部電極と上部電極との間に有機EL層を挟持し、上部電極に一定電圧を印加し、下部電極にデータ信号電圧を印加して有機EL層の発光を制御する。有機EL層は複数の層から構成され、これらの複数の層および上部電極は、真空を破らず、連続して蒸着によって形成される。蒸着は、素子基板に対して蒸着マスクを用いて行われる。
生産効率を上げるために、マザー基板に多数の素子基板を配置して、一度に多数の素子を製造することが行われる。したがって、生産効率を上げるためにマザー基板の大きさが大きくなり、それにしたがって、マスクのサイズも大きくなる。マザー基板と蒸着マスクサイズが大きくなると、マザー基板と蒸着マスク熱膨張差により、蒸着マスクとマザー基板のずれが大きくなる。これは、特にマザー基板の周辺に形成された素子基板において大きな問題になり、製作裕度が小さくなり、製造歩留まりを低下させる原因となっている。
したがって、真空蒸着時において、マザー基板および蒸着マスクの温度を上昇させない構成が望ましいが、真空蒸着は、高温の蒸発源を使用するので、マザー基板および蒸着マスクの温度上昇は避けられない。したがって、温度上昇したマザー基板および蒸着マスクを冷却する構成が必要になる。
「特許文献1」には、真空蒸着装置ではないが、有機EL表示装置において、素子基板に有機EL層等を形成した後、有機EL層を外気の水分から保護するために、封止フィルムを素子基板に貼り付ける機械が記載されている。この機械のなかで、封止フィルムは加熱して素子基板に貼り付け、封止フィルムを剥離するときに冷却する機構として、内部に冷却水が導入された鋼製の円筒ローラによって封止フィルムとガラスを冷却する構成が記載されている。
有機EL表示装置では、素子基板にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、上部電極等の複数の層を連続して蒸着によって形成する必要がある。このために、蒸着マスクと素子基板のペアに蒸着マスクと素子基板が位置ずれをしないように押さえ板を載置したものを、搬送装置によって蒸着装置内を移動させながら蒸着する。なお、蒸着するときは、素子基板が多数形成されたマザー基板の状態で行われるが、以後、マザー基板と素子基板を区別せずに、素子基板と呼ぶ。
有機EL表示装置では、高精細画面とするために、一般には画素のピッチが小さい。例えば、赤、緑、青等のサブ画素の大きさは、10μm×30μm程度の大きさになる場合もある。したがって、素子基板と蒸着マスクのズレは2μm以下というように小さく抑える必要がある。
一方、真空蒸着における蒸着源は高温であり、この輻射熱によって蒸着マスク、素子基板、押さえ板等が加熱され、温度上昇する。蒸着マスクは金属で形成され、素子基板はガラスで形成されているので、熱膨張係数が異なる。したがって、温度上昇すると素子基板と蒸着マスクがずれるという問題を生ずる。
温度上昇による蒸着マスクと素子基板のずれを小さくするために、蒸着マスクには低熱膨張係数を有する材料が使用されている。しかし、ガラスとの熱膨張係数を完全に一致させることは出来ない。一方、蒸着マスク素子基板等は真空中に存在しているために、気体等の対流による冷却効果は無い。したがって、従来は、蒸着工程における蒸着マスクと素子基板の位置ずれが生じており、有機EL表示装置の製作裕度の低下をきたしていた。
本発明の課題は、蒸着工程における熱膨張による、蒸着マスクと素子基板の位置ずれを小さくし、有機EL表示装置の製作裕度を向上させることである。
本発明は上記課題を解決するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
(1)蒸着ステージにおいて蒸着マスクを介して基板に所定の蒸着を行い、その後前記蒸着マスク、前記基板および押さえ板の組を移動させ、他の蒸着ステージにおいて、前記蒸着マスクを介して前記基板に他の蒸着を行う真空蒸着装置であって、前記蒸着マスク、前記基板、前記押さえ板の組が移動している間、冷却ローラを前記押さえ板に接触させ、前記蒸着マスクを介して前記基板に前記他の蒸着を行っている間は、前記冷却ローラは前記押さえ板からは離しておく機構を有し、前記冷却ローラは金属で形成され、表面に熱伝導の良い高分子材料がコーティングされており、内部には冷却媒体が流れることが出来ることを特徴とする真空蒸着装置である。
(2)前記高分子材料は0.5〜1mmの厚さでコーティングされたカルレッツ材料であることを特徴とする。また、前記押さえ板の前記冷却ローラ側表面には熱伝導をより効果的にするために小さな突起が多数形成されていても良い。
(3)また、前記押さえ板の前記基板側には、前記押さえ板と前記基板との熱伝導を向上させるために、熱伝導のよい高分子材料がコーティングされている。この場合の高分子材料としても0.5〜1mmの厚さのカルレッツ材料を使用することができる。カルレッツ材料は真空中でのガス放出が少なく、製品へのガス汚染の影響が少ない。
(4)所定の蒸着ステージから他の蒸着ステージに移動し、蒸着を始める前に、蒸着マスクと基板との位置合わせを行う機構を有するとさらに良い。
本発明によれば、多層蒸着膜を形成するために多数の蒸着を行う場合に、蒸着マスクおよび基板に熱が蓄積され、蒸着マスクおよび、基板が熱膨張して蒸着マスクと基板の位置ずれを生ずることを抑制することが出来るので、有機EL表示装置の製作裕度を向上させることが出来る。
以下、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。
図1は本発明における有機EL表示装置の蒸着工程を示す断面模式図である。図1において、蒸着マスク20の上に素子基板10が配置されている。蒸着マスク20はシートマスク22とマスクフレーム21から構成されている。素子基板10に蒸着するために、多数の小さな孔が形成されているのはシートマスク22である。シートマスク22には短径で10μm程度の小さな孔を空けることが出来るように、10μm以下の薄板が使用される。10μm程度の金属箔は剛性がないために、強度の強いマスクフレーム21によってシートマスク22にテンションをかけ、シートマスク22を所定の形に保っている。マスクフレーム21はシートマスク22にテンションをかけるために剛性が必要であり、厚さは25mm程度である。以後、シートマスク22とマスクフレーム21の組み立て体を蒸着マスク20と呼ぶ。
蒸着マスク20の上には素子基板10が配置される。素子基板10は厚さが0.5mm程度のガラス板である。蒸着マスク20と素子基板10が位置ずれを生じないように、素子基板10の上には、厚さ10mm程度の押さえ板30が配置される。
マスクフレーム21が両端において搬送ローラに載置されている。すなわち、有機EL表示装置においては、多数の蒸着膜を真空を破らずに形成する必要があるので、異なった材料を蒸着するためには、蒸着の場所を移動する必要がある。所定の蒸着膜を形成したあと、図1における搬送ローラ40を回転させて、蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30の組を図1における紙面垂直方向に移動させ、他の位置において、他の蒸着膜を形成する。
図1において、蒸着マスク20の下側には蒸発源50が配置されている。図1においては、蒸発源50は2個存在している。すなわち、2個の蒸発源50から異なった材料を共蒸着して、素子基板10上で所定の材質の膜を形成する。図1は蒸着源の例示であり、蒸着源は1個の場合もあり、3個の場合もある。
図2に蒸発源50の断面図の例を示す。図2において、坩堝52の中に蒸着材料51が配置されている。坩堝52内のオリフィス53は突沸した蒸着材料51が直接基板3へ到達しないよう蒸気の流れを制御する。坩堝52は上部に開口54を有しており、この開口54から素子基板10に向かって蒸着材料51の蒸気が放出される。坩堝52を囲んでヒータ55が配置され、坩堝52を加熱する。
ヒータ55の外側にリフレクタ56が配置され、ヒータ55からの熱を坩堝52側に反射してヒータ55の熱効率を向上させている。ハウジング57によって、坩堝52、ヒータ55、リフレクタ56等を収容している。図2において坩堝52の開口54の外側には防着板58が配置され、蒸気がハウジング57の内側、すなわち、ヒータ55やリフレクタ56に付着することを防止している。
蒸発源50は高温になる。例えば、上部電極にAgを用いるような場合は、坩堝は、Agの融点よりも高い、1200℃程度に加熱される。また、有機EL材料を蒸着する場合も500℃程度になる。また、蒸発源50における開口54および開口出口に配置される防着板58の温度を低くすると、この部分に蒸着材料51が析出して、開口54のつまりを生じたりするので、開口54および防着板58の温度も高く保つ必要がある。
したがって、蒸発源50から、蒸着マスク20、素子基板10等に向けての熱輻射は非常に大きなものとなる。また、蒸発源50と蒸着マスク20との距離は300mmから500mm程度であるので、蒸発源50の輻射熱によって蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30等が加熱され温度上昇する。蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30等が加熱され、温度が上がると、これらの部品は、真空中にあるので、冷却しにくい。さらに、複数の蒸着を行う必要があるので、蒸着を行うたびに、蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30は加熱され、これらの部品に熱が蓄熱する。
蒸着マスク20と素子基板10の温度が上昇すると、熱膨張の差によって蒸着マスク20と素子基板10とにずれが生ずる。蒸着マスク20に熱膨張係数の小さな材料を用い、素子基板10を形成するガラスの熱膨張係数に近く設定しても、完全に一致させることは出来ない。素子基板10に形成された有機EL層等のパターンは高精細なので、熱膨張差によるずれを考慮すると、蒸着マスク20と素子基板10の温度上昇は、1層の蒸着あたり、2℃以内に抑える必要がある。さらに、蒸着毎に温度が上昇する蓄熱効果も抑える必要がある。
図3はこのような問題点を解決するための、本発明の蒸着装置の斜視図である。図3において、真空装置100内に搬送装置が配置されている。矢印101が真空側を指す。真空装置100内の両側に配置された搬送装置の搬送ローラ40に蒸着マスク20が載置されている。図3において、蒸着マスク20の上に素子基板10が配置され、素子基板10の上に押さえ板30が配置されているが、素子基板10は、図3では、押さえ板30の下にあるので、見えていない。
搬送ローラ40は真空装置100の外部に存在する駆動機構41によって回転し、これによって蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30等の組を矢印45の方向に移動させる。図6に示すように、本蒸着装置では、複数の蒸着膜を別々のステージにおいて蒸着するので、1方向に長い真空装置100となっている。蒸発材料のコンタミネーションを防止するために、蒸着ステージ110と蒸着ステージ110の間には移動ステージが存在しているが、本発明では、この区間を冷却ステージ120として使用する。
図3において、蒸発源50が下方に配置されているが、この位置は図6に示す蒸発ステージに対応している。一方、図3における蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30の組は図6における冷却ステージ120を移動している状態を示すものである。
図3において、押さえ板30の上に複数の冷却ローラ60が接触している。冷却ローラ60は、押さえ板30の1辺をほぼカバーして配置されている。押さえ板30は矢印45の方向に移動するので、冷却ローラ60は、押さえ板30の全面と接触することになる。図4は、図3に示すA部の拡大図であり、冷却ローラ60の詳細を示す斜視図である。図4において、冷却ローラ60には冷却パイプ80が接続しており、冷却パイプ80を介して冷却ローラ60内に冷却媒体81が循環している。これによって押さえ板30の冷却効果を上げている。
冷却ローラ60は、金属による円筒状のパイプ61に後で述べる高分子材料70がコーティングされたものである。押さえ板30もステンレス等の金属である。金属と金属の接触は、互いに硬いので、点接触になりやすい。したがって、せっかく冷却ローラ60に冷却媒体81を通しても押さえ板30が十分に冷却されないという問題を生ずる。
この問題を解決するために、本発明では、冷却ローラ60の表面に、熱伝導が優れ、かつ、表面がフレキシブルに変形することが出来、真空中で使用してもガス放出が少ないという特徴を有する高分子材料70をコーティングする。これによって、冷却ローラ60と押さえ板30との実質的な接触面積を大きくすることが出来、押さえ板30の冷却効果を向上させることが出来る。
このような高分子材料70の例として、カルレッツ材料(米国デュポン社開発のエラストマー材料)を挙げることが出来る。カルレッツ材料は、パーフロロエラストマーと分類される高分子材料で、ゴム状である。この材料は柔軟性も有しており、熱伝導性が優れ、真空中でのガス放出も少ない。
図5は、本発明による冷却ローラ60の断面図である。冷却ローラ60は、円筒形のステンレスで形成されており、内部に冷却パイプ80から供給される冷却媒体81が通っている。円筒形ステンレスの外側には、カルレッツ材料70が厚さ0.5〜1mm程度でコーティングされている。冷却ローラ60の外径は、カルレッツコーティング70を含み、30〜40mm程度である。
本発明における動作は次のとおりである。図6において、蒸着ステージ110において蒸着をしている間は、冷却ローラ60は押さえ板30には接触していない。所定の材料の蒸着が終わり、次の蒸着ステージ110に移動しているとき、冷却ローラ60が押さえ板30に接触し、押さえ板30を冷却する。これが図6に示す冷却ステージ120である。このとき冷却ローラ60は回転しながら押さえ板30に接触している。
冷却ローラ60が押さえ板30に接触することによって少なくとも押さえ板30の温度は低下させることが出来る。押さえ板30は素子基板10と密着しているので、押さえ板30の温度が低下することによって素子基板10の温度も低下する。さらに、素子基板10と蒸着マスク20も密着しているので、蒸着マスク20の温度も低下させることが出来る。なお、本発明において、押さえ板30、素子基板10、蒸着マスク20等の温度を低下させるまでは出来なくとも、複数の蒸着ステージにおいて、蒸発源50からの熱が蓄積して温度が上昇することを抑制することでも大きな効果がある。
冷却ローラ60が押さえ板30に接触する瞬間はわずかではあるが押さえ板30に衝撃が加わる。また、冷却ローラ60が押さえ板30に接触している間、押さえ板30が移動するので、押さえ板30の進行方向に冷却ローラ60からの力が加わる。このように押さえ板30に冷却ローラ60からわずかな衝撃、あるいは力がくわわると、これが、素子基板10に伝わり、素子基板10と蒸着マスク20との位置ずれの原因になる。
本発明では、このような、冷却ステージ120において生じた素子基板10と蒸着マスク20との位置ずれを修正するために、冷却ステージ120を移動し、蒸発ステージに来て静止したときに、冷却ローラ60を上方に退避させ、蒸着マスク20と素子基板10との位置合わせを行う。これによって、冷却ステージ120における蒸着マスク20と素子基板10の位置ずれを修正する。熱膨張による素子基板10と蒸着マスク20の位置ずれは素子基板10および蒸着マスク20が冷却するまでは回復しないが、本発明においては、素子基板10および蒸着マスク20の温度上昇が抑えられているので、蒸着マスク20と素子基板10との位置ずれを修正することが可能となる。
押さえ板30の上面すなわち、冷却ローラ60と接触する面に小さな突起を多数形成し、いわゆる梨地状にすることによって、冷却ローラ60から押さえ板30に対する冷却効果をより向上させることが出来る。また、以上の説明では、押さえ板30はステンレスであるとして説明したが、熱伝導係数のより大きいAlを使用することによって、冷却ローラ60による冷却効果を素子基板10あるいは蒸着マスク20により効果的に伝えることが出来る。一方、押さえ板30としての効果はある程度重量が必要である。したがって、熱伝導と重量の兼ね合いで押さえ板30の材料および厚さを選定する。
また、冷却ローラ60はステンレスであるとして説明したが、冷却ローラ60、あるいは冷却パイプ80も熱伝導の優れたAl等で形成すれば、冷却効果をさらに向上させることが出来る。
実施例1では、カルレッツ材料を冷却ローラ60にコーティングすることによって、冷却ローラ60と押さえ板30との熱接触を向上させている。しかし、本発明の最終目的は、蒸着マスク20と素子基板10の温度上昇を抑えることである。そのためには、押さえ板30と素子基板10との間の熱伝導をより向上させる必要がある。
この手段として、本実施例では、押さえ板30の素子基板10と接触する面に、熱伝導が優れ、かつ、表面がフレキシブルに変形することが出来、真空中で使用してもガス放出が少ない高分子材料をコーティングする。具体的には、冷却ローラ60と同様、カルレッツ材料をコーティングすることによって押さえ板30から素子基板10への熱伝導をより効果的に行うことが出来る。
すなわち、押さえ板30は金属で出来ており、素子基板10はガラスでできているので、どちらも剛体である。したがって、通常は点接触になりやすいが、押さえ板30にカルレッツをコーティングすることによって、押さえ板30と素子基板10との実質的な接触面積を向上させることが出来る。この場合のカルレッツ材料の厚さも冷却ローラ60の場合と同様、0.5mm〜1mm程度でよい。カルレッツ材料の熱伝導特性は良いがAl等の金属には及ばないので、あまり厚くすると、熱伝導を返って阻害する場合があるからである。
以上説明したように、本発明によれば、複数の層を真空蒸着する場合に、蒸着マスク20、素子基板10、押さえ板30等に蒸発源50からの熱が蓄積され、熱膨張することによる蒸着マスク20と素子基板10とのずれを小さくすることが出来、有機EL表示装置の製作裕度を向上させることが出来る。
10…素子基板、 20…蒸着マスク、 21…マスクフレーム、 22…マスクシート、 30…押さえ板、40…搬送ローラ、 41…駆動機構、50…蒸発源、 51…蒸着材料、 52…坩堝、 53…オリフィス、 54…開口、55…ヒータ、 56…レフレクタ、 57…ハウジング、 58…防着板、 60…冷却ローラ、 61…円筒状金属、70…カルレッツコーティング、 80…冷却パイプ、81…冷却水、 100…真空装置、 101…真空側、 110…蒸着ステージ、 120…冷却ステージ。
Claims (6)
- 蒸着ステージにおいて蒸着マスクを介して基板に所定の蒸着を行い、その後前記蒸着マスク、前記基板および押さえ板の組を移動させ、他の蒸着ステージにおいて、前記蒸着マスクを介して前記基板に他の蒸着を行う真空蒸着装置であって、
前記蒸着マスク、前記基板、前記押さえ板の組が移動している間、冷却ローラを前記押さえ板に接触させ、前記蒸着マスクを介して前記基板に前記他の蒸着を行っている間は、前記冷却ローラは前記押さえ板からは離しておく機構を有し、
前記冷却ローラは金属で形成され、表面に高分子材料がコーティングされており、内部には冷却媒体が流れることが出来ることを特徴とする真空蒸着装置。 - 前記高分子材料は0.5〜1mmの厚さでコーティングされたカルレッツ材料であることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
- 前記押さえ板の前記冷却ローラの側の面には小さな突起が多数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空蒸着装置。
- 前記押さえ板の前記基板の側には高分子材料がコーティングされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空蒸着装置。
- 前記高分子材料は0.5〜1mmの厚さのカルレッツ材料であることを特徴とする請求項4に記載の真空蒸着装置。
- 前記他の蒸着ステージにおいて前記他の蒸着を行う前に、前記蒸着マスクと前記基板の位置合わせを行うことが可能な機構を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空蒸着装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018066059A (ja) * | 2017-09-11 | 2018-04-26 | アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated | 真空堆積チャンバ |
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