JP2012090209A - 音声出力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動する際に、スピーカーに対する過大な電力の入力を適切に防止する。
【解決手段】デジタル音声に基づいて複数スピーカーチャンネルにてスピーカー200を駆動可能なデジタルアンプ100において、制御部40が、デジタル音声の大きさとスピーカー200の連続許容入力レベルとデジタルアンプ100の無歪最大出力とに基づいて決定されるデジタル音声の制限値を超えるとデジタルアンプ100からスピーカー200への音声出力を制限する。
【選択図】図2
【解決手段】デジタル音声に基づいて複数スピーカーチャンネルにてスピーカー200を駆動可能なデジタルアンプ100において、制御部40が、デジタル音声の大きさとスピーカー200の連続許容入力レベルとデジタルアンプ100の無歪最大出力とに基づいて決定されるデジタル音声の制限値を超えるとデジタルアンプ100からスピーカー200への音声出力を制限する。
【選択図】図2
Description
本発明は音声出力装置に関し、特にデジタル音声に基づいてスピーカーを複数のスピーカーチャンネルで駆動可能な音声出力装置に関する。
従来、スピーカーに対する電力の過出力については、種々の対策が行われており、例えば、特許文献1〜3の技術が開示されている。
特許文献1には、DSPによって実現される制御部によってスピーカーに出力される電力制限値を設けた上で、電力予測値を計算し、電力予測値と電力制限値とに基づいて音声入力信号の減衰などを行うことによりスピーカーへの過大な電力の入力を防止する技術について開示されている。
また、特許文献2には、複数の入力信号を増幅し複数のスピーカーへ出力する機能を備え、マルチチャンネルのサラウンドに対応するスピーカーそれぞれに異なった最大定格電力、定格インピーダンスに基づいて、複数のスピーカーに出力する最大出力振幅電圧決定し、この最大出力振幅電圧に応じて音声出力アンプへ入力する信号を制限して供給する技術が開示されている。
また、スピーカー或いはサブウーハの音響性能もしくは接続に応じ、出力保護および音響特性を切換えるようにした技術が開示されている。
特許文献1には、DSPによって実現される制御部によってスピーカーに出力される電力制限値を設けた上で、電力予測値を計算し、電力予測値と電力制限値とに基づいて音声入力信号の減衰などを行うことによりスピーカーへの過大な電力の入力を防止する技術について開示されている。
また、特許文献2には、複数の入力信号を増幅し複数のスピーカーへ出力する機能を備え、マルチチャンネルのサラウンドに対応するスピーカーそれぞれに異なった最大定格電力、定格インピーダンスに基づいて、複数のスピーカーに出力する最大出力振幅電圧決定し、この最大出力振幅電圧に応じて音声出力アンプへ入力する信号を制限して供給する技術が開示されている。
また、スピーカー或いはサブウーハの音響性能もしくは接続に応じ、出力保護および音響特性を切換えるようにした技術が開示されている。
ところで、ローエンドのモデルでは、アンプが1チャンネルあたりにドライブ可能な能力よりもスピーカーの連続許容入力レベルが低くなっている場合がある。例えば、アンプが1チャンネルあたりにドライブ可能な能力が168Wのときに、スピーカーの連続許容入力レベルが75Wになっている場合である。
また、HTiB(Home Theater in a Box)のようなマルチチャンネルのアンプシステムであって総合1000Wのようなシステムを想定すると、チャンネル数が少ない場合(例えば2.1チャンネル等)は、アンプの電源の許容出力とアンプの出力がほぼ等しいため1000Wクラスの出力(例えば、1チャンネルあたり170W等)を得られるが、チャンネル数が多い場合(例えば5.1チャンネル等)は、チャンネルを同時に大出力でドライブすると電源の許容を越えるため出力レベルが下がる。
後者の場合について、電源の許容出力が333Wの場合を例にとって具体的に説明すると、1チャンネルを大出力でドライブした場合は333Wの出力が得られるが、2チャンネルを大出力でドライブした場合は166Wの出力となり、5.1チャンネルを大出力でドライブすると55.5Wの出力になる。すなわち、アンプの最大出力は、チャンネル数に応じて変動することが分かる。
ただし、デジタルで音声信号を処理するデジタルアンプのシステムでは、実際にスピーカーへ音声を出力するまで、デジタル上の0dBFSとアンプの最大出力とが一致していないため、デジタル音声に基づいてスピーカーに対する過出力を防止することは難しく、スピーカーにアナログ出力された音声に基づいてアンプ出力レベルを検知する検知回路を設けることが一般的であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動可能な音声出力装置において、デジタル音声に基づいてスピーカーに対する過大な電力の入力を適切に防止することが可能な音声出力装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の音声出力装置では、デジタル音声に基づいてスピーカーを複数のスピーカーチャンネルで駆動可能な音声出力装置において、上記デジタル音声に基づく上記スピーカーへの出力が上記スピーカーの上記連続許容入力レベルを超えないように上記連続許容入力レベルと当該音声出力装置の無歪最大出力とに基づいて決定される上記デジタル音声の制限値を超えるデジタル音声を検出すると、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を制限する制限手段を備える構成としてある。
すなわち、上記制限手段は、上記制限値に基づいて上記デジタル音声に基づいて上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えると判断される場合は、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を制限し、上記制限値に基づいて上記デジタル音声に基づいて上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えないと判断される場合は、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を許容する。上記構成において、上記スピーカーの連続許容入力レベルと当該音声出力装置の無歪最大出力は、各機器の定格に基づいて定められる。なお、音声の制限の仕方は、出力を一時的に停止/低減したり、出力を停止/低減したりする等、公知の各種手法により実現することが出来る。当該構成によれば、複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動可能な音声出力装置において、スピーカーに対する過大な電力の入力をデジタル音声に基づいて適切に防止することが可能となる。
また、本発明の選択的な一態様として、上記制限手段は、上記デジタル音声の大きさと上記スピーカーの連続許容入力レベルと当該音声出力装置の無歪最大出力とが下記(A)式を満たす場合に、当該音声出力装置からスピーカーへの音声出力を制限する構成とされる。
すなわち、20log([スピーカーの連続許容入力レベル]/[当該音声出力装置の無歪最大出力])は上述した制限値に対応する値であり、この制限値を超えるデジタル音声が入力された場合は、上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えると判断して当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を制限し、この制限値を超えるデジタル音声が入力されない場合は、上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えないと判断して、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を許容する。
すなわち、20log([スピーカーの連続許容入力レベル]/[当該音声出力装置の無歪最大出力])は上述した制限値に対応する値であり、この制限値を超えるデジタル音声が入力された場合は、上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えると判断して当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を制限し、この制限値を超えるデジタル音声が入力されない場合は、上記スピーカーへ入力される音声が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えないと判断して、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を許容する。
また、本発明の選択的な一態様として、上記制限手段は、複数のスピーカーチャンネルでスピーカーを駆動する場合に、上記複数スピーカーチャンネルの出力の総和が上記音声出力装置の電源の許容出力を超えることにより1スピーカーチャンネルあたりの出力が上記制限値を超えない場合には、当該音声出力装置からスピーカーへの音声出力の制限を行わない構成とされる。
すなわち、当該音声出力装置によって駆動するスピーカーが多くなるとスピーカーチャンネルの数が多くなり、1スピーカーチャンネル当りの出力が低下する。これにより、1スピーカーチャンネル当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルの範囲内になると、上記制限手段の制限を行わないようにする。例えば、スピーカー数が多くなってデジタル的なフルスケールでスピーカーを駆動しても1スピーカー当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えない場合は、音声出力を制限しない。
すなわち、当該音声出力装置によって駆動するスピーカーが多くなるとスピーカーチャンネルの数が多くなり、1スピーカーチャンネル当りの出力が低下する。これにより、1スピーカーチャンネル当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルの範囲内になると、上記制限手段の制限を行わないようにする。例えば、スピーカー数が多くなってデジタル的なフルスケールでスピーカーを駆動しても1スピーカー当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えない場合は、音声出力を制限しない。
また、本発明の選択的な一態様として、上記制限手段は、上記スピーカーチャンネルの数と上記音声出力装置の電源の許容出力と上記スピーカーの連続入力許容レベルとが下記(B)式を満たす場合には、当該音声出力装置からスピーカーへの音声出力の制限を行わない構成される。
当該構成によれば、音声出力装置によって駆動するスピーカー数に応じて、スピーカーチャンネルの数が多くなり1スピーカーチャンネル当りの出力が低下することによりスピーカーの連続許容入力レベルの範囲内になったときに上記制限手段の行う制限を行わないようにするための判断基準を具体的に実現することが出来る。
また、本発明の選択的な一態様として、上記制限手段は、上記デジタル音声の実効値を上記スピーカーチャンネル毎に監視する実効値監視手段を備えており、上記実効値監視手段の取得した上記スピーカーチャンネル毎の実効値を上記デジタル音声の大きさとし、当該実効値に基づいて決定される制限値を超えると上記音声出力装置から上記スピーカーへ出力する音声を制限する構成としてある。すなわち、上記デジタル音声の実効値を上記デジタル音声の大きさとすることにより、瞬間的なデジタル音声の大きさの変動に依存することなく、適切な音声出力の制限を行えるようになる。
以上説明したように本発明によれば、複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動可能な音声出力装置において、スピーカーに対する過大な電力の入力を適切に防止することを可能とすることができる。
請求項2にかかる発明によれば、音声出力制限の閾値を、具体的な定格等の数値に基づいて容易に決定可能となる。
請求項3にかかる発明によれば、スピーカー数が多くなってデジタル的なフルスケールでスピーカーを駆動しても1スピーカー当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えなくなると、音声出力が制限されなくなるため、ユーザビリティが向上する。
請求項4にかかる発明によれば、音声出力の制限の解除を、具体的な定格等の数値に基づいて容易に決定可能となる。
請求項5にかかる発明によれば、瞬間的なデジタル音声の大きさの変動に依存することなく、適切な音声出力の制限を行えるようになる。
さらに請求項6のような、より具体的な構成において、上述した請求項1〜請求項5の各発明と同様の作用を奏することはいうまでもない。
請求項2にかかる発明によれば、音声出力制限の閾値を、具体的な定格等の数値に基づいて容易に決定可能となる。
請求項3にかかる発明によれば、スピーカー数が多くなってデジタル的なフルスケールでスピーカーを駆動しても1スピーカー当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えなくなると、音声出力が制限されなくなるため、ユーザビリティが向上する。
請求項4にかかる発明によれば、音声出力の制限の解除を、具体的な定格等の数値に基づいて容易に決定可能となる。
請求項5にかかる発明によれば、瞬間的なデジタル音声の大きさの変動に依存することなく、適切な音声出力の制限を行えるようになる。
さらに請求項6のような、より具体的な構成において、上述した請求項1〜請求項5の各発明と同様の作用を奏することはいうまでもない。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)音声出力制限処理:
(3)まとめ:
(1)本実施形態の構成:
(2)音声出力制限処理:
(3)まとめ:
(1)本実施形態の構成:
図1は、デジタルアンプの構成を示すブロック図である。デジタルアンプは、本実施形態において、デジタル音声に基づいてスピーカーを駆動する音声出力装置を構成する。なお、本発明にかかる音声出力装置はデジタルアンプに限るものではない。例えば、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される電気機器・電子機器であればいかなるものであってもよく、例えば、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される映像や音声の再生装置(テレビ、レコーダ、プレーヤ等)、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される映像や音声の再生システム(HTiB(Home Theater in a Box)等のシステム)として実現することもできる。
図1は、デジタルアンプの構成を示すブロック図である。デジタルアンプは、本実施形態において、デジタル音声に基づいてスピーカーを駆動する音声出力装置を構成する。なお、本発明にかかる音声出力装置はデジタルアンプに限るものではない。例えば、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される電気機器・電子機器であればいかなるものであってもよく、例えば、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される映像や音声の再生装置(テレビ、レコーダ、プレーヤ等)、本発明の音声出力装置に相当する構成を含んで構成される映像や音声の再生システム(HTiB(Home Theater in a Box)等のシステム)として実現することもできる。
図1において、デジタルアンプ100は、デジタル音声をデコードするデコーダ10と、デジタル音声に各種のデジタル音声処理を行うDSP(Digital Signal Processor)20と、デジタル音声を増幅するオーディオアンプ30と、デジタルアンプ100の全体を制御する制御部40を備えている。
デコーダ10は、所定の符号化方式で符号化された音声データを復号化するデコード機能を備え、映像や音声の入力源(図1には、光ディスク再生装置等の光ピックアップを例示してある。)と所定のデジタルケーブルで接続され、音声をデジタル伝送可能なデジタル伝送路によりDSP20と接続されている。デコーダ10は、入力源から入力された圧縮音声データや圧縮動画データを、デコード機能によりデコードしてデジタル音声やデジタル映像信号を再生し、再生したデジタル音声をデジタル伝送路を介してDSPに出力する。ここで、入力源は、例えば、圧縮音声データや圧縮動画データをデジタル出力可能な機器であり、テレビ受信機、DVD(Digital Versatile Disc),BD(Blue Ray Disc),CD(Compact Disc),HD(Hard Disc)等の記録媒体から圧縮音声データや圧縮動画データを読み出すディスクプレーヤやディスクレコーダ、等である。圧縮音声データや圧縮動画データは、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)の音声データや動画データである。デジタル伝送路は、例えば、I2S(Inter IC Sound)バスである。なお、入力源からデジタルアンプ100に入力されるデータが符号化されていないのであれば(デコードする必要が無いのであれば)、デコーダ10は入力された音声データや動画データをスルー出力してもよいし、或いはデジタルアンプにデコーダを構成に含まない構成とすることもできる。
DSP20は、デジタル音声のボリュームを制御するボリューム制御部21と、デジタル音声の周波数特性を制御するイコライザ22と、スピーカーチャンネルへの出力の実効値を取得して保持するRMSディテクター23a〜23cと、を備えており、音声をデジタル伝送可能なデジタル伝送路によりオーディオアンプ30と接続されている。DSP20は、ボリューム制御部21によりデコーダ10から入力されたデジタル音声のボリュームを調整したり、イコライザ22によりデコーダ10から入力されたデジタル音声の周波数特性を調整したりして、調整後のデジタル音声をオーディオアンプ30に出力する。ボリュームや周波数特性は、操作部60から入力される操作入力に基づいて調整されたり、当該操作入力によりプリセットされた設定値に基づいて調整されたりする。デジタル伝送路は、例えば、I2Sバスである。RMSディテクター23a〜23cは、それぞれ1つのスピーカーチャンネルに接続されており、各スピーカーチャンネルにおける実効値を保持する。すなわち、本実施形態では、RMSディテクター23a〜23cが実効値監視手段を構成する。なお、図1では駆動するスピーカーにおけるスピーカーチャンネルの数が3チャンネルの場合を例にとって示してあるため、RMSディテクターもこれに合わせて3つとしてあるが、むろんスピーカー数やスピーカーチャンネルの数やRMSディテクターの数はこれに限るものではない。また、図1に示したスピーカーを1つであるが、むろん、スピーカーチャンネルの数に応じてスピーカー数も増減する。
オーディオアンプ30は、デジタル音声を増幅する機能を備えており、スピーカー200にアナログ接続されている。オーディオアンプ30は、DSP20から入力されたデジタル音声を増幅し、増幅後のデジタル音声をデジタル/アナログ変換し、アナログ音声をスピーカー200に出力する。デジタル音声の増幅は、例えば、デジタル音声を音声変調したPWM(Pulse Width Modulation)波やPDM(Pulse Density Modulation)波の形で増幅するD級増幅で行うことができる。なお、スピーカー200は、デジタルアンプ100に内蔵されていてもよいし、外部接続されていてもよい。
制御部40は、演算処理を行うCPU、演算処理のワークエリアとなるRAM、制御プログラムを格納するROM等のプログラム実行環境を備えており、CPUがROMに格納されている制御プログラムを実行することにより、デジタルアンプ100の全体を制御する。例えば、制御部40は、各構成10〜30を互いに通信可能に接続するバス70を介して通信を行うことにより、各構成10〜30を制御することができる。各構成10〜40を接続するバス70は、例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)とすることができる。なお、各構成10〜40が制御部40と同じチップ内に形成された場合は、チップの内部バスで接続することもできる。
制御部40は、バス70を介してDSP20のRMSディテクター23a〜23cにアクセスすることにより、各RMSディテクターの保持している各スピーカーチャンネルの実効値を取得することができる。また、バス70を介してデコーダ10、DSP20、オーディオアンプ30の何れかを制御することにより、スピーカー200に対する音声出力を制限するためのオーバーロード処理を実行できる。オーバーロード処理は、一定時間(例えば、1分30秒間)のあいだ出力を下記(1)式で表される制限値以下(例えば、−2.21dBFS以下)に落とすことが出来れば様々な処理が採用可能であり、出力を停止したり、出力を低下させたりするなど、各種の公知の処理が採用可能である。
(2)音声出力制限処理:
次に、図2を参照して音声出力制限処理を説明する。同図では、音声出力制限処理の流れをフローチャートにて示してある。同図に示す音声出力制限処理は、デジタルアンプ100の電源が投入されたときもしくはデジタルアンプ100に対する音声入力が開始されたときに開始され、電源が投入されている間もしくは音声入力が継続している間、制御部40によって実行される。
次に、図2を参照して音声出力制限処理を説明する。同図では、音声出力制限処理の流れをフローチャートにて示してある。同図に示す音声出力制限処理は、デジタルアンプ100の電源が投入されたときもしくはデジタルアンプ100に対する音声入力が開始されたときに開始され、電源が投入されている間もしくは音声入力が継続している間、制御部40によって実行される。
処理が開始されると、まず、DSPの各スピーカーチャンネルの実効値を取得する(S100)。具体的には、バス70を介してRMSディテクター23a〜23cにポーリングすることにより、その応答としてRMSディテクター23a〜23cの保持している各スピーカーチャンネルの実効値を受信し、取得することができる。以後、このポーリングと実効値の取得は、後述の監視処理やオーバーロード処理が実行された場合を除いて、所定時間おき(例えば、100msおき)に周期的に行われることになる。
次に、上記スピーカーへ出力するデジタル音声に基づいて、音声の出力を制限すべきか否かを判断する(S105)。まず、スピーカー200へ出力する各スピーカーチャンネルのデジタル音声が、制限値を超えているか否かを判断する(S105)。制限値は、各スピーカーチャンネルのデジタル音声の大きさと上記スピーカーの連続許容入力レベルとデジタルアンプ100の無歪最大出力とに基づいて、下記式(1)の右辺により決定される
上記式(1)における、[スピーカーの連続許容入力レベル]はスピーカー200の定格により定められる値であり、[デジタルアンプの無歪最大出力]はデジタルアンプ100の定格により定められる値である。例えば、スピーカーの連続許容入力レベルが75Wで、デジタルアンプの無歪最大出力が125Wの場合、制限値は以下の式(2)のように算出される。
当該式(2)の場合は、実効値が、−2.21(dBFS)以上のスピーカーチャンネルは、制限値を超えるスピーカーチャンネルと判断される。
上記式(1)における、[スピーカーの連続許容入力レベル]はスピーカー200の定格により定められる値であり、[デジタルアンプの無歪最大出力]はデジタルアンプ100の定格により定められる値である。例えば、スピーカーの連続許容入力レベルが75Wで、デジタルアンプの無歪最大出力が125Wの場合、制限値は以下の式(2)のように算出される。
当該式(2)の場合は、実効値が、−2.21(dBFS)以上のスピーカーチャンネルは、制限値を超えるスピーカーチャンネルと判断される。
次に、上記スピーカーへ出力する各スピーカーチャンネルのデジタル音声のうち、制限値を超えているスピーカーチャンネルの数が下記(3)式を満たしているか否かを判断する(S105)。
上記(3)式における[デジタルアンプの電源の許容出力]はデジタルアンプ100の定格により定められる値である。すなわち、[デジタルアンプの電源の許容出力]を[スピーカーの連続入力許容レベル]で割った数を所定数とすると、上記(1)式により判断された[制限値を超えるスピーカーチャンネルの数]が所定数以上の場合は、1スピーカーチャンネル当りの出力が低下することによりスピーカーの連続許容入力レベルの範囲内になったものと判断できるし、逆に、上記(1)式により判断された[制限値を超えるスピーカーチャンネルの数]が所定数よりも小さい場合は、1スピーカーチャンネル当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えていると判断できる。
上記(3)式における[デジタルアンプの電源の許容出力]はデジタルアンプ100の定格により定められる値である。すなわち、[デジタルアンプの電源の許容出力]を[スピーカーの連続入力許容レベル]で割った数を所定数とすると、上記(1)式により判断された[制限値を超えるスピーカーチャンネルの数]が所定数以上の場合は、1スピーカーチャンネル当りの出力が低下することによりスピーカーの連続許容入力レベルの範囲内になったものと判断できるし、逆に、上記(1)式により判断された[制限値を超えるスピーカーチャンネルの数]が所定数よりも小さい場合は、1スピーカーチャンネル当りの出力がスピーカーの連続許容入力レベルを超えていると判断できる。
以上の判断を行った結果、上記(1)式により制限値を超えていると判断されたスピーカーチャンネルの数が上記(3)式を満たす場合は(S105:No)、ステップS100に戻って次のポーリングを待機する。一方、上記(1)式により制限値を超えていると判断されたスピーカーチャンネルの数が上記(3)式を満たさない場合は(S105:Yes)、各スピーカーチャンネルについて制限値を超えているか否かを、例えば、制御部40のRAM等に一時的に記録する(S110)。具体的には、制限値を超えるスピーカーチャンネルについては「True」を記録し、制限値を超えていないスピーカーチャンネルについては「False」を記録することができる。そして、制限値を超えるデジタル音声の継続状況を監視するためのカウンターを開始し(S115)、その後、制限値を超えた状態の継続状況を判断するための監視処理(以下に説明するステップS120〜S140の処理)を実行する。なお、カウンターは各スピーカーチャンネル毎に用意される。
監視処理が開始されると、DSPの各スピーカーチャンネルの実効値を取得する(S120)。取得の仕方は、ステップS100と同様であり、以後、監視処理が継続される間は、このポーリングと実効値の取得が所定時間おき(例えば、100msおき)に周期的に行われることになる。従って、制限値を超えた状態の継続時間が長くなるほど、上述したカウンターはポーリングが行われる度に増加する。
次に、上記スピーカーへ出力するデジタル音声に基づいて、制限値を超えた状態が継続しているか否かを判断する(S125)。この判断は、上述したステップS105における判断と同様であり、ステップS120で取得した実効値に基づいて上記(1)式により制限値を超えていると判断されたスピーカーチャンネルの数が上記(3)式を満たす場合は(S125:No)、監視処理を終了してステップS100に戻り、次のポーリングを待機する。一方、ステップS120で取得した実効値に基づいて上記(1)式により制限値を超えていると判断されたスピーカーチャンネルの数が上記(3)式を満たさない場合は(S125:Yes)、ステップS110と同様に、各スピーカーチャンネルについて制限値を超えているか否かを一時的に記録する(S130)。
次に、ステップS110で記録した各スピーカーチャンネルについて制限値を超えているか否かの情報と、ステップS130で記録した各スピーカーチャンネルについて制限値を超えているか否かの情報とを比較する(S135)。この比較では、その一致度合に応じて、タイマーのカウントを進めたり戻したりする。
例えば、ポーリング間隔を100msecとする場合は、あるスピーカーチャンネルにおいてステップS110とステップS130の双方で「True」が記録されていた場合は、そのスピーカーチャンネルのタイマーのカウントを進める。また、例えば、ステップS110で「False」であったスピーカーチャンネルがステップS130において「False」となっていた場合は、そのスピーカーチャンネルのタイマーのカウントを戻して、例えば「1」とする。また、例えば、ステップS110で「True」であってスピーカーチャンネルがステップS130において「False」となっていた場合は、そのスピーカーチャンネルのタイマーのカウントをリセットする。むろん、ここで挙げた数字は一例であり、ポーリング間隔やスピーカーの耐性等に応じて適宜に変更可能である。
制限値を超えた状態の継続状況に応じたカウンターの増減が終了すると、カウンターのカウント値が所定値を超えたか否かを判断する(S140)。例えば、制限値を超えた状態が30秒継続したときに音声出力の制限を行うものとし、ポーリング間隔を上述したように100msecとすると、所定値は300となる。ここで、カウント値が所定値を超えていない場合は(S140:No)、監視処理を継続するためにステップS120に戻り、次にポーリングを待機することになる。一方、カウント値が所定値を超えている場合は(S140:Yes)、音声出力の制限を行うためのオーバーロード処理を実行する(S145)。以上の音声出力制限処理を実行する制御部40が、本実施形態において制限手段を構成する。
以上の音声出力制限処理を実行することにより、デジタル音声に基づいてスピーカーを駆動する際に、スピーカーの許容入力レベルを超える過出力を検知するとオーバーロード処理を実行することにより過出力防止し、更に、過出力となるスピーカーチャンネルの数が多くなることにより1スピーカーあたりの出力がスピーカーの許容入力レベルの範囲内になる場合は、オーバーロード処理を実行せずに出力を許容するため、スピーカーの保護とユーザビリティの向上とを実現することができる。
(3)まとめ:
以上説明した実施形態によれば、デジタル音声に基づいて複数のスピーカーチャンネルにてスピーカー200を駆動可能なデジタルアンプ100において、制御部40が、デジタル音声の大きさとスピーカー200の連続許容入力レベルとデジタルアンプ100の無歪最大出力とに基づいて決定されるデジタル音声の制限値を超えるとデジタルアンプ100からスピーカー200への音声出力を制限する。よって、複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動可能なデジタルアンプ100において、スピーカーに対する過大な電力の入力を適切に防止することが可能となる。
以上説明した実施形態によれば、デジタル音声に基づいて複数のスピーカーチャンネルにてスピーカー200を駆動可能なデジタルアンプ100において、制御部40が、デジタル音声の大きさとスピーカー200の連続許容入力レベルとデジタルアンプ100の無歪最大出力とに基づいて決定されるデジタル音声の制限値を超えるとデジタルアンプ100からスピーカー200への音声出力を制限する。よって、複数のスピーカーチャンネルを有し、これらスピーカーチャンネルのデジタル音声にてスピーカーを駆動可能なデジタルアンプ100において、スピーカーに対する過大な電力の入力を適切に防止することが可能となる。
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
10…デコーダ、20…DSP、21…ボリューム制御部、22…イコライザ、23a〜23c…RMSディテクター、30…オーディオアンプ、40…制御部、70…バス、100…デジタルアンプ、200…スピーカー
Claims (6)
- デジタル音声に基づいてスピーカーを複数のスピーカーチャンネルで駆動可能な音声出力装置において、
上記デジタル音声に基づく上記スピーカーへの出力が上記スピーカーの連続許容入力レベルを超えないように上記連続許容入力レベルと当該音声出力装置の無歪最大出力とに基づいて決定される上記デジタル音声の制限値を超えるデジタル音声を検出すると、当該音声出力装置から上記スピーカーへの音声出力を制限する制限手段を備えることを特徴とする音声出力装置。 - 上記制限手段は、複数のスピーカーチャンネルでスピーカーを駆動する場合に、上記複数のスピーカーチャンネルの出力の総和が上記音声出力装置の電源の許容出力を超えることにより1スピーカーチャンネルあたりの出力が上記制限値を超えない場合には、当該音声出力装置からスピーカーへの音声出力の制限を行わない請求項1または請求項2に記載の音声出力装置。
- 上記制限手段は、上記デジタル音声の実効値を上記スピーカーチャンネル毎に監視する実効値監視手段を備えており、上記実効値監視手段の取得した上記スピーカーチャンネル毎の実効値を上記デジタル音声の大きさとし、当該実効値に基づいて決定される制限値を超えると上記音声出力装置から上記スピーカーへ出力する音声を制限する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の音声出力装置。
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