JP2012081474A - 凹凸部を有する板材並びにこれを用いた車両パネル及び積層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】板材1は、板厚方向に三つの基準面を有し、中間基準面は、六角形の単位領域を敷き詰めたものと仮定する。任意の一つの単位領域を第1六角形とし、第1六角形を含む4つの単位領域からなる領域を第1基準領域とする。第1基準領域を除き第1六角形に接する単位領域を第2基準領域とし、その他の全ての単位領域を第3基準領域とする。その組合せにより新第1基準領域、新第2基準領域、新第3基準領域を構成する。凹凸部20は、第1領域21、第2領域22及び第3領域からなる。
【選択図】図3
Description
これまで、板材の板厚を厚くすることなく剛性を向上させるために、板材に凹凸模様を設けて形状的に剛性を向上させることが検討されてきた。
例えば、自動車部品の一つに、ヒートインシュレータという板材よりなる部品がある。特許文献1には、その材料として、板厚を厚くすることなく十分な剛性を確保するために、エンボス成形による多数の突部を形成したものが提案されている。また、ヒートインシュレータに限らず、様々な用途においてエンボス成形等の凹凸部を形成することによって剛性を向上させた板材が提案されている。(特許文献2〜6)
また、自動車に限らず、様々な機械装置等において、板材からなる部分を少しでも軽量化する要求が存在する。軽量化の必要性以外にも、材料費削減の効果も期待されている。また、板材(板形状を有する材料)であれば、材質を問わず剛性向上要求は存在する。
上記凹凸部は、間隔をあけて順次平行に配された仮想の3つの面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、
上記中間基準面は、仮想の六角形である単位領域を敷き詰めたものと仮定し、
一つの上記単位領域を第1六角形とし、該第1六角形における連続しない一つおきの3辺にそれぞれ接する3つの上記単位領域と上記第1六角形とを合体させた4つの単位領域からなる十八角形の領域を第1基準領域とし、
該第1基準領域は、上記第1六角形が存在する位置が、上記第1六角形に合体させた単位領域が存在する3方向において、それぞれ上記単位領域を2つ飛ばして配置される位置にくるように全て同じ姿勢で点在しており、
上記第1基準領域を除く上記単位領域のうち、上記第1六角形に接する上記単位領域を第2基準領域とし、
上記第1基準領域及び上記第2基準領域を除く残りの全ての上記単位領域を第3基準領域とし、
上記第1基準領域のみ又は上記第1基準領域と上記第3基準領域の一部とを合体させた領域を新第1基準領域とし、上記第2基準領域のみ又は上記第2基準領域と上記第3基準領域の一部とを合体させた領域を新第2基準領域とし、上記新第1基準領域及び上記新第2基準領域に含まれない上記第3基準領域を新第3基準領域とし、
上記中間基準面上において定められた上記新第1基準領域から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第2基準領域から上記第2基準面に向かって突出する第2領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第3基準領域を基に上記中間基準面上に形成される第3領域とを設け、
上記第1領域は、上記新第1基準領域を上記第1基準面上に等倍又は縮小して投影した第1頂面と、該第1頂面の輪郭と上記新第1基準領域の輪郭とを繋ぐ第1側面とからなり、
上記第2領域は、上記新第2基準領域を上記第2基準面上に等倍又は縮小して投影した第2頂面と、該第2頂面の輪郭と上記新第2基準領域の輪郭とを繋ぐ第2側面とからなり、
上記第3領域は、上記中間基準面上に上記新第3基準領域の輪郭を基に形成される中間面からなることを特徴とする凹凸部を有する板材にある(請求項1)。
上記凹凸部は、間隔をあけて順次平行に配された仮想の3つの面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、
上記中間基準面は、仮想の六角形である単位領域を敷き詰めたものと仮定し、
一つの上記単位領域を第1六角形とし、該第1六角形における連続しない一つおきの3辺にそれぞれ接する3つの上記単位領域と上記第1六角形とを合体させた4つの単位領域からなる十八角形の領域を第1基準領域とし、
該第1基準領域は、上記第1六角形が存在する位置が、上記第1六角形に合体させた単位領域が存在する3方向において、それぞれ上記単位領域を2つ飛ばして配置される位置にくるように全て同じ姿勢で点在しており、
上記第1基準領域を除く上記単位領域のうち、上記第1六角形に接する上記単位領域を第2基準領域とし、
上記第1基準領域及び上記第2基準領域を除く残りの全ての上記単位領域を第3基準領域とし、
該第3基準領域は、隣接する上記第1基準領域と上記第2基準領域の両方又はいずれか一方へ、その全ての領域を分配し、
上記第1基準領域のみ又は上記第1基準領域と上記第3基準領域の一部又は全てとを合体させた領域を新第1基準領域とし、上記第2基準領域のみ又は上記第2基準領域と上記第3基準領域の一部又は全てとを合体させた領域を新第2基準領域とし、
上記中間基準面上において定められた上記新第1基準領域から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第2基準領域から上記第2基準面に向かって突出する第2領域を設け、
上記第1領域は、上記新第1基準領域を上記第1基準面上に等倍又は縮小して投影した第1頂面と、該第1頂面の輪郭と上記新第1基準領域の輪郭とを繋ぐ第1側面とからなり、
上記第2領域は、上記新第2基準領域を上記第2基準面上に等倍又は縮小して投影した第2頂面と、該第2頂面の輪郭と上記新第2基準領域の輪郭とを繋ぐ第2側面とからなることを特徴とする凹凸部を有する板材にある(請求項2)。
剛性が向上する理由は、次のように考えられる。即ち、上記第1領域と上記第2領域は、板材の厚さ方向に離れた位置に配置した上記第1頂面及び上記第2頂面と、板材の厚さ方向に交差した上記第1側面及び上記第2側面とからなり、中立面から離れた位置に多くの材料を配置できる。そのため、多くの材料を強度部材として効果的に使用することができ、剛性向上効果を高めることができる。
また、上記凹凸部形状は、板材の面上のどの方向においても、剛性向上効果のある凹凸部が形成されている。そのため、どの方向においても高い剛性向上効果を得ることができる。
また、本発明において、平行の表現は、幾何学上の狭義の概念に止まらず、一般的に平行と認識できるものであればよい。
また、上記第3基準領域を規則的に上記第1基準領域又は上記第2基準領域に分配し、上記新第1基準領域及び上記新第2基準領域の面積を略同一とすることが好ましい。このように分配した中間基準面からなる凹凸部を有する板材は、剛性の異方性が少ない優れた板材となる。
この場合には、上記凹凸部を有する板材の成形性の改善や、用途の拡大、あるいはデザイン性の向上を図ることができる。
上記第1側面の傾斜角度θ1と上記中間基準面に対する上記第2側面の傾斜角度θ2とが、10°〜90°の範囲にある場合、成形性を確保しつつ、優れた剛性向上率を有する凹凸部形状を得ることができる。
尚、金属板をプレス成型する場合において上記第1側面の傾斜角度θ1及び上記第2側面の傾斜角度θ2の上限値は、成形性の問題から、70°以下であることがより好ましい。したがってより好ましい範囲としては10°〜70°である。
また、上記第1側面及び上記第2側面は複数の面により構成されるが、それらの面が全て同じ傾斜角度である必要はなく、部位によって傾斜角度を変えてもよい。但し、いずれの面においても、上記好ましい傾斜角度の範囲内とすることが好ましい。
この場合には、高い剛性を有する優れた上記凹凸部を有する板材を様々な形状に変形させることができ、用途を拡大することができる。
金属板は、エンボス成形等のプレス成形あるいはロール成形等の塑性加工を施すことによって、容易に凹凸部を形成することができる。そのため、金属板の場合には、上記の優れた凹凸部形状を適用することが比較的容易にできる。金属板の材質としては、アルミニウム合金、鋼、銅合金などの塑性加工が可能な種々のものを適用できる。
また、上記板材は、上記凹凸部を有する限り、金属以外の材料においても有効であり、例えば、樹脂板等とすることもできる。樹脂材料等であれば射出成形あるいはホットプレス等によって凹凸部を形成することができる。樹脂材料においては、金属材料の場合よりも成形上の制約を受けにくく、設計の自由度もより広くなる。
金属板の板厚が0.05mm未満の場合及び6.0mmを超える場合には、用途的に剛性を向上させる必要性が少ない。
上記比S/tが5未満の場合には成形が困難となるおそれがあり、一方、上記比S/tが2000を超える場合には、十分な凹凸部形状を形成できなくなり、剛性が低下するという問題が生じるおそれがある。
上記比H1/tが1未満の場合には、第1領域を形成することによる剛性向上効果が十分に得られないという問題が生じる恐れがある。一方、上記比H1/tが−3θ1+272を超える場合には成形が困難になるという問題が生じる恐れがある。同様に、上記比H2/tが1未満の場合には、第2領域を形成することによる剛性向上効果が十分に得られないという問題が生じる恐れがある。一方、上記比H2/tが−3θ2+272を超える場合には成形が困難になるという問題が生じる恐れがある。
また、複数枚の凹凸部を有する板材を直接積層してコア材とし、その片側又は両側の表面に平坦な面板を接合してなる構造を取ることもできる。
また、複数枚の凹凸部を有する板材を直接積層しただけの状態の積層構造体とすることもできる。
上記板材の積層枚数としては、用途及び要求特性に応じて変更することができる。
上記アウターパネルをアルミニウム合金板により構成する場合には、たとえば比較的安価であるという理由により6000系合金が好適である。また、上記インナーパネルをアルミニウム合金板により構成する場合には、たとえば、比較的成形性が良いという理由により5000系合金板が好適である。
第1の発明の実施例にかかる凹凸部20を有する板材1につき、図1〜図5を用いて説明する。
図1には、凹凸部20について一部の範囲の平面図を示す。同図には中間基準面K3における新第1基準領域213(図5)と新第2基準領域223(図5)の輪郭であって、外形線としては現れない部分を破線により示した(後述の図3、図6、図8、図12、図13、図16も同様である)。
凹凸部20は、次のように構成される。
図2に示すごとく、間隔をあけて順次平行に配された仮想の3つの平面である第1基準面K1、中間基準面K3及び第2基準面K2という3つの基準面を基準とする。中間基準面K3は、図4に示すごとく、仮想の正六角形である単位領域24を敷き詰めたものと仮定する。任意の1つの単位領域24を第1六角形215とし、該第1六角形215における連続しない一つおきの3辺にそれぞれ接する3つの単位領域24と第1六角形215とを合体させた4つの単位領域24からなる十八角形の領域を第1基準領域214とする。
尚、本例における第3基準領域234の分配方法は、一つの例であり、これに限定するものではない。
また、第1頂面211は、その板厚中心が第1基準面K1と重なるように構成され、第2頂面221は、その板厚中心が第2基準面K2と重なるように構成されている。そして、第1基準面K1と中間基準面K3とがなす距離を突出高さH1とし、第2基準面K2と中間基準面K3とがなす距離を突出高さH2とする。
本例においては、第1領域21の突出高さH1と第2領域22の突出高さH2は、いずれも0.6mmとした。
また、本例の凹凸部20を有する板材1は、板厚t=0.4mmの1000系のアルミニウム板である。凹凸部20は、一対の金型を用いたプレス成形により形成される。なお、この成形方法は、表面に所望の凹凸形状を付けた一対の成形ロールによって成形するロール成形等の他の塑性加工方法を採用することも可能である。
また、第1領域21の突出高さH1(mm)と上記板厚t(mm)との比H1/tは、1.5である。また、第1側面212と中間基準面K3とがなす傾斜角θ1=45°であり、−3θ1+272=137である。したがって、1≦H1/t≦137の関係を満たしている。同様に、第2領域22の突出高さH2(mm)と上記板厚t(mm)との比H2/tは、1.5である。また、第2側面222と中間基準面K3とがなす傾斜角θ2=45°であり、−3θ2+272=137である。したがって、1≦H2/t≦137の関係を満たしている。
また、凹凸部20の形状は、板材の面上のどの方向においても、剛性向上効果のある凹凸部が形成されている。そのため、異方性が非常に少なく、かつ高い剛性向上効果を得ることができる。
本例の板材1の剛性向上効果を定量的に判断するために、FEM解析を用いた片持ち梁による曲げ剛性評価及び3点曲げ試験により行った。
上記FEM解析は、凹凸部20の形成方向に対して0°方向及び90°方向の2パターンで行った。
片持ち梁のFEM解析に用いた試験片形状は、120mm×120mmの矩形形状を有しており、その全面に凹凸部20を形成してある。尚、板厚は、t=0.4mmとした。
評価は、凹凸部20を形成していない平板状の元板について、同様のFEM解析を行い得られたたわみ量と比較することで行った。
図1に示すごとく、方向Bと平行に配された2つの端部において、一方の端部Z1を固定端とし、Z1と対向する端部Z2を自由端とする方向を0°方向とした。
実施例1の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が3.9倍に向上することが明らかとなった。
<90°方向>
図1に示すごとく、端部Z1、Z2に対して直交する方向における一方の端部Z3を固定端とし、Z3と対向する端部Z4を自由端とする方向を90°方向とした。
実施例1の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が4.2倍に向上することが明らかとなった。
第2の発明の実施例にかかる凹凸部20を有する板材1につき、図6〜図11を用いて説明する。
本例は、図4に示すごとく、実施例1と同様に第1基準領域214、第2基準領域224および第3基準領域234に区分した後、図9に示すごとく、新第1基準領域213と新第2基準領域223の面積が略同一となるように、全ての第3基準領域234を隣接する第1基準領域214および第2基準領域224にそれぞれ分配した例である。
第1領域21は、新第1基準領域213を第1基準面K1上に縮小して投影した第1頂面211と、該第1頂面211の輪郭と新第1基準領域213の輪郭とを繋ぐ第1側面212とからなる。同様に、第2領域22は、新第2基準領域223を第2基準面K2上に縮小して投影した第2頂面221と、該第2頂面221の輪郭と新第2基準領域223の輪郭とを繋ぐ第2側面222とからなる。その他の構成は、実施例1と同様である。
また、本例における第3基準領域234の分配方法は一例であり、これに限定するものではない。
また、凹凸部20の形状は、板材の面上のどの方向においても、剛性向上効果のある凹凸部が形成されている。そのため、どの方向においても高い剛性向上効果を得ることができる。
<片持ち梁による曲げ剛性評価>
上記FEM解析を用いた片持ち梁による曲げ剛性評価は、凹凸部20の形成方向に対して0°方向及び90°方向の2パターンで行った。
評価は、凹凸部20を形成していない平板状の元板について、同様のFEM解析を行い得られたたわみ量と比較することで行った。
図6に示すごとく、試験片の端部において、方向Bと平行に配された2つの端部は、一方の端部Z1を固定端とし、Z1と対向する端部Z2を自由端とする方向を0°方向とした。
本例の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が4.8倍に向上することが明らかとなった。
<90°方向>
図6に示すごとく、端部Z1、Z2に対して直交する方向における一方の端部Z3を固定端とし、Z3と対向する端部Z4を自由端とする方向を90°方向とした。
本例の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が4.5倍に向上することが明らかとなった。
3点曲げ試験は、図10に示すごとく、横倒しした2つの円筒状支持材を支点間距離S=80mmとなるよう平行に配置して構成した2つの支点W上に試験片を配置し、試験片表面の中央位置に、先端断面が半円状をなす平板形状の押圧冶具Jによって荷重をかけ、変位量を計測した。評価は、凹凸部20を形成していない平板状の元板について、同様に3点曲げ試験を行い荷重−変位線図を比較することで行った。
上記試験片は、成形前の形状が100mm×100mm、板厚t=0.3mmのA3004−O材であり、本例に示す凹凸部20を全面に形成してある。また、その形成方向は、上記片持ち梁におけるFEM解析の0°方向および90°方向の場合と同様である。
本例は、図12に示すごとく、実施例2の凹凸部20を有する板材1の変形例である。
本例の凹凸部20は、実施例2と同様に図9に示す中間基準面K3からなり、該中間基準面K3に対する第1側面212の傾斜角度θ1(°)及び中間基準面K3に対する第2側面222の傾斜角度θ2(°)を、共に30°とし、第1側面212と第2側面222とは、折れ曲がり部を有することなく一平面により連続して形成してある。また、第1領域21及び第2領域22の突出高さH1、H2は、共に1.2mmとした。その他の構成は実施例1と同様である。
本例の板材1の剛性向上効果を定量的に判断するために、片持ち梁による曲げ剛性評価をFEM解析により行った。
上記FEM解析は、凹凸部20の形成方向に対して0°方向及び90°方向の2パターンで行った。
片持ち梁のFEM解析に用いた試験片形状は、120mm×120mmの矩形形状を有しており、その全面に凹凸部20を形成してある。尚、板厚t=0.4mmとした。
評価は、凹凸部20を形成していない平板状の元板について、同様のFEM解析を行い得られたたわみ量と比較することで行った。
図12に示すごとく、試験片の端部において、方向Bと平行に配された2つの端部は、一方の端部Z1を固定端とし、Z1と対向する端部Z2を自由端とする方向を0°方向とした。
実施例3の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が9.4倍に向上することが分かった。
<90°方向>
図12に示すごとく、端部Z1、Z2に対して直交する方向における一方の端部Z3を固定端とし、Z3と対向する端部Z4を自由端とする方向を90°方向とした。
実施例3の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が8.0倍に向上することが分かった。その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図13に示す凹凸部20を有する板材1である。本例の中間基準面K3は、図14に示すごとく、形状の異なる2種類の六角形からなる第1単位領域241と第2単位領域242とを敷き詰めたものと仮定した。尚、図14は、板材1の凹凸部20の形状を中間基準面K3における新第1基準領域213及び新第2基準領域223の配置によって表したものである。同図中において、実線は、新第1基準領域213及び新第2基準領域223の輪郭線を示している。また、各輪郭線の内側に記した記号は、その領域がいずれの領域に該当するかを表しており、B1が新第1基準領域213、B2が新第2基準領域223をそれぞれ示している。また、(A3)と記した第2単位領域242は、第3基準領域234を第1基準領域214又は第2基準領域224に分配したものである。
また、第1単位領域241をその3辺をなす長辺G1に対して線対称となるように、連続して配置した後、第1単位領域241の短辺G2に囲まれた正六角形からなる領域を第2単位領域242とした。このとき、第2単位領域242をなす正六角形の対向する辺の間の距離S2(mm)は、6.34mmである。
また、第3基準領域234を第1基準領域214及び第2基準領域224に分配する方法についても、実施例1と同様にA方向に配列された2個の第3基準領域234を含む3列のうち、いずれか1列に配される2個の第3基準領域234を第1基準領域214へと分配し、その他の2列に配される第3基準領域234を第2基準領域224へと分配した。
また、第2単位領域242をなす正六角形の対向する辺の間隔S2は、6.34mmである。間隔S2(mm)と上記板厚t(mm)との比S2/tは、15.85であり、S2/tは、5〜2000の範囲にある。その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の板材1の剛性向上効果を定量的に判断するために、片持ち梁による曲げ剛性評価をFEM解析により行った。
上記FEM解析は、凹凸部20の形成方向に対して0°方向及び90°方向の2パターンで行った。
片持ち梁のFEM解析に用いた試験片形状は、120mm×120mmの矩形形状を有しており、その全面に凹凸部20を形成してある。尚、板厚t=0.4mmとした。
評価は、凹凸部20を形成していない平板状の元板について、同様のFEM解析を行い得られたたわみ量と比較することで行った。
図13に示すごとく、試験片の端部において、方向Bと平行に配された2つの端部は、一方の端部Z1を固定端とし、Z1と対向する端部Z2を自由端とする方向を0°方向とした。
実施例4の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が4.4倍に向上することが分かった。
<90°方向>
図13に示すごとく、端部Z1、Z2に対して直交する方向における一方の端部Z3を固定端とし、Z3と対向する端部Z4を自由端とする方向を90°方向とした。
実施例4の凹凸部20を有する板材1は、平板状の元板と比べて、曲げ剛性が4.7倍に向上することが分かった。
本例は、図15に示すごとく、凹凸部20を円筒材11に設けた例である。本例においては、第1基準面K1、中間基準面K3、第2基準面K2は順次平行に配された円筒状の曲面からなる。本例の中間基準面K3は、実施例1〜実施例3のいずれかの平面状をなす中間基準面K3を円筒状に湾曲させたものである。その他の構成は、実施例1と同様である。
本例に示すごとく、高い剛性を有する優れた上記凹凸部20を有する板材1を様々な形状に変形させることができ、用途を拡大することができる。その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図16に示すごとく、実施例1の凹凸部20を有する板材1をコア材として用いて積層構造体5を構成した例である。
即ち、積層構造体5は、凹凸部20を有する1枚の板材1よりなるコア材の両側の表面に面板42、43を接合してなる。
面板42、43は、材質3000系、板厚1.0mmのアルミニウム合金板よりなる。
なお、上記面板としては、アルミニウム合金以外の金属の板、たとえば、鋼板、チタン板等や、樹脂板等を適用することも可能である。
本例は、図17に示すごとく、実施例1〜実施例4に記載の板材1をインナーパネルとして用い、第1領域21の第1頂面211をアウターパネル61の裏面側に向けて配置して構成する車両パネル6の例である。なお、インナーパネルは、その外周部においてアウターパネル61とヘム加工等により接合されている。
尚、本例においては、凹凸部20を有する板材1をインナーパネルとして用いたが、インナーパネルとアウターパネルのいずれか一方又は両方に用いることができる。
20 凹凸部
21 第1領域
211 第1頂面
212 第1側面
213 新第1基準領域
214 第1基準領域
215 第1六角形
22 第2領域
221 第2頂面
222 第2側面
223 新第2基準領域
224 第2基準領域
234 第3基準領域
24 単位領域
241 第1単位領域
242 第2単位領域
25 基本領域
5 積層構造体
6 車両パネル
Claims (11)
- 凹凸部を形成することによって剛性を高めた板材であって、
上記凹凸部は、間隔をあけて順次平行に配された仮想の3つの面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、
上記中間基準面は、仮想の六角形である単位領域を敷き詰めたものと仮定し、
一つの上記単位領域を第1六角形とし、該第1六角形における連続しない一つおきの3辺にそれぞれ接する3つの上記単位領域と上記第1六角形とを合体させた4つの単位領域からなる十八角形の領域を第1基準領域とし、
該第1基準領域は、上記第1六角形が存在する位置が、上記第1六角形に合体させた単位領域が存在する3方向において、それぞれ上記単位領域を2つ飛ばして配置される位置にくるように全て同じ姿勢で点在しており、
上記第1基準領域を除く上記単位領域のうち、上記第1六角形に接する上記単位領域を第2基準領域とし、
上記第1基準領域及び上記第2基準領域を除く残りの全ての上記単位領域を第3基準領域とし、
上記第1基準領域のみ又は上記第1基準領域と上記第3基準領域の一部とを合体させた領域を新第1基準領域とし、上記第2基準領域のみ又は上記第2基準領域と上記第3基準領域の一部とを合体させた領域とを新第2基準領域とし、上記新第1基準領域及び上記新第2基準領域に含まれない上記第3基準領域を新第3基準領域とし、
上記中間基準面上において定められた上記新第1基準領域から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第2基準領域から上記第2基準面に向かって突出する第2領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第3基準領域を基に上記中間基準面上に形成される第3領域とを設け、
上記第1領域は、上記新第1基準領域を上記第1基準面上に等倍又は縮小して投影した第1頂面と、該第1頂面の輪郭と上記新第1基準領域の輪郭とを繋ぐ第1側面とからなり、
上記第2領域は、上記新第2基準領域を上記第2基準面上に等倍又は縮小して投影した第2頂面と、該第2頂面の輪郭と上記新第2基準領域の輪郭とを繋ぐ第2側面とからなり、
上記第3領域は、上記中間基準面上に上記新第3基準領域の輪郭を基に形成される中間面からなることを特徴とする凹凸部を有する板材。 - 凹凸部を形成することによって剛性を高めた板材であって、
上記凹凸部は、間隔をあけて順次平行に配された仮想の3つの面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、
上記中間基準面は、仮想の六角形である単位領域を敷き詰めたものと仮定し、
一つの上記単位領域を第1六角形とし、該第1六角形における連続しない一つおきの3辺にそれぞれ接する3つの上記単位領域と上記第1六角形とを合体させた4つの単位領域からなる十八角形の領域を第1基準領域とし、
該第1基準領域は、上記第1六角形が存在する位置が、上記第1六角形に合体させた単位領域が存在する3方向において、それぞれ上記単位領域を2つ飛ばして配置される位置にくるように全て同じ姿勢で点在しており、
上記第1基準領域を除く上記単位領域のうち、上記第1六角形に接する上記単位領域を第2基準領域とし、
上記第1基準領域及び上記第2基準領域を除く残りの全ての上記単位領域を第3基準領域とし、
該第3基準領域は、隣接する上記第1基準領域と上記第2基準領域の両方又はいずれか一方へ、その全ての領域を分配し、
上記第1基準領域のみ又は上記第1基準領域と上記第3基準領域の一部又は全てとを合体させた領域を新第1基準領域とし、上記第2基準領域のみ又は上記第2基準領域と上記第3基準領域の一部又は全てとを合体させた領域を新第2基準領域とし、
上記中間基準面上において定められた上記新第1基準領域から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面上において定められた上記新第2基準領域から上記第2基準面に向かって突出する第2領域を設け、
上記第1領域は、上記新第1基準領域を上記第1基準面上に等倍又は縮小して投影した第1頂面と、該第1頂面の輪郭と上記新第1基準領域の輪郭とを繋ぐ第1側面とからなり、
上記第2領域は、上記新第2基準領域を上記第2基準面上に等倍又は縮小して投影した第2頂面と、該第2頂面の輪郭と上記新第2基準領域の輪郭とを繋ぐ第2側面とからなることを特徴とする凹凸部を有する板材。 - 請求項1又は2に記載の凹凸部を有する板材において、上記中間基準面は、形状の異なる2種類の六角形からなる第1単位領域と第2単位領域とを敷き詰めたものと仮定したことを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の凹凸部を有する板材において、上記中間基準面に対する上記第1側面の傾斜角度θ1と上記中間基準面に対する上記第2側面の傾斜角度θ2とは、10°〜90°の範囲にあることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材において、順次配された上記第1基準面、上記中間基準面及び上記第2基準面の少なくとも一部がそれぞれ平行な曲面からなることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材において、上記板材は金属板をプレス成形することにより上記凹凸部を形成したものであることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項6に記載の凹凸部を有する板材において、上記金属板の成形前の板厚t(mm)が0.05〜6.0mmであることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項6又は7に記載の凹凸部を有する板材において、上記単位領域をなす六角形の対向する辺がなす間隔をS(mm)とすると、該間隔S(mm)と上記板厚t(mm)との比S/tは5〜2000であることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載の凹凸部を有する板材において、上記第1領域の突出高さH1(mm)と上記板厚t(mm)との比H1/tと、上記第1側面と上記中間基準面とがなす最も大きい傾斜角θ1(°)とは、1≦(H1/t)≦−3θ1+272の関係にあり、上記第2領域の突出高さH2(mm)と上記板厚t(mm)との比H2/tと、上記第2側面と上記中間基準面とがなす最も大きい傾斜角θ2(°)とは、1≦(H2/t)≦−3θ2+272の関係にあることを特徴とする凹凸部を有する板材。
- 複数の板材を積層してなる積層構造体であって、上記板材の少なくとも1枚は請求項1〜9のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材であることを特徴とする積層構造体。
- アウターパネルと該アウターパネルの裏面に接合されたインナーパネルとを有する車両パネルであって、上記アウターパネル及び上記インナーパネルのいずれか一方又は両方が請求項1〜9のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材よりなることを特徴とする車両パネル。
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