JP2012081394A - 複合塗膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性に優れた複合塗膜を作業性よく形成する方法の提供。
【解決手段】第一の基材(A)10a上に第一の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第一の未硬化塗膜(a)21aを形成する工程と、第二の基材(B)10b上に第二の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第二の未硬化塗膜(b)21bを形成する工程と、前記第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを貼り合わせ、紫外線を照射して第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを硬化させる工程とを有する複合塗膜20の形成方法であって、前記第一の基材(A)10aおよび第二の基材(B)10bの少なくとも一方が透明であり、かつ透明な基材側から紫外線を照射することを特徴とする複合塗膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合塗膜の形成方法に関する。
金属や樹脂製の成形品には、耐擦傷性を付与することを目的として紫外線硬化型塗料などの耐擦傷性塗料を基材上に塗布し、耐擦傷性に優れた塗膜(トップコート膜)を形成する場合がある。
塗膜を形成する方法としては、基材上に耐擦傷性塗料を塗布し、硬化する1コート1ベーク型がある(特許文献1参照)。
1コート1ベーク型の場合、硬化の工程が1回で済むため作業性に優れるが、基材とトップコート膜との付着性が不十分となりやすく、耐擦傷性の機能を十分に発揮しにくかった。
そこで、基材とトップコート膜との付着性を高めるために、基材上に下地塗料を塗布し、硬化させてプライマー膜を形成した後、プライマー膜上に耐擦傷性塗料を塗布し、硬化させてトップコート膜を形成して複合塗膜を得る2コート2ベーク型が提案されている(特許文献2参照)。
2コート2ベーク型の場合、プライマー膜を介することで基材とトップコート膜との付着性が高まるので、耐擦傷性の機能を十分に発揮する複合塗膜が得られる。
しかし、下地塗料を塗布・硬化させてプライマー膜を形成させてから、耐擦傷性塗料を塗布・硬化させるので、複合塗膜を形成する工程が煩雑となり、手間がかかりやすかった。
複合塗膜を形成する工程の煩雑さを解消する方法として、下地塗料を塗布した後、硬化させずに続けて耐擦傷性塗料を塗布してから、紫外線を照射して未硬化のプライマー膜とトップコート膜を同時に硬化させる2コート1ベーク(ウェットオンウェット)型が提案されている。
2コート1ベーク型の場合、1回の硬化でプライマー膜とトップコート膜からなる複合塗膜を形成するので、2コート2ベーク型に比べて作業性に優れる。
特開2009−215452号公報 特開2010−53239号公報
しかしながら、2コート1ベーク型の場合、未硬化のプライマー膜上に耐擦傷性塗料を塗布すると、界面にて未硬化のプライマー膜と未硬化のトップコート膜とが混じり合いやすかった。この状態で両者を同時に硬化させると、トップコート膜の硬度が低下し、その結果、複合塗膜の耐擦傷性が低下しやすかった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、耐擦傷性に優れた複合塗膜を作業性よく形成する方法の提供を目的とする。
本発明の複合塗膜の形成方法は、第一の基材(A)上に第一の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第一の未硬化塗膜(a)を形成する工程と、第二の基材(B)上に第二の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第二の未硬化塗膜(b)を形成する工程と、前記第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を貼り合わせ、紫外線を照射して第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を硬化させる工程とを有する複合塗膜の形成方法であって、前記第一の基材(A)および第二の基材(B)の少なくとも一方が透明であり、かつ透明な基材側から紫外線を照射することを特徴とする。
また、前記第一の紫外線硬化型塗料組成物が、脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを30〜90質量%含む塗膜形成成分を含有し、前記第二の紫外線硬化型塗料組成物が、シロキサン構造を有する樹脂を含む塗膜形成成分を含有することが好ましい。
さらに、前記第一の紫外線硬化型塗料組成物が、紫外線吸収剤と光安定剤とをさらに含有することが好ましい。
本発明の複合塗膜の形成方法によれば、耐擦傷性に優れた複合塗膜を作業性よく形成できる。
複合塗膜を形成する工程の一例を示す断面図である。
本発明の複合塗膜の形成方法は、第一の基材(A)上に第一の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第一の未硬化塗膜(a)を形成する工程(第一の形成工程)と、第二の基材(B)上に第二の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第二の未硬化塗膜(b)を形成する工程(第二の形成工程)と、前記第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を貼り合わせ、紫外線を照射して第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を硬化させる工程(硬化工程)とを有する。
以下、本発明の複合塗膜の形成方法の一例について、図1を参照しながら説明する。なお、図1において、符号21aは第一の未硬化塗膜(a)、符号21bは第二の未硬化塗膜(b)、符号22aは第一の未硬化塗膜(a)21aが硬化した第一の硬化塗膜、符号22bは第二の未硬化塗膜(b)21bが硬化した第二の硬化塗膜、符号20は第一の硬化塗膜22aと第二の硬化塗膜22bからなる複合塗膜である。
(第一の形成工程)
図1(a)に示すように、第一の形成工程では、第一の基材(A)10a上に第一の紫外線硬化型塗料組成物(以下、「第一の塗料組成物」という。)を塗布し、第一の未硬化塗膜(a)21aを形成する。
第一の基材(A)10aとしては、樹脂製の成形品などが挙げられ、その形状については特に制限されない。成形品の材料としては特に制限されず、例えばポリカーボネート(PC)、アクリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ナイロン等の樹脂が挙げられる。
第一の塗料組成物は、塗膜形成成分(第一の塗膜形成成分)を含有する。
第一の塗膜形成成分には、紫外線硬化型のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが含まれることが好ましく、特に脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが含まれることがより好ましい。脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことで、後述する硬化工程において第一の未硬化塗膜(a)21aの硬化収縮を抑制できる。また、耐湿性に優れ、白化しにくい複合塗膜20が得られやすくなる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの両方を示すものとする。
脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、脂環構造を有するイソシアネート化合物と、ポリオールと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応物が挙げられる。
脂環構造を有するイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリカプロラクトンジオール等の多価アルコール、多価アルコールとアジピン酸等の多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリルレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、疎水性を備えた脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが第一の塗膜形成成分に含まれていれば、耐湿性に優れる複合塗膜20が得られる。
疎水性を備えたオリゴマーは、例えば脂環構造を有するイソシアネート化合物および/または脂環構造を有するポリオールを用いることで得られる。
脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、第一の塗膜形成成分100質量%中、30〜90質量%含まれることが好ましい。含有量が30質量%以上であれば、耐候性に優れ、クラックが発生しにくい複合塗膜20が得られやすくなる。一方、含有量が90質量%未満であれば、第一の基材(A)10aに対して付着性に優れる第一の硬化塗膜22aを形成できる。
第一の塗膜形成成分は、上述したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー以外の他の紫外線硬化型の樹脂を含んでもよい。
他の紫外線硬化型の樹脂としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートが好ましい。
分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロパンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロパンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロパンジメタノールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
第一の塗膜形成成分は、紫外線の照射で硬化しない樹脂を含んでもよいが、上述した紫外線の照射で硬化する樹脂のみで構成されるのが好ましい。
また、第一の塗膜形成成分は、成分中の(メタ)アクリル基当量の加重平均が、170〜1100であることが好ましい。加重平均が170以上であれば、第一の未硬化塗膜(a)21aの収縮応力が強くなりすぎるのを抑制でき、第一の基材(A)10aに対する付着性に優れた第一の硬化塗膜22aが得られやすくなる。一方、加重平均が1100以下であれば、十分な架橋密度が得られるので、耐湿性に優れ、白化しにくい複合塗膜20が得られやすくなる。
ここで、「(メタ)アクリル基当量」とは、1分子に含まれる(メタ)アクリル基の数で樹脂の分子量を割った値であり、「(メタ)アクリル基当量の加重平均」とは、(メタ)アクリル基当量の重みを加味して平均することであり、(メタ)アクリル基当量の重みは、塗膜形成成分中に占める各樹脂の割合である。
第一の塗料組成物は、上述した第一の塗膜形成成分の他、通常、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えばBASF社製の「イルガキュア184」、「イルガキュア184D」、「イルガキュア127」、「イルガキュア651」、「イルガキュア907」、「イルガキュア754」、「イルガキュア819」、「イルガキュア500」、「イルガキュア1000」、「イルガキュア1800」、「イルガキュア754」、「ダロキュア1173」、「ルシリンTPO」;日本化薬株式会社製の「カヤキュアDETX−S」、「カヤキュアEPA」、「カヤキュアDMBI」等が挙げられる。これら光重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤とともに、光増感剤や光促進剤を使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、第一の塗膜形成成分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であれば、必要な硬化性を確保できる。なお、光重合開始剤の含有量が10.0質量部を超えても、硬化性の効果は頭打ちとなる。
また、第一の塗料組成物は、紫外線吸収剤と光安定剤をさらに含有するのが好ましい。紫外線吸収剤や光安定剤を含有することで、複合塗膜20に耐候性をより効果的に付与できる。
紫外線吸収剤としては、第一の硬化塗膜22aに、膜厚1μm当たりの波長350nmにおけるAbs(Absorbance)が0.1以上、好ましくは0.3以上となる紫外線吸収能を付与できるものが好ましい。Absが0.1以上で、かつ第一の硬化塗膜22aが後述する膜厚を確保していれば十分な耐候性を発現できるので、耐候性に優れた複合塗膜20が得られる。
このような紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリシレート系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中でも、太陽から地表に届く近紫外線の波長が300nm付近からであることを考慮すると、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、第一の塗膜形成成分100質量部に対して、5.0〜15.0質量部が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が5.0質量部以上であれば、十分な耐候性を発現しやすい。なお、紫外線吸収剤の含有量が多くなるほど耐候性は発現されやすくなる傾向にあるが、その一方で、後述する硬化工程において第一の未硬化塗膜(a)21aの硬化を妨げる傾向にある。従って、耐候性と硬化のバランスを考慮すると、紫外線吸収剤の含有量の上限値は15.0質量部以下が好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系などの光安定剤が挙げられる。
光安定剤の含有量は、塗膜形成成分100質量部に対して、0.1〜2.0質量部が好ましい。光安定剤の含有量が0.1質量部以上であれば、十分な耐候性を発現しやすい。なお、光安定剤の含有量が多くなるほど耐候性は発現されやすくなる傾向にあるが、その一方で、後述する硬化工程において第一の未硬化塗膜(a)21aの硬化を妨げる傾向にある。従って、耐候性と硬化のバランスを考慮すると、光安定剤の含有量の上限値は2.0質量部以下が好ましい。
また、第一の塗料組成物は、必要に応じて各種溶剤を含有してもよい。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、2−ブタノール等のアルコール系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、第一の塗料組成物は、酸化防止剤、表面調整剤、ラジカル補足剤、可塑剤、顔料沈降防止剤など、通常の塗料に用いられる添加剤や、艶消し剤、染料、顔料を適量含有してもよい。
第一の工程では、第一の硬化塗膜22aの膜厚が10〜25μmとなるように、第一の塗料組成物を第一の基材(A)10a上に塗布するのが好ましい。第一の硬化塗膜22aの膜厚が上記範囲内であれば、十分な耐候性、および第一の基材(A)10aや第二の硬化塗膜22bとの付着性を確保できる。
塗布方法としては、例えばスプレー塗装法、刷毛塗り法、ローラ塗装法、カーテンコート法、フローコート法、浸漬塗り法などが挙げられる。
(第二の形成工程)
図1(b)に示すように、第二の形成工程では、第二の基材(B)10b上に第二の紫外線硬化型塗料組成物(以下、「第二の塗料組成物」という。)を塗布し、第二の未硬化塗膜(b)21bを形成する。
第二の基材(B)10bとしては、樹脂製の成形品などが挙げられ、その形状としてはシート状やフィルム状が好ましい。
図1に示す例では、詳しくは後述するが図1(c)に示すように第二の基材(B)10b側から紫外線を照射するので、第二の基材(B)10bは透明であるものとする。
また、図1(d)に示すように紫外線を照射して各未硬化塗膜を硬化させた後、第二の硬化塗膜22bから第二の基材(B)10bを剥離することから、第二の基材(B)10bは適度な剥離性を有するものが好ましい。
なお、「透明」とは、300〜400nmの波長の紫外線の透過率が平均で20%以上であることを意味する。
透明性と剥離性を有する第二の基材(B)10bの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが好適である。
また、第二の基材(B)10bの形状がシート状やフィルム状の場合、その厚さは50〜150μmが好ましい。厚さが50μm以上であれば、紫外線を照射したときに発生する熱によって第二の基材(B)10bが縮むのを抑制できる。一方、厚さが150μm以下であれば、硬化後に第二の硬化塗膜22bから第二の基材(B)10bを容易に剥離できる。
第二の塗料組成物は、塗膜形成成分(第二の塗膜形成成分)を含有する。
第二の塗膜形成成分には、紫外線硬化型でシロキサン構造を有する樹脂が含まれることが好ましい。シロキサン構造を有する樹脂を含むことで、高硬度の第二の硬化塗膜22bが形成されやすくなり、耐擦傷性により優れた複合塗膜20が得られる。加えて、シロキサン構造の樹脂は耐候性にも優れるので、第二の塗料組成物に紫外線吸収剤や光安定剤を含有させる必要がない。従って、硬化工程において第二の基材(B)10b側から紫外線を照射したときに、紫外線が第二の未硬化塗膜(b)21bを通過し、第一の未硬化塗膜(a)21aまで十分に行渡るので、第一の未硬化塗膜(a)21aが十分に硬化する。
また、第二の塗膜形成成分は、紫外線の照射で硬化しない樹脂(非紫外線硬化型の樹脂)を含んでもよいが、その場合、硬度および耐候性の観点から、非紫外線硬化型の樹脂としてはシロキサン構造を有する樹脂が好ましい。
なお、非紫外線硬化型の樹脂を含む場合、その含有量は第二の塗膜形成成分100質量%中、40質量%以下が好ましい。
紫外線硬化型でシロキサン構造を有する樹脂としては、シロキサン構造を有する(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートなど、具体的にはシリケートやシリコーンを含有する(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一方、非紫外線硬化型でシロキサン構造を有する樹脂としては、シロキサン構造を有し、分子内にアルコキシ基を有するオリゴマーなど、具体的にはシリコーンアルコキシオリゴマーなどが挙げられる。
第二の塗膜形成成分は、シロキサン構造を有さない樹脂を含有してもよいが、シロキサン構造を有する樹脂のみで構成されるのが好ましい。
第二の塗料組成物は、上述した第二の塗膜形成成分の他、通常、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、第一の塗料組成物の説明において先に例示した光重合開始剤が挙げられる。
また、光重合開始剤とともに、光増感剤や光促進剤を使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、第二の塗膜形成成分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であれば、必要な硬化性を確保できる。一方、光重合開始剤の含有量が10.0質量部以下であれば、硬化工程において紫外線を照射したときに、硬化に必要な紫外線が第一の未硬化塗膜(a)21aまで十分に行渡り、硬化不足を抑制できる。
また、第二の塗膜形成成分中に非紫外線硬化型の樹脂が含まれる場合、第二の塗料組成物は非紫外線硬化型の樹脂を硬化させる硬化触媒を含有するのが好ましい。
硬化触媒としては、例えば信越化学工業株式会社製の「X−9740」、「X−40−2390A」、「D−20」、「D−25」などが挙げられる。これら硬化触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、第二の塗膜形成成分100質量部に対して、2〜25質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。硬化触媒の含有量が2質量部以上であれば、必要な硬化性を確保できる。一方、硬化触媒の含有量が25質量部を超えても硬化性のさらなる向上は見込めず、コスト高となる。
また、第二の塗料組成物は、必要に応じて各種溶剤や、通常の塗料に用いられる添加剤、艶消し剤、染料、顔料を含有してもよい。
溶剤および添加剤としては、第一の塗料組成物の説明において先に例示した溶剤および添加剤が挙げられる。
第二の工程では、第二の硬化塗膜22bの膜厚が5〜15μmとなるように、第二の塗料組成物を第二の基材(B)10b上に塗布するのが好ましい。第二の硬化塗膜22bの膜厚が上記範囲内であれば、十分な耐擦傷性および耐候性を確保できる。
塗布方法としては、第一の工程の説明において先に例示した塗布方法が挙げられる。
なお、第二の基材(B)10b上に第二の未硬化塗膜(b)21bが形成されてなる積層体は、巻き取るなどして保存することも可能である。
(硬化工程)
図1(c)に示すように、硬化工程では、第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを貼り合わせ、第二の基材(B)10b側から紫外線を照射して、第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを硬化させる。
紫外線の照射エネルギーは、100mW/cm以上の出力で、500〜2000mJ/cmが好ましい。
なお、第一の塗料組成物および第二の塗料組成物が溶剤を含有する場合は、第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを貼り合わせる前に、各未硬化塗膜を乾燥させて未硬化塗膜中の溶剤を揮発させておくのが好ましい。未硬化塗膜中に溶剤が残っている状態で各未硬化塗膜を貼り合わせると、界面において各未硬化塗膜の成分が混じり合う場合がある。
界面における混じり合いをより効果的に抑制するには、第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bの少なくとも一方の粘度が、1.8Pa・s以上であることが好ましい。
未硬化塗膜の粘度は、塗料組成物中の塗膜形成成分に含まれる樹脂の種類や含有量によって調節できる。
なお、未硬化塗膜の粘度は、ブルックフィールド型粘度計により、温度25℃の条件にて測定される値である。
第一の未硬化塗膜(a)21aと第二の未硬化塗膜(b)21bを硬化した後は、図1(d)に示すように、第二の基材(B)10bを剥離する。すると、第一の基材(A)10a上に形成された、第一の硬化塗膜22aと第二の硬化塗膜22bからなる複合塗膜20が得られる。
このようにして形成された複合塗膜20は、高硬度の第二の硬化塗膜22bを備えるので、耐擦傷性に優れる。また、第一の硬化塗膜22aに紫外線吸収剤や光安定剤が含まれていれば、耐候性にも優れる。
なお、図1の複合塗膜20の場合、第一の硬化塗膜22aがプライマー膜、第二の硬化塗膜22bがトップコート膜に相当する。
以上説明したように、本発明によれば、予め2種類の塗料組成物を別々の基材上に塗布して未硬化塗膜を形成させておいてから、これら未硬化塗膜を貼り合わせるので、塗膜界面において両者が混じり合いにくい。従って、高硬度の第二の硬化塗膜22bが形成されるので、該第二の硬化塗膜22bを備えた複合塗膜20は、優れた耐擦傷性を発揮できる。加えて、硬化の作業は1回で済むので、2コート2ベーク型に比べて作業性にも優れる。
また、第一の硬化塗膜22aが、紫外線吸収剤や光安定剤を含有する第一の塗料組成物から形成される場合、第一の硬化塗膜22a中に存在する紫外線吸収剤や光安定剤が、第二の硬化塗膜22bに徐々に移行するので、複合塗膜20の耐候性も向上する。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤の移行には時間がかかるので、硬化工程の時点では第二の未硬化塗膜21bには移行しにくい。従って、第二の未硬化塗膜21bの硬化が妨げられにくいので、十分に硬化が進行し、高硬度の第二の硬化塗膜22bが形成される。
ところで、紫外線照射による未硬化塗膜の硬化はラジカル重合反応によって進行するが、このラジカル重合反応の進行は酸素によって妨げられやすい。1コート1ベーク型、2コート2ベーク型、2コート1ベーク型の場合、未硬化塗膜を硬化させる際は塗膜表面が空気(酸素)に触れているため、塗膜表面に近いほど酸素による硬化障害が起こりやすい。特に、2コート2ベーク型のように硬化の回数が増えると、硬化障害によって硬化塗膜の硬度が低下しやすくなる。
しかし、本発明であれば、第一の未硬化塗膜(a)21aおよび第二の未硬化塗膜(b)21bは、第一の基材(A)10aおよび第二の基材(B)10bに挟まれているため、塗膜表面が酸素に触れにくい状態で未硬化塗膜を硬化できる。よって、酸素による硬化障害が起こりにくく、十分にラジカル重合反応が進行するため、高硬度の硬化塗膜を形成できる。
なお、本発明の複合塗膜の形成方法は、図示例の方法に限定されない。
例えば、図1では硬化工程において第二の基材(B)10b側から紫外線を照射するが、第一の基材(A)10aが透明であれば、第一の基材(A)10a側から紫外線を照射してもよい。この場合、第二の基材(B)10bは透明であってもよいし、透明でなくてもよい。
ただし、第一の塗料組成物が紫外線吸収剤や光安定剤を含有する場合、第一の基材(A)10a側から紫外線を照射すると、第一の未硬化塗膜(a)21a中に存在する紫外線吸収剤や光安定剤によって、紫外線が第二の未硬化塗膜(b)21bに到達するのを妨げることがある。紫外線の到達が妨げられると、第二の未硬化塗膜(b)21bが十分に硬化せず、第二の硬化塗膜22bの硬度が低下しやすくなる。従って、第一の塗料組成物が紫外線吸収剤や光安定剤を含有する場合は、第二の基材(B)10b側から紫外線を照射するのが好ましい。
<ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成>
(ウレタンオリゴマー1)
撹拌機および温度計を備えた1000mLのフラスコに、1,6−ヘキサンジオール59.0gと、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート262.0gを仕込み、窒素気流下において70℃で4時間反応させた。
ついで、このフラスコに、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート116.0gと、ハイドロキノン0.6gと、ジブチルスズジラウレート0.3gを加え、フラスコ内の内容物に空気をバブリングしながら70℃で5時間反応させ、ウレタンアクリレートオリゴマー(ウレタンオリゴマー1)を得た。このウレタンオリゴマー1は脂環構造を有し、アクリル基当量は437である。
(ウレタンオリゴマー2)
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート262.0gの代わりに、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン180.0gを用いた以外は、ウレタンオリゴマー1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー(ウレタンオリゴマー2)を得た。このウレタンオリゴマー2は脂環構造を有し、アクリル基当量は355である。
(ウレタンオリゴマー3)
2000mLのフラスコを使用し、1,6−ヘキサンジオール59.0gの代わりに、ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業株式会社製、「プラクセルL220AL」)1000.0gを用いた以外は、ウレタンオリゴマー1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー(ウレタンオリゴマー3)を得た。このウレタンオリゴマー3は脂環構造を有し、アクリル基当量は1378である。
(ウレタンオリゴマー4)
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート262.0gの代わりに、ヘキサメチレンジイソシアネート168.0gを用いた以外は、ウレタンオリゴマー1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー(ウレタンオリゴマー4)を得た。このウレタンオリゴマー4は脂環構造を有さず、アクリル基当量は343である。
<第一の塗料組成物の調製>
表1に示す配合組成に従って各成分を混合し、第一の塗料組成物P−1〜P−11を調製した。
<第二の塗料組成物の調製>
表2に示す配合組成に従って各成分を混合し、第二の塗料組成物T−1〜T−6を調製した。
Figure 2012081394
Figure 2012081394
表1、2中の略号は下記化合物を示す。
「A−HD−N」:1,6−ヘキサンジオールアクリレート(新中村化学工業株式会社製、アクリル基当量113)、
「IRR214−K」:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社、アクリル基当量152)、
「TMPTA」:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製、アクリル基当量98.7)、
「A−TMMT」:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、アクリル基当量88)、
「PETA−K」:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社、アクリル基当量180)、
「ATM−35E」:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会、アクリル基当量473)、
「KRM8528C」:シリケート含有ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社)、
「KR−513」:シリコーンアクリレート(信越化学工業株式会社製)、
「X−40−2308」:メトキシシリコーン化合物(信越化学工業株式会社製)、
「X−40−9238」:エトキシシリコーン化合物(信越化学工業株式会社製)、
「X−40−2327」:メトキシシリコーン化合物(信越化学工業株式会社製)、
「X−40−2655A」:メトキシシリコーン化合物(信越化学工業株式会社製)、
「DPHA」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)、
「イルガキュア184」:光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製)、
「ダロキュア1173」:光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製)、
「チヌビン400」:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製)、
「チヌビンLS−292」:ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製)、
「X−9740」:アルミニウム系硬化触媒(信越化学工業株式会社製)。
[実施例1]
第一の基材(A)としてPC板(Sabic Innovative Plastics Japan社製、「LEXAN−2」、100mm×100mm×2mm)に、第一の塗料組成物P−1を均一にスプレー塗装し、80℃×5分間乾燥し、第一の基材(A)上に第一の未硬化塗膜(a)(膜厚20μm)を形成した。
別途、第二の基材(B)として透明なPETフィルム(厚さ100μm)上に、バーコーター#5を用い第二の塗料組成物T−1を均一に塗布し、第二の基材(B)上に第二の未硬化塗膜(b)(膜厚15μm)を形成した。
ついで、第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を貼り合わせ、第二の基材(B)上にガラス棒を押し当て、転がしながら空気を押し出した。その後、UV硬化装置(アイグラフィックス株式会社)を用い、1260mJ/cm(180mW/cm)の照射エネルギー(日本電池株式会社製、「UVR−N1」による測定値)の紫外線を第二の基材(B)側から照射し、第一の硬化塗膜(a)と第二の硬化塗膜(b)を硬化させた。そして、第二の基材(B)を剥離し、第一の基材(A)上に第一の硬化塗膜と第二の硬化塗膜からなる複合塗膜が形成された試験片を得た。第一の硬化塗膜および第二の硬化塗膜の膜厚を表3に示す。
<評価>
(耐擦傷性の評価)
テーバー摩耗装置(テスター産業株式会社、「AB−101 Taber Type Abrasion Tester」)を用い、摩耗輪にCS−10Fを使用し、摩耗輪加重500g、回転数1000回転の条件にて摩耗試験を行った。そして、摩耗試験前後における複合塗膜表面(第二の硬化塗膜側)のヘイズ値を測定し、その差(ΔH=摩耗試験後のヘイズ値−磨耗試験前のヘイズ値)を求め、耐擦傷性の指標とした。ΔHの値が小さいほど摩耗輪によりできた摩耗傷が少ない、すなわち高硬度であることを意味し、10.0未満を合格とする。結果を表3に示す。
(初期外観の評価)
複合塗膜の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。結果を表3に示す。
○:黄変、白化、クラックなどの欠陥がない。
△:僅かに黄変、白化、クラックなどの欠陥がある。
×:黄変、白化、クラックなどの欠陥がある。
(初期付着性の評価)
複合塗膜の第二の硬化塗膜上に、1mm幅で10×10の碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、碁盤目状の部分に粘着テープを貼着し剥がす操作を実施し、塗膜の剥離具合について以下の評価基準にて評価した。結果を表3に示す。
○:剥離が見られない。
△:マスの角の部分が剥がれたが、実用上問題はない。
×:1マス以上の剥離が見られた。
(耐湿性試験後の外観の評価)
試験片を温度40℃、湿度95%RHの雰囲気下に240時間放置して耐湿性試験を行った。耐湿性試験後の複合塗膜の外観について目視にて観察し、初期外観の評価と同様にして評価した。結果を表3に示す。
(耐湿性試験後の付着性の評価)
試験片を温度40℃、湿度95%RHの雰囲気下に240時間放置して耐湿性試験を行った。耐湿性試験後の複合塗膜の付着性について、初期付着性の評価と同様にして評価した。結果を表3に示す。
(耐候性試験後の外観の評価)
試験片を促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、「スーパーキセノンウェザーメーターSX75」)にセットし、ブラックパネル温度63℃の条件で1000時間の耐候性試験を行った。耐候性試験後の複合塗膜の外観について目視にて観察し、初期外観の評価と同様にして評価した。結果を表3に示す。
(耐候性試験後の付着性の評価)
試験片を促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、「スーパーキセノンウェザーメーターSX75」)にセットし、ブラックパネル温度63℃の条件で1000時間の耐候性試験を行った。耐候性試験後の複合塗膜の付着性について、初期付着性の評価と同様にして評価した。結果を表3に示す。
[実施例2〜15]
表3、4に示す種類の第一の塗料組成物および第二の塗料組成物を用い、第一の硬化塗膜および第二の硬化塗膜の膜厚が表3、4に示す値になるように各基材上に塗布した以外は、実施例1と同様にして、第一の基材(A)上に第一の硬化塗膜と第二の硬化塗膜からなる複合塗膜が形成された試験片を作製し、各評価を行った。結果を表3、4に示す。
ただし、実施例3、8については、バーコーター#5の代わりにバーコーター#7を用い、実施例6、12については、バーコーター#5の代わりにバーコーター#2を用いて、第二の塗料組成物を第二の基材(B)上に均一に塗布した。
[比較例1〜3]
表4に示す種類の第一の塗料組成物を用い、実施例1と同様にして第一の基材(A)上に均一にスプレー塗装し、第一の未硬化塗膜(a)を形成した。
ついで、表4に示す種類の第二の塗料組成物を用い、第一の未硬化塗膜(a)上に均一にスプレー塗装し、第二の未硬化塗膜(b)を形成した。
ついで、UV硬化装置(アイグラフィックス株式会社)を用い、1260mJ/cm(180mW/cm)の照射エネルギー(日本電池株式会社製、「UVR−N1」による測定値)の紫外線を第二の未硬化塗膜(b)側から照射し、第一の硬化塗膜(a)と第二の硬化塗膜(b)を硬化させ、第一の基材(A)上に第一の硬化塗膜と第二の硬化塗膜からなる複合塗膜が形成された試験片を得た。第一の硬化塗膜および第二の硬化塗膜の膜厚を表4に示す。
ただし、比較例3については、スプレー塗装の代わりにバーコーター#7を用いて、第二の料組成物を第一の未硬化塗膜(a)上に均一に塗布した。
得られた試験片について、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2012081394
Figure 2012081394
表3、4から明らかなように、各実施例で得られた複合塗膜は、いずれも耐擦傷性に優れ、付着性、耐湿性および耐候性も有していた。
ただし、実施例7の場合、脂環構造を有するウレタンアクリレートオリゴマーを20質量%含む第一の塗膜形成成分を含有する第一の塗料組成物を用いたため、耐候性試験後の複合塗膜外観に、僅かにクラックが発生した。
実施例8の場合、脂環構造を有するウレタンアクリレートオリゴマーからなる第一の塗膜形成成分を含有する第一の塗料組成物を用いたため、付着性の結果が他の実施例に比べて僅かに劣っていた。
実施例9の場合、第一の塗膜形成成分中のアクリル基当量の加重平均が1251.5である第一の塗料組成物を用いたため、耐湿性試験後の複合塗膜が僅かに白化した。
実施例10の場合、脂環構造を有さないウレタンアクリレートオリゴマーを66.7質量%含み、かつ脂環構造を有するウレタンアクリレートオリゴマーを含まない第一の塗膜形成成分を含有する第一の塗料組成物を用いたため、耐湿性試験後の複合塗膜が僅かに白化した。また、耐候性試験後の複合塗膜外観に、僅かにクラックが発生した。
実施例11の場合、第一の硬化塗膜の膜厚が7μmであったため、初期付着性の結果が他の実施例に比べて僅かに劣っていた。
実施例12の場合、第二の硬化塗膜の膜厚が3μmであったため、ΔHの値が9.5と若干高く、他の実施例に比べて耐擦傷性に僅かに劣っていた。
実施例13、14の場合、シロキサン構造を有する樹脂を含まない第二の塗膜形成成分を含有する第二の塗料組成物を用いたため、耐候性試験後の複合塗膜が僅かに白化すると共に、僅かにクラックが発生した。
実施例15の場合、紫外線吸収剤および光安定剤を含有しない第一の塗料組成物を用いたため、耐候性試験後の複合塗膜が黄変した。また、艶引けも見られた。
一方、2コート1ベークによって複合塗膜を形成した各比較例では、ΔHの値が10.0以上であり、硬度が弱く、耐擦傷性に著しく劣っていた。
特に、シロキサン構造を有する樹脂を含まない第二の塗膜形成成分を含有する第二の塗料組成物を用いた比較例2の場合、耐候性試験後の複合塗膜が僅かに黄変すると共に、僅かにクラックが発生した。
10a:第一の基材(A)、10b:第二の基材(B)、20:複合塗膜、21a:第一の未硬化塗膜(a)、21b:第二の未硬化塗膜(b)、22a:第一の硬化塗膜、22b:第二の硬化塗膜。

Claims (3)

  1. 第一の基材(A)上に第一の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第一の未硬化塗膜(a)を形成する工程と、
    第二の基材(B)上に第二の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、第二の未硬化塗膜(b)を形成する工程と、
    前記第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を貼り合わせ、紫外線を照射して第一の未硬化塗膜(a)と第二の未硬化塗膜(b)を硬化させる工程とを有する複合塗膜の形成方法であって、
    前記第一の基材(A)および第二の基材(B)の少なくとも一方が透明であり、かつ透明な基材側から紫外線を照射することを特徴とする複合塗膜の形成方法。
  2. 前記第一の紫外線硬化型塗料組成物が、脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを30〜90質量%含む塗膜形成成分を含有し、
    前記第二の紫外線硬化型塗料組成物が、シロキサン構造を有する樹脂を含む塗膜形成成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の複合塗膜の形成方法。
  3. 前記第一の紫外線硬化型塗料組成物が、紫外線吸収剤と光安定剤とをさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合塗膜の形成方法。
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