JP2012079179A - シミュレーションモデルの作成方法及びそのコンピュータプログラム、シミュレーション方法及びそのコンピュータプログラム、並びにシミュレーションモデルの作成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シミュレーションモデルの対向する境界にそれぞれ存在する節点を対面平行に配置した構造を簡易に得ること。
【解決手段】母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する(ステップS101)。次に、作成された第1モデルの鏡像中心部分に対して、鏡像複製を実行することにより、第2モデルを作成する(ステップS103)。そして、第1モデルと前記第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとする(ステップS104)。その後、第2モデルの作成とモデルの結合とを必要な回数だけ繰り返すことにより(ステップS105)、シミュレーションモデルを作成し、得られたシミュレーションモデルの境界に周期境界条件を設定する(ステップS106)。
【選択図】図4

Description

本発明は、材料特性の異なる複数の材料相が配置された不均質材料の挙動や特性をコンピュータでシミュレーションすることに関する。
近年は、材料特性の異なる複数の材料相が配置された不均質材料をコンピュータでシミュレーションすることが行われつつある。このようなシミュレーションを実行する手法として、例えば、特許文献1及び非特許文献1に記載されたようなものがある。
特開2007−265382号公報
「非線形均質化理論における2変数境界値問題のミクロ−マクロ非連成近似解法」、渡邉育夢、寺田賢二朗、応用力学論文集Vol.8,pp . 275-285, (2005年8月)
特許文献1や非特許文献1に記載されたシミュレーションにおいては、ミクロ構造のモデルからマクロ構造の力学情報を得るために、解析に供するモデルに周期境界条件を与える必要がある。周期境界条件を与えるためには、シミュレーションモデルの対向する境界にそれぞれ存在する節点を対面平行にしなければならない。一般に用いられている自動メッシュ生成ソフトウェアは、このようなモデルを作成することが困難である。本発明は、シミュレーションモデルの対向する境界にそれぞれ存在する節点を対面平行に配置した構造を簡易に得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、コンピュータが、2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は直方体領域内の母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する第1モデル作成手順と、前記コンピュータが、前記第1モデルのフィラー相が現れている境界である鏡像中心部分に対して、前記第1モデルが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとする第2モデル作成手順と、前記コンピュータが、前記第1モデルと前記第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとするモデル結合手順と、前記コンピュータが、前記第2モデル作成手順と前記モデル結合手順とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ繰り返し、かつ2回目以降の前記第2モデル作成手順及び前記モデル結合手順では、前記第3モデルを前記第1モデルとする繰り返し手順と、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルをシミュレーションモデルとし、当該シミュレーションモデルに、周期境界条件を設定する境界条件設定手順と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの材料特性を変更し、変更後におけるモデルを前記シミュレーションモデルとすることが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデルを作成し、次に、前記複数の第3モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成することが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデルを作成し、次に、前記複数の第3モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合し、その後、結合後における前記複数の第3モデルのうち少なくとも一つの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して得られたモデルを前記シミュレーションモデルとすることが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記結合の前に、複数の前記第3モデルのうち少なくとも一つの材料特性を変更することが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して得られたモデルを前記シミュレーションモデルとすることが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して複数の第4モデルを作成し、次に、前記複数の第4モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成することが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記結合の前に、前記第4モデルとすべての前記複数の第4モデルとのうち、少なくとも一つの材料特性を変更することが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して第4モデルを作成し、次に、少なくとも一つの当該第3モデルと少なくとも一つの当該第4モデルとを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成することが好ましい。
本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法は、前記コンピュータが、前記結合の前に、前記第3モデルと前記第4モデルとのうち、少なくとも一つの材料特性を変更することが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション方法は、前記シミュレーションモデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション方法は、コンピュータが、請求項1から11のいずれか1項に記載のシミュレーションモデル作成方法によって作成されたシミュレーションモデルを用いて、母相にフィラー相が分散した材料の性能を模擬することを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション用コンピュータプログラムは、前記シミュレーションモデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーションモデルの作成装置は、2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は直方体領域内の母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する第1モデル作成部と、前記第1モデルのフィラー相が現れている境界である鏡像中心部分に対して、前記第1モデルが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとする第2モデル作成部と、前記第1モデルと前記第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとするモデル結合部と、前記第2モデルを作成する処理と前記第1モデルと前記第2モデルとを結合する処理とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ、前記第2モデル作成部と前記モデル結合部とに繰り返させ、かつ2回目以降においては、前記第3モデルを前記第1モデルとする繰り返し演算部と、前記繰り返し演算部の処理が終了した後に得られる第3モデルをシミュレーションモデルとし、当該シミュレーションモデルに、周期境界条件を設定する境界条件設定部と、を含むことを特徴とする。
本発明は、シミュレーションモデルの対向する境界にそれぞれ存在する節点を対面平行に配置した構造を簡易に得ることができる。
図1は、不均質材料の模式図である。 図2−1は、周期境界条件が適用できるシミュレーションモデルを示す模式図である。 図2−2は、周期境界条件が適用できないシミュレーションモデルを示す模式図である。 図3は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するシミュレーションモデルの作成装置を示す説明図である。 図4は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法の手順を示すフローチャートである。 図5は、不均質材料から直方体形状に切り出したミクロ領域を示す斜視図である。 図6は、第1モデルの斜視図である。 図7は、第1モデルの斜視図である。 図8は、第1モデルの鏡像中心部分を示す斜視図である。 図9は、鏡像複製を説明するための平面図である。 図10は、第1モデルと第2モデルとを結合した第3モデルを示す斜視図である。 図11は、第1モデルと第2モデルとを結合した第3モデルを示す斜視図である。 図12−1は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法によって作成されたシミュレーションモデルの斜視図である。 図12−2は、シミュレーションモデルに周期境界条件を設定する一例を示す模式図である。 図13は、本実施形態の第1変形例に係るシミュレーションモデルの斜視図である。 図14は、本実施形態の第1変形例において、第3モデルを結合する手法の説明図である。 図15は、本実施形態の第1変形例において、第3モデルを結合する手法の説明図である。 図16は、第3モデルの平面図である。 図17は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの平面図である。 図18は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法の説明図である。 図19は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法の説明図である。 図20は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法の説明図である。 図21は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法における他の例の説明図である。 図22は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法における他の例の説明図である。 図23は、本実施形態の第6変形例の説明図である。 図24は、本実施形態の第6変形例の説明図である。 図25は、本実施形態の第7変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を示す説明図である。 図26は、本実施形態の第7変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を示す説明図である。 図27は、本実施形態の第1変形例に係るシミュレーションモデルを示す模式図である。 図28は、本実施形態の第6変形例に係るシミュレーションモデルを示す模式図である。 図29は、図27、図28に示すシミュレーションモデルを用いて1軸伸張シミュレーションを実行した結果を示す応力−ひずみ線図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、不均質材料の模式図である。不均質材料1は、材料特性の異なる複数の材料相が配置された材料である。図1に示す不均質材料1は、母相2にフィラー相3が分散した材料である。母相2は、例えば、ゴムや樹脂材料等の高分子材料(ポリマー)であり、フィラー相3は、例えば、カーボンブラックやシリカ等の無機材料の粒子である。母相2の材料である高分子材料と、フィラー相3の材料である無機材料とは材料特性が異なる。
タイヤ(空気入りタイヤを含む)のトレッドゴム部材及びビードフィラー相ゴム部材等に用いられるフィラー相を配合したゴム(フィラー相配合ゴム)のバルク特性は、タイヤの性能に影響を与える。このため、タイヤ性能のシミュレーション及びゴム材料特性のシミュレーションは、タイヤを開発する上で重要である。バルク特性とは、塊(バルク)の状態にある不均質材料の特性(マクロ特性)であり、不均質材料を均質な材料と見なした場合の等価な材料特性である。
前記フィラー相配合ゴムのような、材料特性の異なる複数の材料相が分散配置された不均質材料のバルク特性をコンピュータでシミュレーションして評価する方法として、例えば、上記非特許文献1に記載されたような、ミクロ−マクロ非連成解析手法に関する、非連成双方向マルチスケールシミュレーション(以下、MSSという)がある。この方法は、例えば、ミクロ構造のモデルで得られた引張試験のシミュレーション結果からマクロ構造のモデルにおける材料パラメータを求め、この材料パラメータをマクロ構造モデルに用いて、シミュレーションを行うものである。
例えば、不均質材料の代表領域(ミクロ領域)を直方体形状に切り出してコンピュータで取り扱うことのできるシミュレーションモデルを作成する。そして、このシミュレーションモデルが、あたかも上下、左右、奥行き方向に連続して無限に連なってバルクを成すように、シミュレーションモデルの対向する境界(面又は線)に周期境界条件を付与してシミュレーションに供するシミュレーションモデルを作成する。このようにして作成されたシミュレーションモデルを用いて、ミクロ構造のシミュレーションを行う。
図2−1は、周期境界条件が適用できるシミュレーションモデルを示す模式図である。図2−2は、周期境界条件が適用できないシミュレーションモデルを示す模式図である。MSSにおいては、図2−1に示すように、MSSに用いるシミュレーションモデル10を境界Bで結合した場合、境界Bでそれぞれのシミュレーションモデル10が有するそれぞれの要素E同士が一致する必要がある。より具体的には、境界Bで隣接するそれぞれの要素Eが有するそれぞれの節点N同士が、境界Bで一致する必要がある。MSSに用いるシミュレーションモデル10は、このような条件が必要である。
このために、シミュレーションモデル10は、対向する境界B、Bにそれぞれ存在する節点Nを対面平行、すなわち、対向する一対の境界(3次元では境界面、2次元では境界線)B、B上に位置してそれぞれ対応する節点N同士の位置を、互いに一致させる必要がある。このようにすることで、マクロ構造の一部を代表するモデルとしては、境界形状及び応力の連続性を満たすことができる。図2−2に示すシミュレーションモデル200は、この条件を満たしていない。このようなシミュレーションモデル200を用いてMSSを実行すると、ミクロ構造におけるシミュレーション解析精度が低下する結果、ミクロ構造のシミュレーションで得られた材料パラメータをマクロ構造モデルに用いたマクロ構造のシミュレーションの解析精度も低下する。したがって、MSSでは、図2−1に示すように、対向する境界B、Bにそれぞれ存在する節点Nを対面平行としたシミュレーションモデル10を用いる必要がある。
上述した通り、自動メッシュ生成ソフトウェアは、対向境界にそれぞれ存在する節点が対面平行となるように要素(メッシュ)を自動生成することは困難である。また、自動メッシュ生成ソフトウェアで要素を自動生成した後、対向境界にそれぞれ存在する節点が対面平行となるように節点の位置をマニュアル操作で調整することも手間及び時間を要し、非常に煩雑である。本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法は、MSSに供するシミュレーションモデル、すなわち、対向境界にそれぞれ存在する節点が対面平行となるようなシミュレーションモデルを簡易に製造することに有用である。次に、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するシミュレーションモデルの作成装置について説明する。
図3は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するシミュレーションモデルの作成装置を示す説明図である。シミュレーションモデルの作成装置(以下、モデル作成装置という)50は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行して、例えば、図1に示す不均質材料1のシミュレーションモデルを作成する装置である。また、モデル作成装置50は、本実施形態に係るシミュレーション方法を実行する。シミュレーションモデルとは、解析モデルである。解析モデルとは、コンピュータで取り扱うことにより、種々の解析が可能な解析モデルである。解析モデルは、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む(以下の例でも同様)。
モデル作成装置50はコンピュータであり、図3に示すように、処理部52と記憶部54とを有する。このモデル作成装置50には、入出力装置51が接続されており、ここに備えられた入力手段53でシミュレーションモデルの対象である不均質材料の母相やフィラー相の物性値、あるいは解析における境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。
入力手段53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実現できるコンピュータプログラムやその他のコンピュータプログラムやデータテーブル、データマップ等が格納されている。記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法及びシミュレーション方法を実現できるシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラム及びシミュレーション用コンピュータプログラムは、コンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法及びシミュレーション方法を実現できるものであってもよい。また、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラム及びシミュレーション方法をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラム及びシミュレーション方法をコンピュータシステムに読み込ませ、実行させる。これによって、本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法及びシミュレーション方法を実現してもよい。なお、本実施形態において、「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
処理部52は、第1モデル作成部52aと、第2モデル作成部52bと、モデル結合部52cと、繰り返し演算部52dと、境界条件設定部52eと、解析部52fを含む。モデル作成装置50は、第1モデル作成部52aと、第2モデル作成部52bと、モデル結合部52cと、繰り返し演算部52dと、境界条件設定部52eとを有していればよく、解析部52fは必ずしも必要ではない。
第1モデル作成部52aは、例えば、図1に示す不均質材料1の母相2とフィラー相3の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する。第1モデルは、例えば、作成するシミュレーションモデルが2次元の場合には、不均質材料1の代表領域(ミクロ領域)を長方形(正方形を含む)形状に切り出して作成され、作成するシミュレーションモデルが3次元の場合には、不均質材料1の代表領域を直方体形状に切り出して作成される。すなわち、第1モデル作成部52aは、作成するシミュレーションモデルが2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は直方体領域内の母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して第1モデルを作成する。第1モデルは、解析モデルである。すなわち、第1モデルは、コンピュータが取り扱うことができ、かつ解析可能なモデルである。第1モデル作成部52aは、作成した第1モデルを記憶部54に保存する。
第2モデル作成部52bは、記憶部54から第1モデルを読み出して、第1モデルのフィラー相が現れている境界である鏡像中心部分に対して、第1モデルが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとする。第2モデルは、解析モデルである。すなわち、第2モデルは、コンピュータが取り扱うことができ、かつ解析可能なモデルである。第2モデル作成部52bは、作成した第1モデルを記憶部54に保存する。
モデル結合部52cは、第1モデル及び第2モデルを記憶部54から読み出して、第1モデルと第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとする。第3モデルは、解析モデルである。すなわち、第3モデルは、コンピュータが取り扱うことができ、かつ解析可能なモデルである。モデル結合部52cは、作成した第3モデルを記憶部54に保存する。以下において、単にモデルというときは、解析モデルを意味するものとする。繰り返し演算部52dは、第2モデルを作成する処理と、第1モデルと第2モデルとを結合する処理とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ、第2モデル作成部52bとモデル結合部52cとに繰り返させる。このとき、繰り返し演算部52dは、2回目以降においては、第3モデルを前記第1モデルとする。境界条件設定部52eは、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを記憶部54から読み出して、これをシミュレーションモデルとして設定し、このシミュレーションモデルに、周期境界条件を設定してから記憶部54に保存する。
本実施形態において、処理部52は、解析部52fを含む。解析部52fは、シミュレーションモデルを用いて、静的引張や動的応答等のシミュレーションを実行する。このように、モデル作成装置50は、シミュレーションモデルを作成する他、これらを用いた動的応答のシミュレーションを実行する機能も有する。
処理部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有する。処理部52は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法をコンピュータに実行させるシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラムを処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、記憶部54へ演算途中の数値を適宜保存し、また記憶部54へ格納した数値を読み出して演算を進める。なお、この処理部52は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
表示手段55には、例えば、液晶表示装置を使用することができる。上述した第1モデル及び第2モデルあるいはシミュレーションモデル等が格納される記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、モデル作成装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。次に、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を説明する。
図4は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法の手順を示すフローチャートである。図5は、不均質材料から直方体形状に切り出したミクロ領域を示す斜視図である。図6、図7は、第1モデルの斜視図である。図8は、第1モデルの鏡像中心部分を示す斜視図である。図9は、鏡像複製を説明するための平面図である。図10は、第1モデルと第2モデルとを結合した第3モデルを示す斜視図である。図11は、第1モデルと第2モデルとを結合した第3モデルを示す斜視図である。図12−1は、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法によって作成されたシミュレーションモデルの斜視図である。図12−2は、シミュレーションモデルに周期境界条件を設定する一例を示す模式図である。
図3に示すモデル作成装置50が本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行する場合、処理部52は、記憶部54から本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラムを読み出して、処理部52が有するメモリに展開する。そして、処理部52は、前記シミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラムに記述された命令列を処理することにより、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法を実現する。
ステップS101において、モデル作成装置50が有する処理部52の第1モデル作成部52aは、第1モデル10Aを作成する。ステップS101が第1モデル作成手順に相当する。第1モデル10Aは、図5に示す不均質材料のミクロ領域1Pの一部を解析モデル化したものである。ミクロ領域1Pは、図1に示す不均質材料1の一部を直方体(立方体を含む)形状に切り出した領域である。ミクロ領域1Pは、母相2とフィラー相3とを有する。本実施形態においては、3次元のシミュレーションモデルを作成するので、ミクロ領域1Pは不均質材料1を直方体形状に切り出したものである。2次元のシミュレーションモデルを作成する場合、ミクロ領域1Pは、2次元の不均質材料1、例えば、3次元の不均質材料1の断面の一部を長方形(正方形を含む)形状に切り出したものになる。ミクロ領域1Pは、3次元の場合、直方体の中心(重心)にフィラー相3の中心が配置され、2次元の場合、長方形の中心(重心又は図心)にフィラー相3の中心が配置される。
第1モデル10Aは、有限要素法や有限差分法等の数値解析手法を用いて変形解析を行うために用いるモデルである。本実施形態では、第1モデル10Aの解析に有限要素法(Finite Element Method:FEM)を使用する。本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法に適用できる解析手法は有限要素法に限られず、有限差分法(Finite Differences Method:FDM)や境界要素法(Boundary Element Method:BEM)等も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、不均質材料の応力分布やひずみ分布等を求める解析には好適である。
第1モデル作成部52aは、ミクロ領域1Pの一部を、複数の節点を有する有限個の要素Em、Efで分割することにより、第1モデル10Aを作成する。第1モデル10Aは、3次元においては、直方体形状であるミクロ領域1Pを1/8等分して得られる直方体(立方体を含む)形状の解析モデルであり、2次元においては、直方体形状であるミクロ領域1Pを1/4等分して得られる長方形(正方形を含む)形状の解析モデルである。第1モデル10Aは、母相12とフィラー相13とを有する。したがって、第1モデル10Aのフィラー相13は、3次元においては、球形状であるミクロ領域1Pのフィラー相3を1/8等分して得られる1/8球形状であり、2次元においては、1/4円形状である。
第1モデル10Aの母相12は、ミクロ領域1Pの母相2を解析モデル化したものに相当し、フィラー相13は、ミクロ領域1Pのフィラー相3を解析モデル化したものに相当する。第1モデル10Aが作成される際に、第1モデル作成部52aは、節点及び要素Em、Efを定義するとともに、それぞれの要素Ef、Emの材料特性も定義する。第1モデル作成部52aは、定義した節点の座標、要素Ef、Emの積分点の座標及び要素Ef、Emの材料特性等の情報を記憶部54に保存する。
第1モデル10Aは、直方体形状のミクロ領域1Pを解析モデル化しているので、第1モデル10Aの形状もミクロ領域1Pと同じ直方体形状である。すなわち、第1モデル10Aは、2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は不均質材料1の直方体領域内の母相2と母相2に含まれたフィラー相3の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して作成される解析モデルである。第1モデル10Aは、少なくとも不均質材料1の母相2とフィラー相3とが解析モデル化されていればよく、不均質材料1に含まれる他の材料が解析モデル化されていればよい。
要素Emは、第1モデル10Aの母相12を構成する要素であり、要素Efは、フィラー相13を構成する要素である。第1モデル10Aが有する要素Em、Efは、例えば、2次元のモデルでは、三辺形要素、四辺形要素、3次元のモデルでは四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等、コンピュータで取り扱い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、2次元のモデルでは2次元座標を用いて、3次元のモデルでは3次元座標を用いて逐一特定される。
第1モデル10Aが作成されたら、モデル作成装置50は、処理をステップS102へ進ませる。ステップS102において、第1モデル作成部52aは、鏡像中心部分を設定して、記憶部54に格納する。ステップS102は、鏡像中心部分設定手順に相当する。本実施形態においては、第1モデル10Aは3次元の直方体形状であるため、鏡像中心部分は面になる。第1モデル10Aが3次元のモデルである場合、図7に示すように、鏡像中心部分は鏡像中心面14A、14B、14Cである。なお、第1モデル10Aが2次元のモデルである場合、鏡像中心部分は線(鏡像中心線)となる。なお、フィラー相13が第1モデル10Aの表面に現れていない場合もある。この場合、第1モデル作成部52aが鏡像中心部分を設定することは難しいので、第1モデル10Aの鏡像中心部分を予め設定し、記憶部54へ格納しておくことが好ましい。また、本実施形態に係るシミュレーション用コンピュータプログラムは、初期条件として、第1モデル10Aの鏡像中心部分を予め設定する手順を有していてもよい。
鏡像中心面14A、14B、14Cは、第1モデル10Aの境界面、すなわち、第1モデル10Aとその外側との境界面のうち、第1モデル10Aのフィラー相13が現れている境界(境界面)である。3次元の第1モデル10Aは、それぞれの鏡像中心面14A、14B、14Cは互いに隣接している。第1モデル10Aが2次元である場合、鏡像中心部分(鏡像中心線)は、互いに隣接している。
鏡像中心部分が設定されたら、モデル作成装置50は、処理をステップS103へ進ませる。ステップS103において、モデル作成装置50が有する処理部52の第2モデル作成部52bは、第1モデル10Aのフィラー相13が現れている境界である鏡像中心部分に対して、第1モデル10Aが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとすることにより、第2モデルを作成する。ステップS103が第2モデル作成手順に相当する。
第2モデルを作成するにあたり、第2モデル作成部52bは、記憶部54から第1モデル10Aの情報及び鏡像中心面14A、14B、14Cの情報を読み出す。そして、第2モデル作成部52bは、ステップS102で設定された鏡像中心面14A、14B、14Cから一つを指定する。本実施形態では、図8に示す第1モデル10Aの鏡像中心面14Aが指定されるが、鏡像中心面14B又は14Cであってもよい。
次に、第2モデル作成部52bは、図9に示すように、指定した鏡像中心面14Aに対して、第1モデル10Aが有するそれぞれの節点N1A、N2A・・、NnA等と対称となる位置にそれぞれ節点N1B、N2B・・、NnB等を生成(鏡像複製)する。そして、第2モデル作成部52bは、生成された複数の節点N1B、N2B・・、NnB等で構成される領域を第2モデル10Bとする。すなわち、第2モデル10Bは、複数の節点N1B、N2B・・、NnB等及びこれらを有する要素で構成される。なお、第2モデル作成部52bは、第2モデル10Bを作成するにあたって、複数の節点N1B、N2B・・、NnB等の一部で構成される要素を定義するとともに、それぞれの要素の材料特性も定義する。すなわち、第2モデル10Bの節点N1B、N2B・・、NnB等とともに、要素も生成される。このとき、第2モデル作成部52bは、第2モデル10Bが含む節点番号及び要素番号を新たに定義する。このようにして作成された第2モデル10Bは、解析モデルである。第2モデル作成部52bは、定義した節点N1B、N2B・・、NnB等の座標、節点番号、要素の積分点の座標、要素番号及び要素の材料特性等の情報を記憶部54に保存する。
このように、第2モデル10Bは、第1モデル10Aが鏡像中心面14A(又は14B又は14C)に対して鏡像複製されることにより作成される。鏡像複製とは、いわゆるミラーリング処理のことであり、鏡像中心面14A(又は14B又は14C)に対して節点及び要素を複製(コピー)する操作である。すなわち、鏡像複製は、3次元の場合は鏡像中心面(2次元の場合は鏡像中心線)を対称面(軸)として、節点及び要素の配置が対称面(線)の両側で互いに等しくなるように節点及び要素を複製することである。
このようにして生成された第2モデル10Bの節点N1B、N2B・・、NnB等と、それぞれに対応する第1モデル10Aの節点N1A、N2A・・、NnA等とを結ぶ直線は、鏡像中心面14A(又は14B又は14C)と直交する。そして、前記直線上において、第2モデル10Bの節点N1B、N2B・・、NnB等と鏡像中心面14A(又は14B又は14C)との距離は、それぞれに対応する第1モデル10Aの節点N1A、N2A・・、NnA等と鏡像中心面14A(又は14B又は14C)との距離が等しい。図9に示す例では、節点N1Aと鏡像中心面14Aとの距離及び節点N1Bと鏡像中心面14Aとの距離はいずれもL1で等しく、節点N2Aと鏡像中心面14Aとの距離及び節点N2Bと鏡像中心面14Aとの距離はいずれもL2で等しい。さらに、第2モデル10Bの節点N1B、N2B・・、NnB等と、それぞれに対応する第1モデル10Aの節点N1A、N2A・・、NnA等とは、鏡像中心面14A(又は14B又は14C)に対してそれぞれ反対の位置に存在する。このように、鏡像複製は、第1モデルの節点N1A等を、鏡像中心面14A等と直交する直線上、かつ前記直線上において節点N1A等と鏡像中心面14A等との距離が等しく、かつ鏡像中心面14A等に対して節点N1A等と反対の位置に複製する操作であるともいえる。
第2モデル10Bが作成されたら、モデル作成装置50は、処理をステップS104へ進ませる。ステップS104において、モデル作成装置50が有する処理部52のモデル結合部52cは、図10に示すように、第1モデル10Aと第2モデル10Bとを結合したモデルを第3モデル10Cとし、作成された第3モデル10Cを記憶部54に保存する。第3モデル10Cは、第1モデル10Aのフィラー相13と第2モデル10Bのフィラー相13とが結合されたフィラー相13を有する。ステップS104が、モデル結合手順に相当する。
モデル結合手順においては、鏡像中心面14A上の同じ位置(座標)に存在する第1モデル10Aの節点と第2モデル10Bの節点とが結合される。モデル結合部52cは、鏡像中心面14A上の同じ位置(座標)に存在する第1モデル10Aの節点と第2モデル10Bの節点とのいずれか一方を他方に置き換えることにより、両者を結合することができる。また、モデル結合部52cは、鏡像中心面14A上の同じ位置(同一座標)に存在する第1モデル10Aの節点と第2モデル10Bの節点とが等しく運動するように拘束することにより、両者を結合することもできる。
第3モデル10Cが作成されたら、モデル作成装置50は、処理をステップS105へ進ませる。ステップS105において、モデル作成装置50が有する処理部52の繰り返し演算部52dは、第2モデル作成手順とモデル結合手順とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ繰り返し、かつ2回目以降の第2モデル作成手順及びモデル結合手順では、第3モデル10Cを第1モデル10Aとする。ステップS105が、繰り返し手順に相当する。
具体的には、繰り返し演算部52dは、第2モデル作成手順(ステップS103)とモデル結合手順(ステップS104)とが、作成するシミュレーションモデルの次元の数n(2次元の場合n=2、3次元の場合n=3)だけ実行されたか否かを判定する。第2モデル作成手順とモデル結合手順とがn回実行されていないことを繰り返し演算部52dが検出した場合(ステップS105、No)、繰り返し演算部52dは、第2モデル作成手順とモデル結合手順とがn回実行されるまで両者を繰り返す。
図11は、第2モデル作成手順とモデル結合手順とが2回実行された状態を示している。2回目の第2モデル作成手順において、第2モデル作成部52bは、記憶部54から読み出した第3モデル10Cを第1モデル10Aに設定し、鏡像中心面14B(図10参照)に対して第1モデル10Aを鏡像複製することにより、第2モデル10Bを作成する。そして、2回目のモデル結合手順において、モデル結合部52cは、第1モデル10Aと第2モデル10Bとを結合し、第3モデル10Cとして記憶部54に保存する。この第3モデル10Cは、図11に示すように、鏡像中心面14Cにフィラー相13が現れている。
3次元のシミュレーションモデルを作成する場合、この状態はn=3なので、繰り返し演算部52dは、3回目の第2モデル作成手順とモデル結合手順とを実行する。3回目の第2モデル作成手順においては、第2モデル作成部52bは、記憶部54から読み出した第3モデル10Cを第1モデル10Aに設定し、図11に示す鏡像中心面14Cに対して第1モデル10Aを鏡像複製することにより、第2モデル10Bを作成する。そして、3回目のモデル結合手順において、モデル結合部52cは、第1モデル10Aと第2モデル10Bとを結合し、第3モデル10Cとして記憶部54に保存する。
第2モデル作成手順とモデル結合手順とn回実行されたことを繰り返し演算部52dが検出した場合(ステップS105、Yes)、モデル作成装置50は、処理をステップS106へ進ませる。ステップS106において、モデル作成装置50が有する処理部52の境界条件設定部52eは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後に得られる第3モデル10Cを記憶部54から読み出し、これを図12−1に示すシミュレーションモデル10とする。そして、境界条件設定部52eは、シミュレーションモデル10に、周期境界条件を設定して、記憶部54に保存する。ステップS106が、境界条件設定手順に相当する。シミュレーションモデル10の形状は、直方体(立方体)である。
境界条件設定部52eは、例えば、特開2007−265382号公報に記載されている、対面節点の相対変位が等しくなるような多点拘束を用いることにより、周期境界条件を設定することができる。直方体形状のシミュレーションモデル10は、対向する境界15A、15A’と、境界15B、15B’と、境界15C、15C’とを有する。対向する境界15A、15A’はそれぞれ平行であり、境界15B、15B’はそれぞれ平行であり、境界15C、15C’はそれぞれ平行である。また、対向する境界15A、15A’と、境界15B、15B’と、境界15C、15C’とは、それぞれ直交する。
図12−2に示す対向する境界15A、15A’にそれぞれ直交する方向(図12−2の矢印で示す方向)のひずみをシミュレーションモデル10に付与することにより、引張試験のシミュレーションを行う場合、すなわち、ひずみ制御によるシミュレーションを行う場合において、周期境界条件を設定することについて説明する。シミュレーションモデル10の対向する境界15A、15A’に存在する対応する節点NA、NBについて、変位勾配テンソルを用いた関係式が作成される。すなわち、ひずみによって作られる変位勾配テンソルが算出され、この変位勾配テンソルを対応する節点NA、NBの変位ベクトルとともに用いて、節点NA、NB間における変位ベクトルの差分と関係付けることができる。
すなわち、シミュレーションモデル10において、ひずみの平均値が設定値になるように(平均ひずみとなるように)関係式を定める。関係式は、節点NAの変位ベクトル、節点NBの変位ベクトルをそれぞれWa、Wbとし、さらに、シミュレーションモデル10における節点と別個独立した仮想の節点NDを導入し、この節点NDの変位ベクトルをWdとする。また、節点NA及び節点NBの位置ベクトルをそれぞれYa及びYbとし、上記変位勾配テンソルをHとする。このとき、下記式(2)の右辺の値(節点NA、NBの変位ベクトルの差分に変位勾配テンソルを作用させた値)を節点NDにおける変位ベクトルとすることにより、下記式(1)が定まる。
Wb−Wa=Wd・・・(1)
Wd=H・(Yb−Ya)・・・(2)
このように、シミュレーションモデル10を用いたシミュレーションに際して、仮想の節点NDを導入し、式(1)の関係式を節点NA、NB、ND間の拘束条件として与えることで、式(2)に示す値を仮想の節点NDの変位ベクトルとして与えるだけで、シミュレーションモデル10における周期対称条件を設定することができる。
ステップS106でシミュレーションモデル10に周期境界条件が付与された後、モデル作成装置50が有する処理部52の解析部52fは、周期境界条件が付与されたシミュレーションモデル10を用いて伸張解析や応答解析等のシミュレーションを実行する。すなわち、解析部52fは、本実施形態に係るシミュレーション方法を実行して、母相12にフィラー相13が分散した材料の性能を模擬する。本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法は、MSSに用いる、周期境界条件を設定するために対向する境界に存在する節点が一致した構造のモデルを容易に作成することができる。その結果、MSSシミュレーションを実行するまでの工程が短縮できる。本実施形態の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第1変形例)
図13は、本実施形態の第1変形例に係るシミュレーションモデルの斜視図である。シミュレーションモデル100は、第1変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法によって作成される。第1変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。本変形例において、モデル作成装置50の第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデル10Cを少なくとも一つ複製することによって、複数の第3モデル10Cを作成する。次に、モデル作成装置50のモデル結合部52cは、複数の第3モデル10Cを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、シミュレーションモデル100を作成する。シミュレーションモデル100は、母相12及びフィラー相13を含む第3モデル10Cを複数有するので、複数のフィラー相13を有する。モデル作成装置50の境界条件設定部52eは、シミュレーションモデル100に周期境界条件を設定して、記憶部54に保存する。
図14、図15は、本実施形態の第1変形例において、第3モデルを結合する手法の説明図である。本変形例において、図14に示すように、第2モデル作成部52bは、第3モデル10Cを少なくとも1以上複製して、複数(2以上)の第3モデル10Cを作成する。そして、モデル結合部52cは、図15に示すように、それぞれの第3モデル10Cの境界15C’と境界15Cとを一致、すなわち、それぞれの境界15C’と境界15Cとの同じ位置に存在する節点同士を一致させた上で、それぞれの節点を結合する。一致させた二つの節点のうちいずれか一方を他方に置き換えたり、一致させた二つの節点が等しく運動するように拘束したりすることにより、二つの節点を結合することができる。第1変形例は、周期境界条件を設定するために対向する境界の節点が一致し、かつフィラー相13が複数存在するシミュレーションモデル100を容易に得ることができる。その結果、第1変形例は、MSSシミュレーションを実行するまでの工程を短縮できる。第1変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第2変形例)
図16は、第3モデルの平面図である。図17は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの平面図である。第2変形例に係るシミュレーションモデルは、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法によって作成される。第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。本変形例において、モデル作成装置50の第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、図16に示す第3モデル10Cの境界に存在する節点以外の節点の位置(座標)を変更して第4モデルを作成し、当該第4モデルを図17に示すシミュレーションモデル10aとする。このシミュレーションモデル10aは、楕円体のフィラー相13aと、フィラー相13aを囲む母相12aとを有する。第2モデル作成部52bは、作成したシミュレーションモデル10aを、記憶部54に保存する。次に、シミュレーションモデル10aを作成する方法の一例を説明する。
図18から図20は、本実施形態の第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法の説明図である。第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、FEMを用いて実現することができる。まず、第2モデル作成部52bは、図18に示す第3モデル10Cのすべての要素、すなわち、母相12及びフィラー相13が有するすべての要素を同一の材料物性に設定する。次に、第2モデル作成部52bは、第3モデル10Cの対向する境界15C、15C’が離れる方向(伸張)又は両者が接近する方向(圧縮)に、境界15C、15C’に存在する節点を移動させる。本変形例では、第2モデル作成部52bは、境界15C、15C’が離れる方向(図18の矢印F1で示す方向)に前記節点を移動させる。この処理により、第3モデル10Cは、図19に示すように伸張される。
次に、第2モデル作成部52bは、図19のフィラー相13に属する節点Nの位置(座標)を拘束する。そして、第2モデル作成部52bは、境界15C、15C’に存在する節点を、節点Nを拘束する前とは反対の方向に移動させ、節点Nを拘束する前の位置、すなわち、第3モデル10Cでの位置に戻す処理をする。本実施形態では、節点Nを拘束する前において、境界15C、15C’に存在する節点を伸張したので、前記処理においては、境界15C、15C’に存在する節点を圧縮する。すなわち、境界15C、15C’は、図19の矢印F2で示す方向に移動する。この処理によって、第3モデル10Cの対向する境界15C、15C’に存在する節点以外の節点の位置(座標)が変更される。
上述した処理によって図20に示すようなモデルをシミュレーションモデル10aとする。本変形例のシミュレーションモデル10aは、対向する境界に存在する節点の座標を保持したまま、フィラー相13aの形状を球形又は円形以外の形状に変更したMSSを実現できる。なお、本変形例に係るシミュレーションモデル10aの作成方法は、その処理の過程において対向する境界(例えば、境界15C、15C’)は移動するが、第3モデル10Cとシミュレーションモデル10aとの間で、対向する境界に存在する節点の位置(座標)は移動せず、シミュレーションモデル10aの境界に存在する節点の位置(座標)が移動する(以下、同様の例でも同じ)。
シミュレーションモデル10aは、楕円体のフィラー相13aと、フィラー相13aの周囲に存在する母相12aとを有する。なお、第2モデル作成部52bは、境界15C、15C’に存在する節点を移動させた後のモデルが有する要素を再生成、すなわちリメッシュしてもよい。第3モデル10Cの変形にともない、第3モデル10Cが有する要素の形状は歪むことがあるが、前記リメッシュにより、歪んだ要素の形状をより歪みの少ない形状にすることができる。その結果、本変形例のシミュレーションモデル10aを用いれば、MSSの精度低下を抑制できる。
図21、図22は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法における他の例の説明図である。このシミュレーションモデルの作成方法は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法と同様であるが、第3モデル10C内でフィラー相13を移動させることにより、第3モデル10C内におけるフィラー相13の位置(座標)を変更するものである。
モデル作成装置50の第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、図21に示す第3モデル10Cの境界15B、15B’、15C、15C’等に存在する節点以外の節点の位置(座標)を変更して作成したモデルを、図22に示すシミュレーションモデル10bとする。このシミュレーションモデル10bは、フィラー相13と母相12とを有する。そして、シミュレーションモデル10bは、境界15B、15B’、15C、15C’等に対するフィラー相13の位置が、第3モデル10Cにおける境界15B、15B’、15C、15C’等に対するフィラー相13の位置とは異なる。
シミュレーションモデル10bを作成するにあたって、第2モデル作成部52bは、図21に示す第3モデル10Cのすべての要素、すなわち、母相12及びフィラー相13が有するすべての要素を同一の材料物性に設定する。次に、第2モデル作成部52bは、第3モデル10Cの対向する境界15B、15B’、15C、15C’等の位置(座標)を拘束して、フィラー相13の位置(座標)を移動させる。この例では、フィラー相13が境界15C’へ接近するように、図21の矢印δで示す方向にフィラー相13は移動する。
次に、第2モデル作成部52bは、移動後のフィラー相13に属する節点の位置(座標)を拘束する。この処理によって、第3モデル10Cの境界15B、15B’、15C、15C’等の位置(座標)を固定した状態で、フィラー相13の位置(座標)を変更したシミュレーションモデル10bを得ることができる。この例のシミュレーションモデル10bは、境界に存在する節点とフィラー相との相対的な位置関係を異ならせたMSSを実現できる。第2変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第3変形例)
第3変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行して得られたモデルに対して、第1変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するものである。第3変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。第3変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法において、第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデル10C(図18参照)の境界(例えば、対向する境界15C、15C’)に存在する節点以外の節点の位置(座標)を変更する。この処理によって、第2モデル作成部52bは、複数の第4モデルを作成する。次に、モデル結合部52cは、前記複数の第4モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、シミュレーションモデルを作成する。第3変形例は、球形又は円形以外の形状のフィラー相を複数有するシミュレーションモデルを容易に得ることができる。第3変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第4変形例)
第4変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、第1変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行して得られたモデルに対して、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するものである。第4変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。第4変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法において、第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデルを作成する。次に、モデル結合部52cは、複数の第3モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合する。その後、第2モデル作成部52bは、結合後における複数の第3モデルのうち少なくとも一つの境界(例えば、対向する境界)に存在する節点以外の節点の位置(座標)を変更することにより、シミュレーションモデルを作成する。第4変形例も、球形又は円形以外の形状のフィラー相を複数有するシミュレーションモデルを容易に得ることができる。第4変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第5変形例)
第5変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、第2変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法によって得られた、フィラー相の形状を変更したモデルと、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法によって得られた、フィラー相の形状を変更しないモデルとを組み合わせる。この処理によって、複数のフィラー相を有するシミュレーションモデルを得るものである。第5変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。
第5変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法において、第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界(例えば、対向する境界)に存在する節点以外の節点の位置を変更して複数の第4モデルを作成する。次に、モデル結合部52cは、少なくとも一つの第3モデルと少なくとも一つの第4モデルとを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、シミュレーションモデルを作成する。第5変形例は、形状が異なるフィラー相を有するシミュレーションモデルを容易に得ることができる。第5変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第6変形例)
図23、図24は、本実施形態の第6変形例の説明図である。第6変形例は、第2変形例の他の例におけるフィラー相を移動させたモデルを複数組み合わせたシミュレーションモデル及びその作成方法に関するものである。第6変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、第1変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行して得られたモデルに対して、第2変形例の他の例に係るシミュレーションモデルの作成方法を実行するものである。第6変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。
第6変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法において、第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデル10Cを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデル10Cを作成する。次に、モデル結合部52cは、複数の第3モデル10Cを、それぞれの境界同士を一致させてから結合したモデルを作成する(図23参照)。その後、第2モデル作成部52bは、結合後における複数の第3モデル10Cうち少なくとも一つのフィラー相13の位置(座標)を、それぞれの境界の位置(座標)を拘束した上で移動させる。この例では、図23の矢印δで示す方向へ移動させる。次に、第2モデル作成部52bは、移動後のフィラー相13に属する節点の位置(座標)を拘束する。この処理によって、境界の位置(座標)を固定した状態で、フィラー相13aの位置(座標)を変更した第3モデル10Cを含むシミュレーションモデル100aを得ることができる。
第2モデル作成部52bは、作成したシミュレーションモデル100aを、記憶部54に保存する。この例のシミュレーションモデル100aは、複数のフィラー相を有し、かつシミュレーションモデル100aの境界に存在する節点とフィラー相との相対的な位置関係を異ならせたMSSを実現できる。第6変形例の構成は、以下においても適宜適用できる。
(第7変形例)
図25、図26は、本実施形態の第7変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法を示す説明図である。本変形例は、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの材料特性を変更し、変更後におけるモデルをシミュレーションモデルとするものである。次においては、変形例1に係るシミュレーションモデルの作成方法により得られたシミュレーションモデル100が有する少なくとも一つの第3モデル10Cの材料特性を変更する例を説明する。しかし、本変形例は、上述した実施形態及びその第1変形例から第6変形例に対しても同様に適用できる。材料特性とは、材料の弾性特性、粘弾性特性、密度及び熱伝導率等である。
第7変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法は、上述したモデル作成装置50によって実現できる。第7変形例に係るシミュレーションモデルの作成方法において、第2モデル作成部52bは、繰り返し手順(ステップS105)が終了した後であって境界条件設定手順(ステップS106)の前に、繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデル10Cを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデル10Cを作成する。次に、モデル結合部52cは、複数の第3モデル10Cを、それぞれの境界同士を一致させてから結合する。その後、第2モデル作成部52bは、結合後における複数の第3モデル10Cのうち、少なくとも一つの材料特性を変更する。この例では、二つの第3モデル10Cが有するそれぞれのフィラー相13の材料特性を変更する。具体的には、フィラー相13の材料特性を、母相12の材料特性と同一にする。すなわち、フィラー相13は、母相12と同じ材料とする。
上述した処理により得られたシミュレーションモデル100b(図26参照)は、第1変形例に係るシミュレーションモデル100(図13参照)と比較して、フィラー相13の数が少なくなる。このように、本変形例は、フィラー相13の充填率を変更したシミュレーションモデルを簡易に作成できるので、フィラー相の充填率を変更したMSSが可能になる。
以上、本実施形態及びその変形例は、周期境界条件を設定するために対向する境界の節点が一致し、かつフィラー相が複数存在するシミュレーションモデルを容易に得ることができる。また、本実施形態及びその変形例は、複数のフィラー相を有するシミュレーションモデルを作成すること、フィラー相の形状を変更したシミュレーションモデルを作成すること、フィラー相の凝集の度合いを変更したシミュレーションモデルを作成すること、のうち少なくとも一つを簡易に実現できる。その結果、本実施形態及びその変形例は、MSSシミュレーションを実行するまでの工程を短縮できる。
(評価例)
図27は、本実施形態の第1変形例に係るシミュレーションモデルを示す模式図である。図28は、本実施形態の第6変形例に係るシミュレーションモデルを示す模式図である。図29は、図27、図28に示すシミュレーションモデルを用いて1軸伸張シミュレーションを実行した結果を示す応力−ひずみ線図である。図27のシミュレーションモデル100は、母相12中にフィラー相13が略均等に分散したものを模擬しており、図28に示すシミュレーションモデル100aは、母相12中のフィラー相13が凝集したものを模擬している。図29の縦軸は応力(σ)、横軸はひずみ(ε)である。図29の実線は、図27に示すシミュレーションモデル100の結果であり、点線は、図28に示すシミュレーションモデル100aの結果である。本評価例においては、シミュレーションモデル100、100aの周期境界条件を設定した後、1軸伸張シミュレーションを実行した。図29に示す結果から分かるように、母相12中にフィラー相13が略均等に分散したものの方が、母相12中のフィラー相13が凝集したものよりも応力−ひずみ線の傾きが大きく、実際の現象と合致した。このように、本実施形態に係るシミュレーションモデルの作成方法によって得られたシミュレーションモデルは、実際の結果を再現できる。
以上のように、本発明に係るシミュレーションモデルの作成方法及びそのコンピュータプログラム、シミュレーション方法及びそのコンピュータプログラム、並びにシミュレーションモデルの作成装置は、材料特性の異なる複数の材料相が配置された不均質材料の性能や挙動をコンピュータでシミュレーションすることに有用である。
1 不均質材料
1P ミクロ領域
2 母相
3 フィラー相
10、10a、10b、100、100a、100b シミュレーションモデル
10A 第1モデル
10B 第2モデル
10C 第3モデル
12、12a 母相
13、13a フィラー相
14A、14B、14C 鏡像中心面
15A、15A’、15B、15B’、15C、15C’ 境界
50 モデル作成装置
51 入出力装置
52 処理部
52a 第1モデル作成部
52b 第2モデル作成部
52c モデル結合部
52d 繰り返し演算部
52e 境界条件設定部
52f 解析部
53 入力手段
54 記憶部
55 表示手段

Claims (14)

  1. コンピュータが、2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は直方体領域内の母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する第1モデル作成手順と、
    前記コンピュータが、前記第1モデルのフィラー相が現れている境界である鏡像中心部分に対して、前記第1モデルが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとする第2モデル作成手順と、
    前記コンピュータが、前記第1モデルと前記第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとするモデル結合手順と、
    前記コンピュータが、前記第2モデル作成手順と前記モデル結合手順とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ繰り返し、かつ2回目以降の前記第2モデル作成手順及び前記モデル結合手順では、前記第3モデルを前記第1モデルとする繰り返し手順と、
    前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルをシミュレーションモデルとし、当該シミュレーションモデルに、周期境界条件を設定する境界条件設定手順と、
    を含むことを特徴とするシミュレーションモデルの作成方法。
  2. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの材料特性を変更し、変更後におけるモデルを前記シミュレーションモデルとする請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  3. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデルを作成し、次に、前記複数の第3モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成する請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  4. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルを少なくとも一つ複製することによって複数の第3モデルを作成し、次に、前記複数の第3モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合し、その後、結合後における前記複数の第3モデルのうち少なくとも一つの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して得られたモデルを前記シミュレーションモデルとする請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  5. 前記コンピュータが、前記結合の前に、複数の前記第3モデルのうち少なくとも一つの材料特性を変更する請求項3又は4に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  6. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して得られたモデルを前記シミュレーションモデルとする請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  7. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して複数の第4モデルを作成し、次に、前記複数の第4モデルを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成する請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  8. 前記コンピュータが、前記結合の前に、前記第4モデルとすべての前記複数の第4モデルとのうち、少なくとも一つの材料特性を変更する請求項7に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  9. 前記コンピュータが、前記繰り返し手順が終了した後に得られる第3モデルの境界に存在する節点以外の節点の位置を変更して第4モデルを作成し、次に、少なくとも一つの当該第3モデルと少なくとも一つの当該第4モデルとを、それぞれの境界同士を一致させてから結合することにより、前記シミュレーションモデルを作成する請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  10. 前記コンピュータが、前記結合の前に、前記第3モデルと前記第4モデルとのうち、少なくとも一つの材料特性を変更する請求項9に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のシミュレーションモデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするシミュレーションモデルの作成用コンピュータプログラム。
  12. コンピュータが、請求項1から10のいずれか1項に記載のシミュレーションモデル作成方法によって作成されたシミュレーションモデルを用いて、母相にフィラー相が分散した材料の性能を模擬するシミュレーション方法。
  13. 請求項12に記載のシミュレーション方法をコンピュータに実行させることを特徴とするシミュレーション用コンピュータプログラム。
  14. 2次元の場合は長方形領域内の、3次元の場合は直方体領域内の母相と前記母相に含まれたフィラー相の一部とを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、第1モデルを作成する第1モデル作成部と、
    前記第1モデルのフィラー相が現れている境界である鏡像中心部分に対して、前記第1モデルが有するそれぞれの節点と対称となる位置にそれぞれ節点を生成し、生成された複数の節点で構成される領域を第2モデルとする第2モデル作成部と、
    前記第1モデルと前記第2モデルとを結合したモデルを、第3モデルとするモデル結合部と、
    前記第2モデルを作成する処理と前記第1モデルと前記第2モデルとを結合する処理とを、作成するシミュレーションモデルの次元の数だけ、前記第2モデル作成部と前記モデル結合部とに繰り返させ、かつ2回目以降においては、前記第3モデルを前記第1モデルとする繰り返し演算部と、
    前記繰り返し演算部の処理が終了した後に得られる第3モデルをシミュレーションモデルとし、当該シミュレーションモデルに、周期境界条件を設定する境界条件設定部と、
    を含むことを特徴とするシミュレーションモデルの作成装置。
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