JP2012078752A - レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法 - Google Patents

レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法 Download PDF

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Tatsuro Masuyama
達郎 増山
Koji Ichikawa
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Abstract

【課題】優れたラインエッジラフネス(LER)を有するレジストパターンを得ることができるレジスト組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(a)で表される塩、酸発生剤及び樹脂を含有するレジスト組成物。
Figure 2012078752

[式(a)中、R及びRは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。Z'は、有機カチオンを表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
例えば、特許文献1には、酸発生剤として、下記式で表される酸発生剤を含有するレジスト組成物が記載されている。
Figure 2012078752
特開2004−4561号公報
従来の酸発生剤を含むレジスト組成物では、得られるパターンのラインエッジラフネス(LER)が必ずしも満足できない場合があった。
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(a)で表される塩、酸発生剤及び樹脂を含有するレジスト組成物。
Figure 2012078752
[式(a)中、
及びRは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。
Z'は、有機カチオンを表す。]
〔2〕Z'が、アリールスルホニウムカチオンである前記〔1〕記載のレジスト組成物。
〔3〕前記樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解しえる樹脂である前記〔1〕又は前記〔2〕記載のレジスト組成物。
〔4〕(1)前記〔1〕〜前記〔3〕のいずれかに記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を、露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
本発明の塩によれば、該塩を含むレジスト組成物を用いて、優れたラインエッジラフネス(LER)を有するレジストパターンを形成することができる。
本明細書では、各置換基の例示は、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環状をとることができる置換基は、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。各置換基は、結合部位によって一価又は二価の置換基となり得る。
また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明のレジスト組成物は、以下の式(a)で表される塩、酸発生剤及び樹脂を含有する。
<式(a)で表される塩>
本発明の塩は、式(a)で表される(以下「塩(a)」という場合がある)。

Figure 2012078752
[式(a)中、
及びRは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。
Z'は、有機カチオンを表す。]
なお、以下の説明において、塩(a)のうち、正電荷を有するZ'で示される有機カチオンを除去してなる負電荷を有するものを「リン酸アニオン」ということがある。
炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
また、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、イソボルニル基などが挙げられる。
式(a)で表される塩におけるZ'としては、例えば、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等が挙げられる。これらの中でも、スルホニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
さらに好ましくは、以下の式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオン〔以下、各式の番号に応じて、「カチオン(b2−1)」、「カチオン(b2−2)」、「カチオン(b2−3)」及び「カチオン(b2−4)」ということがある〕である。
Figure 2012078752
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、互いに独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。
b7及びRb8は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、互いに独立に0〜5の整数を表す。
b9及びRb10は、互いに独立に、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9〜Rb11は、互いに独立に、脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜12)又は脂環式炭化水素基(好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12)である。
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
b9とRb10及びRb11とRb12は、互いに独立に、互いに結合して3員〜12員(好ましくは3員〜7員)環を形成していてもよく、該環に含まれるメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
b13〜Rb18は、互いに独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、互いに独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、互いに独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は互いに独立であり、p2が2以上であるとき、複数のRb14は互いに独立であり、s2が2以上であるとき、複数のRb15は互いに独立であり、t2が2以上であるとき、複数のRb18は互いに独立である。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及びメチルノルボルニル基並びに下記に示す基などが挙げられる。

Figure 2012078752

芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
b9〜Rb12の脂肪族炭化水素基のうち好ましい基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基である。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基のうち好ましい基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基及びイソボルニル基である。
b12の芳香族炭化水素基のうち好ましい基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基である。
b12の脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基は、典型的にはアラルキル基であり、具体的にはベンジル基等が挙げられる。
b9とRb10とが結合して形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環等が挙げられる。
b11とRb12とが結合して形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環等が挙げられる。
なかでも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、R19、R20及びR21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。
Figure 2012078752
式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数は1〜12であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、置換基として、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよい。
脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数は4〜18であり、置換基として、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
v2、w2及びx2は、互いに独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は互いに独立であり、w2が2以上のとき、複数のRb20は互いに独立であり、x2が2以上のとき、複数のRb21は互いに独立である。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、互いに独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
カチオン(b2−1−1)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
カチオン(b2−2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
カチオン(b2−3)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
カチオン(b2−4)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
式(a)で表される塩は、リン酸アニオン及び該有機カチオンの組合せである。リン酸アニオンと該有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。
式(a)で表される塩としては、例えば、以下の塩が挙げられる。
Figure 2012078752


Figure 2012078752


Figure 2012078752


Figure 2012078752
式(a)で表される塩は、例えば、式(a−b)で表される銀塩と式(a−c)で表される塩とを溶剤中で反応させることにより製造することができる。
Figure 2012078752
(式中、R、R及びZ'は、それぞれ前記と同義である。Xはハロゲン原子を表す。)
溶剤としては、クロロホルム等が挙げられる。
式(a−c)で表される塩としては、トリフェニルスルホニウム アイオダイドなどが挙げられる。
式(a−b)で表される銀塩としては、例えば、式(a−a)で表されるリン酸と酸化銀とを溶剤中で反応させることにより製造することができる。
Figure 2012078752
式(a−a)で表されるリン酸としては、ジブチルリン酸などが挙げられる。
本発明のレジスト組成物においては、式(a)で表される塩は、単独で用いてもよいし、複数種を同時に用いてもよい。
レジスト組成物における式(a)で表される塩の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上(より好ましくは0.3質量部以上)、好ましくは20質量部以下(より好ましくは10質量部以下)である。
<酸発生剤(以下、「酸発生剤(B)」ということがある)>
酸発生剤(B)としては、非イオン系酸発生剤、イオン系酸発生剤又はこれらを組み合わせが挙げられる。
非イオン系酸発生剤は、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、DNQ 4−スルホネート)及びスルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。
イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオン等がある。
酸発生剤(B)としては、本発明の技術分野で使用される酸発生剤(特に光酸発生剤)だけでなく、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤又は光変色剤等の放射線(光)によって酸を発生する公知化合物及びそれらの混合物も、適宜使用できる。例えば、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号や、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載されている、放射線によって酸を発生する化合物を、酸発生剤(B)として使用できる。
酸発生剤(B)としては、分子内にフッ素原子を有するフッ素含有酸発生剤が好ましく、以下の式(B1)で表される酸発生剤(B)(以下、「酸発生剤(B1)」という)が特に好ましい。この酸発生剤(B1)と塩(a)とを含む本レジスト組成物は、LERが良好なレジストパターンを製造できるだけでなく、良好なフォーカスマージン(DOF)でレジストパターンを製造できるという利点がある。なお、以下の説明において、この酸発生剤(B1)のうち、正電荷を有するZは「有機カチオン」といい、該有機カチオンを除去してなる負電荷を有するものを「スルホン酸アニオン」ということがある。
Figure 2012078752
式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、オキシ基又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、オキシ基、スルホニル基(−SO−)又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。
ペルフルオロアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
式(B1)においては、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基又はフッ素原子であることが好ましく、より好ましくは、Q1及びQ2がともにフッ素原子である。
1及びQ2がともにフッ素原子である酸発生剤(B1)を用いたレジスト組成物では、より広いフォーカスマージンでレジストパターンを製造することができる。
b1で表される2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン基、単環式又は多環式の脂環式炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組み合わせたものでもよい。具体的には、
メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等の直鎖状アルキレン基;
直鎖状アルキレン基に、アルキル基(特に、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)の側鎖を有した分岐状アルキレン基、例えば、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等の分岐状アルキレン基;
1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基である単環式の脂環式炭化水素基;
1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の多環式の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
b1で表される2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基におけるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わった基としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで示される基が挙げられる。L1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで示される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で示される基である。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、それぞれ*で示される2つの結合手のうち、左側の結合手はC(Q1)(Q2)の炭素原子と結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
Figure 2012078752
式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b6は、単結合又は炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
b7は、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。但しLb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
b11は、単結合又は炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。
b12は、炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。但しLb11及びLb12の合計炭素数の上限は14である。
なかでも、Lb1は、好ましくは、式(b1−1)で表される2価の基であり、より好ましくは、Lb2が単結合又は炭素数1〜6の飽和炭化水素基、つまり、*−CO−O−(CHt−(tは0〜6の整数を表す。*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す)であり、さらに好ましくは、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基、つまり、*−CO−O−である。
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
b1における飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。そのような基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
脂環式炭化水素基としては、飽和及び不飽和の単環式及び多環式の炭化水素基(ただし、芳香族炭化水素は除く)が挙げられる。この脂環式炭化水素基は、アルキル基が結合しているものであってもよい(アルキル基を介して脂環式炭化水素基がLb1に結合しているものであってもよい)。単環式の炭化水素基としては、シクロアルキル基が挙げられ、多環式の炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及びメチルノルボルニル基並びに下記に示す基などが挙げられる。
Figure 2012078752
Yの脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
Yの脂環式炭化水素基としては、飽和炭化水素基が好ましく、シクロアルキル基がより好ましい。シクロアルキル基の炭素数は、例えば、3〜12が挙げられる。
Yにおける置換基としては、例えば、ハロゲン原子(但し、フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基(式中、Rb1は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜16の飽和環状炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)等が挙げられる。この置換基である脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、芳香族炭化水素基及びアラルキル基は、さらに、例えば、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。また、脂肪族炭化水素基の置換基として、さらに炭素数3〜16の脂環式炭化水素基を有していてもよい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、トリチル、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
飽和環状炭化水素基としては、シクロアルキル基が挙げられる。
Yの脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基におけるメチレン基が、オキシ基、スルホニル基(−SO−)又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、エーテル結合又は環状エーテル基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の1つ又は2つがオキシ基に置き換わった基)、環状ケトン基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった基)、スルトン環基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、オキシ基及びスルホニル基に置き換わった基)及びラクトン環基(脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、オキシ基及びカルボニル基に置き換わった基)等が挙げられる。
特に、Yの脂環式炭化水素基としては、式(Y1)〜式(Y26)のいずれかで表される基が挙げられる。ここで、式(Y12)〜式(Y26)で表される基が、脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の1〜3個がそれぞれ、1以上のオキソ基、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基に該当する。なお、これら式(Y1)〜式(Y26)で表される基において、*はLb1に結合している結合手を表す。
Figure 2012078752
なかでも式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基が好ましく、式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基がより好ましく、式(Y11)又は式(Y14)で表される基がさらに好ましい。
環原子の炭素原子にアルキル基が結合してなる脂環式炭化水素基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
ヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
芳香族炭化水素基を有する脂環式炭化水素基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基を有する脂環式炭化水素基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yとしては、好ましくは、ヒドロキシ基等を置換基として有していてもよいアダマンチル基であり、より好ましくは、アダマンチル基又はヒドロキシアダマンチル基である。
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、例えば、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるスルホン酸アニオンが挙げられる。この式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンにおいて、Lb1は式(b1−1)で表される基が好ましい。また、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、Yが炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Figure 2012078752
Yが脂肪族炭化水素基又は無置換の飽和環状炭化水素基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。

Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Yが−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、ヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Yが、芳香族炭化水素基又はアラルキル基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記環状エーテル基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記ラクトン環基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Yが、前記環状ケトン基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記スルトン環基であり、Lb1が式(b1−1)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。

Figure 2012078752
Yが、脂肪族炭化水素基又は無置換の脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Yが、−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下の
ものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、ヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、芳香族炭化水素基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記環状エーテル基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記ラクトン環基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記環状ケトン基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記スルトン環基であり、Lb1が式(b1−2)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、脂肪族炭化水素基であり、Lb1が式(b1−3)で表される2価の基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Yが、アルコキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−3)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、ヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−3)で表される2価の基であるスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、前記環状ケトン基であり、Lb1が式(b1−3)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−4)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、アルコキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−4)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが、ヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であり、Lb1が式(b1−4)で表される基であるスルホン酸アニオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Yが前記環状ケトン基であり、Lb1が式(b1−4)で表される2価の基であるスルホン酸アニオンとしては例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
スルホン酸アニオンの中でも、Lb1が式(b1−1)で表される基であるものが好ましく、以下のスルホン酸アニオンがより好ましい。
Figure 2012078752
酸発生剤(B1)に含まれるカチオンは、例えば、オニウムカチオン(スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン及びホスホニウムカチオン)等が挙げられる。これらの中でも、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
従って、酸発生剤(B1)における有機カチオンであるZ+としては、式(a)における有機対イオンZ'と同様のもの、つまり式(b2−1)〜式(b2−4)で表されるカチオンが挙げられる。
酸発生剤(B1)は上述したスルホン酸アニオン及び有機カチオンを任意に組み合わせることができる。なかでも、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンとカチオン(b2−1−1)との組合せである酸発生剤(B1)、並びに式(b1−1−3)〜式(b1−1−5)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンとカチオン(b2−3)との組合せである酸発生剤(B1)が好ましい。
このような酸発生剤(B1)と、塩(a)とを含むレジスト組成物は、より一層広いフォーカスマージンでレジストパターンを製造することができる。
さらに好ましい酸発生剤(B1)は、以下の式(B1−1)〜式(B1−17)のいずれかで表されるものが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムカチオンを含む酸発生剤(B1)である、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−6)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び(B1−14)のいずれかで表されるものがより好ましい。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
本発明のレジスト組成物における酸発生剤(B1)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。
<樹脂(以下、「樹脂(A)」ということがある)>
樹脂(A)は、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解する特性を有する。
「酸と作用によりアルカリ可溶水溶液で溶解する」とは、酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。このような樹脂(A)は、分子内にある親水性基の一部又は全部が、酸との接触により脱離し得る保護基により保護されているものであり、樹脂(A)が酸と接触すると当該保護基が脱離して、樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶な樹脂に転化する。
保護基により保護されている親水性基(以下、「酸不安定基」ということがある)としては、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基がより好ましい。
樹脂(A)は、酸不安定基を有するモノマー(以下、「モノマー(a1)」という。)を重合することによって製造できる。かかる重合の際には、モノマー(a1)を1種のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<モノマー(a1)>
モノマー(a1)における酸不安定基の親水性基がカルボキシ基であるモノマーとしては、カルボキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、オキシ基と結合する有機残基の原子が3級炭素原子である基が挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基としては、例えば、以下の式(1)で表されるもの(以下、「酸不安定基(1)」ということがある)が挙げられる。
Figure 2012078752
式(1)中、
a1〜Ra3は、互いに独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、或いは、Ra1及びRa2は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環、該脂肪族炭化水素基又は該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
a1〜Ra3の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。
a1〜Ra3の脂環式炭化水素基は、飽和及び不飽和の単環式及び多環式の炭化水素基(ただし、芳香族炭化水素は除く)が挙げられ、炭素数が1〜16のものが好ましい。
a1及びRa2が互いに結合して環を形成する場合、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、下記に示す基が挙げられる。
Figure 2012078752
式(1)では、このような環の炭素数は、好ましくは3〜12である。
酸不安定基(1)の具体例は、
1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3が全てアルキル基である基、このアルキル基のうち、1つはtert−ブトキシカルボニル基であると好ましい。)、
2−アルキル−2−アダマンチルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が互いに結合し、これらが結合する炭素原子とともにアダマンチル環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び
1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
親水性基がヒドロキシ基である場合の酸不安定基は、ヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基は、例えば、以下の式(2)で表されるもの(以下、「酸不安定基(2)」ということがある)である。
Figure 2012078752
式(2)中、
b1及びRb2は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、或いは、Rb2及びRb3は互いに結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Rb2及びRb3は互いに結合して形成される環又は該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
b1〜Rb3の炭化水素基は、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
b2及びRb3は互いに結合して形成される環は、Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環と同様のものが挙げられる。
b1及びRb2のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
酸不安定基(2)の具体例としては、以下の基が挙げられる。

Figure 2012078752
酸不安定基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
モノマー(a1)は好ましくは、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)と、炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーであり、より好ましくは酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、酸不安定基(1)が、炭素数5〜20の脂環を部分構造とするものが好ましい。このような立体的に嵩高い脂環基を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂(A)を含む本レジスト組成物を用いてレジストパターンを製造すれば、より良好な解像度でレジストパターンを製造することができる。
脂環を部分構造とする酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、式(a1−1)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−1)」という)又は式(a1−2)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−2)」という)が好ましい。樹脂(A)を製造する際、これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2012078752

式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、酸素原子又は*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表し、n1は0〜10の整数を表す。
なお、式(a1−1)においてアダマンタン環にある「−(CHm1」の表記は、アダマンタン環にあるメチレン基及び/又はメチン基の水素原子が、メチル基に置き換わっており、アダマンタン環に結合しているメチル基の個数がm1個であることを意味する。
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は*−O−(CH2f1−CO−O−(但し、f1は1〜4の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である)で表される基であり、より好ましくは酸素原子である。f1は、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基は、アルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。Ra6又はRa7の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜8、より好ましくは炭素数3〜6の基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
*は、アダマンタン環又はシクロヘキサン環との結合手を表す。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
*は、アダマンタン環又はシクロヘキサン環との結合手を表す。
モノマー(a1−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
これらの中でも、モノマー(a1−1)としては、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及び2−イソプロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート及び2−イソプロピル−2−アダマンチルメタクリレートがより好ましい。
モノマー(a1−2)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
これらの中でも、モノマー(a1−2)としては、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、1−エチルシクロヘキシルメタクリレートがより好ましい。
樹脂(A)が、モノマー(a1−1)及び/又はモノマー(a1−2)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。モノマー(a1−1)及び/又はモノマー(a1−2)は、樹脂(A)を製造する際に、全モノマーの使用量に対してそれぞれ使用量を調整すればよい。
樹脂(A)は、(メタ)アクリル系モノマー以外に、酸不安定基(1)と炭素−炭素二重結合とを分子内に有する他のモノマーに由来する構造単位を有していてもよい。
かかる他のモノマーとして例えば、以下の式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下、「モノマー(a1−3)」という)が挙げられる。
Figure 2012078752
式(a1−3)中、
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基(−COORa13、ここで、Ra13は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、又は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基を表す。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基にある水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい)を表し、
a10〜Ra12は、互いに独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、或いは、Ra10及びRa11が互いに結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。これら脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基等で置換されていてもよく、これらの基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
a9のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシ基にカルボニル基が結合した基が挙げられる。
a9のヒドロキシ基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
a13の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
a10〜Ra12は、例えば、メチル基、エチル基、シクロへキシル基、メチルシクロへキシル基、ヒドロキシシクロへキシル基、オキソシクロへキシル基及びアダマンチル基等が挙げられる。
a10及びRa11が互いに結合して形成される環は、脂環が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環等が挙げられる。
モノマー(a1−3)としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル等が挙げられる。
モノマー(a1−3)を用いて樹脂(A)を製造した場合、この樹脂(A)にはモノマー(a1−3)に由来する、立体的に嵩高い構造単位が含まれることになる。したがって、この構造単位を有する樹脂(A)を含む本レジスト組成物を用いてレジストパターンを製造すれば、より良好な解像度でレジストパターンを得ることができる。さらにモノマー(a1−3)を用いることにより、樹脂(A)の主鎖に剛直なノルボルナン環を導入できるため、該樹脂(A)を含む本レジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという傾向がある。
樹脂(A)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、上述のように、得られるレジストパターンの良好な解像度及び優れたドライエッチング耐性という観点から、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
前記他のモノマーとしては、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−4)」という)を用いることもできる。
Figure 2012078752
式(a1−4)中、
a32は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のRa33はそれぞれ独立である。
a34及びRa35はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該飽和炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基(−SO−)又は−N(R)−で示される基で置き換わっていてもよい。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基の各々に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよい。
a32のハロゲン原子を有してもよいアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルクロロメチル基、ペルブロモメチル基及びペルヨードメチル基などが挙げられる。
a33のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基及びブチリルオキシ基などが挙げられる。
a34及びRa35の炭化水素基は、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれかである。
式(a1−4)においては、脂肪族炭化水素基は、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましい。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基及びイソボルニル基等が好ましい。
a32及びRa33がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a33のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
a34及びRa35の炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基及びイソボルニル基等が好ましい。
a2及びYa3は、これらに含まれる水素原子が置換される場合、その置換基は好ましくはヒドロキシ基である。
モノマー(a1−4)としては、以下の例が挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
樹脂(A)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
酸不安定基(2)を有するモノマー(a1)は、(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−5)」という)が挙げられる。
Figure 2012078752
式(a1−5)中、
31は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
〜Lは、互いに独立に、単結合又は2価の炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるに含まれる水素原子はハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、前記飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子又はスルホニル基で置き換わっていてもよい。
は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記飽和炭化水素基に含まれるに含まれる水素原子はハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基で置換されていてもよく、前記飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子又はスルホニル基で置き換わっていてもよい。
S1及びS2は、互いに独立に、0〜3の整数を表す。
式(a1−5)においては、R31としては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であることが好ましい。
は、酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
s1は、1が好ましい。
s2は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合、*−(CHn4−O−又は*−(CHn4−CO−O−(各n4は1〜4の整数であり、1が好ましい。各*は、Lとの結合手を表す)である。
モノマー(a1−5)の具体例としては、以下のとおりである。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
<酸安定モノマー>
樹脂(A)は、好ましくは、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)との共重合体である。酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
以上、樹脂(A)製造用のモノマー(a1)、特に好適な(メタ)アクリル系モノマー、及び該(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマー(a1)について説明したが、後述のレジスト組成物に用いる樹脂(A)としては、モノマー(a1)に加えて、酸不安定基を有さないモノマー(以下「酸安定モノマー」という場合がある)を用いて得られる共重合体であると好ましい。また、レジスト組成物に用いる添加物として、酸安定モノマーから得られる樹脂を用いることもある。以下、樹脂(A)製造に好ましく用いられる酸安定モノマーの各々について説明する。
樹脂(A)が酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位は、全構造単位100モル%に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。また、アダマンチル基を有するモノマー(特に酸に不安定な基を有するモノマー(a1−1))に由来する構造単位を、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)100モル%に対して15モル%以上とすることが好ましい。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する傾向がある。
酸安定モノマーは、ヒドロキシ基又はラクトン環を分子内に有するものが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a2)」という)及び/又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a3)」という)に由来する構造単位を有する樹脂(A)は、樹脂(A)を含むレジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜の基板への密着性に優れ、良好な解像度でレジストパターンを製造することができる。
<酸安定モノマー(a2)>
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線又はEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性水酸基を有する酸安定モノマー(a2−0)を使用することが好ましい。
また、短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸安定モノマー(a2)としては、以下の式(a2−0)で表されるp−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマー(以下、「酸安定モノマー(a2−0)」という。)が挙げられる。なお、この式(a2−0)は、フェノール性水酸基が適当な保護基で保護されていない形式で示すものである。
Figure 2012078752
式(a2−0)中、
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31はそれぞれ独立である。
式(a2−0)においては、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
このような酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する樹脂(A)を製造する場合は、酸安定モノマー(a2−0)にあるフェノール性水酸基が適当な保護基で保護されてなるモノマー(保護フェノール性水酸基を有するモノマー)を用いることもできる。ここでいう保護基としては、例えば、アセチル基等が好ましい。アセチル基で保護されたフェノール性水酸基は、酸との接触により該アセチル基が脱保護されるため、アセチル基で保護されたフェノール性水酸基を有するモノマーに由来する構造単位からは容易に、酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位と同じものを形成することができる。ただし、本発明に用いる樹脂(A)は上述のとおり、酸不安定基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位を有しているので、フェノール性水酸基が適当な保護基で保護されてなるモノマーに由来する構造単位を脱保護する際には、この酸不安定基を著しく損なわないようにして、脱保護を実施する必要がある。
酸安定モノマー(a2−0)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
なかでも、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを用いて、樹脂(A)を製造する際、フェノール性水酸基が適当な保護基で保護したものを用いてもよい。
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜95モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
酸安定モノマー(a2−1)としては、以下の式(a2−1)で示されるものが挙げられる。
Figure 2012078752
式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は*−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、酸素原子又は*−O−(CH2f2−CO−O−(ここでf2は、1〜4の整数である)であり、より好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
なかでも、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルオキシカルボニル)メチルが好ましく、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート及び3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレートがより好ましく、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート及び3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートがさらに好ましい。
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a2−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、3〜40モル%の範囲が好ましく、5〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
<酸安定モノマー(a3)>
上述のとおり、酸安定モノマー(a3)は、ラクトン環を含有する酸安定モノマーである。かかるラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
酸安定モノマー(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)の製造においては、これらのうち1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−1)」といい、式(a3−2)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−2)」といい、式(a3−3)で示される酸安定モノマー(a3)を「酸安定モノマー(a3−3)」という。
Figure 2012078752
式(a3−1)、式(a3−2)及び式(a3−3)中、
a4、La5及びLa6は、それぞれ独立に、酸素原子又は*−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18、Ra19及びRa20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上のとき、それぞれ、複数のRa21、Ra22又はRa23は、それぞれ独立である。
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又は*−O−(CH2d1−CO−O−であることが好ましく(ここでd1は、1〜4の整数である)、より好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
酸安定モノマー(a3−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
酸安定モノマー(a3−2)としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
酸安定モノマー(a3−3)は例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)の中でも、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル、(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル等のメタクリレートエステル類がより好ましい。
樹脂(A)が、モノマー(a3−1)に由来する構造単位、モノマー(a3−2)に由来する構造単位及びモノマー(a3−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位〔酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜40モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
<酸安定モノマー(a4)>
樹脂(A)製造には、上述した酸安定モノマー以外の酸安定モノマーを用いてもよい。以下、このような酸安定モノマーを「酸安定モノマー(a4)」という。
酸安定モノマー(a4)としては、下記式(a4−1)で表される無水マレイン酸、下記式(a4−2)で表される無水イタコン酸、及び、下記式(a4−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a4−3)」という)などが挙げられる。
Figure 2012078752
式(a4−3)中、
a25及びRa26は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、シアノ基、カルボキシ基又はアルコキシカルボニル基〔−COORa27、ここで、Ra27は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、又は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基と炭素数3〜20の脂環式炭化水素基とからなる基を表す。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。但し−COORa27が酸不安定基となるものは除く(即ちRa27は、3級炭素原子が−O−と結合するものを含まない)〕を表すか、或いはRa25及びRa26は互いに結合して−CO−O−CO−を形成する。
a27の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の基である。脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数4〜12の基である。
ノルボルネン環を有する酸安定モノマー(a4−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
樹脂(A)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位〔酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜30モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
更に、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−4)で表されるスルトン環を有するものなどが挙げられる。
Figure 2012078752
式(a4−4)中、
a7は、酸素原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−を表し、
k4は1〜7の整数を表す。*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a28は、水素原子又はメチル基を表す。
16は、置換基を有していてもよいスルトン環を含む残基を表す。
スルトン環としては、下記に示すものが挙げられる。スルトン環を含む残基の代表例は、下記スルトン環にある水素原子の1つが、La7に置き換わったものである。
Figure 2012078752
置換基を有していてもよいスルトン環を含む残基とは、上述のLa7に置き換わった以外の水素原子がさらに置換基で置換されたものであり、該置換基は、水酸基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のアシル基及び炭素数1〜8のアシルオキシ基からなる群より選ばれる。
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、パーフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(パーフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロペンチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、パーフルオロペンチルメチル基及びパーフルオロヘキシル基が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基等が挙げられる。
式(a4−4)で表されるスルトン環を有する酸安定モノマー(a4)の具体例を示す。
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
Figure 2012078752
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樹脂(A)が、式(a4−4)で表されるスルトン環を有する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
また、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、以下に示すようなフッ素原子を有するモノマー〔以下、「モノマー(a4−5)」という。〕も使用できる。
Figure 2012078752
このようなモノマーの中でも、単環式又は多環式の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸5−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸4,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノニルが好ましい。
樹脂(A)が、モノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
好ましい樹脂(A)は、モノマー(a1)と、酸安定モノマー(a2)及び/又は酸安定モノマー(a3)とを重合させて得られる共重合体である。この好ましい共重合体において、モノマー(a1)として、上述のモノマー(a1−1)及びモノマー(a1−2)の少なくとも1種を用いることが好ましく、モノマー(a1−1)を用いることがさらに好ましい。酸安定モノマー(a2)としては、酸安定モノマー(a2−1)が好ましく、酸安定モノマー(a3)としては、酸安定モノマー(a3−1)及び酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種が好ましい。
樹脂(A)は、モノマー(a1)と、必要に応じて、酸安定モノマー(a2)、酸安定モノマー(a3)及び酸安定モノマー(a4)からなる群より選ばれる酸安定モノマーとを用い、これらが上述のとおりの樹脂(A)の全構造単位に対する好適な含有量になるようにして使用量を調節した後、公知の重合法(例えばラジカル重合法)により製造することができる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは2,500以上であり、より好ましくは3,000以上である。該重量平均分子量の上限は50,000以下が好ましく、30,000以下がさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
<塩基性化合物(以下、「塩基性化合物(C)」という)>
本レジスト組成物は、式(a)で表される塩、酸発生剤及び樹脂の他に塩基性化合物(C)を含有していてもよい。「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、既に説明した酸発生剤から発生する酸を捕捉するという特性を有する化合物を意味する。この塩基性化合物(C)の含有量は、本レジスト組成物の固形分を基準として、0.01〜1質量%程度であることが好ましい。「組成物中の固形分」とは、後述する溶剤(E)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えば、アミン及びアンモニウム塩を挙げることができる。アミンは、脂肪族アミンでも、芳香族アミンでもよい。脂肪族アミンは、1級アミン、2級アミン及び3級アミンのいずれも使用できる。芳香族アミンは、アニリンのような芳香環にアミノ基が結合したものや、ピリジンのような複素芳香族アミンのいずれでもよい。好ましい塩基性化合物(C)として、以下の式(C2)で表される芳香族アミン、特に、以下の式(C2−1)で表されるアニリン類が挙げられる。
Figure 2012078752

ここで、Arc1は、芳香族炭化水素基を表す。
c5及びRc6は、互いに独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である)、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基である)又は芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である)を表す。
c7は、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基である。)、炭素数1〜6のアルコキシ基、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数5〜10のシクロアルキル基である。)、芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。)又はニトロ基を表す。
c5〜Rc7における脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基にある水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、このアミノ基はさらに、炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい。
m3は0〜3の整数を表す。m3が2以上のとき、複数のRc7は、それぞれ独立である。
式(C2)で表される芳香族アミンは例えば、1−ナフチルアミン及び2−ナフチルアミンなどが挙げられる。
式(C2−1)で表されるアニリン類は例えば、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン及びジフェニルアミンなどが挙げられる。
また、以下の式(C3)〜式(C11)のいずれかで表される化合物(以下、「化合物(C3)」〜「化合物(C11)」のように表記する)を用いてもよい。
Figure 2012078752
式中、
c8及びRc20〜Rc28は、互いに独立に、Rc7と同義である。
c9〜Rc14、Rc16、Rc19及びRc22は、互いに独立に、Rc5及びRc6と同義である。
c15は、脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である)、脂環式炭化水素基(好ましくは、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基である)又はアルカノイル基(好ましくは、炭素数2〜6のアルカノイル基である)を表す。
o3、p3、q3、r3、s3、t3及びu3は、互いに独立に0〜3の整数を表す。o3が2以上であるとき、複数のRc20はそれぞれ独立であり、p3が2以上であるとき、複数のRc21はそれぞれ独立であり、q3が2以上であるとき、複数のRc24はそれぞれ独立であり、r3が2以上であるとき、複数のRc25はそれぞれ独立であり、s3が2以上であるとき、複数のRc26はそれぞれ独立であり、t3が2以上であるとき、複数のRc27はそれぞれ独立であり、u3が2以上であるとき、複数のRc28はそれぞれ独立である。
n3は0〜8の整数を表す。n3が2以上のとき、複数のRc15は、互いに同一でも異なってもよい。
c1及びLc2は、互いに独立に、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6程度のアルキレン基である)、カルボニル基、−C(=NH)−、−C(=NRc3)−(但し、Rc3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す)、硫黄原子、ジスルフィド結合(−S−S−)又はこれらの組合せを表す。
化合物(C3)としては例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミンエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなども用いることができる。
化合物(C4)としては例えば、ピペラジンなどが挙げられる。
化合物(C5)としては例えば、モルホリンなどが挙げられる。
化合物(C6)としては例えば、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
化合物(C7)としては例えば、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
化合物(C8)としては例えば、イミダゾール及び4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
化合物(C9)としては例えば、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
化合物(C10)としては例えば、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン及び2,2’−ジピコリルアミンなどが挙げられる。
化合物(C11)としては例えば、ビピリジンなどが挙げられる。
塩基性化合物(C)としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等のアンモニウム塩を用いてもよい。
本レジスト組成物に用いる塩基性化合物(C)としては、これらの中でもジイソプロピルアニリンが好ましく、2,6−ジイソプロピルアニリンが特に好ましい。
<溶剤(以下、「溶剤(D)」という。)>
本レジスト組成物に含まれる溶剤(D)は、用いる式(a)で表される塩の種類及びその量と、スルホン酸発生剤の種類及びその量、樹脂(A)の種類及びその量などに応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
好適な溶剤(D)の例としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類を挙げることができる。溶剤(D)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他の成分>
本レジスト組成物は、必要に応じて、用いる式(a)で表される塩、酸発生剤、樹脂、溶剤(D)及び必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)以外の構成成分を含んでいてもよい。この構成成分を「成分(F)」という。かかる成分(F)としては、本技術分野で広く用いられている添加剤であり、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などである。
<本レジスト組成物及びその調製方法>
本レジスト組成物は、式(a)で表される塩、樹脂(A)、酸発生剤(B)及び溶剤(D)を混合することで調製することができる。かかる混合において、その混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、用いる式(a)で表される塩などの種類や式(a)で表される塩等の溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
溶剤(D)の含有量は、上述のとおり、樹脂(A)の種類などに応じて適宜調節できるが、本レジスト組成物総質量に対して90質量%以上であると好ましい。なお、溶剤(D)の含有量が90質量%である本レジスト組成物では、該本レジスト組成物総質量に対する固形分の含有量は10質量%に該当する。このような含有量で溶剤(D)を含む本レジスト組成物は、例えば後述するレジストパターンの製造方法において、厚み30〜300nm程度の組成物層を形成可能な薄膜レジストとして適している。この観点からは、本レジスト組成物総質量に対する溶剤(D)の含有量は、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上である。該溶剤(D)の含有量の上限は例えば、99.9質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
本レジスト組成物においては、樹脂(A)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総質量に対して、80質量%以上であると好ましい。
塩(a)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総質量に対して、0.01〜1質量%程度であると好ましい。
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上である。また、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
塩基性化合物(C)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総質量に対して、0.01〜1質量%程度であると好ましい。なお、塩基性化合物(C)の含有量は、塩(a)及び酸発生剤(B)の合計含有量よりも低くしておくことが好ましい。
これら溶剤(D)、塩(a)、樹脂(A)酸発生剤(B)及び塩基性化合物(C)の各々の好適な含有量は、本レジスト組成物を調製する際の各々の使用量により制御可能である。本レジスト組成物を調製した後には、該本レジスト組成物を、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段に供して求めることもできる。
なお、成分(F)を本レジスト組成物に用いる場合には、当該成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を調節することができる。
このように、塩(a)、樹脂(A)、溶剤(D)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)又は成分(F)の各々を好ましい含有量で混合した後は、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過等することにより、本レジスト組成物は調製できる。
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程
を含む。
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。反射防止膜は、例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いて形成することができる。
工程(2)においては、基板上に塗布された本レジスト組成物、すなわち塗布膜から溶剤(D)を除去する。このような溶剤除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から溶剤を蒸発させることにより行われる。加熱手段や減圧手段の条件は、本レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて調整されるが、例えばホットプレートを用いる加熱手段(ホットプレート加熱)では、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にしておけばよい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入し、減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。
工程(3)は、得られた組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて行う。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンに応じたマスクを介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる酸発生剤(B)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸との作用により、樹脂(A)にある酸不安定基が脱保護反応を生じ、結果として露光部の組成物層にある樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。露光により、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違することとなる。
工程(4)においては、露光部で生じうる脱保護基反応を、さらにその進行を促進するための加熱処理が行われる。かかる加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段などが採用される。なお、工程(4)におけるホットプレート加熱では、該ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がさらに好ましい。
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置により現像するものである。ここでいう現像とは、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させることにより、露光部の組成物層を該アルカリ水溶液に溶解させ、未露光部の組成物層を基板上に残すことにより、当該基板上にレジストパターンが製造される。
ここで用いられるアルカリ水溶液は、「アルカリ現像液」と称されて、本技術分野で用いられるものを用いることができる。該アルカリ水溶液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液などが挙げられる。
以上により基板上に製造されたレジストパターンは、好ましくは超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去する。
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物は、ラインエッジラフネス(LER)に優れるレジストパターンを形成できる。
<用途>
本レジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、EB用のレジスト組成物又はEUV露光機用のレジスト組成物、さらに液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
化合物の構造は質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
実施例1〔式(I)で表される塩の合成〕
ジブチルリン酸(アルドリッチ製)4.12部及びクロロホルム25.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、酸化銀2.27部を仕込み、23℃で6時間攪拌した。得られた反応液に、トリフェニルスルホニウムアイオダイド7.65部を仕込み、23℃で6時間攪拌した。得られた反応液に、ラジオライト3.99部を添加し、23℃で1時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液に、クロロホルム39.92部及びイオン交換水21.42部を仕込み23℃で30分間攪拌し、分液することにより有機層を回収した。この水洗の操作を5回行った。得られた濾液に活性炭0.82部を添加し、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、アセトニトリル3.50部及びtert−ブチルメチルエーテル40.50部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣を濃縮することにより、式(I)で表される塩7.26部を得た。
Figure 2012078752
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 209.1
合成例1(樹脂(A)の合成)
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。
Figure 2012078752
以下、これらのモノマーを「モノマー(A)」〜「モノマー(F)」という。
〔樹脂A1の合成〕
モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(D):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%となるように添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより精製し、重量平均分子量が約8.1×10である共重合体を収率65%で得た。この共重合体は、モノマー(D)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A1とする。
Figure 2012078752
〔樹脂A2の合成〕
モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(E):モノマー(B):モノマー(C):モノマー(F)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%との割合で添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約7.8×10である共重合体を収率68%で得た。この共重合体は、モノマー(A)、モノマー(E)、モノマー(B)、モノマー(C)及びモノマー(F)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2とする。
Figure 2012078752
〔樹脂A3の合成〕
モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)を、そのモル比〔モノマー(A):モノマー(B):モノマー(C)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約9.2×10である共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)に各々由来する、以下の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂A3とする。
Figure 2012078752
実施例2〜7及び比較例1〜2
<レジスト組成物の調製>
実施例1で得られた塩(I)、合成例1で得られた樹脂A1、樹脂A2又は樹脂A3と、以下に示すスルホン酸発生剤と、以下に示すクエンチャーとを表1に示す質量部で、以下に示す溶剤と混合し、得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
Figure 2012078752
<塩(a)>
塩(I)
<樹脂>
樹脂A1〜A3
<酸発生剤>
酸発生剤B1:
Figure 2012078752
酸発生剤B2:
Figure 2012078752
<塩基性化合物:クエンチャー>
クエンチャーC1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
<レジストパターンの製造及びその評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。
得られた有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。レジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
各レジスト膜において、50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量となる露光量を実効感度とした。
以上のようなレジストパターンの製造において、以下の項目を評価した。
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
リソグラフィプロセス後のレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察し、レジストパターンの側壁の凹凸の触れ幅が、
3.5nmを超え、4nm以下であるものを◎
4nmを超え、4.5nm以下であるものを○、
4.5nmを超えるものを×とした。
以上のようにして求められたラインエッジラフネス評価(LER)の結果を、上述の水準評価で表し、表2に示す。
Figure 2012078752
式(a)で表される塩を含有する本レジスト組成物は、そのラインエッジラフネス(LER)が「○」又は「◎」の結果であり、ラインエッジラフネス(LER)が良好なレジストパターンを製造できた。一方、式(a)で表される塩を含まない比較例のレジスト組成物は、ラインエッジラフネス(LER)が不良(×)であった。
本発明の式(a)で表される塩を含む本レジスト組成物は、半導体の微細加工に利用できる。

Claims (4)

  1. 式(a)で表される塩、酸発生剤及び樹脂を含有するレジスト組成物。
    Figure 2012078752
    [式(a)中、
    及びRは、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。
    Z'は、有機カチオンを表す。]
  2. Z'が、アリールスルホニウムカチオンである請求項1記載のレジスト組成物。
  3. 前記樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解しえる樹脂である請求項1又は2記載のレジスト組成物。
  4. (1)請求項1〜3のいずれかに記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
    (2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
    (3)組成物層を、露光機を用いて露光する工程、
    (4)露光後の組成物層を加熱する工程、
    (5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
    を含むレジストパターンの製造方法。
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