JP2012077368A - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、特定のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン系水性液に対して、有機リン酸化合物と無機リン酸化合物を所定の割合で複合添加した表面処理組成物による表面処理皮膜を形成し、さらにその上層に、溶剤系有機樹脂に非クロム系防錆添加剤と、[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An−]x/n・zH2Oで示される結晶性層状複水酸化物からなる固形潤滑剤を配合した塗料組成物による上層皮膜を形成する。下層皮膜である特定の表面処理皮膜と、溶剤系有機樹脂に防錆添加剤と特定の固形潤滑剤を配合した上層皮膜との複合作用により、特に優れた平板および加工後の耐食性と接着接合性が得られる。
【選択図】なし
Description
(2)下層として酸化物微粒子とリン酸と特定の金属を含有する複合酸化物皮膜を形成し、その上層に、エポキシ樹脂などの有機樹脂に活性水素を有するヒドラジン誘導体を反応させた樹脂組成物と特定の防錆添加剤を含む塗料組成物により有機皮膜を形成する技術(例えば、特許文献2など)
(3)チタン化合物、有機リン酸化合物、水溶性樹脂、バナジン酸塩およびジルコニウム塩からなる下層皮膜を形成し、その上層に耐指紋性皮膜を形成する技術(例えば、特許文献3など)
(4)チタン化合物、有機リン酸化合物、無機リン酸からなる塗布剤により金属基材表面に皮膜を形成する技術(特許文献4)
まず、上記(1)、(2)の技術は、エポキシ樹脂にヒドラジン誘導体を付与することによって緻密な有機高分子皮膜(バリアー層)を形成させて耐食性を付与している。さらに、ポリイソシアネートなどの硬化剤を用いて架橋することで、皮膜のバリアー性を強化している。しかしながら、このような有機高分子皮膜では、長期にわたってバリアー性を確保し、腐食を抑制することは困難である。
また、上記(3)の技術は、下層皮膜によりある程度の耐食性を得ることができるが、接着接合性が大きく劣るという問題があり、その剥離界面はめっき面と下層皮膜間であることが判った。
また、上記(4)の技術は、チタン含有水溶液と有機酸をベースとし、耐食性向上のために無機リン酸の添加を可能としたものであるが、特許文献4に開示されている添加量の範囲では接着接合性が大きく劣ることが判った。
[1]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、有機リン酸化合物(B)を1〜400質量部、無機リン酸化合物(C)を50〜150質量部含有する表面処理組成物(X)を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を有し、その上層に、溶剤系有機樹脂(E)と、非クロム系防錆添加剤(F)と、下記の固形潤滑剤(G)を含有する塗料組成物(Y)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの上層皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
固形潤滑剤(G):[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An−]x/n・zH2Oで示される結晶性層状複水酸化物
ここで、M2+は、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Ni2+、Zn2+、Pb2+、Sn2+の中から選ばれる1種または2種以上であり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、3/4Zr4+、Mo3+の中から選ばれる1種または2種以上であり、An−は、OH−、F−、CO3 2−、Cl−、Br−、(C2O4)2−、I−、(NO3)−、(SO4)2−、(BrO3)−、(IO3)−、(V10O28)6−、(Si2O5)2−、(ClO4)−、(CH3COO)−、[C6H4(CO2)2]2−、(C6H5COO)−、[C8H16(CO2)2]2−、n(C8H17SO4)−、TPPC、n(C12H25SO4)−、n(C18H37SO4)−、SiO4 4−の中から選ばれる1種または2種以上である。
[3]上記[1]または[2]の表面処理鋼板において、塗料組成物(Y)に含まれる溶剤系有機樹脂(E)が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(a)リン酸塩
(b)Caイオン交換シリカ
(c)モリブデン酸塩
(d)酸化ケイ素
(e)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料組成物(Y)が、固形潤滑剤(G)を塗料組成物中の樹脂(E)の固形分100質量部に対して固形分の割合で10〜30質量部含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼板において、塗料組成物(Y)に含まれる固形潤滑剤(G)である結晶性層状複水酸化物において、M2+は、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Ni2+、Zn2+の中から選ばれる1種または2種以上であり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+の中から選ばれる1種または2種以上であり、An−は、OH−、CO3 2−、Cl−、(SO4)2−の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらには、これらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付のめっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法等、実施可能ないずれの方法も採用することができる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中にNi、Co、Feの1種以上の微量元素を1〜2000ppm程度析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi、Co、Feの1種以上を含むアルカリ性水溶液または酸性水溶液による表面調整処理を施し、これら元素を析出させるようにしてもよい。
本発明の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、特定のチタン含有水性液(A)、有機リン酸化合物(B)および無機リン酸化合物(C)を必須成分として含有する表面処理組成物(X)を塗布し、乾燥させることにより形成されるものである。この表面処理皮膜はクロム(但し、不可避不純物としてのクロムを除く)を含まない。
上記加水分解性チタン化合物は、チタンに直接結合する加水分解性基を有するチタン化合物であって、水、水蒸気などの水分と反応することにより水酸化チタンを生成するものである。また、加水分解性チタン化合物は、チタンに結合する基の全てが加水分解性基であるものでもよいし、チタンに結合する基の一部が加水分解性基であるものでもよい。
上記加水分解性基としては、上記したように水分と反応することにより水酸化チタンを生成させるものであれば特に制限はないが、例えば、低級アルコキシル基やチタンと塩を形成する基(例えば、塩素などのハロゲン原子、水素原子、硫酸イオンなど)などが挙げられる。
加水分解性基として、チタンと塩を形成する基を有する加水分解性チタン化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンなどが代表的なものとして挙げられる。
加水分解性基がチタンと塩を形成する基である加水分解性チタン化合物(例えば、塩化チタン、硫酸チタンなど)については、その加水分解性チタン化合物の水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液との反応により得られるオルトチタン酸(水酸化チタンゲル)も低縮合物として使用できる。
以上挙げた加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物は、1種または2種以上を使用できるが、そのなかでも、上述した一般式で示される加水分解性チタン化合物であるテトラアルコキシチタンが特に好ましい。
(i)含水酸化チタンのゲルまたはゾルに過酸化水素水を添加して得られるチタニルイオン過酸化水素錯体またはチタン酸(ペルオキソチタン水和物)水溶液(特開昭63−35419号公報、特開平1−224220号公報参照)。
このチタニア膜形成用液体を得る場合、チタンと塩を形成する基を有する塩化チタンや硫酸チタンの水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液とを反応させることによりオルトチタン酸と呼ばれる水酸化チタンゲルを沈殿させる。次いで、水を用いたデカンテーションによって水酸化チタンゲルを分離し、良く水洗し、さらに過酸化水素水を加え、余分な過酸化水素を分解除去することにより、黄色透明粘性液体を得ることができる。
このゾルはチタン原子以外に酸素原子と水素原子しか含まないので、乾燥や焼成によって酸化チタンに変化する場合、水と酸素しか発生しないため、ゾルゲル法や硫酸塩などの熱分解に必要な炭素成分やハロゲン成分の除去が必要でなく、低温でも比較的密度の高い酸化チタン膜を形成することができる。
この加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)は、加水分解性チタン化合物aと過酸化水素水とを反応させることにより、加水分解性チタン化合物aが水で加水分解されて水酸基含有チタン化合物を生成し、次いで、この水酸基含有チタン化合物に過酸化水素が配位するものと考えられ、この加水分解反応及び過酸化水素による配位が同時近くに起こることにより得られたものであり、室温域での安定性が極めて高く、長期の保存に耐えるキレート液を生成する。従来の製法で用いられる水酸化チタンゲルは、Ti−O−Ti結合により部分的に三次元化しており、このゲルと過酸化水素水を反応させたチタン含有水性液(A)とは組成及び安定性が本質的に異なる。
表面処理組成物(X0)を塗布した後の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含む非晶質(アモルファス)の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
また、上記したような80℃以上の加熱処理またはオートクレーブ処理を経て得られた酸化チタン分散液をチタン含有水性液(A)として用いた場合、表面処理組成物(X0)を塗布するだけで結晶性の酸化チタン含有皮膜が形成できるため、加熱処理できない材料のコーティング材として有用である。
前記酸化チタンゾルは、無定型チタニア微粒子または/およびアナタース型チタニア微粒子が水(必要に応じて、例えばアルコール系、アルコールエーテル系などの水性有機溶剤を添加してもよい)に分散したゾルである。この酸化チタンゾルとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、(i)硫酸チタンや硫酸チタニルなどの含チタン溶液を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(ii)チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(iii)四塩化チタンなどのハロゲン化チタン溶液を加水分解または中和して得られる酸化チタン凝集物、などの酸化チタン凝集物を水に分散した無定型チタニアゾル、或いは前記酸化チタン凝集物を焼成してアナタース型チタン微粒子とし、このものを水に分散したゾルを使用することができる。
チタン含有水性液(A1)において、上記酸化チタンゾルxとチタン過酸化水素反応物y(加水分解性チタン化合物aと過酸化水素水との反応生成物)との質量比率x/yは、1/99〜99/1、好ましくは約10/90〜90/10の範囲が適当である。質量比率x/yが1/99未満では、安定性、光反応性などの点において酸化チタンゾルを添加した効果が十分に得られず、一方、99/1を超えると造膜性が劣るので好ましくない。
チタン含有水性液(A1)の生成形態やその特性は、さきに述べた加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)と同様であるが、特に、酸化チタンゾルを使用することにより、合成時に一部縮合反応が起きて増粘するのが抑えられる。その理由は、縮合反応物が酸化チタンゾルの表面に吸着され、溶液状態での高分子化が抑えられるためであると考えられる。
また、チタン含有水性液(A1)を80℃以上で加熱処理またはオートクレーブ処理すると、結晶化した酸化チタンの超微粒子を含む酸化チタン分散液が得られる。この酸化チタン分散液を得るための温度条件、結晶化した酸化チタン超微粒子の粒子径、分散液の外観なども、さきに述べた加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)と同様である。このような酸化チタン分散液も、チタン含有水性液(A1)として使用することができる。
表面処理組成物(X0)を塗布した後の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含むアナタース型の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
以上述べたように、チタン含有水性液(A)の中でも、加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)やチタン含有水性液(A1)は、貯蔵安定性、耐食性などに優れた性能を有するので、本発明ではこれらを使用することが特に好ましい。
チタン含有水性液(A)には、必要に応じて、他のゾルや顔料を添加分散させることもできる。例えば、添加物としては、市販の酸化チタンゾルや酸化チタン粉末、マイカ、タルク、シリカ、バリタ、クレーなどが挙げられ、これらの1種以上を添加することができる。
表面処理組成物(X)中でのチタン含有水性液(A)の含有量は、固形分で1〜100g/L、好ましくは5〜50g/Lとすることが、処理液の安定性などの点から好ましい。
有機リン酸化合物(B)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜400質量部、特に20〜300質量部とすることが、耐水付着性などの点から好ましい。有機リン酸化合物(B)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1質量部未満では貯蔵安定性が劣り、一方、400質量部を超えると造膜性が低下し、耐水付着性や耐食性などが劣るため好ましくない。
無機リン酸化合物(C)としては、例えば、亜リン酸、強リン酸、三リン酸、次亜リン酸、次リン酸、トリメタリン酸、二亜リン酸、二リン酸、ピロ亜リン酸、ピロリン酸、メタ亜リン酸、メタリン酸、オルトリン酸などのモノリン酸類、モノリン酸類の誘導体および塩類、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサリン酸などの縮合リン酸類、これら縮合リン酸類の誘導体および塩類等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。但し、めっき表面との反応性の点からは、上記リン酸類の誘導体および塩類よりも、上記リン酸類の方が好ましい。また、無機リン酸化合物としては、水に溶解性のあるものが好ましい。特に、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸などを使用することが、処理液の貯蔵安定性、耐食性および接着接合性の観点から好ましい。
無機リン酸化合物(C)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して固形分の割合で50〜150質量部、特に70〜120質量部とすることが、接着接合性の点から好ましい。無機リン酸化合物(C)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して50質量部未満では接着接合性が劣り、一方、150質量部を超えると接着接合性が劣り、さらには耐食性,塗装性も劣化するため好ましくない。
この水溶性有機樹脂または/および水分散性有機樹脂(D)は、水に溶解または分散することのできる有機樹脂であり、有機樹脂を水に水溶化または分散化させる方法としては、従来公知の方法を適用することができる。具体的には、有機樹脂として、単独で水溶化や水分散化できる官能基(例えば、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ(イミノ)基、スルフィド基、ホスフィン基など)を含有するもの、および必要に応じてそれらの官能基の一部または全部を、酸性樹脂(カルボキシル基含有樹脂など)であればエタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物;アンモニア水;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物で中和したもの、また、塩基性樹脂(アミノ基含有樹脂など)であれば、酢酸、乳酸などの脂肪酸;リン酸などの鉱酸で中和したものなどを使用することができる。
これらのなかでも特に、水溶性または水分散性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂を用いることが表面処理組成物(X)の貯蔵安定性の面から好ましく、また特に、水溶性または水分散性のアクリル系樹脂を主成分として用いることが、表面処理組成物(X)の貯蔵安定性と塗膜性能とのバランスの面から好ましい。
前記親水性の基を有する重合体は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ポリオキシアルキレン基などの親水性の基を有する不飽和単量体、必要に応じて、さらにその他の不飽和単量体を重合させることにより得ることができる。
水溶性または水分散性アクリル樹脂は、耐食性などの点からスチレンを共重合してなるものが好ましく、全不飽和単量体中のスチレンの量は10〜60質量%、特に15〜50質量%であることが好ましい。また、共重合して得られるアクリル樹脂のTg(ガラス転移点)は30〜80℃、特に40〜70℃であることが、得られる皮膜の強靭性などの点から好ましい。
上記アミノ基含有不飽和単量体などのような含窒素不飽和単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素モノマー;アリルアミンなどが挙げられる。
以上挙げた不飽和単量体は、1種または2種以上を用いることができる。なお、本願の記載において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
(1)ポリウレタンポリマーの側鎖または末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などのイオン性基を導入することにより親水性を付与し、自己乳化により水中に分散または溶解する方法。
(2)反応の完結したポリウレタンポリマーまたは末端イソシアネート基をオキシム、アルコール、フェノール、メルカプタン、アミン、重亜硫酸ソーダなどのブロック剤でブロックしたポリウレタンポリマーを乳化剤と機械的剪断力を用いて強制的に水中に分散する方法。さらに、末端イソシアネート基を持つウレタンポリマーを水、乳化剤および鎖伸長剤と混合し、機械的剪断力を用いて分散化と高分子量化を同時に行う方法。
(3)ポリウレタン主原料のポリオールとしてポリエチレングリコールのごとき水溶性ポリオールを使用し、水に可溶なポリウレタンとして水中に分散または溶解する方法。
なお、ポリウレタン系樹脂は、上述した分散または溶解方法のうち異なる方法で得られたものを混合して用いることもできる。
ポリウレタン系樹脂の市販品としては、ハイドランHW−330、同HW−340、同HW−350(いずれも商品名,大日本インキ化学工業社製)、スーパーフレックス100、同150、同E−2500、同F−3438D(いずれも商品名,第一工業製薬社製)などを挙げることができる。
シランカップリング剤の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部、特に10〜400質量部であることが、皮膜をアルカリ脱脂した後の耐食性などの点から好ましい。
上記有機微粒子としては、例えば、アクリル、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレングリコールなどの樹脂微粒子が挙げられる。また、無機微粒子としては、例えば、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。コストなどの点から、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウムなどが特に好ましい。
有機微粒子および/または無機微粒子の配合量は、表面処理組成物(X)の固形分中で1〜30質量%、特に1〜20質量%とすることが、耐食性などの点から好ましい。
また、表面処理組成物(X)は、通常水で希釈して使用されるが、必要に応じて、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤などの親水性溶剤で希釈してもよい。
表面処理組成物(X)により形成される表面処理皮膜の皮膜厚は、経済性と塗膜性能、特に耐食性、付着性および溶接性の観点から0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.7μmとする。皮膜厚が0.01μm未満では十分な耐食性が得られず、一方、1.0μmを超えると溶接性が劣り、また、加工後耐食性や電着塗装性、接着接合性も低下する。
この上層皮膜は、溶剤系有機樹脂(E)と非クロム系防錆添加剤(F)と固形潤滑剤(G)を含有する、好ましくはこれらを主成分とする塗料組成物(Y)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜である。この上層皮膜もクロム(但し、不可避不純物としてのクロムを除く)を含まない。このような上層皮膜を上記特定の表面処理皮膜(下層皮膜)の上層に形成することにより、両皮膜の複合作用によって特に高度な加工部耐食性やアルカリ脱脂後耐食性が得られる。これは、バリアー性に優れた下層皮膜と加工性に優れた上層皮膜との組み合わせにより、加工後においても下層皮膜の受ける損傷が少なく、バリアー性が保持されるためであると考えられる。
以上のことから耐食性、加工性を考慮すると、溶剤系熱硬化性のエポキシ系樹脂が最も好ましい。
(a)リン酸塩
(b)Caイオン交換シリカ
(c)モリブデン酸塩
(d)酸化ケイ素
(e)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物
Caイオン交換シリカとしては任意のものを用いることができるが、平均粒子径が6μm以下、望ましくは4μm以下のものが好ましく、例えば、平均粒子径が2〜4μmのものを用いることができる。Caイオン交換シリカの平均粒子径が6μmを超えると耐食性が低下するとともに、塗料組成物中での分散安定性が低下する。
Caイオン交換シリカ中のCa濃度は1mass%以上、望ましくは2〜8mass%であることが好ましい。Ca濃度が1mass%未満ではCa放出による防錆効果が十分に得られない。なお、Caイオン交換シリカの表面積、pH、吸油量については特に限定されない。
特に、有機溶剤分散型シリカゾルは、分散性に優れ、ヒュームドシリカよりも耐食性に優れている。
酸化ケイ素は、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制することができると考えられている。
耐食性の観点からは、酸化ケイ素は粒子径が2〜50nm、望ましくは2〜20nm、さらに好ましくは2〜15nmのものを用いるのが好ましい。
ここで、M2+は、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Ni2+、Zn2+、Pb2+、Sn2+の中から選ばれる1種または2種以上であり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、3/4Zr4+、Mo3+の中から選ばれる1種または2種以上であり、An−は、OH−、F−、CO3 2−、Cl−、Br−、(C2O4)2−、I−、(NO3)−、(SO4)2−、(BrO3)−、(IO3)−、(V10O28)6−、(Si2O5)2−、(ClO4)−、(CH3COO)−、[C6H4(CO2)2]2−、(C6H5COO)−、[C8H16(CO2)2]2−、n(C8H17SO4)−、TPPC、n(C12H25SO4)−、n(C18H37SO4)−、SiO4 4−の中から選ばれる1種または2種以上である。
[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An−]x/n・zH2Oで示される層状複水酸化物であることは、X線回折で同定することができ、上記式で表すことができる物質は層状結晶となることが知られている。[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An−]x/n・zH2Oで表される結晶性物質が層状となるのは、上述したように、正に帯電した板状の2価と3価の金属水酸化物に対し、負に帯電したアニオンが電気的なバランスを保つために静電気エネルギーにより結合して層状に積層するためである。
M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、3/4Zr4+、Mo3+の中から選ばれる1種または2種以上であるが、なかでも、Al3+、Fe3+、Cr3+は、3/4Zr4+、Mo3+に比べて、層状複水酸化物を生成する際の反応が速く、短時間に生成可能であり、層状複水酸化物として安定的に存在することから、より好ましい。
固形潤滑剤(G)の配合量は、塗料組成物(Y)中の樹脂(E)の固形分100質量部に対して、固形分の割合で10〜30質量部とすることが好ましい。固形潤滑剤(G)の配合量が10質量部未満では加工性の向上効果が不十分であり、一方、30質量部超では加工性が低下する傾向にあり、何れも加工後耐食性が低下しやすい。
上層皮膜の膜厚は0.3〜2.0μm、好ましくは0.4〜1.5μmとする。上層皮膜の膜厚が0.3μm未満では十分な耐食性が得られず、一方、2.0μmを超えると溶接性や電着塗装性が低下する。
また、溶接性や電着塗装性の観点からは、第一層の表面処理皮膜と第二層の上層皮膜の合計膜厚は2.0μm以下とすることが好ましい。
表面処理組成物(X)をめっき鋼板表面にコーティングする方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法などの任意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
上層皮膜形成用の塗料組成物(Y)をコーティングする方法としても、塗布法、浸漬法、スプレー法などの任意の方法を採用できる。塗布法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどのいずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
(1)片面:めっき皮膜−表面処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜
(2)片面:めっき皮膜−表面処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜−公知のリン酸塩処理皮膜など
(3)両面:めっき皮膜−表面処理皮膜−上層皮膜
(4)片面:めっき皮膜−表面処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜−表面処理皮膜(本発明の表面処理皮膜に相当する皮膜)
(5)片面:めっき皮膜−表面処理皮膜−上層皮膜、片面:めっき皮膜−有機皮膜(本発明の上層皮膜に相当する皮膜)
表面処理組成物に用いたチタン含有水性液A1〜A7、有機リン酸化合物B1〜B6、無機リン酸化合物C1〜C5、水性有機樹脂D1〜D7(水溶性又は水分散性有機樹脂)を以下に示す。これらの成分を表2および表3に示す割合で配合し、表面処理組成物P1〜P42を得た。
・製造例1
四塩化チタン60%溶液5ccを蒸留水で500ccとした溶液にアンモニア水(1:9)を滴下し、水酸化チタンを沈殿させた。蒸留水で洗浄後、過酸化水素水30%溶液を10cc加えてかき混ぜ、チタンを含む黄色半透明の粘性のあるチタン含有水性液A1を得た。
・製造例2
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を30%過酸化水素水10質量部と脱イオン水100質量部の混合物中に20℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後25℃で2時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液A2を得た。
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラn−ブトキシチタンを使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液A3を得た。
・製造例4
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラiso−プロポキシチタンの3量体を使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液A4を得た。
・製造例5
製造例2に対して過酸化水素水を3倍量用い、50℃で1時間かけて滴下し、さらに60℃で3時間熟成した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液A5を得た。
製造例3で製造したチタン含有水性液A3を、さらに95℃で6時間加熱処理することにより、白黄色の半透明なチタン含有水性液A6を得た。
・製造例7
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を、「TKS−203」(商品名,テイカ社製,酸化チタンゾル)5質量部(固形分)、30%過酸化水素水10質量部及び脱イオン水100質量部の混合物中に10℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後10℃で24時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液A7を得た。
B1:1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸
B2:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸
B3:1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸
B4:2−ヒドロキシホスホノ酢酸
B5:3−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸
B6:2−ヒドロキシホスホノ酢酸カリウム
(3)無機リン酸化合物C1〜C5
C1:10%オルトリン酸
C2:10%メタリン酸
C3:トリポリリン酸
C4:ピロリン酸ナトリウム
C5:メタリン酸アンモニウム
・合成例1
窒素封入管、玉入りコンデンサー、滴下ロートおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を入れ、90℃まで加熱した後、温度を90℃に保持した状態で、フラスコ内にスチレン10質量部、tert−ブチルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10質量部およびアゾビスイソブチロニトリル1質量部の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに90℃に2時間保持した後、室温まで冷却して水性有機樹脂(アクリル樹脂溶液)D1を得た。得られたアクリル樹脂のTg(ガラス転移点)は33℃である。
・合成例2
窒素封入管、玉入りコンデンサー、滴下ロートおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を入れ、90℃まで加熱した後、温度を90℃に保持した状態で、フラスコ内にスチレン25質量部、メチルアクリレート60質量部、アクリルアミド15質量部およびアゾビスイソブチロニトリル1質量部の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに90℃に2時間保持した後、室温まで冷却して水性有機樹脂(アクリル樹脂溶液)D2を得た。得られたアクリル樹脂のTgは46℃である。
窒素封入管、玉入りコンデンサー、滴下ロートおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を入れ、90℃まで加熱した後、温度を90℃に保持した状態で、フラスコ内にスチレン55質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、N−メチルアクリルアミド20質量部およびアゾビスイソブチロニトリル1質量部の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに90℃に2時間保持した後、室温まで冷却して水性有機樹脂(アクリル樹脂溶液)D3を得た。得られたアクリル樹脂のTgは78℃である。
・合成例4
窒素封入管、玉入りコンデンサー、滴下ロートおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200質量部を入れ、90℃まで加熱した後、温度を90℃に保持した状態で、フラスコ内にメチルメタクリレート80質量部、n−ブチルアクリレート10質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10質量部およびアゾビスイソブチロニトリル1質量部の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに90℃に2時間保持した後、室温まで冷却して水性有機樹脂(アクリル樹脂溶液)D4を得た。得られたアクリル樹脂のTgは56℃である。
D5:「スーパーフレックスE−2500」(商品名,第一工業製薬社製,水性ポリウレタン樹脂)
D6:「バイロナールMD−1100」(商品名,東洋紡績社製,水性ポリエステル樹脂)
D7:「アデカレジンEM−0718」(商品名,(株)ADEKA社製,水性エポキシ樹脂)
第二層形成用の塗料組成物は、有機樹脂(樹脂組成物)として表4に示すものを用い、これに表5に示す非クロム系防錆添加剤と表6に示す固形潤滑剤を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間攪拌することで調製した。
表6に示す固形潤滑剤No.1〜No.10(結晶性層状複水酸化物)は、以下のようにして製造した。2価のカチオンの1種以上と3価のカチオンの1種以上を含む水溶液(表6中の水溶液(1))中に、無機アニオン、有機アニオンのうちの1種以上のアニオンを含む水溶液(表6中の水溶液(2))を滴下することで反応懸濁液を生成させた。この際、反応懸濁液のpHが10±0.1となるように、2.0モルNaOH水溶液を滴下して溶液を調整した。次いで、得られた沈殿物をろ過し、乾燥して粉状の結晶性層状複水酸化物を得た。なお、XRDにより結晶性層状複水酸化物であることを確認した。
冷延鋼板をベースとした家電、建材、自動車部品用のめっき鋼板である、表1に示すめっき鋼板を処理原板として用いた。なお、鋼板の板厚は評価の目的に応じて所定の板厚のものを採用した。このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した後、上記第一層形成用の表面処理組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、表面処理組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
次いで、上記第二層形成用の塗料組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
得られた表面処理鋼板の品質性能(耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、加工後耐食性、溶接性、電着塗装性、接着接合性)を評価した結果を、皮膜構成とともに表7〜表14に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
(1)耐食性
各サンプルについて、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、81サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS−Z−2371に基づく):2時間
↓
乾燥(60℃):4時間
↓
湿潤(50℃、≧95%RH):2時間
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルについて、日本パーカラインジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃、2分間スプレー処理の条件で脱脂した後、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、81サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS−Z−2371に基づく):2時間
↓
乾燥(60℃):4時間
↓
湿潤(50℃、≧95%RH):2時間
その評価基準は以下のとおりである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルについて、下記の条件によるドロービードで変形と摺動を付加し、このサンプルを日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、60℃、2分間スプレー処理の条件で脱脂した後、前記「(1)耐食性」で行ったCCTを施し、42サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
押付荷重:800kgf
引抜速度:1000mm/min
ビード肩R:オス側2mmR、メス側3mmR
押し込み深さ:7mm
使用油:スギムラ化学工業(株)製「プレトンR−352L」
その評価基準は以下のとおりである。
◎ :白錆発生面積率5%未満
○+:白錆発生面積率5%以上、10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満で、赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
各サンプルについて、使用電極:CF型Cr−Cu電極、加圧力:200kgf、通電時間:10サイクル/50Hz、溶接電流:10kAの条件で連続打点性の溶接試験を行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎ :2000点以上
○ :1000点以上、2000点未満
△ :500点以上、1000点未満
× :500点未満
(5)電着塗装性
各サンプルにカチオン系電着塗料(関西ペイント(株)製「GT−10」)を膜厚30μmとなるように塗装した後、170℃×20分の焼付を行った。塗装したサンプルを40℃温水中に240時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個、1mm間隔)のカットを入れて接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を測定した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:剥離なし
○:剥離面積率5%未満
△:剥離面積率5%以上、20%未満
×:剥離面積率20%以上
各サンプルを25mm×200mmのサイズに剪断し、その表面に洗浄油(スギムラ化学工業(株)製「プレトン303P」)を1g/m2塗布し、一日放置後、接着剤(セメダインヘンケル社製「マクロプラストPV5308」)をサンプルの25mm×150mmの範囲に塗布し、0.15mmのピアノ線を3本挟むようにして、もう一方のサンプルを重ね合わせ、クリップで固定した。焼付処理を170℃×20分行い、また一日放置してサンプルを作成した。接着剤を塗布していない25mm×50mmの部分を90度に折り曲げ、引張り試験機を用いて200mm/minの条件にてTピール剥離試験を行い、その時の剥離強度を測定した。その評価基準は以下の通りである。
◎:125N/25mm以上
○:118N/25mm以上、125N/25mm未満
△:50N/25mm以上、118N/25mm未満
×:50N/25mm未満
*1 明細書本文に記載のチタン含有水性液A1〜A7
*2 明細書本文に記載の有機リン酸化合物B1〜B6
*3 明細書本文に記載の無機リン酸化合物C1〜C5
*4 明細書本文に記載の水溶性又は水分散性有機樹脂D1〜D7
*5 固形分の質量部
*1 表1に記載のめっき鋼板No.1〜No.9
*2 表2および表3に記載の表面処理組成物P1〜P42
*3 表4に記載の有機樹脂No.1〜No.5
*4 表5に記載の防錆添加剤No.1〜No.7
*5 表6に記載の固形潤滑剤No.1〜No.12
*6 固形分の質量部
Claims (6)
- 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、有機リン酸化合物(B)を1〜400質量部、無機リン酸化合物(C)を50〜150質量部含有する表面処理組成物(X)を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜厚が0.01〜1.0μmの表面処理皮膜を有し、その上層に、溶剤系有機樹脂(E)と、非クロム系防錆添加剤(F)と、下記の固形潤滑剤(G)を含有する塗料組成物(Y)を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの上層皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
固形潤滑剤(G):[M2+ 1−xM3+ x(OH)2][An−]x/n・zH2Oで示される結晶性層状複水酸化物
ここで、M2+は、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Ni2+、Zn2+、Pb2+、Sn2+の中から選ばれる1種または2種以上であり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、3/4Zr4+、Mo3+の中から選ばれる1種または2種以上であり、An−は、OH−、F−、CO3 2−、Cl−、Br−、(C2O4)2−、I−、(NO3)−、(SO4)2−、(BrO3)−、(IO3)−、(V10O28)6−、(Si2O5)2−、(ClO4)−、(CH3COO)−、[C6H4(CO2)2]2−、(C6H5COO)−、[C8H16(CO2)2]2−、n(C8H17SO4)−、TPPC、n(C12H25SO4)−、n(C18H37SO4)−、SiO4 4−の中から選ばれる1種または2種以上である。 - 表面処理組成物(X)が、さらに、水溶性有機樹脂または/および水分散性有機樹脂(D)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して固形分の割合で2000質量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 塗料組成物(Y)に含まれる溶剤系有機樹脂(E)が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をさらに変性させた樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 塗料組成物(Y)が、下記(a)〜(e)の中から選ばれる1種または2種以上の非クロム系防錆添加剤(F)を、塗料組成物中の樹脂(E)の固形分100質量部に対して固形分の割合で1〜100質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
(a)リン酸塩
(b)Caイオン交換シリカ
(c)モリブデン酸塩
(d)酸化ケイ素
(e)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の有機化合物 - 塗料組成物(Y)が、固形潤滑剤(G)を塗料組成物中の樹脂(E)の固形分100質量部に対して固形分の割合で10〜30質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
- 塗料組成物(Y)に含まれる固形潤滑剤(G)である結晶性層状複水酸化物において、M2+は、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Ni2+、Zn2+の中から選ばれる1種または2種以上であり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+の中から選ばれる1種または2種以上であり、An−は、OH−、CO3 2−、Cl−、(SO4)2−の中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
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