JP2012077298A - インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法 - Google Patents

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崇至 鹿毛
Hide Nakamura
秀 中村
駿夫 ▲高▼橋
Toshio Takahashi
Takashi Watanabe
貴志 渡邉
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Abstract

【課題】インクジェット方式で塗工した後の濡れ拡がりを抑制でき、かつ硬化物が高い耐熱性を有するインクジェット用硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、インクジェット方式で塗布され、かつ光の照射により硬化する。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物と、該(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物以外の光反応性化合物と、光重合開始剤と含有する。上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物及び光反応性化合物のうち少なくとも一方は芳香族骨格を有する。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物のJIS K2283に準拠して25℃で測定された粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット方式で塗工されるインクジェット用硬化性組成物に関し、例えば基板上にソルダーレジストパターンなどの硬化物層を形成するために好適に用いられるインクジェット用硬化性組成物、並びに該インクジェット用硬化性組成物を用いた電子部品の製造方法に関する。
現在、一部の民生用プリント配線板用並びにほとんどの産業用プリント配線板用のソルダーレジスト組成物として、液状現像型のソルダーレジスト組成物が用いられている。該液状現像型のソルダーレジスト組成物は、高精度かつ高密度なソルダーレジストパターンを形成するために用いられる。該液状現像型のソルダーレジスト組成物を用いてソルダーレジストパターンを形成する際には、紫外線の照射後に、現像することにより画像を形成し、熱及び光照射で仕上げ硬化(本硬化)する。また環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプの液状のソルダーレジスト組成物が主流になっている。このような希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプのソルダーレジスト組成物の一例が、下記の特許文献1に開示されている。下記特許文献1に記載のソルダーレジスト組成物は、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応生成物に酸無水物を付加したカルボキシル基含有感光性樹脂、光重合開始剤、希釈剤及びエポキシ樹脂を含む。
しかしながら、これらソルダーレジスト組成物は、カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ樹脂との反応性が高いために二液型である。従って、上記ソルダーレジスト組成物では、使用前に混合し、数日以内に使用しなければならないという欠点がある。
また、これらソルダーレジスト組成物を使用する際には、塗布、乾燥、露光、現像、熱硬化などの多くの工程が必要である。また、これらの工程には、塗布機、乾燥機、露光機、現像機、熱硬化炉などの設備が必要であり、製造コストが高くなるという欠点がある。
このような欠点を解消する方法として、下記の特許文献2,3では、インクジェットプリンタで描画を行うことで、ソルダーレジストパターンを得ることが提案されている。
下記の特許文献2には、分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有するモノマーと、重量平均分子量700以下の上記モノマー成分以外の光反応性希釈剤と、光重合開始剤とを含み、25℃における粘度が150mPa・s以下であるインクジェット用硬化性組成物が開示されている。
また、下記の特許文献3には、ビスアリルナジイミド化合物と、ビスマレイミド化合物と、希釈剤とを含有し、25℃における粘度が150mPa・s以下であるインクジェット用硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開昭61−243869号公報 WO2004/99272A1 WO2006/75654A1
特許文献2や特許文献3に記載のインクジェット用硬化性組成物は、25℃における粘度が低く、150mPa・s以下である。そのため、硬化性組成物をインクジェット方式で基板上に塗工することは比較的容易である。また、特許文献3に記載のインクジェット用硬化性組成物は、硬化物の耐熱性を高めるためにイミド化合物を含む。
しかしながら、特許文献2,3に記載のような従来のインクジェット用硬化性組成物では、光照射後の硬化に比較的長い時間を要する。その結果、基板上にインクジェット方式で硬化性組成物を塗布した後、該組成物が硬化するまでの間に濡れ拡がるという問題がある。従って、硬化性組成物の硬化物により微細なパターンを高精度に形成することは困難である。
本発明の目的は、速やかに硬化し、インクジェット方式で塗工した後の濡れ拡がりを抑制することができ、従って微細なパターンを高精度に形成することができ、かつ硬化物が高い耐熱性を有するインクジェット用硬化性組成物、並びに該インクジェット用硬化性組成物を用いた電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明の広い局面によれば、インクジェット方式で塗布され、かつ光の照射により硬化するインクジェット用硬化性組成物であって、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物と、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物以外の光反応性化合物と、光重合開始剤と含有し、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物及び上記光反応性化合物のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有し、JIS K2283に準拠して25℃で測定された粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下である、インクジェット用硬化性組成物が提供される。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物のある特定の局面では、該インクジェット用硬化性組成物は、光の照射と加熱とを併用して硬化させるためのインクジェット用硬化性組成物である。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物の他の特定の局面では、上記熱硬化性官能基は、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基である。この場合には、加熱により硬化性組成物がより速やかに硬化し、硬化物を与える。より好ましくは、上記熱硬化性官能基は水酸基である。
また、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物は、好ましくは、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させた化合物である。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物の他の特定の局面では、上記光反応性化合物は、不飽和二重結合含有基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの光反応性基を有する。上記光反応性化合物が上述の光反応性基を有する場合、光の照射により、インクジェット用硬化性組成物がより一層速やかに硬化し、硬化物を与える。従って、濡れ拡がりをより効果的に抑制することができる。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物の他の特定の局面では、上記光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤のうちの少なくとも一方である。この場合には、光の照射により、ラジカルやカチオンが発生し、硬化性組成物がより一層速やかに硬化する。従って、濡れ拡がりをより一層抑制することができる。
本発明に係る電子部品の製造方法は、本発明に従って構成されたインクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、インクジェット用硬化性組成物により形成された組成物層を描画する工程と、上記組成物層を光の照射及び加熱により硬化させ、硬化物層を形成する工程とを備える。
本発明に係る電子部品の製造方法のある特定の局面では、上記インクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、インクジェット用硬化性組成物により形成されたパターンを描画し、上記パターンを光の照射及び加熱により硬化させ、ソルダーレジストパターンを形成する。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物が(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有し、該(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物に加えて光反応性化合物及び光重合開始剤を用い、更に上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物及び上記光反応性化合物のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有するため、耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。また、25℃における粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下であるため、基材上に塗布された後の硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制することができる。
本発明の電子部品の製造方法では、本発明のインクジェット用硬化性組成物を用いているため、微細なソルダーレジストパターンなどの硬化物層を高精度に形成することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
(インクジェット用硬化性組成物)
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、インクジェット方式で塗布され、かつ光の照射により硬化するインクジェット用硬化性組成物である。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)と、該(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)以外の光反応性化合物(B)と、光重合開始剤(C)と含有する。上記化合物(A)は、分子内に、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基との双方を有する。上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)及び上記光反応性化合物(B)のうち少なくとも一方は芳香族骨格を有する。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物のJIS K2283に準拠して25℃で測定された粘度は160mPa・s以上、1200mPa・s以下である。本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、光の照射と加熱とを併用して硬化させるためのインクジェット用硬化性組成物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。
以下、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物に含まれている各成分の詳細を説明する。
[(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)]
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)を含有する。上記化合物(A)が(メタ)アクリロイル基を有するため、硬化性組成物は光の照射により重合し、硬化する。また、上記化合物(A)は、熱硬化性官能基を有するため、加熱により硬化する成分としても機能する。従って、化合物(A)が含有されているため、上記インクジェット用硬化性組成物は、光の照射及び加熱の併用により硬化させることができる。特に、光の照射により重合が速やかに進行し、硬化するため、塗工後の形状保持性に優れている。よって、濡れ拡がりを効果的に抑制することができる。上記化合物(A)をラジカル重合させた場合には、濡れ拡がりをより一層抑制できる。上記化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する限り特に限定されない。
上記熱硬化性官能基は特に限定されない。上記熱硬化性官能基は、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基であることが好ましい。これらの熱硬化性官能基は、加熱により速やかに硬化性組成物の硬化を進行させる。また、これらの熱硬化性官能基により、硬化物の形状の精度及び強度などの物性を高めることができる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基が水酸基である化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びビスフェノールA型エポキシアクリレートなどが挙げられる。このような化合物の市販品としては、共栄社化学社製のライトエステルHO(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ライトエステルHOP(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ライトエステルHOA(2−ヒドロキシエチルアタクリレート)などが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がカルボキシル基である化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、並びにノボラック型エポキシ樹脂に(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させ、更に多塩基酸を付加させた化合物等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、共栄社化学社製の商品名:ライトエステルHO−MS(2−メタクリロイロキシエチルコハク酸)、ライトエステルHO−HH(2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロコハク酸)、東亞合成化学社製の商品名:アロニックスM−5400(アクリロイルオキシエチルモノフタレート)、並びに日本化薬社製の商品名:CCR−1159(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させ、更に多塩基酸を付加させた化合物)などが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がイソシアネート基である化合物としては、2−メタクリロイロオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。このような化合物の市販品としては、例えば、昭和電工社製の商品名:MOIなどが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、熱硬化性官能基がアミノ基である化合物としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がエポキシ基である化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリロイル基含有脂環式エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の一部に(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させた化合物などが挙げられる。このような化合物の市販品としては、ダイセル化学社製の商品名:サイクロマーM100、サイクロマーA200、サイクロマー2000、並びに新中村化学社製の商品名:EA−1010Nなどが挙げられる。
より好ましくは、上記化合物(A)として、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させた化合物が用いられる。このような化合物の市販品としては、ダイセルサイテック社製のEBECRYL600などが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、熱硬化性官能基がオキセタニル基である化合物としては、オキセタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物の市販品としては、大阪有機化学社製の商品名:OXE−10やOXE−30などが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、熱硬性官能基がメルカプト基である化合物としては、エチルチオアクリレート、エチルチオメタクリレート、ビフェニルチオアクリレート、ビフェニルチオメタクリレート、ニトロフェニルチオアクリレート、ニトロフェニルチオメタクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、トリフェニルメチルチオメタクリレート、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパンのトリスアクリレート、2−プロペン酸の2−(メルカプトメチル)−メチルエステル、及びメタクリル酸の2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エチルエステル等が挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がメトキシメチル基である化合物としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、ジメトキシメチルアクリレート及びジメトキシメチルメタクリレート等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、三和ケミカル社製の商品名:ニカラックMX−302(アクリル変性アルキル化メラミン)などが挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がメトキシエチル基である化合物としては、1−メトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、1,1−メトキシエチルアクリレート及び1,1−メトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がエトキシエチル基である化合物としては、1−エトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート及び2−エトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がエトキシメチル基である化合物としては、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリレート及びエトキシメチルメタクリレート等が挙げられる。
上記化合物(A)の中で、上記熱硬化性官能基がオキサゾリン基である化合物としては、2−プロペン酸の2−メチル−2−{[3−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)ベンゾイル]アミノ}エチルエステル、2−プロペン酸の2−メチル−2−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)エチルエステル、及び2−プロペン酸の3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2−オキサゾイル)プロピルエステル等が挙げられる。
上記インクジェット用硬化性組成物100重量%中、化合物(A)の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記化合物(A)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、塗布後の硬化性組成物の濡れ拡がりがより一層生じ難く、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
[光反応性化合物(B)]
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、上記化合物(A)以外の光反応性化合物(B)を含有する。従って、光の照射により上記硬化性組成物の硬化が速やかに進行する。従って、硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制できる。また、化合物(A)に加えて光反応性化合物(B)が含有されているため、硬化性組成物の25℃における粘度を160mPa・s以上、1200mPa・s以下に容易に調整することができる。上記光反応性化合物(B)として、(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)は除かれる。
また、上記光反応性化合物(B)が芳香族骨格を有する場合には、硬化性組成物の硬化物の耐熱性を高めることができる。
上記光反応性化合物(B)として、上記化合物(A)以外の任意の光反応性化合物が用いられる。但し、本発明では、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)及び上記光反応性化合物(B)のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有することが必要である。それによって、硬化物の耐熱性を高めることができる。
上記光反応性化合物(B)の光反応性基は特に限定されない。好ましくは、上記光反応性化合物(B)は、不飽和二重結合含有基、オキセタニル基、及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの光反応性基を有する。この場合には、光の照射により硬化性組成物をより一層速やかに硬化させることができ、硬化性組成物の濡れ拡がりをより効果的に抑制することができる。
上記光反応性化合物(B)の中で、上記光反応性基が不飽和二重結合含有基である光反応性化合物としては、ビニル基含有化合物、アリル基含有化合物及び(メタ)アクリロイル基含有化合物などが挙げられる。
上記ビニル基含有化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。上記アリル基含有化合物としては、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。上記(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記光反応性化合物(B)の中で、上記光反応性基がエポキシ基である光反応性化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの公知慣用のエポキシ類、上記多価アルコールのグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸等のグリシジルエステル類などが挙げられる。
上記光反応性化合物(B)の中で、上記光反応性基がオキセタニル基である光反応性化合物としては、特許3074086号に例示されるようなオキセタン化合物が挙げられる。
前述したように、本発明では、上記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物(A)及び光反応性化合物(B)のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有することが必要であり、それによって硬化物の耐熱性を高めることができる。
本発明において、化合物(A)と光反応性化合物(B)との配合割合は、硬化性組成物が特定の上記粘度範囲を満たす限り任意である。化合物(A)100重量部に対して、光反応性化合物(B)の含有量は、好ましくは10重量部以上、好ましくは1000重量部以下である。
[光重合開始剤(C)]
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物は、光重合開始剤(C)を含む。上記光重合開始剤(C)は、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤のうち少なくとも一方であることが好ましい。硬化性組成物の硬化性をより一層良好にする観点からは、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光は、可視光、UVの他、レーザー光や電子線をも含むものとする。
上記光ラジカル重合開始剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始させる化合物である。上記光ラジカル重合開始剤は特に限定されない。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アミノアセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、チオール化合物、2,4,6−トリス−s−トリアジン、有機ハロゲン化合物、ベンゾフェノン類、キサントン類及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。上記光ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン類としては、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン及び1,1−ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記アミノアセトフェノン類としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェン等が挙げられる。上記アントラキノン類としては、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン及び1−クロロアントラキノン等が挙げられる。上記チオキサントン類としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。上記ケタール類としては、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオール化合物としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール及び2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。上記有機ハロゲン化合物としては、2,2,2−トリブロモエタノール及びトリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられる。上記ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン及び4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。この特定の光ラジカル重合開始剤の使用により、露光量が少なくても、インクジェット用硬化性組成物を効率的に光硬化させることが可能になる。このため、光の照射によって、塗工されたインクジェット用硬化性組成物が濡れ拡がるのを効果的に抑制でき、微細なレジストパターンを高精度に形成することができる。さらに、上記光ラジカル重合開始剤がジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光重合開始剤である場合には、熱硬化速度を速くすることができ、組成物の光照射物の熱硬化性を良好にすることができる。
本発明者らは、ジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤の使用により、光硬化性を良好にすることができるだけでなく、熱硬化性をも良好にすることができることを見出した。上記ジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤は、熱硬化性の向上に大きく寄与する成分である。さらに、ジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤の使用により、硬化物の耐熱性及び絶縁信頼性を高めることができる。絶縁信頼性に優れていると、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物により形成されたレジストパターンを有するプリント配線板が高湿度の条件下で長期間使用されても、絶縁抵抗が充分に高く維持される。
上記α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤の具体例としては、BASF社製のIRGACURE907、IRGACURE369、IRGACURE379及びIRGACURE379EG等が挙げられる。これら以外のα−アミノアルキルフェノン型光重合開始剤を用いてもよい。中でも、インクジェット用硬化性組成物の光硬化性と硬化物の絶縁信頼性とをより一層良好にする観点からは、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE369)又は2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE379又はIRGACURE379EG)が好ましい。これらはジメチルアミノ基を有するα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤である。
上記光ラジカル重合開始剤とともに、光重合開始助剤を用いてもよい。該光重合開始助剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。これら以外の光重合開始助剤を用いてもよい。上記光重合開始助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
さらに、光ラジカル重合反応を促進する促進剤を用いてもよい。このような促進剤としては、例えば、可視光領域に吸収を有するチタノセン化合物等などが挙げられる。このようなチタノセン化合物等としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:CGI−784などが挙げられる。これ以外の促進剤を用いてもよい。上記促進剤として、例えば、紫外光もしくは可視光領域において光を吸収し、(メタ)アクリロイル基などの不飽和基をラジカル重合させる任意の化合物を用いることができる。
上記光カチオン重合開始剤は、光の照射によりカチオン重合反応を開始させる化合物である。上記光カチオン重合開始剤は特に限定されない。光カチオン重合開始剤として、公知の光カチオン重合開始剤を用いることができる。上記光カチオン重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記な光カチオン重合開始剤としては、オニウム塩、ハロゲン化化合物、スルホン酸の2−ニトロベンジルエステル、イミノスルホナート、1−オキソ−2−ジアゾナフトキノン−4−スルホナート誘導体、N−ヒドロキシイミド−スルホナート、トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン誘導体、ビススルホニルジアゾメタン類、スルホニルカルボニルアルカン類、スルホニルカルボニルジアゾメタン類及びジスルホン化合物等が挙げられる。
上記オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ブロモニウム塩、クロロニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩及びピリジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。上記ハロゲン化化合物としては、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン及びその誘導体等が挙げられる。
上記化合物(A)、上記光反応性化合物(B)及び上記光重合開始剤(C)の合計100重量部%中、上記光重合開始剤(C)の含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下である。上記光重合開始剤(C)の含有量が0.5重量%よりも少ないと、硬化性が低くなる傾向がある。上記光重合開始剤(C)の含有量が10重量部を超えると、硬化物中に光重合開始剤(C)が多く残存し、硬化物の耐熱性が低くなる傾向がある。
[他の成分(D)]
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で種々の添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、特に限定されず、着色剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、及び密着性付与剤等が挙げられる。
上記着色剤としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック及びナフタレンブラック等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール及びフェノチアジン等が挙げられる。上記消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤及び高分子系消泡剤等が挙げられる。上記レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤及び高分子系レベリング剤等が挙げられる。上記密着性付与剤としては、イミダゾール系密着性付与剤、チアゾール系密着性付与剤、トリアゾール系密着性付与剤及びシランカップリング剤等が挙げられる。
[インクジェット用硬化性組成物の他の性質]
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、JIS K2283の測定法に準拠して25℃で測定される粘度が、160mPa・s以上、1200mPa・s以下であることが必要である。粘度がこの範囲内である場合、インクジェットインターのヘッドから硬化性組成物を容易に吐出でき、様々なパターンを描画することができる。粘度が1200mPa・sを超えると、上記硬化性組成物のヘッドからの吐出が困難となる。また、粘度が160mPa・s未満の場合には、塗工された上記硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制することができない。
上記粘度は、好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s未満である。上記粘度が好ましい上記上限を満足すると、上記硬化性組成物をヘッドから連続吐出したときに、吐出性がより一層良好になる。また、上記硬化性組成物の濡れ拡がりをより一層抑制する観点からは、上記粘度は好ましくは500mPa・s以上である。
なお、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物における化合物(A)及び光反応性化合物(B)の種類や配合割合を調整することにより、あるいは任意に添加される添加剤の種類及び配合量を調整することにより、インクジェット用硬化性組成物の上記粘度範囲を容易に達成することができる。
[電子部品の製造方法]
本発明の製造方法で得られる電子部品は、本発明のインクジェット用硬化性組成物の硬化により形成された硬化物層を有する。該硬化物層は、絶縁膜であってもよく、ソルダーレジストパターンであってもよい。該絶縁膜は、パターン状の絶縁膜であってもよい。この電子部品の製造方法は、本発明に係るインクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、該インクジェット用硬化性組成物により形成された組成物層を描画する工程と、該組成物層を光の照射及び加熱により硬化させ、硬化物層を形成する工程とを備える。上記組成物層は、パターンであることが好ましい。上記硬化物層はレジストパターンであることが好ましく、ソルダーレジストパターンであることが好ましい。従って、本発明に係る電子部品の製造方法では、上記インクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、インクジェット用硬化性組成物により形成されたパターンを描画し、該パターンを光の照射及び加熱により硬化させ、ソルダーレジストパターンを形成することが好ましい。
なお、光の照射と加熱とは同時に行ってもよい。描画後又は描画と同時に光を照射し、光を照射した後に加熱することが望ましい。上記インクジェット用硬化性組成物を直接描画することが特に好ましい。「直接描画する」とは、マスクを用いずに描画することを意味する。上記電子部品としては、プリント配線板及びタッチパネル部品等が挙げられる。上記電子部品は、配線板であることが好ましく、プリント配線板であることがより好ましい。
本発明に係る電子部品の製造方法では、上記インクジェット用硬化性組成物が光の照射により速やかに硬化するため、インクジェット方式で塗工した後、塗工形状がくずれ難い。すなわち、硬化性組成物(パターン)の濡れ拡がりを抑制することができる。よって、微細なソルダーレジストパターンを高精度に形成することができる。
なお、上記インクジェットプリンタとしては、本発明のインクジェット用硬化性組成物をインクジェット方式で塗工し得る限り、適宜のインクジェットプリンタ装置を用いることができる。
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドを有する。インクジェットヘッドはノズルを有する。インクジェット装置は、インクジェット装置内又はインクジェットヘッド内の温度を50℃以上に加温するための加温部を備えることが好ましい。上記インクジェット用硬化性組成物は、塗工対象部材上に塗工されることが好ましい。上記塗工対象部材としては、基板等が挙げられる。該基板としては、配線等が上面に設けられたプリント配線基板等が挙げられる。上記インクジェット用硬化性組成物は、プリント基板上に塗工されることが好ましい。
また、本発明に係る電子部品の製造方法により、基板をガラスを主体とする部材に変え、液晶表示装置等の表示装置用のガラス基板を作製することも出来る。具体的には、ガラスの上に、蒸着等の方法によりITO等の導電パターンを設け、この導電パターン上に本発明に係る電子部品の製造方法により、インクジェット方式で硬化物層を形成してもよい。この硬化物層上に、導電インク等でパターンを設ければ、硬化物層が絶縁膜となり、ガラス上の導電パターンの中で、所定のパターン間にて電気的接続が得られる。
上記インクジェットプリンタのヘッドからインクジェット用硬化性組成物を吐出する際の温度は、ヘッドから吐出し得る粘度を実現し得る限り特に限定されないが、好ましくは60℃以上、好ましくは100℃以下である。吐出時の温度が60℃未満であると、硬化性組成物の粘度が高くなるおそれがある。吐出時の温度が100℃を超えると、熱硬化性官能基に由来する硬化反応が進み、硬化性組成物の粘度が上昇し、硬化性組成物の吐出性が低下する傾向がある。
上記光の照射は、インクジェットプリンタによる描画後に行ってもよく、描画と同時に行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタのヘッドによるインクジェット用硬化性組成物の吐出と同時又は吐出の直後に光を照射してもよい。このように、描画と同時に光を照射するためには、インクジェットプリンタのヘッドによる描画位置に光照射部分が追随するように光源を配置すればよい。
上記光の照射源として、照射する光に応じて適宜の光源を用いることができる。このような光源としては、UV−LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ及びメタルハライドランプなどが挙げられる。また、上記光は、各波長の光の他、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線であってもよい。
本発明に係るインクジェット用硬化性組成物では、化合物(A)が分子内に(メタ)アクリロイル基及び熱硬化性官能基を有するので、インクジェットプリンタを用いて該硬化性組成物を例えばプリント配線基板上に直接描画し、光を照射することにより一次硬化させることができる。従って、描画させたパターンの液ダレを防止することができる。すなわち、上記硬化性組成物が光の照射により速やかに硬化するため、上記硬化性組成物の濡れ拡がりを抑制することができ、正確な形状のパターンを形成することができる。しかも、25℃における粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下であるため、インクジェットプリンタにより上記硬化性組成物を容易にかつ正確に塗工することができ、しかも描画を光の照射により硬化するまでの間の硬化性組成物の濡れ拡がりも抑制することができる。従って、微細なパターンを高精度に形成することができる。さらに、インクジェット用硬化性組成物が50℃以上に加温されても、該組成物をインクジェットヘッドから容易にかつ精度よく吐出できる。
加えて、化合物(A)が、(メタ)アクリロイル基及び熱硬化性官能基の双方を有し、すなわち光反応性官能基と熱硬化性官能基の双方を有する。従って、光照射後に加熱硬化することにより、硬化物に三次元架橋構造を形成することができる。よって、硬化物の強度及び形状保持性を高めることができる。のみならず、化合物(A)及び光反応性化合物(B)のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有するため、硬化物の耐熱性も効果的に高められる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1〜14及び比較例1〜3)
表1,2に示す各成分を、表1,2に示す配合比で混合し、1.0μmのフィルターでろ過することによって、実施例1〜14及び比較例1〜3のインクジェット用硬化性組成物を得た。
(実施例及び比較例の評価)
得られたインクジェット用硬化性組成物を、インクジェットプリンタを用いて基板上に描画し、硬化させ、評価を行った。使用した基板は、表面に銅箔が張り付けられている銅箔付きFR−4基板である。また、インクジェットプリンタ装置として、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタ装置を用い、塗工時のヘッド温度は80℃とした。描画の際には、複数本の平行なラインからなるパターン(組成物層)を形成した。このパターンにおいて、複数本のラインの幅は80μm、ライン間の間隔は80μmとし、膜厚を20μmとした。上記描画直後に、光源として超高圧水銀灯を用い、365nmの波長のUV光を、露光量が500mJ/cmとなるようにパターンに照射した。
上記のようにしてUV光を照射し、照射から5分後に、ソルダーレジストパターン(硬化物層)における濡れ拡がりを以下の基準で評価した。
(1)濡れ拡がり
UV光を照射して5分後に、パターンの濡れ拡がりを目視により観察し、濡れ拡がりを下記の基準で判定した。
[濡れ拡がりの判定基準]
○○:濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+40μm以下
○:濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+40μmを超え、75μm以下
×:描画部分から組成物層が濡れ拡がっており、ライン間の間隔が無くなっているか、又は濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+75μmを超える
なお、濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+75μm以下であると実質的に濡れ拡がっておらず、描画した部分にのみ組成物が存在していると判断できる。一方で、濡れ拡がりの状態が、狙いのライン幅+75μmを超えると、描画部分から実質的に濡れ拡がっていると判断できる。
(2)吐出性
上記インクジェットプリンタによる上記描画の際に、硬化性組成物が吐出可能かどうかを目視により評価し、吐出性を下記の基準で判定した。
[吐出性の判定基準]
○○:硬化性組成物をヘッドから10時間以上連続して吐出可能であった
○:硬化性組成物をヘッドから10時間以上連続して吐出可能であるが、10時間の連続吐出の間にわずかに吐出むらが生じる
△:硬化性組成物をヘッドから連続して吐出可能であるが、10時間以上連続して吐出不可能であった
×硬化性組成物をヘッドから吐出の初期段階で吐出不可能であった
(3)耐熱性1
上記光照射後のソルダーレジストパターンを270℃のオーブン内で5分間加熱した。加熱後のソルダーレジストパターンについて、以下の要領で耐熱性を評価した。
加熱後に目視により、ソルダーレジストパターンの外観を検査した。また、ピーリング試験として、セロハンテープをソルダーレジストパターン上に貼り付け、60秒保持した後、90度方向へ剥離を行い、耐熱性1を下記の基準で判定した。なお、インクジェットプリンタにより吐出不可能であった場合には、バーコーターを用いて硬化性組成物を膜厚が20μmとなるように塗工したのち、上記と同様にして加熱により硬化させ評価した。
[耐熱性1の判定基準]
○:パターンの表面に外観上変化がなく、かつピーリング試験においてパターンの剥離が見られなかった
×:パターンの表面にクラックや剥離が認められるか、又はピーリング試験においてパターンが剥離した
(4)耐熱性2
上記光照射後のソルダーレジストパターンを150℃で60分間加熱し、本硬化させた。その後、270℃のオーブン内で5分間さらに加熱し、ソルダーレジストパターンを得た。得られたソルダーレジストパターンについて、以下の要領で耐熱性を評価した。
加熱後に目視により、ソルダーレジストパターンの外観を検査した。また、ピーリング試験として、セロハンテープをソルダーレジストパターン上に貼り付け、60秒保持した後、90度方向へ剥離を行い、耐熱性2を耐熱性1と同様の基準で判定した。なお、インクジェットプリンタにより吐出不可能であった場合には、バーコーターを用いて硬化性組成物を膜厚が20μmとなるように塗工したのち、上記と同様にして加熱により硬化させ評価した。
(5)絶縁信頼性(耐マイグレーション性)
IPC−B−25のくし型テストパターンBを用意した。このくし型テストパターンBを80℃に加温して、くし型テストパターンBの表面の全体を覆うようにインクジェット用硬化性組成物を、紫外線照射装置付きピエゾ方式インクジェットプリンタ(ヘッド温度:80℃)のインクジェットヘッドから、吐出して塗工した。
塗工されたインクジェット用硬化性組成物(厚み20μm)に、高圧水銀灯を用いて、波長365nmの紫外線を、照度25mW/cmで照射エネルギーが500mJ/cmとなるように照射した。次に、一次硬化物を150℃で60分間加熱し、本硬化させ、硬化物であるレジストパターンを形成し、テストピースを得た。
得られたテストピースを、85℃及び相対湿度85%及び直流50Vを印加した条件で、500時間加湿試験を行った。加湿試験後の絶縁抵抗を測定し、絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○:絶縁抵抗が3×1010Ω以上
△:絶縁抵抗が1×10以上、3×1010未満
×:絶縁抵抗が1×10未満
結果を下記の表1,2に示す。
Figure 2012077298
Figure 2012077298
比較例1では、化合物(A)及び光反応性化合物(B)の双方が芳香族骨格を有していないため、硬化物の耐熱性が不十分であった。比較例2及び比較例3では、耐熱性は良好であるものの、比較例2では、硬化性組成物の粘度が高く、インクジェットプリンタによる吐出が不可能であった。比較例3では、硬化性組成物の粘度が低く、硬化性組成物の濡れ拡がりが認められた。
これに対して、実施例1〜14では、化合物(A)及び光反応性化合物(B)のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有するため、硬化物の耐熱性に優れていた。加えて、インクジェットプリンタにより硬化性組成物を良好に吐出でき、ソルダーレジストパターンを高精度に描画することができ、しかも硬化性組成物の濡れ拡がりも認められなかった。
また、ジメチルアミノ基を有さないα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤を用いた実施例1〜4と、α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤以外の光ラジカル重合開始剤を用いた実施例13,14とでは、絶縁信頼性の評価結果はいずれも「△」であったが、ジメチルアミノ基を有さないα−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤を用いた実施例1〜4における絶縁抵抗の値は、α−アミノアルキルフェノン型光ラジカル重合開始剤以外の光ラジカル重合開始剤を用いた実施例13,14における絶縁抵抗の値よりも高かった。

Claims (9)

  1. インクジェット方式で塗布され、かつ光の照射により硬化するインクジェット用硬化性組成物であって、
    (メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物と、
    前記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物以外の光反応性化合物と、
    光重合開始剤と含有し、
    前記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物及び前記光反応性化合物のうち少なくとも一方が芳香族骨格を有し、
    JIS K2283に準拠して25℃で測定された粘度が160mPa・s以上、1200mPa・s以下である、インクジェット用硬化性組成物。
  2. 光の照射と加熱とを併用して硬化させるためのインクジェット用硬化性組成物である、請求項1に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  3. 前記熱硬化性官能基が、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基である、請求項1又は2に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  4. 前記熱硬化性官能基が、水酸基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  5. 前記(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基とを有する化合物が、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させた化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  6. 前記光反応性化合物が、不飽和二重結合含有基、オキセタニル基及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも一つの光反応性基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  7. 前記光重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤のうちの少なくとも一方である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用硬化性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、インクジェット用硬化性組成物により形成された組成物層を描画する工程と、
    前記組成物層を光の照射及び加熱により硬化させ、硬化物層を形成する工程とを備える、電子部品の製造方法。
  9. 前記インクジェット用硬化性組成物をインクジェットプリンタを用いて塗工し、インクジェット用硬化性組成物により形成されたパターンを描画し、
    前記パターンを光の照射及び加熱により硬化させ、ソルダーレジストパターンを形成する、請求項8に記載の電子部品の製造方法。
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