JP2012076050A - 表面処理方法、表面処理物および表面処理システム - Google Patents

表面処理方法、表面処理物および表面処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】基材から表面改質用物質が容易に欠落することを防止し、表面改質用物質の存在に基づく所定の性質を長期間にわたって適切に維持することが可能な表面処理方法を提供する。
【解決手段】基材1Aの表面に、表面改質用物質18の被覆膜18aを形成する被覆膜形成工程を有している、表面処理方法であって、基材1Aとして、表層部に多数の微細孔17が形成されている基材を使用し、前記被覆膜形成工程は、表面改質用物質18を超臨界または亜臨界状態の媒体中に溶解または分散させた状態で基材1Aの表面に接触させることにより、表面改質用物質18を多数の微細孔17の内部に進入させる工程と、この工程の後に、前記媒体の超臨界または亜臨界状態を解消させて、前記媒体を表面改質用物質18から分離させることにより、被覆膜18aとして、多数の微細孔17の内部に下層部分が充填されている被覆膜を形成する工程と、を有している。
【選択図】 図7

Description

本発明は、たとえば樹脂成形用の金型(成形型)の樹脂成形品に対する離型性を高めるなど、金型その他の所望の基材の表面改質を行なうための表面処理方法、この方法を用いて製造される表面処理物、および前記方法を実施するための表面処理システムに関する。
たとえば、半導体樹脂封止の技術分野など、金型を用いて樹脂成形を行なう技術分野においては、金型表面の離型性を良くし、金型から樹脂成形品を取り出す際の作業性を良好にすることが要望される。そこで、従来においては、たとえば特許文献1に記載された手段がある。同文献に記載された手段においては、金型の表面に硬質のメッキ皮膜を形成する。ただし、このメッキ皮膜の表層部には、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂などの離型剤粒子を含有させている。このような手段によれば、金型を用いて樹脂成形を行なった場合に、この樹脂成形品に対して離型剤粒子が接触するため、金型と樹脂成形品との密着強度を弱め、離型性を良くすることが可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、微小な離型剤粒子がメッキ皮膜の表層部に含有されているに過ぎないために、メッキ皮膜による離型剤粒子の保持力は小さい。したがって、メッキ皮膜の表面に露出した離型剤粒子は、欠落し易い。離型剤粒子が欠落したのでは、離型性が悪化する。一方、離型剤粒子の欠落に対処すべく、離型剤粒子の含有量を多くしてその分布密度を高くすると、離型性は向上するものの、メッキ皮膜全体の耐久性が低下する不具合を生じる。
従来においては、前記とは異なる表面処理方法として、たとえば特許文献2に記載されているような液相法または気相法がある。同文献は、多孔質材料にPTFE(テトラフルオロエチレン)を含浸させた撥水性電極を形成する技術に関するものであって、金型の離型性を向上させる技術とは異なるが、同文献に記載された液相法においては、PTFEを加熱溶融させた液体中に、多孔質材料を浸漬させて、この多孔質材料の空隙部に前記液体を含浸させる。この処理は、真空雰囲気下で行なう。一方、気相法においては、PTFEを真空脱気下で加熱、蒸発させて多孔質材料の空隙部内に入り込ませ、その蒸気圧が十分に上昇した後に冷却させて、PTFEを析出させる。
金型表面の離型性を高めるための表面処理手段として、前記した液相法または気相法と同様な手段を用いることが考えられる。ところが、前記したような液相法または気相法では、基材に設けられている空隙部が微細な場合に、この空隙部の奥深い位置まで所望の物質(表面改質用物質)を適切に充填することは難しい。これでは、空隙部に充填された物質が基材から欠落し易い。空隙部のサイズをかなり大きくすると、所望の物質を空隙部の奥深い位置まで充填することは可能であるものの、たとえば金型の表層部にサイズが大きい空隙部を多数形成することは、金型の機械的強度が大幅に低下するといった不具合を招いてしまう。
特開平9−181104号公報 特開平7−216575号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、基材から表面改質用物質が容易に欠落することを防止し、表面改質用物質の存在に基づいて得られる所定の性質を長期間にわたって適切に維持することが可能な表面処理方法、この方法を用いて製造される表面処理物、および前記表面処理方法を実施するための表面処理システムを提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供される表面処理方法は、基材の表面に、表面改質用物質の被覆膜を形成する被覆膜形成工程を有している、表面処理方法であって、前記基材として、表層部に多数の微細孔が形成されている基材を使用し、前記被覆膜形成工程は、前記表面改質用物質を超臨界または亜臨界状態の媒体中に溶解または分散させた状態で前記基材の表面に接触させることにより、前記表面改質用物質を前記多数の微細孔の内部に進入させる第1の工程と、この第1の工程の後に、前記媒体の超臨界または亜臨界状態を解消させて、前記媒体を前記表面改質用物質から分離させることにより、前記被覆膜として、前記多数の微細孔の内部に下層部分が充填されている被覆膜を形成する第2の工程と、を有していることを特徴としている。
このような構成によれば、多数の微細孔が相当に小さいサイズに形成されている場合であっても、表面改質用物質を多数の微細孔の奥深くまで適切に充填することが可能である。本発明においては、表面改質用物質を微細孔内に進入させるための手段として、超臨界または亜臨界流体を利用しているが、超臨界流体は、液体の溶解性と気体の浸透性を併せもち、この超臨界流体に表面改質用物質を高い溶解度で溶解させて微細孔の内部に円滑に浸透させていくことができる。亜臨界流体の場合にもそれに近い作用が得られる。このようにして、表面改質用物質を各微細孔の奥深い位置まで適切に充填させれば、この表面改質用物質が各微細孔から脱出(欠落)し難くなり、表面改質用物質が基材の表層部において強固に保持される。その結果、表面改質用物質に基づいて得られる所定の性質(優れた離型性など)を長期間にわたって適切に維持することができる利点が得られる。
本発明において、好ましくは、前記被覆膜形成工程を実行する前に、前記基材の表層部に前記多数の微細孔を形成する微細孔形成工程を、さらに有している。
このような構成によれば、当初から表層部に多数の微細孔が形成されている基材のみならず、表層部に微細孔が形成されていない基材、あるいは表層部に幾らかの微細孔が形成されていたとしてもそれでは十分ではないような基材をも対象として、本発明の表面処理方法を適切に実施することができる。
本発明において、好ましくは、前記微細孔形成工程は、前記基材の表層部に対するサーマルショックの付与、陽極酸化、放電加工、切削加工、ウェットエッチング、またはドライエッチングのうち少なくともいずれかの処理または加工により行ない、かつこの処理または加工時において前記処理または加工の条件を制御することにより、前記多数の微細孔の開口寸法、深さ、数の少なくともいずれかを制御する。
このような構成によれば、表面改質用物質を充填させるのに適した微細孔を、基材の表層部に容易かつ適切に形成することができる。
本発明において、好ましくは、前記被覆膜形成工程を実行する前において、前記表面改質用物質を、加熱溶融し、または溶媒中に溶解もしくは分散させてから前記基材の表面に押し付けることにより、前記多数の微細孔に予備的に充填しておく予備処理工程を、さらに有している。
このような構成によれば、超臨界または亜臨界流体を利用して多数の微細孔内に表面改質用物質を進入させる以前に、ある程度の量の表面改質用物質を多数の微細孔に予め充填させておくために、その後に超臨界または亜臨界流体を利用して多数の微細孔内に表面改質用物質を進入させる際の処理効率を高め、処理時間の短縮などを好適に図ることができる。
本発明において、好ましくは、前記第2の工程の後において、前記被覆膜のうち、前記基材の表面を覆う部分を除去し、前記多数の微細孔に充填されている表面改質用物質を前記基材の表面に露出させる工程を、さらに有している。
このような構成によれば、基材の表面が外部に露出するとともに、多数の微細孔に充填されている表面改質用物質の表面も外部に露出した状態となる。このため、基材の表面自体がもつ特性(たとえば強度)と、表面改質用物質自体がもつ特性(たとえば離型性)との双方の特性を得ることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記基材は、樹脂成形用の成形型であり、前記表面改質用物質は、前記成形型の母材よりも樹脂成形品に対する離型性に優れた物質である。
このような構成によれば、樹脂成形品に対する優れた離型性を長期間にわたって維持することが可能な成形型を得ることができる。
本発明において、好ましくは、前記多数の微細孔の開口寸法は、樹脂成形用の原料樹脂に含まれているフィラの平均粒子径よりも小さい。
このような構成によれば、樹脂成形用の成形型内に供給される原料樹脂に含まれている硬質のフィラが多数の微細孔の内部に入り込み難くなる。このことにより、フィラが微細孔の端部を削ることが少なくなり、成形型の磨耗が抑制される。また、微細孔に充填された表面改質用物質の磨耗も少なくなり、表面改質用物質の存在に基づく離型性などの特性も容易に劣化しないようにすることができる。
本発明の第2の側面により提供される表面処理物は、基材の表面に表面改質用物質の被覆膜を形成する表面処理を施して製造される表面処理物であって、前記表面処理の方法として、本発明の第1の側面により提供される表面処理方法が用いられて製造されたことを特徴としている。
このような構成の表面処理物においては、基材から表面改質用物質が容易に欠落することが適切に防止され、表面改質用物質の存在に基づいて得られる所定の性質を長期間にわたって適切に維持することができる。
本発明の第3の側面により提供される表面処理システムは、基材の表面に、表面改質用物質の被覆膜を形成するのに用いられる表面処理システムであって、前記基材を内部に収容可能な容器を有し、かつこの容器の内部に所定の媒体を供給させてその温度および圧力を制御し、前記媒体を超臨界または亜臨界状態とすることが可能な超臨界または亜臨界の発生装置と、前記媒体を超臨界または亜臨界状態にしたときに、前記表面改質用物質が前記媒体中に溶解または分散した状態で前記基材の表面に接触し、かつ前記基材の表層部に形成されている多数の微細孔の内部に進入することが可能に、前記表面改質用物質を前記基材の表面上または前記容器内に供給するための表面改質用物質の供給装置と、を備えていることを特徴としている。
本発明において、好ましくは、前記基材の表面に前記被覆膜を形成する前に、前記基材の表層部に多数の微細孔を形成するための微細孔形成装置を、さらに備えている。
本発明において、好ましくは、前記微細孔形成装置は、前記基材の表層部に対するサーマルショックの付与、陽極酸化、放電加工、切削加工、ウェットエッチング、またはドライエッチングのうち少なくともいずれかの処理または加工を行ない、かつこの処理または加工時において前記処理または加工の条件を制御することにより、前記多数の微細孔の開口寸法、深さ、数の少なくともいずれかを制御可能な構成とされている。
本発明において、好ましくは、前記基材の表面に前記被覆膜を形成した後において、前記被覆膜のうち、前記基材の表面を覆う部分を除去し、前記多数の微細孔に充填されている表面改質用物質を前記基材の表面に露出させるための被覆膜除去装置を、さらに備えている。
このような構成の表面処理システムによれば、本発明の第1の側面により提供される表面処理方法を適切に実施することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
本発明に係る表面処理方法を用いて製造された半導体樹脂封止用の金型の一例を示す断面図である。 (A)は、図1に示す金型に原料樹脂を注入した際の要部拡大断面図である。(B)は、(A)との対比例を示す概略断面図である。 本発明に係る表面処理システムの構成の一例を模式的に示す説明図である。 (A)は、図3に示す表面処理システムを構成する微細孔形成装置の一例を示す概略説明図である。(B)は、金型の表面に微細孔を形成する状態を示す説明図である。 図3に示す表面処理システムを構成する表面改質用物質の供給装置の一例を示す概略説明図である。 図3に示す表面処理システムを構成する超臨界発生装置の一例を示す概略構成図である。 (A)は、金型の表面上に粉末状の表面改質用物質が供給された状態を示す要部拡大断面図である。(B)は、金型の表面に表面改質用物質の被覆膜を形成した状態を示す要部拡大断面図である。 (A)は、表面改質用物質の被覆膜を除去する前の状態を示す要部拡大断面図である。(B)は、表面改質用物質の被覆膜を除去した後の状態を示す要部拡大断面図である。 本発明に係る表面処理システムを構成する超臨界発生装置および表面改質用物質の供給装置の他の例を示す概略構成図である。 (A),(B)は、本発明に係る表面処理方法の他の例を示す要部断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
[金型]
図1は、本発明の表面処理方法が適用されて製造された上下一対の金型の一例を示している。
同図に示す上下一対の金型1A,1Bは、半導体樹脂封止用である。これらの金型1A,1Bは、後述する表面処理が施されている点に特徴があるが、それ以外の全体の基本的な構造は、従来既知のものと同様である。すなわち、これらの金型1A,1Bの構造を簡単に説明すると、図1においては、金型1A,1Bが型締めされた状態にあり、キャビティ13および樹脂流路20が形成されている。リードフレーム40上に搭載された半導体チップ4は、キャビティ13内に配置されている。キャビティ13内には、樹脂流路20を介してたとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が加熱溶融された状態で供給され、その後に硬化される。このことにより、半導体チップ4が樹脂封止された樹脂パッケージ型の半導体装置が製造される。その後は、金型1A,1Bの型開きを行なってから、イジェクトピン14を利用して前記樹脂パッケージ型の半導体装置が取り出される。その際、金型1A,1Bと半導体装置の樹脂パッケージ部分との離型性が良好であることが要望されるが、これらの金型1A,1Bにおいては、後述するように、そのような要望に的確に応え得るものとなっている。
金型1A,1Bは、たとえば焼入れ鋼を母材とするものである。ただし、この焼入れ鋼の表面には、硬質クロムメッキなどのコーティング層が設けられていてもよい。金型1A,1Bの表面のうち、少なくともキャビティ形成面13a,13bには、表面改質用物質としてフッ素樹脂18を用いた表面処理が施されている。もちろん、キャビティ形成面13a,13b以外の領域にフッ素樹脂18を用いた表面処理を施してもよい。この表面処理の方法、および表面処理によって得られる効果の詳細については後述する。また、前記表面処理が施された部分は、多数の微細孔17内にフッ素樹脂18が充填された構造をもつが、その詳細についても後述する。なお、金型(成形型)1A,1Bは、セラミックス系材料を母材とするものであってもよい。
[表面処理システム]
次に、本発明に係る表面処理システムの構成の一例について、図3〜図6を参照して説明する。
金型1A,1Bは、ともに表面処理対象物であり、本発明でいう基材の一例に相当する。ただし、以降においては、説明を簡単にするために、原則として金型1Aのみを表面処理対象物として説明を進めていく。なお、金型1Bについても、金型1Aの表面処理方法と同一の方法を用いて表面処理を施すことができることは勿論である。
図3に示すように、本実施形態の表面処理システムS1は、微細孔形成装置5、超臨界発生装置6、被覆膜除去装置7、および表面改質用物質の供給装置8を備えている。
[微細孔形成装置]
微細孔形成装置5は、金型1Aの表層部に多数の微細孔17を形成するためのものである。図4(A)に示すように、この微細孔形成装置5は、容器50内に電子線照射装置51が配された構成を有している。電子線照射装置51は、金型1Aの表面に電子線52を照射しながら水平方向に移動可能である。同図(B)に示すように、金型1Aの表面に電子線52が照射されると、金型1Aの表層部の温度が急激に上昇し、サーマルショックを与えることができる。これにより、金型1Aの表層部に微細なクラックが多数形成される。このようなクラックは、本発明でいう微細孔の概念に含まれ、本実施形態においては、前記したクラックが微細孔17である。微細孔17の開口幅(微細孔17が細長い開口形状の場合、短手方向の開口幅である)は、たとえば0.01〜1000μm程度である。ただし、電子線52を照射する際の条件、たとえば電子線52のエネルギ密度や照射回数などを変えることにより、微細孔17の開口寸法、深さ、および数を変更し、これらを所望の値に近いものに制御することが可能である。
[表面改質用物質の供給装置]
表面改質用物質の供給装置8は、前記した微細孔17の形成後において、金型1Aの表面上に、表面改質用物質を供給するための装置である。より具体的には、図5に示すように、この供給装置8は、たとえば粉末状のフッ素樹脂18を金型1A上に供給するためのヘッダ80を有している。このヘッダ80は、内部にフッ素樹脂18を適当量だけ収容可能であり、かつその下面部には、フッ素樹脂18の排出およびその停止動作が切り替え可能な排出口81が設けられている。ヘッダ80は、金型1Aの上方において排出口81からフッ素樹脂18を一定量ずつ下方に落下排出させながら水平方向に移動自在である。このような動作により、金型1Aの表面上の所望領域にフッ素樹脂18を適当量ずつ供給し、載せることが可能である。供給装置8は、要は、金型1Aの表面にフッ素樹脂18を供給できればよく、本実施形態とは異なる構成のものに形成することが可能である。ただし、その具体例については後述する。
[超臨界発生装置]
超臨界発生装置6は、二酸化炭素の超臨界流体を発生させるためのものであり、後述するように、この超臨界流体の作用を利用して、多数の微細孔17内にフッ素樹脂18が充填される。この超臨界発生装置6は、図6に示すように、耐熱・耐圧性に優れ、かつ内部に金型1Aを配置させることが可能な容器60、この容器60に接続された真空ポンプ63、背圧弁68、容器60内を加熱するためのヒータ66、容器60内にポンプ65ならびに調節弁67を介して二酸化炭素を供給するための二酸化炭素ボンベ64、および添加剤用容器61内の添加剤61aを容器60内に供給するためのポンプ62を具備している。
この超臨界発生装置6においては、真空ポンプ63を利用して容器60内の真空引きを行なった後に、二酸化炭素ボンベ64から容器60内に二酸化炭素を導入し、かつこの二酸化炭素の温度および圧力を臨界点(温度:31.1℃、圧力:7.38MPa)以上に上昇させることにより、二酸化炭素を超臨界状態にすることが可能である。二酸化炭素の昇圧は、ポンプ65を利用して行なわせることが可能であり、その圧力調整は、調整弁67を利用して行なわれる。二酸化炭素の温度上昇は、ヒータ66を利用して行なわれる。なお、容器60の温度を上げることによっても二酸化炭素の昇圧を行うことができる。
二酸化炭素の超臨界流体を発生させた場合、容器60内に収容されている金型1Aの表面を前記超臨界流体に接触させることが可能である。また、その際、金型1Aの表面上に載せられているフッ素樹脂18を前記超臨界流体に溶解させることができる。超臨界流体は、液体の溶解性と気体の浸透性を併せもつが、その圧力と温度を制御することによりその溶解性が大きく変化し、通常の液体では溶解させることが難しいフッ素樹脂18であっても溶解させることが可能となる。添加剤61aは、超臨界流体に対するフッ素樹脂18の溶解性を高めるためのものであり、たとえばアセトンである。この添加剤61aは、ポンプ62を利用することにより、容器60内に供給することが可能である。一方、超臨界流体は、気体としての浸透性をも有するために、フッ素樹脂18を金型1Aの多数の微細孔17の奥深い位置まで進入させることも可能である。このことにより、二酸化炭素の超臨界状態を解消させた後には、図7(B)を参照して後述するように、金型1Aの表面上にフッ素樹脂18の被覆膜18aを形成するとともに、多数の微細孔17内には被覆膜18aの下層部分を充填させた構造が得られる。
[被覆膜除去装置]
被覆膜除去装置7は、金型1Aの表面に形成された被覆膜18aを除去するためのものである。本実施形態において、この被覆膜除去装置7は、図8にその主要部分が示されているように、研磨材71cを有する円板71bがモータMに駆動回転自在に支持された構造をもつ研磨装置である。本発明でいう被覆膜除去装置としては、これ以外の装置構成とすることが可能であるが、その具体例については後述する。
[表面処理方法]
次に、表面処理システムS1を用いて金型1Aに表面処理を施す方法について説明する。
まず、金型1Aの表層部に多数の微細孔17を形成する。このような微細孔17の形成作業は、図4に示した微細孔形成装置5を利用し、金型1Aの表面に電子線52を照射してサーマルショックを与えることにより行なう。この場合、電子線52のエネルギ密度や照射回数などを調整することにより、微細孔17の開口寸法、深さ、および数などを所望の好ましい数値またはそれに近い値にすることが可能である。好ましくは、図2を参照して後述するように、微細孔17の開口幅は、たとえば、半導体樹脂封止の技術分野などにおいて使用される樹脂成形用の原料樹脂3に含まれているフィラ3aの平均粒子径d1よりも小さくなるように制御される。
前記した微細孔17の形成時においては、金型1Aの表面に電子線52を遮るマスクを施しておき、たとえばキャビティ形成面13aなどの所望の部分のみに微細孔17を形成するようにしてもかまわない。金型1Aにたとえば硬質クロムメッキなどのメッキ処理が施されている場合、このメッキ層に微細孔17が形成されるが、本発明においては、そのような処理も許容される。この場合、前記メッキ層も、本発明でいう基材の表層部に相当する。
次いで、金型1Aの表面上にフッ素樹脂18を供給する。この作業は、図5に示した表面改質用物質の供給装置8を利用し、ヘッダ80から粉末状のフッ素樹脂18を金型1Aの表面上に排出落下させることによって実行する。このことにより、図7(A)に示すように、金型1Aの表面上には粉末状のフッ素樹脂18が載せられる。フッ素樹脂18の量は、金型1Aの表面上において各所均一でなくてもよく、それらの量に比較的大きなバラツキがあってもよい。また、フッ素樹脂18は、金型1Aの表面の全域に載せられている必要はなく、たとえばキャビティ形成面13a上にのみ載せられ、他の領域には載せられていない状態にすることもできる。この場合、キャビティ形成面13aの上下方向に起立した側面部分(図1を参照)上に、フッ素樹脂18が載っていなくてもよい。後の工程において、超臨界流体を発生させた際には、フッ素樹脂18は超臨界流体に溶解し、かつこの溶解した状態で多数の微細孔17内に進入するため、たとえばキャビティ形成面13aの側面部分にフッ素樹脂18が載っていなくても、この側面部分に形成された多数の微細孔17に対してフッ素樹脂18を適切に進入させることが可能である。金型1Aの表面における必要な領域にフッ素樹脂18を載せる工程では、金型1Aの表面における不要な領域に予めマスキングを施した後に、粉末状のフッ素樹脂18を金型1Aの表面に落下させてもよい。
金型1Aの表面上にフッ素樹脂18を供給した後には、図6に示した超臨界発生装置6の容器60内に金型1Aを搬入し、容器60内において二酸化炭素の超臨界流体を発生させる。超臨界発生装置6において超臨界流体を発生させる手法については、既に述べているため、再説明は省略するが、二酸化炭素の圧力および温度を臨界点以上に上昇させることにより、二酸化炭素が超臨界状態となる。このようにして発生した超臨界流体は、やはり既に述べたとおり、液体としての高い溶解性と、気体としての高い浸透性を有するために、フッ素樹脂18をこの超臨界流体に溶解させて、金型1Aの各微細孔17の奥深い位置まで進入させていくことができる。なお、容器60内に超臨界流体を発生させる以前に、アセトンなどの添加剤61aを容器60内に予め導入させておくことにより、超臨界流体に対するフッ素樹脂18の溶解を促進し、処理効率を高めることが可能である。
前記した二酸化炭素の超臨界状態は、たとえば5分程度以上維持させ、その後に解消させる。超臨界状態の解消は、超臨界発生装置6の各駆動機器の運転を停止し、背圧弁68を開けることにより行ない、容器60中の圧力を常圧になるまで徐々に低下させていく。このようにして超臨界状態を解消させると、二酸化炭素は元の気体の状態に復帰し、図7(B)に示すように、二酸化炭素とフッ素樹脂18とは分離する。このため、金型1Aの表面上には、フッ素樹脂18の被覆膜18aが略均一な厚みで形成される。ただし、この被覆膜18aの下層部分は、多数の微細孔17の奥深い位置まで密に充填された構造となる。被覆膜18aが、このような構造であれば、多数の微細孔17に充填されている部分が金型1Aに対して強い保持力を発揮することとなり、金型1Aの表面から容易に剥離し難くなる。
金型1Aは、前記した図7(B)に示す構造のまま使用することが可能であるものの、本実施形態においては、被覆膜18aの余剰部分を除去する作業をさらに行なう。この作業は、図8(A),(B)に示すように、被覆膜除去装置7を利用して行ない、被覆膜18aのうち、金型1Aの表面を覆っている部分を除去する。このことにより、金型1Aの表面、および各微細孔17に充填されていたフッ素樹脂18の上端部分が外部に露出することとなる。
以上のような表面処理が施された金型1Aにおいては、金型1A自体の表面とフッ素樹脂18の上端部分との双方が外部に露出しているために、金型1A自体が有する強度と、フッ素樹脂18が有する優れた離型性との両特性を併せもつこととなる。他方の金型1Bについても、前記した表面処理と同様な処理を施すことにより、金型1Aと同様な構成とされる。したがって、金型1A,1Bの耐久性を高めることができるとともに、これらの金型1A,1Bを利用して樹脂成形作業を行なった場合には優れた離型性能が得られ、樹脂成形品の取り出し作業を円滑に行なうことができる。
フッ素樹脂18は、各微細孔17の奥深い位置まで充填されているために、金型1A,1Bを用いた樹脂成形作業が繰り返し実行されてフッ素樹脂18に衝撃その他の負荷が頻繁に作用した場合であっても、これに起因してフッ素樹脂18が金型1A,1Bの表面から容易に欠落しないようにすることができる。また、本実施形態では、各微細孔17にフッ素樹脂18を充填させるための手段として、超臨界流体を利用しているが故に、各微細孔17の開口幅を小さくすることができるのであるが、このように各微細孔17の開口幅を小さくすれば、金型1A,1Bに多数の微細孔17を設けたことに起因して、金型1A,1Bの表層部の機械的強度が低下するといった不具合も実質的に生じないようにすることができる。
図2(A)は、金型1A,1Bのキャビティ13内に、樹脂成形用の原料樹脂3が注入された状態を示している。原料樹脂3には、樹脂成形品の機械的強度の向上などを目的として、たとえばシリカなどの硬質のフィラ3aが含まれている。本実施形態において、好ましくは、各微細孔17の開口幅は、フィラ3aの平均粒子径d1よりも小さくされている。本実施形態とは異なり、たとえば図2(B)に示すように、微細孔17の開口幅L1がフィラ3aの平均粒子径d1よりも大きい場合には、フッ素樹脂18の上面部にフィラ3aが接触し易く、このフィラ3aによってフッ素樹脂18が削られ易い。これに対し、同図(A)に示す構成によれば、同図(B)の場合とは異なり、フィラ3aがフッ素樹脂18の上面部に接触し難く、フッ素樹脂18が削られ難い。したがって、本実施形態によれば、フッ素樹脂18の摩耗を少なくし、優れた離型性を長期間にわたって維持することができる。なお、図2(B)に示す構成は、同図(A)と比較すると、樹脂18が摩耗し易くなる不利はあるものの、このような構成も、本発明の技術的範囲に包摂される。
[他の実施形態]
図9および図10は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
図9に示す実施形態においては、超臨界発生装置6に、表面改質用物質の供給装置8Aが組み付けられている。この供給装置8Aは、容器60内の超臨界流体が発生される領域に、たとえば粉末状のフッ素樹脂などの表面改質用物質を供給することが可能である。本実施形態は、前記実施形態とは異なり、金型1Aの表面上に表面改質用物質を直接載せる構成ではないが、容器60内において超臨界流体を発生させた際には、容器60内に供給された表面改質用物質を超臨界流体に溶解させて、金型1Aに作用させることが可能である。したがって、本実施形態の構成であっても、金型1Aの各微細孔17に表面改質用物質を進入させることが可能であり、本発明が意図する作用が得られる。
図10に示す実施形態においては、同図(A)に示すように、表面改質用物質18Aを多数の微細孔17内に一部進入させる前処理を行なっている。同図(A)に示す構造は、表面改質用物質18Aを、たとえば高温に加熱して溶融・軟化させ、金型1Aの多数の微細孔17に塗布または真空含浸させることにより得ることができる。表面改質用物質18Aとして、たとえばシリコーン樹脂を用いた場合には、その溶融・軟化点がフッ素樹脂よりも低く、前記した前処理を比較的容易に行なうことが可能である。ただし、塗布または真空含浸の手法のみでは、表面改質用物質18Aは、各微細孔17の奥深い位置まで充填されない。また、表面改質用物質18Aを多数の微細孔17内に一部進入させる前処理としては、塗布または真空含浸に限らず、何らかの方法で金型1Aの表面に表面改質用物質18Aを押し付ける処理を使用することができる。
前記したような前処理を施しておけば、その後に図6に示した超臨界発生装置6を利用して金型1Aを超臨界流体に晒した場合に、表面改質用物質18Aを効率良く各微細孔17内の奥部に進入させることができる。したがって、各微細孔17に表面改質用物質18Aを充填する際の効率が良くなり、処理時間の短縮化を図ることができる利点が得られる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る表面処理方法の各工程の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に変更自在である。また、本発明に係る表面処理物、および表面処理システムの各部の具体的な構成は、やはり本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
本発明における表面処理対象の基材は、半導体樹脂封止用の金型に限らず、それ以外の樹脂成形用、あるいはゴムなどの成形用の成形型にも適用することができる。さらに、成形型以外として、たとえばシャフトやピストンなどの機械部品にも適用し、摺動性の向上などを目的とする表面処理を行なうこともできる。このほか、洗濯機、冷蔵庫、ホットプレートなどの各種の電化製品、自動車や電車などの車体、船の船体、建築物の部品などを基材として適用することもできる。基材の材質は、金属、セラミックス、超硬合金、プラスチック、ゴムまたはそれらにコーティングが施されたものなど、いずれであってもよい。
表面改質用物質としては、有機物または無機物の種別を問わない。有機物の具体例としては、前述したフッ素樹脂やシリコーン樹脂の他、ポリプロピレン樹脂などを用いることができる。無機物としては、たとえばニッケルやクロムなどの金属、セラミックス(Al,ZrO,Sc,Y,Smなど)を用いることができる。無機物の場合は、この無機物を微細孔内に充填させた後に、焼成などの処理をすることが望ましい。表面改質用物質の形態は、粉末状の他に板状などにすることも可能であり、さらには分散液、ゲルなどとすることもできる。表面改質用物質を基材表面に供給させるための手段としては、基材の表面に表面改質用物質を塗布、圧入、浸漬、または真空含浸などの手法を用いて直接供給する方式のみならず、超臨界発生装置の容器内に基材とともに入れておき、超臨界流体の発生時に基材の表面に供給されるようにする方式であってもよいことは、上述の実施形態からも理解されるであろう。
なお、表面改質用物質は、離型性の向上を目的とするものに限定されないことは言うまでもない。特に、表面改質用物質としてフッ素樹脂やシリコーン樹脂などを使用した場合には、基材表面に撥水性や撥油性を付与することができる。このことによって、汚れ等が付着しにくくなり、かつ、付着した汚れ等が除去されやすくなる。したがって、基材表面に防汚性を付与することができる。
本発明においては、超臨界流体に代えて、それに近い特性を示す亜臨界流体を用いてもかまわない。超臨界または亜臨界流体とされる媒体としては、前述した二酸化炭素の他に、水、メタン、アンモニア、エタン、エチレン、プロパン、ペンタン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、ヘキサン、酢酸などを用いることが可能であるが、やはりその具体的な種類は限定されない。
本発明でいう「亜臨界流体」は、亜臨界状態にある流体を意味する。また、「亜臨界状態」は、次の3点をすべて満たす状態を意味する。
(1)媒体の温度および圧力の双方または一方が臨界点の温度または圧力に満たないために媒体が超臨界状態にはないこと。
(2)媒体が超臨界域に近い高温および高圧の条件下にあることにより、超臨界状態に近い性質を持つこと。
(3)所望の表面改質用物質を溶解させて基材の微細孔の内部に進行させるという本発明が意図する作用を生じさせることが可能であること。
超臨界または亜臨界の媒体に対する表面改質用物質の溶解性を高めるための添加剤としては、前述したアセトンの他に、メタノールなどのアルコール類や、水などを用いることもできる。また、添加剤は、超臨界または亜臨界の発生装置の容器内にポンプを用いて導入することに代えて、容器内に基材とともに入れておくようにして用いることもできる。
基材の表層部にサーマルショックを付与して微細孔としてのクラックを形成する手段としては、前述した電子線の照射の他に、レーザやプラズマなどの他の高エネルギビームを照射する手段、フラッシュランプの照射、あるいは高周波誘導加熱などの手段を採用することができる。また、前記したようなクラックは、基材の表層部に陽極酸化処理を施したり、あるいは放電加工や切削加工などを施して衝撃を与えることにより形成することも可能である。ただし、本発明でいう微細孔は、必ずしもクラックである必要はない。基材の表面にコーティング膜を設けた場合に、このコーティング膜に微小な通気孔が生じる場合があるが、このような通気孔も、本発明でいう微細孔として利用することが可能である。
なお、電子線、レーザ等を照射する場合には、照射機構を水平移動させてもよく、加工物を設置するステージを水平移動させてもよい。また、照射機構とステージとを同時に水平移動させてもよい。また、磁界やミラー等を使用して電子線、レーザ等をスキャンさせてもよい。また、電子線、レーザ等をスキャンさせることとステージを水平移動させることとを同時に行ってもよい。
本発明でいう被覆膜除去装置としては、前述した研磨装置のほか、研削装置、切削装置などの機械加工装置の他、紫外線照射によって表面改質用物質を光分解する方式の装置を用いることもできる。また、被覆膜除去装置としては、たとえば酸素プラズマなどのプラズマによって表面改質用物質を除去する方式の装置を用いることもできる。
1A,1B 成形型(基材)
17 微細孔
18 フッ素樹脂(表面改質用物質)
18a,18Aa 被覆膜
18A 表面改質用物質
3 原料樹脂
3a フィラ
5 微細孔形成装置
60 容器
7 被覆膜除去装置
8,8A 表面改質用物質の供給装置

Claims (12)

  1. 基材の表面に、表面改質用物質の被覆膜を形成する被覆膜形成工程を有している、表面処理方法であって、
    前記基材として、表層部に多数の微細孔が形成されている基材を使用し、
    前記被覆膜形成工程は、
    前記表面改質用物質を超臨界または亜臨界状態の媒体中に溶解または分散させた状態で前記基材の表面に接触させることにより、前記表面改質用物質を前記多数の微細孔の内部に進入させる第1の工程と、
    この第1の工程の後に、前記媒体の超臨界または亜臨界状態を解消させて、前記媒体を前記表面改質用物質から分離させることにより、前記被覆膜として、前記多数の微細孔の内部に下層部分が充填されている被覆膜を形成する第2の工程と、
    を有していることを特徴とする、表面処理方法。
  2. 請求項1に記載の表面処理方法であって、
    前記被覆膜形成工程を実行する前に、前記基材の表層部に前記多数の微細孔を形成する微細孔形成工程を、さらに有している、表面処理方法。
  3. 請求項2に記載の表面処理方法であって、
    前記微細孔形成工程は、前記基材の表層部に対するサーマルショックの付与、陽極酸化、放電加工、切削加工、ウェットエッチング、またはドライエッチングのうち少なくともいずれかの処理または加工により行ない、かつこの処理または加工時において前記処理または加工の条件を制御することにより、前記多数の微細孔の開口寸法、深さ、数の少なくともいずれかを制御する、表面処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の表面処理方法であって、
    前記被覆膜形成工程を実行する前において、前記表面改質用物質を、加熱溶融し、または溶媒中に溶解もしくは分散させてから前記基材の表面に押し付けることにより、前記多数の微細孔に予備的に充填しておく予備処理工程を、さらに有している、表面処理方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の表面処理方法であって、
    前記第2の工程の後において、前記被覆膜のうち、前記基材の表面を覆う部分を除去し、前記多数の微細孔に充填されている表面改質用物質を前記基材の表面に露出させる工程を、さらに有している、表面処理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面処理方法であって、
    前記基材は、樹脂成形用の成形型であり、
    前記表面改質用物質は、前記成形型の母材よりも樹脂成形品に対する離型性に優れた物質である、表面処理方法。
  7. 請求項6に記載の表面処理方法であって、
    前記多数の微細孔の開口寸法は、樹脂成形用の原料樹脂に含まれているフィラの平均粒子径よりも小さい、表面処理方法。
  8. 基材の表面に表面改質用物質の被覆膜を形成する表面処理を施して製造される表面処理物であって、
    前記表面処理の方法として、請求項1ないし7のいずれかに記載の表面処理方法が用いられて製造されたことを特徴とする、表面処理物。
  9. 基材の表面に、表面改質用物質の被覆膜を形成するのに用いられる表面処理システムであって、
    前記基材を内部に収容可能な容器を有し、かつこの容器の内部に所定の媒体を供給させてその温度および圧力を制御し、前記媒体を超臨界または亜臨界状態とすることが可能な超臨界または亜臨界の発生装置と、
    前記媒体を超臨界または亜臨界状態にしたときに、前記表面改質用物質が前記媒体中に溶解または分散した状態で前記基材の表面に接触し、かつ前記基材の表層部に形成されている多数の微細孔の内部に進入することが可能に、前記表面改質用物質を前記基材の表面上または前記容器内に供給するための表面改質用物質の供給装置と、
    を備えていることを特徴とする、表面処理システム。
  10. 請求項9に記載の表面処理システムであって、
    前記基材の表面に前記被覆膜を形成する前に、前記基材の表層部に前記多数の微細孔を形成するための微細孔形成装置を、さらに備えている、表面処理システム。
  11. 請求項10に記載の表面処理システムであって、
    前記微細孔形成装置は、前記基材の表層部に対するサーマルショックの付与、陽極酸化、放電加工、切削加工、ウェットエッチング、またはドライエッチングのうち少なくともいずれかの処理または加工を行ない、かつこの処理または加工時において前記処理または加工の条件を制御することにより、前記多数の微細孔の開口寸法、深さ、数の少なくともいずれかを制御可能な構成とされている、表面処理システム。
  12. 請求項9ないし11のいずれかに記載の表面処理システムであって、
    前記基材の表面に前記被覆膜を形成した後において、前記被覆膜のうち、前記基材の表面を覆う部分を除去し、前記多数の微細孔に充填されている表面改質用物質を前記基材の表面に露出させるための被覆膜除去装置を、さらに備えている、表面処理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018069233A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド 時計または宝飾品の要素のエピラム化方法

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