JP2012073026A - 杭頭部の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空既製杭内への熱媒体流動用配管の挿入及び引き出しを円滑に出来るようにした杭頭部の構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る杭頭部の構造は、構造物5の基礎杭である中空既製杭3内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、中空既製杭3を地中熱交換体として利用する中空既製杭3の杭頭部の構造であって、開口部11を有する杭頭に設置される杭頭蓋9と、杭頭蓋9に開口部11と連通するように接合されて熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管21とを備え、ガイド管21が、屈曲部を有する屈曲管からなり、杭頭蓋9の開口部11が、ガイド管21における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側に寄せて設けられ、杭頭蓋9を杭頭部に設置した状態で、開口周壁部における蓋外縁に最も近い部位が杭内壁よりも開口内側に突出しないように構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】 図8

Description

本発明は基礎杭の杭頭部の構造に関するもので、より詳しくは、基礎杭を地中熱交換体として兼用する場合の杭頭部の構造に関する。
地中温度は、ある深度以上になると、ほぼ年平均気温程度の温度で推移し、夏季は外気温よりも低く、冬季は外気温よりも高い。この地中と外気温の温度差を利用して、少ないエネルギーで建物の冷暖房や路面融雪に必要な熱を得る地中熱利用システムがある。このシステムは、欧米では既に広く普及し、わが国でも徐々に普及され始めた。
地中熱利用システムにおいては、一般には、ボーリング機械で掘った縦穴に熱媒体を流動させる細管(本明細書において、「熱媒体流動用配管」あるいは「熱媒配管」という。)を設けることにより地中熱との交換を行うが、この方法はボーリング費用が高いという欠点がある。そこで、基礎杭を地中熱交換体として兼用する方法が注目されている(特許文献1参照)。
特許文献1にも示されるように、基礎杭内に配置された熱媒配管は、通常、杭頭部からその上の基礎コンクリート(フーチング基礎、布基礎、ベタ基礎、地中梁など)中を直接通ってその外側に出、それからヒートポンプなど空調機械設備に繋がる。
しかし、この配管方法は、熱媒配管が杭体内で損傷したり詰まったりした場合、熱媒配管を点検、補修または交換するなどメンテナンスが必要であるが、基礎コンクリート内に埋め込まれているため取り出すことができず、メンテナンスができない。
これらの問題点を解決する方法として、地中埋設管の上端付近に熱媒配管を通すための切り欠きや穴を設けて熱媒配管を地中埋設管の側面から横方向に取り出すという提案がされている(特許文献2参照)。
さらに、基礎杭を地中熱交換体として利用するものにおいて、熱媒配管のメンテナンスが容易にできるとともに、施工時の現場の作業性と安全性に優れる杭頭部の構造を得ることを目的とした提案がされている(特許文献3参照)。
特許文献3には、一つの態様として、以下のものが提案されている。
構造物の基礎杭である中空既製杭内に熱媒体流動用配管を配置することにより前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、中央に穴を有する杭頭蓋を杭頭部に設置するとともに、熱媒体流動用配管を通すための曲がり管を、その一端を前記杭頭蓋の穴に挿入または穴周囲に当接させ、他端を基礎コンクリートの側面または上面から突出させて配置したことを特徴とする杭頭部の構造。
特開平1−123951号公報 特開2005−69538号公報 特開2006−343004
特許文献2の方法では、地中埋設管を基礎杭と兼用した場合、大きな外力が作用する杭頭部付近の一部を切断除去することになるため、当該部分が構造的弱点になりやすいという欠点があり、構造安全上の問題がある。
また、熱媒配管の取り出し口が杭の上端部となるが、この位置は基礎コンクリートの直下となり、メンテナンスのためには地盤面を掘削する必要があり、また掘削したとしても掘削地盤面と基礎コンクリートの下面に挟まれた位置となるため、メンテナンス時の作業性が極めて悪いという問題がある。
この点、特許文献3に係る杭頭部の構造を採用することにより、構造安全上の問題がなく、またメンテナンスのために地盤面を掘削する必要がなく、メンテナンス時の作業性に優れている。
しかし、特許文献3のものにも、以下に示すような課題が残されていた。
熱媒体流動用配管として用いられるものの中には先端がU字状に屈曲しており、この屈曲部をその他の部分とは別体として製造されているものがある。このようなものの場合、U字状の屈曲部とその他の部分との接合部に段差が形成され、この段差が熱媒体流動用配管の挿入及びメンテナンス時の引き出しの際に、杭頭蓋の開口縁部に引っ掛かることがある。そのため、熱媒体流動用配管の挿入または引き出しが円滑にできなくなり、メンテナンスに支障がでる場合があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、中空既製杭内への熱媒配管の挿入及び引き出しを円滑に出来るようにした杭頭部の構造を提供することを目的とする。
熱媒配管をガイドするためのガイド管の端部、すなわち、熱媒配管を挿入する挿入口をどの位置にするかは、基礎コンクリートやその上部構造との関係から種々の態様がありうる。そのため、ガイド管の形状に関し、例えば直管を用いる場合、曲がり管を用いる場合等種々の態様があり、さらに曲り管を用いる場合にはどのような屈曲形態を有する曲がり管を用いるのかによってさらに種々の態様が考えられる。
このような状況において、常に、熱媒体流動用管のスムーズな挿入、引き出しを実現するためには、ガイド管の形状、ガイド管を取付ける位置等との関係で、ガイド管を介して杭内部に挿入される熱媒体流動用管がどのような挙動をするのかを把握して、その挙動を知ったうえで、スムーズな挿入、引き出しを実現するための工夫が要求される。
そこで、発明者は、種々の形状のガイド管を用いた実験を行い、種々のガイド管の態様に対する熱媒体流動管の挙動を見出し、この知見をもとに本発明を完成したものであり、具体的には以下の構成を有するものである。
(1)本発明に係る杭頭部の構造は、構造物の基礎杭である中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋の開口部に接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、
前記ガイド管が、前記杭頭蓋上面と45度以上90度未満の傾斜角度を成して接合された直管からなり、前記杭頭蓋の開口部が、前記ガイド管が傾斜する側に寄せて設けられ、杭頭蓋を杭頭部に設置した状態で、開口周壁部における蓋外縁に最も近い部位が杭内壁よりも開口内側に突出しないように構成されていることを特徴とするものである。
ガイド管と杭頭蓋上面との成す角度としては、0度〜180度の範囲が考えられるが、本明細書においては、ガイド管と杭頭蓋上面との成す角度として鋭角側をもって特定する。
ガイド管が傾斜する側とは、杭頭蓋に接続されたガイド管を平面視したときに、ガイド管が投影される側をいう。
(2)また、構造物の基礎杭である中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋の前記開口部に接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、
前記ガイド管が、前記杭頭蓋上面と45度以上90度未満の傾斜角度を成して接合された直管からなり、前記杭頭蓋内面から前記ガイド管内面に至る経路における前記ガイド管が傾斜する側の経路が滑らかになるように面取り加工をしたことを特徴とするものである。
「経路が滑らかになるように面取り加工をした」とは、例えば経路に存在する鋭角部分を削って鈍角にしたり、滑らかなアールにしたりすることをいう。
(3)また、構造物の基礎杭である中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋の前記開口部に接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、
前記ガイド管が、屈曲部を有する屈曲管からなり、前記杭頭蓋の開口部が、前記ガイド管における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側に寄せて設けられ、杭頭蓋を杭頭部に設置した状態で、開口周壁部における蓋外縁に最も近い部位が杭内壁よりも開口内側に突出しないように構成されていることを特徴とするものである。
「屈曲方向」とは、屈曲部の曲げ半径を平面視したときの中心側をいう。また、「屈曲方向と反対側」とは、屈曲部の曲げ半径を平面視したときの円周側をいう。
(4)また、構造物の基礎杭である中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋に前記開口部と連通するように接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、
前記ガイド管が、屈曲部を有する屈曲管からなり、前記杭頭蓋内面から前記ガイド管内に至る経路のうち、前記ガイド管における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側の経路が滑らかになるように面取り加工をしたことを特徴とするものである。
本発明においては、開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋の前記開口部に接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、前記ガイド管が、屈曲部を有する屈曲管からなり、前記杭頭蓋の開口部が、前記ガイド管における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側に寄せて設けられ、杭頭蓋を杭頭部に設置した状態で、開口周壁部における蓋外縁に最も近い部位が杭内壁よりも開口内側に突出しないように構成されているので、ガイド管を介して設置する熱媒配管の挿入およびメンテナンス時における取り出しが円滑に行え、施工性に極めて優れている。
本発明の実施の形態1に係る杭頭部の構造の説明図である。 図1における矢視A−A図である。 本発明の実施の形態1に係る杭頭部の構造における施工途中の状態の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る杭頭部の構造における施工完了状態の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る杭頭部の構造における熱媒配管の挿入動作の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る杭頭蓋における開口部と中空規制杭の配置関係の他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る杭頭蓋における開口部と中空規制杭の配置関係の他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る杭頭部の構造の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る杭頭部の構造における熱媒配管の挿入動作の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る杭頭部の構造の他の態様の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る杭頭部の構造の説明図である。 図11の丸で囲んだA部の拡大図である。 本発明の実施の形態4に係る杭頭部の構造の説明図である。 図13の一部を拡大して示す拡大図である。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る杭頭部の構造の説明図であり、杭頭部周辺の断面図である。通常杭頭周辺には杭頭補強鉄筋や基礎コンクリートの鉄筋が配置されているが、その鉄筋の配置方法にいくつかのタイプがあること、および図を見やすくする趣旨から、図1ではこれらの鉄筋を省略し、後述の図3、図4で一例を示すこととする。
本実施の形態は、基礎コンクリート1を介して基礎杭である中空既成杭3で構造物5を支持し、中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、中空既製杭3を地中熱交換体として利用する中空既製杭3の杭頭部の構造であって、中空既成杭3内に熱媒体流動用配管を挿入するためのガイド管7として、杭頭蓋9に直管を傾斜配置したものである。
以下、各構成の詳細をさらに具体的に説明する。
1.中空既製杭
中空既製杭3の種類は特に限定されるものではなく、例えば鋼管杭、コンクリート杭が挙げられる。
2.杭頭蓋
杭頭蓋9には、ガイド管7と連通する開口部11が設けられている。図2は図1における矢視A−A図であり、図2に示すように、杭頭蓋9に設けた開口部11は楕円形に形成されている。開口部11を楕円形にした理由は次の通りである。本実施形態では、軸方向直角断面が円形のガイド管7の下端部を斜めに切断して用いており、この斜めに切断した面は楕円形となる。そして、この楕円面を杭頭蓋9に当接させることにより、ガイド管7を傾斜配置させているので、杭頭蓋9における開口部11を楕円形状としたのである。
杭頭蓋9に形成した開口部11は、開口部11における楕円長軸の蓋外縁に最も近い部位11a(以下、「開口部最外縁部11a」という。)が、杭内壁3aと略面一になるようになっている。したがって、図1に示されるように、杭内壁3a、開口部最外縁部11a、ガイド管内壁が滑らかに連続するようになっている。
後述するように、直管を傾斜させて杭頭蓋9に設置した場合には、熱媒配管の挿入及び引き出しの際に、熱媒配管の先端が開口部最外縁部11aを通過するが、上記のようにすることで、熱媒配管先端に形成される段差が開口部11の縁に引っかかることがなくなり、熱媒配管の挿入、取り出しが容易になる。
なお、図1では平板状の杭頭蓋9を用いた例を示したが、杭頭蓋9の形状は円形平板状のものに限定されず、例えば中空既製杭3の下側に向かって凹んだ球冠状のものでもよい。
また、杭頭蓋9の径は、杭の内径、外径いずれでもよく、杭外径より大きくしても、矩形でもよい。
また、杭頭蓋9は杭頭に溶接等で固結しても、固結しなくてもよく、固結するかしないかは杭頭蓋9の設計によって決めるとよい。
なお、杭頭蓋9には鉛直力が作用するため、一般的には杭頭蓋9には鋼製の板を用いるのが好ましい。
3.ガイド管
本実施の形態のガイド管7は、管軸直交断面が円形の直管からなり、その下端面を斜めに切断し、この切断面を杭頭蓋9に溶接接合したものである。前述したように、ガイド管7における斜めに切断した下端面は楕円形になり、この面を杭頭蓋9の楕円形の開口部11に対応させて設置している。
この例では、ガイド管7を杭頭蓋9に対して約70度傾斜させて設置している。もっとも、熱媒配管に硬質合成樹脂系の素材を使用した場合、ガイド管7の取り付け角度は、杭頭蓋9に対する傾斜角度が45度から90度未満の範囲であれば、挿入および取り出しが可能であることを確認したので、任意の角度としてよい。
なお、ガイド管7の基本的な機能は、熱媒配管の通り道を確保することにあり、その材質は限定されない。ただし、ガイド管7を基礎コンクリート1中に配置するので、基礎コンクリート1中に空洞を設けることになるため、これが構造的弱点になる恐れがある場合は、鋼材など必要な強度が確保できる材質にするとよい。
なお、ガイド管7は現場で切断加工して杭頭蓋9に接合してもよいが、あらかじめ必要な角度に切断して杭頭蓋9へ溶接等で接合しておいてもよい。
4.基礎コンクリート
基礎コンクリート1は、地面13の下方に構築され、その上部には構造物5(具体的には柱または壁)が設置される。基礎コンクリート1としては、フーチング基礎、布基礎、ベタ基礎、地中梁など各種のものが含まれる。
次に図1に示した杭頭部の構造を構築する方法を、図1及び熱媒配管の挿入作業中の状態を示した図3、熱媒配管の挿入作業完了時の状態を示した図4に基づいて説明する。
(1)8インチの鋼管からなる中空既製杭3を地盤に設置した後、杭頭蓋9を杭頭部に設置する。ここでは、6インチの直管からなる鋼製のガイド管7を、予め杭頭蓋9と70度の角度で取り付けた。
ガイド管7は、一端を設置角度に合わせて切断加工したものを用いた。杭頭蓋9の外径は、杭外径と略等しく、溶接により杭と接合した。杭頭蓋9に設けた開口部11の形状は、前述したように楕円形であり、楕円形の最も外側の内壁すなわち開口部最外縁部11aと杭内壁3aとが面一になっている。
(2)次に、杭頭補強鉄筋17および基礎コンクリート用鉄筋19を配置する(図3参照)。なお、図3では杭頭補強鉄筋17を杭頭外周面に溶接で固定する方式を示しているが、杭頭補強鉄筋17の配置方法はこれに限定されるものでない。また、基礎コンクリート用鉄筋19の配置についても図3に示すものに限定されるものではない。
(3)次に、基礎コンクリート用の型枠を配置して、コンクリートを打設する。
(4)さらに、熱媒配管15を、ガイド管7を通じて中空既製杭3の中空部に挿入する(図3、図4参照)。
なお、熱媒配管15の配管材料には、ポリエチレン管など、ある程度の可撓性を有する硬質の材料を用いる。
図5は、熱媒配管15を、ガイド管7を介して中空既製杭3に挿入する際における挿入経路と熱媒配管15との関係を説明する説明図である。図5では熱媒配管15の挙動が顕著になるようにするため、ガイド管7の傾斜角度を図1、図3、図4よりも小さく、約45度にしている。
図5に示すように、挿入の第1段階では図中のaに示すように、熱媒配管15はガイド管7の底部に沿うようにして中空既成杭3内に挿入され、熱媒配管15の先端が中空既成杭3の内壁3aに当接する。
第2段階では、熱媒配管15をさらに挿入するため、地上部において、図中のbに示すように、熱媒配管15を持ち上げる。これによって、熱媒配管15の先端が杭内壁3aにそって、下降する。
そして、第3段階では、熱媒配管15をさらに挿入するが、このとき開口部最外縁部11aが支点となって強く押し付けられる。
このように、熱媒配管15の挿入時においては、熱媒配管15の先端部が開口部最外縁部11aを通過するが、本実施の形態では、この部分が杭内壁3aと面一になっており、熱媒配管15をスムーズに挿入できるようになっている。
(5)熱媒配管15の両端は地上に設置されたヒートポンプに接続され、中空既製杭3の中空部に充填された水と熱交換が行われる。
(6)熱媒配管15のメンテナンスで取り出す必要がある場合、熱媒配管15を引き出すことになるが、その場合、熱媒配管15の挙動は図5で説明したのと逆の挙動となる。そのため、引抜の後半の段階で、熱媒配管15の先端部が杭頭蓋9の開口部最外縁部11aを通過することになる。
しかしながら、上述したように、本実施の形態では、この部分が杭内壁3aと面一になっており、熱媒配管15の先端部に段差があってもこれが引っ掛かることなくスムーズに通過できるようになっている。
なお、熱媒配管15を引き出す際には、熱媒配管内の循環水を抜いてから引き出すようにすると、浮力を利用できるので、作業負荷が軽減される。
以上のように、本実施の形態によれば、熱媒配管15の挿入、引き出し時において、熱媒配管15の先端部が杭頭蓋9に設けた開口部11に引っ掛かることがなく、スムーズな挿入及び引抜ができる。
なお、上記の実施の形態においては、杭頭蓋9の開口部11における楕円長軸の最も蓋外縁に近い部位が、杭内壁3aと略面一になるようにした例を示したが、本発明はこれに限られるものではく、例えば図6、図7に示すように杭頭蓋9の開口部最外縁部11aが中空既成杭3の内壁3aよりも外側に位置するような場合であってもよい。
[実施の形態2]
図8は本発明の他の実施の形態に係る杭頭部の構造の説明図であり、実施の形態1を示した図1〜図4と同一または対応する部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態においてはガイド管として、屈曲角度90度の2本のエルボと直管を組み合わせた曲り管21を使用したものである。すなわち、本実施の形態の曲り管21は、図8に示されるように、杭頭蓋9から鉛直上方に立ち上がり、水平方向に屈曲し、さらに鉛直上方に向けて屈曲している。
本実施の形態においては、杭頭蓋9の開口部11を、接合される曲が管21における蓋側の第一の屈曲部の曲げ方向側と反対側に寄せて形成し、開口部最外縁部11aが杭内壁3aと略面一になるようにしている。したがって、図8に示されるように、杭内壁3a、開口部最外縁部11a、曲り管内壁が滑らかに連続するようになっている。
図9は本実施の形態における熱媒配管挿入時の挿入経路と熱媒配管との関係を説明する説明図である。図9に示すように、挿入の第1段階では図中のaに示すように、曲り管21の第1屈曲部に熱媒配管15の先端が当接する。熱媒配管15を傾斜させて(b)、さらに押し込むことにより熱媒配管15の先端が第2屈曲部の奥側の内壁に当接する(c)。さらに押し込むと、第2屈曲部を支点として熱媒配管15が屈曲してその先端が杭内壁3aに押し付けられるようにして杭内壁3aに沿って挿入される。
このとき、熱媒配管15の先端部が杭頭蓋9における開口部最外縁部11aを通過するが、この部分に段差がないのでスムーズな挿入ができる。
また、熱媒配管15を引き出すときは、上記のa〜dと逆の動作となり、熱媒配管15の先端部が杭頭蓋9における開口部最外縁部11aを通過することになる。しかしながら、この部分が面一になっているので、たとえ熱媒配管15の先端部に段差があっても引っ掛かることなくスムーズな引き出しが可能になっている。
なお、ガイド管として曲り管を使用する場合には、熱媒配管の挿入および引き出しの円滑な動作を考慮して、曲り管の屈曲部における曲がり部の半径は500mm以上とし、屈曲角度は90度以下にするのが好ましい。
また、直管とエルボを組み合わせた場合以外にも、図10に示すように、管の途中で屈曲部を有する屈曲管23の場合も上記と同様に、杭頭蓋の開口部を、杭頭蓋9側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側に寄せて設け、杭頭蓋9を杭頭部に設置した状態で、開口部最外縁部11aが杭内壁3aよりも開口内側に突出しないようにすることで熱媒配管のスムーズな挿入及び引き出しが実現できる。
なお、図10に示した例は、屈曲部の中心角約30度にしたものを示しているが、90度以下でれば、これに限定されるものでなく、基礎コンクリート1の鉄筋の配置、基礎コンクリート1の形状、さらには建設時やメンテナンス時の施工性等を考慮して決めればよい。
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3の説明図であり、実施の形態1を示した図1と同一部分には同一の符号を付してある。また、図12は図11における丸で囲んだA部の拡大図である。
本実施の形態においては、ガイド管7として直管を傾斜配置した場合において、杭頭蓋内面からガイド管内面に至る経路におけるガイド管7が傾斜する側の経路が滑らかになるように面取り加工したものである。
この例では、図12に示すように、開口部11の周壁における図中左側の一部11bを面取りして滑らかな円弧状にしている。
なお、ガイド管7が開口部11内に挿入されて取り付けられるような場合には、ガイド管7と端部と開口部11の周壁の一部の両方を面取り加工するようにすればよい。
本実施の形態によれば、中空既成杭3内に挿入された熱媒配管をメンテナンス時に引き出す際に、熱媒配管の先端部が開口部11の周壁の一部11bを通過するが、この部分が滑らかに加工されているので、熱媒配管の先端に段差が形成されていたとしても、引っ掛かることなくスムーズな引き出しができる。
[実施の形態4]
図13は、実施の形態4の説明図であり、実施の形態2の変形例として示した図10と同一部分には同一の符号を付してある。また、図14は図13の一部拡大図である。
本実施の形態においては、ガイド管23として屈曲管を用いた場合において、杭頭蓋内面からガイド管23内に至る経路のうち、ガイド管23における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側の経路が滑らかになるように面取り加工をしたものである。
本実施の形態においては、ガイド管23は一箇所で屈曲しており、その「屈曲方向」すなわち屈曲部の曲げ半径を平面視したときの中心側は図中右側となる。したがって、「屈曲方向と反対側」とは、図中左側となり、屈曲部の屈曲方向と反対側の経路は、図13、図14において丸で囲んだ部分の中にある。そして、本実施の形態においては、この経路が滑らかになるように、実施の形態3と同様に、開口部11の周壁における図中左側の一部11bを面取りして滑らかな円弧状にしている。
本実施の形態においては、熱媒配管15を挿入する際の挙動は、図13におけるa、b、cのようになり、熱媒配管15を引き出す際にはこれと逆の挙動となる。
したがって、中空既成杭3内に挿入された熱媒配管をメンテナンス時に引き出す際に、熱媒配管の先端部が開口部11の周壁の一部11bを通過することになるが、この部分が滑らかに加工されているので、熱媒配管の先端に段差が形成されていたとしても、引っ掛かることなくスムーズな引き出しができる。
1 基礎コンクリート
3 中空既成杭
3a 杭内壁
5 構造物
7 ガイド管
9 杭頭蓋
11 開口部
11a 開口部最外縁部
15 熱媒配管
21 曲り管
23 屈曲管

Claims (1)

  1. 構造物の基礎杭である中空既製杭内に、熱媒体流動用配管を配置することによって、前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
    開口部を有する杭頭蓋と、該杭頭蓋の前記開口部に接合されて前記熱媒体流動用配管が挿通されるガイド管と、を備え、
    前記ガイド管が、屈曲部を有する屈曲管からなり、前記杭頭蓋の開口部が、前記ガイド管における杭頭蓋側の最初の屈曲部の屈曲方向と反対側に寄せて設けられ、杭頭蓋を杭頭部に設置した状態で、開口周壁部における蓋外縁に最も近い部位が杭内壁よりも開口内側に突出しないように構成されていることを特徴とする杭頭部の構造。
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