JP4602167B2 - 杭頭部の構造 - Google Patents
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Description
熱媒配管が杭体内で損傷したり詰まったりした場合、熱媒配管を点検、補修または交換するなどメンテナンスが必要であるが、基礎コンクリート内に埋め込まれているため取り出すことができず、メンテナンスができない。
(2)現場の作業性が悪い。
一般の建築現場においては、杭頭の高さ調整や杭頭補強鉄筋の設置、基礎コンクリートの打設などの作業は土建会社が行い、熱媒配管の設置は空調設備会社が行う。ところが、上述した従来の熱媒配管の配管方法では、両者の作業を同時並行して行う必要がある。このため、現場作業が入り乱れて施工能率が低下する。また、工事中に熱媒配管を損傷するリスクが高いとともに、損傷した場合の責任が不明確になる。これらのことは、基礎杭を地中熱交換体として利用する工事では大きな問題となっている。
また、熱媒配管の取り出し口が杭の上端部となるが、この位置は基礎コンクリートの直下となり、メンテナンスのためには地盤面を掘削する必要があり、また掘削したとしても掘削地盤面と基礎コンクリートの下面に挟まれた位置となるため、メンテナンス時の作業性が極めて悪いという問題がある。
また、構造物の建設現場において、基礎コンクリート工事など基礎関連工事が終了してから熱媒配管の配管工事を行うことができる。これにより、基礎工事と熱媒配管工事が錯綜しないため、各工事を能率よく行うことができとともに、熱媒配管が工事中に損傷を受けるリスクが大幅に低減される。また、仮に損傷した場合でもその責任が明確になるという実務上有益な効果が得られる。
図1は本発明の一実施の形態に係る杭頭部の構造の説明図である。本実施の形態の杭頭部の構造は、図1に示すように、構造物の基礎杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭1の杭頭部の構造であって、中央に穴のあいた杭頭蓋3を杭頭部に設置するとともに、熱媒体流動用配管を通すための曲がり管5を、その一端を杭頭蓋3の穴に挿入し、他端は基礎コンクリート7の側面から突出させて配置したものである。以下、各構成をさらに詳細に説明する。
なお、通常杭頭周辺には杭頭補強鉄筋や基礎コンクリートの鉄筋が配置されているが、その鉄筋の配置方法にいくつかのタイプがあること、および図を見やすくする趣旨から、図1ではこれらの鉄筋を省略し、後述の図3、図4で一例を示すこととする。
中空既製杭1の種類は特に限定されるものではなく、例えば鋼管杭、コンクリート杭が挙げられる。
杭頭蓋3には鉛直力が作用するため、一般的には杭頭蓋3には鋼製の板を用いる。なお、図1では平板状の杭頭蓋3を表しているが、杭頭蓋3の形状は平板状のものに限定されず、例えば中空既製杭1の下側に向かって凹んだ球冠状のものでもよい。
また、杭頭蓋3は杭頭に溶接等で固結しても、固結しなくてもよく、固結するかしないかは杭頭蓋3の設計によって決めるとよい。
曲がり管5の基本的な機能は、熱媒配管の通り道を確保することであり、その材質は限定されない。もっとも、曲がり管5を基礎コンクリート7中に配置するので基礎コンクリート中に空洞を設けることになるため、これが構造的弱点になる恐れがある場合は、鋼材など硬い材質にするとよい。
なお、曲がり管5は現場で杭頭蓋3にその一部を挿入して設置してもよいが、あらかじめ溶接等で杭頭蓋3に固結しておくと曲がり管5の現場での設置作業が容易になるとともに、杭頭蓋3に穴を空けたことによる強度の減少を防ぐことができる。
また、曲がり管5として、市販のいわゆるベント管を用いると非常に安く入手することができ、コストを低減できる。
基礎コンクリート7は、地面8の下方に構築され、その上部には構造物の柱10または壁10が設置される。
基礎コンクリート7としては、フーチング基礎、布基礎、ベタ基礎、地中梁など各種のものが含まれる。
(1)中空既製杭1を地盤に設置した後、杭頭蓋3を杭頭部に設置する。このとき、前述したように予め曲がり管5の一端を杭頭蓋3の穴に挿入して固結している場合には杭頭蓋3と曲がり管5が同時に設置されることになる。
曲がり管5を予め杭頭蓋3に固結していない場合には、杭頭蓋3を杭頭部に設置した後、曲がり管5を設置する。
なお、図3では杭頭補強鉄筋9を杭頭外周面に溶接で固定する方式を示しているが、杭頭補強鉄筋9の配置方法はこれに限定されるものでない。また、基礎コンクリート用鉄筋11の配置についても図3に示すものに限定されるものではない。
(3)次に、基礎コンクリート用の型枠を配置して、コンクリートを打設する。
(4)さらに、熱媒配管13を、曲がり管5を通じて中空既製杭1の中空部に挿入する(図3、図4参照)。
なお、熱媒配管13の配管材料には、曲がり管の中をスムーズに通すため、ポリエチレン管などの樹脂管や蛇腹製ステンレス管など可撓性の材料を用いる。
また、基礎コンクリート工事と配管工事を完全に分離することができることから、基礎コンクリート工事中に熱媒配管を損傷する恐れもない。
中空既製杭1内の熱媒配管13は、中空既製杭1の下端部まで挿入され、下端部で折り返して再び杭頭部、曲がり管5を通って地上に出る。熱媒配管13の両端は地上に設置されたヒートポンプ15に接続されている。そして、ヒートポンプ15には空調設備へ熱媒体を流すためのパイプが配管されている。
また、中空既製杭1の中空部には水が充填されている。
また、上記の実施の形態においては、図3、図4に示すように、杭頭補強鉄筋9を設置する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、杭頭補強鉄筋を用いずに杭頭の基礎コンクリート内に埋め込む長さを長くすることで杭頭を固定する方法を適用対象から除外するものでもない。
図7は本発明の他の実施の形態に係る杭頭部の構造の説明図であり、実施の形態1を示した図1〜図5と同一または対応する部分には同一の符号を付してある。本実施の形態の杭頭部の構造は、図7に示すように、構造物の基礎杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭1の杭頭部の構造であって、中央に穴のあいた底蓋17を杭頭近くの杭中空部に配置し、熱媒体流動用配管を通すための曲がり管5を、その一端を底蓋17の穴に挿入し、他端を基礎コンクリート7の側面から突出させて配置し、底蓋17から上の杭中空部にコンクリートを中詰めしたものである。
また、基礎コンクリート工事と配管工事を完全に分離することができることから、基礎コンクリート工事中に熱媒配管を損傷する恐れもないという効果も得られる。
Claims (2)
- 構造物の基礎杭である中空既製杭内に熱媒体流動用配管を配置することにより前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
中央に穴を有する杭頭蓋を杭頭部に設置するとともに、熱媒体流動用配管を通すための曲がり管を、その一端を前記杭頭蓋の穴に挿入または穴周囲に当接させ、他端を基礎コンクリートの側面または上面から突出させて配置したことを特徴とする杭頭部の構造。 - 構造物の基礎杭である中空既製杭内に熱媒体流動用配管を配置することにより前記中空既製杭を地中熱交換体として利用する中空既製杭の杭頭部の構造であって、
中央に穴を有する底蓋を杭頭近くの杭中空部に配置し、熱媒体流動用配管を通すための曲がり管を、その一端を前記底蓋の穴に挿入しまたは穴周囲に当接させ、他端を基礎コンクリートの側面または上面から突出させて配置し、前記底蓋から上の杭中空部にコンクリートを中詰めしたことを特徴とする杭頭部の構造。
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