JP2012072188A - 脂肪親和性化合物を含む陽イオン性リポソームの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良された物理化学的安定性及び製薬学的適用可能性を有する脂肪親和性活性化合物を含有する陽イオン性リポソーム製剤の製法を提供する。
【解決手段】有機溶剤、活性化合物及び陽イオン性脂質及び場合により他の両親媒性物質を含む有機溶液と安定化剤を含む水溶液を準備し、前記溶液から陽イオン性リポソーム製剤を製造し、場合により少なくとも1回均質化及び/又は滅菌濾過し、脱水し及び場合により前記陽イオン性リポソームを水溶液中で復元する工程から成る、少なくとも約30モル%の量の陽イオン脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約69.9モル%までの量の少なくとも1種のその他の両親媒性物質、少なくとも約0.1モル%の量の脂肪親和性活性化合物及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の量の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤の製法により解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、治療用の適用に好適である高い安定性を有する、脂肪親和性活性化合物、例えばタキサンを含有する陽イオン性リポソーム製剤の製法に関する。
リポソームは、主として様々な種類の脂質、燐脂質及びその他の脂肪親和性成分から成る小さな球状小胞である。脂質成分は通常二重層を形成し、そこで両親媒性物質の極性端部が、典型的には水溶液である周囲の溶液と接触している。両親媒性物質の非極性疎水性端部はもう一つの両親媒性物質のもう一つの非極性疎水性端部と接触しており、それによって脂質二重層を形成する。使用される両親性物質の種類に応じて、リポソーム膜はその外側帯電によって純中性、負及び正の帯電膜に分類することができる。
リポソームは多くの治療及び診断用に適用するために開発されてきた。特にこれらは、水に十分には可溶性でない分子を送達するために使用される。これらの脂肪親和性分子をリポソーム二重層中に封入するか又は化学的に脂質二重層に結合させておく。
タキサン系の最も著名な代表物質であるパクリタキセルは、そのような高脂肪親和性の化合物である。パクリタキセルはポリエトキシル化ひまし油(Cremophor(登録商標)EL)及び無水エタノール中に処方された薬剤であるタキソールとしても公知である。更に、パクリタキセルはリポソーム中にも処方されている。
Taxol(登録商標)をヒトに投与する前に、治療化合物を有する薬剤キャリアを好適な水溶液中に希釈する。しかし、キャリアは動物及びヒトで深刻な生命を脅かすアナフィラキシー反応を引き起こすことが観察されており、若干の静脈注射システムと身体的に配合禁忌である。従って、耐性のより良好な賦形剤中に薬剤を再処方することによって、Cremophor(登録商標)ELを放出させる幾つかの試みが成されてきた。リポソームはここ数十年の間に臨床的に特性付けられ、安全で耐性のよいドラッグデリバリーシステムであることは公知である。リポソームは、中性又は負に帯電した極性頭部を有する天然脂質から成る。正に帯電したジアシルグリセリド脂質は天然には存在しない。
Sharmaその他[1]は、いわゆる膜法により中性のパクリタキセル−リポソームを製造した。脂質、ホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルグリセロール(PG)をパクリタキセルと一緒にクロロホルム中に溶解させた。クロロホルムを40℃で蒸発させ、パクリタキセル−脂質膜をt−ブタノール中に溶解させた。溶液をアリコートに分け、凍結乾燥した。粉末を緩衝剤(NaCl/Tes/EDTA:140mM/10mM/0.1mM)で水和し、粗リポソーム懸濁液を生成し、これを槽細胞粉砕機中で20℃で更に処理した。薬剤の化学的安定性はこれらの処方物中で4℃及び室温で2ヶ月より長いと判明した。pHはpH7〜7.5の生理的範囲であると明記されている。
US特許6090955でReznkaその他は、膜法による卵ホスファチジルコリンからの中性パクリタキセルリポソームの製法を記載した。多層小胞(MLV)から成るpH7.2〜7.4の粗リポソーム懸濁液を高圧ホモジェナイザーで均質化した。より長い保存のためにゲル生成又は凍結乾燥が指示されている。しかしながら安定性に関するデータはなく、例えばパクリタキセルの化学的安定性は示されていなかった。
最近、陽イオン性リポソームはリポソームキャリアシステムのもう一つの方法であるというだけでなく、血管の新血管形成分野に対する特異的な標的作用も有することが報告された[2]。陽イオン性リポソームは、最近遺伝子デリバリー用にしばしば使用されているが、中性又は陰イオンリポソームに比してその他の化合物用のそれらの処方特性に関しては僅かしか知られていない。
Campbellその他[3]は、パクリタキセルリポソームを種々の含量の陽イオン性脂質と一緒に処方し、パクリタキセル含有リポソームの物理的安定性の増加を見出した。リポソームは膜法により製造した。膜を水で水和し、これを使用した各々の燐脂質の相転移温度より5〜10℃上の温度に加熱した。次いでリポソーム懸濁液を槽型の細胞粉砕機で細胞粉砕した。生成したリポソームの直径は500〜800nmの範囲であった。これらのリポソームの物理的安定性は最大3日であったと記載されている。これらリポソームが保存された条件、例えば温度及びpHは明記されていなかった。しかし、医薬処方物に関して数日の安定性は臨床目的用に使用する場合に不十分である。
もう一つの種類の高脂肪親和性分子は、エポシロン、特にエポシロンA及びBである。両方の化合物に関して、低いpHにおける安定性欠如が記載されており、これはエポキシド基の酸触媒開環反応に起因する。これによりその特殊な細胞毒性特性を失った反応生成物が生じる[9]。エポシロンA及びBの明らかな不安定性のためにエポシロンA又はBの経口処方物の開発はできない。それは胃pHが約1〜3であり、細胞毒性抑制性エポシロンA又はBを急速に分解するであろうからである[10]。
特にエポシロンBの血漿半減期は、エステラーゼ媒介のその代謝分解によって非常に低いと報告されている[11、12]。これはその他のエポシロンにもあてはまる;ネズミ血漿中で、デソキシ−エポシロンB(エポシロンD)の試験管内近似半減期は20分間と判明し、ヒト血漿中では半減期は約3時間であった[13]。これにより腫瘍の連続的な高濃度薬剤暴露が不可能となり、エポシロンA及びBの不十分な生体内抗腫瘍活性はそれらの劣悪な代謝安定性によるものであった[12]。
エポシロンA又はBのリポソーム組成物が記載されている[WO01/10412A1]。ここで、これらのエポシロンの一般的な不安定さが言及されており、これはリポソーム負荷の根本的原則であるとしている。しかし、リポソームのエポシロンの安定性が非リポソームのエポシロンの安定性に比して増強されることを裏付けるデータは提示されてない。
リポソームの製造用の大部分の製造工程は、水性環境中で行われる(小胞の生成、均質化及び/又は不所望な成分の除去、凍結乾燥処方物の復元)。これらの工程の間、リポソーム成分並びにリポソーム膜中へ負荷される活性成分は分解する傾向がある。
リポソーム含有薬剤の物理化学的安定性は、製造後の保存、分布及びヒトへの適用のために十分な有効期間を有する製剤の開発用の制限因子である。
薬剤負荷リポソームの物理化学的安定性を増す方法の一つは、リポソーム懸濁液から量的に水を除去することである。リポソームからの水の除去に成功した方法は、凍結乾燥、噴霧乾燥又は蒸発である。例えば、リポソーム懸濁液は、両親媒性化合物を水性環境中に分散させることによって製造する。水性原薬材料の製造直後に、懸濁液を好適な方法により脱水し、適用するまで乾燥状態で保存する。乾燥工程の間、リポソーム構造を維持するために安定化剤を使用するができる。通常極性リポソーム表面と結合している水を、乾燥中に安定化剤により置き換えて、リポソームの物理化学特性を保持する。薬剤は負荷された状態を保つか又はリポソーム膜中/又は膜と強力に結合した状態を保つ。化合物の放出は良好にコントロールされる。最適な場合には、リポソームの大きさ及び大きさの分布は、方法又は負荷された化合物により影響されず、脂質は化学的に無傷のままである。しかし、脂肪親和性活性化合物から成る陽イオン性リポソーム製剤の脱水はまだ開示されてなかった。
US特許6090955号明細書
Shrama.A and R.M. Straubinger, Novel Taxol Formulation Preparation and Characterization of Taxol -Containing Liposomes. Pharmaceutical Research, 1994. 11(6): p.889-896. Thurston, G.,et al., Cationic liposomes target angiogenic endothelial cells in tumors and chronic inflammation in mice. J Clin Invest, 1998. 101(7):p.1401-13. Campbell, R. B., S. V. Balasubramanian, and R.M. Straubinger, Influence of cationic lipids on the stability and memnrane properties of paclitaxel-contaning liposomes. J Pahrm Sci, 2001. 90(8): p.1091-105. Dordunoo, S. and H.M. Burt, Solubility and Stability of taxol: effects of buffers and cyclodextrins. International Journal of Pharmaceutics, 1996. 133: p.191-201. Vernooij, E., et al., Chemical hydrolysis of DOTAP and DOPE in a liposomal enviroment. Journal of Controlled Release, 2002. 79(1-3): p.299-303. Sharma, A. E. Mayhew, and R.M. Straubinger, Antitumor effect of taxol-containing liposomes in a taxol-resistant murine tumor model. Cancer Res, 1993.53(24):p.5877-81. Grit, M., Crommelin, D.J.A., Chemical stability of liposomes: impluxatins for their physical stability. Chemistry and Physics of Lipids, 1993. 64:p.3-18. N.J. Zuidam, D.J.A Crommelin, Chemical Hydrolysis of Phospholipids. Journal of Pharmaceutical Sciences, 1995. 84:p.1113-1119.
従って本発明の根底を成す課題は、改良された物理化学的安定性及び製薬学的適用可能性を有する脂肪親和性活性化合物から成る陽イオン性リポソーム製剤の改良された製法を提供することであった。
この課題は、少なくとも約30モル%の量の陽イオン脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約69.9モル%までの量の少なくとも1種のその他の両親媒性物質、少なくとも約0.1モル%の量の脂肪親和性活性化合物及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の量の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤の製法の提供により解決されるが、これは、(a)i.有機溶剤、前記活性化合物及び前記陽イオン性脂質及び場合によりその他の両親媒性物質を含む有機溶液、ii.前記安定化剤を含む水溶液を準備し、(b)前記溶液(a)i.及び(a)ii.から陽イオン性リポソーム製剤を製造し、その際前記製剤は水性媒体中の陽イオン性リポソームを含み、(c)場合により前記製剤を少なくとも1回均質化し及び/又は(d)場合により前記製剤を滅菌濾過し、(e)前記製剤を脱水し及び(f)場合により工程(e)の前記陽イオン性リポソームを水溶液中で復元し、その際、場合により工程(c)及び/又は(d)の前に限外濾過工程が含まれている工程を含む。
工程(a)i.で使用される有利な溶剤は、これらの例に限定するのもではないが、下記の群から選択する:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、t−ブタノール又はジエチルエーテル又はこれら溶剤の混合物。
任意の薬理学的活性脂肪親和性化合物を本発明の陽イオン性リポソームに負荷することができる。有利には、活性化合物は治療又は診断に好適な脂肪親和性化合物、例えば脂肪増殖抑制剤又は細胞毒性剤又はイメージング剤、例えば染料、蛍光染料等。有利な治療活性化合物は、タキサン、ラクトン形のカンプトテシン、微小管と相互作用するその他の薬剤、例えばエポシロン、discodermolide、laulimalide、isolaulimalide、eleutherobin、SarcodictyinA及びB、スタチン(例えばロバスタチン)、デプシペプチド、その他の薬剤、例えばタリドミドから選択する。有利な診断活性化合物は、(i)多沃化トリグリセリド(例えば、2−オレオイルグリセロール−1,3−ビス[7−(3−アミノ−2,4,6−トリヨードフェニル)ヘプタノエート)又は多沃化油、例えばリピオドール、(ii)99mTc−HMPAO(ヘキサメチル プロピレンアミン ジオキシム)及びその誘導体、(iii)蛍光化合物、例えばローダミン、(iv)脂質塗布フェライト粒子、(v)MRI用の脂質結合造影剤(例えばGdキレーター、例えば脂質又は脂肪酸と結合したDOTA又はDTPA)、(vi)X線用の脂質結合造影剤(例えば脂質結合lopamidol)、(vii)脂質結合キレーター、例えばシンチグラフィーで有用な核種用のHYNIC又はDTPA、例えば111In又は99mTc又は(viii)脂質結合蛍光染料、例えばローダミン又はテキサスレッドから選択する。
有利な態様では、リポソーム製剤は、約1〜20モル%の量のタキサン、有利にはパクリタキセル又はドセタキセル又はその脂肪親和性誘導体を含むが、有利には約2〜約5モル%の量のパクリタキセル及びドセタキセル又はスクシニル−パクリタキセルに関しては、有利には少なくとも11モル%の量である。更に有利な態様では、前記リポソーム製剤は、約0.1モル%〜約1モル%の量のカンプトテシンラクトンを含む。
本発明に関して有用な陽イオン性脂質は、限定するのではないが、下記のものを含む:DDAB、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド;N−[1−(2,3−ジオロイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェート;1,2−ジアシルオキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパン、(限定するものではないが、ジオレオイル(DOTAP)、ジラウロイルオキシ、ジミリストイルオキシ、ジパルミトイルオキシ及びジステアロイルオキシを含む);N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチルアミン;1,2−ジアシル−3−ジメチルアンモニウムプロパン、(限定するものではないが、ジオレオイル(DODAP)、ジラウロイル、ジミリストイル、ジパルミトイル及びジステアロイルを含む);DOTMA、N−[1−[2,3−ビス(オレイルオキシ)]プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、(限定するものではないが、ジオレイル(DOTMA)、ジラウリル、ジミリスチル、ジパルミチル及びジステアリルを含む);DOGS、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン;DC−コレステロール、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール;DOSPA、2,3−ジオレオイルオキシ−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−エチル)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート;1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(限定するものではないが、ジオレオイル(DOEPC)、ジラウロイル、ジミリストイル、ジパルミトイル及びジステアロイル及びパルミトイル−オレオイルを含む);β−アラニルコレステロール;CTAB、セチルトリメチルアンモニウムブロミド;diC14−アミジン、N−t−ブチル−N’−テトラデシル−3−テトラデシルアミノプロピオンアミジン;14Dea2;TMAG、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジドデシル−D−グルタメートクロリド;O,O’−ジテトラデカノイル−N−(トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド;DOSPER、1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド;N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジオレオイルオキシ−1,4−ブタンジアンモニウムヨージド;1−[2−(アシルオキシ)エチル]2−アルキル(アルケニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド、Solodinその他(1995)Biochem.43:13537〜13544により記載されたような誘導体、例えばDOTIM、1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド;DPTIM、1−[2−(ヘキサデカノイルオキシ)エチル]−2−ペンタデシル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド;例えば、Felgnerその他(1994)J.Biol.Chem.269:2550〜2561に記載されているような第四アミンにヒドロキシアルキル基を含む2,3−ジアルキルオキシオプロピル第四アンモニウム化合物誘導体、例えば:DORI、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド;DORIE、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド;DORIE−HP、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド;DORIE−HB、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド;DORIE−HPe、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシペンチルアンモニウムブロミド;DMRIE、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド;DPRIE、1,2−ジパルミチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド;DSRIE、1,2−ジステアリルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド。
有利な態様では、陽イオン性脂質は第四アンモニウム化合物、例えばN−[1−(2,3−ジアシルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムから選択するが、これは製薬学的に認容性のカウンターアニオン、例えば塩素、臭素、弗素、沃素、ニトレート、スルフェート、メチルスルフェート、ホスフェート、アセテート、ベンゾエート、シトレートとの塩として存在してよい。更に有利な態様では、陽イオン性脂質はDOTAPである。
更に両親媒性物質は、脂肪親和性基(頭部)の中性又は陰イオン性実効電荷を有する両親媒性物質から選択してよい。好適な両親媒性物質は、ステロール又は脂質、例えば燐脂質、リゾ脂質、リゾ燐脂質、スフィンゴ脂質又はPEG脂質又はその任意の組合せから選択することができる。有利な両親媒性物質は、中性の脂質、ステロール、PED脂質、例えばコレステロール、ラノステロール、フィトステロール、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(限定するものではないがジオレオイル(DOPE)、1,2−ジアシル−グリセロ−3−ホスホコリン、スフィンゴミエリンを含む)から選択することができる。最も有利な両親媒性物質は更に、ジアシルホスファチジルコリンである。PEG脂質は、1個以上のポリエチレングリコール基を有する脂質である。
本発明の工程(a)ii)による好適な水溶液は、水、場合により緩衝物質及び安定化剤から成り、pH値約3〜7、有利には約4〜約6.5を有する。好適な緩衝物質は例えば酢酸、クエン酸、Tris、Bis、燐酸、乳酸等から選択する。
安定化剤は有利には糖又はアルコール又はその組合せ、例えばトレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、ラクトース、デキストラン、マンニトール又はソルビトールから選択され、約20%(m/v)までの範囲で使用される。有利には安定化剤は、工程(b)で更にリポソーム分散液の全容量に対して約0.1(m/v)〜約20%(m/v)の範囲で、最も有利には約5(m/v)〜約15%(m/v)の範囲で使用する。
工程(b)によるリポソーム分散液の製法は、当業者に公知の幾つかの方法により行うことができる。本発明の有利な態様では、膜法を実施し、更に有利な態様では有機溶剤注入法を実施する。
膜法によれば、陽イオン性脂質及び場合により両親媒性物質及び脂肪親和性化合物を有機溶剤又はアルコール(例えばエタノール又はt−ブタノール)、ハロゲン化溶剤(例えばジクロロメタン又はクロロホルム)又はその他の好適な有機溶剤から選択した異なる有機溶剤の混合物中に溶解させる。前記化合物を有機溶剤中に溶解後、混合物の有機溶剤又は異なる有機溶剤を真空下で蒸発させて薄い膜を製造する。陽イオン性脂質、場合により両親媒性物質及び脂肪親和性化合物を含有する有機溶液から薄い膜を製造する代わりに、凍結乾燥又はその他の好適な方法により乾燥させて、均質な薬剤−脂質混合物を得てもよい。安定化剤から成る水溶液を加えて、脂質膜又は乾燥脂質混合物を再水和して多層小胞(MLV)の均質な分散液を生成する。
有機溶剤注入は、陽イオン脂質及び場合により両親媒性物質及び脂肪親和性化合物を水と混合可能な揮発性溶剤、例えばアルコール又はエーテル、有利にはエタノール中に溶解させ、この溶液を安定化剤から成る水溶液中に注入することによって行う。いわゆる有機相は陽イオン脂質及び場合により両親媒性物質及び脂肪親和性化合物及び有機溶剤から成り、その際、有機相は最終液体混合物中で約5%(m/v)、有利には少なくとも2.5%(m/v)を超えてはならない。
本発明の陽イオン性リポソームは、約30モル%、有利には約40モル%、更に有利には約50モル%、更により有利には約60モル%、約70モル%、約80モル%又は約99.9モル%までの陽イオン性脂質から成り、約0.05M KCl溶液中で約pH7.5で室温で正のゼータポテンシャルを有することを特徴とする。
リポソームの大きさの調整は、当業界では音波処理により行うことが多い。しかし、本発明の方法では工程(c)の均質化は有利には、押出、膜濾過器による濾過、高圧均質化及び/又は高速均質化により行うが、孔の大きさ約200nmの膜を用いて圧下で押出により行うのが特に有利である。当業者に公知であるその他の孔の大きさ、例えば50nm、100nm、150nm、400nmの膜を使用することもできる。膜濾過器を用いる濾過は、PVDF、PES、ナイロン−フィルターから成る膜を用いる濾過により行うことができるが、その他の材料も好適であると判明すれば使用することができる。膜の孔の大きさは約200nm〜450nmの範囲であるが、孔の大きさは前記の大きさに限定されるものではない。滅菌等級濾過(sterilizing grade filtration)により処理可能な溶液を得るように、異なる材料及び異なる孔の大きさを組み合わせることができる。
薬剤使用のためには、それを使用する患者で腸管外に使用することを目的とする場合が多いので、リポソーム処方物は製造工程後に滅菌等級濾過器により滅菌することができることが必要不可欠である。リポソームを滅菌するための方法は、微生物は破壊すべきであるが、リポソーム処方物の物理化学的特性に不利な影響を与えてはならない。製剤を滅菌するための有利な方法は、例えば134℃で最低5分間又は121℃で最低15分間オートクレーブで処理することである。これらの厳しい条件下でリポソームは、例えばリポソームの凝集、リポソームの大きさ又は大きさの分布の変化、脂質の加水分解/酸化、リポソームからの脂肪親和性化合物の化学的分解又は不所望な放出として、屡々相当な分解変化を示す。従って、滅菌濾過及び防腐剤充填は腸管外適用用のリポソーム製剤を得るための有利な方法である。例えば滅菌濾過は、0.1〜0.45μmの範囲の孔の大きさを有する膜を用いて1回又は繰り返し行う。定義された孔の直径を有する2〜数個の濾過器を連続して接続して、滅菌等級濾過を行うこともできる。通常使用される材料は、セルロース誘導体、例えば酢酸セルロース又はポリビニル膜、例えばPVDF、PES又はナイロンであるが、好適であると判定された場合にはその他の材料を使用することもできる。
濾過工程は、リポソーム製剤から不所望な化合物、例えば製造工程で使用された試薬又は溶剤又はリポソーム負荷されてない脂肪親和性化合物を除去するためにも使用することができる。濾過器の孔の大きさは有利にはリポソーム直径(例えば>60nm)と除去すべき化合物(例えば<5nm)の間であるのが有利である。大きさの差異に応じて限外濾過(1〜1000kDa分子量遮断)又は精密濾過(0.02〜1μm)を使用することができる。全量濾過の代わりに更に便利な方法、例えば透析又はクロスフロー濾過が開発された。
滅菌リポソーム製剤を無菌法で適切なバイヤル瓶、例えばガラス瓶に充填することができる。ガラス瓶の充填高さは。有利には0.5〜10cmの範囲、更に有利には1.0〜5cmの範囲、最も有利には2.0〜3.0cmの範囲である。薬剤等級ガラス瓶は1ml〜1000mlの大きさであってよい。水溶液中のリポソーム分散液を滅菌プラスチック容器又は袋に充填することもできる。
工程(d)後に脱水(工程(e))を行う。処方物を脱水し、水溶液、例えば水又はpH安定化剤の溶液を用いて使用する前に復元する。脱水工程は、乾燥リポソーム製剤及び更に復元したリポソーム分散液の品質に直接影響を与えるので、陽イオン性リポソームの製法で重要な工程である。脱水は凍結乾燥により行うことができるが、これは、正確に定義された温度/時間/圧力傾斜により接続されている3個の異なる工程、(i)凍結、(ii)一次乾燥及び(iii)二次乾燥に分けられる。
リポソーム分散液の凍結は重要な工程である。氷結晶の生成は凍結速度に強力に左右され、凍結リポソーム分散液の異なる孔の大きさを生じることが公知である。下記乾燥工程の乾燥速度は、主として凍結間の孔の大きさに影響される。
一次乾燥の間に水を真空下で凍結分散液から除去する。凍結乾燥中の棚の温度並びに適応した真空が乾燥工程を強力にコントロールする。不適切な温度及び圧力の選択により、凍結乾燥中に種々の問題、例えば凍結分散液の解凍又は脂質の相転移が起こりうる。
二次乾燥中でも、生成物の溶解が起こる可能性がある。二次乾燥の時間並びに二次乾燥の温度及び圧力は、パラメーターが適切な範囲内にない場合には、リポソーム製剤の品質に強力な影響を与えうる。リポソーム製剤の品質は、負荷化合物が十分な物理的又は化学的安定性を欠くか又は凝集又は結晶生成によって、影響されうる。
本発明の有利な態様では、脱水を凍結乾燥により行う。凍結は有利には大気圧で行い、リポソーム懸濁液を約−20〜約−60℃の温度に、更に有利には約−30℃〜約−50℃の温度及び最も有利には約−35℃〜約−45℃の温度に凍結する。時間はリポソーム分散液が確実に完全に凍結するように調整するが、リポソーム分散液が入れられるガラス容器の大きさ、充填高さ及び種類に応じて有利には約3〜約10時間である。
凍結及び一次乾燥工程に第1温度傾斜が接続している。温度増分は凍結と一時乾燥の間の温度差により決められる。温度傾斜の時間は有利には約0.1〜約24時間、更に有利には約3〜約5時間である。
一次乾燥は一定温度で行ってもよいし又は温度傾斜を使用してもよい。一定温度を用いる乾燥は有利には約0℃〜約−50℃の間の温度、更に有利には約−10℃〜約−30℃の間の温度で行う。生成物の乾燥を確実にするために適切な真空を適用する。真空は、棚の温度に応じて約1ミリバール〜約0.001ミリバール、最も有利には約0.05〜約0.15ミルバールである。一次乾燥工程用の適切な真空を選択するために処方物の位相図を考慮に入れるべきである。一次乾燥用の時間はリポソーム製剤の十分な乾燥を確実に達成するために十分なものであるべきであり、凍結乾燥機に応じて約10時間から約200時間の範囲である。
一次乾燥は、温度傾斜を用いて行うこともできる。温度は一次乾燥の間徐々に増加させる。温度の増加は有利には約0.1〜約10K/時の範囲である。温度は一次乾燥の開始時又は終了時に増加させることができる。一次乾燥の終了を決めるために圧力上昇試験を適用することができる。
一次乾燥及び二次乾燥は第2温度傾斜により接続されている。温度増分は一次乾燥終了時の温度と二次乾燥開始時の温度との差により決まる。温度傾斜の時間は有利には約0.5〜約24時間の範囲、更に有利には約3〜約5時間の範囲である。
二次乾燥は一定温度又は温度傾斜で行うことができる。一定温度を用いる乾燥は約0℃〜約50℃の間、有利には約10℃〜約20℃の間、更に有利には約20℃で行う。生成物の乾燥を確実にするために適切な真空を適用する。真空は、約1ミリバール〜約0.001ミリバール、有利には約0.1〜約0.001ミルバールである。二次乾燥用の時間はリポソーム製剤の十分な乾燥を確実にするために十分であるべきであり、約1時間から約50時間の範囲である。二次乾燥の終了を決めるために圧力上昇試験を適用することができる。
脱水されたリポソーム製剤の復元挙動、例えばその復元性、リポソーム膜からの活性化合物の放出又は化合物の物理化学的特性、例えば分解などは、脱水により左右されるが、復元工程にも左右される。最適復元挙動は、水溶液添加後に均質なリポソーム分散液を生成する場合に現れる。例えば水溶液を添加し、次いで静かに攪拌するような簡単な復元プロトコルが有利である。復元の間に、乾燥リポソームは水で再懸濁されるが、その際リポソーム膜中の脂肪親和性化合物の物理化学的安定性は損なわれない。復元挙動は、例えば肉眼による評価、顕微鏡又は光遮断法により調べることができる。
本発明の方法により、約0.05M KCl溶液中で約pH7.5で室温で正のゼータポテンシャル、有利には約0.05M KCl溶液中で約pH7.5で室温で約25mV〜100mVの範囲のゼータポテンシャル、更に有利には約0.05M KCl溶液中で約pH7.5で室温で約35mV〜70mVの範囲のゼータポテンシャルを有する陽イオン性リポソームを製造することができる。
更に本発明による陽イオン性リポソーム製剤のPl値は約0.6より下、有利には約0.5より下、更に有利には約0.4より下、最も有利には約0.3より下である。
本発明の方法により製造した陽イオン性リポソーム及び本発明で開示した陽イオン性リポソームは、約20〜約400nm、有利には約100〜約400nm及び更に有利には約200〜約300nmの範囲の直径を有する。
本発明の特徴は、脂肪親和性活性化合物が実質的にリポソーム二重層からの部分ではなく、本発明のリポソーム分散液中で室温で少なくとも0.5時間、通常は少なくとも1時間、有利には少なくとも約2時間、更に有利には少なくとも約3時間及び最も有利には少なくとも約4時間凝集体を形成しないことである。脂肪親和性活性化合物が実質的にリポソーム二重層からの部分ではない陽イオン性リポソームは、陽イオン性リポソーム中に負荷された全脂肪親和性活性化合物の一般的には約20%未満、通常約10%未満、約5%未満、例えば約1%未満及び有利には約0.5%未満しかリポソーム二重層からの分割ではないものである。
更に、本発明は、脂肪親和性化合物の十分な化学的安定性を特徴とする。
他に記載のない限り、本明細書で使用の技術及び化学用語は全て、本発明が属す当業界の専門家の間で通常解されていると同じものを表す。
量の値に関して"約"とは、表示値を基に最高+/−20%、有利には+/−10%の平均偏差に関する。例えば陽イオン性脂質約30モル%の量とは、全脂質/両親媒性基に関して陽イオン性脂質30モル%+/−6モル%、有利には30モル%+/−3モル%である。
"両親媒性物質"とは、水溶性(親水性)及び有機溶剤可溶性(脂肪親和性)基から成る分子である。本発明の好適な両親媒性物質は、親水性基(頭部)の正味荷電に関して陽イオン性、中性又は陰イオン性であってよい。陽イオン性両親媒性物質は正の正味荷電を有し、中性の両親媒性物質は中性の正味荷電を有し、陰イオン性両親媒性物質は陰イオン正味荷電を有する。本発明に使用されるような両親媒性物質は、ステロール、例えばコレステロール、フィトステロール又はラノステロール又は脂質、例えばリゾ燐脂質、スフィンゴ脂質又はPEG脂質、例えば1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、(限定するものではないが下記を含む)ジオレイル(DOPE)、1,2−ジアシル−グリセロ−3−ホスホコリン、スフィンゴミエリンから選択する。PEG脂質とは、1個以上のポリエチレングリコール基を有する脂質である。
"水溶液"とは、水及び場合により水中に完全に溶解する少なくとも1種の好適な添加物から成る全ての溶液である。このような添加物は緩衝剤又はその個々の成分、糖、アルコール、安定化剤であってよい。
"カンプトテシン"とは、任意のカンプトテシン又はその誘導体である。カンプトテシン誘導体は、カンプトテシンの化学的誘導から得られる。分子略図で、最も多い誘導部位をR〜Rとして表す。表中、異なる部位における誘導の代表例を列記する。これらの例の全ての組合せ及びその他の全ての誘導を実施することができる。化合物は塩酸塩として存在することができる。ラクトン環は6員の代わりに7員であってよい。
Figure 2012072188
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"陽イオン性脂質"とは、測定時に使用される装置により測定可能な正の電荷(生理的pHで)を有する両親媒性物質である。陽イオン性脂質に脂肪酸又はアルキル鎖が存在する場合には、長さに炭素12〜24個を有し、6個までの不飽和(二重結合)を含有し、アシル又はエーテル結合によりバックボーンと結合していてよく;1個の脂肪酸又はアルキル鎖だけがバックボーンと結合していてもよい。1個以上の脂肪酸又はアルキル鎖がバックボーンと結合している場合には、脂肪酸が異なるものであってよい(不斉)。混合処方物も可能である。
"陽イオン性リポソーム"は陽イオン性脂質それ自体から又はその他の両親媒性物質、例えばステロール又は脂質、例えばコレステロール、燐脂質、リゾ脂質、リゾ燐脂質、スフィンゴ脂質又はPEG脂質(負又は中性正味荷電を有する)、特に中性脂質、例えばコレステロール;1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(限定するものではないがジオレイル(DOPE)を含む);1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;天然卵黄又は大豆ホスファチジルコリン(PC)等;合成モノ−及びジアシル−ホスホエタノールアミンとの混合物で製造することができる。不斉脂肪酸、合成及び天然の両方の及び混合処方物も前記ジアシル誘導体用に含まれる。
"陽イオン性リポソーム製剤又は処方物"とは、脱水したリポソーム製剤又は処方物又はリポソーム分散液である。
脂肪親和性化合物の"化学的安定性"とは、その元の化学構造の有意な変化に関し、約5%、有利には約2%の最初の分析値(元の化合物)からの有効変化又は毒物学的限界及び安全面に関して認容基準を超える特異的分解生成物出現として定義される。脂肪親和性化合物、例えばパクリタキセル化学的安定性は、HPLC/LCMS/MSにより定義され、例えば前記化合物の分解生成物が5%より少ないことを意味する。パクリタキセルの代表的な分解生成物は、例えばバッカチンIII、7−エピ−タキソール等である(Monography of Paclitaxel、USP26、[Jan.−Mar.2003]、USPC、Inc.)。
"リポソーム中に負荷された化合物"又は"リポソーム負荷化合物"又は"リポソーム化合物"は同意語として使用され、リポソームの脂質二重層に統合されているか又はリポソーム製剤のリポソームの脂質二重層と結合している化合物である。
両親媒性又は脂肪親和性化合物のxモル%の"濃度"とは、全脂質濃度のこの化合物のモル分率である。水溶性化合物の濃度は、全製剤の%(m/m)又は%(m/v)で表される。
"脂肪親和性化合物"とは、リポソーム膜の脂肪親和性部とのその有利な相互作用を特徴とする化合物である。リポソーム製剤中で脂肪親和性化合物は主として膜中に組み込まれている(包埋)か又は強力に結合している。極性水溶性化合物の場合がそうであるように、非リポソーム環境には有意な量は存在しない。
"リポソーム分散液"とは、水溶液内のリポソームである。用語リポソーム懸濁液も、他に記載のない限り"リポソーム分散液"と同じ意味で使用される。
"リポソーム"とは、実験室又は製造施設で人工的に製造された顕微鏡的に微細な球形膜封入小胞(直径50〜2000nm)である。用語"リポソーム"には、脂質二重層に封入された全ての区画が含まれる。リポソームは脂質小胞とも称する。リポソームを生成するために、脂質分子は細長い非極性(疎水性)部分及び極性(親水性)部分から成る。分子の疎水性及び親水性部分は有利には細長い分子構造の二つの端部に位置している。このような脂質が水中に分散されると、これらは自発的にラメラと称される二重層膜を形成する。ラメラは、相互に向かい合ったそれらの非極性(疎水性)表面及び水性媒体と向かい合っているそれらの極性(親水性)表面を有する脂肪分子の2つの単層シートから成る。脂質により生成された膜は、細胞内容物を封入する細胞膜と同様な方法で少量の水相を封入している。従ってリポソームの二重層は、細胞膜中に存在するタンパク質なしの細胞膜と同じである。本発明で使用されるように、用語リポソームは多層膜リポソームを含み、これは通常1〜10μmの範囲の直径を有し、2〜数百個の水相の層と交互の同心性脂質二重膜から成り、単一脂肪層から成り、通常約20〜約400nm、有利には約100〜約400nm、更に有利には約200〜約300nmの範囲の直径を有する単層小胞も含む。小胞は、多層リポソームを圧力下で特定の大きさの孔を有する膜を通して押出すか又は高圧均質化により製造することができる。好適なその他の均質化法は当業者に公知である。
リポソーム中に負荷される脂肪親和性化合物の"物理的安定性"は、化合物の物理状態に関する。リポソーム外の凝集体(例えば化合物の結晶)が最も一般的な化合物の物理的に不安定形である。タキサンの場合には、凝集体はタキサンの針状物の生成により認識さできる。タキサンの結晶化は液体リポソーム処方物の肉眼による検査、光学顕微鏡又は光遮断法又は動的光散乱によって調べることができる。リポソーム分散液の物理的安定性は、例えばリポソームの大きさ及び大きさの分布又は1μmより大きな粒子の存在のような特性にも関する。特に脂肪親和性化合物のリポソーム処方物の製造中には。リポソーム特性は維持すべきである。
"物理化学的安定性"は、化学的及び物理的安定性の組合せに関する。
"PI値"は、例えばMalvern Zetasizer1000又は3000を用いて、動的光散乱法により測定したリポソーム分散液中の粒度分布に関する多分散系指数(Polydispersity Index)である。
"安定化剤"とは、製造中に化合物負荷リポソームを安定化して、脂肪親和性化合物及びリポソーム処方物の物理化学的安定性を維持する薬剤である。凍結乾燥製剤用には例えば凍結防止剤を製造中に安定化剤として使用する。
"タキサン"とは、微小管作用機序を有し、特異なタキサン環構造及び細胞毒性活性に必要な立体特異性側鎖を有する種類の抗悪性腫瘍薬である。タキサンは更に、親水性誘導体及び疎水性誘導体の両方を含む種々の公知タキサン誘導体である。タキサン誘導体は、これらに限定するものではないが、国際特許出願No.WO99/18113に記載されているガラクトース及びマンノース誘導体;WO99/14209に記載されているピペラジノ及びその他の誘導体;WO99/09021、WO98/22451及びUS特許No.5869680に記載されているタキサン誘導体;WO98/28288に記載されている6−チオ誘導体;US特許No.5821263に記載されているスルフェンアミド誘導体及びUS特許No.545869に記載されているパクリタキセル誘導体を含む。
"全脂質濃度"とは、両親媒性物質及び脂肪親和性化合物の合計の濃度である。
"ゼータポテンシャル"とは、指定条件下でレーザードップラー顕微鏡電気泳動法を使用してZetasizer3000のような装置で測定した例えばコロイド状粒子のような粒子の表面電位である。ゼータポテンシャルは、塊状溶液と流体動力剪断又は拡散層の間の境界の電位を示す。
当業界で開示された方法とは対照的に、本発明の製造工程(a)から(d)及び復元工程(f)の間の負荷された活性化合物の安定性は、有利には更に下記方法により調整される:−水相中の(低い)pH調整、−(低い)温度調整、−製造及び/又は適用の(高い)速度調整。
本発明の方法により、リポソームが水性環境中にある間負荷された活性化合物を物理的及び化学的に安定化することができる。
前記したような当業界で開示された方法ではリポソームの処理の生産規模での制限は、市販製造用に必要な要求を満たすために部分的に又は一般的にグレードアップ力に欠ける。本発明の方法により、脂肪親和性活性化合物から成る物理化学的に安定な陽イオン性リポソームの大規模製造が初めて開示された。
本発明の陽イオン性リポソームの製造、無菌充填及び凍結乾燥機への輸送は4〜18時間を要する。その後、リポソームを例えば、含水量約0.1〜約2.5%、有利には約0.5〜約1%を有する凍結乾燥粉末として保存する。適用前に凍結乾燥した粉末を復元する必要があり、これはリポソームを水溶液又は水中に再懸濁することを意味し、これによって、リポソーム処方物及び負荷された脂肪親和性化合物の物理化学的不安定性が引き起こされる恐れがあることを意味する。従って、使用中の安定性は復元、病棟への輸送及び患者への適用前の時間(これは典型的には数時間)をカバーすべきであり、最低8時間、理想的には24時間をカバーすべきである。従って水性リポソーム製剤を取り扱う期間の最低時間は冷蔵庫温度(2〜8℃)で24時間であり、更に室温で4時間である。
本発明により、活性化合物から成る陽イオン性リポソームの化学的安定性が記載時間枠で保証される方法が提供される。
従って、本発明の方法の有利な態様では、前記活性化合物から成る前記リポソーム製剤は、(b)から(d)又は(f)の任意の工程で約2℃〜約8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間物理的及び化学的に安定である。
本発明で物理的及び化学的安定性は、陽イオン性リポソーム並びに活性化合物に関する。活性化合物の物理化学的安定性は、リポソーム製剤の陽イオン性リポソーム中に負荷される脂肪親和性化合物に関する。負荷されるとは、化合物がリポソームの脂質二重層中に組み込まれ/包埋され及び/又はリポソームと内部及び/又は外部で結合されうることを意味する。
負荷された化合物に関して物理的に安定とは、例えば化合物の凝集生成物が実質的に全く検出されないことを意味する。物理的不安定性は、非可視粒子の測定(例えば光遮断法により)、光学顕微鏡及び動的光散乱(DLS)により検出可能である。化学的安定性は、分解生成物が化合物の全量の約5%より下であることを意味する。分解生成物の検出は例えばHPLCにより行うことができる。
安定性の見地とは別に、医薬調剤形のpHはその適用法により決まる。通常静脈内適用(注射、注入)用には、生理的pHの溶液が有利である。従ってパクリタキセルリポソーム製造用に通常pH7.0〜7.5の範囲の緩衝剤無添加水溶液又は生理的緩衝剤を使用する。陽イオン性リポソーム中へのパクリタキセル負荷に関する開示はどれもリポソームパクリタキセルの化学的安定性を考慮してない。従ってpHは患者で医薬処方物の最大の耐性を考慮して選択するが、これは生理的pHである。
陽イオン性リポソーム中のパクリタキセルに関して公開された最新の論文による安定性問題(例えば温度及びpH、[3]参照)への知識のなさは、前記したように製造工程が高い温度で行われるということによって露呈している。
科学文献から、水性緩衝剤中のパクリタキセルが3〜5の範囲の酸性pHで最も安定であることは公知である。もちろん、負の帯電又は中性のリポソームを用いて処方されたパクリタキセルに関して公表されたデータは正の帯電リポソームでの発見とは有意に異なる。Sharma及びStraubinger[1]は中性及び陰イオン性リポソームに関して4℃及び室温で3ヶ月より多い化学的安定性を報告した。他方では、出願者によって陽イオン性処方物中の分解が数時間又は数日の時間規模で起こりうることが見出された。これは、化合物負荷リポソーム膜が高度に複雑な系であり、個々の成分間の相互作用がパクリタキセル負荷リポソームの物理化学的安定性にとって決定的に重要であることを示す。
実験から、リポソーム中の(ホスホエステル)脂質の化学的安定性は環境のpHに左右されることが示される(例えば[5]、[7]、[8])。大抵の中性及び陰イオン性リポソームは約pH6.5で最適物理化学的安定性を示し、例えば脂質構造のエステル加水分解によるpH値の上昇又は減少に伴って安定性の多少の差はあるが有意な損失が認められる。Vernoojiその他により、これらの結果をDOTAP及びDOPEから成る陽イオン性リポソームに当てはめることはできないことが示される。これらのリポソーム中では、DOTAP及びDOPEは各々6.4及び6.1より下のpHで最も安定であり、この範囲の加水分解速度はpHと殆ど無関係である。著者は、それらの存在するモデルを基にして観察された加水分解動力学を説明することができなかったが、アミン影響加水分解がk−pKプロフィールの形成で重要な役割を演じ得ると示唆した。
しかし、前記モデルの一つがDOPEの代わりにその他の中性脂質を含有する処方物に適用するか否かは疑わしい。従って陽イオン性リポソーム処方物用に使用される脂質の化学的安定性に最適なpHは先行技術開示から結論することはできない。
本発明で、意外にもパクリタキセルから成る陽イオン性リポソームは酸性pH値での最良の化学的安定性を特徴とすることが判明した。これは中性及び/又は陰イオン性リポソームに関して公開されたデータと極めて対照的である([1]、[6])。
従って、有利な態様では本発明の方法の工程(b)から(d)及び(f)のいずれか1工程で水性媒体のpH値は、前記リポソーム製剤が物理的及び化学的安定性を約2℃〜約8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも約4時間保つようなものであり、有利にはpH値は約3〜約7の間及び更に有利には約4〜約6.5の間である。
もう一つの有利な態様では、本発明の方法は、更に約−1℃〜約15℃の間の温度、有利には約1℃〜約10℃の間の温度、最も有利には約2℃〜約8℃の間の温度へ冷却することを含む。
本発明は更に、血管新生阻害及び細胞毒性薬としてタキサンから成る陽イオン性リポソーム製剤の製法を提供する。このような製剤は血管形成を阻害し、従って種々の疾患、例えば癌、慢性炎症等の治療に有効である。
従って、本発明のもう一つの目的は、少なくとも約30モル%の量の陽イオン性脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約68モル%までの量の少なくとも1種のその他の両親媒性物質、少なくとも約2モル%の量のタキサン及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の量の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤の製法を提供することであり、これは、(a)i.有機溶剤、前記タキサン及び前記陽イオン性脂質及び場合によりその他の両親媒性物質を含む有機溶液、ii.前記安定化剤を含む水溶液を準備し、(b)前記溶液(a)i.及び(a)ii.から陽イオン性リポソーム製剤を製造し、その際前記製剤は水性媒体中の陽イオン性リポソームを含み、(c)場合により前記製剤を少なくとも1回均質化し及び/又は(d)場合により前記製剤を滅菌濾過し、(e)前記製剤を脱水し及び(f)場合により工程(e)の前記陽イオン性リポソームを水溶液中で復元し、その際、場合により工程(c)及び/又は(d)の前に限外濾過工程が含まれている工程から成る。
本発明の方法の有利な態様では、前記タキサンから成る前記リポソーム製剤は、工程(b)から(d)又は(f)のいずれか一つの工程で約2〜約8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも約4時間物理的及び化学的に安定である。
通常本発明の陽イオン性リポソーム製剤中のタキサンの割合は約20モル%より少ない。幾つかの態様では、陽イオン性リポソーム製剤は、約0.5モル%〜約20モル%、有利には約2モル%〜約15モル%の割合のタキサンを含む。その他の態様では、タキサンは約1モル%〜約5モル%で存在し、その他の態様では約5モル%〜約15モル%及び更に有利には約10モル%〜約13モル%で存在する。
本発明の方法の有利な態様で、前記リポソーム製剤は、タキサン、有利にはパクリタキセル又はドセタキセル又はその脂肪親和性誘導体を含むが、パクリタキセルに関しては約1モル%〜約20モル%の量、有利には約2モル%〜約5モル%の量又はドセタキセル又はスクシニル−パクリタキセルに関しては有利には少なくとも3モル%の量及びドセタキセル又はスクシニル−パクリタキセルに関しては最も有利には少なくとも5モル%の量である。
本発明の特徴は室温で少なくとも0.5時間、通常少なくとも1時間、有利には少なくとも約2時間、更に有利には少なくとも約3時間及び最も有利には少なくとも約4時間の間、タキサンが実質的にリポソーム二重層から水相中へ分割せず、実質的にリポソーム分散液中でタキサン結晶を生成しないことである。タキサンが実質的にリポソーム二重層から分割しない陽イオン性リポソームとは、陽イオン性リポソーム中に負荷されたタキサンの全量の通常約20%未満、普通は約10%未満、約5%未満、典型的には約1%未満及び有利には約0.5%未満がリポソーム二重層から分割しているものである。
本発明のもう一つの目的は、開示した方法により得られる陽イオン性リポソーム製剤を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、少なくとも約30モル%の陽イオン性脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約69.6モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約0.1モル%の脂肪親和性活性化合物及び約0.1%〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を提供することであり、これは、前記リポソーム製剤が水溶液中で2〜8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間物理的及び化学的に安定であることを特徴とする。
本発明のもう一つの有利な態様では、脂肪親和性活性化合物を、タキサン、カンプトテシン、スタチン、デプシペプチド、タリドミド、微小管と相互作用するその他の薬剤、例えばディスコダーモライド、ローリマイド、イソローリマイド、eleutherobin、SarcodictyinA及びBから選択し、更に有利な態様では、脂肪親和性活性化合物はパクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシン又はその脂肪親和性誘導体から選択する。
本発明の有利な態様では、前記リポソーム製剤は、タキサン、有利にはパクリタキセル又はドセタキセル又はその脂肪親和性誘導体から、パクリタキセルに関しては約1〜約20モル%の量、有利には約5モル%の量又はドセタキセル又はスクシニル−パクリタキセルに関しては有利には少なくとも5モル%の量で、成る。更に有利な態様では、前記リポソーム製剤は、約0.1モル%〜約1モル%の量のカンプトテシンラクトンから成る。
有利な態様では本発明の製剤は、製剤の全容量に対して約5%(m/v)〜約15%(m/v)の範囲の安定化剤、例えばトレハロースから成る。
本発明のもう一つの目的は、少なくとも約30モル%の陽イオン性脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、約5モル%のパクリタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を提供することであり、これは、前記リポソーム製剤が2℃〜8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間水溶液中で物理的及び化学的に安定であることを特徴とする。
本発明のもう一つの目的は、少なくとも約30モル%の陽イオン性脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、約5モル%のドセタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、少なくとも約30モル%の少なくとも1種の陽イオン性脂質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、約5モル%のスクシニル−パクリタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を提供することである。
本発明の特徴は、陽イオン性リポソームが室温で約pH7.5で約0.05MKCl溶液中で正のゼータポテンシャル、有利には室温で約pH7.5で約0.05MKCl溶液中で約25mV〜100mVの範囲のゼータポテンシャル、更に有利には室温で約pH7.5で約0.05MKCl溶液中で約35mV〜70mVの範囲のゼータポテンシャルを有することである。
本発明のもう一つの特徴は、本発明のリポソーム製剤はいずれも約50nm〜約400nm、有利には約100nm〜約300nmの平均粒度を有するリポソームを含むことである。
本発明の医薬組成物は、乾燥、凍結乾燥形又は液体懸濁液の形であってよい。数ヶ月又は数年までの期間安定に保存することができるので、凍結乾燥形が有利である。本発明の医薬組成物の低酸性pH(緩衝又は酸性化した)の懸濁液は、温度、化合物含量及び燐脂質成分に応じて数時間から数ヶ月までの期間安定である。
本発明のもう一つの目的は、製薬的に認容性のキャリア、希釈剤及び/又は佐剤と一緒に本発明のリポソーム製剤のいずれか1種から成る医薬組成物を提供することである。
本発明の医薬組成物は患者に有効量の組成物を投与することによって、癌治療分野、傷治癒並びに種々の慢性疾患の分野及び通常血管新生作用の増強と関係のある疾患の治療で有効である。
本発明のリポソームは、単独又は好適な製薬的キャリア又は希釈剤と組み合わせて投与することができる。好適な適用形式は、腸管外投与経路、例えば筋肉内、静脈内、腹膜内並びに皮下投与である。腸管外適用に好適な調剤形には、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液及び当業者に公知のようなものである。
前記一般的議論を鑑みて、次ぎに実施例につき詳説するが、下記実施例は一例にすぎず、本発明の範囲を制限するものではない。その他の全般的及び明細な構成は当業者に明らかである。
LipoPacTMのリポソーム直径及びPI値(バッチGB100)を示す図 LipoPacTMのリポソーム直径及びPI値(バッチGB261)を示す図 PCS法により測定した保存安定性を示す図 粒子数(0〜8時間)を示す図 ヌードマウスのA−375黒色腫瘍におけるLipoPacTM対Taxotere(R)の治療効力を示す図 ヌードマウスのA−375黒色腫瘍におけるLipoPacTM対Taxol(R)の治療効力を示す図 C57/BL6マウスのB−16黒色腫瘍におけるLipoPacTM対Taxolの治療効力を示す図 カンプトテシンのUV−VIS、CHCl/MeOH保存溶液中(a)、10mMのDOTAP/DOPCリポソーム製剤、活性化合物/脂質比1:1000(b)及びTHF/MeOH/HCl中に溶解後のリポソーム製剤1:5(c)に関するスペクトルを示す図
実施例
1.例1:パクリタキセル負荷リポソーム(LipoPacTM)の製造
下記実施例は、4l、12l及び少なくとも66lの規模で適用可能なパクリタキセル負荷リポソーム(LipoPacTM)の製造を表す。全液体処方物は化学量論的に下記から成る:
−DOTAP−Cl 50モル%
−DOPC 47モル%
−パクリタキセル 3モル%
−トレハロース二水和物 108.2g/l
−エタノール 1.33%(m/m)
エタノールは中間生成物である。エタノールを少なくとも部分的に凍結乾燥により除去することが提案される。エタノールの残量をプロトコル2及び3で測定し、1%より下であると判明した。
1.1 エタノール性脂質溶液
適正量のDOTAP−Cl、DOPC及びパクリタキセルをエタノール中に溶解させ、エタノール中の全脂肪親和性化合物の最終濃度を400mMにした。透明な溶液が得られた(エタノール性脂質溶液)。エタノール性脂質溶液を2〜8℃で一夜保存してよい。
1.2 トレハロース溶液の製造
適正量のトレハロース二水和物を注射用の水(Wfl)中に溶解させ、透明溶液が得られるまで少なくとも5分間攪拌する。製造溶液を室温で0.22μmPVDF(Millipak)平濾過膜で濾過する。代わりに、トレハロース溶液を室温で0.22μmセルロースアセテート膜(Sartobran(R)P)を用いて濾過してもよいし、室温で滅菌等級無菌濾過膜(0.22μm)で濾過してもよい。エタノール注入を開始する前に、pH及び温度を各々pH3〜7及び2〜8℃に調整し、この温度に保つ。
1.3 エタノール注入
エタノール脂質溶液を攪拌トレハロース溶液中に少なくとも0.433ml/分の速度で注入するが、徐々に加速することができる。トレハロース溶液は少なくとも280rpmの速度で攪拌するが、徐々に加速することができる。注入は滴下漏斗又はピストンポンプを使用して毛細管を通して行う。得られた分散液を少なくとも5分間攪拌する。
1.4 押出
粗分散液を200nmのポリカーボネート膜を通して5回押出する。リポソーム分散液を少なくとも2バールの圧力を適用して膜を5回通過させる。押出中、間温度は2〜8℃に保つ。
1.5 滅菌濾過
押出後、リポソーム分散液を滅菌等級濾過器(Millipak200、0.22μm)で濾過する。少なくとも2.5バールの圧力を直ちに適用する。滅菌濾過は2〜8℃で行う。細菌を確実に完全除去するために第2滅菌濾過工程を行ってもよい。
1.6 凍結乾燥
凍結乾燥は同じ製剤を生じる特定の製造規模の大きさに調整すべきである。
充填容量2.1ml/バイヤルを有する4l規模、6Rバイヤル用のプロトコル1
凍結乾燥は、Christ凍結乾燥機(Epsilon 2−12D)を用いて行う。簡単に、試料を−40℃で3時間凍結する。一次乾燥は−40℃、−30℃及び−16℃で行った。圧力は0.1ミリバールにした。二次乾燥は+20℃で行い、真空を適用した(0.01ミリバール)。バイヤルを窒素下で約800ミリバールの圧力で閉じた。
充填容量14ml/バイヤルを有する12l規模、50H−バイヤル用のプロトコル2
凍結乾燥は、Christ凍結乾燥機を用いて行う。簡単に、試料を−30℃で3時間凍結する。凍結後、温度及び圧力は−16℃及び0.1ミリバールに調整する。一次乾燥の60時間後、温度を+20℃に高め、圧力を3時間以内に0.001ミリバールに減らす。二次乾燥は+20℃及び0.001ミリバールで12時間で行う。バイヤルを窒素下で約800ミリバールの圧力で閉じた。
充填容量25ml/バイヤルを有する66l規模、100H−バイヤル用のプロトコル3
凍結乾燥は、Kniese EK−10凍結乾燥機を用いて行う。簡単に、試料を−40℃で少なくとも3時間凍結する。凍結後、生成物の温度は−16℃に高める。圧力は0.1ミリバールに調整する。一次乾燥の12時間後、温度を59時間以内に0℃に高める。二次乾燥は、圧力及び温度を調整するために、3時間の傾斜を使用して、+20℃及び0.001ミリバールで12時間行う。バイヤルを窒素下で約800ミリバールの圧力で閉じた。
充填容量25ml/バイヤルを有する66l規模、1000H−バイヤル用のプロトコル4
凍結乾燥は、Kniese EK−10凍結乾燥機を用いて行う。簡単に、試料を−40℃で少なくとも3時間凍結する。凍結後、生成物の温度を−16℃に高める。圧力は0.1ミリバールに調整する。温度及び圧力を60〜100時間の間一定に保つ。二次乾燥は、圧力及び温度を調整するために、3時間の傾斜を用いて、+20℃及び0.01ミリバールで12時間行う。バイアルを窒素下で約800ミリバールの圧力で閉じた。
LipoPacTMは前記した方法により製造した。全製剤は、押出及び滅菌濾過後大きさ(Zave及びPl)が均質であった(Zave約220nm及びPl約0.2〜0.3)。凍結乾燥後、試料は、使用した凍結乾燥プロトコルにより、Pl指数0.27(バッチ GB100 図1)、0.56(GB261 図2)であった。
GB100は、プロトコル4と同じ凍結乾燥プロトコルにより製造したが、GB261はプロトコル3と同じ凍結乾燥プロトコルにより製造した。
異なるバッチのHPLC分析は、主要分解生成物の一つである7−エピタキソールの生成により観察可能である、パクリタキセル分解に焦点を合わせて行った。結果は第1表に記載する。
第1表:異なるバッチ中の7−エピタキソールの生成
Figure 2012072188
7−エピタキソールの生成は、ばら材料の製造の温度に左右される。バッチ1〜3は、8〜12l規模で室温で製造した。7−エピタキソールは0.9〜1.5%の範囲であった。2〜8℃に製造温度を下げると、7−エピタキソール含量は0.2〜0.7%に減少した。全リポソーム懸濁液のpHは製造中で4.7〜6であった。
2.例2:復元後のリポソームパクリタキセルの使用中安定性に対するpH値の影響
2.1 総論
本試験の目的は、凍結乾燥製剤の復元後のリポソームパクリタキセルの使用中安定性に対する温度及びpH値の影響を調べることであった。試験はリポソームパクリタキセルの異なる試料、バッチSi175で2つの異なる温度及び7つの異なるpH値(pH5.0〜8.0)で行った。
リポソームパクリタキセルバッチSi175の凍結乾燥試料(例1で前記したようにして製造)を、10mM BISTRIS又はTRIS緩衝溶液中で復元したが、これは前もって5.0〜8.0の範囲のpH値に調節してあった。水性懸濁液を室温又は冷蔵庫(2〜8℃)中で32時間まで保存した。
室温:リポソームパクリタキセルの分解は水性懸濁液のpH値に強力に左右される。パクリタキセルは6.0以下のpH値で32時間まで安定である。活性物質の約1%だけがpH6.0で32時間の間に分解した。これより高いpH値で分解はpH6.5で約8%からpH8.0で約70%に32時間以内で劇的に増加した。
主要分解生成物は、7−エピ−タキソールであった。32時間の間に生成されたその量は、pH6.0の約1%からpH8.0で約25%に増加した。BaccatinIII及び10−デアセチルタキソールはpH8.0で32時間後に約12%に直線的に増加した。室温で2%分解より多くないリポソームパクリタキセルの許容可能な使用中安定性は、水溶液のpH値が6.0以下である場合にのみ達成することができた。従って、分解化合物の生成は、辛うじて無視することができた。12時間の使用中安定性は、このpH値で問題なく達成することができた。6.0より上のpH値では、12時間の使用中安定性は分散液中で認容される分解生成物の量に応じて減らし、調整すべきである。
冷蔵庫:リポソームパクリタキセルの分解は低い温度で著しく減速する。パクリタキセルは6.5以下のpH値で安定である。これは、臨界pH値が室温で行った実験と比較して6.0〜6.5に増加されえたことを意味する。これより高いpH値では分解は増加するが、室温でより僅かな程度である。pH8.0で2倍より多い量のパクリタキセルを32時間後に回収することができた。
分解生成物は、室温で行った実験と同じ割合で生成されたが、有意に低い量であった。ここでも、7−エピ−タキソールがパクリタキセルの主要分解生成物であった(pH8.0で10%)。BaccatinIII及び10−デアセチルタキソールがpH8.0で約5〜6%生成された。検出された未知物質も同じであった。
リポソームパクリタキセルの使用中安定性は、低い温度(2〜8℃)で有意に改善することができた。pH範囲5.0〜6.5で、復元した試料を分解生成物の生成なしに32時間まで保存することができる。分解はより高いpH値でさえも室温に比して遙かにゆっくりである。
これらの実験から、冷蔵庫中で酸性媒体(6.5より下のpH)でのリポソームパクリタキセルの保存が、活性物質パクリタキセルの分解工程を減少させることが実証される。分散液の使用中安定性はこれらの条件下で12時間より長く延長することができた。
2.2 実験
2.2.1 試験システム−組成
この試験で第2表に記載したようなリポソームパクリタキセル処方物を使用した:
第2表:試験したリポソーム処方物
Figure 2012072188
2.2.2 器具
HLPC−システム
・オートインジェクター:SIL−10ADVP、試料ラックNo.11付き
・イソクラティックポンプ:LC−10ADVP
・ガス除去装置:DGU−14A
・カラムオーブン:CTO−10ASVP
・DAD検出器:SPD−M10AVP
・コントローラー:SCL−10AVP
・評価用のソフトウェア:CLASS VP 6.10版
Shimadzu Deutschland GmbH;47269Duisburg、Germany
pH−メーター
・InoLab pH Level2;WTW GmbH及びCo.KG;82362 Weilheim、 Germany
冷蔵庫及び冷凍庫は通常実験室で入手可能である。
2.2.3 HPLC法
カラム:LiChroCART(R)250−4、LiChrospher(R)60、RP−select B、長さ250mm、ID:4mm、粒度:5μm:発注番号:1.50839.0001
プレカラム:例えば8/4LiChrospher(R)100−5C18;発注番号1−50957、Merck KgaA、64293 Darmstadt、Germany
注入容量:10μL
炉温度:35℃
移動相:アセトニトリル/THF/2mM酢酸アンモニウム(32/12/56、v/v/v;v=容量%)
流速:1.00mL/分
検出器波長:229nm
2.2.4 試料の調製
凍結乾燥試料(製造は実施例に記載)を、塩化水素酸を用いて5.0〜8.0の範囲のpH値に調整した10mMBISTRIS又はTRIS緩衝剤溶液中で復元した。可視粒子を含まない、均質な僅かに混濁した分散液が得られるまで、溶液を注意深く振とうした。溶液は最も早く製造後30分後に使用した。
10mMBISTRIS緩衝剤溶液の調製
BISTRIS約1.26gを1000mLビーカー中に量り入れ、水(Aqua ad inject.メスシリンダーで正確に計量した)600mLで希釈した。次いでこの溶液の5個の100mLアリコートを1M塩化水素酸(HCl)を用いてpH値5.0、5.5、6.0、6.5及び7.0に調整した。pH値調整用に約0.5mL(pH7.0)〜4.0mL(pH5.0)の酸が必要であった。1M HClは、HCl(37%)約9gを水(Aqua ad inject)100mLで希釈することによって調製した。
5.5より下のpH値でのBISTRIS緩衝剤の緩衝力は低く、5.0のpH値では無視できる。それにも拘わらず、多くの緩衝剤が陽イオン性リポソームと組み合わせて使用することができないので、この緩衝剤を選択した。
TRIS緩衝剤溶液の調製
TRIS約1.21gを1000mLフラスコ中に量り入れ、水(Aqua ad inject.)で全量にした。次いでこの溶液の2個の100mLアリコートを1M HClを用いてpH値7.5及び8.0に調整した。約1mL(pH8.0)及び1.5mL(pH7.5)の酸が必要であった。
2.2.5 保存条件及びサンプリング計画
調製後、試料を第3表に記載したようにして保存した。サンプリングは復元0、1、3、6、8、24及び32時間後に行った。各サンプリング間隔で分散液の200μLアリコートをバイヤルから取り出し、パラメーターパクリタキセルの純度及び含量をHPLC分析により測定した。付加的に分散液のpH値を各サンプリング日付で測定した。
第3表:保存条件
Figure 2012072188
2.3 結果及び討論
2.3.1 室温におけるリポソームパクリタキセルの分解
リポソームパクリタキセルの分解は復元後の水溶液のpH値に強力に左右される。第4表から明らかなように、パクリタキセルは6.0以下のpHで32時間まで化学的に安定である。活性物質の約1%だけがpH6.0で32時間の間で分解したにすぎない。パクリタキセルの観察可能な分解は6.0より上のpHで開始する(第6表及び第7表参照)。pH6.5で活性物質の約10%が32時間の間に分解した。pH値が7.0から8.0に増加することによって、分解生成物の量は劇的に増加した(第8表参照)。pH8.0でパクリタキセルの最初の量の約30%だけが回収できた。最初のサンプリングをバイヤルの復元の30分後に行ったので、pH8.0の最初の試料(0時間)でさえも、パクリタキセルの10%が既に分解した。
水溶液のpH値が6.0以下である場合にのみ、室温におけるパクリタキセル負荷リポソームの許容可能な使用中の安定性を達成することができた。従って、分解化合物の生成はほぼ無視することができた。12時間の使用中安定性はこのpH範囲で問題なく達成することができた。
6.0のpH値より上で、12時間の使用中安定性は、分散液中で認容された分解生成物の量に応じて減少させ、調整すべきである。
この試験中で観察された主要分解生成物は7−エピ−タキソールであった。32時間中に生成されたその量は、pH6.0で約1%からpH8.0で約25%に増加した。BaccatinIII及び10−デアセチルタキソールはpH8.0で32時間後に約12%に直線的に増加した(第6表、第7表及び第8表参照)。
第4表:室温で分解に対する保存時間及びpHの影響
Figure 2012072188
2.3.2 2〜8℃におけるリポソームパクリタキセルの分解
リポソームパクリタキセルの分解はより低い温度で減速させることができた。第5表から明らかなように、パクリタキセルはpH≦6.5で安定である。これは、臨界pHを室温に比して6.0から6.5に増加させることができたことを意味する。pH5.0〜6.5の範囲で、水系は安定である(第9表及び第10表も参照)。
分解は6.5より上のpH値で開始する。pH7.0で約7%の活性物質が32時間の間に分解した。これより高いpH値で、分解は増加したが、室温で行った実験に比して僅かな程度であった(第10表及び第11表参照)。pH8.0で2倍の量のパクリタキセル(室温の30%対2〜8℃の64%)が32時間後に回収することができた。
リポソームパクリタキセルの使用中安定性は、比較的低い温度(2〜8℃)で有意に改善することができた。5.0〜6.5のpH範囲で、復元した試料は分解生成物の生成なしに32時間保存することができる。分解は比較的高いpH値においてさえも室温に比して遙かに遅い。pH値6.5より上では、使用中安定性は分散液中で許容される分解生成物の量により調整すべきである。
分解生成物は室温で行った実験と同じ割合で生成されたが、有意に少ない量であった。ここでも7−エピ−タキソールがパクリタキセルの主要分解生成物であった。32時間の間に生成されたその量はpH7.0で約3%からpH8.0で約10%に増加した(第11表参照)。Baccatin III及び10−デアセチルタキソールはpH8.0で約5〜6%生成した。
第5表:2〜8℃における分解に対する保存時間及びpHの影響
Figure 2012072188
室温で行った実験と同じ未知物質が検出されたが、遙かに少ない量であった。
2.3.3 未加工データ
第6表:室温におけるpH5.0、5.5及び6.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した。
第7表:室温におけるpH6.5及び7.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した。
第8表:室温におけるpH7.5及び8.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した;化合物未知3は人工産物(例えば試料調製からの不純物)である確率が極めて高い。
第9表:2〜8℃におけるpH5.0、5.5及び6.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した。
第10表:2〜8℃におけるpH6.5及び7.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した。
第11表:2〜8℃におけるpH7.5及び8.0でのリポソームパクリタキセルの分解及び分解生成物の生成(面積%で表したデータ)
Figure 2012072188
:相応するピークはBRISTRIS緩衝剤の妨害により評価することができなかった;全分解生成物の面積%は、パクリタキセルの代謝産物とは考えられそうにないので、化合物未知1は除外して計算した。
3.例3:陽イオン性リポソーム中に負荷したパクリタキセルの使用中安定性の増加
異なるpH条件下での陽イオン性リポソーム中に負荷したパクリタキセルの安定性を調べるために、幾つかの添加物、有利には酸性pHにする添加物を調製中に添加する。そのためにC−7におけるエピマー化及び7−エピ−タキソールの生成を調べる。これらの化合物は無機酸及び有機酸の群から選んでよい。無機酸の例には、塩化水素酸(HCl)、燐酸、硫酸、炭酸又はその他常用の酸が含まれる。有機酸の例は、一塩基酸に関しては一般式R−COH[式中、R=CH−(CH;C−(CH−及びn=0〜6]、例えば酢酸又は安息香酸である。更に、一般式HOC−(CH−COHの二塩基酸、例えば琥珀酸、アジピン酸又は不飽和誘導体、例えばマレイン酸又はフマル酸又は芳香族酸、例えばフタル酸を使用してもよい。オキシカルボン酸、例えばクエン酸、乳酸、酒石酸も有利な添加物である。
調製
10mMのDOTAP/DOPC/パクリタキセル50/47/3から成るリポソーム製剤を前記したエタノール注入法により調製した。水溶液は、10%トレハロース(w/v)、pH=5.5から成る。トレハロース溶液は、塩化水素酸、クエン酸又は乳酸の添加によりpH4.5に調整する。両方の脂質及び活性化合物の溶液のエタノール注入に次いで、生成した溶液を4℃で押出し、前記したようにして凍結乾燥する。凍結乾燥物をPCSによりそのリポソームの大きさ分布を分析し、HPLCによりそのパクリタキセル及び7−エピ−タキソールの含量を分析する。凍結乾燥物の使用中安定性は下記のようにして確立される:凍結乾燥物(前記したようにして調製)をMilliQ品質水(quality water)を用いて復元し、検査前に室温又は4℃で24時間放置する。PCS及びHPLC分析の両方を行う。
もう一つのリポソーム製剤を前記したようにして水性トレハロース溶液用の添加物としてクエン酸及び乳酸を用いて室温で調製した。凍結乾燥しないで、これらの処方物をそのリポソームの大きさ及び大きさ分布(PCS)及び薬剤濃度及び7−エピ−タキソール含量(面積%、HPLC)により、特徴を調べた。
結果
第12表のデータから明らかなように、リポソームを4℃で調製し、凍結乾燥し、冷蔵庫内で保存すると、7−エピ−タキソールは復元後に観察されない。しかし、第13表に示されるように、復元した凍結乾燥物の使用中安定性(24時間、室温)は、使用した添加物の存在及び揮発性に左右される。添加物を何も使用しないと、6%の7−エピ−タキソールが検出される。これは揮発性塩化水素酸の使用により減少する。室温で24時間後、固体の非揮発性有機酸、例えばクエン酸又は乳酸を使用すると7−エピ−タキソールは僅かないしは全く検出されない(第13表)。第14表に示されるように、リポソームパクリタキセル処方物は25℃で調製することができ、その際25℃で24時間保存後でもパクリタキセルの分解は観察されなかった。更に25℃で120時間保存後のHPLC分析により7−エピ−タキソールは検出されなかった(データ未記載)。
第12表:4℃で調製したパクリタキセル負荷陽イオン性リポソーム
Figure 2012072188
第13表:4℃で調製したパクリタキセル負荷陽イオン性リポソームの使用中安定性(24時間)
Figure 2012072188
第14表:25℃で調製したパクリタキセル負荷陽イオン性リポソームの使用中安定性(24時間、凍結乾燥なし)
Figure 2012072188
4.例4:ドセタキセル負荷陽イオン性リポソームの製造
4.1 脂質膜法によるリポソーム製造
ドセタキセルから成るリポソーム処方物は、下記のように脂質膜法により製造した:選択した脂質及びドセタキセルを丸底フラスコ中でクロロホルムに溶解させる。次いでフラスコを真空下(100〜200ミリバール、40℃)で薄い脂質膜が生成するまで回転させる。脂質膜を完全真空(3〜5ミリバール)下で40℃で約30分間完全に乾燥させる。乾燥した脂質膜を氷浴中で冷却し、冷(4℃)グルコース又はトレハロース溶液(pH5〜7)を用いて再水和して、全濃度約10〜20ミリモルの多層膜脂質小胞の懸濁液が生じる。均質な分散液が生成したら(回転15〜20分後)、リポソーム懸濁液を有利には温度4〜8℃で1〜5回、適切な大きさの、例えば150〜250nmのポリカーボネート膜を用いて押出し(圧下で濾過)、場合により次いで滅菌濾過する。製造中の低い温度は、ドセタキセル及び脂質の増加した化学的安定性により及びより高い活性化合物対脂質比(高いドセタキセル含量)を得ることが出来るという発見により、重要であると判明した。生成したリポソーム懸濁液をHPLC、PCS及び顕微鏡分析により完全に特徴付けする。
4.2 エタノール注入によるリポソーム製造
ドセタキセルから成るリポソーム処方物を、下記のようにしてエタノール注入法を用いて製造した:ドセタキセル及び脂質をエタノール(又はその他の好適な有機溶剤)中に通常全脂質濃度約200〜400ミリモルで溶解させた。凍結防止剤の水溶液、有利には10%トレハロースをpH5〜7で調製し、有機溶剤注入前に温度4〜8℃に冷却した。エタノール溶液を激しく攪拌した冷トレハロース溶液中に注入し(注入速度3〜300ml/分)、最終全脂質濃度10ミリモルにした。均質な分散液が生成したら、リポソーム懸濁液を有利には温度4〜8℃で1〜5回、適切な大きさの、例えば150〜250nmのポリカーボネート膜を用いて押出し(圧下で濾過)、場合により次いで滅菌濾過する。製造中の低い温度は、ドセタキセル及び脂質の増加した化学的安定性により及びより高い活性化合物対脂質比(高いドセタキセル含量)を得ることが出来るという発見により、重要であると判明した。生成したリポソーム懸濁液をHPLC、PCS及び顕微鏡分析により完全に特徴付けする。
4.3 ドセタキセル含量の変更
DOTAP及びDOPCから成るリポソーム(全脂質濃度10ミリモル、10%トレハロース)を異なるドセタキセル含量で生成する。一般的組成物はDOTAP50モル%、DOPC(50−X)モル%及びドセタキセルXモル%であり、その際、ドセタキセル含量は3〜13モル%と変化する。第15表に、リポソームドセタキセル処方物及びその典型的特性、例えば平均リポソーム大きさ、大きさ分布(PI)、活性化合物及び脂質濃度(HPLC)、リポソーム外ドセタキセル(ドセタキセル結晶)の存在及びそれらの表面荷電を列記する。
第15表:リポソームドセタキセル処方物
Figure 2012072188
脂質膜法及びDOTAP/DOPC系を使用して、約13モル%までのドセタキセルを有するリポソームを製造することができる。高い温度(室温、40℃)に比して低い温度(4℃〜8℃)で製造を行う場合に、高いドセタキセル含量をリポソーム膜中に負荷することができることが注目に値する。ドセタキセル含有リポソームの平均直径は160〜170nmであり、≦0.2の低いPI値は好適な小さな大きさ分布を示す。測定した濃度(HPLC)は理論的値による。HPLC分析によれば、ドセタキセル、DOTAP及びDOPCが4℃における製造工程の間化学的に安定であった。製造中の10℃より高い温度によって、HPLCクロマトグラフィーで示されるようにドセタキセル分解生成物が生成する。全処方物を顕微鏡(倍率10倍)により凝集物/結晶に関して調べた。ドセタキセルはトレハロース又は水に僅かしか(〜20μM)可溶性でないので、結晶の存在はリポソーム膜中に埋め込まれてない(溶解化)ドセタキセルの有意なフラクションを示す。試験した処方物のどれもがドセタキセル結晶に関して陽性でなかった。ゼータポテンシャル(60〜65mV、Zetasizer3000、Malvern)は異なるドセタキセル含量で変化しなかった。
4.4 ドセタキセル含有リポソームの凍結乾燥
ドセタキセル含有リポソームの凍結乾燥は、前記した方法を使用して有利に行うことができた。第16表に記載したように、リポソームの大きさは変わりないが、各々復元した凍結乾燥物のPl値(大きさの分布)は非凍結処方物の比して僅かに低い。
第16表:リポソームの大きさ及びPl値に対する凍結乾燥の影響
Figure 2012072188
凍結乾燥は、リポソームの安定性に対して不利な影響を有さない。HPLCにより検査したように、脂質及びドセタキセルは化学的に安定のままである。
4.5 非リポソームドセタキセルの測定
リポソームドセタキセル処方物中に遊離の非リポソームドセタキセルが存在するか否か調べるために遠心分離試験を実施した。この実験はCentricon(R)管(小さな分子は通過させ、高分子は保持する半透過性膜を有する遠心分離管)を使用して行った。ドセタキセル7、11及び13モル%を有するDOTAP及びDOPCを基礎とするリポソーム処方物(10ミリモル、10%トレハロ−ス)を4500g及び4℃でCentricon(R)管(30000MWCOの膜仕様)を用いて遠心分離した。30分間遠心分離後、上澄み液をトレハロースで希釈したが、この容量は透過性であると判明した。HPLC分析を第17表にまとめる。
第17表:非リポソームドセタキセル(HPLC)の測定
Figure 2012072188
結果から、ドセタキセルは非リポソームドセタキセルの含量を増加させることなく少なくとも13モル%の濃度でリポソーム膜中に組込むことができることが示される。
4.6ドセタキセル処方物の物理化学的安定性
ドセタキセル5モル%を含有するリポソーム処方物を使用して物理化学的安定性を調べた。最初の実験から、処方物中のドセタキセルの含量は安定性に対して何も影響を有さないことが判明した。また液体(非凍結乾燥)及び凍結乾燥処方物に関して何も差異は検出されなかった。4℃、25℃及び40℃における保存安定性をPCS(リポソームの大きさ及び大きさの分布)、光遮断法(PAMAS装置)、顕微鏡及びHPLCにより特性付けした。物理的安定性は3.に記載する。全ての温度でリポソームの大きさ及び大きさの分布は24時間以内で変化しなかった。
原則として光遮断法(PAMAS装置)により、リポソームの凝集の進行による物理的安定の悪化の結果比較的大きな凝集体(1μmより大きい)を生じることが示される。適切な実験手段を講じるとこのような増加は全く認められず、25℃で保存中に観察された粒子数を示す。24時間後の粒子数は8時間値と比較して同じ範囲である。
異なる時点における処方物のHPLC分析から4℃における良好な化学的安定性が判明した。40℃で20%までの分解の増加が24時間保存後に観察された。
4.7 試験管内試験
リポソームドセタキセルの効力を活性化合物濃度と関連して細胞増殖力の減少を分析することによって試験管内で測定する。細胞増殖が50%抑制される活性化合物濃度(IC50)を抑制力の指数として使用する。
C−26(ハツカネズミ大腸癌細胞系)及びEa.Hy926細胞(形質転換ヒト内皮細胞系)を一定密度(2×10/cm)で24−well plateにまき、CO5〜5.5%、37℃及び湿度〜90%の条件で一夜培養する。1日目に細胞培地を新しい培地の混合物により置き換え、最終活性化合物濃度0.1〜1000nmの範囲をカバーするように11個の連続的活性物質希釈液を各wellに加える(複製)。72時間後、各well中の細胞増殖を、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼの活性を測定することによって測定する(MTT検定)。増殖細胞中でMTT基質を青色の細胞不浸透性色素(Formazan)に転化する。1時間後に培地を除去し、細胞をイソプロパノール/0.04%HClで溶解し、波長550nmにおける光学密度(OD550nm)として青色Formazanの量をELISA readerで定量する。平均OD550nm値を各々の活性化合物濃度に対してプロットすることによって実験をSigma Plot分析ソフトウェアを用いて評価する。二重シグモイド推定アルゴリズムを基に最適曲線を算出し、IC50値を第18表に記載したように結果を用いてこの最適曲線により測定する。
第18表:Taxotere及びドセタキセル負荷リポソームのIC50
Figure 2012072188
IC50値により、C−26及びEA.hy926の両方の細胞系でポリソルベート80(Taxotere(R)、Aventis)を用いて処方したドセタキセル及びリポソームドセタキセル処方物(組成:DOTAP/DOPC/ドセタキセル50:39:11)の同じ効力が明らかに示される。
4.8 生体内試験(ヌードマウスのA−375黒色腫)
材料及び方法
NMRI−ヌードマウスは、Elevage Janvierから購入し、隔離換気ケージ中で保存環境条件(SPF設備、22℃、湿度30〜70%、12時間明/暗サイクル)下で食餌及び水を随時与えて飼育した。実験計画は地方自治体により検討承認された。
腫瘍細胞(A−375ヒト黒色腫細胞系、ATCC Nr.:CRL−1619)はATCCにより供給されたデータシートに記載したように増殖させた。腫瘍細胞(PBS中5×10)をマウスの右脇腹に0日目に50μlの容量で皮下接種した。
マウスを実験群(ケージ当たり動物8匹)に分け、腫瘍接種前少なくとも5日間飼育し、(体重増加のモニターも含めて)取り扱った(=日−6〜0)。腫瘍が約100mmの容量に達した後に治療を開始する。薬剤及びリポソーム製剤を同じ用量で一日置きに5回の静脈内注射により投与した。リポソーム製剤は前記したようにして調製した。溶液は〜5μl/体重gの容量で徐々に投与した。動物を全実験の間及び治療終了後少なくとも1週間臨床的にモニターした。腫瘍の大きさのモニターは、分類後及び適用前治療期間(少なくとも1週間)中に1週間に3回行った。腫瘍寸法をカリパスにより測定し、腫瘍大きさを下記式により算出した:V=πLW/6(L=最大長さ、W=垂直軸の幅)。個々の動物の体重を少なくとも2回取り扱い期間中(例えば−6及び0日目)、腫瘍接種後及び治療開始後に全群に関してモニターした。血液学用にEDTA血液を球後叢から4つの異なる点で:操作中(−3日)、腫瘍分類後(14日)及び治療の中間(〜19日)で全治療群の動物4匹から採取した。赤血球及び白血球及び血小板の数を自動細胞計数器(Abbott Cell Dyn3500)を用いて測定した。結果は第5表に表す。
対照群の腫瘍は急速かつ進行性の腫瘍増殖を示したが、LipoDocTM(DOTAP:DOPC:ドセタキセル50:39:11)は腫瘍増殖速度の強力な減少を示し、Taxotere(R)は腫瘍増殖を限定的にだけ減少させたにすぎなかった。
第19表:実験群及び用量
Figure 2012072188
5.例5:リポソームパクリタキセル(5モル%)
5.1 エタノール注入によるリポソーム製造
パクリタキセル5モル%から成るリポソーム処方物を、下記のようにしてエタノール注入法を用いて製造した:モル比DOTAP/DOPC/パクリタキセル50:45:5のパクリタキセル及び脂質をエタノール(又はその他好適な有機溶剤)中に通常全脂質濃度約200〜400mMで溶解させた。凍結防止剤、有利には10%トレハロース、pH5〜7の水溶液を製造し、有機溶剤注入前に温度4〜8℃、有利には4℃に冷却した。エタノール溶液を強力に攪拌した冷トレハロース溶液中に注入した(注入速度3〜300ml/分)。均質な懸濁液が生成されたら、リポソーム懸濁液を、有利には温度4〜8℃、有利には4℃で適当な大きさ、例えば150〜250nmのポリカーボネート膜を通して1〜5回押出(圧下で濾過)し、場合により次いで滅菌濾過を行う。約4℃の製造温度の他に25℃及び40℃の温度を生成物品質に対するその影響に関して評価した。生成したリポソーム懸濁液をHPLC、PCS及び顕微鏡分析により十分に特性付けした。
5.2 製造法に対する温度の影響
製造過程中、エタノール注入後、押出後及び凍結乾燥後に行った。
エタノール注入後:全3種の温度でエタノール注入により約220nmのリポソームの大きさ及び約0.4〜0.6の広い大きさ分布(PI)を有するリポソームが得られた(PSC測定による)。HPLC分析により、40℃で処方した場合のパクリタキセル分解が明らかとなったが、4及び25℃では各組成の化学的安定性が実証された。顕微鏡により40℃では僅かな量のパクリタキセル結晶が判明したが、4及び25℃ではみられなかった。
押出後:40℃で膜の詰まりにより押出中に支障があった。詰まった膜の交換で問題は解決しなかった。膜を通過しなかったリポソーム溶液の顕微鏡によって、明らかに膜を遮断した非リポソームパクリタキセル結晶の量の増加が判明した。40℃での押出は実行できなかった。押出を低い温度で実施した場合にはそうではなかった。この場合にはHPLC分析による濃度は押出法(5回、0.2μm膜)による材料の損失なしに予想通りであった。4及び25℃における押出後のPCSデータは比較可能であった:約170nmのリポソームの大きさ及び約0.1〜0.2の小さな大きさ分布(PI)。
凍結乾燥後:4℃及び25℃で製造した処方物の凍結乾燥は、実施例に記載した方法を使用して成功裏に行い、HPLC、PCS及び顕微鏡分析により特性付けした。
5.3 生体内試験
5.3.1 ヌードマウスのA−375黒色腫におけるLipoPacTMの治療効力
材料及び方法
NMRI−ヌードマウスは、Elevage Janvierから購入し、隔離換気ケージ中で保存環境条件(SPF設備、22℃、湿度30〜70%、12時間明/暗サイクル)下で食餌及び水を随時与えて飼育した。実験計画は地方自治体により検討承認された。
腫瘍細胞(A−375ヒト黒色腫細胞系、ATCC Nr.:CRL−1619)はATCCにより供給されたデータシートに記載したように増殖させた。腫瘍細胞(PBS中5×10)をマウスの右脇腹に0日目に50μlの容量で皮下接種した。
マウスを実験群(ケージ当たり動物8匹)に分け、腫瘍接種前少なくとも5日間飼育し、(体重増加のモニターも含めて)取り扱った(=日−6〜0)。腫瘍が約100mmの容量に達した後に治療を開始する。薬剤及びリポソーム製剤を同じ用量で引き続き3週間1週間に3回(月曜日、水曜日、金曜日)静脈内注射により投与した。リポソーム製剤は前記したようにして調製した。溶液は〜10μl/体重gの容量で徐々に投与した。
動物を全実験の間及び治療終了後少なくとも1週間臨床的にモニターした。腫瘍の大きさのモニターは、1週間に3回分類後及び適用前治療期間中及び回復期間中(少なくとも1週間)に行った。腫瘍寸法をカリパスにより測定し、腫瘍大きさを下記式により算出した:V=πLW/6(L=最大長さ、W=垂直軸の幅)。個々の動物の体重を少なくとも2回操作期間中(例えば−6及び0日)、腫瘍接種後、治療開始後及び回復期間中(少なくとも1週間)に全群に関してモニターした。血液学用にEDTA血液を球後叢から4つの異なる点で:取り扱い中(−3日)、腫瘍分類後(7日)、治療の中間間(〜21日)及び回復期の終わり(28日)に全治療群の動物4匹から採取した。赤血球及び白血球及び血小板の数を自動細胞計数器(Abbott Cell Dyn3500)を用いて測定した。
対照群の腫瘍は急速かつ進行性の腫瘍増殖を示したが、LipoPacTM(DOTAP:DOPC:パクリタキセル50:45:5)は腫瘍増殖速度の強力な減少を示し、Taxol(R)は腫瘍増殖を限定的程度だけ減少させたにすぎなかった(第20表、6図)。
第20表:実験群及び用量
Figure 2012072188
5.3.2 C57/BL6マウスのB−16黒色腫におけるLipoPacTMの治療効力
材料及び方法
C57/Black6マウスは、Charles Riverから購入し、隔離換気ケージ中で保存環境条件(SPF設備、22℃、湿度30〜70%、12時間明/暗サイクル)下で食餌及び水を随時与えて飼育した。実験計画は地方自治体により検討承認された。
腫瘍細胞(B−16ヒト黒色腫細胞系:CRL−6322)はATCCにより供給されたデータシートに記載したように増殖させた。腫瘍細胞(PBS中5×10)をマウスの右脇腹に0日目に50μlの容量で皮下接種した。
治療は、腫瘍細胞注入後6日目に開始する。実験終了まで1週間に3回注入。実験終了時に動物の腫瘍の大きさ及び認定基準による考察により調べることにした。
マウスを実験群(ケージ当たり動物8匹)に分け、腫瘍接種前少なくとも5日間飼育し、(体重増加のモニターも含めて)取り扱った(=日−6〜0)。リポソーム製剤は前記したようにして調製した。溶液は〜10μl/体重gの容量で徐々に投与した。
動物を全実験の間臨床的にモニターした。腫瘍の大きさのモニターは、1週間に3回、分類後及び適用前治療期間中に行った。腫瘍寸法をカリパスにより測定し、腫瘍の大きさを下記式により算出した:V=πLW/6(L=最大長さ、W=垂直軸の幅)。個々の動物の体重を少なくとも2回操作期間中(例えば−6及び0日)、腫瘍接種後及び治療開始後に全群に関してモニターした。血液学用にEDTA血液を球後叢から4つの異なる点で:操作中(−3日)、腫瘍分類後(6日)及び治療の中間(〜14日)で全治療群の動物4匹から採取した。赤血球及び白血球及び血小板の数を自動細胞計数器(Abbott Cell Dyn3500)を用いて測定した。
対照群の腫瘍は急速かつ進行性の腫瘍増殖を示したが、LipoPacTM(DOTAP:DOPC:パクリタキセル50:45:5)は腫瘍増殖速度の強力な減少を示し、Taxol(R)は腫瘍増殖を限定的程度に減少させたにすぎなかった(第21表。図7)。
第21表:実験群及び用量
Figure 2012072188
6.例6:陽イオン性脂質及び脂肪親和性カンプトテシン又はカンプトテシン誘導体から成るリポソームの製造
pH範囲3〜7における陽イオン性脂質及び脂肪親和性カンプトテシン(CPT)又はCPT誘導体から成るリポソーム製造を記載する。CPTをリポソーム中に負荷する。リポソームは異なる方法により製造することができる。全ての方法は、脂質+活性化合物の混合物を好適な有機溶剤中に入れ、次いで水性媒体中に分散させる点で共通している。次ぎにその他の加工、例えば押出、滅菌濾過又は凍結乾燥を使用することができる。活性化合物/脂質比を、有機溶剤中で好適な量の脂質及び活性化合物を混合することによって調整する。代表的な活性化合物/脂質のモル比は1:1000〜1.10の範囲である。
次ぎに、カンプトテシンを用いる製造を更に詳説するために2種類の方法を記載する。開示した方法は、所望のpHで脂肪親和性である全てのCPT誘導体に適用することができる。
6.1 リポソーム処方物
6.1.1 膜法
脂質+活性化合物から成る有機溶液から、溶剤を蒸発させ、脂質+活性化合物の薄い膜をフラスコ内壁に生成する。薄い分子膜を水相に再懸濁させるが、これはその他の成分、例えば緩衝剤、イオン、凍結乾燥剤等を含有することができる。この方法を用いてリポソーム懸濁液は自己集合法で生成する。標準製剤は、CHCl/MeOH(10:1)中の溶液からDOTAP99.5μM及びカンプトテシン0.5μMの膜を生成させることによって得られる。次いで、全リポソーム濃度(脂質+活性化合物)が10mMである懸濁液にするために、膜を水相10mlで復元する。水溶液は、凍結防止剤、例えばグルコース又はトレハロース及び(場合により)、復元後に所望のpHにするために、緩衝剤から成る。ラクトン形のカンプトテシン用にはpH5〜6を使用する。その他の処方物及びCPT誘導体用には、pHを3〜7の範囲で変えることができる。
活性化合物/脂質比1:200及び全(脂質+活性化合物)濃度10mMを有するリポソーム製剤が得られる。その他の代表的な全モル濃度は15mM、20mM又は25mMである。必要な場合には、50mMまでか又はそれより高いモル濃度を処方することができる。活性化合物のモル百分率は、実験の必要性(リポソームの割り当て、CPT誘導体の種類)に応じて0.1〜10の範囲であってよい。脂質相は、1種だけの陽イオン性脂質、例えばDMTAP、DOTAP、DPTAP、DSTAP、DOTMA又はDDABから成っていても又は60%までの帯電又は非帯電colipidから成ってよい。最もよく使用されている標準製剤はDOTAP/DOPC=1:1又はDOTAP/Chol1:1から成る。従って、その他の陽イオン性脂質、例えばDMTAP、DSTAP、DDAB、DOTMA等を使用することができる。
6.1.2 有機溶液注入
リポソーム分散液を、有機溶剤中の脂質+活性化合物から成る溶液を水溶液(pH3〜7、カンプトテシンラクトンに関しては有利には5〜6)中に注入することによって製造することができる。代表的な溶剤はエタノールである(‘エタノール注入液’)。溶液は(脂質)濃度200〜400mMを有する。溶液の好適な容量を強力攪拌下で注入する。前記部分に記載したような全組成及び濃度は全てこの方法により調製することができる。エタノールの代わりに、その他の好適な溶剤又はその混合物を使用することができる。例えばこれらはアルコール、エーテル、クロロホルム、炭化水素等である。超臨界状態の溶剤、例えば炭化水素、二酸化炭素、過弗素化合物等を使用することもできる。前記製法に引き続いて、押出透析、濃縮工程又は凍結乾燥を行うことができる。
6.1.3 押出
前記方法により製造したリポソーム製剤は、必ずしも所望の大きさ分布を有するとは限らない。従って、引き続いて既定の孔の大きさの膜による押出を行うことができる。通常孔の大きさ200nmを有する膜(Osmonics Inc.、Poretics、ポリカーボネート0.2μm)を通して少なくとも1回の押出を行う。その他の代表的な押出膜は孔の大きさ100nm又は400nmを有する。大きさ分布は、準弾性光散乱により調整する(Malvern、Herrenberg、Germany)。
その他の方法、例えば滅菌濾過又は凍結乾燥を行うことができる。リポソーム製剤を凍結乾燥し、水で復元して大きさの分布及び活性化合物/脂質比を変えることなく元の状態にすることができる。
6.2 特性付け
リポソーム製剤の大きさ分布を準弾性光散乱(Malvern、Herrenberg、Germany)により測定し、組成をHPLCにより調整する。有利な負荷のためのその他の調整として、UV−VIS分光法を適用し、リポソーム製剤中のカンプトテシンを現場で測定することができる。保存溶液中、リポソーム中及びリポソーム製剤を有機溶剤に溶解後の活性化合物の異なるスペクトルを検出する。例として、1:1000の活性化合物/脂質比を有するカンプトテシンから成るリポソーム製剤からのデータを記載する。この活性化合物/脂質比を用いて、分光法測定を試料を更に希釈することなしに行うことができた。10mMDOTAP/DOPC1:1から成る製剤は、pH5.5でトレハロースの水溶液中の膜法により行った。製剤を200nmの孔の大きさを有する膜(Osmonics Inc)を通して5回押出した。準弾性光散乱によりPl0.15でZave156nmを測定した。図に保存溶液(CHCl/MeOH)中、リポソーム製剤中及びリポソームをTHF/MeOH/HCl(1:5)中に溶解させた後のカンプトテシンのスペクトルを記載する。リポソーム製剤の測定用に、同じ脂質組成物を有する空製剤(純粋なDOTAP/DOPC)を空測定用に使用した。同様にして、THF/MeOH/HCl中の測定用に、空リポソームを空測定用に溶解させた。より良好に比較するために、スペクトルを垂直にシフトし、リポソームをTHF/MeOH/HCl中に溶解させた後の測定からのデータを5倍する。図8から明らかなように、異なるスペクトルが3つの場合に関して得られる(図8、スペクトルb)。リポソームをTHF/MeOH/HCl中に溶解後、もう一つ別のスペクトルシフトが得られる。
6.2.1 例:陽イオン性リポソーム中のエポシロンの化学的安定性の改善
エポシロンBのカプセル化を詳細な例として開示する。しかし当業者に公知のその他のエポシロン、例えばエポシロンA、E又はF又はエポシロンA、B、E又はFの誘導体を同様にしてカプセル化することができる[14、11、13、15]。
エポシロンBを含有する陽イオン性リポソームを膜法により製造した。手短には、10mMリポソーム懸濁液10ml用に、DOTAP95μモル及びエポシロンB5μモルを丸底フラスコ中でクロロホルム15ml中に溶解させた。クロロホルムを回転蒸発器を用いて蒸発させ、生じた薄い脂質膜を7〜10ミリバールで60分間乾燥させた。次いで脂質膜を水溶液10ml中に溶解させた(第22表参照)。懸濁液を200nmポリカーボネート膜(Osmonics Inc.)を通して5回押出した(Northern Lipids Extruder)。リポソーム組成及び大きさをHPLC及びPCSにより検査した。
第22表:エポシロンBリポソームのまとめ
Figure 2012072188
安定性検定:処方物中でエポシロンBの化学的安定性を調べた。処方物をアリコートにし、アリコートの半分を−80℃で保存した(対照処方物)。もう半分(試験処方物)を4〜8℃で保存した。選択した時点で、エポシロンB濃度を各々の試験処方物及び対照処方物中でHPLCにより測定した。試験処方物中で検出されたエポシロンB濃度を対照処方物中のエポシロンB濃度(100%と想定)の%として表した。第22表の最後の欄は、試験処方物中のエポシロンB濃度が各々対照処方物中のエポシロンB濃度の50%となった時点として定義したエポシロンBの半減期を表す。
データは、リポソーム処方物中のエポシロン安定性を比較する場合に、低いpH(5.5)で安定性は高いpH(7.0)より良好であったことを示す。これは低いpHでエポシロンの不安定性が増加すると記載している文献と極めて対照的である。
文献
Figure 2012072188
Figure 2012072188

Claims (25)

  1. 少なくとも約30モル%の量の陽イオン脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約69.9モル%までの量の少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約0.1モル%の量の脂肪親和性活性化合物及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の量の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を製造するに当たり、(a)i.有機溶剤、前記活性化合物及び前記陽イオン脂質及び場合により前記のその他の両親媒性物質を含む有機溶液、ii.前記安定化剤を含む水溶液を準備し、(b)前記溶液(a)i.及び(a)ii.から陽イオン性リポソーム製剤を製造し、その際前記製剤は水性媒体中の陽イオン性リポソームを含み、(c)場合により前記製剤を少なくとも1回均質化し及び/又は(d)場合により前記製剤を滅菌濾過し、(e)前記製剤を脱水し及び(f)場合により工程(e)の前記陽イオン性リポソームを水溶液中で復元し、その際、場合により工程(c)及び/又は(d)の前に限外濾過工程が含まれている工程を含む、陽イオン性リポソーム製剤の製法。
  2. 前記活性化合物から成る前記リポソーム製剤が工程(b)から(d)又は(f)のいずれか1つの工程で約2〜約8℃で少なくとも12時間又は室温で少なくとも約4時間物理的及び化学的に安定である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(b)から(d)又は(f)のいずれか1つの工程の水性媒体中のpH値が約3〜7、有利には約4〜約6.5である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(b)から(d)又は(f)の少なくとも1つの工程を温度約−1℃〜約15℃、有利には約1℃〜約10℃の間及び更に有利には約2℃〜約8℃の間で行う、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(b)を脂質膜又は溶剤注入法により行う、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記のもう一つの両親媒性物質が非陽イオン性であり、有利にはステロール、例えばコレステロール、燐脂質、リゾ脂質、リゾ燐脂質、スフィンゴ脂質又はPEG脂質及びその組合せから選択する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記両親媒性物質がジアシルホスファチジルコリンである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記脂肪親和性活性化合物を、タキサン、カンプトテシン、エポシロン、スタチン、デプシペプチド、タリドミド、微小管と相互作用するその他の薬剤、例えばディスコダーモライド、ローリマイド、イソローリマイド、eleutherobin、SarcodictyinA及びBから選択する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 少なくとも約30モル%の量の陽イオン性脂質から選択した少なくとも1種の両親媒性物質、場合により約68モル%までの量の少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約2モル%の量のタキサン及び約0.1%(m/v)〜約20モル%(m/v)の量の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤を製造するに当たり、(a)i.有機溶剤、前記タキサン及び前記陽イオン性脂質及び場合により前記のその他の両親媒性物質を含む有機溶液、ii.前記安定化剤を含む水溶液を準備し、(b)前記溶液(a)i.及び(a)ii.から陽イオン性リポソーム製剤を製造し、その際前記製剤は水性媒体中の陽イオン性リポソームを含み、(c)場合により前記製剤を少なくとも1回均質化し及び/又は(d)場合により前記製剤を滅菌濾過し、(e)前記製剤を脱水し及び(f)場合により工程(e)の前記陽イオン性リポソームを水溶液中で復元し、その際、場合により工程(c)及び/又は(d)の前に限外濾過工程が含まれている工程を含む、製法。
  10. 前記タキサンから成る前記リポソーム製剤が、工程(b)から(d)又は(f)のいずれか1つの工程で約2〜約8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも約4時間物理的及び化学的に安定である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記タキサンをパクリタキセル又はドセタキセル又はその脂肪親和性誘導体から選択する、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記リポソーム製剤が約5モル%の量のパクリタキセルを含む、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記リポソーム製剤が少なくとも約5モル%の量のドセタキセルを含む、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記リポソーム製剤が少なくとも約5モル%の量のスクシニル−パクリタキセルを含む、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記リポソーム製剤が、平均粒度約50nm〜約400nm、有利には約100nm〜約300nmを有するリポソームを含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法により得られる陽イオン性リポソーム製剤。
  17. 前記リポソーム製剤が水溶液中で2〜8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間物理的及び化学的に安定であることを特徴とする、少なくとも約30モル%の少なくとも1種の陽イオン性脂質、場合により約69.9モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約2モル%の脂肪親和性活性化合物及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤。
  18. 前記リポソームが水溶液中で2〜8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間物理的及び化学的に安定であることを特徴とする、少なくとも約30モル%の少なくとも1種の陽イオン性脂質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、約5モル%のパクリタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤。
  19. 少なくとも約30モル%の少なくとも1種の陽イオン性脂質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約5モル%のドセタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤。
  20. 少なくとも約30モル%の少なくとも1種の陽イオン性脂質、場合により約65モル%までの少なくとも1種のもう一つの両親媒性物質、少なくとも約5モル%のスクシニル−パクリタキセル及び約0.1%(m/v)〜約20%(m/v)の安定化剤を含有する、陽イオン性リポソーム製剤。
  21. 前記リポソーム製剤が水溶液中で2〜8℃で少なくとも12時間及び室温で少なくとも4時間物理的及び化学的に安定であることを特徴とする、請求項19又は20に記載の製剤。
  22. 約5%(m/v)〜約15%(m/v)の範囲の安定化剤を含む、請求項16から21に記載の製剤。
  23. 前記リポソーム製剤が、平均粒度約50nm〜約400nm、有利には約100nm〜約300nmを有するリポソームを含む、請求項16から22に記載の製剤。
  24. 前記リポソーム製剤が、約0.05M KCl溶液中で約pH7.5で室温で正のゼータポテンシャルを有するリポソームを含む、請求項16から23に記載の製剤。
  25. 請求項16から24のいずれか1項に記載のリポソーム製剤を製薬的に認容性のキャリア、希釈剤及び/又は佐剤と一緒に含有する医薬組成物。
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