JP2012070147A - スピーカー - Google Patents

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Teishun Hisamoto
禎俊 久本
Yasuhei Okada
泰平 岡田
Hiroyasu Kumo
浩靖 雲
Takeshi Fujitani
武士 藤谷
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Abstract

【課題】 第1振動板と、第2振動板と、ボイスコイルのボビンとを連結した二重振動板構造のスピーカー振動系の剛性が高く、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカーを提供する。
【解決手段】 スピーカーは、第1振動板と、第1振動板の背面側に配置されてその外周側で第1振動板の外周側と連結する第2振動板と、略円筒形状のボビンを含むボイスコイルと、を備え、第1振動板が、略コーン形状の基体の外周端部から折り返されるように延設されて前面側に凸状の稜線部を規定して稜線部の背面側に係合凹部を規定する係合鍔部を有し、第2振動板が、ボビンに連結する内周部を含む基体と、基体の内周部から径方向外側に延設されてその外周端部で第1振動板の係合凹部に係合する係合部と、内周部と係合部との間の位置に基体に複数の貫通孔を規定する縁立て部と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軽量で剛性が高く、ピストン振動帯域が広い振動板を用いたスピーカーに関し、特に、音波を放射する前面側に配置される第1振動板と、第1振動板の背面側に配置される第2振動板と、第1振動板および第2振動板が連結するボイスコイルのボビンと、を含む二重振動板構造のスピーカー振動系を有するスピーカーに関する。
スピーカーでは、円筒状のボイスコイルボビンの円筒側面に、スピーカー振動板(特に、コーン型振動板)の内周端を接着剤で接着する組立構造が多用されている。従来のスピーカーにおいては、この組立構造に工夫をして組立工数の削減を図ろうとするものがある。また、コーン型振動板、あるいはドーム型振動板を備えるスピーカーにおいて、前面側に露出する振動板とは別にその背後にコーン形状の振動板を設けて、スピーカー振動系の強度を向上させる二重振動板構造を採用する場合がある。
従来には、例えば、磁気回路の磁気ギャップにはめこまれるボイスコイルに振動板の中央部を結合してなるスピーカーにおいて、上記振動板は、半頂角および曲率のいずれか一方が異なる2枚以上のコーンを用いて構成されていることを特徴とするスピーカーがある(特許文献1)。また、本願発明の出願人による二重振動板構造のスピーカーとして、半頂角が異なる2枚のコーン形の振動板基材の夫々の外周部位が相互に接着されて共通のエッジ部材の内周に結合されるとともに、前記振動板基材の夫々の内周部位は相互に隙間を隔てて共通のボイスコイルのボビンに結合されており、前記2枚の振動板基材の隙間にコアー材を充填させた構造の振動板を、前記エッジを介してフレームに保持せしめたことを特徴とするスピーカーがある(特許文献2)。
また、振動板形状が正面縦断面でその曲面が下方にドーム状に突出した逆ドーム型スピーカーにおいて、振動板1が熱可塑性樹脂を主材としたインジェクション成型からなり、振動板1の背面に同心円状の複数のリング状のリブ15a,15b,15c,15d〜からなるリブ群15を設け、前記リブ群15の一つをガイドとしてボイスコイルボビン2を振動板1に固着し、かつ、ボイスコイルボビン2と前記リブ群15の他の一つのリブとの間にリング状のスロート22を配設するスピーカーがある(特許文献3)。また、スピーカーフレームの中央底部に直立させたボイスコイルボビンの外周にサブコーン振動体を止着し、少なくともこのサブコーン振動体の先端拡開部を平板状振動板に止着し、この平板状振動板を前記スピーカーフレームに弾性的に保持させてなる平板型スピーカー装置において、前記サブコーン振動体を2個以上の切片により構成し、サブコーン振動体の各切片の先端拡開部を前記平板状振動板の振動の節円部の一部に止着してなることを特徴とする平板形スピーカー装置がある(特許文献4)。
また、本願発明の出願人による二重振動板構造ではないスピーカー振動板は、第1振動板部分5と、第1振動板部分5と一体成形された第2振動板部分6と、第1振動板部分5と第2振動板部分6との結合部の背面側に突出して設けられボイスコイルボビンの一端が取り付けられる取付部7とを備え、第1振動板部分5および第2振動板部分6が、基材に熱硬化性樹脂が含浸されてなり、取付部7が、熱硬化性樹脂が硬化されて成形されている(特許文献5)。また、基体と、基体の片側に配置され、ポリエチレンナフタレート繊維の織布を含む表面材とを有するスピーカー振動板がある(特許文献6)。これらのスピーカー振動板は、ボイスコイルボビンからの駆動力の伝達ロスを低減させ、特に後者の場合にはヤング率と内部損失とのバランスに優れたスピーカー振動板を実現するので、これを用いたスピーカーは、S/N比を改善することができる。
特開昭63−155900号公報 (第1図) 実開昭62−68394号公報 (第1図〜第3図) 特開平9−247791号公報 (第3図) 特開昭59−171399号公報 (第4図〜第8図) 特許第3846497号公報 (第1図〜第4図) 特開2007−259261号公報
ただし、従来の二重振動板構造のスピーカー振動系では、十分ではない。前面側の第1振動板と背面側の第2振動板とを備えることで、その重量が重くなりがちな二重振動板構造のスピーカー振動系は、スピーカーの再生能率を高めるには全体的に軽量化を図る必要がある。二重振動板構造のスピーカー振動系は、前面側の第1振動板と背面側の第2振動板とをそれぞれ最適に設計しなければ、軽量化することで剛性が不足すると、それぞれの振動板での分割振動モードの影響が低い周波数で現れてしまうという問題がある。つまり、ボイスコイルのボビンを含めて第1振動板と第2振動板を組み合わせた二重振動板構造のスピーカー振動系は、連結した構造体としての剛性が低くなると、音圧周波数特性上のピーク・ディップが大きくなり、ピストン振動領域が狭くなって再生音質の低下を招く場合があるという問題がある。特に、前面側の第1振動板が織布を含む表面材を有する場合には、経糸および緯糸の方向には強く、その間の斜め45度の角度方向には弱いという織布の材料異方性により、第1振動板の分割振動モードの影響が大きくなるという問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、第1振動板と、第2振動板と、ボイスコイルのボビンとを連結した二重振動板構造のスピーカー振動系の剛性が高く、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカーを提供することにある。
本発明のスピーカーは、音波を放射する前面側に配置される略コーン形状の第1振動板と、第1振動板の背面側に配置されてその外周側で第1振動板の外周側と連結する略コーン形状の第2振動板と、第1振動板および第2振動板の内周側がそれぞれ離隔して連結する略円筒形状のボビンを含むボイスコイルと、を備え、第1振動板が、略コーン形状の基体の外周端部から折り返されるように延設されて前面側に凸状の稜線部を規定して稜線部の背面側に係合凹部を規定する係合鍔部を有し、第2振動板が、ボビンに連結する内周部を含む基体と、基体の内周部から径方向外側に延設されてその外周端部で第1振動板の係合凹部に係合する係合部と、内周部と係合部との間の位置に基体に複数の貫通孔を規定する縁立て部と、を有する。
好ましくは、本発明のスピーカーは、第2振動板の縁立て部が規定する貫通孔が、径方向に長い長円形または、径方向に長い長楕形である。
好ましくは、本発明のスピーカーは、第2振動板の縁立て部の高さが、貫通孔の全周囲に渡って第2振動板の基体の厚みよりも大きく形成されている。
また、好ましくは、本発明のスピーカーは、第2振動板の隣り合う2つの貫通孔を規定する縁立て部のそれぞれが、近接して第2振動板の剛性が高めるリブを形成する。
また、好ましくは、本発明のスピーカーは、第1振動板が、繊維からなる織布もしくは不織布を含む基材に不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性樹脂が含浸されて成形される基体を、または、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする基体を、有し、第2振動板が、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする基体を有する。
さらに好ましくは、本発明のスピーカーは、第1振動板が、その基体の前面側に接着されて経糸および緯糸を含む平織、綾(斜文)織、繻子(朱子)織のいずれかからなる織布を含む表面材を、さらに有する。
また、好ましくは、本発明のスピーカーは、ボイスコイルのボビンにその内周端部が連結するダンパーと、エッジの外周部ならびにダンパーの外周端部が連結するフレームと、フレームが連結されて、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のスピーカーは、音波を放射する前面側に配置される略コーン形状の第1振動板と、第1振動板の背面側に配置されてその外周側で第1振動板の外周側と連結する略コーン形状の第2振動板と、第1振動板および第2振動板の内周側がそれぞれ離隔して連結する略円筒形状のボビンを含むボイスコイルと、を備える。また、好ましくは、本発明のスピーカーは、フレームに連結する外周部と、第1振動板または第2振動板の外周側に連結する内周部と、外周部と内周部との間に規定される支持可動部と、を有するエッジと、ボイスコイルのボビンにその内周端部が連結するダンパーと、エッジの外周部ならびにダンパーの外周端部が連結するフレームと、フレームが連結されて、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備える。したがって、本発明のスピーカーは、二重振動板構造のスピーカー振動系を有する動電型のスピーカーである。
第1振動板は、その外周端部から折り返されるように延設されて前面側に凸状の稜線部を規定して稜線部の背面側に係合凹部を規定する係合鍔部を有する。第1振動板の係合鍔部は、第1振動板の外周側の強度を高めるとともに、エッジが有する環状凹部に係合する。また、第2振動板は、その外周端部に第1振動板の係合凹部に係合する係合部を有し、ここに塗布される第1接着剤で第1振動板と第2振動板とが連結される。したがって、第1振動板および第2振動板は、その内周側がそれぞれ離隔して略円筒形状のボイスコイルのボビンと連結するので、断面が略三角形の強固な構造体となるスピーカー振動系を構成する。なお、第1振動板は、略コーン形状の基体の内周側に、ボビンの端部に連結する連結部と、連結部の内周側を覆う中央部と、を、基体と一体に成形して備えるドーム形状、あるいは、ダストキャップ一体のコーン形状であってもよい。
ここで、第2振動板は、内周部と係合部との間の位置に基体に複数の貫通孔を規定する縁立て部を、さらに有する。つまり、第2振動板の基体には、縁立て部により規定される貫通孔が設けられており、好ましくは、これらの貫通孔は、径方向に長い長円形または、径方向に長い長楕形である。第2振動板の縁立て部は、貫通孔を規定して第2振動板を軽量化する一方で、実質的な第2振動板の振動板面積を減少させて、第2振動板からの放射音を低減させることができる。また、第2振動板の縁立て部の高さは、貫通孔の全周囲に渡って第2振動板の基体の厚みよりも大きく形成されていれば、複数の貫通孔を有する第2振動板であっても、十分に剛性を高めることができる。第2振動板の隣り合う2つの貫通孔を規定する縁立て部のそれぞれが近接する場合には、第2振動板の剛性が高めるリブを形成することができる。さらに、第2振動板に複数の貫通孔を規定する縁立て部を設けることで、第2振動板の剛性に任意の異方性を与えることができる。
また、具体的には、第1振動板は、繊維からなる織布もしくは不織布を含む基材に不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性樹脂が含浸されて基体が成形されたスピーカー振動板であるか、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする基体が成形されたスピーカー振動板であり、好ましくは、平織、綾(斜文)織、繻子(朱子)織のいずれかからなる絹繊維またはポリエチレンナフタレート繊維の織布を含む表面材を、前面側に更に備えている。また、第2振動板は、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする基体が成形されたスピーカー振動板である。
本発明の二重振動板構造のスピーカー振動系は、エッジの内周部が連結する部分として規定される第2振動板の外周縁部が、第1振動板との間に、第2振動板の係合部から内周側に向かうにつれて離隔する距離が大きくなる離隔空間を形成する。この離隔空間を設けることで、前面側で音波を放射する第1振動板の外周側を、第1振動板より分割振動する周波数が高いさらに強固な第2振動板の外周側が補強するという構造が実現され、外周側が分割振動を始めるモードの周波数をより高い周波数に押し上げて、ピストン振動領域を拡げることができる。
また、第2振動板に複数の貫通孔を規定する縁立て部を設けることで、第2振動板の剛性に任意の異方性を与えることができるので、前面側の第1振動板が織布を含む表面材を有する場合に、経糸および緯糸の方向には強く、その間の斜め45度の角度方向には弱いという織布の材料異方性により、第1振動板の分割振動モードの影響が大きくなる場合であっても、第1振動板の剛性が弱い方向と第2振動板の剛性が強い方向とを一致させるように、第1振動板および第2振動板を配置することにより、相互に分割振動を抑制して、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカーを実現することができる。
本発明のスピーカーは、二重振動板構造のスピーカー振動系の剛性が高く、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカーを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1について説明する図である。(実施例1) 本発明のスピーカー1のスピーカー振動系について説明する要部拡大図である。(実施例1) 本発明の実施例のスピーカー1のスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。(実施例1) 本発明のスピーカー1の音響特性を説明するグラフである。(実施例1) 比較例のスピーカー100のスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。(比較例1) 比較例のスピーカー100の音響特性を説明するグラフである。(比較例1) 本発明の他の実施例のスピーカー1aのスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。(実施例2) 本発明の他の実施例のスピーカー1bのスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。(実施例3) 本発明のスピーカー1cの第1振動板5について説明する平面図である。(実施例4) 本発明のスピーカー1cおよび比較例のスピーカー100cの振動モードを説明する図である。(実施例4、比較例2)
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1の概略断面図である。また、図2は、スピーカー1のスピーカー振動系について説明する要部拡大図であり、図1に図示するX部分を拡大した断面図である。また、図3は、スピーカー1のスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。なお、後述するように、スピーカー1の一部の構造や内部構造等は、省略している。また、スピーカー1では、第1振動板であるスピーカー振動板5が露出する図示する上方が前面側であり、磁気回路10が取り付けられている図示する下方が背面側である。
スピーカー1は、砲弾状のイコライザー9を備える口径が約15cmの動電型のスピーカーであって、音波を放射する前面側に配置される略コーン形状の第1振動板5と、第1振動板5の背面側に配置されてその外周側で第1振動板5の外周側と連結する略コーン形状の第2振動板6と、第1振動板5および第2振動板6の内周側がそれぞれ離隔して連結する略円筒形状のボイスコイルボビン2と、ボイスコイルボビン2の下端部に巻回されたボイスコイル3とを有し、これらが、二重振動板構造のスピーカー振動系を構成する。ボイスコイルボビン2およびボイスコイル3は、フレーム8に固定された磁気回路10の磁気空隙に配され、入力信号に応じて磁気空隙内を変位することにより、このスピーカー1の二重振動板構造のスピーカー振動系を駆動する。また、このスピーカー1の二重振動板構造のスピーカー振動系は、フレーム8に外周側を固定されたダンパー4およびエッジ7により、図示する上下方向に振動可能に支持されている。
ボイスコイルボビン2は、例えば、材厚が0.05mmのアルミニウムからなり、その下端部にボイスコイル3が巻回されて、ボイスコイル3が巻回されていない外側曲面には補強紙が巻かれて、全体として直径約39.0mmの円筒形状に成形されている。ボイスコイルボビン2は、他にも、ポリイミドフィルム、ジュラルミン、シルター、キャプトン等で形成されていても良い。ボイスコイル3には、錦糸線(図示しない)がハンダづけされて固定されており、錦糸線の他端側がフレーム8に固定される(図示しない)ターミナルに導通するように固定される。ボイスコイル3には、これらのターミナル及び錦糸線を介して音声信号電流が供給される。
ボイスコイルボビン2の外側曲面には、ダンパー4の内径端が接着剤で連結される。ダンパー4の外径端は、フレーム8のダンパー固定部に接着固定される。ダンパー4は、柔軟性を有する繊維の織布を基材としてフェノール樹脂等の樹脂を含浸して成形する円環形状のコルゲーションダンパーであればよく、また、他の材料で形成するものであってもよい。例えば、内周側リングと外周側リングを連結するアームを有し、金属または樹脂で形成する蝶ダンパーであってもよい。また、フレーム8は、バスケット状に形成されるアルミダイカストのフレームであり、磁気回路10に複数のネジで連結される。なお、フレーム8は、二重振動板構造のスピーカー振動系に対応してバスケット状にプレス成型された鉄板フレームであってもよい。
磁気回路10は、フレーム8に固定される円環形のトッププレート11と、円筒形状であってトッププレート11の中央に形成された円形孔に挿入されるセンターポールおよび平板状のアンダープレートを有するポール12と、円環状のマグネット13と、から構成される。トッププレート11およびポール12は、均等な幅を有する円形の磁気空隙を形成する。マグネット13は、トッププレート11およびポール12のアンダープレートの間に狭持されるように接着される。本実施例のマグネット13は、フェライト系磁石であり、残留磁化および保磁力がさらに大きく、小さい体積でも保磁力の強いNd−Fe−B系の希土類磁石であってもよい。本実施例の磁気回路10は、ポール12のアンダープレートの背面側にマグネット13とは逆方向の磁極性を有するように着磁されて連結されるキャンセルマグネット14と、キャンセルマグネット14の背面側から磁気回路10の全体を覆うように磁気シールドするカバー15と、をさらに備える。
イコライザー9は、本実施例ではアルミニウムを含む合金で形成される砲弾形状の部材であり、尖った先端側が第1振動板5のネック部分から突出するように磁気回路10のポール12のセンターポールに連結されて固定される。イコライザー9は、ボイスコイルボビン2が形成する円筒状の内部空間と略コーン形状の第1振動板5が囲む空間の一部とを埋めてこれらの空間を占める空気を排除するとともに、指向特性を整えて音圧周波数特性を平坦にする。なお、磁気回路10に連結するイコライザー9は、真鍮、あるいは、樹脂といった非磁性の部材で形成するのが好ましい。
第1振動板5は、二重振動板構造のスピーカー振動系を有するスピーカー1を前面視した場合に前面側に露出する振動板であって、断面形状が滑らかに連続する曲線で規定される略コーン形状の振動板であり、略コーン形状の振動板部分5aと、その外周端部から折り返されるように延設される係合鍔部5bを有する。略コーン形状の振動板部分5aは、内径寸法が直径約39.5mmであり、外径寸法が直径約113.5mmであり、高さが約26.8mmである。約1.5mmの長さの係合鍔部5bは、図2に図示するように、前面側に凸状の稜線部5cを規定するとともに、稜線部5cの背面側に係合凹部5dを規定する。第1振動板5の内径端は、ボイスコイルボビン2の外側曲面にアクリル系の接着剤で連結される。
本実施例の第1振動板5は、無機繊維もしくは天然繊維からなる織布層又は不織布層を含む積層体である基材に熱硬化性樹脂が含浸されて形成された基体(振動板部分5a、係合鍔部5b、稜線部5c、係合凹部5dを含む。)と、この基体の前面側に接着される表面材5eを備える。具体的には、基体は、テクノーラ繊維の不織布を2層積層して、不飽和ポリエステル樹脂を含浸して熱プレス成形して得られる。不飽和ポリエステルは、硬化速度が速く、硬化温度が低いので、短時間の熱プレス成形で基体を製造することができる。また、表面材5eは、この基体に熱可塑性接着剤を塗布して乾燥させたものに、PEN繊維の織布を沿わせこれらを熱プレス成形して一体化する。
第2振動板6は、二重振動板構造のスピーカー振動系を有するスピーカー1を前面視した場合に背面側に隠れる振動板であって、断面形状が滑らかに連続する第1振動板5とは異なるR曲線と直線とで規定される略コーン形状の振動板である。第2振動板6は、抄紙されて形成された紙材の基体を有し、略コーン形状の振動板部分6aは、内径寸法が直径約39.5mmであり、外径寸法が直径約111.5mmであり、高さが約31.2mmであり、基体の厚みが平均で約0.4mmである。また、第2振動板6は、図3の背面側からの一部断面図に図示するように、中心から見た放射方向の4方向に貫通孔6eを規定する縁立て部6dを含む基体を有する振動板であり、略コーン形状の振動板部分6aは、内周部6cから径方向外側に延設されている。第2振動板6の内周部6cは、ボイスコイルボビン2の外側曲面にアクリル系の接着剤により第1振動板5の内径端と離隔するように連結される。第2振動板6は、振動板部分6aの外周端部に、第1振動板5の係合凹部5dに係合する係合部6bを有する。
第2振動板6の振動板部分6aに形成される4つの貫通孔6eは、内周部6cと係合部6bとの間の位置に設けられており、それぞれ振動板部分6aから切り起こされるように形成される縁立て部6dにより規定される。第2振動板6の縁立て部6dおよび貫通孔6eは、振動板部分6aをプレス成形する際に同時に形成される。縁立て部6dの高さは、振動板部分6aの中央付近で最も大きくなり、貫通孔6eの全周囲に渡る間に変化するものの、全周囲に渡って第2振動板6の基体の厚みよりも大きく形成されている。本実施例では、貫通孔6eは、径方向に細長い長円形になっている。第2振動板6は、面積の大きい4つの貫通孔6eが規定されることで、貫通孔6eを有しない場合に比較して軽量化されている。また、第2振動板6では、振動板部分6aに縁立て部6dを設けると、隣り合う貫通孔6eとの間の部分の断面が概略コの字形状を有するリブとして機能するので、ボイスコイルボビン2からと第1振動板5の係合凹部5dまでの間を補強することができる。
エッジ7は、二重振動板構造のスピーカー振動系を振動可能に支持する円環形状、あるいは、リング状のコルゲーションエッジであって、フレーム8のエッジ固定部に接着固定される外周部7aと、第2振動板6の外周側に背面側から連結する内周部7bと、外周部7aと内周部7bとの間にコルゲーションを形成する支持可動部7cと、支持可動部7cのコルゲーションの最も内周側に前面側から第1振動板5の係合鍔部5bが係合する環状凹部7dと、を有する。本実施例のエッジ7は、柔軟性を有するポリエステルの超極細繊維からなるスエード調人工皮革を加圧加熱して形成したものであり、外周部7aの前面側に紙材のガスケット7eが接着されている。なお、本実施例のエッジ7の支持可動部7cは、外周側から内周側に向かうにつれて前方に凸状となる山部の高さが小さくなるコルゲーションを有している。
図2に示すように、第1振動板5の振動板部分5aの外周端部には、基材ないし熱硬化性樹脂を含む係合鍔部5bが形成されている。係合鍔部5bは、振動板部分5aの外周側端部において振動板部分5aを補強して外周側の強度を高めるリブとして機能するとともに、振動板部分5aの略コーン形状とは反対側に折り返した鍔部として形成されているので、前面側に凸状の稜線部5cを規定し、そして、稜線部5cの背面側に係合凹部5dを規定する。本実施例のスピーカー1の場合には、第2振動板6が、その外周端部に、第1振動板5の係合凹部5dに係合する4つの係合部6bを有し、また、エッジ7の内周部7bが接着固定されるので、第1振動板5の係合鍔部5bは、エッジ7のコルゲーションが形成する支持可動部7cの環状凹部7dに係合する。
すなわち、本実施例のスピーカー1では、第2振動板6およびエッジ7が形成する振動系に第1振動板5の外周端部を接着する工程において、第1振動板5の係合鍔部5bがエッジ7のコルゲーションが形成する環状凹部5dに係合するようにすれば、第1振動板5を傾かせることなくボイスコイルボビン2、および、第2振動板6に接着することができる。第2振動板6は、その外周端部に第1振動板5の係合凹部5dに係合する係合部6bを有するので、ここに第1接着剤Ad1を塗布すると、第1振動板5と第2振動板6とが連結される。図1に示すように、第1振動板5および第2振動板6は、その内周側がそれぞれ離隔して略円筒形状のボイスコイルボビン2と連結するので、断面が略三角形の強固な構造体となる二重振動板構造のスピーカー振動系を構成する。
また、本実施例のスピーカー1の二重振動板構造のスピーカー振動系は、エッジ7の内周部7bが連結する部分として規定される第2振動板6の外周縁部が、第1振動板5との間に、第2振動板6の係合部6bから内周側に向かうにつれて離隔する距離が大きくなる離隔空間Yを形成する。離隔空間Yは、図2に図示するように、第1振動板5の背面と第2振動板6の前面との間に規定される断面が鋭角な三角形状の空間である。この離隔空間Yを設けることで、前面側で音波を放射する第1振動板5の外周側を、第1振動板5より分割振動する周波数が高いさらに強固な第2振動板6の外周側が補強するという構造が実現される。
第1振動板5の係合凹部5dと、ここに係合する第2振動板6の係合部6bに塗布する第1接着剤Ad1は、本実施例の場合には、ゴム系接着剤であり、接着剤が硬化したのちのヤング率が相対的に大きく、硬度が大きくて硬く、内部損失が小さな接着剤である。また、本実施例の場合には、第1振動板5と第2振動板6との間に規定される離隔空間Yに、第1接着剤Ad1とは異なる第2接着剤Ad2が塗布されて充填される。第2接着剤Ad2は、アクリル樹脂エマルジョン接着剤であり、接着剤が硬化したのちのヤング率が相対的に小さく、硬度が小さくて軟らかく、内部損失が大きな接着剤である。例えば、本実施例の場合の第1接着剤Ad1は、接着剤が硬化したのちのヤング率が7.3E+8Paであり、また、接着剤が硬化したのちの内部損失が0.161であり、JIS K 6253準拠のタイプAのデュロメータで硬度が約27ポイントである。一方、第2接着剤Ad2は、接着剤が硬化したのちのヤング率が6.5E+7Paであり、また、接着剤が硬化したのちの内部損失が0.30であり、硬度が約8ポイントである。つまり、第1接着剤Ad1の方が、第2接着剤Ad2よりも相対的に硬い接着剤である。なお、第1接着剤Ad1と第2接着剤Ad2とは、混じり合わないように分離して塗布されるのが好ましい。
一般の二重振動板構造のスピーカー振動系では、第1振動板5の背後側に第2振動板6を配置する都合上、スピーカー振動系の総重量が重くなり、結果的に能率の低いスピーカーになるという問題がある。ただし、本実施例のスピーカー1では、第2振動板6に貫通孔6eが設けられることにより、第2振動板6を軽量化できるという利点がある。また、第2振動板6は、貫通孔6eを規定するように構成されるので、実質的な第2振動板6の振動板面積が減少する。その結果、本実施例のスピーカー1の二重振動板構造では、第2振動板6からの不要な放射音を低減させることができるという利点がある。
図4は、本発明のスピーカー1の音響特性を説明するグラフである。図3に示すように、本実施例のスピーカー1を構成する第2振動板6では、強度が最も低下すると予想される隣り合う貫通孔6eの近接部で最も縁立て部6dの幅及び高さが大きく、そこから内周部6cおよび外周側の係合部6bに移るにしたがって小さくなるような形状としている。その結果、図4に示す音圧周波数特性では、約中音域(約800Hz付近)での乱れが少ない平坦な特性が得られている。
(比較例1)
図5は、比較例の(図示しない)スピーカー100のスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。比較例のスピーカー100は、実施例のスピーカー1と第2振動板60の構成が異なる他は、共通する構成を有するスピーカーである。したがって、共通するボイスコイルボビン2、ボイスコイル3、ダンパー4、第1振動板5、エッジ7、フレーム8、イコライザー9、磁気回路10については、説明を省略する。
比較例の第2振動板60は、二重振動板構造のスピーカー振動系を有するスピーカー1を前面視した場合に背面側に隠れる振動板であって、コーン形状の振動板部分6aの形状寸法と、4つの貫通孔6eの配置及び形状が、先の実施例での第2振動板6と共通する振動板である。第2振動板60が先の実施例での第2振動板6と相違する点は、実施例の第2振動板6の4つの貫通孔6eの周囲には貫通孔6eを規定する縁立て部6dが規定されているのに対して、比較例の第2振動板60の4つの貫通孔6eの周囲には縁立て部が規定されていない点である。
図6は、比較例のスピーカー100の音響特性を説明するグラフである。図5に示すように、比較例のスピーカー100を構成する第2振動板60では、強度が最も低下すると予想される隣り合う貫通孔6eの近接部分において、実施例のような縁立て部が設けられていないので、第2振動板60を軽量化できているものの、細くなった振動板部分6aの強度が十分でなくなっている。その結果、図6に示す音圧周波数特性では、約中音域(約800Hz付近)で分割振動を生じるので、ピーク・ディップが生じて平坦な特性が得られていない。
図7は、本発明の他の好ましい実施形態による(図示しない)スピーカー1aのスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。本実施例のスピーカー1aは、実施例のスピーカー1と第2振動板61の構成が異なる他は、共通する構成を有するスピーカーである。したがって、他の共通する構成については、説明ないし図示を省略する。
本実施例の第2振動板61は、先の実施例における第2振動板6に比較して、貫通孔6eを規定する縁立て部6daの形状が異なる他は、共通する振動板である。先の実施例では、第2振動板6の縁立て部6dは、その幅及び高さが振動板部分6aの中央付近で最も大きくなり、貫通孔6eの全周囲に渡る間に変化するようになっているのに対し、本実施例の第2振動板61の縁立て部6daの高さは、貫通孔6eの全周囲に渡って同一で、約5mmである。本実施例の場合にも、振動板部分6aに設けられる縁立て部6daが、隣り合う貫通孔6eとの間の部分の断面が概略コの字形状になるリブとして機能するので、ボイスコイルボビン2からと第1振動板5の係合凹部5dまでの間を補強することができる。
したがって、本実施例のスピーカー1aにおいても、約中音域での乱れが少ない音響特性が得られる。本実施例のスピーカー1の第2振動板61では、縁立て部6daで規定される貫通孔6eを有するようにすることで、第2振動板61を軽量化する一方で、実質的な第2振動板61の振動板面積を減少させて、第2振動板61からの放射音を低減させることができる。
図8は、本発明の他の好ましい実施形態による(図示しない)スピーカー1bのスピーカー振動系について説明する一部断面斜視図である。本実施例のスピーカー1bは、実施例のスピーカー1と第2振動板62の構成が異なる他は、共通する構成を有するスピーカーである。したがって、他の共通する構成については、説明ないし図示を省略する。
本実施例の第2振動板62は、先の実施例における第2振動板6に比較して、貫通孔6eを規定する縁立て部6dbの形状が異なる他は、共通する振動板である。先の実施例では、第2振動板6の縁立て部6dは、その幅及び高さが振動板部分6aの中央付近で最も大きくなり約5mmであるのに対し、貫通孔6eの全周囲に渡る間に外周側の係合部6bまたは内周側の内周部6cに近づくと低くなり、長円の端部で約1mmであって、第2振動板62の基体の厚みよりも大きい。本実施例の場合にも、振動板部分6aに設けられる縁立て部6dbが、隣り合う貫通孔6eとの間の部分の断面が概略コの字形状になるリブとして機能するので、ボイスコイルボビン2からと第1振動板5の係合凹部5dまでの間を補強することができる。
したがって、本実施例のスピーカー1bにおいても、約中音域での乱れが少ない音響特性が得られる。本実施例のスピーカー1の第2振動板62では、縁立て部6dbで規定される貫通孔6eを有するようにすることで、第2振動板62を軽量化する一方で、実質的な第2振動板62の振動板面積を減少させて、第2振動板62からの放射音を低減させることができる。
図9は、本発明の他の好ましい実施形態による(図示しない)スピーカー1cの(図示しない)第1振動板50について説明する平面図である。本実施例のスピーカー1cは、先の実施例のスピーカー1と第1振動板50の構成が異なる他は、共通する構成を有するスピーカーである。したがって、他の共通する構成については、説明ないし図示を省略する。
本実施例の第1振動板50は、先の実施例における第1振動板5と、無機繊維もしくは天然繊維からなる織布層又は不織布層を含む積層体である基材に熱硬化性樹脂が含浸されて形成された基体(振動板部分5a、係合鍔部5b、稜線部5c、係合凹部5dを含む。)を備える点で共通し、この基体の前面側に接着される異なる表面材50eを備える点で相違する。具体的には、本実施例の表面材50eは、図9に図示するような、経糸もしくは緯糸の方向に異方性を有するPEN繊維の平織の織布から構成されている。第1振動板50は、この基体に熱可塑性接着剤を塗布して乾燥させたものに、PEN繊維の平織の織布を沿わせ、これらを熱プレス成形して一体化する。したがって、平織のPEN繊維の織布を含む表面材50eを有する第1振動板5は、織布の経糸もしくは緯糸の方向(図9のdx1方向、dx2方向)には強く、織布の経糸および緯糸の方向の間の斜め45度の角度方向(図9のdy1方向、dy2方向)には弱い、という異方性を有する。
また、本実施例における第2振動板6は、中心点に対して回転対称の4方向に貫通孔6eが規定されている。第2振動板6の振動板部分6aに形成される4つの貫通孔6eは、内周部6cと係合部6bとの間の位置に設けられており、それぞれ振動板部分6aから切り起こされるように形成される縁立て部6dにより規定される。したがって、第2振動板6も、残る4つの振動板部分6aおよび係合部6bの方向に強く、4つの貫通孔6eの方向には弱い、という異方性を有する。
本実施例のスピーカー1cの二重振動板構造のスピーカー振動系では、平織のPEN繊維の織布を含む表面材50eを有して異方性を有する第1振動板50と、4つの振動板部分6aの方向に強く、4つの貫通孔6eの方向には弱い、という異方性を有する切り欠かれた第2振動板6とが、互いに補強し合う関係になるように配置されている。すなわち、第2振動板6の4つの振動板部分6aおよび係合部6bが、基体の中心点に対して回転対称に4方向に形成されているので、それぞれの第2振動板6の係合部6bと中心点を結ぶ直線が、第1振動板50の表面材50eを構成する織布の経糸もしくは緯糸の方向(図9のdx1方向、dx2方向)と、約45度ずれるように、第1振動板50および第2振動板6が配置されている。言い換えると、それぞれの第2振動板6の係合部6bと中心点を結ぶ直線が、第1振動板50の表面材50eを構成する織布の経糸および緯糸の方向の間の斜め45度の角度方向(図9のdy1方向、dy2方向)と、一致するように、第1振動板50および第2振動板6が配置されている。
つまり、スピーカー1cの二重振動板構造のスピーカー振動系では、異方性を有する第1振動板50の弱い方向である織り方向に沿わない方向(経糸および緯糸の間の斜め45度の角度方向:図9のdy1方向、dy2方向)と、異方性を有する第2振動板6の強い方向である4つの振動板部分6aの方向と、を一致させるように第1振動板50および第2振動板6が配置されている。これは、第1振動板50の剛性が弱い方向と第2振動板6の剛性が強い方向とが一致するように、第1振動板50および第2振動板6を配置する、という関係になる。したがって、経糸および緯糸の方向には強く、その間の斜め45度の角度方向には弱いという表面材50eを構成する織布の材料異方性により、第1振動板50の分割振動モードの影響が大きくなる場合であっても、異方性を有する第2振動板6により相互に分割振動を抑制して、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少ない再生音質に優れたスピーカー1cを実現することができる。
図10は、本発明のスピーカー1cおよび比較例の(図示しない)スピーカー100cの振動モードを説明する図である。比較例のスピーカー100cは、本実施例のスピーカー1cに対比して、第2振動板6を有しない二重振動板構造ではないスピーカー振動系を有する動電型のスピーカーである。比較例のスピーカー100cのスピーカー振動系は、第2振動板6を有しない点のみで相違する。
図10(a)に示すように、本実施例のスピーカー1cでは、ボイスコイルボビン2と第1振動板50および第2振動板6とが構成する二重振動板構造のスピーカー振動系において、第1振動板50の表面材50eの異方性を打ち消すべく補強するように第2振動板6が配置されているので、表面材50eが等方性である場合のような略同心円状の振動モード分布が見られる。一方、図10(b)に示すように、比較例のスピーカー100cでは、第1振動板50を補強する第2振動板6が配置されていないので、第1振動板50の表面材50eの異方性が顕著に表れて4回転対称の振動モード分布が低い周波数から現れる。したがって、比較例のスピーカー100cでは、スピーカー振動系のピストン振動領域が狭くなり、スピーカー振動系の動作が不安定になる。
なお、第1振動板5または50の基体を構成する基材は、用途および目的に応じて、任意の適切な織布または不織布と、任意の適切な熱硬化性樹脂とが採用され得る。基材は、織布または不織布単独であってもよく、複数の不織布を有する積層体、あるいは織布と不織布との積層体であってもよい。不織布としては、代表的には、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリアリレート系繊維などが挙げられる。織布としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などが挙げられる。また、織布または不織布の繊維は、上記のように天然繊維でも、無機繊維でもよい。
また、本実施例の第1振動板5の表面材5eまたは50eは、これを形成する異方性を有する織布が、織布の経糸、緯糸の構成比率の大きさが、約1.2以上の平織、綾織、朱紋織、繻子織、朱子織のいずれかの織布であれば、ヤング率が経緯で大きく変わり、表面材5eを備える第1振動板5は、高域での共振周波数が分散して、音圧周波数特性が平坦になりやすく、聴感上も高域のきつさがなくなり、非常に聴きやすくなる。表面材5eを形成する異方性を有する織布は、織布の経糸、緯糸の構成比率の大きさが、約1.2以上の綾(斜文)織りや繻子(朱子)織りの織布であれば、絹繊維(絹生糸、絹紡糸を含む)、綿繊維、ウール繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ポリ乳酸繊維、ガラス繊維、カーボン繊維の少なくとも1つの繊維を含むものであればよい。また、繻子(朱子)織りの場合には、平織りや綾織りに対して経糸が密で組織点がまばらに飛んでいるので、滑らかで光沢に富んだ外観が得られるので、前面側に配置される略コーン形状の第1振動板50の表面材50eに適している。
また、本実施例のスピーカー1は、砲弾状のイコライザー9を備え、円筒状のボイスコイルボビン2の上端側を覆うダストキャップを備えない動電型スピーカーであるが、このような実施形態に限定されるものではない。砲弾状のイコライザー9を備えない場合には、ボイスコイルボビン2、あるいは、第1振動板5に連結するダストキャップを備えていても良い。また、基材に熱硬化性樹脂が含浸されて成形される第1振動板5は、ダストキャップに相当する部分が一体に成形されたものであってもよい。
本発明のスピーカーの振動系は、様々な用途(家庭用、車載用)に用いられるスピーカーに好適に適用され得る。さらに、特に低周波数領域を再生するウーファー、または高周波数領域も再生するフルレンジスピーカー等、任意のスピーカーに適用され得る。また、本発明の振動系は、スピーカーのみならず、マイクロホンにも適用が可能である。
1、1a、1b、1c、100、100c スピーカー
2 ボイスコイルボビン
3 ボイスコイル
4 ダンパー
5、50 第1振動板
5a 振動板部分
5b 係合鍔部
5c 稜線部
5d 係合凹部
5e、50e 表面材
6、61、62 第2振動板
6a 振動板部分
6b 係合部
6c 内周部
6d 縁立て部
6e 貫通孔
7 エッジ
7a 外周部
7b 内周部
7c 支持可動部
7d 環状凹部
8 フレーム
9 イコライザー
10 磁気回路

Claims (7)

  1. 音波を放射する前面側に配置される略コーン形状の第1振動板と、
    該第1振動板の背面側に配置されてその外周側で該第1振動板の外周側と連結する略コーン形状の第2振動板と、
    該第1振動板および該第2振動板の内周側がそれぞれ離隔して連結する略円筒形状のボビンを含むボイスコイルと、を備え、
    該第1振動板が、略コーン形状の基体の外周端部から折り返されるように延設されて前面側に凸状の稜線部を規定して該稜線部の背面側に係合凹部を規定する係合鍔部を有し、
    該第2振動板が、該ボビンに連結する内周部を含む基体と、該基体の該内周部から径方向外側に延設されてその外周端部で該第1振動板の該係合凹部に係合する係合部と、該内周部と該係合部との間の位置に該基体に複数の貫通孔を規定する縁立て部と、を有する、
    スピーカー。
  2. 前記第2振動板の前記縁立て部が規定する前記貫通孔が、径方向に長い長円形または、径方向に長い長楕形である、
    請求項1に記載のスピーカー。
  3. 前記第2振動板の前記縁立て部の高さが、前記貫通孔の全周囲に渡って該第2振動板の前記基体の厚みよりも大きく形成されている、
    請求項1または2に記載のスピーカー。
  4. 前記第2振動板の隣り合う2つの前記貫通孔を規定する前記縁立て部のそれぞれが、近接して該第2振動板の剛性が高めるリブを形成する、
    請求項1から3のいずれかに記載のスピーカー。
  5. 前記第1振動板が、繊維からなる織布もしくは不織布を含む基材に不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性樹脂が含浸されて成形される前記基体を、または、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする基体を、有し、
    前記第2振動板が、紙繊維を抄紙して成形した紙材を基材とする前記基体を有する、
    請求項1から4のいずれかに記載のスピーカー。
  6. 前記第1振動板が、その前記基体の前面側に接着されて経糸および緯糸を含む平織、綾(斜文)織、繻子(朱子)織のいずれかからなる織布を含む表面材を、さらに有する、
    請求項1から5のいずれかに記載のスピーカー。
  7. 前記ボイスコイルの前記ボビンにその内周端部が連結するダンパーと、
    前記エッジの前記外周部ならびに該ダンパーの外周端部が連結するフレームと、
    該フレームが連結されて、該ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備える、
    請求項1から6のいずれかに記載のスピーカー。
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