JP2012068165A - 操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法 - Google Patents

操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】操縦感覚の評価を客観的に行い得る操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法を提供すること。
【解決手段】この操縦感覚評価システム1は、ステアリングホイール10の回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者によるステアリングホイール10の操作によってステアリングホイール10に作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得手段(操作力検出装置2および制御装置4のモーメント算出部41)と、操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる操舵意図特徴量を算出する操舵意図特徴量算出手段(制御装置4の操舵意図特徴量算出部42)とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法に関し、さらに詳しくは、操縦感覚の評価を客観的に行い得る操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法に関する。
新型車両や空気入りタイヤの性能評価では、運転者がステアリングホイールを操作して車両を操舵したときに感じる操縦感覚の評価が重要となる。かかる操縦感覚の評価は、一般に、運転者の官能評価(主観的評価)により行われている。しかしながら、近年では、かかる操縦感覚の評価を運転者の主観によらずに客観的に行うべき要請がある。
この点において、非特許文献1には、ステアリング操作時における左右の手の操作力を解析(手先力解析)することで、ステアリングの操作性を客観的に評価できることが示唆されている。また、特許文献1、2には、ステアリング操作時における操作力を検出する装置が記載されている。
特開2008−265528号公報 特開2008−298430号公報
社団法人自動車技術会学術講演会前刷集No.55−03,P13−16
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦感覚の評価を客観的に行い得る操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、運転者がステアリングホイールを操作して車両を操舵したときの操縦感覚を評価する操縦感覚評価システムであって、前記ステアリングホイールの回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者による前記ステアリングホイールの操作によって前記ステアリングホイールに作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得手段と、前記操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる所定の特徴量(以下、操舵意図特徴量という。)を算出する操舵意図特徴量算出手段とを備えることを特徴とする。
この操縦感覚評価システムでは、ステアリングホイールの基準軸Zo廻りのモーメントMzに基づいて操舵意図特徴量を算出するので、この操舵意図特徴量に基づいて運転者の操縦感覚を評価できる。これにより、運転者の無意識のうちの操舵意図に基づいて運転者の操縦感覚を評価できるので、運転者の操縦感覚を客観的に評価できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、相互に異なる仕様を有する複数の車両が所定の走行路を走行するときに、前記操舵意図特徴量算出手段が評価区間Sにおける前記操舵意図特徴量を各車両についてそれぞれ算出する。
この操縦感覚評価システムでは、各車両の操舵意図特徴量を比較することにより、相互に異なる仕様を有する複数の車両について、運転者の操縦感覚を容易に評価できる。これにより、各車両の仕様を客観的に評価できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、運転者による前記ステアリングホイールの操作時における車両状態量を検出する車両状態量検出手段と、前記車両状態量にかかる所定の特徴量(以下、車両状態特徴量という。)を算出する車両状態特徴量算出手段とを備える。
この操縦感覚評価システムは、車両状態特徴量V〜βに基づいて運転者の操縦感覚を評価できるので、ステアリング操作時における車両状態(車両の挙動や走行状態など)を評価に反映できる。これにより、運転者の操縦感覚をより適切に評価できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、モーメント取得手段が、運転者による前記ステアリングホイールの操作力を検出する操作力検出手段と、前記操作力に基づいて基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出するモーメント算出手段とを有する。
この操縦感覚評価システムは、ステアリングホイールの操作力を検出して基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出できるので、安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、モーメントMzの基準軸Zoが、前記ステアリングホイールの操舵角θに対応する回転座標系に属する。
この操縦感覚評価システムは、例えば、モーメント取得手段が6分力センサから成ると共にステアリングホイールの回転部に設置される構成において、運転者による操作力を後処理することなくそのまま検出して、モーメントMzを算出できる。これにより、簡易かつ安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価システムは、モーメントMzの基準軸Zoが、前記ステアリングホイールの中立時の位置を基準とした固定座標系に属する。
この操縦感覚評価システムは、モーメント取得手段が歪みゲージから成ると共にステアリングホイールの非回転部に設置される構成において、運転者による操作力を後処理することなくそのまま検出して、モーメントMzを算出できる。これにより、簡易かつ安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。
また、この発明にかかる操縦感覚評価方法は、運転者がステアリングホイールを操作して車両を操舵したときの操縦感覚を評価する操縦感覚評価方法であって、前記ステアリングホイールの回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者による前記ステアリングホイールの操作によって前記ステアリングホイールに作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得ステップと、前記操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる所定の特徴量(以下、操舵意図特徴量という。)を算出する操舵意図特徴量算出ステップと、前記操舵意図特徴量に基づいて前記操縦感覚を評価する操縦感覚評価ステップとを備えることを特徴とする。
この発明にかかる操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法によれば、操縦感覚の評価を客観的に行い得る利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムを示す構成図である。 図2は、図1に記載した操縦感覚評価システムの作用を示すフローチャートである。 図3は、車両のステアリングホイールを示す平面図である。 図4は、図1に記載した操縦感覚評価システムの作用を示す説明図である。 図5は、図1に記載した操縦感覚評価システムの作用を示す説明図である。 図6は、図1に記載した操縦感覚評価システムの変形例を示す説明図である。 図7は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムの評価試験における試験結果を示す表である。 図8は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムの評価試験の方法を示す説明図である。 図9は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムの評価試験の方法を示す説明図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[操縦感覚評価システム]
図1は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムを示す構成図である。図2は、図1に記載した操縦感覚評価システムの作用を示すフローチャートである。図3は、車両のステアリングホイールを示す平面図である。図4および図5は、図1に記載した操縦感覚評価システムの作用を示す説明図である。
この操縦感覚評価システム1は、運転者がステアリングホイール10を操作して車両を操舵したときに感じる操縦感覚を評価する装置である。
ここで、操縦感覚とは、運転者がステアリングホイール10を操作して車両を操舵したときに感じる車両の運転し易さ(意のまま感)をいい、例えば、旋回走行時やレーンチェンジ時におけるステアリング操作性や操縦安定性が含まれる。かかる操縦感覚は、ステアリング操作時における左右の手の操作力の解析(手先力解析)により、客観的に評価できる。
操縦感覚評価システム1は、操作力検出装置2と、車両状態量検出装置3と、制御装置4と、表示装置5とを備える(図1参照)。
操作力検出装置2は、運転者によるステアリングホイール10の操作力(操舵操作力)を検出する装置である。例えば、この実施の形態では、操作力検出装置2が、ステアリングホイール10のハブ部12に設置された6分力センサにより構成されている。この6分力センサは、運転者によるステアリングホイール10の操作力を、ステアリングホイール10の回転周方向、回転径方向および回転軸方向にかかる接触圧として、運転者の左右の手についてそれぞれ検出できる。このような6分力センサとして、例えば、日章電機株式会社製の6分力測定装置LMC−6786が知られている。
なお、これに限らず、操作力検出装置2は、例えば、ステアリングコラムあるいはコラムサポートに設置される荷重センサ(歪みゲージ)、ステアリングホイール10のハブ部12に設置される荷重センサ、左右分割構造を有するステアリングホイール10の左右のホイール部に設置される荷重センサ(例えば、特開2008−265528号公報に記載の操舵操作力検出装置)などにより構成されても良い(図示省略)。
車両状態量検出装置3は、所定の車両状態量を検出する装置である。例えば、この実施の形態では、車両状態量検出装置3が、車両の車速Vを検出する車速センサ31、ステアリングホイール10の操舵角θを検出する操舵角センサ32、ステアリングホイール10に作用する操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ33、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ34、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ35、および、車両の横滑り角βを検出する横滑り角センサ36を有している。そして、これらのセンサ31〜36が、ステアリング操作によって影響を受ける複数の車両状態量V、θ、T、γ、Gy、βを検出している。
制御装置4は、所定の制御処理を行う装置であり、例えば、PC(personal computer)から構成される。この制御装置4は、モーメント算出部41と、操舵意図特徴量算出部42と、車両状態特徴量算出部43と、操縦感覚評価部44と、記憶部45とを有する。モーメント算出部41は、基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出する。操舵意図特徴量算出部42は、モーメントMzに基づいて操舵意図特徴量を算出する。車両状態特徴量算出部43は、車両状態量に基づいて車両状態特徴量を算出する。操縦感覚評価部44は、操舵意図特徴量および車両状態特徴量に基づいて操縦感覚の評価を行う。記憶部45は、制御処理に必要な所定の情報を格納する。
表示装置5は、所定の情報を表示する装置であり、例えば、PCのモニタから構成される。
なお、車両のステアリングホイール10は、リム部11と、ハブ部12と、これらを連結するアーム部13とを有し(図3参照)、ハブ部12を介してステアリングコラム(図示省略)に連結される。また、ステアリングホイール10は、リム部11の左右にある所定領域に把持位置OR、OLを有する。
また、ステアリングホイール10において、リム部11の回転軸方向をx軸、回転周方向をy軸、回転径方向をz軸とする座標系をとる。また、リム部11の正面視における時計回りを正として、操舵角θを定義する。また、ステアリングホイール10(リム部11)の回転径方向に所定の基準軸Zoをとる。
なお、この実施の形態では、モーメントMzの基準軸Zoがステアリングホイール10の操舵角θに対応する回転座標系に属している(図4参照)。かかる構成は、操作力検出装置2が6分力センサから成り、ステアリングホイール10の回転部(ハブ部12)に設置される構成において、好ましい。
しかし、これに限らず、モーメントMzの基準軸Zoが、ステアリングホイール10の中立時の位置を基準とした固定座標系に属してもよい(図6参照)。かかる構成は、操作力検出装置2が歪みゲージから成り、ステアリングホイール10の非回転部(ステアリングコラムあるいはコラムサポート)に設置される構成において、好ましい。
[操縦感覚評価方法]
ステアリング操作時には、運転者がステアリングホイール10に操作力を付与することにより、操舵トルクTが発生する(図4および図5参照)。
このとき、同時に、運転者からの操作力によって、基準軸Zo廻りにモーメントMzが発生する。すなわち、運転者からの操作力には、ステアリングホイール10の操舵トルクTに寄与しない分力が含まれる。例えば、運転者がリム部11の左右の把持位置OR、OLをそれぞれ把持してステアリングホイール10を操作すると、ステアリングホイール10を押し込む方向の分力FxR、FxLが運転者の無意識のうちに把持位置OR、OLに作用する。そして、これらの分力FxR、FxLにより、基準軸Zo廻りのモーメントMzがステアリングホイール10に作用する。
発明者らの研究によれば、この基準軸Zo廻りのモーメントMzは、車両を操舵しようとする運転者の意図(操舵意図)と密接な関係を有する。これは、運転者の操縦感覚が悪い(運転し難い)車両では、運転者が無意識のうちに余計な力を入れてステアリング操作することによる。例えば、操舵に対する車両の応答性が悪い車両では、運転者の手に力が入り、モーメントMzが大きくなる。逆に、操舵に対する車両の応答性が良い(運転し易い)車両では、ドライビングがスムーズなため、基準軸Zo廻りのモーメントMzが小さくなる。したがって、この基準軸Zo廻りのモーメントMzを用いることにより、運転者の操縦感覚を的確に把握できる。
そこで、この操縦感覚評価システム1では、ステアリング操作時における基準軸Zo廻りのモーメントMzを用いて、運転者の操縦感覚を評価している(図2参照)。以下、この操縦感覚の評価方法について説明する。
ステップST1では、運転者によるステアリングホイール10の操作力が検出される(操作力検出ステップST1)。この操作力は、操作力検出装置2により検出される。例えば、この実施の形態では、操作力検出装置2が6分力センサから構成され(図1参照)、この6分力センサが、リム部11の左右の把持位置OR、OLに作用する運転者からの操作力FR、FLを、回転軸方向(x軸)、回転周方向(y軸)および回転径方向(z軸)の分力FxR、FyR、FzR;FxL、FyL、FzLとして、それぞれ検出している(図4および図5参照)。
ステップST2では、ステアリングホイール10の操作時における車両状態量が検出される(車両状態量検出ステップST2)。例えば、この実施の形態では、車両状態量検出装置3が各種のセンサ31〜36により複数の車両状態量V、θ、T、γ、Gy、βをそれぞれ検出している。
ステップST3では、基準軸Zo廻りのモーメントMzが算出される(モーメント算出ステップST3)。例えば、この実施の形態では、制御装置4のモーメント算出部41が、運転者からの操作力FR、FLのうち回転軸方向(z軸方向)にかかる分力FzR、FzLに基づいて、モーメントMzを算出している。
ステップST4では、操舵意図特徴量が所定の評価区間Sについて算出される(操舵意図特徴量算出ステップST4)。操舵意図特徴量とは、モーメントMzにかかる所定の特徴量であり、例えば、評価区間SにおけるモーメントMzの平均値、積分値、最大値、中央値などをいう。この操舵意図特徴量は、車両を操舵しようとする運転者の意図(操舵意図)を定量的に示すパラメータとなる。この実施の形態では、制御装置4の操舵意図特徴量算出部42が、ステップST3にて算出されたモーメントMzに基づいて操舵意図特徴量を算出している。
なお、評価区間Sとは、操縦感覚の評価対象となる区間あるいは期間であり、距離的あるいは時間的な区間として任意に選択される。例えば、評価区間Sは、車両の走行経路上にある任意の走行区間(例えば、旋回路の走行時にて曲率半径が一定となる走行区間、レーンチェンジ時にてレーンチェンジ完了後の所定の走行区間など)であっても良いし、所定時刻を基準とした所定期間(例えば、旋回路の走行時にて操舵角θが所定角度となってからの所定期間、レーンチェンジ時にてレーンチェンジ完了後の所定期間など)であっても良い。
ステップST5では、評価区間Sにおける車両状態特徴量が算出される(車両状態特徴量算出ステップST5)。車両状態特徴量とは、車両状態量にかかる所定の特徴量であり、例えば、評価区間Sにおける車両状態量V、θ、T、γ、Gy、βの平均値、積分値、最大値、中央値などをいう。また、車両状態特徴量として、OS/US判定(オーバーステア/アンダーステア判定)の結果が採用されても良い。なお、この実施の形態では、制御装置4の車両状態特徴量算出部43が、ステップST2にて取得された車両状態量V〜βに基づいて車両状態特徴量を算出している。
ステップST6では、操舵意図特徴量に基づいて操縦感覚の評価が行われる(操縦感覚評価ステップST6)。例えば、相互に異なる仕様A、Bを有する複数の車両が所定の評価区間S(例えば、所定の曲率半径を有する旋回路)を走行する場合には、各車両の操舵意図特徴量が比較されて、操縦感覚の評価が行われる。このとき、操舵意図特徴量が小さいほど車両が運転者の操舵に順応していることを意味し、好ましい(操縦感覚評価が高い)。なお、上記の場合(相互に異なる仕様A、Bを有する複数の車両の操縦感覚の評価)には、車両の走行速度および走行路を各車両間で同一にして、操作力FR、FLおよび車両状態量V〜βの検出ステップST1、ST2を行うことが好ましい。
また、車両の仕様には、例えば、タイヤ特性、車両のシャシー特性(電子制御特性を含む。)、ステアリング特性(電子制御特性を含む。)、コックピットレイアウト、ドライビングポジション、ステアリング形状、シート形状などが挙げられる。空気入りタイヤの設計あるいは車両の設計では、これらの仕様を変更して操縦感覚の評価を行うことにより、仕様の最適化を実現できる。なお、操縦感覚の評価は、制御装置4の操縦感覚評価部44により行われる。
また、操縦感覚の評価にあたり、ステップST5にて算出された車両状態特徴量が参酌され得る。例えば、車両状態特徴量に基づいて評価区間Sを選択しても良いし、車両状態特徴量に基づいて操縦感覚の試験結果に傾斜を設けても良い。
なお、操舵意図特徴量および車両状態特徴量にかかる評価区間Sは、所定の走行区間あるいは所定の走行時刻として予め設定されても良いし、車両状態特徴量に基づいて設定されても良い。特に、後者の構成では、操舵意図特徴量との関連性が強い車両状態特徴量が適正選択されることが好ましい。
[効果]
以上説明したように、この操縦感覚評価システム1は、ステアリングホイール10の回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者によるステアリングホイール10の操作によってステアリングホイール10に作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得手段(操作力検出装置2および制御装置4のモーメント算出部41)と、操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる所定の特徴量(操舵意図特徴量)を算出する操舵意図特徴量算出手段(制御装置4の操舵意図特徴量算出部42)とを備える(図1参照)。
かかる構成では、ステアリングホイール10の基準軸Zo廻りのモーメントMzに基づいて操舵意図特徴量を算出するので(ステップST4)、この操舵意図特徴量に基づいて運転者の操縦感覚を評価できる(ステップST6)(図2参照)。これにより、運転者の無意識のうちの操舵意図に基づいて運転者の操縦感覚を評価できるので、運転者の操縦感覚を客観的に評価できる利点がある。また、操舵角θおよび操舵トルクTと車両の応答との関係で評価を行う構成と比較して、運転者の操縦感覚をより適切に評価できる利点がある。
また、この操縦感覚評価システム1では、相互に異なる仕様を有する複数の車両が所定の走行路を走行するときに、操舵意図特徴量算出手段42が所定の評価区間Sにおける操舵意図特徴量を各車両についてそれぞれ算出する(ステップST4)(図2参照)。かかる構成では、各車両の操舵意図特徴量を比較することにより、相互に異なる仕様を有する複数の車両について、運転者の操縦感覚を容易に評価できる(ステップST6)。これにより、各車両の仕様を客観的に評価できる利点がある。
また、この操縦感覚評価システム1は、運転者によるステアリングホイール10の操作時における車両状態量V〜βを検出する車両状態量検出手段(車両状態量検出装置3の各種センサ31〜36)と、車両状態量V〜βにかかる所定の特徴量(車両状態特徴量)を算出する車両状態特徴量算出手段(制御装置4の車両状態特徴量算出部43)とを備える(図1参照)。かかる構成では、車両状態特徴量V〜βに基づいて運転者の操縦感覚を評価できるので(ステップST6)、ステアリング操作時における車両状態(車両の挙動や走行状態など)を評価に反映できる。これにより、運転者の操縦感覚をより適切に評価できる利点がある。
また、この操縦感覚評価システム1は、モーメント取得手段が、運転者によるステアリングホイール10の操作力を検出する操作力検出手段(操作力検出装置2)と、操作力に基づいて基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出するモーメント算出手段(制御装置4のモーメント算出部41)とを有する(図1参照)。かかる構成では、ステアリングホイール10の操作力を検出して基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出できるので、安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。
また、この操縦感覚評価システム1は、モーメントMzの基準軸Zoがステアリングホイール10の操舵角θに対応する回転座標系に属することが好ましい(図4参照)。かかる構成では、例えば、モーメント取得手段(操作力検出装置2)が6分力センサから成ると共にステアリングホイール10の回転部(ハブ部12)に設置される構成において、運転者による操作力FR、FLを後処理することなくそのまま検出(ステップST1)して、モーメントMzを算出できる(ステップST3)。これにより、簡易かつ安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。また、かかる構成では、ステアリングホイール10の操舵角θが大きい旋回走行時にも、モーメントMzを精度良く算出できる利点がある。
また、この操縦感覚評価システム1は、モーメントMzの基準軸Zoが、ステアリングホイール10の中立時の位置を基準とした固定座標系に属することが好ましい(図6参照)。かかる構成では、モーメント取得手段(操作力検出装置2)が歪みゲージから成ると共にステアリングホイール10の非回転部(ステアリングコラムあるいはコラムサポート)に設置される構成において、運転者による操作力FR、FLを後処理することなくそのまま検出(ステップST1)して、モーメントMzを算出できる(ステップST3)。これにより、簡易かつ安価な構成にてモーメントMzを取得できる利点がある。
[評価試験]
図7は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムの評価試験における試験結果を示す表である。図8および図9は、この発明の実施の形態にかかる操縦感覚評価システムの評価試験の方法を示す説明図である。図7において、数値は、試験結果の平均値およびその標準偏差を示している。また、図8は、試験車両がパイロンに沿って左旋回路を走行する様子を示している。また、図9は、ステアリング操作時における車両の操舵角θ、横加速度Gyおよび基準軸Zo廻りのモーメントMzの計測結果の一例を示している。
この実施の形態では、操縦感覚の評価試験が以下のように行われる(図8および図9参照)。評価試験では、異なる仕様A、Bを有する試験車両(排気量2.5[L]、オートマチックトランスミッション、右ハンドルかつ後輪駆動車)がタイヤサイズ205/55R16 91Vの空気入りタイヤを装着して、150Rの左旋回路を速度100[km/h]で走行する(図8参照)。仕様Aの試験車両は、前輪および後輪のタイヤ空気圧がいずれも220[kPa]であり、仕様Bの試験車両は、前輪および後輪のタイヤ空気圧がいずれも280[kPa]である。また、5名の男性テストドライバー(右利き)が異なる仕様A、Bを有する試験車両をそれぞれ運転する。
また、ステアリング操作時における車両の操舵角θ、横加速度Gyおよび基準軸Zo廻りのモーメントMzがそれぞれ計測される(操作力検出ステップST1および車両状態量検出ステップST2)(図2参照)。なお、操作力検出装置2は、歪みゲージから成り、ステアリングホイール10の非回転部(ステアリングコラム)に設置される。
また、この操作力検出装置2の検出結果に基づいて基準軸Zo廻りのモーメントMz(図6参照)が算出される(モーメント算出ステップST3)。そして、このモーメントMzに基づいて所定の評価区間Sにおける操舵意図特徴量が算出される(操舵意図特徴量算出ステップST4)。この実施例では、評価区間Sとして、車両状態量がほぼ一定(操舵角θの変動が所定の閾値以下)となる走行区間が選択されている(図9参照)。また、操舵意図特徴量として、評価区間SにおけるモーメントMzの平均値が算出されている。
また、操舵角θおよび横加速度Gyについて車両状態特徴量が算出される(車両状態特徴量算出ステップST5)。この実施例では、車両状態特徴量として、評価区間Sにおける車両状態量(横加速度Gy)の平均値が算出されている。
また、ステアリング操作時における操縦感覚(運転し易さあるいは旋回時のコントロール性)について、各テストドライバーによる官能評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
試験結果に示すように、各仕様A、Bを比較すると、車両状態特徴量に差がない場合であっても、操舵意図特徴量には、明らかな差が生じていることが分かる(図7参照)。また、この操舵意図特徴量の差は、官能評価の差にほぼ一致していることが分かる。したがって、操舵意図特徴量(ステアリングホイール10の基準軸Zo廻りのモーメントMz)を比較することにより、運転者の操縦感覚を適切に評価できることが分かる。
なお、仕様Bの評価が仕様Aの評価よりも悪いのは、タイヤ空気圧が高いために操舵反力が軽く、また、コーナリングパワーも低いためにステアリングに伝わる反力(手応え)が低下して、車両旋回時の応答性が劣っているためと考えられる。
以上のように、この発明にかかる操縦感覚評価システムおよび操縦感覚評価方法は、操縦感覚の評価を客観的に行い得る点で有用である。
1 操縦感覚評価システム、2 操作力検出装置、3 車両状態量検出装置、4 制御装置、5 表示装置、10 ステアリングホイール、11 リム部、12 ハブ部、13 アーム部、31 車速センサ、32 操舵角センサ、33 操舵トルクセンサ、34 ヨーレートセンサ、35 横加速度センサ、36 横滑り角センサ、41 モーメント算出部、42 操舵意図特徴量算出部、43 車両状態特徴量算出部、44 操縦感覚評価部、45 記憶部

Claims (7)

  1. 運転者がステアリングホイールを操作して車両を操舵したときの操縦感覚を評価する操縦感覚評価システムであって、
    前記ステアリングホイールの回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者による前記ステアリングホイールの操作によって前記ステアリングホイールに作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得手段と、
    前記操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる所定の操舵意図特徴量を算出する操舵意図特徴量算出手段とを備えることを特徴とする操縦感覚評価システム。
  2. 相互に異なる仕様を有する複数の車両が所定の走行路を走行するときに、前記操舵意図特徴量算出手段が評価区間Sにおける前記操舵意図特徴量を各車両についてそれぞれ算出する請求項1に記載の操縦感覚評価システム。
  3. 運転者による前記ステアリングホイールの操作時における車両状態量を検出する車両状態量検出手段と、前記車両状態量にかかる所定の車両状態特徴量を算出する車両状態特徴量算出手段とを備える請求項1または2に記載の操縦感覚評価システム。
  4. モーメント取得手段が、運転者による前記ステアリングホイールの操作力を検出する操作力検出手段と、前記操作力に基づいて基準軸Zo廻りのモーメントMzを算出するモーメント算出手段とを有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の操縦感覚評価システム。
  5. モーメントMzの基準軸Zoが、前記ステアリングホイールの操舵角θに対応する回転座標系に属する請求項1〜4のいずれか一つに記載の操縦感覚評価システム。
  6. モーメントMzの基準軸Zoが、前記ステアリングホイールの中立時の位置を基準とした固定座標系に属する請求項1〜4のいずれか一つに記載の操縦感覚評価システム。
  7. 運転者がステアリングホイールを操作して車両を操舵したときの操縦感覚を評価する操縦感覚評価方法であって、
    前記ステアリングホイールの回転径方向に所定の基準軸Zoをとるときに、運転者による前記ステアリングホイールの操作によって前記ステアリングホイールに作用する基準軸Zo廻りのモーメントMzを取得するモーメント取得ステップと、
    前記操縦感覚の評価対象となる評価区間Sについて、モーメントMzにかかる所定の操舵意図特徴量を算出する操舵意図特徴量算出ステップと、
    前記操舵意図特徴量に基づいて前記操縦感覚を評価する操縦感覚評価ステップとを備えることを特徴とする操縦感覚評価方法。
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