JP2012066961A - 炭化水素化合物からの水素製造方法 - Google Patents

炭化水素化合物からの水素製造方法 Download PDF

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孝 梅木
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Noriaki Watanabe
則昭 渡邉
Mutsumi Kinoshita
睦 木下
Noriyoshi Tsuchiya
範芳 土屋
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Abstract

【課題】高温や複雑な工程、大がかりな装置などを必要とせず、かつ副生物として一酸化炭素の発生はなく、炭化水素化合物、特にバイオマスからのエネルギー効率の高い水素製造方法を提供する。
【解決手段】(a)アルカリ水溶液中に存在する硫黄化合物と水との反応により水素を生成する工程と、(b)前記(a)工程で酸化された硫黄化合物を、酸素を含有してもよい炭化水素化合物で還元する工程とを含むことを特徴とする、炭化水素化合物からの水素製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温を必要としない、エネルギー効率の高い炭化水素化合物からの水素製造方法に関し、さらに詳しくは、300℃前後の比較的低温で実施できるため、廃熱や地熱等の種々の低品位の熱が活用できると共に、炭化水素化合物としてバイオマスを原料に用いると、更にCO2排出量が抑えられ、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点から優位な低炭素排出型の水素製造方法に関するものである。
先進国の石油需要は今後大きく伸びることはないが、中国やインド東南アジアなどでは、今後も大きな需要の伸びが予想される。そこで、水素化脱硫や水素化分解などの方法で石油を精製するために必要な水素を確保することは極めて重要である。
一方、水素を燃料とする燃料電池は、輸送あるいは民生分野において、CO2発生量の少ない発電技術あるいはコージェネレーション(電気と熱の同時製造)技術に用いられるなど、その需要はますます増えていくことが予想されるため、水素の製造技術が今後一層重要になる。さらに、できるかぎりCO2を排出しない効率の高い水素製造方法が望まれており、その方策のひとつに、カーボンニュートラルなバイオマスを原料とする水素製造方法が考えられ、期待も非常に大きい。
なお、エネルギー動向については、コージェネレーションも含め、非特許文献1に報告されており、またバイオマスを原料とする水素製造方法については、触媒を用いたバイオマスガス化による水素製造が非特許文献2に報告されている。
炭化水素化合物から水素を製造する一般的な方法として、ガス化と言われる、炭化水素化合物の部分酸化や水蒸気改質、あるいは部分酸化と水蒸気改質を組み合わせた自己熱改質法が知られている。しかし、どの方法も600℃〜1000℃程度の高温を必要とするため、反応装置の材質やエネルギー効率を考えた場合の大きな問題であった。
ところで、バイオマスとは、水と二酸化炭素と太陽光エネルギーをもとに光合成され、主に植物などの形態を経て、再び水と二酸化炭素へと戻る物質循環に組み込まれている生物有機体のことを表す用語である。このようなバイオマス資源は、現在地球上に8400億トン(炭素換算量)あると言われ、これは石油・天然ガスに代表される化石資源の確認埋蔵量8000億トン(炭素換算量)をも上回る資源量である。
地球環境への多大な影響が懸念される化石燃料からの脱却が叫ばれる中、このバイオマス資源は、化石燃料を代替する可能性を秘めているエネルギー資源だと言える。
バイオマス資源の有効利用法として、セルロース系バイオマスを、水性媒体の存在下、ニッケルなどの水素を活性化する金属触媒を用い、温度を300℃〜374℃、圧力を反応温度における水の飽和蒸気圧以上に保持することで、加圧熱水分解反応を行って、水素を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、バイオマスを含む廃棄物と酸化鉄との混合物を1400〜2200℃で急速加熱して、金属鉄と、水素及び一酸化炭素を含むガスを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2671944号公報 特開2005−111394号公報
エネルギー白書09 第2部 触媒Vol.51(No.4),p258,2009
しかしながら、特許文献1において提案されているような、セルロースを加圧熱水分解して水素を製造する方法は、工業化を想定した場合、セルロースを分解するための装置が大がかりで、複雑な工程が必要になるといった問題がある。
また、特許文献2に開示されている方法では、高温加熱が必要であると共に、副生物として一酸化炭素が発生するという問題がある。
本発明は、このような状況下になされたもので、高温や複雑な工程、大がかりな装置などを必要とせず、かつ副生物として一酸化炭素の発生がなく、炭化水素化合物、特にバイオマスからのエネルギー効率の高い水素製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の(a)工程と(b)工程を施すことにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1](a)アルカリ水溶液中に存在する硫黄化合物と水との反応により水素を生成する工程と、(b)前記(a)工程で酸化された硫黄化合物を、酸素を含有してもよい炭化水素化合物で還元する工程とを含むことを特徴とする、炭化水素化合物からの水素製造方法、
[2](b)工程における炭化水素化合物がバイオマス、並びにバイオマス由来の炭化水素化合物及び酸素含有炭化水素化合物の中から選ばれる少なくとも一種である、上記[1]に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、
[3](a)工程における硫黄化合物が、水との反応により硫化水素又は硫化物イオン(S2-)を生成する化合物である、上記[1]又は[2]に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、
[4](a)工程におけるアルカリ水溶液が、pH8〜13のアルカリ性である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、
[5]炭化水素化合物が、バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物である、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、
[6]バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物が、炭素数2〜4のアルコール類及び糖類の中から選ばれる少なくとも一種である、上記[5]に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、及び
[7](a)工程で生成する水素と、(b)工程で生成する二酸化炭素を、連続的又は断続的に系外へ抜き出す工程を含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、高温や複雑な工程、大がかりな装置などを必要とせず、かつ副生物として一酸化炭素の発生がなく、炭化水素化合物、特にバイオマスからのエネルギー効率の高い水素製造方法を提供することができる。
本発明の水素製造方法におけるプロセスの一例を示す概略説明図である。 本発明の水素製造方法におけるプロセスの別の例を示す概略説明図である。 参考例3−1〜3−4において、各温度における硫化物イオンの再生量の経時変化を示すグラフである。 参考例3−4及び実施例4−1において、各グルコース添加量における硫化物イオンの再生量の経時変化を示すグラフである。 参考例5−1〜5−5において、各グルコース添加量における硫化物イオンの再生量の経時変化を示すグラフである。 参考例3−4、4−1及び5−1〜5−5において、各温度におけるグルコース濃度と最大硫化物イオンの再生量との関係を示すグラフである。
本発明の炭化水素化合物からの水素製造方法(以下、単に「本発明の水素製造方法」と云うことがある。)は、(a)アルカリ水溶液中に存在する硫黄化合物と水との反応により水素を生成する工程と、(b)前記(a)工程で酸化された硫黄化合物を、酸素を含有してもよい炭化水素化合物で還元する工程とを含むことを特徴とする。
[(a)工程]
本発明の水素製造方法における(a)工程においては、アルカリ性の水溶液中に存在する硫黄化合物Aと水を反応させることで、前記硫黄化合物Aが、水(H2O)へ電子を与えて、水は水素(H2)に還元されるとともに、硫黄化合物Aは、酸化数の高い硫黄を含む硫黄化合物Bに酸化される。
前記硫黄化合物Aとしては、水との反応により硫化水素又は硫化物イオン(S2-)を生成する化合物であることが好ましい。
硫黄化合物Aとして、硫化水素を出発物質とすると、硫黄化合物濃度は下記の式(3)及び(4)の平衡反応で決まるそれぞれの濃度になる。pHが高いと式(3)及び式(4)共に右側へ進み、HS-やS2-として存在する割合が増える。反応にはS2-が特に有効に働くので、この場合、製油所で発生する不要な硫化水素を有効に使うことができる。
2S(aq)⇔ HS-(aq)+ H+ (3)
HS-(aq)⇔ S2-(aq)+ H+ (4)
また、硫化ナトリウム(Na2S・9H2O)を出発物質として用いることもできる。
硫黄化合物AとH2Oの反応(水素の生成)が進むためには、常に液をアルカリ性に保持する必要がある。前述のように式(3)及び式(4)の平衡反応で、活性種であるHS-やS2-濃度が決まる。pH8〜12程度ではHS-濃度が高く、pH12超ではS2-濃度が高くなる。S2-の方がHS-より有効に働く(水との反応速度が速い)ため、水素発生速度の面からはpH12超が好ましい。ただし、pHが13以上では反応器材質などの問題がある。また、pHが8未満では硫化水素が発生するので安全面で問題がある。これらの観点から、pH8〜13程度の条件が好ましい。
反応温度は250〜350℃の範囲が好ましい。250℃以上であれば水素生成速度が十分となり、一方350℃以下では硫黄の価数が高くなりすぎることがなく、次工程における硫黄化合物Bと炭化水素化合物との反応による再生が良好に行われる。より好ましい反応温度は280〜330℃、更に好ましくは300〜330℃である。
一方、反応時間は30分〜72時間程度が好ましい。30分以上であれば反応が十分に進行する。一方72時間を超えると時間をかけた割には水素発生の向上があまり見られない。
この水素生成反応における原料のH2O/Sモル比については、硫黄は最大で−2価から+7価まで変化するので、硫黄1mol当たり電子を9mol供給できる。すなわち、水中のH+ 9molをH0に還元でき、水素H2としては4.5mol生成する。つまり水9molを水素4.5molに変換できる(9H2O + 9e- → 4.5H2 + 9OH-)。この考えから、硫黄を有効に利用するためには、原料におけるH2O/Sモル比は9以上であればよい。しかし、操作性を考えると過剰な水量が好ましく、H2O/Sモル比は50〜1000程度であることが好適である。
当該(a)工程においては、硫黄化合物Aがアルカリ性の水溶液中で、水と反応すると、硫黄化合物Bが生成する。この場合、硫黄化合物Aは水に電子を与えるため、硫黄は−2価以上のプラスの価数を持つようになる。
例:Hxy 2-(−2〜0),Sx(Sの価数=0),S23 2-(+2),SO3 2-(+4), SO4 2-(+6),S28 2-(+7)
ナトリウムが存在する場合,それを対カチオンとした次の硫黄化合物Bが考えられる。
S(0)=単体硫黄
S(2+)=Na223(次亜硫酸ナトリウム)
S(4+)=Na2SO3(亜硫酸ナトリウム)
S(6+)=Na2SO4(硫酸ナトリウム)
なお、当該(a)工程においては、反応を効率よく進めるためには、生成した水素を、連続的又は断続的に系外を取り出すことが好ましい。
[(b)工程]
本発明の水素製造方法における(b)工程は、前述した(a)工程において、硫黄化合物Aが酸化されて形成された硫黄化合物Bを、酸素を含有してもよい炭化水素化合物により還元して硫黄化合物Aに再生する工程である。すなわち、還元作用のある炭化水素化合物が、硫黄化合物Bに電子を供給し、硫黄化合物Aを再生する。
(炭化水素化合物)
炭化水素化合物としては、硫黄化合物Bを還元し得るものであればよく、特に制限されないが、硫黄化合物Bとの反応性の観点から、水溶性や、還元能のある炭化水素化合物が好ましい。本発明では、炭化水素化合物として酸素を含有するものも使用することができる。
さらに、前述したようにカーボンニュートラルな観点から、バイオマス、並びにバイオマス由来の炭化水素化合物の中から選ばれる少なくとも一種を好ましく用いることができる。特に、バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物が好適である。
バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物としては、例えば糖類、アルコール類、アルデヒド類などが好ましい。この好ましい例として、グルコース,マンノース,キシロース,アラビノース等の単糖類や、セロビオース,キシロビオース等の2糖類、更にはオリゴ糖類などの多糖類、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール,プロピレングリコール,プロパンジオールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオール類がある。プロピオンアルデヒド,アクロレインなどのアルデヒドも好ましい。ソルビトール,マンニトールなどの糖アルコールも候補となる。
これらの中で炭素数2〜4のアルコール類及び糖類がより好ましい。本発明においては、これらのバイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(B)工程における反応においては、前述の炭化水素化合物は酸化される。完全に酸化されればCO2となる。またH2Oも生成する可能性がある。更に、部分酸化した化合物、例えばアルコールを使用した場合は、アルデヒドやカルボン酸も生成する。
この反応においては、pHは特に制限は無いが、前記(a)工程における硫黄化合物AとH2Oの反応(水素の生成)ではpHが8〜13が好ましく、その反応の終了後に続いて本反応を実施するので、通常pHはほぼ同様の8〜13である。ただし反応の進行と共にCO2やカルボン酸等が生成するので若干酸性側に変化する。
また、反応温度は室温(20℃)〜100℃が好ましく、更に好ましくは50℃〜80℃である。室温より低いと、反応速度が十分ではなく、100℃を超えると、硫黄化合物Bが再生されて生成した硫黄化合物Aが水と反応して消費される(水素生成が同時に起こる)ので好ましくない。
一方、水素生成反応が同時に起こっても問題ないシステムとする場合(後述)は80℃以上でも特に問題はなく、例えば80〜250℃程度(硫黄化合物Aを水と反応させる温度以下)でよい。
反応時間については1分〜5時間程度が好ましい。1分以上であれば反応が十分に進行する。また5時間を超えると、時間をかけた割には再生反応はあまり進まない。より好ましい反応時間は10分〜3時間である。
また、炭化水素化合物/Sのモル比については、1molのSが失う電子は最高9mol(S28 2-)であり、一方、炭化水素化合物1molから最低でも電子1molが供給されることから、炭化水素化合物/Sのモル比は9以下であることが好ましい。炭化水素化合物/Sのモル比が上記範囲内であれば、他の副反応等を抑制することができ好ましい。ただし、炭化水素化合物の種類や反応条件により、最適炭化水素化合物/Sのモル比はかわる。
さらに、この(b)工程においては、反応効率を高めるために、生成したCO2や部分酸化物を系外に連続的又は断続的に取り出すことが好ましい。
[総括反応]
前述した(a)工程の反応(水素生成反応)と、(b)工程の反応(硫黄化合物Bの再生反応)との総括反応は、下記の反応式で示すことができる。
水素の生成反応式: 硫黄化合物A + H2O → H2+ 硫黄化合物B
硫黄化合物Bの再生反応式:硫黄化合物B+炭化水素化合物→硫黄化合物A+CO 2
総括反応式 H2O + 炭化水素化合物 → H2 + CO2

上記反応式で示されるように、本発明の水素製造方法は、前述した(a)工程と(b)工程を組み合わせることにより、水と炭化水素化合物とから、水素と二酸化炭素が生成される。
そして、前記炭化水素化合物として、カーボンニュートラルなバイオマスあるいはバイオマス由来の炭化水素化合物や酸素含有炭化水素化合物を用いることにより、CO2排出量が抑えられ、LCAの観点からも優位な低炭素排出型の水素製造方法を提供することができる。
本発明の水素製造方法における概略プロセスを下記に示す。
図1は、同一反応器内で、冷却、加熱を繰り返すことにより水素を取り出すことが可能なプロセスであり、また、図2は、反応器を2器並べ、液部分を循環させることも可能なプロセスである。
図では省略しているが、硫黄化合物生成反応器で生成すると思われるCO2(アルカリと反応して、例えば炭酸ナトリウムとして存在)や、部分酸化されたアルデヒドやカルボン酸などを液から抜き出してもよい。
また,条件によっては硫黄化合物の再生反応器から水素が若干生成するので、これをCO2と分離して回収することもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<水素製造工程(pH依存性の検討)>
参考例1−1
120mlの蒸留水に硫化ナトリウム九水和物(Na2S・9H2O)を1.2g加え良く撹拌したものに、ごく少量の塩酸を滴下しpHを9.0に調整したものを反応溶液とし、この溶液を攪拌機能付き反応容器に封入した。その後、窒素を反応容器内に15分間注入し、反応溶液内の溶存酸素を除去し、加えて反応容器内の空気を窒素で置換した。この状態で密閉し、攪拌しながら、昇温を開始し300℃に達した時点から60分間保持した。室温まで冷却した後、生成水素量を測定した。測定はGC−TCDにて行った。生成水素量は37.1mlであった。
なお、GC−TCDには、装置としてGL Sciences社製、機種名「GC323」を用いた。以下同様である。
参考例1−2
参考例1−1において、pHを10.0に調整した以外は、参考例1−1と同様の操作を行った。生成水素量は40.8mlであった。
参考例1−3
参考例1−1において、塩酸でpHを調整せずpH12.5で、参考例1−1と同様の操作を行った。生成水素量は38.5mlであった。
参考例1−4
参考例1−1において、水酸化ナトリウムにてpH13.0に調整した以外は、参考例1−1と同様の操作を行った。生成水素量は99.0mlであった。
<水素製造工程(温度依存性の検討)>
参考例2−1
120mlの蒸留水に硫化ナトリウム九水和物(Na2S・9H2O)を1.2g加え良く撹拌したものにごく少量の水酸化ナトリウムを滴下しpH13.0に調整したものを反応溶液とし、この溶液を攪拌機能付き反応容器に封入した。その後、窒素を反応容器内に15分間注入し、反応溶液内の溶存酸素を除去し、加えて反応容器内の空気を窒素で置換した。この状態で密閉し、攪拌しながら、昇温を開始し250℃に達した時点から60分間保持した。室温まで冷却した後、生成水素量、硫化物イオン減少量を測定した。生成水素の測定はGC−TCDにて、硫化物イオン量の測定は、キャピラリー電気泳動分析(CE)を用いて行った。なお、CEにおいて、硫化水素イオンと硫化物イオン(HS-およびS2-)の区別がつかないため、両者をまとめて、硫化物イオン量とした。生成水素量5.0ml、硫化物イオンの減少は2.0ppmであった。
なお、上記CEには、装置としてAgilent Technologies社製、機種名「G1600AX」を用いた。以下同様である。
参考例2−2
参考例2−1において、反応温度を280℃にした以外は、参考例2−1と同様の操作を行った。水素生成量は16.6ml、硫化物イオンの減少量は222ppmであった。
参考例2−3
参考例2−1において、反応温度を300℃にした以外は、参考例2−1と同様の操作を行った。水素生成量は91.4ml、硫化物イオンの減少量は349ppmであった。
参考例2−4
参考例2−1において、反応温度を320℃にした以外は、参考例2−1と同様の操作を行った。水素生成量は328.3ml、硫化物イオンの減少量は415ppmであった。
<硫化物イオン再生工程(反応温度の検討)>
参考例3−1
参考例1−4の操作により水素生成実験を行った溶液をビーカーにとり、0.3質量%の濃度となるようにグルコース(C6126,D体)の粉末を添加した。蓋をしたビーカーをマグネチックホットスターラー上に設置し、攪拌しながら、昇温を開始し30℃で保持して反応を行った。またこの間の硫化物イオン量の変化を、所定の時間毎に液相サンプルを採取し、硫化物イオン量の測定を、キャピラリー電気泳動分析(CE)にて行った。
参考例3−2
参考例3−1において保持する温度を50℃にした以外は、参考例3−1と同様の操作を行った。
参考例3−3
参考例3−1において保持する温度を70℃にした以外は、参考例3−1と同様の操作を行った。
参考例3−4
参考例3−1において保持する温度を80℃にした以外は、参考例3−1と同様の操作を行った。
ここで,参考例3−1から3−4までの結果を図3に示す。80℃までは、高温ほど硫化物イオンが再生され、80℃、10分程度で硫化物イオンの再生量211ppmを示した。
<硫化物イオン再生工程(還元剤量の検討)>
参考例4−1
参考例3−4において、グルコース量を0.7質量%にした以外は、参考例3−4と同様の操作を行った。
参考例4−1及び参考例3−4の結果を図4に示す。
<硫化物イオン再生工程(還元剤添加温度の影響)>
参考例5−1
参考例3−4において、グルコースを反応温度80℃に達した時点で添加すること以外は、参考例3−4と同様の操作をおこなった。
参考例5−2
参考例5−1において、グルコース量を0.1質量%にした以外は、参考例5−1と同様の操作を行った。
参考例5−3
参考例5−1において、グルコース量を0.5質量%にした以外は、参考例5−1と同様の操作を行った。
参考例5−4
参考例5−1において、グルコース量を0.7質量%にした以外は、参考例5−1と同様の操作を行った。
参考例5−5
参考例5−1において、グルコース量を1.0質量%にした以外は、参考例5−1と同様の操作を行った。
参考例5−1から5−5までの結果を図5に示す。80℃で還元剤であるグルコースを添加すると、0.5質量%以下では、添加後10分程度で硫化物イオンの再生が最大となり、その後減少する。一方、それ以上のグルコースを添加した場合は、添加した直後がもっとも硫化物イオンが再生され、その後急激に低下する。この条件では、0.7質量%のグルコースを添加した直後が、最も硫化物イオンが再生される。
参考例3−4、4−1及び5−1〜5−5をもとに、添加温度に対するグルコース添加量の関係を図6に示す。グルコースを室温で添加した場合には、グルコース濃度0.3質量%程度で硫化物イオン再生量の最大値が得られ、80℃で添加した場合にはグルコース濃度0.7質量%付近で硫化物イオン再生量の最大値が得られるという結果であった。また、グルコースを室温で添加した方がより少ない添加量で、より多くの硫化物イオンを再生できることがわかった。このことは、硫化物イオンの再生に注目すると、水素製造システムは連続式ではなく、回分式の方が少ないグルコースで効率よく硫化物イオンを再生できることが示唆される。
<水素製造→硫化物イオン再生→水素製造のサイクル実験>
実施例1
120mlの蒸留水に硫化ナトリウム九水和物(Na2S・9H2O)を1.2g加え良く撹拌したものを反応溶液(pH12.5)とし、この溶液を攪拌機能付き反応容器に封入した。その後、窒素を反応容器内に15分間注入し、反応溶液内の溶存酸素を除去し、加えて反応容器内の空気を窒素で置換した。この状態で密閉し、攪拌しながら、昇温を開始し300℃に達した時点から60分間保持した。室温まで冷却した後、生成水素量、硫化物イオン減少量を測定した。生成水素の測定はGC−TCDにて、硫化物イオン量の測定は、キャピラリー電気泳動分析(CE)を用いて行った。なお、CEにおいて、硫化水素イオンと硫化物イオン(HS-およびS2-)の区別がつかないため、両者をまとめて、硫化物イオン量とした。水素生成量は38.5ml、硫化物イオンの減少量は244ppm(582ppm→338ppm)であった。
その後、本溶液に対し、0.3質量%となるようにグルコース(C6126,D体)の粉末を水素生成実験後の溶液に室温で添加し、良く撹拌した後、反応容器に封入した。その後、窒素を反応容器内に15分間注入し、反応溶液内の溶存酸素を除去し、加えて反応容器内の空気を窒素で置換した。この状態で密閉し、攪拌しながら、昇温を開始し約80℃の温度に保持して、10分間程度反応を行った。硫化物イオン量の測定は、キャピラリー電気泳動分析(CE)にて行った。硫化物イオンの再生量は212ppm(338ppm→550ppm)であった。
更に、本溶液をこのまま、300℃まで加熱し、60分間保持した。室温まで冷却した後、生成水素量、硫化物イオン減少量を測定した。生成水素の測定はGC−TCDにて、硫化物イオン量の測定は、キャピラリー電気泳動分析(CE)を用いて行った。水素生成量は29.5ml、硫化物イオンの減少量は380ppm(550ppm→170ppm)であった。
2回目の反応では、反応溶液の減少に伴い、水素生成量も減少している。このことを考慮し、当初の反応溶液量での反応に換算すると、56.4mlの水素生成量に相当する。1回目の実験より水素の生成量は多いが、硫化物イオンの単位減少量に対する単位水素生成量はほぼ同じで、1回目が0.16ml/ppm(38.5ml/244ppm)、2回目が0.15ml/ppm(56.4ml/380ppm)であった。2回目の硫化物イオンの減少量が多いのは、溶液組成が1回目と完全に同じではないためである。
実施例2
実施例1において、水と硫化物イオンの反応温度を290℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
1回目の水素生成反応では、水素の生成量19.3ml、硫化物イオン減少量169ppm(560ppm→391pm)であった。硫化水素再生実験での硫化物イオン再生量は166ppm(391ppm→557ppm)である。
2回目の水素生成反応では、換算値18.9mlで、反応温度を下げることで、グルコースの熱分解が抑制され、水素の繰り返し製造における選択率が向上している。
本発明の水素製造方法は、高温や複雑な工程、大がかりな装置を必要とせず、エネルギー効率の高い炭化水素化合物、特にカーボンニュートラルなバイオマスやバイオマス由来の炭化水素化合物からの水素製造方法であって、300℃前後の比較的低温で実施できるため、廃熱や地熱などの種々の低品位の熱が活用できると共に、原料としてバイオマスやバイオマス由来の炭化水素化合物を用いることにより、さらにCO2の排出が抑えられ、LCAの観点から、低炭素排出型の水素製造方法である。

Claims (7)

  1. (a)アルカリ水溶液中に存在する硫黄化合物と水との反応により水素を生成する工程と、(b)前記(a)工程で酸化された硫黄化合物を、酸素を含有してもよい炭化水素化合物で還元する工程とを含むことを特徴とする、炭化水素化合物からの水素製造方法。
  2. (b)工程における炭化水素化合物が、バイオマス、並びにバイオマス由来の炭化水素化合物及び酸素含有炭化水素化合物の中から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
  3. (a)工程における硫黄化合物が、水との反応により硫化水素又は硫化物イオン(S2-)を生成する化合物である、請求項1又は2に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
  4. (a)工程におけるアルカリ水溶液が、pH8〜13のアルカリ性である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
  5. 炭化水素化合物が、バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物である、請求項2〜4のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
  6. バイオマス由来の酸素含有炭化水素化合物が、炭素数2〜4のアルコール類及び糖類の中から選ばれる少なくとも一種である、請求項5に記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
  7. (a)工程で生成する水素と、(b)工程で生成する二酸化炭素を、連続的又は断続的に系外へ抜き出す工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の炭化水素化合物からの水素製造方法。
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