JP2012066195A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の吐出装置では、描画品質を向上させることが困難である。
【解決手段】液状体を液滴として吐出するノズル37が設けられたノズルプレートを有する吐出ヘッド33と、前記ノズルプレートのノズル37が設けられている面であるノズル面35の一部に接触し、電気的に接地された導電部材を有し、ノズル面35には、ノズル37の外側の領域において、前記導電部材の接触が許可される領域である許可領域40a及び許可領域40bが設けられており、前記ノズルプレートは、導電性を有する材料で構成されており、ノズル面35側に前記液状体に対する撥液性が高められた撥液膜を有しており、前記撥液膜は、ノズル面35の許可領域40a及び許可領域40bよりも外側に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、液滴吐出装置等に関する。
液状体を液滴として吐出することができる液滴吐出装置の1つとして、インクジェット装置が知られている。インクジェット装置では、インクなどの液状体を吐出ヘッドから液滴として吐出することができる。このようなインクジェット装置では、従来から、ノズルが形成されたノズルプレートと、導電性を有し、ノズルプレートと当接するプレートと、プレートに接触する除電ブラシと、を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−210123号公報(第5頁、第5図)
上記特許文献1に記載されたインクジェット装置では、導電性を有するプレートと、除電ブラシを接触させることによって、プレートを除電させることができる。
ところで、インクジェット装置では、一般的に、ノズルとワークとの間の距離が長くなるほど液滴のワークへの着弾位置の精度が低くなる傾向がある。このため、ノズルとワークとの間の距離を短くすることが望ましい。ところが、上記特許文献1に記載されたインクジェット装置では、ノズルプレートにプレートが被さっているので、ノズルとワークとの間の距離を短くすることが困難である。そこで、プレートを省略することが考えられる。プレートを省略すれば、その分だけ、ノズルとワークとの間の距離を短くすることができる。
ここで、ノズルプレートには、フッ素化合物などの成分を含む撥液膜が設けられていることが多い。この撥液膜によって、液滴の吐出性能や吐出精度が高められている。一般的に、フッ素は、帯電しやすく絶縁性が高い。このため、撥液膜が設けられたノズルプレートを除電するには、ノズルプレートの全面にわたって除電ブラシでこすることが求められる。しかしながら、ノズルプレートの全面を除電ブラシでこすると、ノズルやノズル内の液状体にも除電ブラシが接触してしまうことがある。ノズルやノズル内の液状体に除電ブラシが接触してしまうと、液状体のメニスカスが壊れやすくなる。この結果、液滴の吐出性能や吐出精度が低下しやすくなるため、ワークにおける描画品位が低下しやすい。
つまり、従来の液滴吐出装置では、描画品位を向上させることが困難であるという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]液状体を液滴として吐出するノズルが設けられたノズルプレートを有する吐出ヘッドと、前記ノズルプレートの前記ノズルが設けられている面であるノズル面の一部に接触し、電気的に接地された導電部材と、を有し、前記ノズル面には、前記ノズルの外側の領域において、前記導電部材の接触が許可される領域である許可領域が設けられており、前記ノズルプレートは、導電性を有する材料で構成されており、前記ノズル面側に前記液状体に対する撥液性が高められた撥液膜を有しており、前記撥液膜は、前記ノズル面の前記許可領域よりも外側に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
この適用例の液滴吐出装置は、吐出ヘッドと、導電部材と、を有している。
吐出ヘッドは、ノズルプレートを有する。ノズルプレートには、液状体を液滴として吐出するノズルが設けられている。
導電部材は、ノズル面の一部に接触する。ノズル面は、ノズルプレートのノズルが設けられている面である。導電部材は、電気的に接地されている。
ノズル面には、導電部材の接触が許可される領域である許可領域が設けられている。許可領域は、ノズルの外側の領域に設けられている。
ノズルプレートは、導電性を有する材料で構成されている。ノズルプレートは、ノズル面側に撥液膜を有している。撥液膜は、液状体に対する撥液性が高められている。撥液膜は、ノズル面の許可領域よりも外側に設けられている。
この液滴吐出装置では、撥液膜がノズル面の許可領域よりも外側に設けられているので、ノズル面の許可領域は、導電性が保たれている。そして、電気的に接地されている導電部材が許可領域に接触するので、撥液膜の静電気は、ノズルプレートから許可領域を経て導電部材を介して除去され得る。ここで、許可領域は、ノズルの外側の領域に設けられている。このため、ノズルと導電部材との接触を避けやすくすることができる。この結果、液滴の吐出性能や吐出精度を維持しやすくすることができるため、描画品位を向上させやすくすることができる。
[適用例2]上記の液滴吐出装置であって、前記吐出ヘッドに対する前記導電部材の位置を変化させる変位装置を有しており、前記導電部材は、前記導電部材の位置を基準としたときに前記吐出ヘッドが描く軌跡に重なっている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
この適用例では、吐出ヘッドに対する導電部材の位置を変化させることによって、導電部材を許可領域に接触させることができる。
[適用例3]上記の液滴吐出装置であって、前記ノズルプレートは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、前記変位装置は、前記吐出ヘッドに対する前記導電部材の位置を、前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、ことを特徴とする液滴吐出装置。
この適用例では、ノズルの外側に設けられた許可領域に導電部材が接触するときノズルと導電部材との接触を避けやすくすることができる。
[適用例4]上記の液滴吐出装置であって、前記導電部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
この適用例では、導電部材が描画領域の外側に設けられているので、描画領域の外側で吐出ヘッドと導電部材とを接触させることができる。
[適用例5]上記の液滴吐出装置であって、前記描画領域の外側に、前記吐出ヘッドを保守するメンテナンス装置が設けられており、前記導電部材は、平面視で、前記描画領域と前記メンテナンス装置との間に設けられている、ことを特徴とする液滴吐出装置。
この適用例では、導電部材が描画領域とメンテナンス装置との間に設けられているので、描画領域とメンテナンス装置との間で吐出ヘッドと導電部材とを接触させることができる。
本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。 本実施形態におけるヘッドユニットを図1中のA視方向に見たときの正面図。 本実施形態における吐出ヘッドの底面図。 図2中のB−B線における断面図。 本実施形態におけるワークテーブル及び除電装置を示す正面図。 本実施形態におけるワークテーブル及び除電装置を示す正面図。
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
本実施形態における液滴吐出装置1は、図1に示すように、ワーク搬送装置3と、ヘッドユニット5と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置9と、メンテナンス装置11と、除電装置13と、除電装置15と、を有している。
液滴吐出装置1では、基板などのワークWとヘッドユニット5との平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット5から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
このような液滴吐出装置1は、例えば、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルターの製造や、有機EL装置の製造などに適用され得る。
赤、緑及び青の3色のフィルターエレメントを有するカラーフィルターの場合、液滴吐出装置1は、例えば、基板に赤、緑及び青の各着色層を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各着色層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれのフィルターエレメントのパターンが描画される。
また、有機EL装置の製造では、例えば、赤、緑及び青の画素ごとに、各色に対応する機能層(有機層)を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット5から各色の機能層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれの機能層のパターンが描画される。
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図1に示すように、定盤21と、ガイドレール23aと、ガイドレール23bと、ワークテーブル25と、を有している。
定盤21は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、定盤21の上面21a上に配設されている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bを挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル25は、定盤21から浮いた状態でガイドレール23a及びガイドレール23b上に載置されている。ワークテーブル25は、ワークWが載置される面である載置面25aを有している。載置面25aは、定盤21側とは反対側(上側)に向けられている。ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bによってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
ワークテーブル25は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル25をY方向に沿って移動させるための動力源として、ワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル25に伝達される。これにより、ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル25の載置面25aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
ヘッドユニット5は、ヘッドユニット5を図1中のA視方向に見たときの正面図である図2に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図3に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図3では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のピッチPで配列形成されており、Y方向に延在するノズル列39を構成している。
ここで、ノズル面35には、許可領域40aと、許可領域40bと、が設けられている。許可領域40a及び許可領域40bは、それぞれ、図1に示す除電装置13の除電ブラシ43及び除電装置15の除電ブラシ45の接触が許可される領域である。許可領域40a及び許可領域40bは、それぞれ、ノズル37の外側の領域に設けられている。本実施形態では、許可領域40a及び許可領域40bは、それぞれ、ノズル列39をY方向に挟んで互いに対峙する位置に設けられている。
吐出ヘッド33は、図2中のB−B線における断面図である図4に示すように、ノズルプレート51と、キャビティープレート52と、振動板53と、複数の圧電素子54と、を有している。
ノズルプレート51は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート51に設けられている。
キャビティープレート52は、ノズルプレート51のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート52には、複数のキャビティー55が形成されている。各キャビティー55は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー55には、図示しないタンクから機能液56(液状体)が供給される。
振動板53は、キャビティープレート52のノズルプレート51側とは反対側の面に設けられている。振動板53は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー55内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子54は、それぞれ、振動板53のキャビティープレート52側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子54は、各キャビティー55に対応して設けられており、振動板53を挟んで各キャビティー55に対向している。各圧電素子54は、駆動信号に基づいて、伸長する。これにより、振動板53がキャビティー55内の容積を縮小する。このとき、キャビティー55内の機能液56に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液56が液滴57として吐出される。吐出ヘッド33による液滴57の吐出法は、インクジェット法の1つである。
本実施形態では、ノズルプレート51は、導電性を有する材料で構成されている。ノズルプレート51は、ノズル面35側に撥液膜59を有している。撥液膜59は、機能液56に対する撥液性が高められている。撥液膜59は、ノズル面35の許可領域40aおよび40bよりも外側に設けられている。つまり、本実施形態では、撥液膜59は、許可領域40a及び許可領域40bを除くノズル面35に設けられている。このため、ノズル面35の許可領域40aおよび40bは、導電性が保たれている。
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図2に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図1に示すように、ヘッドユニット5を支持している。ここで、ヘッドユニット5は、ノズル面35(図2)がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子54が採用されているが、機能液56に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
キャリッジ搬送装置9は、図1に示すように、架台61と、ガイドレール63と、を有している。
架台61は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3及びメンテナンス装置11をX方向にまたいでいる。架台61は、ワークテーブル25の定盤21側とは反対側で、ワーク搬送装置3及びメンテナンス装置11のそれぞれに対向している。架台61は、支柱67aと支柱67bとによって支持されている。支柱67a及び支柱67bは、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。支柱67a及び支柱67bは、それぞれ、ワークテーブル25よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台61とワークテーブル25との間、及び架台61とメンテナンス装置11との間には、それぞれ隙間が保たれている。
ガイドレール63は、架台61の定盤21側に設けられている。ガイドレール63は、X方向に沿って延在しており、架台61のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール63に支持されている。キャリッジ7がガイドレール63に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル25側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール63によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール63に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル25に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル25の載置面25aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、キャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール63に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置9は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット5を、X方向に沿って往復移動させることができる。
メンテナンス装置11は、図1に示すように、定盤71と、ガイドレール73aと、ガイドレール73bと、保守テーブル75と、キャッピングユニット76と、フラッシングユニット77と、ワイピングユニット79と、を有している。
定盤71は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、X方向に支柱67aを挟んで定盤21と対峙する位置に設けられている。
ガイドレール73a及びガイドレール73bは、定盤71の上面71a上に配設されている。ガイドレール73a及びガイドレール73bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール73aとガイドレール73bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bを挟んで定盤71の上面71aに対向した状態で設けられている。保守テーブル75は、定盤71から浮いた状態でガイドレール73a及びガイドレール73b上に載置されている。
保守テーブル75には、キャッピングユニット76や、フラッシングユニット77、ワイピングユニット79などの保守ユニットが載置される。本実施形態では、保守ユニットは、キャッピングユニット76と、フラッシングユニット77と、ワイピングユニット79と、を含んでいる。
保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bによってY方向に沿って案内され、定盤71上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
フラッシングユニット77は、保守テーブル75の定盤71側とは反対側に設けられている。
ここで、ワークWへのパターンの描画とは無関係に、吐出ヘッド33から機能液56を吐出させる動作は、フラッシング動作と呼ばれる。フラッシング動作には、例えば、ノズル37内に滞留する機能液56がノズル37内で固化してしまうことを予防する効果がある。フラッシングユニット77は、フラッシング動作のときに、吐出ヘッド33から吐出される機能液56を受ける装置である。
キャッピングユニット76は、吐出ヘッド33に蓋をする装置である。吐出ヘッド33から吐出される機能液56では、液体成分が蒸発することがある。一般的に、機能液56における液体成分が蒸発すると、機能液56の粘度が高くなる。吐出ヘッド33内の機能液56の粘度が高くなると、ノズル37における液滴57を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)が低下することがある。吐出性能の低下としては、例えば、ノズル37から吐出された液滴57の進行方向が曲がってしまったり(飛行曲がり)、ノズル37から液滴57が吐出されなかったり(不吐出)することなどが挙げられる。なお、キャッピングユニット76で吐出ヘッド33に蓋をする動作は、キャッピング動作と呼ばれる。
キャッピングユニット76は、吐出ヘッド33に蓋をすることで、機能液56における液体成分がノズルから蒸発することを低く抑える。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
ワイピングユニット79は、吐出ヘッド33のノズル面35を拭く装置である。液滴吐出装置1では、ノズル面35に機能液56が付着することがある。ノズル面35に機能液56が付着すると、吐出ヘッド33における吐出性能が低下することがある。ワイピングユニット79は、ノズル面35を拭くことによって、ノズル面35に付着している機能液56を払拭する。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。なお、ワイピングユニット79でノズル面35を拭く動作は、ワイピング動作と呼ばれる。
保守テーブル75は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、保守テーブル75をY方向に沿って移動させるための動力源として、テーブル搬送モーターが採用されている。テーブル搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
テーブル搬送モーターからの動力は、移動機構を介して保守テーブル75に伝達される。これにより、保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。
つまり、メンテナンス装置11は、キャッピングユニット76や、フラッシングユニット77、ワイピングユニット79などの保守ユニットを、Y方向に沿って往復移動させることができる。これにより、平面視で吐出ヘッド33がメンテナンス装置11に重なっている状態において、吐出ヘッド33をキャッピングユニット76、フラッシングユニット77及びワイピングユニット79のそれぞれに対向させることができる。
除電装置13及び除電装置15は、図1に示すように、それぞれ、平面視で、定盤21の領域よりも外側に設けられている。除電装置13と、除電装置15とは、定盤21をX方向に挟んで互いに対峙している。また、除電装置13及び除電装置15は、それぞれ、平面視で、ヘッド可動領域に重なっている。ヘッド可動領域は、キャリッジ搬送装置9によって可動する吐出ヘッド33が可動域内で描く軌跡に重なる領域である。
なお、液滴吐出装置1では、ヘッド可動領域と、ワークWのY方向に沿った軌跡とが重なり合う領域が描画領域として設定されている。
このため、液滴吐出装置1において、除電装置13及び除電装置15は、それぞれ、平面視で、描画領域の外側に設けられている。
つまり、本実施形態では、除電装置13及び除電装置15は、それぞれ、描画領域の外側において、吐出ヘッド33がX方向に沿って描く軌跡に重なっている。
除電装置13は、平面視で、メンテナンス装置11と定盤21との間に位置している。また、除電装置15は、平面視で、定盤21のメンテナンス装置11側とは反対側に位置している。
除電装置13は、図1に示すように、2つの除電ブラシ43を有している。2つの除電ブラシ43は、Y方向に互いに隙間をあけた状態でY方向に沿って並んでいる。
除電装置15は、2つの除電ブラシ45を有している。2つの除電ブラシ45は、Y方向に互いに隙間をあけた状態でY方向に沿って並んでいる。
2つの除電ブラシ43及び2つの除電ブラシ45は、それぞれ、電気的に接地されている。除電ブラシ43や除電ブラシ45の材料としては、例えば、導電性繊維などが採用され得る。
なお、以下において、2つの除電ブラシ43のそれぞれを識別する場合に、2つの除電ブラシ43は、それぞれ、除電ブラシ43a及び除電ブラシ43bと表記される。同様に、2つの除電ブラシ45のそれぞれを識別する場合に、2つの除電ブラシ45は、それぞれ、除電ブラシ45a及び除電ブラシ45bと表記される。
除電ブラシ43a及び除電ブラシ45aは、それぞれ、吐出ヘッド33がキャリッジ搬送装置9によってX方向に沿って搬送されるときに、許可領域40aが描く軌跡に重なっている。
また、除電ブラシ43b及び除電ブラシ45bは、それぞれ、吐出ヘッド33がキャリッジ搬送装置9によってX方向に沿って搬送されるときに、許可領域40bが描く軌跡に重なっている。
2つの除電ブラシ43は、図5に示すように、それぞれ、ノズル面35のZ方向における高さよりも突出している。同様に、2つの除電ブラシ45も、それぞれ、ノズル面35のZ方向における高さよりも突出している。
このため、吐出ヘッド33をX方向に移動させると、図6に示すように、2つの除電ブラシ43及び2つの除電ブラシ45は、それぞれ、ノズル面35に当接する。
上記の構成を有する液滴吐出装置1では、ワークWと吐出ヘッド33とを互いに対向させた状態で吐出ヘッド33をX方向に往復移動させつつ、吐出ヘッド33から液滴57を吐出させることによって、ワークWに対するパターンの描画が行われる。
このとき、吐出ヘッド33のX方向における往復移動の往動から復動への折り返しや復動から往動への折り返しのときに、ノズル面35に除電ブラシ43や除電ブラシ45を当接させることができる。
このとき、除電ブラシ43aが許可領域40aに当接し、除電ブラシ43bが許可領域40bに当接する。また、除電ブラシ45aが許可領域40aに当接し、除電ブラシ45bが許可領域40bに当接する。
本実施形態では、吐出ヘッド33をX方向に往復移動させるときに、吐出ヘッド33を除電装置13及び除電装置15のそれぞれの定盤21側とは反対側まで移動させる。つまり、吐出ヘッド33は、描画領域内から除電装置13及び除電装置15のそれぞれを超えて描画領域の外側まで移動する。
このため、許可領域40aは、X方向の幅寸法にわたって、除電ブラシ43aや除電ブラシ45aによってこすられる。同様に、許可領域40bは、X方向の幅寸法にわたって、除電ブラシ43bや除電ブラシ45bによってこすられる。
これにより、撥液膜59に帯電した静電気を除電装置13及び除電装置15で除電することができる。なお、吐出ヘッド33を除電ブラシ43や除電ブラシ45に当接させる動作は、除電動作と呼ばれる。
本実施形態において、除電ブラシ43及び除電ブラシ45のそれぞれが導電部材に対応し、キャリッジ搬送装置9が変位装置に対応している。
本実施形態では、除電ブラシ43及び除電ブラシ45のそれぞれの接触が許可される許可領域40a及び許可領域40bが、それぞれ、ノズル面35においてノズル37の外側の領域に設けられている。このため、ノズル37やノズル37内の機能液56と除電ブラシ43や除電ブラシ45との接触を避けやすくすることができる。このため、ノズル37内の機能液56のメニスカスを維持しやすくすることができる。この結果、液滴57の吐出性能や吐出精度を維持しやすくすることができるため、描画品位を向上させやすくすることができる。
この液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33は、キャリッジ搬送装置9によって、ノズル列39の延在方向とは交差するX方向に移動する。そして、吐出ヘッド33のノズル面35において、許可領域40a及び許可領域40bは、Y方向にノズル列39を挟んで互いに対峙する位置に設定されている。上記の構成により、ノズル37と除電ブラシ43や除電ブラシ45との接触を避けやすくすることができる。
また、この液滴吐出装置1では、図1に示すように、描画領域とメンテナンス装置11との間に除電装置13が設けられている。このため、キャッピング動作、フラッシング動作、ワイピング動作などの後に吐出ヘッド33を除電装置13で除電することができる。
キャッピング動作では、キャッピングユニット76が吐出ヘッド33に接触する。また、ワイピング動作では、吐出ヘッド33のノズル面35がワイピングユニット79によってこすられる。このため、キャッピング動作やワイピング動作によって、ノズル面35の撥液膜59が帯電しやすくなる。
これに対し、本実施形態では、描画領域とメンテナンス装置11との間に除電装置13が設けられているので、キャッピング動作、フラッシング動作、ワイピング動作などの後に吐出ヘッド33を除電装置13で効率よく除電することができる。
なお、本実施形態では、往復移動する吐出ヘッド33の往動から復動への折り返し及び復動から往動への折り返しのそれぞれにおいて、除電動作を実施する方法が採用されているが、除電動作を実施する頻度は、これに限定されない。除電動作を実施する頻度としては、任意の頻度が採用され得る。例えば、吐出ヘッド33の1往復ごとに除電動作を実施する頻度とすれば、描画処理にかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、本実施形態では、X方向に定盤21を挟んで互いに対峙する除電装置13及び除電装置15が設けられているが、液滴吐出装置1の構成はこれに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、除電装置13及び除電装置15のいずれか一方を省略した構成も採用され得る。これにより、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
また、本実施形態では、導電性繊維で構成された除電ブラシ43や除電ブラシ45が採用されている。しかしながら、除電ブラシ43や除電ブラシ45の材料としては、導電性繊維などに限定されず、例えば、導電ゴム、導電樹脂や金属細線などの種々の材料が採用され得る。しかしながら、除電ブラシ43や除電ブラシ45の材料として導電性繊維を採用することは、許可領域40aや許可領域40bに付着した機能液56の少なくとも一部を払拭することができる点で好ましい。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
また、本実施形態では、メンテナンス装置11が、キャッピングユニット76、フラッシングユニット77及びワイピングユニット79を有している。しかしながら、メンテナンス装置11の構成は、これに限定されず、これらのうちの少なくとも1つを有する構成や、これらの他に別のユニットを有する構成などの種々の構成が採用され得る。
1…液滴吐出装置、9…キャリッジ搬送装置、11…メンテナンス装置、13…除電装置、15…除電装置、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37…ノズル、39…ノズル列、40a,40b…許可領域、43…除電ブラシ、43a,43b…除電ブラシ、45…除電ブラシ、45a,45b…除電ブラシ、51…ノズルプレート、56…機能液、57…液滴、59…撥液膜、76…キャッピングユニット、77…フラッシングユニット、79…ワイピングユニット。

Claims (5)

  1. 液状体を液滴として吐出するノズルが設けられたノズルプレートを有する吐出ヘッドと、
    前記ノズルプレートの前記ノズルが設けられている面であるノズル面の一部に接触し、電気的に接地された導電部材と、を有し、
    前記ノズル面には、前記ノズルの外側の領域において、前記導電部材の接触が許可される領域である許可領域が設けられており、
    前記ノズルプレートは、導電性を有する材料で構成されており、前記ノズル面側に前記液状体に対する撥液性が高められた撥液膜を有しており、
    前記撥液膜は、前記ノズル面の前記許可領域よりも外側に設けられている、
    ことを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記吐出ヘッドに対する前記導電部材の位置を変化させる変位装置を有しており、
    前記導電部材は、前記導電部材の位置を基準としたときに前記吐出ヘッドが描く軌跡に重なっている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記ノズルプレートは、複数の前記ノズルが配列したノズル列を有しており、
    前記変位装置は、前記吐出ヘッドに対する前記導電部材の位置を、前記ノズル列の延在方向とは交差する方向に変化させる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記導電部材は、前記液状体でパターンを描画することができる領域である描画領域の外側に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記描画領域の外側に、前記吐出ヘッドを保守するメンテナンス装置が設けられており、
    前記導電部材は、平面視で、前記描画領域と前記メンテナンス装置との間に設けられている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
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