JP2012065276A - アンテナ静電気保護回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力を高くし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくするアンテナ静電気保護回路を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、一端が無線回路2に、他端がアンテナ3に接続される伝送線路13と、伝送線路13から分岐し、無線回路2が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有するオープンスタブ15と、オープンスタブ15が伝送線路13から分岐する箇所と同一の箇所で伝送線路13から分岐し、無線回路2が送信又は受信する基本波の波長の1/6に等しい長さを有するショートスタブ16と、を備えることを特徴とするアンテナ静電気保護回路1である。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナからの静電気サージから無線回路を保護する技術に関する。
アンテナからの静電気サージから無線回路を保護する技術が従来から存在する。特許文献1では、アンテナ端子及びグランド端子の間にインダクタンス素子を配置する。特許文献2では、アンテナ端子に対してMOSFET構成を有するESD保護回路を接続する。特許文献3では、LC共振回路がサージ対策機能及び位相整合機能を発揮する。
アンテナからの静電気サージから無線回路を保護するとともに、高調波スプリアスを低減する技術も従来から存在する。特許文献4では、ESD回路及び高調波減衰用フィルタ回路を別個に設ける。特許文献5では、静電気保護のためのLC共振回路及び高調波低減のためのローパスフィルタを別個に設ける。特許文献6では、半導体ダイオードが、静電気保護機能を発揮するとともに、高調波低減機能を発揮するLC共振回路のうちキャパシタンスとして機能しており、静電気保護機能及び高調波低減機能を兼ね備える。
特開2003−18040号公報 特開2009−124653号公報 国際公開第2007/034589号 特開2006−121211号公報 特許第4210978号公報 特開2007−13031号公報
ここで、特許文献1−3では、静電気保護機能を伝送線路とは別個の回路により実現しており、特許文献4−6では、静電気保護機能及び高調波低減機能を伝送線路とは別個の回路により実現しているため、回路構成が複雑になりコスト高になる。しかし、以下の第1の従来技術では、静電気保護機能を伝送線路により実現しており、以下の第2の従来技術では、高調波低減機能を伝送線路により実現しているため、回路構成が単純になりコスト安になる。以下に第1及び第2の従来技術を説明する。
第1の従来技術の回路は、一端が無線回路に、他端がアンテナに接続される伝送線路と、伝送線路から分岐し、無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/4に等しい長さを有するショートスタブと、を備える。無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくすることができる。しかし、静電気サージの帯域周波数は、DCから数百MHzまでに及び、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数より低いところ、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力が低いという問題がある。
第2の従来技術の回路は、一端が無線回路に、他端がアンテナに接続される伝送線路と、伝送線路から分岐し、無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有するオープンスタブと、を備える。無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくすることができる。しかし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、オープンスタブは容量性リアクタンスとなるため、通過損失を小さくすることができないという問題がある。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力を高くし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくするアンテナ静電気保護回路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、一端が無線回路に他端がアンテナに接続される伝送線路の同一の箇所から、無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有するオープンスタブ及び無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/6に等しい長さを有するショートスタブを分岐させるようにした。
具体的には、本発明は、一端が無線回路に、他端がアンテナに接続される伝送線路と、前記伝送線路から分岐し、前記無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有するオープンスタブと、前記オープンスタブが前記伝送線路から分岐する箇所と同一の箇所で前記伝送線路から分岐し、前記無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/6に等しい長さを有するショートスタブと、を備えることを特徴とするアンテナ静電気保護回路である。
この構成によれば、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力を高くし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくすることができる。そして、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数の近傍において、通過損失が大きくなる周波数帯域を広げることができる。さらに、LC共振回路、ESD保護回路、ローパスフィルタ及びバリスタなどを利用しなくてもよく、オープンスタブ及びショートスタブの長さの合計を、無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/4にまで短くすることができる。つまり、スペースを小さくしコストを安くしつつ、静電気保護機能及び高調波低減機能をともに持たせることができる。
本発明は、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力を高くし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくし、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくするアンテナ静電気保護回路を提供することができる。
本発明のアンテナ静電気保護回路の構成を示す図である。 本発明及び従来技術の高周波特性のシミュレーション結果を比較する図である。 本発明及び従来技術の高周波特性のシミュレーション結果を比較する図である。 本発明及び従来技術の静電気特性のシミュレーション結果を比較する図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
図1は、本発明のアンテナ静電気保護回路の構成を示す図である。アンテナ静電気保護回路1は、第1端子11、第2端子12、伝送線路13、カップリングコンデンサ14、オープンスタブ15及びショートスタブ16から構成される。無線回路2及びアンテナ3は、送信のみを行なう構成であってもよいし、受信のみを行なう構成であってもよいし、送信及び受信をともに行なう構成であってもよい。
第1端子11に、無線回路2が接続される。第2端子12に、アンテナ3が接続される。伝送線路13は、第1端子11及び第2端子12を接続する。カップリングコンデンサ14は、伝送線路13の途中に配置され、直流電圧成分を除去する。オープンスタブ15は、伝送線路13から分岐し、無線回路2が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有する。ショートスタブ16は、オープンスタブ15が伝送線路13から分岐する箇所と同一の箇所で伝送線路13から分岐し、無線回路2が送信又は受信する基本波の波長の1/6に等しい長さを有する。
図2は、本発明及び従来技術の高周波特性のシミュレーション結果を比較する図である。図2では、図1に示した本発明のアンテナ静電気保護回路1を、上述した第1及び第2の従来技術の回路と比較する。図2の最も太い実線は、本発明のアンテナ静電気保護回路1の高周波特性を示し、図2の最も細い実線は、第1の従来技術の回路の高周波特性を示し、図2の中間の太さを有する実線は、第2の従来技術の回路の高周波特性を示す。図2の横軸は周波数を示し、図2の縦軸は透過係数S21を示す。無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数は、2.450GHzであるものとする。高周波特性のシミュレーションにおいて、アンテナ静電気保護回路1及びアンテナ3の間でインピーダンス整合が取れており、簡単のため無線回路2は接続されていないものとする。
静電気サージの帯域周波数は、DCから数百MHzまでに及び、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数より低い。静電気サージの帯域周波数に対しては、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第1の従来技術の回路より、透過係数S21が小さく除去能力が高い。
無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3倍の周波数である7.350GHzに対しては、オープンスタブ15は、対応波長の1/4に等しい長さを有しており、ショートスタブ16は、対応波長の1/2に等しい長さを有している。よって、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第2の従来技術の回路と同様に、透過係数S21が小さく通過損失が大きい。そして、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3倍の周波数である7.350GHzの近傍において、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第2の従来技術の回路より、通過損失が大きくなる周波数帯域が広い。図2には図示していないが、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しても、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3倍の周波数と同様である。
図3は、本発明及び従来技術の高周波特性のシミュレーション結果を比較する図である。図3では、図1に示した本発明のアンテナ静電気保護回路1を、上述した第2の従来技術の回路と比較する。図3(a)は本発明のアンテナ静電気保護回路1の高周波特性を示し、図3(b)は第2の従来技術の回路の高周波特性を示す。図3(a)及び図3(b)のそれぞれの左側はスミスチャートを示し、図3(a)及び図3(b)のそれぞれ右側は横軸に周波数を示し縦軸にリターンロスS11を示す。無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数は、2.450GHzであるものとする。高周波特性のシミュレーションにおいて、アンテナ静電気保護回路1及びアンテナ3の間でインピーダンス整合が取れており、簡単のため無線回路2は接続されていないものとする。
無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数である2.450GHzに対しては、本発明のアンテナ静電気保護回路1では、リターンロスS11は約−40dB以下であり、第2の従来技術の回路では、リターンロスS11は約−10dBである。そして、本発明のアンテナ静電気保護回路1では、通過損失は約0.08dBであり、第2の従来技術の回路では、通過損失は約0.4dBである。つまり、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第2の従来技術の回路より、リターンロスS11が小さく通過損失が小さい。本発明のアンテナ静電気保護回路1では、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数に対して通過損失が小さくなる理由は、以下の通りと考えられる。
まず、第2の従来技術の回路では、オープンスタブは、容量性リアクタンスを有する。具体的には、第2の従来技術の回路のインピーダンスは、35.987−j22.413である。一方、本発明のアンテナ静電気保護回路1では、オープンスタブ15が容量性リアクタンスを有し、ショートスタブ16が誘導性リアクタンスを有し、オープンスタブ15及びショートスタブ16が一体として、容量性リアクタンス及び誘導性リアクタンスをキャンセルする。具体的には、本発明のアンテナ静電気保護回路1のインピーダンスは、49.181−j0.251である。このように、本発明のアンテナ静電気保護回路1では、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数に対して通過損失が小さくなる。
図4は、本発明及び従来技術の静電気特性のシミュレーション結果を比較する図である。図4では、図1に示した本発明のアンテナ静電気保護回路1を、上述した第1の従来技術の回路と比較する。図4(a)は静電気低減前の静電気サージ入力波形を示し、図4(b)は静電気低減後の静電気サージ出力波形を示す。図4(a)において、本発明のアンテナ静電気保護回路1及び第1の従来技術の回路で同様であり、図4(b)において、太い実線は本発明のアンテナ静電気保護回路1の静電気特性を示し、細い実線は第1の従来技術の回路の静電気特性を示す。図4の横軸は経過時間を示し、図4の縦軸は静電気サージの電圧を示す。無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数は、2.450GHzであるものとする。静電気特性のシミュレーションにおいて、アンテナ静電気保護回路1及びアンテナ3の間でインピーダンス整合が取れており、簡単のため無線回路2は接続されていないものとする。
図4(a)では、静電気サージは、約1.0nsecの経過時間で0kVから1kVまで立ち上がり始め、約1.7nsecから約2.8nsecまでの経過時間で1kVを保持し、約3.7nsecの経過時間で1kVから0kVまで立ち下がり終わる。
図4(b)では、本発明のアンテナ静電気保護回路1及び第1の従来技術の回路において、静電気サージは、約1.0nsecの経過時間で0kVからピーク電圧まで立ち上がり始め、約2.0nsecの経過時間でピーク電圧から0kVまで立ち上がり終わる。本発明のアンテナ静電気保護回路1においては、ピーク電圧は約0.2088kVであり、第1の従来技術の回路においては、ピーク電圧は約0.2848kVである。つまり、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第1の従来技術の回路より、静電気を低減することができる。これは、図2を用いて示したように、静電気サージの帯域周波数に対しては、本発明のアンテナ静電気保護回路1では第1の従来技術の回路より、透過係数S21が小さく除去能力が高いことを反映していると考えられる。
以上に説明したように、静電気サージの帯域周波数に対しては、除去能力を高くし、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくし、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数に対しては、通過損失を小さくすることができる。そして、無線回路2が送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数の近傍において、通過損失が大きくなる周波数帯域を広げることができる。つまり、多チャンネル送受信においても、各チャンネルで送信又は受信する基本波の周波数の3n倍の周波数に対しては、通過損失を大きくすることができる。
さらに、LC共振回路、ESD保護回路、ローパスフィルタ及びバリスタなどを利用しなくてもよく、オープンスタブ15及びショートスタブ16の長さの合計を、無線回路2が送信又は受信する基本波の波長の1/4にまで短くすることができる。ここで、本発明のアンテナ静電気保護回路1でのオープンスタブ15及びショートスタブ16の長さの合計は、第1の従来技術の回路でのショートスタブの長さと結果的に同様となる。つまり、スペースを小さくしコストを安くしつつ、静電気保護機能及び高調波低減機能をともに持たせることができる。
本発明に係るアンテナ静電気保護回路は、携帯端末及び無線LAN装置などにおいて、無線回路が送信又は受信する基本波の周波数が狭帯域周波数であり、静電気保護機能及び高調波低減機能がともに必要とされる場合に、特に有用である。
1:アンテナ静電気保護回路
2:無線回路
3:アンテナ
11:第1端子
12:第2端子
13:伝送線路
14:カップリングコンデンサ
15:オープンスタブ
16:ショートスタブ

Claims (1)

  1. 一端が無線回路に、他端がアンテナに接続される伝送線路と、
    前記伝送線路から分岐し、前記無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/12に等しい長さを有するオープンスタブと、
    前記オープンスタブが前記伝送線路から分岐する箇所と同一の箇所で前記伝送線路から分岐し、前記無線回路が送信又は受信する基本波の波長の1/6に等しい長さを有するショートスタブと、
    を備えることを特徴とするアンテナ静電気保護回路。
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