JP2012059866A - Mocvd装置及びそのクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエットクリーニングによらず、MOCVD装置の処理容器内を短時間に、かつ低温で清浄化する方法を提供する。
【解決手段】MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置の処理容器内の付着物に、水素ラジカル又はハロゲンラジカルを作用させることにより、前記付着物を揮発成分に変化させて前記処理容器の外部へ排出させる。水素ラジカル又はハロゲンラジカルは、処理容器の内部でクリーニングガスのプラズマを生成させたり、クリーニングガスへレーザー照射したりする方法で発生させてもよく、処理容器の外部で発生させて処理容器内へ導入してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体膜を成膜するMOCVD(有機金属気相成長)装置及びそのクリーニング方法に関する。
窒化物半導体は、バンドギャップが大きく、結晶が硬い、高電圧耐性、電子の飽和速度が速い等の特徴を有しており、例えば、発光ダイオード(LED)、青紫色半導体レーザー素子、各種の電子デバイス用材料等の用途に注目を集めている。
窒化物半導体の成膜は、例えばMOCVD法によりエピタキシャル成長させることにより行われる。このMOCVD法に用いる成膜装置の処理容器の内壁や部品には、処理を重ねるごとに反応生成物が付着して堆積していく。このような付着物は、剥離するとパーティクルとなって基板に付着し、窒化物半導体製品の品質を低下させる原因となる。
そこで、従来は、Hガスを処理容器内に導入して加熱する熱処理(H熱処理)によるクリーニング、フッ酸、リン酸などの薬液を用いたウエットクリーニング、あるいはサンドブラスト処理などの物理的クリーニングが行われていた。しかし、H熱処理によるクリーニングでは、付着物を除去するために1000℃程度の高温に加熱することが必要であり、熱による部品の変形や破損を引き起こすおそれがあった。従って、熱に弱い部品については、処理容器内から取り出してウエットクリーニングをしたり、物理的クリーニングをしたりする必要があった。そのため、クリーニングの都度、長時間装置を停止させなければならず、装置のダウンタイムが増えて生産性の低下を招く一因となっていた。また、ウエットクリーニングで使用する薬液による作業者の健康への影響を考慮すると、出来るだけウエットクリーニング以外の方法で処理容器内を清浄化できる方法の開発が望まれていた。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ウエットクリーニングによらず、MOCVD装置の処理容器内を短時間に、かつ低温で清浄化する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のクリーニング方法は、MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置の処理容器内の付着物に、水素ラジカル又はハロゲンラジカルを作用させることにより、前記付着物を揮発成分に変化させて前記処理容器の外部へ排出させる工程を備えている。
本発明のクリーニング方法は、前記処理容器内に水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを導入する工程と、
前記処理容器内で前記クリーニングガスを活性化させることにより、前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる工程と、
をさらに含んでいてもよい。この場合、前記処理容器内に電磁波を供給して前記クリーニングガスのプラズマを生成させてもよいし、レーザー光照射によって前記クリーニングガスを活性化させてもよい。
また、本発明のクリーニング方法は、前記処理容器の外部で前記クリーニングガスを活性化させることにより、前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる工程と、
前記処理容器内に前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを導入する工程と、
をさらに含んでいてもよい。
本発明のMOCVD装置は、MOCVD法により被処理体上に窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置であって、
被処理体を収容し、成膜処理を行う処理容器と、
前記処理容器内に水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを導入するガス供給部と、
前記処理容器内で、前記クリーニングガスを活性化させて水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる活性化手段と、
前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
を備えている。
本発明のMOCVD装置は、前記活性化手段が、前記処理容器内に電磁界を発生させて前記クリーニングガスのプラズマを生成させる電磁波供給装置であってもよいし、あるいは、前記処理容器内で前記クリーニングガスにレーザー光を照射するレーザー照射装置であってもよい。
また、本発明のMOCVD装置は、MOCVD法により被処理体上に窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置であって、
被処理体を収容し、成膜処理を行う処理容器と、
水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを活性化させて水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる活性化室と、
前記活性化室の水素ラジカル又はハロゲンラジカルを前記処理容器内に供給するラジカル供給ラインと、
前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
を備えている。
本発明のクリーニング方法によれば、ラジカルを用いることによって、H熱処理によるクリーニングに比べて低温で付着物の除去が可能になる。従って、熱による処理容器内の部品の変形や破損を引き起こすことがない。また、ウエットクリーニングと異なり、処理容器内の部品を外部に取り出さずにクリーニングできる。従って、クリーニングに要するMOCVD装置のダウンタイムを大幅に短縮できる。
本発明の第1の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置の概略構成を示す断面図である。 第1の実施の形態のクリーニング方法の主要工程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置の概略構成を示す断面図である。 第2の実施の形態のクリーニング方法の主要工程を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置の概略構成を示す断面図である。 第3の実施の形態のクリーニング方法の主要工程を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。ここでは、本発明のクリーニング方法について、第1〜第3の実施の形態を例示して説明する。
<第1の実施の形態>
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の第1の実施の形態のクリーニング方法について説明する。図1は第1の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置100の概略構成を示す断面図である。MOCVD装置100で成膜の対象となる窒化物半導体としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウム(AlN)やこれらの混晶により構成されるIII−V族窒化物系化合物半導体を挙げることができる。
MOCVD装置100は、気密に構成された略円筒状の処理容器1を有している。処理容器1は、例えばアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムなどの材質で形成されている。処理容器1の中には被処理体である基板Sを水平に支持する載置台であるステージ3が配備されている。ステージ3は、円筒状の支持部材5により支持されている。ステージ3には、二点鎖線で示す基板Sを加熱するため、加熱手段としてのヒーター6が埋設されている。ヒーター6は、図示しないヒーター電源から給電されることにより基板Sを所定の温度に加熱する抵抗加熱ヒーターである。基板Sを加熱するための加熱手段としては、抵抗加熱ヒーターに限らず、例えばランプ加熱ヒーターでもよい。
処理容器1の天板1aには、シャワーヘッド11が設けられている。このシャワーヘッド11は、内部にガス拡散空間11a,11bが設けられている。シャワーヘッド11の下面には、多数のガス吐出孔13a,13bが形成されている。ガス拡散空間11aはガス吐出孔13aに、ガス拡散空間11bはガス吐出孔13bに、それぞれ連通している。シャワーヘッド11の中央部には、ガス拡散空間11a,11bにそれぞれ連通するガス供給配管15d,15bが接続されている。
ガス供給配管15dはガス供給源19a及びガス供給源19cに、ガス供給配管15bはガス供給源19bに、それぞれ接続されている。ここで、ガス供給源19aは、ガス供給配管15aを介してガス供給配管15dに合流して接続されている。ガス供給源19cは、ガス供給配管15cを介してガス供給配管15dに合流して接続されている。ガス供給配管15a,15b,15cの途中には、それぞれMFC(マスフローコントローラ)17a,17b,17cと、その前後に各2個のバルブ18a,18b、18cが設けられている。
ガス供給源19a,19bからは、MOCVDの原料ガスが処理容器1内へ供給される。ガス供給源19aからは、III族原料ガスとして、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ターシャリーブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、ターシャリーブチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ターシャリーブチルインジウム、シクロペンタジエニルインジウム等が供給される。また、ガス供給源19bからは、V族原料として、例えばアンモニア、アルキルアミン類、ヒドラジン類等が供給される。
ガス供給源19cからは、クリーニングガス(CLN)が処理容器1内へ供給される。クリーニングガスとしては、水素ガス(H)又はハロゲン系ガスを含む1種もしくは2種以上の組み合わせを挙げることができる。ハロゲン系ガスとしては、例えばCl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ素)、F(フッ素)を含むガスを挙げることができるが、反応生成物の蒸気圧を考慮すると、Cl(塩素)が最も好ましく、次に、Br(臭素)、その次に、I(ヨウ素)の順で好ましい。以下の実施の形態では、ハロゲン系ガスの代表例として塩素系ガスを用いる場合について説明する。塩素系ガスとしては、例えばCl、HCl、BCl、CHCl(4−x)(ここで、xは0、1、2又は3の数を意味する)等を挙げることができる。また、クリーニングガスは、例えばAr等の希ガスなどを含むことができる。なお、ガス供給源は、図示のものに限らず、例えば処理容器1内の雰囲気置換をするためのパージガスなども同様の機構で供給することができる。
III族原料ガスは、ガス供給源19aから、ガス供給配管15a,15dを介して、シャワーヘッド11のガス拡散空間11aに供給される。ガス拡散空間11aに導入されたIII族原料ガスは、ガス吐出孔13aから、処理容器1内の処理空間に噴射される。V族原料ガスは、ガス供給源19bから、ガス供給配管15bを介して、シャワーヘッド11のガス拡散空間11bに供給される。ガス拡散空間11bに導入されたV族原料ガスは、ガス吐出孔13bから、処理容器1内の処理空間に噴射される。
一方、クリーニングガスは、ガス供給源19cから、ガス供給配管15c,15dを介して、シャワーヘッド11のガス拡散空間11aに供給される。ガス拡散空間11aに導入されたクリーニングガスは、ガス吐出孔13aから、処理容器1内の処理空間に噴射される。なお、図1では、クリーニングガスを原料ガスと共通のガス供給配管15dを介して処理容器1内に導入する構成としたが、原料ガスとは別の配管から処理容器1内に導入してもよい。また、クリーニングガスは、例えば処理容器1の側壁1bにガス導入口を設け、そこから処理容器1内に導入することもできる。
シャワーヘッド11には、給電線20及び整合器21を介して高周波電源23が接続されている。高周波電源23としては、周波数が例えば400kHz〜100MHz、好ましくは2MHz〜60MHzのものが用いられる。この高周波電源23からシャワーヘッド11に高周波を供給することにより、シャワーヘッド11を介して処理容器1内に供給されたクリーニングガスを電磁界によりプラズマ化することができる。なお、シャワーヘッド11に対向して配置されるステージ3に、同様の構成で高周波を供給し、クリーニングガスをプラズマ化させることもできる。本実施の形態において、給電線20、整合器21及び高周波電源23は、クリーニングガスを活性化させる「活性化手段」としての電磁波供給装置である。また、クリーニングガスを活性化させるために、マイクロ波を用いることも可能である。
処理容器1の底壁1cには、排気口31が形成されている。この排気口31には排気管33を介して排気装置35が接続されている。排気装置35は、例えば図示しない圧力調整弁や真空ポンプなどを備えており、処理容器1内の排気を行って処理容器1内を真空引きできるように構成されている。
MOCVD装置100を構成する各エンドデバイス(例えば、ヒーター6、MFC17a,17b,17c、高周波電源23、排気装置35など)は、コンピュータを有する制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50は、図示は省略するが、CPUを備えたコントローラと、このコントローラに接続されたユーザーインターフェースおよび記憶部を備えている。ユーザーインターフェースは、工程管理者がMOCVD装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードやタッチパネル、MOCVD装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。記憶部には、MOCVD装置100で実行される各種処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェースからの指示等にて任意の制御プログラムやレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、コントローラの制御下で、MOCVD装置100の処理容器1内で所望のMOCVD処理やクリーニング処理が行われる。なお、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態のものを記憶部にインストールすることによって利用できる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はないが、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVDなどを使用できる。また、前記レシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
以上のような構成のMOCVD装置100では、制御部50の制御に基づき、MOCVD法により窒化物半導体の成膜処理が行われる。また、MOCVD装置100では、制御部50の制御に基づき、処理容器1内のクリーニング処理も行われる。具体的には、排気装置35を作動させて処理容器1内を真空に保ちながら、ガス供給源19cから、ガス供給配管15c,15dを介してシャワーヘッド11へクリーニングガスを供給し、シャワーヘッド11のガス吐出孔13aから処理容器1内へクリーニングガスを供給する。そして、高周波電源23からシャワーヘッド11に高周波電力を供給することにより、クリーニングガスを解離させ、処理容器1内にクリーニングガスのプラズマを生成させる。このプラズマ中の水素ラジカル又は塩素ラジカルによって、処理容器1内(処理容器1の内壁及び処理容器1内の部品)を清浄化することができる。
図2は、MOCVD装置100で行われる第1の実施の形態に係るクリーニング方法の概要を説明するフローチャートである。このクリーニング方法は、ステップS1からステップS3の工程を含むことができる。
(ステップS1)
まず、ステップS1では、MOCVD装置100の処理容器1内に水素ガス又は塩素系ガスを含むクリーニングガスを導入する。具体的には、ガス供給源19cから、ガス供給配管15c,15d、シャワーヘッド11のガス拡散空間11a及びガス吐出孔13aを介して、処理容器1内に噴射される。
(ステップS2)
次に、処理容器1内でクリーニングガスのプラズマを生成させることにより、水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。具体的には、MOCVD装置100の場合、高周波電源23からシャワーヘッド11に高周波電力を供給することにより、処理容器1内でクリーニングガスのプラズマを生成させる。
(ステップS3)
次に、処理容器1内の付着物に、水素ラジカル又は塩素ラジカルを作用させることにより、付着物を揮発成分に変化させて処理容器1内から排出させる。すなわち、水素ラジカル及び塩素ラジカルは、処理容器1内(処理容器1の内壁、処理容器1内の部品)の付着物と反応し、揮発性の分子となって排気される。例えば、窒化物半導体としてGaNを成膜する場合、処理容器1内の付着物としてGaNが堆積する。この付着物のGaNは水素ラジカル又は塩素ラジカルにより、下式(1)又は(2)に示す反応機構によって揮発成分に変化する。
(1)GaN + 6H → GaH↑ + NH
(2)2GaN + 6Cl → 2GaCl↑ + N
揮発成分のGaHやGaClは、MOCVD装置100の排気装置35によって処理容器1内から速やかに排出される。なお、GaN以外のIII−V族窒化物半導体を成膜するMOCVD装置においても、同様の反応機構によって付着物が除去される。このように、本実施の形態のクリーニング方法では、ラジカルを用いることによって、H熱処理によるクリーニングに比べて低温で付着物の除去が可能になる。従って、熱による処理容器1内の部品の変形や破損を引き起こすことがない。また、ウエットクリーニングと異なり、処理容器1内の部品を外部に取り出さずにクリーニングできる。従って、クリーニングに要するMOCVD装置のダウンタイムを大幅に短縮できる。
クリーニング処理における条件は、制御部50の例えば記憶部にレシピとして保存しておくことができる。そして、コントローラがそのレシピを読み出してMOCVD装置100の各エンドデバイスへ制御信号を送出することにより、所望の条件でクリーニング処理が行われる。
なお、本実施の形態のクリーニング方法は、上記ステップS1〜ステップS3以外に、任意の工程を含むことができる。例えば、ステップS3の後でパージガスを処理容器内に導入してパージを行う工程などを含むことができる。
<第2の実施の形態>
次に、図3及び図4を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るクリーニング方法について説明する。図3は第2の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置101の概略構成を示す断面図である。MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置101は、第1の実施の形態における図1のMOCVD装置100と類似の構成であるため、ここでは相違点を中心に説明し、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
MOCVD装置101は、クリーニングガスを活性化させる「活性化手段」として、レーザー照射装置(LSR)40を備えている。ここで、レーザー照射装置40としては、例えば紫外光を発するエキシマレーザー等を照射できるものであればよい。本実施の形態では、レーザー照射装置40によって、処理容器1の側壁1bに設けられた開口部1dから、処理容器1内にレーザー光を照射する。そして、ガス供給源19cからシャワーヘッド11を介して処理容器1内に導入されたクリーニングガスを励起させ、水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させることができる。なお、本実施の形態では、レーザー光の照射によってクリーニングガスをプラズマ化してもよい。
MOCVD装置101は、上記のように活性化手段としてレーザー照射装置40を備えているため、第1の実施の形態のMOCVD装置100における給電線20、整合器21及び高周波電源23は設けていないが、これらを備えていてもよい。
図4は、第2の実施の形態に係るクリーニング方法の概要を説明するフローチャートである。このクリーニング方法は、ステップS11からステップS13の工程を含むことができる。
(ステップS11)
まず、ステップS11では、MOCVD装置101の処理容器1内に水素ガス又は塩素系ガスのガスを含むクリーニングガスを導入する。このステップS11の工程は、第1の実施の形態のステップS1と同様に実施できるので、重複した内容の説明を省略する。
(ステップS12)
次に、ステップS12では、処理容器1内のクリーニングガスにレーザー光を照射することによって水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。レーザー光照射によって、クリーニングガスが励起され、水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。
(ステップS13)
次に、処理容器1内の付着物に、水素ラジカル又は塩素ラジカルを作用させることにより、付着物を揮発成分に変化させて処理容器1内から排出させる。このステップS13の工程は、第1の実施の形態のステップS3と同様に実施できるので、重複した内容の説明を省略する。このように、本実施の形態のクリーニング方法では、レーザー光により励起されたラジカルを用いることによって、H熱処理によるクリーニングに比べて低温で付着物の除去が可能になる。従って、熱による処理容器1内の部品の変形や破損を引き起こすことがない。また、ウエットクリーニングと異なり、処理容器1内の部品を外部に取り出さずにクリーニングできる。従って、クリーニングに要するMOCVD装置のダウンタイムを大幅に短縮できる。
なお、本実施の形態のクリーニング方法は、上記ステップS11〜ステップS13以外に、任意の工程を含むことができる。例えば、ステップS13の後でパージガスを処理容器内に導入してパージを行う工程などを含むことができる。
本実施の形態における他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
<第3の実施の形態>
次に、図5及び図6を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係るクリーニング方法について説明する。図5は第3の実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置102の概略構成を示す断面図である。MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置102は、原料ガスを基板Sの側方から横方向に供給するサイドフロータイプの装置として構成されている。MOCVD装置102は、主要な構成として、処理容器110と、処理容器110に原料ガスを供給する2つのガス供給ライン120a,120bと、反応後のガスを排出するガス排気ライン130と、処理容器110にラジカルを導入するラジカル供給ライン140と、クリーニングガスのラジカルを発生させる活性化室150と、クリーニングガスを活性化室150に供給するガス供給ライン160と、を含んで構成される。なお、図5では2系統のガス供給ライン120a,120bを図示しているが、他のガス供給ラインを備えていてもよい。
処理容器110内の中央には、被処理体である基板Sを水平に保持する載置台111が設けられている。図5に示すように、載置台111は、図示しない駆動機構によって回転可能になっている。載置台111の下方には、基板Sを成膜に適した温度に加熱するヒーター113が配設されている。また、ヒーター113及び載置台111は、石英管115によって囲われている。
処理容器110の側面には、ガス供給ライン120a,120bから供給された原料ガスをそれぞれ処理容器110内に導入するガス導入部としてのシャワーヘッド121が設けられている。ガス供給ライン120a,120bは、それぞれ、ガス供給源123a,123bと、MFC125a,125bと、複数のバルブ127a,127bとを有している。本実施の形態では、ガス供給源123aからはIII族原料、ガス供給源123bからはV族原料を、それぞれ別系統で処理容器110内に導入できるように構成されている。ガス供給源123a,123bの各原料ガスは、MFC125a,125bによって流量が調節されてシャワーヘッド121を介して処理容器110内に供給される。
また、処理容器110の側面には、シャワーヘッド121と並んで、ラジカル供給ライン140から供給されたラジカルを処理容器110内に導入するラジカル導入部141が設けられている。ラジカル供給ライン140は、クリーニングガスを活性化させる活性化手段としての活性化室150に接続されている。活性化室150は、ガス導入口150a、ガス出口150b及びこれらに連通する内部のガス流路150cを有している。また、活性化室150は、ガス流路150cを囲むように配備されたコイル151を有している。そして、コイル151に図示しない電源から高周波電力又はマイクロ波電力を供給することにより、前記ガス流路150c内を流れるクリーニングガスのプラズマを生成させることができる。
また、活性化室150には、ガス供給ライン160が接続されている。ガス供給ライン160は、例えば、クリーニングガス(CLN)を保持するガス供給源161と、MFC163と、複数のバルブ165とを備えている。以上のような構成によって、ガス供給源161からクリーニングガスが活性化室150に供給され、その内部で活性化されてラジカルを発生させる。このラジカルは、ラジカル供給ライン140を介してラジカル導入部141から処理容器110内に導入される。
また、処理容器110のシャワーヘッド121とは反対側の側面には、反応後のガスを排出するガス排出部131が設けられている。このガス排出部131は、バルブ133及び排気装置135などを備えるガス排気ライン130に接続されている。このような排気系の構成により、処理容器110内をMOCVD成膜やクリーニング処理に適した圧力に維持することができる。
MOCVD装置102を構成する各エンドデバイス(例えば、ヒーター113、MFC125a,125b,163、排気装置135、活性化室150など)は、コンピュータを有する制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50の構成と機能は、第1及び第2の実施の形態と同様であるため、重複した内容の説明を省略する。
以上のような構成のMOCVD装置102では、制御部50の制御に基づき、MOCVD法により窒化物半導体の成膜処理が行われる。また、MOCVD装置102では、制御部50の制御に基づき、処理容器110内のクリーニング処理も行われる。具体的には、まず、排気装置135を作動させて処理容器110内を真空に調節する。そして、ガス供給ライン160のガス供給源161からクリーニングガスを活性化室150に供給して、活性化室150内で水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。このラジカルをラジカル供給ライン140及びラジカル導入部141を介して処理容器110内へ供給する。この水素ラジカル又は塩素ラジカルによって、処理容器110内(処理容器110の内壁及び処理容器110内の部品)を清浄化することができる。
図6は、第3の実施の形態に係るクリーニング方法の概要を説明するフローチャートである。このクリーニング方法は、ステップS21からステップS23の工程を含むことができる。
(ステップ21)
まず、ステップS21では、MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置102の処理容器110の外部でクリーニングガスを活性化させることにより、水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。本実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と異なり、処理容器110の外部に活性化室150を設け、そこにクリーニングガスを導入してプラズマを生成させ、水素ラジカル又は塩素ラジカルを発生させる。
(ステップS22)
次に、ステップS22では、処理容器110内に、外部の活性化室150で発生させた水素ラジカル又は塩素ラジカルを、ラジカル供給ライン140を介して導入する。
(ステップS23)
次に、ステップS23では、処理容器内の付着物に、水素ラジカル又は塩素ラジカルを作用させることにより、付着物を揮発成分に変化させて処理容器内から排出させる。このステップS23の工程は、第1の実施の形態のステップS3と同様に実施できるので、説明を省略する。
以上のように、本実施の形態において、ステップS21〜ステップS23は、リモートプラズマ機構によって実現される。本実施の形態のクリーニング方法では、リモートプラズマ機構によって処理容器内に導入されたラジカルを用いることによって、H熱処理によるクリーニングに比べて低温で付着物の除去が可能になる。従って、熱による処理容器内の部品の変形や破損を引き起こすことがない。また、ウエットクリーニングと異なり、処理容器内の部品を外部に取り出さずにクリーニングできる。従って、クリーニングに要するMOCVD装置のダウンタイムを大幅に短縮できる。
なお、本実施の形態のクリーニング方法は、上記ステップS21〜ステップS23以外に、任意の工程を含むことができる。例えば、ステップS23の後でパージガスを処理容器110内に導入してパージを行う工程などを含むことができる。
本実施の形態における他の構成及び効果は、第1及び第2の実施の形態と同様である。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、図1、図3及び図5は、各実施の形態のクリーニング方法を適用可能なMOCVD装置の一例であり、各部材の構成や配置、ガス供給ラインの配管構成などは適宜変更可能である。また、図1及び図3に例示したMOCVD装置において、第3の実施の形態にようにリモートプラズマ方式でラジカルを導入するようにしてもよい。また、図5に例示したサイドフロータイプのMOCVD装置において、第1の実施の形態のように、高周波(又はマイクロ波)による活性化手段を設けてもよいし、第2の実施の形態のように、レーザー照射による活性化手段を設けてもよい。
また、上記の各実施の形態では、ハロゲン系ガスとして、塩素系ガスを用い、塩素ラジカルを生成させる場合を例に挙げて説明したが、他のハロゲン系ガスを用いて、塩素ラジカル以外のハロゲンラジカルを生成させてもよい。なお、「ハロゲンラジカル」には、塩素ラジカルのほか、臭素ラジカル、ヨウ素ラジカル、フッ素ラジカルが含まれる。
1…処理容器、1a…天板、1b…側壁、1c…底壁、3…ステージ、6…ヒーター、11…シャワーヘッド、11a、11b…ガス拡散空間、13a,13b…ガス吐出孔、15a,15b,15c,15d…ガス供給配管、17a,17b,17c…マスフローコントローラ(MFC)、18a,18b,18c…バルブ、19a,19b,19c…ガス供給源、20…給電線、21…整合器、23…高周波電源、31…排気口、33…排気管、35…排気装置、50…制御部、100…MOCVD装置、S…基板

Claims (9)

  1. MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置の処理容器内の付着物に、水素ラジカル又はハロゲンラジカルを作用させることにより、前記付着物を揮発成分に変化させて前記処理容器の外部へ排出させる工程を備えたクリーニング方法。
  2. 前記処理容器内に水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを導入する工程と、
    前記処理容器内で前記クリーニングガスを活性化させることにより、前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる工程と、
    をさらに含む請求項1に記載のクリーニング方法。
  3. 前記処理容器内に電磁波を供給して前記クリーニングガスのプラズマを生成させる請求項2に記載のクリーニング方法。
  4. レーザー光照射によって前記クリーニングガスを活性化させる請求項2に記載のクリーニング方法。
  5. 前記処理容器の外部で前記クリーニングガスを活性化させることにより、前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる工程と、
    前記処理容器内に前記水素ラジカル又はハロゲンラジカルを導入する工程と、
    をさらに含む請求項1に記載のクリーニング方法。
  6. MOCVD法により被処理体上に窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置であって、
    被処理体を収容し、成膜処理を行う処理容器と、
    前記処理容器内に水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを導入するガス供給部と、
    前記処理容器内で、前記クリーニングガスを活性化させて水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる活性化手段と、
    前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
    を備えたMOCVD装置。
  7. 前記活性化手段が、前記処理容器内に電磁界を発生させて前記クリーニングガスのプラズマを生成させる電磁波供給装置である請求項6に記載のMOCVD装置。
  8. 前記活性化手段が、前記処理容器内で前記クリーニングガスにレーザー光を照射するレーザー照射装置である請求項6に記載のMOCVD装置。
  9. MOCVD法により被処理体上に窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置であって、
    被処理体を収容し、成膜処理を行う処理容器と、
    水素ガス又はハロゲン系ガスを含むクリーニングガスを活性化させて水素ラジカル又はハロゲンラジカルを発生させる活性化室と、
    前記活性化室の水素ラジカル又はハロゲンラジカルを前記処理容器内に供給するラジカル供給ラインと、
    前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
    を備えたMOCVD装置。
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