JP2012059532A - 二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンの剥がれが抑制された被覆正極活物質を含むペーストを用いることで電池性能に優れた二次電池を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、遷移金属元素を含む正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質を含む混合物を混練して得た正極活物質層形成用ペーストを用意することを包含する。ここで、ペーストが以下の試験:ペーストから形成された正極活物質層に対するXPSによる被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Sと、表面全体が炭素材料で被覆された正極活物質を含む基準正極活物質層に対するXPSによる基準被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Aとを比較し、ピーク強度Sの増加率が5%以下の場合には良品と、5%を超える場合には不良品と判定する;によって良品と判定される場合に、該ペーストを用いて正極活物質層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池とその製造方法に関する。より詳細には炭素材料で表面が被覆された正極活物質を備える正極とその製造技術に関する。
リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、リチウムイオンが正極と負極との間を行き来することにより充電および放電するリチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして今後益々の需要増大が見込まれている。
この種のリチウムイオン二次電池に用いられる正極の一つとして、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む正極活物質を主成分とする正極活物質層が正極集電体の上に形成された構成が挙げられる。
一般に、正極活物質は導電性に乏しいため、カーボンブラック等の炭素材料を導電材として正極活物質層に含めることによって正極の導電性を向上させることがある。さらに、該正極の導電性をより向上させるために正極活物質として、該正極活物質を導電性を有する炭素材料で被覆したものを用いる場合がある。この種の正極活物質に関する技術文献として特許文献1が挙げられる。特許文献1には、糖類由来の電子伝導性炭素質層等によって正極活物質の表面を被覆(カーボンコーティング)し、得られた正極活物質(以下、「被覆正極活物質」とする。)を用いることによって正極の導電性を向上し得る技術が記載されている。
特開2009−146773号公報
しかしながら、かかる被覆正極活物質(カーボンコート正極活物質)を採用して正極を製造する場合において、当該被覆正極活物質と導電材等と所定の溶媒とを混練して正極活物質層形成用のペースト状組成物(ペースト状組成物にはスラリー状組成物及びインク状組成物が包含される。以下、ペースト状組成物を単に「ペースト」という。)を調製する際に、図5に示すように、ペースト混練時のせん断力が被覆正極活物質150に加わることでカーボン(炭素材料)160が該正極活物質170本体から剥がれる場合がある。また、ペースト混練時におけるカーボン160の剥がれを抑制するために溶媒の量を増やすとペースト中で導電材が凝集してしまい、該ペーストを用いて形成された正極活物質層では電池の充放電の際に反応ムラが発生する虞がある。
そこで、本発明は、上述した従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、カーボン(炭素材料)の剥がれが抑制された被覆正極活物質(カーボンコート正極活物質)を含むペーストを用いることによって電池性能に優れた二次電池を製造する方法を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極と、負極集電体上に負極活物質層が形成された負極とを備える二次電池を製造する方法が提供される。ここで開示される二次電池の製造方法は、一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質(カーボンコート正極活物質)と所定の溶媒とを混合し、該混合物を混練して得た正極活物質層形成用ペーストを用意すること、を包含する。
ここで、上記用意したペーストが以下の判定試験:
上記用意したペーストから正極活物質層を形成したときの該正極活物質層に含まれる前記被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質層中の上記遷移金属元素のピーク強度Sと、予め形成された基準正極活物質層に含まれる上記正極活物質の表面全体が上記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の上記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較し、ピーク強度Aに対するピーク強度Sの増加率:増加率[%]=(S−A)/A×100;が5%以下である場合には良品と判定し、5%を超える場合には不良品と判定する;によって良品と判定される場合に、該ペーストを上記正極集電体上に塗布して上記正極活物質層を形成することを特徴とする。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池を包含する。
また、本明細書において「正極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な正極側の活物質をいう。
また、本明細書において「正極活物質の表面全体が炭素材料で被覆された」とは、正極活物質の表面積の90%以上が炭素材料で被覆されている状態をいう。好ましくは正極活物質の表面積の95%以上であり、特に好ましくは正極活物質の表面の実質上全ての部分が覆われている状態をいう。
本発明によって提供される二次電池の製造方法では、用意した正極活物質層形成用ペースト(ペースト状組成物)から正極活物質層を形成した場合に、被覆正極活物質(典型的には正極活物質層)に対してXPSを行い、被覆正極活物質中の遷移金属元素(典型的には最もモル比の高い遷移金属元素)のピーク強度S(典型的には遷移金属元素の2pスペクトルに基づくピーク強度)を測定する。そして、予め形成された基準正極活物質層(典型的には、炭素材料の剥がれのない正極活物質からなる正極活物質層)に含まれる基準被覆正極活物質に対するXPSの遷移金属元素のピーク強度Aと測定されたピーク強度Sとを比較して、上記式に基づいてピーク強度Sの増加率が5%以下であるペーストを採用する。
このように、用意したペーストから形成される正極活物質層(典型的には活物質層中の被覆正極活物質)に対してXPSを行うことによって、ペーストの混練時に発生し得る被覆正極活物質表面からの炭素材料の剥がれが抑制されたペーストであるか否かを判定することができる。
従って、本発明によると、炭素材料の剥がれが抑制された該ペーストを用いることで、導電性に優れる正極を形成することができ、該正極を用いることで電池性能に優れる二次電池の製造が実現される。
ここで開示される二次電池の製造方法の好適な一態様では、JIS K 5600−2−5に準じて測定される上記ペーストの粒ゲージの測定値が130μm以下である。
かかる構成によると、混練して得られたペースト中において凝集物の発生が抑制されているため、かかるペーストを用いると、より品質に優れる正極活物質層(正極)を製造することができる。
ここで開示される二次電池の製造方法の好適な一態様では、固形分率が45〜65質量%の上記混合物を使用して上記正極活物質層形成用ペーストを得る。
かかる構成によると、被覆正極活物質の表面からの炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含むペーストを得ることができる。このため、かかるペーストを用いると、品質に優れる正極活物質層(正極)を製造することができる。
ここで開示される二次電池の製造方法の好適な一態様では、上記混合物はプラネタリミキサによって混練される。
かかる構成によると、表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質の表面から炭素材料の剥がれを抑制しつつ、迅速に効率良く混合物を混練してペーストを調製することができる。
ここで開示される二次電池の製造方法の好適な一態様では、上記の二次電池の製造方法において、上記正極活物質として、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有化合物を用いる。特に好適に使用されるリチウム含有化合物として、リン酸鉄リチウム(LiFePO)が挙げられる。
また、本発明によると、他の側面として、二次電池用の正極が提供される。ここで開示される二次電池用の正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備えており、上記正極活物質層は、一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質を少なくとも含んでいる。ここで、上記正極活物質層に含まれる上記被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質中の上記遷移金属元素のピーク強度Sと、別途形成された基準正極活物質層に含まれる上記正極活物質の表面全体が上記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の上記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較したときのピーク強度Sの増加率:増加率[%]=(S−A)/A×100;が5%以下であることを特徴とする。
かかる二次電池用の正極は、被覆正極活物質の表面から炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含む正極活物質層を備えているため、導電性に優れる正極となっている。
ここで開示される二次電池用の正極の好適な一態様では、上記正極活物質は、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有化合物である。特に好適なリチウム含有化合物として、リン酸鉄リチウムが挙げられる。
また、本発明によると、他の側面として、二次電池用の正極を形成するためのペーストが提供される。ここで開示されるペーストは、一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質と、所定の溶媒とを少なくとも含んでいる。ここで、上記被覆正極活物質は、上記正極に形成された上記正極活物質層に含まれる該被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質中の上記遷移金属元素のピーク強度Sと、別途形成された基準正極活物質層に含まれる上記正極活物質の表面全体が上記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の上記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較したときのピーク強度Sの増加率:増加率[%]=(S−A)/A×100;が5%以下であることを特徴とする。
かかる二次電池用の正極形成用ペーストは、被覆正極活物質の表面から炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含んでいるため、該ペーストを用いて形成される正極は導電性に優れる正極となる。
ここで開示されるペーストの好適な一態様では、JIS K 5600−2−5に準じて測定される粒ゲージの測定値が130μm以下である。かかる構成のペーストでは、凝集物の発生が抑制されているため、かかるペーストを用いて形成される正極は、より品質に優れる正極となる。
ここで開示されるペーストの好適な一態様では、固形分率が45〜65質量%である。かかる構成のペーストは、被覆正極活物質の表面からの炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含んでいるため、かかるペーストを用いて形成される正極は、品質に優れる正極となる。
一実施形態に係るリチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う縦断面図である。 本発明に係る二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。 固形分率と粒ゲージ及びピーク強度及びIV抵抗との関係を示すグラフである。 正極活物質の表面から炭素材料が剥がれた状態を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される二次電池を製造する方法の好適な実施形態の一つとして、リチウムイオン二次電池を製造する方法を例にして詳細に説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。
まず、リチウムイオン二次電池用の正極の製造方法の好ましい態様について詳細に説明する。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極の製造方法は、正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質と所定の溶媒とを混合し、該混合物を混練して得た正極活物質層形成用ペーストを用意することを包含する。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極で用いられる正極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移複合酸化物)が挙げられる。例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、あるいは、ニッケル・コバルト系のLiNiCo1−x(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−x(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−x(0<x<1)やLiNiMn2−x(0<x<2)で表わされるような、遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、或いは、遷移金属元素を3種含むニッケル・コバルト・マンガン系のような三元系リチウム含有複合酸化物でもよい。
また、一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるリチウム含有化合物(典型的にはオリビン型リン酸リチウム)を上記正極活物質として用いてもよい。特に好ましく用いられる正極活物質は、リン酸鉄リチウム(LiFePO)である。
上記正極活物質の表面を炭素材料(カーボン)で被覆する方法としては、公知の方法、例えば化学蒸着法(CVD)、乾式法及び湿式法等が挙げられる。化学蒸着法としては、例えばプラズマCVD法によって炭素源ガスを反応させて正極活物質の表面に炭素材料を堆積させる方法が挙げられる。乾式法としては、例えば、ビーズミル又はボールミル等を用いて正極活物質及び炭素材料(例えばカーボンブラック)にメカノケミカル処理を施し物理的に結合させる方法が挙げられる。湿式法としては、例えば、正極活物質及び炭素源(例えばスクロース)を適当な溶液に浸漬して撹拌することにより両者を吸着させる方法が挙げられる。
上記各方法によって、正極活物質の表面が炭素材料で被覆された(典型的には炭素材料から下地の正極活物質の表面が露出しないように被覆された)被覆正極活物質(カーボンコート正極活物質)を得ることができる。
また、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極で用いられる導電材としては、従来この種のリチウムイオン二次電池で用いられているものであればよく、特定の導電材に限定されない。例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末等のカーボン材料を用いることができる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。
さらに、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極で用いられる結着材(バインダ)としては、例えば、上記正極活物質層を形成する組成物として水系の液状組成物(ペースト)を用いる場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。あるいは、溶剤系の液状組成物(ペースト)を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の、有機溶媒(非水溶媒)に溶解するポリマー材料を用いることができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材として用いられる他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
ここで、「水系の液状組成物」とは、活物質の溶媒(分散媒)として水または水を主体とする混合溶媒を用いた組成物を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。「溶剤系の液状組成物」とは、活物質の溶媒(分散媒)が主として有機溶媒である組成物を指す概念である。有機溶媒としては、例えば、N‐メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
そして、上記被覆正極活物質と上記バインダと上記導電材とを適当な溶媒中に混合する。該混合物の固形分率は、凡そ40質量%〜65質量%(より好ましくは凡そ45質量%〜65質量%、特に好ましくは凡そ55質量%〜65質量%)となるように混合することが好ましい。混合物の固形分率が65質量%よりも大きすぎる場合には、混合物の混練時に被覆正極活物質に過剰なせん断力が作用して正極活物質の表面から炭素材料が剥がれる割合が大きくなる虞がある。一方、混合物の固形分率が40質量%よりも小さすぎる場合には被覆正極活物質に作用するせん断力は小さくなるが、溶媒の割合が大きくなるに伴い凝集物が発生しやすくなり分散性が低下する虞がある。
次いで、該混合物を混練することにより正極を形成するためのペースト(正極活物質層形成用ペースト)を調製する。好ましくは該混合物を混練して得た混練物に対して溶媒を追加又は混練物から溶媒を除去することにより上記ペーストを調製する。このとき、正極活物質層形成用ペーストの固形分率は、凡そ30質量%以上(典型的には30質量%〜90質量%)であることが好ましく、凡そ40質量%〜70質量%であることが好ましい。上記混合物を混練する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、プラネタリミキサを好適に使用することができる。また、上記溶媒を除去する方法としては、例えば、減圧濃縮装置(例えばロータリーエバポレータ等)を用いて行うことができる。
上記調製された正極活物質層形成用ペーストとしては、粒ゲージが凡そ130μm以下(例えば凡そ70μm〜130μm)のものを好ましく用いることができる。ペーストの粒ゲージが130μmよりも大きすぎると、該ペーストを正極集電体に塗布して形成された正極活物質層は凝集物が多く存在して分散性に劣るものとなる虞がある。かかる凝集物を多く含む正極を備えるリチウムイオン二次電池では、充放電の際に反応ムラが発生してしまい電池性能が低下する虞がある。なお、上記ペーストの粒ゲージとしては、JIS K5600−2−5に準じて測定された値を採用するものとする。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の製造方法では、上記調製(用意)された正極活物質層形成用ペーストを用いて形成された正極活物質層に含まれる被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS測定)の該正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Sと、正極活物質の表面全体が炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質を含む別途予め形成された基準正極活物質層において、該基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Aとを比較し、上記式におけるピーク強度Sの増加率が所定の範囲にあるものを使用する。
以下、上記ピーク強度S及びピーク強度Aを求めるために採用し得る手順の一好適例を説明する。
まず、上記調製(用意)された正極活物質層形成用ペーストを用いて被覆正極活物質を含む正極活物質層の試験サンプルを作製する。例えば、上記調製(用意)したペーストを正極集電体の表面に塗布(塗工)し、該ペースト(塗布物)中の溶媒を揮発させて乾燥させた後、必要に応じて圧縮(プレス)することによって正極活物質層(試験サンプル)を作製する。
そして、上記被覆正極活物質(典型的には作製した正極活物質層)に対してXPSを行い該被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度を測定する。このとき、被覆正極活物質中の遷移金属元素の中で最もモル比の高い元素のピーク強度Sを測定する。ピーク強度Sは、最もモル比の高い遷移金属元素の各電子軌道のピーク強度のうち、分析に適した電子軌道のピーク強度を選択する。例えば、正極活物質としてLiFePOを含む被覆正極活物質を用いた場合には、Feの2pスペクトルに基づくピーク強度を測定する。また、最もモル比の高い遷移金属元素がCo,Mn,Ni等の場合についても、各元素の2pスペクトルに基づくピーク強度を測定する。これは、2p軌道は高エネルギーでありピーク強度が高く現れるため分析に適しているからである。なお、ピーク強度の測定は上記2pスペクトルに限定されるものではない。
一方、上述した正極活物質の表面全体が炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質と上述したバインダと上述した導電材とを適当な溶媒中に混合する。ここで、正極活物質の表面を被覆する炭素材料が剥がれ落ちないような強度で該混合物を混練する。そのような程度の混練手段として、いわゆる手混ぜが挙げられる。或いは手混ぜと同等のマイルドな条件として、例えば、混練機(TKハイビスディスパーミックス3D−5;プライミクス株式会社製)を用いて5rpmの回転数で10分間混練すること等が挙げられる。
そして、上記のような条件で混練して得た混練物に溶媒を追加又は混練物から溶媒を除去することにより基準正極活物質層形成用ペーストを調製する。該ペーストは上記のような条件で混練されているため、混練の際に基準被覆正極活物質の表面から炭素材料が剥がれ落ちていない状態となっている。
なお、ピーク強度Aを測定するために調製される基準正極活物質層形成用ペーストと、ピーク強度Sを測定するために調製される正極活物質層形成用ペーストとは、同様の材料を同様の割合で含有しており、一般にはペースト混練時の条件が異なるものである。
上記調製(用意)された基準正極活物質層形成用ペーストを用いて基準正極活物質層の試験サンプルを別途作製する。そして、上記ピーク強度Sの測定と同様にして、上記基準被覆正極活物質(典型的には作製した基準正極活物質層)に対してXPSを行い該基準被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Aを測定する。このようにしてピーク強度S及びピーク強度Aを求めることができる。
上記測定したピーク強度Sとピーク強度Aとを比較し、ピーク強度Aに対する(ピーク強度Aを基準とする)ピーク強度Sの増加率:増加率[%]=(S−A)/A×100;が5%以下である場合には良品と判定し、5%を超える場合には不良品と判定する。上記ピーク強度Sの増加率が5%以下の場合には、正極活物質の表面を被覆している炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含んでいるため、被覆正極活物質の導電性の低下を防止することができる。一方、上記ピーク強度Sの増加率が5%よりも大きすぎる場合には、正極活物質の表面から剥がれた炭素材料の割合が大きすぎるため、被覆正極活物質の導電性が低下してしまい電池性能が低下する虞がある。
なお、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法は、上記ピーク強度Sの増加率が5%以下を満たす正極活物質層形成用ペーストを事前に(例えば、予備実験を行うことにより)選定しておき、その選定したペーストを用いて実施することができる。すなわち、本発明の実施にあたって、その都度上記ペーストにより形成された正極活物質層に含まれる被覆正極活物質中の遷移金属元素のピーク強度Sの増加率が5%以下を満たすことの確認を必要とするものではない。
そして、上記良品と判定された正極活物質層形成用ペーストを正極集電体の表面に塗布(塗工)し、該ペースト(塗布物)中の溶媒を揮発させて乾燥させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する。上述した一連の処理を行うことによって、リチウムイオン二次電池用の正極を製造することができる。このようにして得られた正極は、被覆正極活物質の表面から炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質を含む正極活物質層を備えているため、導電性に優れる正極となっている。
上記正極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムやアルミニウムを主体とする合金材を用いることができる。正極集電体の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。典型的にはシート状のアルミニウム製の正極集電体が用いられる。
また、正極集電体に上記正極活物質層形成用ペーストを塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該ペーストを好適に塗布することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、および電子線を、単独または組み合わせにて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。
なお、以下の実施形態は車載用の電池として、長尺状の正極シートと負極シートとセパレータシートとを有する捲回電極体を備えたリチウムイオン二次電池の製造に適用した例であるが、かかる捲回電極体を備える電池に本発明の適用を限定するものではない。
まず、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の負極の製造方法について説明する。ここで開示されるリチウムイオン二次電池用の負極は、従来と同様の構成をとり得る。かかる負極を構成する負極集電体としては、例えば、銅材やニッケル材或いはそれらを主体とする合金材を用いることが好ましい。負極集電体の形状は、正極の形状と同様であり得る。本実施形態に係る負極集電体の形状はシート状である。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の負極で用いられる負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料であればよく、例えば、黒鉛(グラファイト)等のカーボン材料、リチウム・チタン酸化物(LiTi12)等の酸化物材料、スズ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)等の金属若しくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料、等が挙げられる。典型例として、黒鉛等から成る粉末状の炭素材量が挙げられる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の負極(負極活物質層)には、上記負極活物質の他に、上記正極活物質層に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有させることができる。そのような材料として、上記の正極活物質層の構成材料として列挙したような結着材として機能し得る各種の材料を同様に使用し得る。
そして、上記負極活物質と結着材等とを従来と同様の適当な溶媒(水、有機溶媒等)に分散させてなるペースト状の組成物(以下、負極活物質層形成用ペーストという)を調製する。該調製した該負極活物質層形成用ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することによって、負極集電体と該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備えるシート状の負極を作製することができる。
以下、上記正極シート及び上記負極シートを用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。即ち、本実施形態に係る正極シートが採用される限りにおいて、構築されるリチウムイオン二次電池の形状(外形やサイズ)には特に制限はない。以下の実施形態では、捲回電極体および電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池を例にして説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿う縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケース15を備える。このケース(外容器)15は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体30と、その開口部20を塞ぐ蓋体25とを備える。ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、捲回電極体50の正極シート66と電気的に接続する正極端子60および該電極体の負極シート76と電気的に接続する負極端子70が設けられている。また、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。ケース15の内部には、正極シート66および負極シート76を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)80とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体50が収容される。
上記積層の際には、図2に示すように、正極シート66の正極活物質層非形成部分(即ち正極活物質層64が形成されずに正極集電体62が露出した部分)と負極シート76の負極活物質層非形成部分(即ち負極活物質層74が形成されずに負極集電体72が露出した部分)とがセパレータシート80の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート66と負極シート76とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体50の捲回方向に対する横方向において、正極シート66および負極シート76の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート66の正極活物質層形成部分と負極シート76の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート80とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分に正極端子60を接合して、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極シート66と正極端子60とを電気的に接続する。同様に負極側はみ出し部分に負極端子70を接合して、負極シート76と負極端子70とを電気的に接続する。なお、正負極端子60,70と正負極集電体62,72とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
そして、ケース本体30の上端開口部20から該本体30内に上記作製した捲回電極体50を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体30内に配置(注液)する。
正負極シート66,76間に使用されるセパレータシート80の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
また、電解質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水系の電解質(典型的には電解液)と同様のものを特に限定なく使用することができる。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)に溶解してなる非水電解液を使用することができる。
その後、上記開口部20を蓋体25との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の組み立てが完成する。ケース15の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構築が完成する。
従来のリチウムイオン二次電池の製造方法では、正極活物質層形成用ペーストを混練して調製する際に、正極活物質の表面を被覆している炭素材料が剥がれ落ちる結果、導電性が低下してしまい電池性能が低下する虞があったが、本発明の製造方法によると、予め炭素材料の剥がれが抑制された被覆正極活物質(カーボンコート正極活物質)を含むペーストを用いて正極活物質層を形成しているため、電池性能に優れるリチウムイオン二次電池を製造(構築)することができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[ペーストの調製]
<例1>
被覆正極活物質としてのカーボンで被覆したリン酸鉄リチウムと、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着材としてのPVDFとの質量比が85:5:10となるように秤量し、これら材料(固形分全体)を溶媒NMPに混合させて固形分率が50質量%の混合物を用意した。そして、該混合物をプラネタリミキサ(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ハイビスディスパーミックス3D−5型」)を用いて5rpmの回転数で10分間混練して最終的な固形分率が50%の例1に係る基準正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例2>
固形分率が35質量%の混合物を用意して、該混合物をプラネタリミキサを用いて30rpmの回転数で60分間混練した他は例1と同様にして、例2に係る混練物を得た。そして、市販のロータリーエバポレータを用いて例2に係る混練物のNMPを除去して最終的な固形分率が50%の例2に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例3>
固形分率が45質量%の混合物を用いた他は例2と同様にして、例3に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例4>
固形分率が55質量%の混合物を用いた他は例2と同様にして、例4に係る混練物を得た。そして、例4に係る混練物に溶媒NMPを追加して最終的な固形分率が50%の例4に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例5>
固形分率が65質量%の混合物を用意した他は例4と同様にして、例5に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例6>
固形分率が70質量%の混合物を用意した他は例4と同様にして、例6に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
<例7>
固形分率が75質量%の混合物を用意した他は例4と同様にして、例7に係る正極活物質層形成用ペーストを調製した。
[粒ゲージ測定試験]
上記調製した例1〜例7に係る各ペーストの粒ゲージをJIS K5600−2−5に準拠して測定した。測定結果を表1及び図4に示す。
[正極の作製]
<例1>
例1に係る基準正極活物質層形成用ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔上に塗布し、ロールプレスによる処理を行って、該アルミニウム箔上に基準正極活物質層を形成してなる例1に係るシート状正極を作製した。
<例2>
例2に係る正極活物質層形成用ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔上に塗布し、ロールプレスによる処理を行って、該アルミニウム箔上に正極活物質層を形成してなる例2に係るシート状正極を作製した。
<例3>
例3に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は例2と同様にして、例3に係るシート状正極を作製した。
<例4>
例4に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は例2と同様にして、例4に係るシート状正極を作製した。
<例5>
例5に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は例2と同様にして、例5に係るシート状正極を作製した。
<例6>
例6に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は例2と同様にして、例6に係るシート状正極を作製した。
<例7>
例7に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は例2と同様にして、例7に係るシート状正極を作製した。
[XPS測定試験]
上記作製した例1に係るシート状正極に対してXPS測定を行い、基準正極活物質層に含まれる被覆正極活物質中のFeの2pスペクトルに基づくピーク強度Aを測定した。XPS測定は、X線光電子分光装置(アルバックファイ株式会社製、型番PHI−5700)を用いて、以下の条件で測定した。
X線源:AlKαモノクロ,分析領域直径:800μm,X線出力(測定出力):350watt;
中和銃:ON,Emission Control:21,Electron Energy:6.0%;
Pass Energy:23.50eV,ステップサイズ:0.1eV,Time/Step:50ms;
次いで、ピーク強度Aの測定と同様にして、上記作製した例2〜例7に係るシート状正極に対してXPS測定を行い、正極活物質層に含まれる被覆正極活物質中のFeの2pスペクトルに基づくピーク強度Sをそれぞれ測定した。そして、例2〜例7に係るシート状正極について上記式に基づいてピーク強度Aに対するピーク強度Sの増加率を求めた。測定結果を表1及び図4に示す。
[リチウムイオン二次電池の構築]
<例1>
負極活物質としての天然黒鉛系炭素材料(グラファイト)と、結着材としてのSBRと、増粘材であるカルボキシメチルセルロース(CMC)との質量比が95:2.5:2.5となるように秤量し、これら材料をイオン交換水に分散させて負極活物質層形成用ペーストを調製した。該ペーストを厚さ10μmの銅箔上に塗布し、ロールプレスによる処理を行って、該銅箔上に負極活物質層を形成してなるシート状の負極を作製した。なお、正極の理論容量と負極の理論容量との比率が1(正極):1.5(負極)となるように上記ペーストの塗布量をそれぞれ調節した。
例1に係るシート状の正極と得られたシート状の負極とを、二枚のセパレータシート(ポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体をECとEMCとの体積比1:1の混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させた電解液とともに円筒型の容器(内容積100cc)に収容して例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例2>
例2に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例2に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例3>
例3に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例3に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例4>
例4に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例4に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例5>
例5に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例5に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例6>
例6に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例6に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例7>
例7に係るシート状正極を用いた他は例1と同様にして、例7に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[IV抵抗測定試験]
上記作製した例1〜例7に係る各電池のIV抵抗(mΩ)を測定した。まず、上記作製した各リチウムイオン二次電池に対して以下の初期充放電処理を行った。初期充放電処理の条件は、25℃の温度条件下、定電流‐定電圧方式によって正極理論容量から予測した電池容量(Ah)の5分の1の電流値で各充電上限電圧まで充電を行った。即ち、定電圧充電時の最終電流値が初期の電流値の10分の1になる点まで充電を行った。上記充電後、定電流方式によって、正極理論容量から予測した電池容量の5分の1の電流値で3Vまで放電した。上記充放電を3回繰り返した後、正極理論容量から予測した電池容量の3分の1の電流値でSOC50%の充電状態に調整した。その後、0℃の温度条件下、正極理論容量から予測した電池容量の2分の1の電流値、予測した電池容量の電流値及び予測した電池容量の5倍の電流値で各10秒間の定電流放電を行い、このときの電流(I)‐電圧(V)プロット値の一次近似直線の傾きから内部抵抗(IV抵抗)を求めた。上記各電池のIV抵抗の測定結果を、粒ゲージ及びピーク強度Sの増加率とともに表1及び図4に示す。
Figure 2012059532
表1及び図4に示すように、混練時の固形分率が高くなるに伴いFeのピーク強度Sが大きくなりその増加率が大きくなっていることが確認できた。特に固形分率が70質量%以上のときにはピーク強度Sの変化が顕著であった。混練の際に被覆正極活物質に高いせん断力が加わったために被覆正極活物質の表面から炭素材料が多く剥がれてしまったと考えられる。また、Feのピーク強度Sの増加率が5%よりも大きすぎる場合にIV抵抗の上昇が顕著であることが確認できた。被覆正極活物質の表面から炭素材料が剥がれてしまうことにより導電性が低下したと考えられる。以上より、ピーク強度Sの増加率は、5%以下であることが妥当であることが確認された。さらに、混練時の固形分率が35質量%以下の場合には、混練の際に被覆正極活物質等に十分なせん断力が加わらないため、凝集物が発生してしまいこれによりIV抵抗が上昇したことが確認できた。この結果より、混練時の固形分率は、45質量%から65質量%の範囲内にあることが好ましいことが確認できた。また、ペーストの粒ゲージは、130μm以下であることが妥当であることが確認できた。好ましくは、粒ゲージが70μm〜130μmの範囲内である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係る二次電池は、正極活物質の表面からの炭素材料の剥がれが抑制されている被覆正極活物質を含むため電池性能に優れる二次電池である。かかる特性により、本発明に係る二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って、本発明によると、図3に示されるように、かかるリチウムイオン二次電池10(当該電池10を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両100(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車)を提供することができる。
10 リチウムイオン二次電池
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
64 正極活物質層
66 正極シート(正極)
70 負極端子
72 負極集電体
74 負極活物質層
76 負極シート(負極)
80 セパレータシート
100 車両(自動車)
150 カーボンコート正極活物質(被覆正極活物質)
160 カーボン(炭素材料)
170 正極活物質

Claims (12)

  1. 正極集電体上に正極活物質層が形成された正極と、負極集電体上に負極活物質層が形成された負極とを備える二次電池を製造する方法であって、
    一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質と所定の溶媒とを混合し、該混合物を混練して得た正極活物質層形成用ペーストを用意すること、
    を包含し、
    ここで、前記用意したペーストが以下の判定試験:
    前記用意したペーストから正極活物質層を形成したときの該正極活物質層に含まれる前記被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Sと、
    予め形成された基準正極活物質層に含まれる前記正極活物質の表面全体が前記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較し、ピーク強度Aに対するピーク強度Sの増加率:
    増加率[%]=(S−A)/A×100;
    が5%以下である場合には良品と判定し、5%を超える場合には不良品と判定する;
    によって良品と判定される場合に、該ペーストを前記正極集電体上に塗布して前記正極活物質層を形成することを特徴とする、二次電池の製造方法。
  2. JIS K 5600−2−5に準じて測定される前記ペーストの粒ゲージの測定値が130μm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 固形分率が45〜65質量%の前記混合物を使用して前記正極活物質層形成用ペーストを得る、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記混合物はプラネタリミキサによって混練される、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法において、
    前記正極活物質として、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有化合物を用いる、製造方法。
  6. 前記リチウム含有化合物としてリン酸鉄リチウムを用いる、請求項5に記載の製造方法。
  7. 二次電池用の正極であって、
    正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層とを備えており、
    前記正極活物質層は、一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質を少なくとも含んでおり、
    ここで、前記正極活物質層に含まれる前記被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Sと、
    別途形成された基準正極活物質層に含まれる前記正極活物質の表面全体が前記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較したときのピーク強度Sの増加率:
    増加率[%]=(S−A)/A×100;
    が5%以下であることを特徴とする、二次電池用の正極。
  8. 前記正極活物質は、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有化合物である、請求項7に記載の二次電池用の正極。
  9. 前記リチウム含有化合物は、リン酸鉄リチウムである、請求項8に記載の二次電池用の正極。
  10. 請求項7から9のいずれか一項に記載の二次電池用の正極を形成するためのペーストであって、
    前記ペーストは、一種または二種以上の遷移金属元素を含む正極活物質であって該正極活物質の表面が炭素材料で被覆された被覆正極活物質と、所定の溶媒とを少なくとも含んでおり、
    ここで、前記被覆正極活物質は、前記正極に形成された前記正極活物質層に含まれる該被覆正極活物質に対するX線光電子分光分析法(XPS)の該被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Sと、
    別途形成された基準正極活物質層に含まれる前記正極活物質の表面全体が前記炭素材料で被覆された基準被覆正極活物質に対するXPSの該基準被覆正極活物質中の前記遷移金属元素のピーク強度Aとを比較したときのピーク強度Sの増加率:
    増加率[%]=(S−A)/A×100;
    が5%以下であることを特徴とする、正極形成用ペースト。
  11. JIS K 5600−2−5に準じて測定される粒ゲージの測定値が130μm以下である、請求項10に記載のペースト。
  12. 固形分率が45〜65質量%である、請求項10又は11に記載のペースト。

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