JP2012058730A - 光反射体、照明器具、電飾看板及び面光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム(1)を金属板(2)の少なくとも片面に積層した構造を有する光反射体であって、光反射面の光反射率が95〜100%であり、光反射面の光沢度が0〜60%であり、前記熱可塑性樹脂フィルムがフィラーを含有しており、且つ、前記熱可塑性樹脂フィルムの下記式(1)で表される空孔率(ρ0は真密度であり、ρは密度である)が5〜25%であることを特徴とする光反射体。
【選択図】図1
Description
また、金属板に白色顔料を塗装した反射部材は、光反射率が低いといった性能不足の問題がある。また短波長光(紫外線)による塗装成分の変色や、静電気の帯びやすさにより埃を寄せ付ける汚れ易さのために、経時により光反射率が更に低下するといった問題がある。
本発明は、上述した諸問題を解決するため、高い光反射率と高い光拡散性能を有し、比較的容易に製造でき、かつ、絞り加工した際に問題になるようなシワが発生しないという優れた特徴を有するフィルムと金属板からなる光反射体を提供することを課題とした。
[3] 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が1μm以下のフィラーを含むことを特徴とする[2]に記載の光反射体。
[4] 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、フィラーを5〜55重量%含有することを特徴とする[2]または[3]に記載の光り反射体。
[5] 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が0.05〜0.5μmのフィラーを含み、前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が1〜7μmのフィラーを含むことを特徴とする[2]〜[4]のいずれか一項に記載の光反射体。
[6] 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、酸化チタン粒子を含有することを特徴とする[2]〜[5]のいずれか一項に記載の光反射体。
[7] 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する層の厚みが2μm以上であることを特徴とする[2]〜[6]のいずれか一項に記載の光反射体。
[8] 前記熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光反射体。
[9] JIS−Z−2248:2006の押曲げ法に準拠して、90°の角度となるように曲げた際に、熱可塑性樹脂フィルム側表面に発生するシワの幅が5mm未満であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の光反射体。
[10] 熱可塑性樹脂フィルム側表面の表面抵抗値が1×1013Ω以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の光反射体。
[12] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の光反射体を用いた電飾看板。
[13] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の光反射体を用いた面光源装置。
また本発明の光反射体は光拡散性に優れるため、照明のぎらつきにより眩しいといった性能面の問題は無い。さらに本発明の光反射体は短波長光(紫外線)による変色が殆ど無く、静電気を帯びにくいことから埃を寄せ付けず汚れ難い。このため、長期の使用においても光反射率の低下が少なく性能が安定している。
本発明の光反射体は、光反射率が95〜100%、光沢度が0〜60%、下記式(1)で表される空孔率が5〜25%である、フィラーを含有する熱可塑性樹脂フィルムを、金属板の少なくとも片面に積層した光反射体に関するものである。
以下、本発明の光反射体の好ましい態様を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
本発明の光反射体は、光反射面の光反射率が95〜100%であることを特徴とする。光反射率は、好ましくは96%〜100%であり、より好ましくは97%〜100%である。光反射率が95%に満たない場合、照明器具等の明るさが得られず、省エネ効果が得られない。なお、本明細書でいう光反射率は、波長550nmの光で測定した反射率である。また、本発明の光反射体の光反射面は、光反射体を構成する熱可塑性樹脂フィルムの表面である。
本発明の光反射体における高い光反射率は、熱可塑性樹脂フィルムが空孔を有することにより達成される。光反射率は、空孔率により本質的に調整することが可能であり、空孔率が高いほど光反射率は高くなる傾向にある。ただし、本発明では後述する加工性を加味して、空孔率の範囲が規定される。
本発明の光反射体は、光反射面の光沢度が0〜60%であることも特徴とする。光沢度は、好ましくは2〜50%であり、より好ましくは5〜40%である。光沢度が60%を超えると照明器具等の反射部材として使用した際にぎらつきが発生して好ましくない。本発明の光反射体における光沢度は、熱可塑性樹脂フィルムのフィラー濃度、フィラー粒径、厚みにより調整することができる。特に、熱可塑性樹脂フィルム表面を構成する層のフィラー濃度、フィラー粒径、厚みにより調整することが可能である。
本発明の光反射体は、光反射体を構成する熱可塑性樹脂フィルムの空孔率が5〜25%であることも特徴とする。空孔率は、好ましくは5〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。空孔率が25%を超えると、本発明の光反射体を絞り加工した際に、熱可塑性樹脂フィルムに幅広いシワが発生し、外観の悪化に伴い歩留まりが低下することから好ましくない。逆に空孔率が5%に満たない場合、熱可塑性樹脂フィルムの光反射率が低下し、所望の光反射性能が得られにくくなることから好ましくない。
前記熱可塑性樹脂フィルムに用いる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂を用いることで、熱可塑性樹脂フィルムが紫外線により変色しにくく、長期の使用においても光反射率が低下しにくくなる傾向がある。
ポリオレフィン系樹脂としては高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体などが挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、空孔の形成性や生産コスト等の観点より、プロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。立体規則性は特に制限されず、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すものを用いることができる。また、共重合体は2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
光反射体を構成する熱可塑性樹脂フィルムが複数の層からなる場合、熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が熱可塑性樹脂を45重量%以上95重量%未満含有することが好ましく、50重量%以上85重量%未満含有することがより好ましく、55〜75重量%含有することが更に好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層の熱可塑性樹脂含有量が多ければ、それ以外の層の熱可塑性樹脂含有量は比較的低くすることも可能である。
前記熱可塑性樹脂フィルムは、内部に空孔を形成する核剤としてフィラーを含有する。ここで用いるフィラーとしては、フィルムに空孔を形成可能な各種の無機フィラーまたは有機フィラーを挙げることができる。
前記無機フィラーとしては、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。また、前記無機フィラーの種々の表面処理剤による表面処理品も例示できる。中でも重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム及びそれらの表面処理品、クレー、珪藻土を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。さらに好ましいのは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムの種々の表面処理剤による表面処理品である。
後述する本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、延伸成形により発生させる空孔サイズの調整のために、前記熱可塑性樹脂フィルムに添加される前記無機フィラーの平均粒径、または前記有機フィラーの平均分散粒径を制御することが好ましい。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムには、必要により蛍光増白剤、安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤等の添加剤を配合してもよい。前記安定剤としては、立体障害フェノール系やリン系、アミン系等を0.001〜1重量%、前記光安定剤としては、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などを0.001〜1重量%、前記無機フィラーの分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合してもよい。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムを構成する主要な熱可塑性樹脂がプロピレン系樹脂の場合、延伸性を改良するために、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル等のプロピレン系樹脂より低融点の樹脂を、前記熱可塑性樹脂フィルム全体に対して2〜25重量%配合してもよい。このような低融点の樹脂は、熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層[例えば基材層(A)]に配合することが特に好ましい。熱可塑性樹脂フィルムが複数の層から構成されるとき、熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層に低融点の樹脂が配合されていれば、その他の層には低融点の樹脂が配合されていなくても熱可塑性樹脂フィルム全体の延伸性を向上させることが可能である。熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層への低融点の樹脂の配合量は、3〜25重量%であることが好ましい。
本発明の光反射体を構成する熱可塑性樹脂フィルムは単層構造であっても、多層構造であってもよい。多層構造である場合は、例えば基材層の他に光沢調整層、中間層、保護層などを含むことができる。熱可塑性樹脂フィルムは、基材層の他に光沢調整層と中間層とを含む多層構造であることが好ましい。また、さらに別の層が積層された構造を有していてもよい。
すなわち、本発明の光反射体の好ましい層構成としては、
光沢調整層/基材層、
光沢調整層/基材層/光沢調整層、
光沢調整層/基材層/中間層、
光沢調整層/中間層/基材層、
光沢調整層/中間層/基材層/光沢調整層、
光沢調整層/中間層/基材層/中間層/光沢調整層
などの構造を有する熱可塑性樹脂フィルムを例示することができる。また、光沢調整層よりも表面側にさらに保護層を設けて、成型加工時や使用時に光沢調整層に傷が発生したり汚れが付着したりするのを防ぐこともできる。なお、上記に列挙する積層構造の態様は、左側が光反射面となる側の層を表し、右側が反射面とならない側の層を表す。すなわち、光反射体が光沢調整層/熱可塑性樹脂フィルム/中間層の構成であれば、光沢調整層の表面が光反射面となることを表す。
本発明の光反射体は、熱可塑性樹脂フィルムの一部として光沢調整層を含むことが好ましい。特に、熱可塑性樹脂フィルムの表面層として光沢調整層を含むことが好ましい。
光沢調整層は、熱可塑性樹脂フィルムの光反射面の最外層として、反射光を拡散させて光沢度を低くする機能を付与するものであり、具体的には熱可塑性樹脂フィルムを構成する厚みのある層[例えば基材層(A)]よりも多くフィラーを含有し、その表面にフィラーに起因する多くの突起を形成するものである。
前記光沢調整層には、無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーを混合して使用してもよい。
前記光沢調整層におけるフィラーの配合量は、総量として10〜85重量%であることが好ましく、より好ましくは12〜60重量%、さらに好ましくは15〜45重量%である。配合量が10重量%以上であれば光沢度が高くなり過ぎるのを防いで、所望の光沢度が得られなくなる傾向がある。85重量%以下であれば、フィラーの脱落による汚れ発生を抑制しやすくなる傾向がある。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムには、表面強度付与やフィルム保護の目的で中間層を設けてもよい。中間層には、熱可塑性樹脂フィルム、光沢調整層に使用されるものと同様の熱可塑性樹脂が使用できる。また、中間層は前記フィラーを含有してもよく、中間層に含まれる前記フィラーの配合量は通常0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲である。また、中間層における熱可塑性樹脂の割合は、通常60〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%の範囲である。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、30〜500μmであることが好ましく、40〜400μmであることがより好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの厚みが30μm以上であれば、反射界面数の低下に伴う光反射率の低下を抑えやすくなる傾向があり、500μm以下であれば、絞り加工時のフィルムと金属板の剥離を抑えやすくなる傾向がある。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムが多層構造である場合、これを構成する光沢調整層や中間層は、熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する層として厚みを決定する。
具体的には、光沢調整層の厚みは1〜20μmであることが好ましく、同厚みは2〜15μmであることがより好ましく、2〜6μmであることがさらに好ましい。光沢調整層の厚みが1μm以上であれば、含有するフィラーの脱落を抑制しやすくなる傾向があり、20μm以下であれば、熱可塑性樹脂フィルムによる光反射率を高く維持しやすい傾向がある。
中間層の厚みは1μm以上であることが好ましく、2〜30μmであることがより好ましく、3〜20μmであることがさらに好ましい。1μm以上とすることによって、光反射体の表面強度が向上し、絞り加工への適性が向上する。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムにおける個々の層の厚みは、JIS−P−8118に基づき測定した熱可塑性樹脂フィルムの全層厚みと、走査型電子顕微鏡による光反射体の断面写真から観察された個々の層の厚み比から算出できる。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムには、静電気を帯び、埃を寄せ付けることがないようにするために、帯電防止性能を付与することが好ましい。
静電気を帯びない程度に帯電防止性能を付与するために、熱可塑性樹脂フィルムは表面抵抗値が1×1013Ω以下であることが好ましい。表面抵抗値は、より好ましくは1×1012Ω以下であり、さらに好ましくは1×1011Ω以下である。表面抵抗値が1×1013Ω以下であれば、フィルムが埃を寄せ付けにくくなる傾向があり、長期の使用において反射部材の光反射率低下を防ぎやすくなる傾向がある。
熱可塑性樹脂フィルムへの帯電防止性能の付与は、例えば帯電防止剤をフィルム表面にコートする方法、帯電防止剤を熱可塑性樹脂に添加する方法により達成することができる。
上記帯電防止剤としては、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、四級アンモニウム塩型スチレン重合体、四級アンモニウム塩型アミノアルキルアクリレート重合体、四級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体、スルホン酸塩型スチレン重合体などが挙げられる。
本発明の光反射体の熱可塑性樹脂フィルムは、その樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、溶融物を押出機からシート状に押し出し、該シート状物を冷却ロール上で冷却し、固化して得ることができる。また、多層構造の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法として、多層TダイやIダイを使用して、溶融物を共押出し、該シート状物を冷却ロール上で冷却し、固化して得ることができる。更に得られた樹脂シートを延伸して得る方法が挙げられる。また、熱可塑性樹脂フィルムが多層構造の延伸フィルムの場合、積層後に延伸してもよいが、熱可塑性樹脂フィルムの延伸が終了したのちに光沢調整層又は保護層の溶融原料を押し出し貼合し、この積層物を更に延伸成形して製造する方法も挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムに主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり融点より1〜70℃低い温度である。延伸の具体的な方法としては、樹脂シートの搬送方向にロール群の周速差を利用して延伸するロール間延伸、樹脂シートの搬送方向に直交する方向(幅方向)にテンターオーブンを利用して延伸するクリップ延伸、チューブラー法を利用したインフレ成形法などを挙げることができる。
得られた樹脂延伸フィルムは、必要により熱処理(アニーリング処理)を行い、結晶化の促進や、積層フィルムの熱収縮率低減などを図ることもできる。また、必要に応じて得られた積層体の耳部をスリットして、熱可塑性樹脂フィルムとすることができる。
本発明の光反射体に用いる金属板としては、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、ニッケル、チタンなどの金属及びこれらの金属の一種又は二種以上を主成分とする鋼、ステンレス、アルミニウム合金、黄銅等の合金からなる板を挙げることができる。これらの中でも鉄板、鋼板が好ましい。また、これらの金属板の表面に亜鉛メッキ等のメッキが施されているものでもよく、特に亜鉛メッキ鋼板が好ましい。
上記金属板の厚みは、0.05〜1mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがより好ましい。同範囲内であれば強度や重量、絞り加工性の観点で問題の生じ難い光反射部材が得られる。
上記の熱可塑性樹脂フィルムと、上記金属板を積層して本発明の光反射体を得る方法としては、接着剤を介して接着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出し溶融樹脂シートを介して積層する方法、一方(通常は金属板)を加熱して他方(通常は熱可塑性樹脂フィルム)を直接熱融着する方法等が挙げられる。
例えば、熱可塑性樹脂フィルムの非光反射面に両面粘着シートをその一方の粘着面を接するように積層し、その後両面粘着シートのもう一方の粘着面を金属板に接するように積層して貼合し、圧着させて光反射体を得ることができる。
また例えば、熱可塑性樹脂フィルムまたは金属板の貼り合わせる側の面に、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、両者を貼り合わせて光反射体を得る方法でも良い。この方法においては、一般的に使用されている塗工設備を使用して、例えば金属板側の表面に接着剤液を乾燥後の膜厚が1〜5μmとなるように塗工し、熱風乾燥機等により接着剤を乾燥させた後に、熱可塑性樹脂フィルムの非光反射面を接着剤が接するように積層して貼合し、圧着させて光反射体を得ることができる。
本発明の光反射体は、曲げ加工や絞り加工を施して立体形状の光反射部材とすることで、照明装置等の筐体などに有効に用いることができる。本発明の光反射体は上記加工の際の変形により熱可塑性樹脂フィルム部分にシワが生じ難いことを特徴とするものである。
表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(A)と組成物(B)を、それぞれ別々の2台の押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、一台の共押ダイに供給してダイ内で(A)の片面に(B)を積層して、これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって(B)/(A)の積層物を得た。
この積層物を145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に延伸し、再び約150℃まで再加熱してテンターを利用して横方向に延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして2層構造の積層フィルムを得た。縦方向、横方向それぞれの延伸倍率および各層の厚みは表2に記載の通りである。
この積層フィルムの表裏にコロナ放電処理を行い、四級アンモニウム塩型アミノアルキルアクリレート重合体よりなる帯電防止剤(商品名:サフトマーST−3200、(株)三菱化学製)を固形分量として0.5重量%含む水溶液を、乾燥後の固形分量が1m2当り0.01gとなるように塗工し、乾燥させて熱可塑性樹脂フィルムとした。
表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(A)を、押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって熱可塑性樹脂シートを得た。この熱可塑性樹脂シートを145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表2に記載の倍率で延伸した。
次いで表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(B)と組成物(C)を、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃で溶融混練し、上記で得られた熱可塑性樹脂シートの両面に溶融押し出しして、(B)/(C)/(A)/(C)の順の組成を有する積層物を得た。
次いでこの積層物を160℃に再加熱してテンターを利用して横方向に表2に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして表2に記載の厚みを有する4層構造の積層フィルムを得た。
この積層フィルムの表裏にコロナ放電処理を行い、帯電防止剤(商品名:サフトマーST−3200、(株)三菱化学製)を固形分量として0.5重量%含む水溶液を、乾燥後の固形分量が1m2当り0.01gとなるように塗工し、乾燥させて熱可塑性樹脂フィルムとした。
表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(A)を、押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって熱可塑性樹脂シートを得た。この熱可塑性樹脂シートを145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表2に記載の倍率で延伸した。
次いで表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(B)と組成物(C)を、それぞれ別々の2台の押出機を用いて250℃で溶融混練し、上記で得られた熱可塑性樹脂シートの両面に溶融押し出しして、(B)/(A)/(C)の順の組成を有する積層物を得た。
次いでこの積層物を160℃に再加熱してテンターを利用して横方向に表2に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして表2に記載の厚みを有する3層構造の積層フィルムを得た。
この積層フィルムの表裏にコロナ放電処理を行い、帯電防止剤(商品名:サフトマーST−3200、(株)三菱化学製)を固形分量として0.5重量%含む水溶液を、乾燥後の固形分量が1m2当り0.01gとなるように塗工し、乾燥させて熱可塑性樹脂フィルムとした。
表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(A)を、押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって熱可塑性樹脂シートを得た。この熱可塑性樹脂シートを145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に4.5倍延伸した。
次いで表1に記載の材料を表2に記載の配合比率で混合した組成物(B)を、2台の押出機を用いて250℃で溶融混練し、上記で得られた熱可塑性樹脂シートの両面に溶融押し出しして、(B)/(A)/(B)の順の組成を有する積層物を得た。
次いでこの積層物を160℃に再加熱してテンターを利用して横方向に8.5倍延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして表2に記載の厚みを有する3層構造の積層フィルムを得た。
この積層フィルムの表裏にコロナ放電処理を行い、帯電防止剤(商品名:サフトマーST−3200、(株)三菱化学製)を固形分量として0.5重量%含む水溶液を、乾燥後の固形分量が1m2当り0.01gとなるように塗工し、乾燥させて熱可塑性樹脂フィルムとした。
製造例1〜12で得た熱可塑性樹脂フィルムの非光反射面(製造例1〜3の(A)面、製造例4〜8及び10〜12の(C)面、製造例9の一方の(B)面)全面に、接着剤転写テープ(商品名:F−9460PC、住友スリーエム(株)社製)の一方の接着面が接するように積層し、ニップロールを介して圧着した。次いで厚みが0.4mmの亜鉛メッキ鋼板(SGCC/60/60)の片面に、接着剤転写テープのもう一方の接着面が接するように積層し、更にニップロールを介して圧着して、表3に記載の構成をそれぞれ有する実施例1〜8と比較例1〜4の各光反射体を得た。
製造例1〜12で得た各熱可塑性樹脂フィルム、または実施例1〜8及び比較例1〜4の各光反射体を用いて、以下の測定と試験を行った。
各製造例の熱可塑性樹脂フィルムの全厚をJIS−P−8118に基づき測定した。別途、各製造例の熱可塑性樹脂フィルムをミクロトームを用いて断面切削し、走査型電子顕微鏡を用いて3000倍で切削面の観察を行い、各層の厚み比率から各層厚みの算出を行った。
光沢調整層(B)の厚み算出では、観察視野中の最も厚い部分を層厚みとした。
各製造例の熱可塑性樹脂フィルムを3cm角でサンプリングし、高精度電子比重計(商品名:SD−200L、ミラージュ貿易(株)製)を用いて23℃で水中置換法により密度を測定した。
各製造例の熱可塑性樹脂フィルムの光反射面側(光沢調整層(B)側)表面における光反射率を、直径150mmの積分球を搭載した分光光度計(商品名:U−3310、(株)日立製作所製)を用いて、JIS−Z8722の条件d記載の方法に従って、波長550nmの光で測定した。測定結果は、標準板である酸化アルミニウム板の光反射率を100%としたときの相対反射率として求めた。
各製造例の熱可塑性樹脂フィルムを20℃、相対湿度50%の環境下で2時間調整し、同環境下で、JIS−K−6911記載の方法に従って光反射面側(光沢調整層(B)側)表面における表面抵抗値を測定した。
JIS−Z−8741の方法4記載の方法に従い、デジタル変角光沢度計(商品名:UGV−5DP、スガ試験機(株)製)を用いて、各製造例の熱可塑性樹脂フィルムの光反射面側(光沢調整層(B)側)表面における入射角75°の鏡面光沢度を測定し、75°光沢度とした。
JIS−Z−2248:2006記載の押曲げ法に準拠し、オートグラフ(商品名:AGSD、(株)島津製作所製)及び付属の金属用3点曲げ試験治具を用いて、各実施例と比較例の光反射体より採取した幅100mmの試験片を光反射面側、非光反射面側にそれぞれ90°の角度となるように折り曲げ、折り曲げ部の熱可塑性樹脂フィルム側表面に発生するシワの幅を実体顕微鏡で観察し、下記の判定基準で良否を判定した。
○:シワの幅が5mm未満(実使用上問題となるシワの発生なし)
×:シワの幅が5mm以上(実使用上問題となるシワの発生あり)
図2は、実施例5と比較例2のシワ発生状況を撮影した写真を示したものである。シワは図2の比較例2の写真中のa線とb線の間の領域に認められ、シワの幅はab間の距離を測定したものである。図2の実施例5にはシワは認められなかった(シワの幅はゼロ)。
同様に、実施例1〜8の各光反射体を用いて製造した電飾看板及び面光源装置は、明るさの持続性、輝度ムラ、変色抑制の効果に優れている。
また本発明の光反射体は光沢度が低いために、反射光のぎらつきが少なく、照明装置等に好適に用いることができる。
また本発明の光反射体は光反射率が高いために照明効率を向上させて省エネに貢献することができる。また光反射面への埃の付着が少なく、汚れによる光反射率の低下が起こりにくいため、照明効率を低下させにくく長期に亘って使用することができる。
2 金属板
Claims (13)
- 熱可塑性樹脂フィルムを金属板の少なくとも片面に積層した構造を有する光反射体であって、
光反射面の光反射率が95〜100%であり、光反射面の光沢度が0〜60%であり、前記熱可塑性樹脂フィルムがフィラーを含有しており、且つ、前記熱可塑性樹脂フィルムの下記式(1)で表される空孔率が5〜25%であることを特徴とする光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層と、前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する1以上の層からなることを特徴とする請求項1に記載の光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が1μm以下のフィラーを含むことを特徴とする請求項2に記載の光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、フィラーを5〜55重量%含有することを特徴とする請求項2または3に記載の光り反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が0.05〜0.5μmのフィラーを含み、前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する層が、平均粒径または平均分散粒径が1〜7μmのフィラーを含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%超を構成する層が、酸化チタン粒子を含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの全厚の50%未満を構成する層の厚みが2μm以上であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の光反射体。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光反射体。
- JIS−Z−2248:2006の押曲げ法に準拠して、90°の角度となるように曲げた際に、熱可塑性樹脂フィルム側表面に発生するシワの幅が5mm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光反射体。
- 熱可塑性樹脂フィルム側表面の表面抵抗値が1×1013Ω以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光反射体。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光反射体を用いた照明器具。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光反射体を用いた電飾看板。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光反射体を用いた面光源装置。
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