JP2012058547A - 量子情報処理方法及び量子情報処理装置 - Google Patents

量子情報処理方法及び量子情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
発明が解決しようとする課題は、STIRAPによるポピュレーション移動を実行するために最適な光パルスの波形を提供することにある。
【解決手段】
発明の一実施形態による量子情報処理方法は、下2状態|0>、|1>、上1状態|2>を有する物理系に対し、|0>‐|2>遷移、|1>‐|2>遷移に共鳴する2つのパルス(以下、それぞれパルス0、パルス1)を照射することによって、移動時間Tの間に前記物理系の状態を|0>から|1>へ変化させる量子情報処理方法及び装置であって、移動時間の中央部分においてはパルスの時間変化がそのラビ周波数に比べて十分ゆっくりであり断熱的に量子状態変化を行い、移動時間の初めと終わりの部分においては非断熱的な量子状態変化を適切に行うことによって、中央部分での断熱的変化において上状態|2>の存在確率を最小限に抑えることができることを特徴とする。
【選択図】 図9

Description

本発明の実施形態は、両市場法処理装置及び両市場法処理方法、特に光による物質の量子状態の操作方法に関する。
原子などの物理系の量子状態を光で操作する代表的な方法として、STIRAP(stimulated Raman adiabatic passage)と呼ばれる方法がある。
STIRAPはアディアバティックパッセージという状態操作法に基づいているため、利用される光パルスの波形の詳細によらないという利点がある。また、励起状態を含まないエネルギー固有状態(ダーク状態と呼ばれる)を利用するため、励起状態の緩和によるデコヒーレンスの影響を受けにくいという利点も持っている。
STIRAPでは、理想的には無限に長い時間をかければ、または、無限に強い光を用いれば、励起状態の存在確率をいくらでも小さくできる。しかし、実際には有限の時間内に有限のパワーの光を用いてポピュレーション移動を実行するため、励起状態の存在確率はゼロではなく、その緩和の影響を完全に無視することはできない。この励起状態の存在確率は光パルスの波形に依存する。よって、励起状態の緩和の影響を最小限に留めたいと思ったら、利用する光パルスの波形を工夫しなければならない。
特開2005−134761号公報
K. Bergmann, H. Theuer, B. W. Shore, Rev. Mod. Phys. 70, 1003 (1998). H. Goto, K. Ichimura, Phys. Rev. A 70, 012305 (2004).
発明が解決しようとする課題は、STIRAPによるポピュレーション移動を実行するために最適な光パルスの波形を提供することにある。
発明の一実施形態による量子情報処理方法及び装置は、下2状態|0>、|1>、上1状態|2>を有する物理系に対し、|0>‐|2>遷移、|1>‐|2>遷移に共鳴する2つのパルス(以下、それぞれパルス0、パルス1)を照射することによって、移動時間Tの間に前記物理系の状態を|0>から|1>へ変化させる量子情報処理方法等であって、
Figure 2012058547
を満たすことを特徴とする。
STIRAPの概念図。 STIRAPのための光パルスのラビ周波数の例を示す図。 図2の光パルスを用いたSTIRAPにおける各状態の確率振幅の計算結果を示す図。 μ0=μ1の場合の本発明と従来例の比較を表す図。 μ0=μ1の場合の本発明の
Figure 2012058547
の例を表す図。
μ0=μ1の場合の本発明の
Figure 2012058547
の例を表す図。
μ0=μ1の場合の本発明の励起状態の確率と非ダーク状態の確率の例を表す図。 μ0≠μ1の場合の本発明と従来例の比較を表す図。 実施例1で用いられる実験系を説明する図。 Pr3+:Y2SiO5のPr3+イオンのエネルギー準位とレーザーの周波数設定を説明する図。
まず、STIRAPによるポピュレーション移動の原理を説明する。
図1のようなΛ型の3準位系を考える。始状態は|0>であるとし、STIRAPによって状態を|1>へ移すことを考える。それには、|0>-|2>遷移および|1>-|2>遷移に共鳴する光パルスを照射する。これらの光パルスのラビ周波数は図2のように設定される。まず|1>-|2>遷移に共鳴する光パルスが照射され、その途中で|0>-|2>遷移に共鳴する光パルスが照射される。(このように、初めポピュレーションがない状態に共鳴するパルスを先に照射するパルス順序をcounterintuitive orderと呼び、STIRAPの特徴の1つである。)
この系のハミルトニアンおよびその固有値・固有状態は次のようになる:
Figure 2012058547
上記のような2つの光パルスを用いた過程(STIRAP)では、初めダーク状態は始状態|0>に一致しており、その後ダーク状態は|0>から|1>へ変わる。光パルスの電場振幅の時間変化が十分遅ければ、系の状態は他の固有状態にほとんど移ることなく(断熱的過程)、ダーク状態に追随し、系の状態も|0>から|1>へ変わる(アディアバティックパッセージ)。これがSTIRAPによるポピュレーション移動である。
STIRAPの1つの利点は、利用される光パルスの波形の詳細によらないことである。STIRAPが成功するための光パルスの条件は、ダーク状態が|0>から|1>に変わること、また、振幅変化が十分遅いことであり、これらを満たせば基本的にはどんな波形の光パルスを用いてもよい。(図2はガウシアンパルスの例。)
STIRAPのもう1つの利点は、励起状態の緩和の影響を受けにくいことである。STIRAPの間、系の状態は常にダーク状態に非常に近い状態にある。ダーク状態は励起状態を含まないため、励起状態の緩和の影響が小さい。
しかし、有限の時間・有限の光強度でSTIRAPを行う限り、実際にはある確率で励起状態が存在する。図3に図2のガウシアンパルスを用いた場合のSTIRAPのシミュレーション結果を示す(縦軸は確率振幅)。系の状態は期待通り|0>から|1>へ変わっているが、途中で励起状態の存在確率が上がっていることがわかる。この励起状態の存在確率Pe(t)を移動時間で積分した値Ieに緩和率をかけると、移動時間内に励起状態が緩和する確率となる。緩和が起こるとポピュレーション移動は失敗に終わるので、この緩和確率はポピュレーション移動の失敗確率と考えることができる。このように、STIRAPでは励起状態の緩和の影響が小さくできるが、緩和確率をゼロにすることはできず、その分移動効率が下がる。
励起状態の存在確率Pe(t)は、利用する光パルスの波形に依存する。よって、励起状態の緩和確率を最小にし、ポピュレーション移動の効率を最大にするためには、光パルスの波形を工夫する必要がある。本発明は、この効率最大化に最も良い波形を提供する。
問題を明確にするために、今考えている問題を次のような最適化問題で言い換える。
STIRAPによるポピュレーション移動において、全光パワーIinと移動時間Tと各遷移の遷移双極子モーメントμ0, μ1が与えられたとき、励起状態の存在確率Pe(t)を移動時間で積分した値Ieを最小にするパルス波形を求めよ。
この最適化問題は、全光パワーと移動時間を拘束条件として励起状態の緩和確率(ポピュレーション移動のエラー確率)を最小にするものだが、見方を変えると、全光パワーとエラー確率を拘束条件とすれば移動時間が最短、移動時間とエラー確率を拘束条件とすればパワー効率が最大、という最適化にもなっている。
この最適化問題を数学的に扱うと以下のようになる。
時刻tでの系の状態を、エネルギー固有状態を用いて
Figure 2012058547
を得る。
STIRAPでは始状態はダーク状態に等しいため、初期条件は
Figure 2012058547
また、STIRAPの最中、ダーク状態以外(以下、これを「非ダーク状態」と呼ぶ)にいる確率と励起状態にいる確率は(今の問題に適した条件下で)ほぼ等しくなるので(詳しくは後述)、励起状態の確率を非ダーク状態にいる確率で近似できる。以上の近似により、励起状態の存在確率Pe(t)は、
Figure 2012058547
この最適化問題の一般解を求めるのは難しい。そこで、μ0=μ1という場合をまず考える。(実際μ0≒μ1であればここで求めた解をそのまま利用することができる。また、μ0≠μ1の場合の最適解は、ここで求めるμ0=μ1の場合の最適解の特徴を拡張することで得られる。これについては後述。)
全光パワーを無駄なく利用したほうが良いので、不等式(4)において等号が成り立つ場合を考える。さらにμ0=μ1の場合、2つの光パルスのラビ周波数の2乗の和が一定となり、
Figure 2012058547
となる。この場合に上記の最適化問題を書き直すと、次のようになる。
Figure 2012058547
ここで得られた解は両端の2点で不連続であるが、シュレディンガー方程式にはこの不連続性の影響はないため、
Figure 2012058547
両端ではともに指数関数が加わった関数形となる。(指数関数は両端以外では無視できる。)
図4にμ0=μ1の場合の最適解の効果を示す。比較する従来例としては、幅とパルス間隔を最適な値に選んだ幅の等しい2つのガウシアンパルスを使った。(移動効率99.99%以上に限定し、その中でIeが最小になるものを選んだ。最適解の方の移動効率は
Figure 2012058547
では99.9999%以上。また、ガウシアンパルスはパワーの拘束条件である不等式(4)を満たしながら最適なパラメータを探すのが難しいため、2つのパルスのラビ周波数のピーク値がともに最大パワーの場合の値であるとした。不等式(4)をきちんと考えると、従来例は図4の結果よりも悪くなる。)Tが十分長いとき、最適解のIeは従来例の約半分に抑えられていることがわかる。これは速さにして2倍速くなることに相当する。
ここで、μ0=μ1の場合の最適解の特徴を説明する。
Figure 2012058547
中央では一定で、両端では大きく(指数関数的に)変化する。また、通常のSTIRAPでは、
Figure 2012058547
このように、最適解は、通常のSTIRAPからは到底予想できない特徴を持っている。
以下、この最適解の奇妙な特徴がIeを最小にするのに巧妙に役立っていることを説明し、その物理的意味を明らかにする。
図7に、図5の
Figure 2012058547
の場合の励起状態にいる確率と非ダーク状態にいる確率の計算結果を示す。この初めの部分を見ると、非ダーク状態はブライト状態から励起状態へと素早く変化している。これは、初めの
Figure 2012058547
が負から正へと素早く変わる部分が、非ダーク状態をブライト状態から励起状態へと変化させる役割をしていることを意味する。これがIeを最小にするのに重要な役割を果たしていることを説明するために、前述の確率振幅の近似解を、始状態が非ダーク状態を含む場合に拡張したものを考察する。(以下の式では、STIRAPの開始時刻0と区別するため、初期時刻をt0とする。これは時刻0に近く、t0<<T。)その場合、
Figure 2012058547
Figure 2012058547
のときに最小となる。これは、式(1)からわかるように、時刻t0での状態の非ダーク状態が励起状態のみである場合である。このように、Ieは初期状態に依存し、Ieを最小にする初期状態は非ダーク状態がブライト状態を含まず励起状態のみで式(8)のようになる場合である。
最適解の初めの部分で
Figure 2012058547
が負から正へと素早く変わる部分は、初めの短い時間t0で(非断熱的な過程によって)この適切な始状態(確率振幅が式(8)となる状態)の準備しているである。これによって、通常のダーク状態が始状態であるSTIRAPに比べてIeを小さくできる。この状態準備を成功させるために、通常のSTIRAPとは異なり、
Figure 2012058547
となる。これは、式(1)からわかるように、非ダーク状態は常に励起状態であることを意味し、非ダーク状態と励起状態を同一視できることを意味する。これが前述の「非ダーク状態の確率と励起状態にいる確率はほぼ等しくなる」の根拠である。この前提条件は、始状態が式(8)の適切な状態に準備されていることであり、そうでなければこれは成り立たない。しかし、この状態準備をせず通常のように始状態がダーク状態の場合は、上記のようにIeがおよそ2倍になってしまうため、適切な始状態の場合よりも悪くなると予想される(良くなったとしても大きな改善は期待できない)。
初めの短い時間t0で適切な始状態が準備された場合、
Figure 2012058547
初めの部分と同様の非断熱的な過程によって効率を1にする(状態を完全に|1>にする)のが、この最後の部分の役割である。(時間が短いため、ここの部分のIeへの影響は無視できる。)この非断熱過程をうまく行うために、この最後の部分では、通常のSTIRAPとは異なり、
Figure 2012058547
以上をまとめると、μ0=μ1の場合の最適解の特徴とその役割は次のようになる。
初めの短い時間で、非断熱的な過程によって、適切な確率振幅で非ダーク状態をブライト状態から励起状態へと変化させる。そのために、通常のSTIRAPとは異なり
Figure 2012058547
このように、最適解は、通常のSTIRAPからは全く想像できない巧妙なパルス波形によって、完全な移動効率と最小のIeを同時に実現する。
以下、μ0≠μ1の場合を考える。上記のμ0=μ1の場合の最適解の特徴を、μ0≠μ1の場合へ拡張する。
初めの短い時間t0で適切な状態を準備して、その後の励起状態の確率(近似的に非ダーク状態の確率)の積分値を最小にする。その積分値は近似的に次のようになる。
Figure 2012058547
である。これは、式(8)の自然な拡張になっている。(μ0=μ1の場合と同様、時刻t0における非ダーク状態は、励起状態のみでブライト状態を含まない。)よって、μ0=μ1の場合と同様の非断熱過程によって、初めの短い時間t0で式(9)を満たすように非ダーク状態をブライト状態から励起状態へ変化させればよい。
Figure 2012058547
Figure 2012058547
Figure 2012058547
(例えば、移動効率99.99%以上となる中でIeが最小となるものを選ぶ。)こうして、移動時間の両端の短い時間を除いた中央部分での関数形が決まる。
最後に、非断熱過程によって状態を完全に|1>へ変化させるために、最後の短い時間で最後の
Figure 2012058547
を正から負へ変化させる。これも初めの非断熱過程と同様に、μ0=μ1の場合の関数形である式(7)を利用する。それが成功するように、
Figure 2012058547
は最後のその非断熱過程を行う際にほぼ一定であるようにする。この最後の非断熱過程にかかる時間は、
Figure 2012058547
Figure 2012058547
Figure 2012058547
Figure 2012058547
この最適解の効果をシミュレーションで確認した。その結果を図8に示す。従来例としては、幅の等しいガウシアンパルスを使った。(図4と同様、移動効率99.99%以上に限定し、その中でIeが最小になる幅とパルス間隔を選んだ。また、ガウシアンパルスは2つのパルスのラビ周波数のピーク値がともに最大パワーの場合の値であるとした。不等式(4)をきちんと考えると、従来例は図8の結果よりも悪くなる。)図8からわかるように、最適解を用いることでガウシアンパルスに比べ約4倍の改善が得られた。
最後に、一般的な最適解の特徴をまとめる。
初めの短い時間で、非断熱的な過程によって、適切な確率振幅(式(9))で非ダーク状態をブライト状態から励起状態へと変化させる。
Figure 2012058547
Figure 2012058547
Figure 2012058547
以上が、本発明のパルス波形の特徴である。
各特徴の役割は以下のようになっている。
1番目の特徴は本発明の特徴の中でも最大の特徴と言える。この役割は、非断熱的過程によって最初に適切な状態を準備することにより、ダーク状態から始める通常のSTIRAPに比べて緩和確率を小さくすることである。この状態準備を行う非断熱的過程を行うために、最初の部分で通常のSTIRAPの条件を満たさない。よって、この特徴は通常のSTIRAPからは全く想像できないものである。
2番目の特徴の役割は、移動時間の両端を除く中央部分での励起状態の存在確率の時間積分を最小にし、その結果緩和確率を最小にすることである。
Figure 2012058547
3番目の特徴の役割は、最初の部分と似た非断熱過程によって、移動効率を1にする(状態を完全に|1>にする)ことである。このために、最初の部分と同様、最後の部分でも通常のSTIRAPの条件を満たさない。よって、この特徴も1番目と同様、通常のSTIRAPからは全く想像できないものである。
なお、本発明において、関数形を指定することが効果にとって重要であるが、少し異なる関数形であっても、当業者から見て本発明の関数形に近い関数形であり、かつ、その効果が当業者から見て本発明と同程度である場合には、その関数形は本発明の関数形と本質的に同じであり、そのような関数形を用いても本発明の範疇に入るとする。
以上、本発明の実施形態によれば、ある強度の光源を用いてある時間内に実行されるSTIRAPによるポピュレーション移動において、励起状態の緩和確率を最小にすることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
固体中でのSTIRAPがPr3+:Y2SiO5(以下、Pr:YSO)のPr3+イオンの状態を用いて初めて実現された(H. Goto and K. Ichimura, Phys. Rev. A 74, 053410 (2006)参照)。本実施例でもターゲットとしてPr:YSOを利用する。(レーザー冷却された原子やイオンに対しても同様に実現できる。)上記の論文ではガウシアンパルスが用いられたが、本実施例では本発明のパルス波形を使う。
本実施例のための実験系を図9に示す。光源は周波数安定化されたCWリング色素レーザーである。上記の論文と同様、3つの周波数のレーザービームを用いる。Pr:YSOのPr3+イオンのエネルギー準位とレーザーの周波数設定を図10に示す。
初めにビームスプリッター501で2つに分け、そのうちの1つは音響光学効果素子(AOM)102に通され、クライオスタット801中の結晶に照射され、これはPr3+イオンの±5/2-±5/2遷移に共鳴し、リポンプの役割を果たす(図10および上記論文参照)。
残りの1本のレーザービームは、STIRAP用の2つのパルスの生成に使われる。上記の論文では、これを2つに分け、それぞれ独立に音響光学効果素子(AOM)によって強度をガウシアンパルスに整形することで2つのパルスを得た。しかし、これではレーザーのパワーを一部切り捨てることになる。一方、本実施例のパルス波形では、2つのパルスのパワーの和は常にほぼ一定なので、分ける段階でパルス整形するのが望ましい。そうすることで、レーザーパワーを最大限に生かせる。
そこで、電気光学効果素子(EOM)301を通して偏光を回し、偏光ビームスプリッター(PBS)401で2つに分ける。こうすれば好きな時刻に任意の比でパワーを分けることができ、パルス整形とレーザーの分割を同時にできる。本発明のパルスの基本構造はこうして得られる。端での微妙な波形を実現するために、偏光ビームスプリッター(PBS)401で分けられた2つのパルスをそれぞれAOM101と103に通す。これらのAOMは周波数差を図10のように設定するためにも用いられる。AOM102はリポンプ光の波形整形及び周波数設定のために用いられる。
以上のEOMとAOMを用いた本発明のパルス整形およびその他の制御を実行するために、制御装置1101によってEOMとAOMを操作する。
こうして得られた2つのパルスを、クライオスタット中で液体ヘリウム温度に冷やされたPr:YSOに照射し、本発明のSTIRAPを実行する。
101〜103・・・音響光学効果素子(AOM)
201〜205・・・高反射ミラー
301・・・電気光学効果素子(EOM)
401・・・偏光ビームスプリッター(PBS)
501・・・ビームスプリッター
601〜603・・・半波長板
701・・・CWリング色素レーザー
801・・・クライオスタット
901・・・Pr3+:Y2SiO5結晶
1001,1002・・・光検出器
1101・・・制御装置

Claims (5)

  1. 下2状態|0>、|1>、上1状態|2>を有する物理系に対し、|0>‐|2>遷移、|1>‐|2>遷移に共鳴する2つのパルス(以下、それぞれパルス0、パルス1)を照射することによって、移動時間Tの間に前記物理系の状態を|0>から|1>へ変化させる量子情報処理方法であって、
    Figure 2012058547
    を満たすことを特徴とする量子情報処理方法。
  2. Figure 2012058547
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の量子情報処理方法。
  3. Figure 2012058547
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の量子情報処理方法。
  4. Figure 2012058547
    時刻tの指数関数に定数を加えた関数であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の量子情報処理方法。
  5. 電気光学効果素子、偏光ビームスプリッター及び音響光学効果素子を備えたSTIRAP用の複数のパルス波形を生成する手段と、前記生成された複数のパルスが照射されるターゲットとを有する量子情報処理装置において、
    下記条件を満たすよう前記複数のパルス波形の生成を制御することを特徴とする量子情報処理装置。
    Figure 2012058547
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