JP2012057215A - 蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鋳造部品 - Google Patents

蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金および蒸気タービンの鋳造部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を用いて作製された、蒸気タービンの鋳造部品を提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、V:0.03〜0.2、Zr:0.01〜0.05を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を用いて作製された、蒸気タービンの鋳造部品に関する。
蒸気タービンを含む火力プラントにおいて、地球環境保護の観点から二酸化炭素の排出量抑制技術が注目されており、また発電の高効率化のニーズが高まっている。
蒸気タービンの発電効率を上げるためには、タービン蒸気温度を高温化することが有効であり、近年の蒸気タービンを備える火力発電プラントにおいて、その蒸気温度は600℃以上まで上昇している。将来的には650℃、さらに700℃へと上昇する傾向がみられる。
高温の蒸気に曝される蒸気タービンの、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスおよび配管などは、周囲に高温の蒸気が回流し高温になるとともに、高い応力が発生する。そのため、これらは、高温、高応力に耐える必要があり、これらを構成する材料として、室温から高温度領域において優れた強度、延性、靭性を有するものが求められている。
特に、蒸気温度が700℃を超える場合には、従来の鉄系材料では高温強度が不足するため、Ni基合金の適用が検討されている。
Ni基合金は、高温強度特性、耐食性に優れていることから、主にジェットエンジンやガスタービンの材料として広く適用されてきた。その代表例としてインコネル617合金(スペシャルメタル社製)やインコネル706合金(スペシャルメタル社製)が用いられてきた。
Ni基合金の高温強度を強化するために、AlやTiを添加することによりNi基合金の母相材内に、γ’(ガンマプライム:Ni(Al,Ti))相、γ”(ガンマダブルプライム:NiNb)相と呼ばれるいずれかの析出相、あるいは双方の析出相を析出させることによって、高温強度を確保する方法がある。このγ’(Ni(Al,Ti))相およびγ”(NiNb)相の双方の析出相を析出させて高温強度を確保するものとして、例えばインコネル706合金が挙げられる。
一方、インコネル617合金のように、Co、Moを添加することにより、Ni基の母相を強化(固溶強化)して高温強度を確保するものがある。
特開平7−150277号公報
上記したように、700℃を超える蒸気タービンのタービンロータの材料として、Ni基合金の適用が検討されている。このNi基合金の高温強度は、Ni基合金の鋳造性を維持しつつ、組成改良などにより向上されることが求められている。
そこで、本発明は、高温強度特性および鋳造性に優れた蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、この蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を用いて作製された、蒸気タービンの鋳造部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の実施形態の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、質量%で、C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、V:0.03〜0.2、Zr:0.01〜0.05を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、以下に示す組成成分範囲で構成される。なお、以下の説明において組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%とする。
(M1)C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、V:0.03〜0.2、Zr:0.01〜0.05を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
(M2)C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、Zr:0.01〜0.05、TaとVの合計(TaおよびVは少なくとも0.01以上):0.1〜0.7を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基合金。
ここで、上記した(M1)〜(M2)のNi基合金において、AlとTiとを合計した含有率が1〜3質量%の範囲内にあることが好ましい。
また、上記した(M2)のNi基合金において、TaとVのモル数を合計した総モル数が、TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数と等しくなるように構成することが好ましい。
また、上記した(M1)〜(M2)のNi基合金における不可避的不純物のうち、少なくとも、Siが0.1%以下、Mnが0.1%以下に抑制されていることが好ましい。なお、不可避的不純物としては、上記した、SiおよびMnの他に、例えば、Cu、FeおよびSなどが挙げられる。
上記した組成成分範囲のNi基合金は、運転時の温度が680〜750℃となる蒸気タービンの鋳造部品を構成する材料として好適である。蒸気タービンの鋳造部品として、例えば、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管などが挙げられる。
ここで、タービンケーシングは、タービン動翼が植設されたタービンロータが貫通し、内周面にノズルが配設され、蒸気が導入されるタービン車室を構成するケーシングである。バルブケーシングは、蒸気タービンに供給する、高温高圧の蒸気の流量を調整したり、蒸気の流れを遮断したりする蒸気弁として機能するバルブのケーシングである。特に、温度が680〜750℃の蒸気が流動するバルブのケーシングなどが例示できる。ノズルボックスは、蒸気タービン内に導入された高温高圧の蒸気を、第1段ノズルおよび第1段のタービン動翼からなる第1段落に向けて導出する、タービンロータの周囲に亘って設けられた環状の蒸気流路である。配管は、ボイラからの蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気配管または再熱蒸気配管である。これらのタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管は、いずれも高温高圧の蒸気に曝される環境に設置される。
ここで、上記した蒸気タービンの鋳造部品のすべての部位を上記したNi基合金で構成しても、また、特に高温となる蒸気タービンの鋳造部品の一部の部位を上記したNi基合金で構成してもよい。ここで、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、具体的には、例えば、高圧タービンの全領域、または高圧タービンから中圧タービンの一部分までの領域などが挙げられる。さらに、蒸気タービンの鋳造部品が高温となるのは、高圧タービンに蒸気を導入する主蒸気ライン部などが挙げられる。なお、蒸気タービンの鋳造部品が高温となる部分は、これらに限られるものではなく、例えば、温度が680〜750℃程度となる部分であればこれに含まれる。
また、上記した実施の形態のNi基合金は、従来のNi基合金よりも、高温強度特性および鋳造性に優れている。すなわち、このNi基合金を用いて、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管などの蒸気タービンの鋳造部品を構成することで、高温環境下においても高い信頼性を有するタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管などの鋳造部品を作製することができる。
次に、上記した実施の形態のNi基合金における各組成成分範囲の限定理由を説明する。
(1)C(炭素)
Cは、強化相であるM23型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.03%未満の場合には、炭化物の十分な析出量を確保することができないため、機械的強度(高温強度特性、以下同じ)が低下するとともに、鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.1%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに脆化相であるMC型炭化物の生成を促進する。そのため、Cの含有率を0.03〜0.1%とした。
(2)Cr(クロム)
Crは、Ni基合金の耐酸化性、耐食性および機械的強度を高めるのに不可欠な元素である。さらにM23型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、蒸気タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは、高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が15%未満の場合には、耐酸化性が低下する。一方、Crの含有率が20%を超えると、M23型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高める。そのため、Crの含有率を15〜20%とした。
(3)Co(コバルト)
Coは、Ni基合金において、母相内に固溶して母相の機械的強度を向上させる。しかしながら、Coの含有率が15%を超えると、機械的強度を低下させる金属間化合物相を生成し、機械的強度が低下する。一方、Coの含有率が10%未満の場合には、鋳造性が低下し、さらに機械的強度が低下する。そのため、Coの含有率を10〜15%とした。
(4)Mo(モリブデン)
Moは、Ni母相中に固溶して母相の機械的強度を向上させる効果を有し、また、M23型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。Moの含有率が8%未満の場合には、上記した効果が発揮されず、Moの含有率が12%を超えると、大型鋳塊作製時の成分偏析傾向が増加するとともに、脆化相であるMC型炭化物の生成を促進する。そのため、Moの含有率を8〜12%とした。
(5)Al(アルミニウム)
Alは、Niとともにγ’(NiAl)相を生成し、析出によるNi基合金の機械的強度を向上させる。Alの含有率が0.5%未満の場合には、機械的強度が従来鋼と比べて向上されず、Alの含有率が1.4%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Alの含有率を0.5〜1.4%とした。
(6)Ti(チタン)
Tiは、γ’(NiAl)相中のAlと置換して(Ni(Al,Ti)となり、γ’相の固溶強化に役立つ元素である。Tiの含有率が0.3%未満の場合には、上記した効果が発揮されず、Tiの含有率が2%を超えると、NiTi相(η相)やTiの窒化物の析出を促し、機械的強度および鋳造性が低下する。そのため、Tiの含有率を0.3〜2%とした。
また、上記したAlおよびTiを、AlとTiを合計(Al+Ti)した含有率が1〜3%の範囲で含有することで、γ’(Ni(Al,Ti))相を強化し、機械的強度を向上させる。(Al+Ti)の含有率が1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて機械的強度の向上がみられず、(Al+Ti)の含有率が3%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する傾向にある。そのため、本発明に係る実施の形態のNi基合金において、(Al+Ti)の含有率を1〜3%とすることが好ましい。
(7)Zr(ジルコニウム)
Zrは、Ni母相中の粒界を強化して母相の機械的強度を向上させる効果を有する。Zrの含有率が0.01%未満の場合には、母相の機械的強度を向上させる効果が発揮されず、Zrの含有率が0.05%を超えると、粒界脆化を招く恐れがある。そのため、Zrの含有率を0.01〜0.05%とした。
(8)V(バナジウム)およびTa(タンタル)
VおよびTaは、γ’(Ni(Al,Ti))相に固溶して、γ’相を強化し、γ’相の安定化を図ることができる。
Taを含有せずにVを含有する場合、Vの含有率が0.03%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、Vの含有率が0.2%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。そのため、Vの含有率を0.03〜0.2%とした。
次に、TaおよびVを含有する場合について説明する。TaとVを合計(Ta+V)した含有率を0.1〜0.7%とすることで、γ’相(Ni(Al,Ti))の析出強度を向上させ、さらに長期的な組織の安定化を図ることができる。(Ta+V)の含有率が0.1%未満の場合には、上記した効果において従来鋼と比べて向上がみられず、(Ta+V)の含有率が0.7%を超えると、機械的強度は向上するが、鋳造性が低下する。なお、この場合、TaおよびVは、それぞれ少なくとも0.01%以上含有される。
さらに、TaとVを合計(Ta+V)した含有率を0.1〜0.7%とする場合、TaとVのモル数を合計した総モル数を、TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数と等しくすることが好ましい。
このように、TaとVのモル数を合計した総モル数を、TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数と等しくすることで、Taと同等な効果が得られる。さらに、VはTaに比べ価格が安いことから、製造コストを削減することができる。
ここで、TaとVのモル数を合計した総モル数を、TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数と等しくすることについて説明する。
TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数をAmolとする。TaとVの双方を含有する場合においても、TaとVのモル数の合計である総モル数が、このAmolとなるように構成する。
例えば、このTaの質量として換算したときのTaのモル数であるAmolのうちのB%をVに置き換えて添加したとすると、Vの添加モル数は、「A×B/100=Cmol」となり、Vの添加量は、「C×50.94(Vの原子量)」となる。また、AmolのうちのB%をVに置き換えた後のTaの添加モル数は、「A−C=Dmol」となり、Taの添加量は、「D×180.9(Ta原子量)」となる。
さらに、具体的に説明する。例えば、Ni基合金100(kg)中にTaのみが0.5%添加されている場合のTa質量は、「100000×0.005=500(g)」で、Taの総モル数は、「500/180.9(Ta原子量)=2.764(mol)」となる。例えば、Taの総モル数のうち40%をVに置き換えたとすると、Vの添加量は、「2.764×0.4×50.94(Vの原子量)=56.3(g)」となり、Vの添加率は、Ni基合金100(kg)に対して、「56.3/100000×100=0.0563%」となる。
一方、Taの添加量は、「2.764×0.6×180.9=300(g)」となり、Taの添加率は、Ni基合金100(kg)に対して、「300/100000×100=0.3%」となる。よって、Ni基合金中におけるTaとVを合計した添加率は、「0.3+0.0563=0.3563%」となり、TaとVを合計した総添加量は、「300+56.3=356.3(g)」となる。
(9)Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Fe(鉄)およびS(硫黄)
Si、Mn、Cu、FeおよびSは、本発明に係る実施の形態のNi基合金においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。また、これらの不可避的不純物のうち、少なくとも、SiおよびMnは、0.1%以下に抑制されることが好ましい。
Siは、普通鋼の場合、耐食性を補うため添加される。しかしながら、Ni基合金は、Cr含有量が多く、十分に耐食性を確保できることから、実施の形態のNi基合金では、Siの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
Mnは、普通鋼の場合、脆性に起因するS(硫黄)をMnSとして脆性を防止する。しかしながら、Ni基合金におけるSの含有量は極めて少なく、Mnを添加する必要はない。そのため、実施の形態のNi基合金では、Mnの残存含有率を0.1%以下とし、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが望ましい。
ここで、本発明に係る実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、およびこの鋳造部品用Ni基合金を用いて製造される蒸気タービンの鋳造部品の製造方法について説明する。
実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金は、この鋳造部品用Ni基合金を構成する組成成分の材料を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯を所定の型枠に注入して鋳塊を形成し、その鋳塊に溶体化処理および時効処理を施すことで作製される。
また、本発明に係る実施の形態の鋳造部品である、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、例えば、実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を構成する組成成分の材料を真空誘導溶解(VIM)し、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造し、溶体化処理および時効処理を施すことで作製される。
また、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスは、実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を構成する組成成分の材料を電気炉溶解(EF)し、アルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い、その溶湯をタービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックスの形状に形成するための型枠に注入して大気鋳造し、溶体化処理および時効処理を施すことで作製されてもよい。
また、本発明に係る実施の形態の鋳造部品である配管は、実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を構成する組成成分の材料を、真空誘導溶解(VIM)を行い溶湯とし、または電気炉溶解(EF)してアルゴン−酸素脱炭(AOD)を行い溶湯とし、円筒形の型を高速回転させた状態でこの溶湯を流し込み、回転の遠心力を利用して溶湯を加圧し、配管形状に形成し、溶体化処理および時効処理を施すことで作製される(遠心鋳造法)。
ここで、上記した溶体化処理においては、鋳造部品に応じて、1100〜1200の温度範囲で3〜24時間処理を行うことが好ましい。ここで、溶体化処理温度は、γ’相析出物を均質に固溶化するために行われ、温度が1100℃を下回る温度では十分に固溶されず、1200℃を上回る温度では結晶粒の粗大化により強度が低下する。
また、時効処理においては、鋳造部品に応じて、700〜800℃の温度範囲で10〜48時間処理を行うことが好ましい。これによって、γ’相を早期に析出させることができる。
なお、上記した、本発明に係る実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金、タービンケーシング、バルブケーシング、ノズルボックス、配管を作製する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
以下に、本発明に係る実施の形態の、蒸気タービンの鋳造部品用のNi基合金が、高温強度特性および鋳造性に優れていることを説明する。
(高温強度特性および鋳造性の評価)
ここでは、本発明の化学組成範囲にあるNi基合金が、優れた、高温強度特性および鋳造性を有することを説明する。表1は、高温強度特性および鋳造性の評価に用いられた試料1〜試料17の化学組成を示す。なお、試料1〜試料7は、本発明に係る実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金であり、試料8〜試料17は、その組成が本発明に係る実施の形態の化学組成範囲にないNi基合金であり、比較例である。なお、ここで使用した、本発明に係る実施の形態の化学組成範囲にあるNi基合金には、不可避的不純物として、Si、Mn以外に、Fe、Cu、Sが含まれている。
Figure 2012057215
高温強度特性を引張強度試験によって評価した。引張強度試験では、表1に示す化学組成を有する試料1〜試料17のNi基合金20kgをそれぞれ真空誘導溶解炉にて溶解し、鋳塊を作製した。続いて、この鋳塊に対して、1150℃で3時間溶体化処理を施して、775℃で10時間時効処理を施して、鋳造合金とした。そして、この鋳造合金から所定のサイズの試験片を作製した。
そして、各試料による試験片に対して、温度が室温(24℃)および750℃の条件でJIS G 0567(鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法)に基づいて引張強度試験を行い、0.2%耐力を測定した。ここで、引張強度試験における温度条件である750℃は、蒸気タービン起動運転時の温度条件を考慮して設定した。0.2%耐力の測定結果を表2に示す。
また、各試料に対して鋳造性の評価を行った。鋳造性の評価では、上記した鋳塊を縦に2分割に切断し、切断面についてJIS Z 2343−1(非破壊試験−浸透探傷試験−第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)に基づいて浸透探傷試験(PT)を行い、鋳造割れの有無を目視観察した。鋳造性の評価結果を表2に示す。ここで、表2において、鋳造割れがない場合には「無」と示し、さらに、鋳造性が優れていることを示すため、鋳造性の評価を「○」で示す。一方、鋳造割れがある場合には「有」と示し、さらに、鋳造性が劣ることを示すため、鋳造性の評価を「×」で示す。
Figure 2012057215
表2に示すように、試料1〜試料7は、各温度において高い0.2%耐力が得られるとともに、鋳造性にも優れていることがわかった。試料1〜試料7において、0.2%耐力が高い値となったのは、析出強化と固溶強化が図られたためと考えられる。
一方、比較例に係る試料8〜試料17では、高温強度特性および鋳造性の双方に優れた結果は得られなかった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、V:0.03〜0.2、Zr:0.01〜0.05を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
  2. 質量%で、C:0.03〜0.1、Cr:15〜20、Co:10〜15、Mo:8〜12、Al:0.5〜1.4、Ti:0.3〜2、Zr:0.01〜0.05、TaとVの合計(TaおよびVは少なくとも0.01以上):0.1〜0.7を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
  3. TaとVのモル数を合計した総モル数が、TaとVの合計した質量をTaの質量として換算したときのTaのモル数と等しいことを特徴とする請求項2記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
  4. AlとTiを合計した含有率が1〜3質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
  5. 前記不可避的不純物のうち、少なくとも、Siを0.1質量%以下、Mnを0.1質量%以下に抑制したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービンの鋳造部品用Ni基合金を用いて、少なくとも所定部位が鋳造により作製されたことを特徴とする蒸気タービンの鋳造部品。
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