JP2012056933A - エラスチン産生促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性の高い天然物の中からエラスチン産生促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とするエラスチン産生促進剤を提供する。
【解決手段】本発明のエラスチン産生促進剤の有効成分として、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を含有させる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のエラスチン産生促進剤の有効成分として、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を含有させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、エラスチン産生促進剤に関するものである。
皮膚の真皮・表皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の真皮細胞外マトリックスによって構成されており、若い皮膚においてはこれらの皮膚組織が恒常性を維持することにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすることによって、真皮細胞外マトリックスの主要構成成分であるエラスチン、コラーゲン等の産生量が減少するとともに、変性や分解を引き起こす。その結果、角質は異常剥離を始め、肌は張りや艶を失い、肌荒れやシワ等の老化症状を呈するようになる。
このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、シワの形成、張りの消失、弾力性の低下等には、エラスチン、コラーゲン等の真皮細胞外マトリックス成分の減少、変性が関与している。
これらのマトリックス成分のうち、エラスチンは、皮膚組織に弾力性を与える線維であり、加齢等に伴って産生量が低下するとともに、紫外線によって分解・変性が促進される。正常なエラスチンが減少すると、肌の弾力性が低下し、しわ、たるみの原因となりうる。そのため、エラスチンの産生を促進することができれば、しわ、たるみが起こりにくくなり、張りの消失、弾力性の低下等の皮膚の老化症状を予防・改善できると考えられる。
また、エラスチンは皮膚組織の他に、肺や血管等、身体において弾力性を要する組織に広く発現している。加齢に伴ってこれらの組織から正常なエラスチンが減少すると、肺や血管等において弾力性が低下し、肺気腫等の肺疾患や高血圧、動脈瘤等の血管性疾患の原因となることが知られている。そのため、エラスチンの産生を促進することができれば、肺や血管等における弾力性の低下が起こりにくくなり、肺気腫等の肺疾患や高血圧、動脈瘤等の血管性疾患等を予防・治療できると考えられる。
従来、エラスターゼ活性阻害作用を有するものとして、例えば、グミ科ヒッポファエ属植物の抽出物が知られている(特許文献1参照)。
本発明は、安全性の高い天然物の中からエラスチン産生促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とするエラスチン産生促進剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のエラスチン産生促進剤は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明によれば、優れたエラスチン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いエラスチン産生促進剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を有効成分として含有する。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を有効成分として含有する。
ここで、本実施形態において「抽出物」には、上記植物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
[オウバク抽出物,オタネニンジン抽出物,アルテア抽出物,ヨクイニン抽出物,ユリ抽出物の製造]
本実施形態において、オウバク抽出物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、オウバク、オタネニンジン(学名:Panax ginseng C.A. Meyer)、アルテア(学名:Althaea officinalis)、ヨクイニン及びユリ(学名:Lilium candidum)である。
本実施形態において、オウバク抽出物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、オウバク、オタネニンジン(学名:Panax ginseng C.A. Meyer)、アルテア(学名:Althaea officinalis)、ヨクイニン及びユリ(学名:Lilium candidum)である。
オウバク(生薬名)は、北海道、本州、四国、九州等に分布しているミカン科キハダ属に属する落葉高木であるキハダ(学名:Phellodendron amurense Ruprecht)の樹皮部であり、これらの地域から容易に入手することができる。オウバクは、従来、消炎性収斂剤として、下半身の炎症や充血、黄疸、下痢等の症状に使用されている。
オタネニンジン(Panax ginseng C.A. Meyer,別名:高麗人参,朝鮮人参)は、中国、日本の東北地方等で栽培されているウコギ科トチバニンジン属に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るオタネニンジンの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部である。
アルテア(Althaea officinalis)は、ノルウェーからスペインにかけてのヨーロッパの湿地、西アジア、北アジアの温暖な地域、小アジア、オーストラリア、北アメリカ東部等に自生する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るアルテアの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部である。
ヨクイニン(生薬名)は、ハトムギ(学名:Coix lachrymal-jobi L.)の種子部である。ハトムギは、中国、インドシナ地方原産の植物であって、日本では西南部の暖地で栽培されているイネ科ジュズダマ属に属する一年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。ヨクイニンは、従来、利水滲湿、清熱、排膿、除痺、健脾止痛等の用途に用いられている。
ユリ(Lilium candidum)は、地中海沿岸地方及びコーカサス地方、ペルシャに分布しており、観賞用に栽培される多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るユリの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、根部、球根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは球根部である。
オウバク抽出物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物のそれぞれに含有されるエラスチン産生促進作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記植物からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、上記植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでもエラスチン産生促進剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
上記のようにして得られる抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
[真珠タンパク質加水分解物の製造]
本実施形態における真珠タンパク質加水分解物は、真珠層を有する貝の貝殻及び/又は真珠を脱灰処理に付し、これにより得られる真珠タンパク質(コンキオリン)を加水分解してなるものである。
本実施形態における真珠タンパク質加水分解物は、真珠層を有する貝の貝殻及び/又は真珠を脱灰処理に付し、これにより得られる真珠タンパク質(コンキオリン)を加水分解してなるものである。
真珠層を有する貝としては、例えば、ウグイスガイ科に属するアコヤ貝(学名:Pinctada fucata);イガイ科に属するイガイ(学名:Mytilus coruscum)、ムラサキイガイ(学名:Mytilus edulis);イシガイ科に属するイケチョウガイ(学名:Hyriopsis schlegelii)、カラスガイ(学名:Cristaria plicata)等が挙げられ、これらのうちアコヤ貝を用いるのが好ましい。
真珠層を有する貝の貝殻及び/又は真珠は、そのまま又は粉砕して脱灰処理に付せられる。貝殻及び/又は真珠の脱灰処理は、常法により行えばよく、例えば、貝殻及び/又は真珠に酸又はその水溶液を添加して攪拌する。
脱灰処理に使用し得る酸としては、貝殻及び/又は真珠に含まれる炭酸カルシウム等の無機成分を十分に溶出させ得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸;シュウ酸、炭酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、酢酸、ギ酸等の有機酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上の混酸を使用してもよい。
酸又はその水溶液の添加量は、貝殻及び/又は真珠に含まれる炭酸カルシウム等の無機成分を十分に溶出させ得る量であればよく、使用する酸の種類等に応じて適宜設定すればよい。
脱灰処理により得られた処理液を遠心分離、濾過、デカンテーション等の固液分離手段に付して不溶物を回収し、必要に応じて回収した不溶物に精製水を添加して再度遠心分離、濾過等の洗浄操作を繰り返し、不溶物を回収する。そして、得られる不溶物を、所望により粉砕機等を用いて微粉砕し、常法により乾燥して真珠タンパク質(コンキオリン)を得ることができる。
そして、得られた真珠タンパク質(コンキオリン)を酸又はアルカリの水溶液を用いて加水分解する。
真珠タンパク質(コンキオリン)の加水分解処理に使用し得る酸としては、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。
また、真珠タンパク質(コンキオリン)の加水分解処理に使用し得るアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。
酸又はアルカリの水溶液を使用して加水分解する場合、酸又はアルカリの水溶液の添加量や当該水溶液における酸又はアルカリの濃度は、貝殻及び/又は真珠に含まれる真珠タンパク質(コンキオリン)を加水分解し得るが、完全にアミノ酸にまで分解し得ない量であればよく、使用する酸又はアルカリの種類等に応じて当該水溶液の添加量や当該水溶液における酸又はアルカリの濃度を適宜変更することができる。
また、加水分解処理は、0〜130℃、好ましくは50〜110℃の温度条件の下、30分〜10日間程度、好ましくは5時間〜5日間程度行う。
このようにして加水分解処理により得られた溶液から酸又はアルカリを除去し、必要に応じて限外濾過処理に付して高分子ペプタイドを除去し、さらに濃縮、乾燥等の処理に付することで、真珠タンパク質加水分解物を得ることができる。
酸又はアルカリは、加水分解処理により得られた溶液から常法により除去することができ、例えば、凍結乾燥、溶液中の酸又はアルカリを中和して脱塩する方法等が挙げられる。
[エラスチン産生促進剤]
以上のようにして得られる各天然物由来成分は、優れたエラスチン産生促進作用を有しているため、エラスチン産生促進剤の有効成分として用いることができる。
以上のようにして得られる各天然物由来成分は、優れたエラスチン産生促進作用を有しているため、エラスチン産生促進剤の有効成分として用いることができる。
オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物は、そのエラスチン産生促進作用を通じて、張りの消失、弾力性の低下等の皮膚の老化症状の予防・改善剤の有効成分として用いることができるとともに、肺気腫等の肺疾患や高血圧、動脈瘤等の血管性疾患の予防・治療剤の有効成分としても用いることができる。ただし、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物は、これらの用途以外にもエラスチン産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
なお、本実施形態においては、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物のうちのいずれか一つを上記有効成分として用いてもよいし、これらを混合して上記有効成分として用いてもよい。オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物を混合して上記有効成分として用いる場合、その配合比は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物が有するエラスチン産生促進作用の程度等により適宜調整すればよい。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物及びこれらの混合物のみからなるものでもよいし、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物及びこれらの混合物を製剤化したものでもよい。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。エラスチン産生促進剤は、他の組成物(例えば、皮膚外用剤、美容用飲食品等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態のエラスチン産生促進剤を製剤化した場合、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物及びこれらの混合物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態のエラスチン産生促進剤は、必要に応じて、エラスチン産生促進作用を有する他の天然抽出物等を、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物及びこれらの混合物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のエラスチン産生促進剤の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。
また、本実施形態のエラスチン産生促進剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物又はユリ抽出物が有するエラスチン産生促進作用を通じて、張りの消失、弾力性の低下等の皮膚の老化症状を予防・改善することができるとともに、肺気腫等の肺疾患や高血圧、動脈瘤等の血管性疾患をも予防・治療することができる。ただし、本実施形態のエラスチン産生促進剤は、これらの用途以外にもエラスチン産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
なお、本実施形態のエラスチン産生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)に対して適用することもできる。
本実施形態のエラスチン産生促進剤は、優れたエラスチン産生促進作用を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、例えば、皮膚外用剤に配合するのに好適である。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
また、本実施形態のエラスチン産生促進剤は、優れたエラスチン産生促進作用を有するとともに、経口的に摂取した場合の安全性にも優れているため、例えば、美容用飲食品に配合するのに好適である。ここで、美容用飲食品としては、その区分に制限はなく、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
さらに、本実施形態のエラスチン産生促進剤は、優れたエラスチン産生促進作用を有するので、エラスチンの産生に関連する疾患の研究のための試薬としても好適に利用することができる。
以下、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例に何ら限定されるものではない。なお、本試験例においては、試料(試料1〜6)として表1に示す製品の凍結乾燥品を使用した。
〔試験例1〕エラスチン産生促進作用試験
上記各天然物由来成分(試料1〜6)について、以下のようにしてエラスチン産生促進作用を試験した。
上記各天然物由来成分(試料1〜6)について、以下のようにしてエラスチン産生促進作用を試験した。
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.2×105cells/mLの濃度になるように上記培地で希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1〜6、試料濃度は下記表2を参照)を添加した0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地又は試料無添加の0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに150μL添加し、5日間培養した。培養終了後、上清を回収し、以下のようにして培養上清に遊離したエラスチン量を測定した。
上清100μLをELISAプレートに移し換え、4℃で一晩プレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05%のTween20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行った。その後、1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、PBS−Tにて洗浄を行い、抗ヒトエラスチン抗体(ウサギIgG,NOVOTEC社製)を反応させた。溶液を捨て、PBS−Tにて洗浄を行い、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(ニチレイバイオサイエンス社製)を反応させた。溶液を捨てた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。得られた結果から、下記式によりエラスチン産生促進率(%)を算出した。
エラスチン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加時のエラスチン量」を表し、Bは「被験試料無添加時のエラスチン量」を表す。
結果を表2に示す。
式中、Aは「被験試料添加時のエラスチン量」を表し、Bは「被験試料無添加時のエラスチン量」を表す。
結果を表2に示す。
表2に示すように、試料1〜試料6はいずれもエラスチン産生を促進することが判明し、特にオウバク抽出物(試料1)は低濃度においても優れたエラスチン産生促進作用を示した。
本発明のエラスチン産生促進剤は、皮膚の老化の予防又は改善、肺気腫等の肺疾患や高血圧、動脈瘤等の血管性疾患の予防又は治療に大きく貢献できる。
Claims (1)
- オウバク抽出物、真珠タンパク質加水分解物、オタネニンジン抽出物、アルテア抽出物、ヨクイニン抽出物及びユリ抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物由来成分を有効成分として含有することを特徴とするエラスチン産生促進剤。
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