JP2012055909A - 異物除去方法及び異物除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】穿孔された孔81Hの内周壁82で、孔と連通した鋳巣83に残留するバリ84を、鋳巣から孔に排出させて除去する異物除去方法において、孔の径に対応した大きさの整流部11を先端に有した棒状の流体整流部材10を孔に挿入すると共に、孔にその奥に向けてエアARを供給する第1工程と、流体整流部材を移動させながら鋳巣が存在する位置で、整流部によりエアの流れを鋳巣に向けて変え、エアを鋳巣に流入させる第2工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
特許文献1は、図14に示すように、噴射ノズル390から噴射した投射材391を硬質棒状部材310の変更面311に当てて投射材391の噴射方向を変更させ、投射材391を、ワーク380の中空部380Hの凹部383に付着した中子砂に向けて衝突させることにより、中子砂を除去する中子砂の除去方法である。
特許文献1に記載された除去方法を用いて、エンジンブロックの径小深孔と連通する鋳巣の異物を除去しようしても、この鋳巣の位置が特定できず、鋳巣の位置に合わせて硬質棒状部材310の変更面311を配置する位置が定まらない。従って、噴射方向を変えた投射材391により、鋳巣の異物を除去することはできない。
また、エアや流水を、径小深孔の入口から孔の奥に向けて噴射する方法や、水没したエンジンブロックの径小深孔に水流を送り込む方法では、径小深孔の内壁面に付着した異物については除去できる。しかしながら、エア、流水、水流が、図15に示すように、径小深孔481Hから鋳巣の空洞部483にうまく流入できず、エア、流水、水流により、空洞部483に残留する異物484を、空洞部483から排出させて径小深孔481Hの外に取り出すことが困難である問題があった。
(1)穿孔された孔の内周壁で、孔と連通した空洞部に残留する異物を、空洞部から孔に排出させて除去する異物除去方法において、孔の径に対応した大きさの整流部を先端に有した棒状の流体整流部材を孔に挿入すると共に、整流部に向けて流体を供給する第1工程と、流体整流部材を移動させながら空洞部が存在する位置で、整流部により流体の流れを空洞部に向けて変え、流体を空洞部に流入させる第2工程と、を有することを特徴とする。
(2)(1)に記載する異物除去方法において、第2工程では、流体の圧力を検出しながら、流体整流部材を孔に所定速度で等速に挿入し、流体の圧力が低下したときに、流体整流部材の移動を減速または停止させることを特徴とする。
(3)穿孔された孔の内周壁で、孔と連通した空洞部に残留する異物を、空洞部から孔に排出させて除去する異物除去装置において、流体を孔に供給する流体供給手段と、先端に、孔の径に対応した大きさに形成された整流部、及びこの整流部と連結すると共に、整流部より径小に形成されたロッド部とを有する流体整流手段と、ロッド部をその軸方向に前進または後退させることにより、孔に挿入した整流部を移動させて、整流部の位置を孔内で変化させる整流部移動手段と、を備えていることを特徴とする。
(4)(3)に記載する異物除去装置において、流体の圧力を測定する圧力測定手段と、圧力測定手段により測定した流体の圧力に基づいて、整流部移動手段を制御する整流部制御手段と、を備えていることを特徴とする。
(5)(3)または(4)に記載する異物除去装置において、整流部は、孔の内周壁に摺動可能な大きさに形成された外周端部を有し、ロッド部は、中実の棒状であり、整流部の径方向中央部で整流部と連結していることを特徴とする。
(6)(3)または(4)に記載する異物除去装置において、ロッド部は、パイプ状に形成され、径内に流体の流路となるロッド中空部を有し、整流部は、孔の内周壁に摺動可能な大きさに形成された外周端部を有すると共に、当該整流部の径方向に対し、孔の内周壁に向けて貫通する整流吐出部を少なくとも1つ有し、ロッド中空部と整流吐出部とが連通していることを特徴とする。
本発明の異物除去方法では、
(1)穿孔された孔の内周壁で、孔と連通した空洞部に残留する異物を、空洞部から孔に排出させて除去する異物除去方法において、孔の径に対応した大きさの整流部を先端に有した棒状の流体整流部材を孔に挿入すると共に、整流部に向けて流体を供給する第1工程と、流体整流部材を移動させながら空洞部が存在する位置で、整流部により流体の流れを空洞部に向けて変え、流体を空洞部に流入させる第2工程と、を有するので、第1工程において供給した流体が孔を流れるときに、流体の流れにより、孔の内周壁に付着した異物を除去することができる。また、第2工程において、孔を流れる流体が、空洞部に流入することにより、空洞部に残留していた異物が、空洞部から孔の奥側流路に排出され除去できる。
また、第2工程において、孔の軸方向に沿う方向に対する整流部の厚みが、空洞部(例示したように、孔の内周壁で孔と連通した鋳巣等)において、孔の内周壁に開口した開口部で孔の軸方向の開口距離より小さく形成されていると、整流部が、空洞部が存在する位置に差し掛かったときに、孔において、入口側流路と、整流部より奥側にある奥側流路とが、整流部を挟み、空洞部を介して連通する。
整流部が孔の内周壁に沿って孔を移動している間、ノズル等を通じて整流部に向けて供給された流体が、孔に所定圧で噴射されて整流部に当たり、流れの向きを変えてこの入口側流路を通じて空洞部に流入する。このとき、入口側流路は、孔の軸方向に対し、内周壁と整流部との隙間が狭く、この隙間で流体の流れが律速段階となり、流体が減速されるが、この隙間を通過後の流体は、整流部で一時的に高圧となって空洞部の内周壁に沿って流れる。これにより、空洞部に残留していた異物が、空洞部に流入し高圧化された流体により、空洞部から孔の奥側流路に排出され除去できる。空洞部から除去された異物は、周知の方法で、孔の外部に排出する。
従って、本発明の異物除去方法によれば、孔と連通する空洞部に残留する異物を、この空洞部から排出し除去することができる、という優れた効果を奏する。
また、鋳巣等の空洞部としては、例えば、孔の内周壁にある開口部は、比較的小さいものの、孔の内周壁より奥側では開口部よりドーム状に膨らんだ形状等で生じていることもあり、開口距離が、例えば、大きくとも10mm程度までの開口部を有したものが挙げられる。その一方で、上記した整流部の厚さは、開口距離より小さく、例えば、5mm以下程度の整流部が挙げられる。
また、異物の大きさとしては、上記した空洞部の開口部の大きさより小さく、物理的に開口部から空洞部に入り込むことができる大きさであり、例えば、細かい粒状の異物のほか、異物において最も寸法が長くなる部位が、例えば、1mmまたは2mm程度の大きさの異物が挙げられる。
また、流体としては、例えば、所定の圧力で吐出するエアやガス等の気体、水流、液体の洗浄剤等が挙げられる。
一方、整流部が、空洞部が存在する位置に差し掛かかると、整流部を挟み、孔の入口側流路と、整流部より奥側にある孔の奥側流路とが、孔の内周壁で孔と連通した空洞部を介して連通する。これにより、流体の圧力は、孔の入口側流路と奥側流路とが連通している間、一時的に低下するため、流体整流部材を等速で挿入していても、空洞部の位置は、流体の圧力変化によって検知できる。
従って、空洞部を検知した位置で、流体整流部材の移動を減速または停止させると、孔の入口側流路に供給された流体が、空洞部により確実に流れ込み、残留する異物を、より確実にこの空洞部から排出し除去することができる。
(3)穿孔された孔の内周壁で、孔と連通した空洞部に残留する異物を、空洞部から孔に排出させて除去する異物除去装置において、流体を孔に供給する流体供給手段と、先端に、孔の径に対応した大きさに形成された整流部、及びこの整流部と連結すると共に、整流部より径小に形成されたロッド部とを有する流体整流手段と、ロッド部をその軸方向に前進または後退させることにより、孔に挿入した整流部を移動させて、整流部の位置を孔内で変化させる整流部移動手段と、を備えているので、流体供給手段により流体を孔に供給し、孔内で流れる流体を整流部に当てながら、整流部移動手段により孔内で整流部の位置を変化させると、流体整流手段の先端にある整流部が、空洞部が存在する位置に差し掛かったときに、流体が整流部に当たり、流れの向きを変えて空洞部に流入する。空洞部に流入した流体は、いったん空洞部を流れて再び孔内を流れるようになり、このとき、空洞部に残留する異物を、流体の流れによって空洞部から排出し除去することができる。
整流部が孔の内周壁に沿って孔を移動している間、ノズル等を通じて整流部に向けて供給された流体が、孔に所定圧で噴射されて整流部に当たり、流れの向きを変えてこの入口側流路を通じて空洞部に流入する。このとき、入口側流路は、孔の軸方向に対し、内周壁と整流部との隙間が狭く、この隙間で流体の流れが律速段階となり、流体が減速されるが、この隙間を通過後の流体は、整流部で一時的に高圧となって空洞部の内周壁に沿って流れる。これにより、空洞部に残留していた異物が、空洞部に流入した高圧化された流体により、空洞部から孔の奥側流路に排出され除去できる。空洞部から除去された異物は、流体供給手段による流体の吐出のほか、周知の方法でも孔の外部に排出する。
勿論、孔の内周壁に付着した異物についても、ロッド部をその軸方向に前進または後退させて整流部が移動している間、孔内に供給された流体により、取り除くことができる。
すなわち、整流部が、孔の径に対応した大きさになっているため、流体供給手段により孔に流体を供給すると、孔の奥側に向けた流体の流れはこの整流部で遮られ、流体の圧力は、孔に供給するときの高い圧力で保持される。その一方で、整流部が、空洞部が存在する位置に差し掛かかり、整流部を挟み、孔の入口側流路と、整流部より奥側にある孔の奥側流路とが、孔の内周壁で孔と連通した空洞部を介して連通すると、流体の圧力は、孔の入口側流路と奥側流路とが連通している間、一時的に低下する。このとき、整流部制御手段は、圧力測定手段により測定した圧力値に基づいて、整流部移動手段を制御し、流体整流手段の整流部の移動速度を減速または停止させて、孔の入口側流路と奥側流路とが連通する位置に整流部を配置する。これにより、流体を空洞部により確かに流入させることができる。
なお、孔の径とロッド部の径との関係では、ロッド部の外周面と孔の内周壁との間の径方向の距離が、空洞部に残留する異物において、最も寸法が長くなる部位の大きさより大きくなるよう、孔の径に対応させてロッド部の径を設定する必要がある。
例えば、空洞部が鋳巣である場合、前述したように、孔の内周壁にある鋳巣の開口部が、比較的小さいものの、孔の内周壁より奥側では開口部より膨らんだ形状に存在していることもある。このような場合、開口部より奥でドーム状に膨らんだ形状の空洞部に、異物が、孔の入口側や奥側に偏って残留すると、ドーム状の空洞部で残留する位置によっては、空洞部に流体を単に流入させても除去し難いことも生じ得る。
その一方で、流体が、孔の奥側にある整流部の外周端部に沿ってドーム状の空洞部に流入し、空洞部の内周形状に沿って孔の奥側に向けて流れるときには、空洞部において孔の入口側の位置に残留する異物が、空洞部への流入時に減速された流体の流れが高圧に噴射され、勢いのある流体の流れで空洞部から排出され易くなる。
空洞部から排出された異物は、ロッド部と孔の内周壁との間の空間、または整流部より奥側の孔に排出される。
なお、孔の径とロッド中空部の径との関係では、ロッド部の外周面と孔の内周壁との間の径方向の距離が、空洞部に残留する異物の形状において、最も寸法が長くなる部位の大きさより大きくなるよう、孔の径に対応させてロッド中空部の径を設定する必要がある。
実施形態1乃至実施形態4では、本発明の孔を有した製品は、例えば、ダイカスト等、鋳造で成形された自動車のエンジンブロックであり、エンジンブロックの内部にはランダムな位置に生じた鋳巣がある。孔は、エンジン内で、クランクジャーナル部とメインオイルホールとの間を流れる潤滑油や、ピストンの冷却油の油路となる孔である。この孔は、例えば、内径が6mm程度、油路の長さ(深さ)が100mm程度等で、径小でありながら深さが相対的に深い孔であり、鋳造後に機械加工により穿孔されて形成される。この孔の穿孔時には、この孔の内周壁と鋳巣とが連通することがあり、孔の内周壁面近くに生じてこの孔の内周壁を突き破って連通した鋳巣が、本発明の空洞部に対応する。孔の加工時には、鋳巣と孔との連通部分でバリが発生する。バリは、後にバリ取り工程で除去されるが、取り除かれたバリの一部が、本発明の異物として、鋳巣内の空洞部に残留してしまうことがある。
実施形態1乃至実施形態4は、穿孔された孔の内周壁で、孔と連通した鋳巣(空洞部)に残留するバリ(異物)を、空洞部から孔に排出させて除去する場合について、説明する。
以下、本実施形態に係る異物除去方法、及び異物除去装置について、図1及び図7を用いて説明する。図1乃至図3は、実施形態1に係る異物除去方法を説明する工程図である。図7は、実施形態1に係る異物除去方法に用いる流体整流部材を示す図である。
異物除去装置1は、流体整流部材10(流体整流手段)と、整流部移動手段30と、ガイド60と、流体供給手段70とを有している。
本実施形態では、流体としてエアARが用いられ、エアARを孔81Hに供給する流体供給手段70は、工場内に設けられた既存のコンプレッサ等の設備を用いられる。なお、用いる流体は、エア以外に水流でも良い。
整流部移動手段30は、例えば、周知の多関節ロボットのほか、流体整流部材10のロッド部15を保持し、ガイド60の送り孔60Hを通じてロッド部15をその軸方向PQに沿って前進または後退させることにより、孔81Hに挿入した整流部11を移動させて、整流部11の位置を孔81H内で変化させる装置である。整流部移動手段30では、流体整流部材10を孔81Hに挿入する方向(図1中、左方から右方)を前進方向Pとし、挿入した流体整流部材10を孔81Hから抜き出す方向(図1中、右方から左方)を後退方向Qとし、前進後退方向PQは、孔81H及びロッド部15の軸方向と一致する。
本実施形態に係る異物除去方法では、説明の便宜上、図1に示すように、ワーク80に、2つの鋳巣83(空洞部)があり、その第1鋳巣83Aと第2鋳巣83Bにそれぞれ残留するバリ84を、鋳巣83から孔81Hに排出して除去させる。
一方、バリ84は、鋳巣83の開口部の大きさより小さく、物理的に開口部から鋳巣83に入り込むことができる大きさであり、例えば、細かい粒状のバリのほか、バリにおいて最も寸法が長くなる部位が、例えば、1mmまたは2mm程度のものである。
次に、本実施形態に係る異物除去方法の第1工程を行う。第1工程では、図3に示すように、ワーク80の孔81Hの径に対応した大きさの整流部11を先端に有した棒状の流体整流部材10を、整流部移動手段30により前進方向Pに移動させ孔81Hに挿入する。整流部移動手段30による流体整流部材10の送り速度は、例えば、油路の深さ約100mmを200sec.かけて進む秒速5(mm/sec.)のように、非常にゆっくりとした等速度で移動させる。同時に、図4に示すように、孔81Hとロッド部15との空間にある流路に、流体供給手段70により吐出したエアARを整流部11に向けて供給する。エアARの供給圧は、例えば、0.5MPa〜1MPa程度であり、ノズル等を介することにより、工場内のコンプレッサ等の供給圧を増圧させている。
すなわち、移動している流体整流部材10の整流部11が、まず第1鋳巣83Aを通過する間、図4に示すように、第1鋳巣83Aが存在する孔81Hの内周壁82から整流部11の外周端部12が離れる。これにより、エアARは、孔81Hとロッド部15との空間から、内周壁82と外周端部12との間にある第1鋳巣83Aの開口から第1鋳巣83Aの中を流れ、整流部11より奥側Pの流路に流れる。
このように、後に詳述するが、第1鋳巣83Aに残留していたバリ84は、エアARが第1鋳巣83Aを流れ込むことによって、エアARと共に孔81Hに排出され、第1鋳巣83Aから除去される。また、第2鋳巣83Bに残留していたバリ84は、エアARが第2鋳巣83Bを流れ込むことによって、エアARと共に孔81Hに排出され、第2鋳巣83Bから除去される。
次いで、ワーク80においてバリ84が鋳巣83から除去されたら、図6に示すように、整流部移動手段30により流体整流部材10を後退方向Qに移動させ孔81Hから抜き出して、鋳巣83からのバリ84の除去作業が完了する。
本実施形態に係る異物除去方法では、穿孔された孔81Hの内周壁82で、孔81Hと連通した鋳巣83に残留するバリ84を、鋳巣83から孔81Hに排出させて除去する異物除去方法において、孔81Hの径に対応した大きさの整流部11を先端に有した棒状の流体整流部材10を孔81Hに挿入すると共に、整流部11に向けてエアARを供給する第1工程と、流体整流部材10を移動させながら鋳巣83が存在する位置で、整流部11によりエアARの流れを鋳巣83に向けて変え、エアARを鋳巣83に流入させる第2工程と、を有するので、第1工程において供給したエアARが孔81Hを流れるときに、エアARの流れにより、孔81Hの内周壁82に付着したバリ84を除去することができる。また、第2工程において、孔81Hを流れるエアARが、鋳巣83に流入することにより、鋳巣83に残留していたバリ84が、鋳巣83から孔81Hの奥側流路に排出され除去できる。
また、第2工程において、孔81Hの軸方向PQに沿う方向に対する整流部11の厚みsが、鋳巣83において、孔81Hの内周壁82に開口した開口部で孔81Hの軸方向PQの開口距離ta,tbより小さく形成されていると、整流部11が、鋳巣83のある位置に差し掛かったときに、孔81Hにおいて、入口側流路と、整流部11より奥側にある奥側流路とが、整流部11を挟み、鋳巣83を介して連通する。
従って、本実施形態に係る異物除去方法によれば、孔81Hと連通する鋳巣83に残留するバリ84を、この鋳巣83から排出し除去することができる、という優れた効果を奏する。
整流部11が孔81Hの内周壁82に沿って孔81Hを移動している間、ノズル等を通じて整流部11に向けて供給されたエアARが、孔81Hに所定圧で噴射されて整流部11に当たり、流れの向きを変えてこの入口側流路を通じて鋳巣83に流入する。このとき、入口側流路は、内周壁82と整流部11との軸方向PQの隙間が狭く、エアARの流れが律速段階となり、エアARが減速されるが、この隙間を通過後のエアARは、整流部11で一時的に高圧となって鋳巣83の内周壁に沿って流れる。これにより、鋳巣83に残留していたバリ84が、鋳巣83に流入し高圧化されたエアARにより、鋳巣83から孔81Hの奥側流路に排出され除去できる。鋳巣83から除去されたバリ84は、流体供給手段70によるエアARの吐出のほか、周知の方法でも孔81Hの外部に排出する。
勿論、孔81Hの内周壁82に付着したバリ等の異物についても、ロッド部15をその軸方向PQに前進または後退させて整流部11が移動している間、孔81H内に供給されたエアARにより、取り除くことができる。
以下、本実施形態に係る異物除去方法、及び異物除去装置について、図1及び図8を用いて説明する。
実施形態1の異物除去方法及び異物除去装置1では、整流部移動手段30により流体整流部材10を孔81Hに、ゆっくりと等速度で移動させていた。
これに対し、実施形態2の異物除去方法及び異物除去装置101では、鋳巣83が存在する位置を圧力測定手段40で検出し、流体整流部材10が鋳巣83に差し掛かったとき、整流部制御手段50により、流体整流部材10を減速または停止させるものである。
すなわち、実施形態2は、圧力測定手段40及び整流部制御手段50の有無、流体整流部材10の移動に減速または停止が伴う点、流体が水流である点で、実施形態1と異なるが、それ以外の部分は、実施形態1と同様である。
従って、実施形態1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
本実施形態に係る異物除去装置101は、図8に示すように、流体整流部材10と、整流部移動手段30と、圧力測定手段40と、整流部制御手段50と、ガイド60と、流体供給手段170とを備えている。
本実施形態では、流体として水流FLが用いられ、水流FLを孔81Hに供給する流体供給手段170は、例えば、吐出圧0.5MPa〜2.0MPa程度であり、ノズル等を介することにより、孔81H内に吐出されるようになっている。なお、図示されていないが、ガイド60とワーク80との間は、パッキン等により、水流FLが漏れないよう液密になっている。
具体的には、整流部制御手段50は、鋳巣83に流体整流部材10の整流部11が差し掛かっていない状態にあるときの水流FLの圧力値を基準値として記憶すると共に、この基準となる圧力値において、孔81H内で、整流部移動手段30による流体整流部材10のロッド部15の移動速度を所定速度として設定する。また、圧力測定手段40により測定した水流FLの圧力値が、基準値を下回ったとき、整流部制御手段50は、水流FLの圧力変動に伴って、整流部移動手段30による流体整流部材10のロッド部15の移動速度を、減速または停止させる。
本実施形態に係る異物除去方法の第1工程を行う。第1工程では、図3に示すように、ワーク80の孔81Hの径に対応した大きさの整流部11を先端に有した棒状の流体整流部材10を、整流部移動手段30により前進方向Pに移動させ孔81Hに挿入する。同時に、図8(a)に示すように、孔81Hとロッド部15との空間にある流路に、流体供給手段170により吐出した水流FLを整流部11に向けて供給する。
流体整流部材10の整流部11の外周端部12が孔81Hの内周壁82を摺動し、整流部11でその先への孔81Hの流れを遮断されている状態では、流体供給手段170により孔81Hに供給された水流FLの圧力は、基準となる所定の圧力値となっている。
整流部制御手段50は、この基準となる所定の圧力値を維持しているときに、整流部移動手段30による流体整流部材10の孔81Hへの送りを、設定された所定速度で移動させる。
すなわち、水流FLは、孔81Hとロッド部15との流路から、整流部11の湾曲面11aに沿って水流FLの流れ方向が変わり、第1鋳巣83A内に入り込んだ後、再び奥側Pに向けて孔81Hを流れる。このとき、流体供給手段170により孔81Hに供給された水流FLは、整流部11でその先への孔81Hの流れを遮断されないため、水流FLが第1鋳巣83A(鋳巣83)内に回り込んで整流部11から先の孔81Hに流れている間、図9(b)に示すように、水流FLの圧力降下が生じる。
整流部移動手段30を制御し、流体整流部材10の孔81Hへの送り速度を減速し、また必要に応じて停止させることで、位置X1から位置X3までの間、整流部11の湾曲面11aの位置によって、第1鋳巣83Aを流れる水流FLの流れを変化させることができる。そのため、水流FLが、第1鋳巣83Aの内部の壁に沿って流れ、流し落とし難い部位に残留するバリ84も鋳巣83から排出し除去できるようになる。
次いで、ワーク80においてバリ84が鋳巣83(第1鋳巣83A,第2鋳巣83B)から除去されたら、整流部移動手段30により流体整流部材10を後退方向Qに移動させ孔81Hから抜き出して、鋳巣83からのバリ84の除去作業が完了する。
本実施形態に係る異物除去方法では、第2工程では、水流FLの圧力を検出しながら、流体整流部材10を孔81Hに所定速度で等速に挿入し、水流FLの圧力が低下したときに、流体整流部材10の移動を減速または停止させるので、作業者が孔81Hの外部から鋳巣83の位置を確認することに困難を伴う場合でも、作業者が、孔81Hの外部で、孔81Hと連通した鋳巣83の位置を、精度を高くして確認することができ、鋳巣83に残留するバリ84を、より確実にこの鋳巣83から排出し除去することができる。
一方、整流部11が、鋳巣83が存在する位置に差し掛かかると、整流部11を挟み、孔81Hの入口側流路と、整流部11より奥側Pにある孔81Hの奥側流路とが、孔81Hの内周壁82で孔81Hと連通した鋳巣83を介して連通する。これにより、水流FLの圧力は、孔81Hの入口側流路と奥側流路とが連通している間、一時的に低下する。
従って、この間、流体整流部材10の移動を減速または停止させると、孔81Hの入口側流路に供給された水流FLが、鋳巣83により確実に流れ込み、残留するバリ84を、より確実にこの鋳巣83から排出し除去することができる。
一方、整流部11が、鋳巣83が存在する位置に差し掛かかると、整流部11を挟み、孔81Hの入口側流路と、整流部11より奥側Pにある孔81Hの奥側流路とが、孔81Hの内周壁82で孔と連通した鋳巣83を介して連通する。これにより、水流FLの圧力は、孔81Hの入口側流路と奥側流路とが連通している間、一時的に低下するため、流体整流部材10を等速で挿入していても、鋳巣83の位置は、水流FLの圧力変化によって検知できる。
従って、鋳巣83を検知した位置で、流体整流部材10の移動を減速または停止させると、孔81Hの入口側流路に供給された水流FLが、鋳巣83により確実に流れ込み、残留するバリ84を、より確実にこの鋳巣83から排出し除去することができる。
以下、本実施形態に係る異物除去装置について、図9乃至図12を用いて説明する。
実施形態1の異物除去装置では、ロッド部15の外周から湾曲した湾曲面11aを有した整流部11に、棒状のロッド部15を連結した流体整流部材10を用いた。
これに対し、実施形態3の異物除去装置では、パイプ状に形成したロッド部115のロッド中空部115Hと連通し、孔81Hの内周壁82に向けて貫通する整流吐出部111Hを形成した整流部111を有する流体整流部材110を用いる。
すなわち、実施形態3は、流体整流部材の形状の点で、実施形態1と異なるが、流体にエアを用いる点等、それ以外の部分は、実施形態1と同様である。
従って、実施形態1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
また、鋳巣83では、図10乃至図12に示すように、孔81Hの内周壁82にある開口部は、3(mm)程度と比較的小さいものの、鋳巣83は、孔81Hの内周壁82より奥側では開口部よりドーム状に膨らんだ形状等で生じている。このような鋳巣83では、バリ84が、鋳巣83のドーム状の内壁に沿って散在し残留していることもある。
本実施形態に係る異物除去方法の第1工程を行う。第1工程では、ワーク80の孔81Hの径に対応した大きさの整流部111を先端に有した棒状の流体整流部材110を、整流部移動手段30により前進方向Pに移動させ孔81Hに挿入する。
整流部移動手段30による流体整流部材110の送り速度は、例えば、油路の深さ約100mmを200sec.かけて進む秒速5(mm/sec.)のように、非常にゆっくりとした等速度で移動させる。同時に、ロッド部115のロッド中空部115Hに、流体供給手段70により吐出したエアARを、整流部111に向けて供給する。エアARの供給圧は、例えば、0.5MPa〜1MPa程度である。
具体的には、整流部移動手段30により流体整流部材110を孔81Hの奥側Pに移動させ、整流部111の環状部材113の外周端部112が、図11に示すように、鋳巣83の開口部の奥側P寄りに位置したときには、整流部111の整流吐出部111Hと第1鋳巣83Cとが僅かな隙間を持って連通する。
このような状態にあるとき、流体供給手段70により、ロッド中空部115H、貫通孔116H及び整流吐出部111Hを通じて所定圧で供給されたエアARが、この僅かな隙間に流入する。このとき、僅かな隙間が狭く、この隙間でエアARが律速段階となり、エアARが減速されるが、この隙間を通過した直後のエアARは、一時的に高圧となり流速が加速して、図11中、第1鋳巣83C内に示す矢印方向に鋳巣83のドーム状の内壁に沿って勢い良く流れる。これにより、この内壁の入口側Qに付着し残留していたバリ84は、エアARの流れで鋳巣83から排出され除去され、孔81Hの内周壁82とロッド部115との空間に移動する。
このような場合には、整流部移動手段30により流体整流部材110を孔81Hの入口側Qに戻し、整流部111の環状部材113の外周端部112を、図11に示すように、鋳巣83の開口部の入口側Q寄りに配置して、整流部111の整流吐出部111Hと第1鋳巣83Cとを僅かな隙間を持って連通させる。
かくして、鋳巣83から除去され、孔81Hの内周壁82とロッド部115との空間に移動したバリ84や、整流部111より奥側Pの孔81Hに移動したバリ84は、流体供給手段70によるエアARの吐出のほか、周知の方法によって孔81Hの外部に排出する。
本実施形態に係る異物除去方法では、穿孔された孔81Hの内周壁82で、孔81Hと連通した鋳巣83に残留するバリ84を、鋳巣83から孔81Hに排出させて除去する異物除去方法において、孔81Hの径に対応した大きさの整流部111を先端に有した棒状の流体整流部材110を孔81Hに挿入すると共に、整流部111にエアARを供給する第1工程と、流体整流部材110を移動させながら鋳巣83が存在する位置で、整流部111によりエアARの流れを鋳巣83に向けて変え、エアARを鋳巣83に流入させる第2工程と、を有するので、第1工程において供給したエアARが孔81Hを流れるときに、エアARの流れにより、孔81Hの内周壁82に付着したバリ84を除去することができる。また、第2工程において、孔81Hを流れるエアARが、鋳巣83に流入することにより、鋳巣83に残留していたバリ84が、孔81Hの内周壁82とロッド部115との空間、または整流部111より奥側Pの孔81Hに鋳巣83から排出されて除去できる。
このとき、前述したように、ロッド中空部115Hを通じて供給されたエアARが、整流部111の円盤状部材114に当たり流れの向きを変えて、貫通孔116H及び整流吐出部111Hを流れて鋳巣83に流入する。
従って、本実施形態に係る異物除去方法によれば、孔81Hと連通する鋳巣83に残留するバリ84を、この鋳巣83から排出し除去することができる、という優れた効果を奏する。
本実施形態のように、空洞部が鋳巣83である場合、前述したように、孔81Hの内周壁82にある鋳巣83の開口部が、比較的小さいものの、孔81Hの内周壁82より奥側Pでは開口部より膨らんだ形状に存在していることもある。このような場合、開口部より奥でドーム状に膨らんだ形状の鋳巣83にバリ84が残留すると、ドーム状の鋳巣83で残留する位置によっては、鋳巣83に流体を単に流入させても除去し難いことも生じ得る。
その一方で、図11に示すように、エアARが、孔81Hの奥側Pにある整流部111の円盤状部材114の外周端部112に沿ってドーム状の鋳巣83に流入し、鋳巣83の内周形状に沿って孔81Hの奥側Pに向けて流れるときには、鋳巣83において孔81Hの入口側Qの位置に残留するバリ84が、鋳巣83への流入時に減速されたエアARの流れが高圧に噴射され、勢いのあるエアARの流れで鋳巣83から排出され易くなる。
鋳巣83から排出されたバリ84は、ロッド部115と孔81Hの内周壁82との間、または整流部111より奥側Pの孔81Hに排出される。
なお、孔81Hの径とロッド中空部115Hの径との関係では、ロッド部115の外周面と孔81Hの内周壁82との間の径方向RDの距離が、鋳巣83に残留するバリ84の形状において、最も寸法が長くなる部位の大きさより大きくなるよう、孔81Hの径に対応させてロッド中空部115Hの径を設定する必要がある。
以下、本実施形態に係る異物除去方法、及び異物除去装置について、図13を用いて説明する。
実施形態1の異物除去装置では、ロッド部15の外周から湾曲した湾曲面11aを有した整流部11に、棒状のロッド部15を連結した流体整流部材10を用いた。
これに対し、実施形態4では、中実の棒状であるロッド部215を整流部211の径方向RD中央部で連結させ、整流部211の外周端部212がロッド部215先端側に向けて窄んだ形状に形成された流体整流部材210を用いる。
すなわち、実施形態4は、流体整流部材の形状の点で、実施形態1と異なるだけで、それ以外の部分は、実施形態1と同様である。
従って、実施形態1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
流体整流部材210は、例えば、孔81Hの内径が9(mm)未満であり、残留するバリ84を除去する対象として、バリ84において最も寸法が長くなる部位が、例えば、2mm程度のものを除去の対象としている。
なお、孔81Hの径とロッド部215の径との関係では、ロッド部215の外周面と孔81Hの内周壁82との間の径方向RDの距離が、鋳巣83に残留するバリ84において、最も寸法が長くなる部位の大きさより大きくなるよう、孔81Hの径に対応させてロッド部215の径を設定する必要がある。
(1)例えば、実施形態1,3及び4では、流体をエアとし、実施形態2では、流体を水流とした。しかしながら、流体は、エアや水流のほか、例えば、所定の圧力で吐出するガス等の気体、液体の洗浄剤等であっても良い。
(2)また、実施形態1乃至4では、異物をバリ84とした。しかしながら、異物としては、例えば、孔を機械加工で穿孔したときに生じるバリのほか、孔を有する製品の製造段階でこの製品を加工したときの加工油、あるいはこの製品を洗浄したときに付着した洗浄剤の残渣やスラッジ等であり、製品として使用するときに、孔や空洞部に残留すると、製品の使用に支障を来たすものである。
(3)また、実施形態3では、実施形態1に係る異物除去装置1の流体整流部材10に代えて、流体整流部材110を用いた。しかしながら、流体整流部材110は、実施形態2に係る異物除去装置101の流体整流部材10に代えて用いても良い。
10,110 流体整流部材(流体整流手段)
11,111,211 整流部
111H 整流吐出部
12,112,212 外周端部
15,115,215 ロッド部
115H ロッド中空部
30 整流部移動手段
40 圧力測定手段
50 整流部制御手段
70,170 流体供給手段
AR エア(流体)
FL 水流(流体)
81H 孔
82 内周壁
83 鋳巣(空洞部)
84 バリ(異物)
PQ 軸方向
RD 径方向
Claims (6)
- 穿孔された孔の内周壁で、前記孔と連通した空洞部に残留する異物を、前記空洞部から前記孔に排出させて除去する異物除去方法において、
前記孔の径に対応した大きさの整流部を先端に有した棒状の流体整流部材を前記孔に挿入すると共に、前記整流部に向けて流体を供給する第1工程と、
前記流体整流部材を移動させながら前記空洞部が存在する位置で、前記整流部により前記流体の流れを前記空洞部に向けて変え、前記流体を前記空洞部に流入させる第2工程と、
を有することを特徴とする異物除去方法。 - 請求項1に記載する異物除去方法において、
前記第2工程では、前記流体の圧力を検出しながら、前記流体整流部材を前記孔に所定速度で等速に挿入し、前記流体の圧力が低下したときに、前記流体整流部材の移動を減速または停止させることを特徴とする異物除去方法。 - 穿孔された孔の内周壁で、前記孔と連通した空洞部に残留する異物を、前記空洞部から前記孔に排出させて除去する異物除去装置において、
流体を前記孔に供給する流体供給手段と、
先端に、前記孔の径に対応した大きさに形成された整流部、及びこの整流部と連結すると共に、前記整流部より径小に形成されたロッド部とを有する流体整流手段と、
前記ロッド部をその軸方向に前進または後退させることにより、前記孔に挿入した前記整流部を移動させて、前記整流部の位置を前記孔内で変化させる整流部移動手段と、
を備えていることを特徴とする異物除去装置。 - 請求項3に記載する異物除去装置において、
前記流体の圧力を測定する圧力測定手段と、
前記圧力測定手段により測定した前記流体の圧力に基づいて、前記整流部移動手段を制御する整流部制御手段と、
を備えていることを特徴とする異物除去装置。 - 請求項3または請求項4に記載する異物除去装置において、
前記整流部は、前記孔の前記内周壁に摺動可能な大きさに形成された外周端部を有し、
前記ロッド部は、中実の棒状であり、前記整流部の径方向中央部で前記整流部と連結していることを特徴とする異物除去装置。 - 請求項3または請求項4に記載する異物除去装置において、
前記ロッド部は、パイプ状に形成され、径内に前記流体の流路となるロッド中空部を有し、
前記整流部は、前記孔の前記内周壁に摺動可能な大きさに形成された外周端部を有すると共に、当該整流部の径方向に対し、前記孔の前記内周壁に向けて貫通する整流吐出部を少なくとも1つ有し、
前記ロッド中空部と前記整流吐出部とが連通していることを特徴とする異物除去装置。
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CN108856259A (zh) * | 2018-07-25 | 2018-11-23 | 高梓祺 | 基于plc控制的自动去皮装置及去皮方法 |
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