JP2012052904A - 慣性計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度の慣性計測装置を提供する。
【解決手段】慣性計測装置1は、被測定物に働く重力加速度を検出可能な加速度部51と、被測定物の回転運動を検出可能な複数の角速度センサを有する角速度部52、53と、複数の処理機能が組み込まれた演算処理部54とを備えている。角速度部52にはXYZ軸のそれぞれの角速度を検出可能な3つの角速度センサ、角速度部53には3つの角速度センサの検出軸とは異なる軸の角速度を検出可能な1つ以上の角速度センサが含まれている。演算処理部54では、これら4〜6つの角速度センサから、重力軸と最も平行な軸を検出軸とする角速度センサを除いて、重力軸と最も平行な軸の角速度が算出される。
【選択図】図2
【解決手段】慣性計測装置1は、被測定物に働く重力加速度を検出可能な加速度部51と、被測定物の回転運動を検出可能な複数の角速度センサを有する角速度部52、53と、複数の処理機能が組み込まれた演算処理部54とを備えている。角速度部52にはXYZ軸のそれぞれの角速度を検出可能な3つの角速度センサ、角速度部53には3つの角速度センサの検出軸とは異なる軸の角速度を検出可能な1つ以上の角速度センサが含まれている。演算処理部54では、これら4〜6つの角速度センサから、重力軸と最も平行な軸を検出軸とする角速度センサを除いて、重力軸と最も平行な軸の角速度が算出される。
【選択図】図2
Description
本発明は、被測定物の運動状態を検出する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)に適用して有効な技術に関する。
被測定物に働く加速度を検出可能な加速度部(例えば、加速度センサ)と、被測定物の回転運動(角速度)を検出可能な角速度部(例えば、角速度センサ)とを備えた慣性計測装置が、工業製品(例えば、ロボット、電子機器、自動車)、生体などの被測定物の姿勢や方位などを検出するために用いられている。特開2008−309594号公報(特許文献1)および特開2001−264351号公報(特許文献2)には、慣性計測装置に関する技術が開示されている。また、特許第4277048号(特許文献3)には、慣性計測装置をモーションキャプチャに適用する技術が開示されている。
例えばロボット、電子機器などの小型の工業製品に組み込まれる慣性計測装置には小型化であることはもちろん、高精度化も要求されている。そこで、本発明者は、このような慣性計測装置を角速度センサのオフセットドリフトを(冗長角度センサとデータ処理によって)低減することで実現しようと試みている。
角速度センサのオフセットドリフトとは、角速度センサの検出値が、静止状態でも角速度が出力され変化してしまう(ゼロではない)ことをいう。このオフセットドリフトが小さいものが、高精度の角速度センサとなる。なお、高精度の角速度センサとして、光路差から角速度を検出するリングレーザ、光ファイバを用いた光学式(光学式ジャイロ)があるが、光学式ジャイロは、その構造により大型化となってしまう。
小型化の角速度センサとしては、ある方向に一次振動させた振動体に回転力が加わると、一次振動と直交した方向にコリオリ力によって二次振動が発生し、この二次振動を計測することにより、角速度を計測する振動式(振動ジャイロ)がある。この振動体は、例えば、水晶振動子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたシリコン振動子から構成される。水晶振動子やシリコン振動子を用いた振動ジャイロは、ロボット、電子機器に用いられる部品としては十分な大きさ(小型化)で構成される。
しかしながら、振動ジャイロでは、振動体の構造、駆動方式により、オフセットドリフトが大きくなってしまう。例えば、振動体の構造としては、音叉型、音片型、リング型があり、また、振動体の駆動方式としては圧電効果、静電引力、電磁力が用いられている。
振動ジャイロのオフセットドリフトの要因としては次のようなものがある。音叉型、音片型では、駆動の構造上、固定支点が必要であり、外部からの振動や衝撃が加わることによる誤出力がある。また、駆動に用いる圧電効果、電磁力は温度による変化があり、また、振動体が帯電してしまうと静電引力による駆動でも変動があり、これらによって誤出力されることもある。また、振動を圧電効果で検出する場合、二次振動を検出する素子の二次振動方向に直交する運動や重力加速度により、剪断力が発生し、二次振動以外の力も検出してしまうこともある。このようにして、振動ジャイロではオフセットドリフトが生じてしまう。
そこで、本発明者は、角速度センサ自体のオフセットドリフトを低減して、角速度センサを高精度化するのではなく、慣性計測装置全体として角速度センサのオフセットドリフトを低減することにより慣性計測装置の高精度化を図ることを検討している。図1は本発明者が検討した慣性計測装置101を説明するための図である。
慣性計測装置101は、XYZ軸が互いに直交する三次元直交座標(右手系直交座標)における被測定物(図示せず)の運動状態を検出するものである。慣性計測装置101は、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの加速度を検出可能な加速度センサA1、A2、A3と、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの角速度を検出可能な角速度センサG1、G2、G3とを備えている。
このような構成の慣性計測装置101は、角速度センサG1、G2、G3のそれぞれが有するオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3を除去するためのアルゴリズム(いわゆるカルマンフィルタ)が組み込まれた演算処理部(図示しない)を備えている。カルマンフィルタは、加速度センサA1、A2、A3の検出値から算出された重力加速度を参照して、オフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3を算出(推定)するものである。これにより、角速度センサG1、G2、G3のそれぞれの検出値ω1、ω2、ω3からオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3を除去することで、被測定物のXYZ軸のそれぞれにおける角速度ωx、ωy、ωzを算出することができる。
しかしながら、例えばZ軸が重力加速度の方向(重力軸)と平行となった場合、カルマンフィルタでは、角速度センサG3にオフセットドリフトΔω3が存在しても、角速度センサG3の検出値ω3が、実際に回転運動して生じた値なのか、オフセットドリフトΔω3による値なのか、分離することができない。このため、慣性計測装置101では、高精度に被測定物の運動状態を検出することが困難となってしまう。
なお、特許文献1の明細書段落[0032]には、角速度センサおよび加速度センサなどの検出値を参照して慣性計測装置の検出値(姿勢角)を算出する技術が開示されている。この技術は、各センサの検出値の参照割合を慣性計測装置の種々の状態に合わせて変化させることによって、外的要因が変化する場合においても、ノイズ、誤差の影響を低減した検出値を得るためのものである(特許文献1の明細書段落[0003]参照)。すなわち、特許文献1で開示された技術は、外的要因を含めた検出値の補正方法である。したがって、特許文献1の技術は、角速度センサのオフセットドリフトを慣性計測装置全体で低減するものではなく、前述の課題を解決する手段とはならない。
また、特許文献2の請求項9には、XYZ方向にそれぞれ角速度センサおよび加速度センサを設け、それら方向と交差する方向に他の角速度センサおよび加速度センサを設ける技術が開示されている。この技術は、XYZ方向にそれぞれ設けた角速度センサおよび加速度センサのいずれかが不良となったときに、他の角速度センサおよび加速度センサを代用し、稼働率を低下させないことにより信頼性の高い慣性計測装置を得るものである(特許文献2の明細書段落[0023]参照)。すなわち、特許文献2で開示された技術は、単に不良が生じたときの代用品を設けるものである。したがって、特許文献2の技術は、角速度センサのオフセットドリフトを慣性計測装置全体で低減するものではなく、前述の課題を解決する手段とはならない。
本発明の目的は、高精度の慣性計測装置を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における慣性計測装置は、第1、第2および第3軸が互いに直交する三次元直交座標系における被測定物の運動状態を検出するものであって、前記被測定物に働く重力加速度を検出可能な加速度センサと、前記被測定物の回転運動を検出可能な4軸以上の角速度センサと、複数の処理機能が組み込まれた演算処理部とを備えている。前記複数の角速度センサには、前記第1、第2および第3軸のそれぞれの角速度を検出可能な第1、第2および第3角速度センサと、前記第1、第2および第3角速度センサの検出軸とは異なる軸の角速度を検出可能な第4角速度センサとが含まれている。また、前記演算処理部には、前記複数の角速度センサの検出軸から、前記重力加速度の方向と最も平行な軸を決定する第1処理機能と、前記複数の角速度センサの検出軸から、前記第1処理機能で決定された軸を除いた3つの軸を選択する第2処理機能と、前記重力加速度を参照して、前記3つの軸に対応する角速度センサの検出値から、前記第1処理機能で決定された軸の角速度を算出する第3処理機能とが含まれている。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記一実施形態によれば、高精度の慣性計測装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施形態1)
図2は本発明の実施形態における慣性計測装置1の構成を示すブロック図である。図3は慣性計測装置1が備える加速度センサA1、A2、A3および角速度センサG1、G2、G3、G4の検出軸を説明するための図である。図3中のZ1軸はZ軸からθz1(=0でもよい)の角度を為すものであり、Z2軸はZ軸からθz2の角度を為すもので、本実施形態では、0≦θz1<θz2としている。すなわち、Z2軸は、X軸、Y軸、Z軸(Z1軸)とは異なる軸としている。
図2は本発明の実施形態における慣性計測装置1の構成を示すブロック図である。図3は慣性計測装置1が備える加速度センサA1、A2、A3および角速度センサG1、G2、G3、G4の検出軸を説明するための図である。図3中のZ1軸はZ軸からθz1(=0でもよい)の角度を為すものであり、Z2軸はZ軸からθz2の角度を為すもので、本実施形態では、0≦θz1<θz2としている。すなわち、Z2軸は、X軸、Y軸、Z軸(Z1軸)とは異なる軸としている。
この慣性計測装置1は、XYZ軸が互いに直交する三次元直交座標系における被測定物の運動状態を検出するものである。例えば、被測定物をロボットの可動部とした場合、慣性計測装置1は、その可動部に組み付けられる(組み込まれる)ものである。本実施形態では、ロボットの可動部に用いられるように、小型化に対応した慣性計測装置1として説明する。
慣性計測装置1は、被測定物に働く加速度を検出可能な加速度部51と、被測定物の回転運動を検出可能な角速度部52と、加速度部52を補助して被測定物の回転運動を検出可能な角速度部53(補助部53ともいう)と、複数の処理機能が組み込まれた演算処理部54とを備えている。加速度部51には、複数の加速度センサが含まれており、角速度部52、53には、複数の角速度センサが含まれている。図2に示すように、慣性計測装置1では、演算処理部54に、加速度部51、角速度部52、53からの信号が入力される。
本実施形態では、加速度部51は、加速度センサA1、A2、A3が含まれて構成されており、それぞれから検出値a1、a2、a3を得ることができる。X軸の加速度を検出可能な加速度センサA1は、検出軸をX軸としている。また、Y軸の加速度を検出可能な加速度センサA2は、検出軸をY軸としている。また、Z軸の加速度を検出可能な加速度センサA3は、検出軸をZ軸としている。なお、実際の加速度センサA1〜A3には、ノイズが存在するが、本願においては、説明を明解にするために、加速度センサA1〜A3にはノイズが存在していないものとして説明する。
本実施形態では、角速度部52は、角速度センサG1、G2、G3が含まれて構成されており、それぞれから検出値ω1、ω2、ω3を得ることができる。また、角速度部53は、角速度センサG4が含まれて構成されており、その検出値ω4を得ることができる。また、X軸の角速度を検出可能な角速度センサG1は、検出軸をX軸としている。Y軸の角速度を検出可能な角速度センサG2は、検出軸をY軸としている。また、Z軸の角速度を検出可能な角速度センサG3は、検出軸をZ1軸(=Z軸)としている。また、Z軸の角速度を検出可能な角速度センサG4は、検出軸をZ2軸としている。
本実施形態では、角速度センサG1〜G4として、振動式の角速度センサを用いている。このため、前述したように、角速度センサG1〜G4のそれぞれにはオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3、Δω4が存在していることとなる。
この慣性計測装置1では、加速度センサA1の検出軸と角速度センサG1の検出軸は同じ軸とし、加速度センサA2の検出軸と角速度センサG2の検出軸は同じ軸とし、加速度センサA3の検出軸と角速度センサG3の検出軸とし、角速度センサG4の検出軸は、これらの検出軸とは異なる軸としている。
本実施形態における慣性計測装置1を、Z軸に重力加速度(重力ベクトル)が働く被測定物に適用し、この被測定物がZ軸周りにのみ回転運動している場合について、以下に説明する。まず、角速度センサG1、G2、G3、G4のオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3、Δω4が存在していない場合について説明する。角速度センサG1、G2、G3、G4の検出値ω1、ω2、ω3、ω4は、次のようになる。但し、ωx、ωyおよびωzはそれぞれX軸、Y軸およびZ軸(重力軸)周りの被測定物の角速度である。
ω1=ωx=0 …… (1)
ω2=ωy=0 …… (2)
ω3=ωzcosθz1 …… (3)
ω4=ωzcosθz2 …… (4)
ω2=ωy=0 …… (2)
ω3=ωzcosθz1 …… (3)
ω4=ωzcosθz2 …… (4)
ここで、θz1、θz2は既知であるから、被測定物のZ軸周りの角速度ωzについて次式が得られる。
ωz=ω3/cosθz1=ω4/cosθz2 …… (5)
このように、角速度センサにオフセットドリフトが存在しない場合には、容易に重力軸(Z軸)の角速度を算出することができる。
ωz=ω3/cosθz1=ω4/cosθz2 …… (5)
このように、角速度センサにオフセットドリフトが存在しない場合には、容易に重力軸(Z軸)の角速度を算出することができる。
次に、角速度センサG1、G2、G3、G4にオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3、Δω4が存在する場合について説明する。Z軸周りにのみ回転運動(ωx=0、ωy=0)している被測定物について考えているので、ωzの算出について説明する。
式(5)に、角速度センサG3、G4のオフセットドリフトΔω3、Δω4を考慮すると、被測定物のZ軸周りの角速度ωzについて次式が得られる。
ωz=(ω3−Δω3)/cosθz1=(ω4−Δω4)/cosθz2 …… (6)
ωz=(ω3−Δω3)/cosθz1=(ω4−Δω4)/cosθz2 …… (6)
式(6)からは、オフセットドリフトΔω3、Δω4を算出(推定)して、角速度センサG3、G4の検出値ω3、ω4から除去すれば、Z軸周りの角速度ωzを正確に算出することができることがわかる。以下では、オフセットドリフトの算出技術について説明する。
図4は慣性計測装置1の演算処理部54(図2参照)の複数の処理機能を説明するための図である。演算処理部54には、加速度センサA1、A2、A3の検出値a1、a2、a3および角速度センサG1、G2、G3、G4の検出値ω1、ω2、ω3、ω4が入力される。
演算処理部54の処理機能F11では、検出値a1、a2、a3から重力加速度Gが算出される。本実施形態では、Z軸を重力軸として重力加速度が働く被測定物に対して、慣性計測装置1を適用しているので、重力加速度G(重力ベクトルG)は大きさが9.8m/s2で、方向がZ軸方向として算出される。
演算処理部54の処理機能F12では、重力加速度Gを参照して、加速度センサA1、A2、A3のそれぞれの検出軸の傾きθ1、θ2、θ3が算出される。本実施形態では、検出軸の傾きθ1、θ2、θ3はそれぞれX軸、Y軸、Z軸に対しての角度としている。この加速度センサA1、A2、A3の検出軸はそれぞれ角速度センサG1、G2、G3の検出軸と一致するので、角度θ1、θ2、θ3はそれぞれ角速度センサG1、G2、G3の検出軸の角度と算出される。
また、演算処理部54の処理機能F12では、算出した角度θ1、θ2、θ3、θ4を参照して、角速度センサG1、G2、G3、G4のそれぞれの検出軸から、重力加速度の方向(重力軸)と最も平行に近い軸i(重力軸と平行または最も小さい角度で交差する軸i)が決定される。本実施形態では、重力軸をZ軸としており、このZ軸に対して最も小さい角度がZ1軸の角度θz1であった場合、角速度センサG3の検出軸が軸iとなる。
演算処理部54の処理機能F13では、処理機能F2で決定された軸iを除いた3つの軸を選択する。本実施形態では、角速度センサG1、G2、G3、G4のそれぞれの検出軸のうち、角速度センサG3の検出軸を除いた、角速度センサG1、G2、G4の3つの検出軸が選択される。
演算処理部54の処理機能F14では、重力加速度Gを参照して、X軸、Y軸、Z軸に対応する角速度ωj、ωk、ωlが算出(出力)される。この処理機能F14には、重力加速度Gを参照して、処理機能F13で選択された3つの軸のそれぞれに対応する角速度センサの検出値から、処理機能F12で決定された各軸に対応する角速度センサのオフセットドリフトを算出する下位の処理機能(カルマンフィルタなど)が含まれている。処理機能F14で算出された角速度ωj、ωk、ωlは、処理機能F15において、座標変換され、XYZ軸のそれぞれの角速度ωx、ωy、ωzが算出される。
図5は、角速度センサG3の検出軸が処理機能F12で決定された軸iとして、軸i(G3軸)を除く3軸の角速度ωj、ωk、ωlから最終的に軸x、y、zに対応する角速度ωx、ωy、ωzを算出する処理機能の構成を説明するための図である。この図5では、図4中の処理機能F14から先の処理機能が示されていることとなる。
カルマンフィルタKFでは、重力加速度Gを参照して、角速度センサG1、G2、G4の検出値ω1、ω2、ω4から、角速度センサG1、G2、G4のオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω4を算出(推定)する。このカルマンフィルタKFでは、ω1、ω2、ω4がいずれも重力軸に対して水平成分を有しているので、オフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω4を算出(推定)することができる。なお、このカルマンフィルタKFの処理は、被測定物の状態を、現在、過去において推定するために、繰り返して行われる。
また、カルマンフィルタKFでは、推定されたω1−Δω1、ω2−Δω2、ω4−Δω4から処理機能F12で決定された軸iに対応する真の角速度の値ω3’を算出(推定)することができる。逆に、求められたω3’を角速度センサG3の検出値ω3から減算してオフセットドリフトΔω3を推定することもできる。
このように4軸の角速度センサ(4つの角速度センサG1、G2、G3、G4)の場合は、少なくとも3軸の角速度センサ(3つの角速度センサG1、G2、G3)が、重力軸と平行でないために、3軸のいずれかの軸が回転しても他の軸の傾斜角に変化を与えることができる。これにより、オフセットドリフトと実回転の分離が可能となり、例えば、角速度センサの検出軸が重力軸と平行した場合であっても、その角速度センサのオフセットドリフトを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、高精度の慣性計測装置1を提供することができる。
また、本実施形態によれば、光学式より小型化、低価格の振動式の角速度センサを用いた場合であっても、適切にオフセットドリフトを除去できるため、慣性計測装置1の計測精度を向上することがきる。また、慣性計測装置1を用いれば、高精度角速度、高精度姿勢(傾斜角、方位角)センサ、またセンサによるモーションキャプチャを実現することができる。また、本実施形態では、角速度センサの検出軸数を4軸として説明したが、検出軸数を6軸まで増加できれば、軸の方向を工夫することにより計算処理を容易にすることができる。
なお、本実施形態では、0<θz1<θz2として説明したが、Z軸とZ1軸を一致(θz1=0)させても前述の技術を適用することができ、高精度の慣性計測装置1を得ることができる。
(実施形態2)
前記実施形態1では、複数の角速度センサの検出軸を4軸とした場合について説明したが、本実施形態では、複数の角速度センサの検出軸を6軸(X1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸)として説明する。検出軸を多くすることで、より精度の高いオフセットドリフトの推定が可能となる。なお、前記実施形態1と重複する説明は省略する場合がある。
前記実施形態1では、複数の角速度センサの検出軸を4軸とした場合について説明したが、本実施形態では、複数の角速度センサの検出軸を6軸(X1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸)として説明する。検出軸を多くすることで、より精度の高いオフセットドリフトの推定が可能となる。なお、前記実施形態1と重複する説明は省略する場合がある。
図6は慣性計測装置1が備える加速度センサA1、A2、A3および角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6の検出軸を説明するための図であり、X1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸が示されている。なお、図6中のX1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸周りの被測定物の角速度をそれぞれωx1、ωy1、ωz1、ωx2、ωy2、ωz2とする。
本実施形態では、X2軸が、X1軸に対してπ/2[rad]、Y1軸およびZ1軸に対してπ/4[rad]の角度を為しており、Y2軸が、Y1軸に対してπ/2[rad]、Z1軸およびX1軸に対してπ/4[rad]の角度を為しており、Z2軸が、Z1軸に対してπ/2[rad]、X1軸およびY1軸に対してπ/4[rad]の角度を為している。
ここで、X1軸の角速度を検出可能な角速度センサG1は、検出軸をX1軸としている。また、Y1軸の角速度を検出可能な角速度センサG2は、検出軸をY1軸としている。また、Z1軸の角速度を検出可能な角速度センサG3は、検出軸をZ1軸としている。また、X2軸の角速度を検出可能な角速度センサG4は、検出軸をX2軸としている。また、Y2軸の角速度を検出可能な角速度センサG5は、検出軸をY2軸としている。また、Z2軸の角速度を検出可能な角速度センサG6は、検出軸をZ2軸としている。
本実施形態では、X1軸、Y1軸、Z1軸が互いに直交してなる三次元直交座標系(右手系直交座標系)が基準座標系として構成され、また、X2軸、Y2軸、Z2軸からなる補助座標系が構成されている。言い換えると、角速度センサG1、G2、G3の検出軸で基準座標系が構成されており、角速度センサG4、G5、G6の検出軸で補助座標系が構成されている。
また、加速度部51は、加速度センサA1、A2、A3が含まれて構成されており、それぞれから検出値a1、a2、a3を得ることができる。X1軸の加速度を検出可能な加速度センサA1は、検出軸をX1軸としている。また、Y1軸の加速度を検出可能な加速度センサA2は、検出軸をY1軸としている。また、Z1軸の加速度を検出可能な加速度センサA3は、検出軸をZ1軸としている。
本実施形態では、角速度部52は、角速度センサG1、G2、G3が含まれて構成されており、それぞれから検出値ω1、ω2、ω3を得ることができる。角速度部53は、角速度センサG4、G5、G6が含まれて構成されており、それぞれから検出値ω4、ω5、ω6を得ることができる。また、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6として、振動式の角速度センサを用いている。このため、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6のそれぞれにはオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3、Δω4、Δω5、Δω6が存在していることとなる。
ここで、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6にオフセットドリフトが存在していない場合について説明する。このとき、各軸の角速度間には以下の関係が成り立っている。
ω4=(ω2+ω3)cos(π/4) …… (7)
ω5=(ω3+ω1)cos(π/4) …… (8)
ω6=(ω1+ω2)cos(π/4) …… (9)
ω5=(ω3+ω1)cos(π/4) …… (8)
ω6=(ω1+ω2)cos(π/4) …… (9)
これら式(7)〜(9)により、次式が得られる。
(ω4+ω5+ω6)=2(ω1+ω2+ω3)cos(π/4) …… (10)
(ω4+ω5+ω6)=2(ω1+ω2+ω3)cos(π/4) …… (10)
式(10)の関係から、検出値(ω1、ω2、ω3)と、検出値(ω4、ω5、ω6)とは、相互に変換可能であることがわかる。すなわち、次式が得られる。
ω1=(−ω4+ω5+ω6)/(2cos(π/4)) …… (11)
ω2=(ω4−ω5+ω6)/(2cos(π/4)) …… (12)
ω3=(ω4+ω5−ω6)/(2cos(π/4)) …… (13)
ω2=(ω4−ω5+ω6)/(2cos(π/4)) …… (12)
ω3=(ω4+ω5−ω6)/(2cos(π/4)) …… (13)
ここで、角速度センサG1〜G6のオフセットドリフトは存在しないとした場合、ωx1=ω1、ωy1=ω2、ωz1=ω3、ωx2=ω4、ωy2=ω5、ωz2=ω6である。これにより、検出値ω1、ω2、ω3の検出軸であるX1軸、Y1軸、Z1軸で構成された基準座標系と、検出値ω4、ω5、ω6の検出軸であるX2軸、Y2軸、Z2軸で構成された補助座標系とは、相互に座標変換が可能であることがわかる。
次に、角速度センサG1〜G6にオフセットドリフトΔω1〜Δω6が存在する場合について説明する。図7は本実施形態における演算処理部54(図2参照)の複数の処理機能を説明するための図である。以下では、Z1軸を重力軸として重力加速度が働く被測定物に適用し、この被測定物がZ1軸周りにのみ回転運動している場合について説明する。本実施形態では、演算処理部54には、加速度センサA1〜A3の検出値a1〜a3および角速度センサG1〜G6の検出値ω1〜ω6が入力される。
演算処理部54の処理機能F21では、検出値a1〜a3から重力加速度Gが算出される。本実施形態では、Z軸を重力軸として重力加速度が働く被測定物に対して、慣性計測装置1を適用しているので、重力加速度G(重力ベクトルG)は大きさが9.8m/s2で、方向がZ軸方向として算出される。
演算処理部54の処理機能F22では、重力加速度Gを参照して、X1軸、Y1軸、Z1軸に対しての角度として、加速度センサA1〜A3のそれぞれの検出軸の傾きθ1、θ2、θ3が算出される。この加速度センサA1〜A3の検出軸はそれぞれ角速度センサG1〜G3の検出軸と一致するので、角度θ1〜θ3はそれぞれ角速度センサG1〜G3の検出軸の角度と算出される。また、角速度センサG1〜G3の検出軸と角速度センサG4〜G6の検出軸が為す角度が既知であるので、X2軸、Y2軸、Z2軸に対しての角度として、角速度センサG4〜G6のそれぞれの検出軸の傾きθ4、θ5、θ6が算出される。
また、演算処理部54の処理機能F22では、算出した角度θ1〜θ6を参照して、角速度センサG1〜G6のそれぞれの検出軸から、重力加速度の方向(重力軸)と最も平行に近い軸i(重力軸と平行または最も小さい角度で交差する軸i)が決定される。ここでは、重力軸をZ1軸としているため、角速度センサG3の検出軸(Z1軸)が軸iとなる。
演算処理部54の処理機能F23では、(X1、Y1、Z1)の基準座標系および(X2、Y2、Z2)の補助座標系のうち、処理機能F22で決定された軸iが含まれる座標系とは異なる座標系から、3つの軸が選択される。本実施形態では、処理機能F22では、軸iとしてZ1軸が決定されているので、補助座標系のX2軸、Y2軸、Z2軸が選択される。
演算処理部54の処理機能F25では、処理機能F24で座標変換された重力加速度Gを参照して、補助座標系のX2軸、Y2軸、Z2軸に対応する角速度ωj、ωk、ωlが算出(出力)される。この処理機能F25には、重力加速度Gを参照して、処理機能F23で選択された3つの軸のそれぞれに対応する角速度センサG4〜G6の検出値ω4〜ω6から、オフセットドリフトΔω4〜Δω6を算出(推定)し、ωj=ω4−Δω4、ωk=ω5−Δω5、ωl=ω6−Δω6を算出する下位の処理機能(カルマンフィルタなど)が含まれている。
次いで、演算処理部54の処理機能F26では、補助座標系から基準座標系に座標変換して、基準座標系のX1軸、Y1軸、Z1軸のそれぞれの角速度ωx1、ωy1、ωz1が算出される。
なお、本実施形態では、Z1軸を重力軸として重力加速度が働く被測定物に適用し、この被測定物がZ1軸周りにのみ回転運動している場合について説明しているが、Z2軸を重力軸として重力加速度が働く被測定物に適用することもできる。この場合、処理機能F22では、軸iとしてZ2軸が決定され、処理機能F23では、基準座標系の3つの軸(X1軸、Y1軸、Z1軸)が選択され、処理機能F27では、重力加速度Gを参照して、基本座標系のX1軸、Y1軸、Z1軸に対応する角速度ωj、ωk、ωlが算出(出力)される。
処理機能F27には、重力加速度Gを参照して、処理機能F23で選択された3つの軸のそれぞれに対応する角速度センサG1〜G3の検出値ω1〜ω3から、オフセットドリフトΔω1〜Δω3を算出(推定)し、ωj=ω1−Δω1、ωk=ω2−Δω2、ωl=ω3−Δω3を算出する下位の処理機能(カルマンフィルタなど)が含まれている。そして、この角速度ωj、ωk、ωlは、そのまま基本座標系であるX1軸、Y1軸、Z1軸の角速度ωx1、ωy1、ωz1として算出(出力)されることとなる。
このように6軸の角速度センサ(6つの角速度センサG1〜G6)を用いて、基本座標系と補助座標系を構成することで、いずれかの座標系の3つの角速度センサの検出軸が重力軸に対して水平成分を持たせることができる。これにより、オフセットドリフトと実回転の分離が可能となり、例えば、角速度センサの検出軸が重力軸と平行した場合であっても、その角速度センサのオフセットドリフトを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、高精度の慣性計測装置1を提供することができる。また、前記実施形態1と比較して、座標変換の処理を行うことで、容易に被測定物の運動状態を検出することができる。
(実施形態3)
本実施形態では、前記実施形態2で示した補助座標系とは異なる補助座標系について説明する。なお、前記実施形態1、2と重複する説明は省略する場合がある。
本実施形態では、前記実施形態2で示した補助座標系とは異なる補助座標系について説明する。なお、前記実施形態1、2と重複する説明は省略する場合がある。
図8は慣性計測装置1が備える加速度センサA1、A2、A3および角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6の検出軸を説明するための図であり、X1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸が示されている。なお、図8中のX1軸、Y1軸、Z1軸、X2軸、Y2軸、Z2軸周りの被測定物の角速度をそれぞれωx1、ωy1、ωz1、ωx2、ωy2、ωz2とする。
本実施形態では、X1軸、Y1軸、Z1軸で構成される基準座標系[X1,Y1,Z1]およびX2軸、Y2軸、Z2軸で構成される補助座標系[X2,Y2,Z2]は、右手系直交座標系とし、X2は[kX1,kY1,kZ1]方向の単位ベクトル、Y2は[−kX1,kY1,kZ1]方向の単位ベクトル、Z2は[kX1,−kY1,kZ1]方向の単位ベクトルとする。ただし、k=1/√3である。この時、[X2,Y2,Z2]の各軸は、[nX1,nY1,nZ1](n:整数)の各格子点の立方体中心の方向にある。また、[X2,Y2,Z2]の各軸は、[X1,Y1,Z1]の各軸とcos−1(1/√3)の角度(約54.7°)を為している。
ここで、X1軸の角速度を検出可能な角速度センサG1は、検出軸をX1軸としている。また、Y1軸の角速度を検出可能な角速度センサG2は、検出軸をY1軸としている。また、Z1軸の角速度を検出可能な角速度センサG3は、検出軸をZ1軸としている。また、X2軸の角速度を検出可能な角速度センサG4は、検出軸をX2軸としている。また、Y2軸の角速度を検出可能な角速度センサG5は、検出軸をY2軸としている。また、Z2軸の角速度を検出可能な角速度センサG6は、検出軸をZ2軸としている。
本実施形態では、X1軸、Y1軸、Z1軸が互いに直交してなる三次元直交座標系(右手系直交座標系)が基準座標系として構成され、また、X2軸、Y2軸、Z2軸が互いに直交してなる三次元直交座標系(右手系直交座標系)が補助座標系として構成されている。言い換えると、角速度センサG1、G2、G3の検出軸で基準座標系が構成されており、角速度センサG4、G5、G6の検出軸で補助座標系が構成されている。
また、加速度部51は、加速度センサA1、A2、A3が含まれて構成されており、それぞれから検出値a1、a2、a3を得ることができる。X1軸の加速度を検出可能な加速度センサA1は、検出軸をX1軸としている。また、Y1軸の加速度を検出可能な加速度センサA2は、検出軸をY1軸としている。また、Z1軸の加速度を検出可能な加速度センサA3は、検出軸をZ1軸としている。
本実施形態では、角速度部52は、角速度センサG1、G2、G3が含まれて構成されており、それぞれから検出値ω1、ω2、ω3を得ることができる。角速度部53は、角速度センサG4、G5、G6が含まれて構成されており、それぞれから検出値ω4、ω5、ω6を得ることができる。また、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6として、振動式の角速度センサを用いている。このため、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6のそれぞれにはオフセットドリフトΔω1、Δω2、Δω3、Δω4、Δω5、Δω6が存在していることとなる。
ここで、角速度センサG1、G2、G3、G4、G5、G6にオフセットドリフトが存在していない場合について説明する。このとき、(X1、Y1、Z1)の基準座標系と、(X2、Y2、Z2)の補助座標系との間には、次の関係式(変換式)が成り立つ。
ω4=k(ω1+ω2+ω3) …… (14)
ω5=k(ω1−ω2+ω3) …… (15)
ω6=k(ω1+ω2−ω3) …… (16)
ω5=k(ω1−ω2+ω3) …… (15)
ω6=k(ω1+ω2−ω3) …… (16)
式(14)〜(16)から、検出値(ω1、ω2、ω3)と、検出値(ω4、ω5、ω6)とは、相互に変換可能であることがわかる。ここで、角速度センサG1〜G6のオフセットドリフトは存在しないとした場合、ωx1=ω1、ωy1=ω2、ωz1=ω3、ωx2=ω4、ωy2=ω5、ωz2=ω6である。これにより、検出値ω1、ω2、ω3の検出軸であるX1軸、Y1軸、Z1軸で構成された基準座標系と、検出値ω4、ω5、ω6の検出軸であるX2軸、Y2軸、Z2軸で構成された補助座標系とは、相互に座標変換が可能であることがわかる。
このように、本実施形態においても、基準座標系と、補助座標系とは、相互に座標変換が可能であるため、前記実施形態2において図7を参照して説明したように、オフセットドリフトと実回転の分離が可能となる。すなわち、角速度センサの検出軸が重力軸と平行した場合であっても、その角速度センサのオフセットドリフトを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、高精度の慣性計測装置1を提供することができる。また、前記実施形態1と比較して、座標変換の処理を行うことで、容易に被測定物の運動状態を検出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、慣性計測装置が備える角度センサとして、振動式の角速度センサを適用した場合について説明したが、オフセットドリフトが存在する角度センサであれば適用することができる。
(慣性計測装置の用途について)
前記実施形態1〜3で説明した重力軸(鉛直軸)周りの角度(ヨー角)のドリフトが除去された慣性計測装置1を、人体動作計測や自動車などの乗り物の計測に用いることができる。以下、慣性計測装置1の用途について説明する。
前記実施形態1〜3で説明した重力軸(鉛直軸)周りの角度(ヨー角)のドリフトが除去された慣性計測装置1を、人体動作計測や自動車などの乗り物の計測に用いることができる。以下、慣性計測装置1の用途について説明する。
(人体動作計測)
従来では計測が難しい人体の動き(例えば、体のひねり、歩行計測時の脚の回旋、関節の滑りなど)の角度を、ヨー角のドリフトが除去できる慣性計測装置1を用いることによって、計測することができる。
従来では計測が難しい人体の動き(例えば、体のひねり、歩行計測時の脚の回旋、関節の滑りなど)の角度を、ヨー角のドリフトが除去できる慣性計測装置1を用いることによって、計測することができる。
体のひねりの計測に慣性計測装置1を用いる。ヨー角のドリフト除去により、従来では計測が難しい、立位での腰・肩・頭部(首)のひねりが計測できる。例えば、立っている状態で体をひねった時の、腰・肩・頭部のひねり角度量の違いを計測できる。また、首を振る運動の角度を計測できる。神経損傷や脳損傷などの、運動機能障害の計測に有用である。なお、これらの計測は、従来では、医師・理学療法士の目視による観測に頼っているものである。
歩行計測時の脚の回旋の計測に慣性計測装置1を用いる。歩行の計測は、現在、高価な画像解析システムを用いて行っているが、画像の解像度に精度が左右され、細かい動きの検出が難しい。ヨー角のドリフト除去により、歩行時の脚の動きの軌跡が計測でき、また、脚の回旋も計測できるため、歩行障害のある人が、どのように脚を回し、障害を補っているかを計測できる。
関節の滑りの計測に慣性計測装置1を用いる。膝関節の上下などで、計測することにより、回転と直線移動双方の関節の滑りを計測することができるようになる。関節の滑りは、従来は計測が困難なものである。関節が滑って動いていることは、確認されているが、定量的に計測することは難しい。リハビリ用途だけでなく、スポーツ用途でも関節の滑りが計測できると、けがの予防効果などが期待できる。
(自動車など乗り物の計測)
従来では計測が難しい自動車などの乗り物の挙動を、ヨー角のドリフトが除去できる慣性計測装置1を用いることによって行うことができる。自動車やロボットなどの動きの軌跡は、センサのドリフトにより、加速度・角速度センサのみでは、きれいに描けず、従来では、磁気センサにより方位角の補正や、GPSにより位置の補正などを行い、加速度・角速度センサ以外のセンサなどを用いて精度を上げている。ヨー角のドリフト除去により、加速度・角速度センサのみで姿勢と位置を計測できるようになる。
従来では計測が難しい自動車などの乗り物の挙動を、ヨー角のドリフトが除去できる慣性計測装置1を用いることによって行うことができる。自動車やロボットなどの動きの軌跡は、センサのドリフトにより、加速度・角速度センサのみでは、きれいに描けず、従来では、磁気センサにより方位角の補正や、GPSにより位置の補正などを行い、加速度・角速度センサ以外のセンサなどを用いて精度を上げている。ヨー角のドリフト除去により、加速度・角速度センサのみで姿勢と位置を計測できるようになる。
1、101 慣性計測装置
51 加速度部
52 角速度部
53 補助部(角速度部)
54 演算処理部
A1、A2、A3 加速度センサ
G1、G2、G3、G4、G5、G6 角速度センサ
51 加速度部
52 角速度部
53 補助部(角速度部)
54 演算処理部
A1、A2、A3 加速度センサ
G1、G2、G3、G4、G5、G6 角速度センサ
Claims (4)
- 第1、第2および第3軸が互いに直交する三次元直交座標系における被測定物の運動状態を検出する慣性計測装置であって、
前記被測定物に働く重力加速度を検出可能な加速度センサと、
前記被測定物の回転運動を検出可能な複数の角速度センサと、
複数の処理機能が組み込まれた演算処理部とを備えており、
前記複数の角速度センサには、前記第1、第2および第3軸のそれぞれの角速度を検出可能な第1、第2および第3角速度センサと、前記第1、第2および第3角速度センサの検出軸とは異なる軸の角速度を検出可能な第4角速度センサとが含まれており、
前記演算処理部には、前記複数の角速度センサの検出軸から、前記重力加速度の方向と最も平行な軸を決定する第1処理機能と、前記複数の角速度センサの検出軸から、前記第1処理機能で決定された軸を除いた3つの軸を選択する第2処理機能と、前記重力加速度を参照して、前記3つの軸に対応する角速度センサの検出値から、前記第1処理機能で決定された軸の角速度を算出する第3処理機能とが含まれていることを特徴とする慣性計測装置。 - 請求項1記載の慣性計測装置において、
前記複数の角速度センサには、第5および第6角速度センサが含まれており、
前記第1、第2および第3角速度センサの検出軸で第1座標系が構成されており、
前記第4、第5および第6角速度センサの検出軸で第2座標系が構成されており、
前記第1座標系と前記第2座標系とは互いに座標変換が可能であり、
前記第2処理機能では、前記第1および第2座標系のうち、前記第1処理機能で決定された軸が含まれた座標系とは異なる座標系から前記3つの軸が選択されることを特徴とする慣性計測装置。 - 請求項2記載の慣性計測装置において、
前記第4角速度センサの検出軸が、前記第1角速度センサの検出軸に対してπ/2[rad]、前記第2および第3角速度センサのそれぞれの検出軸に対してπ/4[rad]の角度を為しており、
前記第5角速度センサの検出軸が、前記第2角速度センサの検出軸に対してπ/2[rad]、前記第3および第1角速度センサのそれぞれの検出軸に対してπ/4[rad]の角度を為しており、
前記第6角速度センサの検出軸が、前記第3角速度センサの検出軸に対してπ/2[rad]、前記第1および第2角速度センサの検出軸に対してπ/4[rad]の角度を為していることを特徴とする慣性計測装置。 - 請求項2記載の慣性計測装置において、
前記第4、第5および第6角速度センサの検出軸のそれぞれが、前記第1、第2および第3角速度センサの検出軸のそれぞれに対してcos−1(1/√3)[rad]の角度を為していることを特徴とする慣性計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010195506A JP2012052904A (ja) | 2010-09-01 | 2010-09-01 | 慣性計測装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010195506A JP2012052904A (ja) | 2010-09-01 | 2010-09-01 | 慣性計測装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2012052904A true JP2012052904A (ja) | 2012-03-15 |
Family
ID=45906384
Family Applications (1)
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JP2010195506A Pending JP2012052904A (ja) | 2010-09-01 | 2010-09-01 | 慣性計測装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012052904A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015162946A1 (ja) * | 2014-04-22 | 2015-10-29 | ソニー株式会社 | 頭部位置検出装置及び頭部位置検出方法、画像処理装置及び画像処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラム |
CN105252538A (zh) * | 2015-11-06 | 2016-01-20 | 邹海英 | 一种新型工业机器人示教器 |
WO2021261557A1 (ja) * | 2020-06-24 | 2021-12-30 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 慣性力センサ |
-
2010
- 2010-09-01 JP JP2010195506A patent/JP2012052904A/ja active Pending
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JPWO2015162946A1 (ja) * | 2014-04-22 | 2017-04-13 | ソニー株式会社 | 頭部位置検出装置及び頭部位置検出方法、画像処理装置及び画像処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラム |
CN105252538A (zh) * | 2015-11-06 | 2016-01-20 | 邹海英 | 一种新型工业机器人示教器 |
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