JP2012052157A - 温間プレス成形用素材及びパネル用部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マルテンサイト相の面積率が3〜15%の複合組織を有し、BH量が45MPa以上、YSが280MPa以下、YRが60%以下である高強度溶融亜鉛めっき鋼板からなることを特徴とする温間プレス成形用素材。
【選択図】なし
Description
鋼板組織は、主としてフェライト、マルテンサイトを有し、その他に残留γ、パーライト、ベイナイトや微量の炭化物を含むでもよい。特に、本発明では、マルテンサイト相の存在が重要である。最初に、マルテンサイト相の面積率の測定方法を説明する。
優れた耐時効性を確保しつつ低いYSを得るためには、マルテンサイト相の面積率を3%以上とする必要がある。マルテンサイト相の面積率が3%未満では、耐時効性が劣化してYSが上昇する。また、マルテンサイト相の面積率が15%を超えるとYSが上昇しBHが低下する。したがって、優れた耐時効性を確保し、低いYSおよび高いBHを得るため、マルテンサイト相の面積率は3〜15%の範囲とする。さらに高いBHを得つつ低いYSを得るためにはマルテンサイト相の面積率は10%以下とするのが好ましく7%以下とすることが更に好ましい。
BH量:45MPa以上
BH量は、引張試験で2%の予歪を付与した試験片を、170℃-20分の熱処理を行い、再度引張試験を行った時の上降伏応力から予歪時の到達応力を差し引いたもの(再引張試験時の上降伏応力と予歪時の到達応力の差)である。一般的なBH鋼はBH量が30MPa以上であるが、本発明では、より耐デント性が必要となる部材を対象とするためBH量は45MPa以上とする。
室温でのYSが280MPaを超えると、面歪が温間プレス時に発生し、金型の調整などでも解消が難しくなるため、YSは280MPa以下とする。
上記のように低YSは重要な要件であるが、同時に耐デント性の観点から、加工硬化とBH量が高いことが必要である。加工硬化の観点からは、YRが60%以下とし、YSに対して、よりTSが高いことが好ましい。
次に、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の好ましい鋼の成分組成について説明する。なお、成分の量を表す%は、特に断らない限り質量%を意味する。
Crは本発明において厳密に制御される必要のある重要な元素である。すなわち、従来、CrはYSの低減、BHの向上といった目的で積極的に活用されてきたが、Crは高価な元素であるばかりでなく、多量に添加されるとヘム加工部の耐食性を著しく劣化させることが明らかになった。すなわち、従来のYSの低い複合組織鋼で作製したドアアウタやフードアウタの部品の湿潤環境下での耐食性を評価したところ、ヘム加工部の穴明き寿命が従来鋼より1〜4年も減少する鋼板が認められた。そしてさらに、このような耐食性の劣化は、Crの含有量が0.5%以上で生じることが明らかになった。したがって、十分な耐食性を確保するためには、Crの含有量は0.5%未満とする必要がある。
高いBHを確保しつつ同時に低いYSと優れた耐時効性を確保するためには鋼組織としてフェライトと第2相として主としてマルテンサイトからなる複合組織とする必要がある。従来鋼では、YSあるいはYRが十分低減されていない鋼板や耐時効性が不十分な鋼板が多く見られ、その原因を調査した結果、このような鋼板では第2相としてマルテンサイトと少量の残留γに加え、パーライトやベイナイトが生成していることが明らかになった。このパーライトは1〜2μm程度と微細でありマルテンサイトに隣接して生成しているので、光学顕微鏡ではマルテンサイトと識別することは難しく、SEMを用いて3000倍以上の倍率で観察することで識別できる。例えば、従来の0.03%C-1.5%Mn-0.5%Cr鋼の組織を詳細に調査すると、光学顕微鏡での観察や1000倍程度の倍率でのSEMでの観察では粗大なパーライトのみが識別され、第2相の面積率に占めるパーライトもしくはベイナイトの面積率は10%程度と測定されるが、4000倍のSEM観察で詳細に調査を行うと、パーライトもしくはベイナイトの第2相の面積率に占める割合は30〜40%を占める。このようなパーライトもしくはベイナイトを抑制することで高いBHを確保しつつ低いYSが得られる。
B*=[%B]+[%Ti]/48×10.8×0.9+[%Al]/27×10.8×0.025
但し、[%B]=0のときはB*=0、[%B]+[%Ti]/48×10.8×0.9+[%Al]/27×10.8×0.025≧0.0022のときはB*=0.0022とする。
ここで、[%Mn]、[%Cr]、[%P]、[%Mo]、[%B]、[%Ti]、[%Al]は、Mn、Cr、P、Mo、B、Ti、sol.Alのそれぞれの含有量を表す。
上述のとおり、低YS化しつつ高BH化するには少なくとも[Mneq]の適正化が必要であるが、それだけでは不十分であり、Mn量や後述するP、Bの含有量を所定範囲に制御する必要がある。すなわち、Mnは焼入性を高め、第2相中のマルテンサイトの比率を増加させるために添加される。そのため1.0%以上必要である。しかしながら、その含有量が多すぎると、焼鈍過程におけるα→γ変態温度が低くなり、再結晶直後の微細なフェライト粒界あるいは再結晶途中の回復粒の界面にγ粒が生成するので、フェライト粒が展伸して不均一になるとともに第2相が微細化してYSが上昇する。また、Mnの添加はFe-C状態図のA1線を低温、低C側に移行させることでフェライト中の固溶Cを減少させ、なおかつ第2相を不均一に分散させる作用があるので、BHを著しく低下させる。したがって、低YSと高BHを同時に得るためには、1.9%未満とする必要がある。
Pは本発明において低YS化と高BH化を達成する重要な元素である。つまり、Pは後述するBと併用して所定範囲で含有させることで、低い製造コストで低YS化、高BH化、良好な耐時効性が同時に得られるとともに、優れた耐食性の確保も可能になる。
Bはフェライト粒を均一、粗大化する作用、焼入性を向上させる作用、BHを増加させる作用がある。このため、所定量の[Mneq]を確保しつつMnをBで置換することで低YS化と高BH化が図られる。マルテンサイトを粒界に生成させる作用のあるPとフェライト粒を均一粗大化する作用のあるBを併用することで均一粗大なフェライト粒とその粒界3重点に均一に分散したマルテンサイトを有する鋼組織が得られ、YSの低減、BHの向上が顕著に図られる。このようなB添加の効果を得るには、Bは0.0003%以上必要である。B添加による低YS化の効果をさらに発揮させるにはBは0.0005%以上添加するのが好ましく、さらには0.0010%超添加するのがさらに好ましい。しかしながら、Bは0.005%を超えて添加すると鋳造性や圧延性が著しく低下する。このため、Bは0.005%以下とする。鋳造性、圧延性を確保する観点からBは0.004%以下が好ましい。
Cは所定量のマルテンサイト相の面積率を確保するために必要な元素である。C量が少なすぎると十分なマルテンサイト相の面積率が確保できなくなり、十分な耐時効性や低いYSが得られなくなる。従来鋼と同等以上の耐時効性を得るためにはCは0.015%超とする必要がある。耐時効性をさらに向上させ、YSをさらに低減する観点からはCは0.020%以上とすることが望ましい。一方、C量が0.1%以上となるとマルテンサイト相の面積率が多くなりすぎてYSが増加し、BHも低下する。また、溶接性も劣化する。したがって、C量は0.1%未満とする。より低いYSを得つつ高いBHを得るためにはC量は0.06%未満とすることが好ましく、0.04%未満とすることがさらに好ましい。
Siは微量添加することで熱間圧延でのスケール生成を遅延させて表面品質を改善する効果、めっき浴中あるいは合金化処理中の地鉄と亜鉛の合金化反応を適度に遅延させる効果、鋼板のミクロ組織をより均一、粗大化する効果等があるので、このような観点から添加することができる。しかしながら、Siを0.2%超えて添加するとめっき外観品質が劣化して外板パネルへの適用が難しくなるとともにYSの上昇を招く。したがって表面品質を向上させ、YSを低減する観点からSiは0.2%以下とする。
Sは適量含有させることで鋼板の一次スケールの剥離性を向上させ、めっき外観品質を向上させる作用があるので、含有させることが出来る。しかしながら、Sはその含有量が多いと鋼中に析出するMnSが多くなりすぎ鋼板の伸びや伸びフランジ性といった延性を低下させ、プレス成形性を低下させる。また、スラブを熱間圧延する際に熱間延性を低下させ、表面欠陥を発生させやすくする。さらには耐食性を低下させる。このため、S量は0.02%以下とする。延性や耐食性を向上させる観点から、Sは0.01%以下とすることが好ましく、0.002%以下とすることがさらに好ましい。
AlはNを固定してBの焼入性向上効果を促進する目的、耐時効性を向上させる目的、介在物を低減して表面品質を向上させる目的で添加される。Alの焼入性向上効果は、B無添加鋼では小さくMnの0.1〜0.2倍程度であるが、Bを添加した鋼ではNをAlNとして固定して固溶Bを残存させる効果により、少量のsol.Alの添加量でも大きい。逆にsol.Alの含有量が適正化されていないとBの焼入性向上効果は得られず、固溶Nが残存して耐時効性も劣化する。Bの焼入性向上効果や耐時効性を向上させる観点からsol.Alの含有量は0.01%以上とする。このような効果をより発揮させるためには、sol.Alは0.015%以上含有させることが好ましく、0.04%以上とすることがさらに好ましい。一方、sol.Alを0.5%を超えて添加しても固溶Bを残存させる効果や耐時効性を向上させる効果は飽和し、徒にコストアップを招く。また、鋳造性を劣化させて表面品質を劣化させる。このためsol.Alは0.5%以下とする。優れた表面品質を確保する観点からはsol.Alは0.2%未満とするのが好ましい。
Nは鋼中でBN、AlN、TiN等の窒化物を形成する元素であり、BNの形成を通じてBの効果を消失させる弊害がある。また、微細なAlNを形成して粒成長性を低下させ、YSの上昇をもたらす。さらには、固溶Nが残存すると耐時効性が劣化する。このような観点からNは厳密に制御されなければならない。N含有量が0.005%を超えるとBの焼入性向上効果が十分得られなくなりYSが上昇する。また、このような成分鋼では耐時効性が劣化し、外板パネルへの適用性が不十分となる。以上より、Nの含有量は0.005%以下とする。Bを有効に活用し、なおかつAlNの析出量を軽減してより一層YSを低減する観点からはNは0.004%以下にすることが好ましい。
Moは焼入性を向上させてパーライトの生成を抑制し、低YR化する、あるいは良好な耐時効性を維持しつつBHを向上させる観点から添加することができる。しかしながら、Moは極めて高価な元素であるので、その添加量が多いと著しいコストアップにつながる。また、Moは添加量が増加するとYSが増加する。したがって、YSの低減および低コスト化の観点からMoの添加量は0.10%以下に限定する。より一層低YS化する観点からは0.05%以下とすることが好ましく、無添加(0.02%以下)とすることがより好ましい。
TiはNを固定してBの焼入性を向上させる効果、耐時効性を向上させる効果や鋳造性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が多くなると鋼中でTiCやTi(C,N)といった微細な析出物を形成して著しくYSを上昇させるとともに、焼鈍後の冷却中にTiCを生成してBHを減少させる作用があるので、Tiの含有量は適正範囲に制御する必要がある。Tiの含有量が0.014%以上になると著しくYSが増加しBHが低下する。したがって、Tiの含有量は0.014%未満とする。TiNの析出によりNを固定してBの焼入性の向上効果を発揮させるためにはTiの含有量は0.002%以上とするのが好ましく、TiCの析出を抑えて低いYSと高いBHを得るためにはTiの含有量は0.010%未満とするのが好ましい。
Vは焼入性を向上させる元素であり、めっき品質や耐食性を劣化させる作用が小さいので、MnやCrの代替として活用することができる。しかしながら、0.4%を超えて添加すると著しいコスト増になるので、Vは0.4%以下で添加する。
Nbは組織を細粒化するとともにNbC、Nb(C,N)を析出させ鋼板を強化する作用、細粒化によりBHを増加させる作用があるので、高強度化、高BH化の観点から添加することができる。しかしながら、0.015%を超えて添加するとYSが著しく上昇するので、Nbは0.015%以下で添加する。
Zrも同様に焼入性元素、析出強化元素として活用できる。しかしながら、その添加量が多すぎるとYSの上昇を招くのでZrは0.1%以下で添加する。
Cuは耐食性を向上させるので、耐食性向上の観点から添加することが好ましい。また、スクラップを原料として活用するときに混入する元素であり、Cuの混入を許容することでリサイクル資材を原料資材として活用でき、製造コストを削減することができる。耐食性向上の観点からはCuは0.03%以上添加するのが好ましい。しかしながら、その含有量が多くなりすぎると表面欠陥の原因となるので、Cuは0.5%以下とする。
Niも耐食性を向上する作用のある元素である。また、NiはCuを含有させる場合に生じやすい表面欠陥を低減する作用がある。したがって、耐食性を向上させつつ表面品質を改善する観点からNiは0.02%以上添加するのが好ましい。しかし、Niの添加量が多くなりすぎると加熱炉内でのスケール生成が不均一になり表面欠陥の原因になるとともに、著しいコスト増となる。したがって、Niは0.5%以下とする。
Wは焼入性元素、析出強化元素として活用できる。しかしながら、その添加量が多すぎるとYSの上昇を招くのでWは0.15%以下で添加することが好ましい。
Snは鋼板表面の窒化、酸化、あるいは酸化により生じる鋼板表層の数十ミクロン領域の脱炭や脱Bを抑制する観点から添加するのが望ましい。窒化や酸化を抑制する観点からSnは0.005%以上添加することが望ましいが、0.2%を超えるとYSの上昇や靱性の劣化を招くのでSnは0.2%以下で含有させるのが好ましい。
SbもSnと同様に鋼板表面の窒化、酸化、あるいは酸化により生じる鋼板表層の数十ミクロン領域の脱炭や脱Bを抑制する観点から添加するのが望ましい。このような窒化や酸化を抑制することで鋼板表層においてマルテンサイトの生成量が減少するのを防止したり、Bの減少により焼入性が低下するのを防止したり、溶融亜鉛めっきの濡れ性を向上させてめっき外観品質を向上させることが出来る。窒化や酸化を抑制する観点からSbは0.005%以上添加することが望ましいが、0.2%を超えるとYSの上昇や靱性の劣化を招くのでSbは0.2%以下で含有させるのが好ましい。
Caは鋼中のSをCaSとして固定し、さらには腐食性生物中のpHを増加させ、ヘム加工部やスポット溶接部周辺の耐食性を向上させる作用がある。また、CaSの生成により伸びフランジ性を低下させるMnSの生成を抑制し、伸びフランジ性を向上させる作用がある。このような観点からCaは0.0005%以上添加することが好ましい。しかしながら、Caは溶鋼中で酸化物として浮上分離しやすく、鋼中に多量に残存させることは難しい。したがって、Caの含有量は0.01%以下とする。
Ceも鋼中のSを固定する目的で添加することができる。しかし、高価な元素であるので多量添加するとコストアップになる。したがって、Ceは0.01%以下で添加するのが好ましい。
Laも鋼中のSを固定する目的で添加することができる。しかし、高価な元素であるので多量添加するとコストアップになる。したがって、Laは0.01%以下で添加するのが好ましい。
上記の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を説明する。
鋼スラブを熱間圧延するには、スラブを加熱後圧延する方法、連続鋳造後のスラブを加熱することなく直接圧延する方法、連続鋳造後のスラブに短時間加熱処理を施して圧延する方法などで行える。熱間圧延は、例えば、スラブ加熱温度は1100〜1300℃、仕上圧延温度はAr3変態点〜Ar3変態点+150℃とし、巻取温度は400〜720℃とすればよい。仕上圧延後、20℃/s以上の平均冷却速度で640℃以下まで冷却し、その後400〜620℃で巻取ることが好ましい。
冷間圧延では、圧延率を50〜85%とすればよい。r値を向上させて深絞り性を向上させる観点からは圧延率は65〜73%とするのが好ましく、r値やYSの面内異方性を低減する観点からは、圧延率は70〜85%にすることが好ましい。
冷間圧延後の鋼板には、CGLで焼鈍と亜鉛めっき処理、又は亜鉛めっき処理後さらに合金化処理が施される。焼鈍温度は740℃超840℃未満とする。740℃以下では炭化物の固溶が不十分となり、安定してマルテンサイト相の面積率が確保できなくなる。840℃以上では十分低いYSが得られなくなる。均熱時間は通常の連続焼鈍で実施される740℃超の温度域で20sec以上とすればよく、40sec以上とすることがより好ましい。均熱時間は結晶粒の粗大化による表面品質、延性の低下の点から10min以下が好ましい。
本発明では、上記の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を使用して、成形温度:250℃〜500℃で温間プレス成形してパネル用部材を製造する。
マルテンサイト相の面積率は鋼板のL断面(圧延方向に平行な垂直断面)を研磨後ナイタールで腐食し、SEM(走査型電子顕微鏡)で4000倍の倍率にて10視野観察し、撮影した組織写真を画像解析して求めた。その他、フェライトはやや黒いコントラストの領域であり、炭化物がラメラー状もしくは点列状に生成している領域をパーライトもしくはベイナイトとし、白いコントラストの付いている粒子で素地にラス状組織が観察されないものを残留γとした。
得られた各溶融亜鉛めっき鋼板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度10mm/minで引張試験をおこない、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)を求めた。さらに、TSに対するYSの割合、YS/TSからYRを求めた。
得られた各溶融亜鉛めっき鋼板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、クロスヘッド速度10mm/minで引張試験をおこない2%の予歪を付与したのち、一旦引張試験機から試験片を外し、高温槽で170℃-20分の時効処理を行い、再びクロスヘッド速度10mm/minで引張試験を行った。再引張時の上降伏応力から予歪時の到達応力を差し引いたものをBH量とした。
温間成形特性は、高温引張により評価した。試験片は幅10mm、評点間距離を50mmとした。高温引張試験機で、所定の温度で10分保持したのち、YSまで0.15mm/min、YS以降4.5mm/minのクロスヘッドスピードで引張を行い、2%の予歪を行った。その後、170℃-20分の時効処理をしたものとしないものについて、常温で再引張を行い、その時の上降伏点(YP')を耐デント性の指標とした。耐面歪性は、予歪時のYSで評価した。
耐デント性は、YP'に基づき、320MPa以上で耐デント性が良好、320MPa未満では耐デント性が劣ると評価した。
耐面歪性は、YSに基づき、250MPa以下で耐面歪性が良好、250MPa超では耐面歪性が劣ると評価した。
ヘム加工部やスポット溶接部周辺を模擬した構造体にて各溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性を評価した。すなわち、得られた鋼板を2枚重ねてスポット溶接して鋼板同士が密着した状態とし、さらに実車での塗装工程を模擬した化成処理、電着塗装を施した後にSAE J2334腐食サイクル条件にて腐食試験を行なった。電着塗装膜厚は20μmとした。60サイクル経過後の腐食サンプルについて腐食生成物を除去し、あらかじめ測定しておいた元板厚からの板厚の減少量を求め腐食減量とした。腐食減量が0.5mm未満を良好、0.5mm以上を耐食性が劣ると判断した。
Claims (4)
- マルテンサイト相の面積率が3〜15%の複合組織を有し、BH量が45MPa以上、YSが280MPa以下、YRが60%以下である高強度溶融亜鉛めっき鋼板からなることを特徴とする温間プレス成形用素材。
- 鋼の成分組成として、質量%で、C:0.015%超0.1%未満、Si:0.2%以下、Mn:1.0%以上1.9%未満、P:0.015%以上0.05%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.01%以上0.5%以下、N:0.005%以下、Cr:0.5%未満、B:0.0003%以上0.005%以下、Mo:0.10%以下、Ti:0.014%未満を含有し、更に2.2≦[Mneq]≦3.1を満足し、残部鉄および不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の温間プレス成形用素材。
ここで、[Mneq]=[%Mn]+1.3[%Cr]+8[%P]+3.3[%Mo]+150B*、B*=[%B]+[%Ti]/48×10.8×0.9+[%Al]/27×10.8×0.025で表され、[%Mn]、[%Cr]、[%P]、[%Mo]、[%B]、[%Ti]、[%Al]はMn、Cr、P、Mo、B、Ti、sol.Alのそれぞれの含有量を表す。[%B]=0のときはB*=0、[%B]+[%Ti]/48×10.8×0.9+[%Al]/27×10.8×0.025≧0.0022のときはB*=0.0022とする。 - 更に、質量%で、V:0.4%以下、Nb:0.015%以下、Zr:0.1%以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項2に記載の温間プレス成形用素材。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の温間プレス成形用素材を、250℃〜500℃で温間プレス成形することを特徴とする耐面歪性及び耐デント性に優れたパネル用部材の製造方法。
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