JP2012051665A - エレベータの安全装置 - Google Patents

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幸男 正木
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Abstract

【課題】信頼性の高い確実な安全措置を講じることができるエレベータの安全装置を提供することを課題とする。
【解決手段】エレベータ100の安全装置は、乗り籠2の下側に取り付けられた人感センサ5を有し、この乗り籠2が昇降路1内を移動したとき、昇降路1内に作業員10がいる場合、この作業員10に乗り籠2が近付いて接触する前に、人感センサ5を介して当該作業員10を検知して、乗り籠2を緊急停止させて、昇降路1内にいる当該作業員10から離れる方向に乗り籠2を一定距離だけ移動させるようにしている。
【選択図】 図1

Description

この発明の実施形態は、例えば、エレベータの保守点検時における作業員の安全を図るための安全装置に関する。
エレベータの保守点検時には、作業員は、乗り籠の中、乗り籠の上、昇降路下部のピットなどに設置される各種機器にアクセスして、各種作業を行なう。このため、エレベータには、例えば、保守点検の際に昇降路内を不所望に移動する乗り籠やカウンターウェイトに作業員が接触する不具合を防止するための安全装置が設置されている。
この種の安全装置として、例えば、作業員が携帯する受信器との間で無線通信することで、乗り籠やカウンターウェイトが作業員に接近していることを検出して、エレベータの運転を停止するなどの安全措置を講じる装置が知られている。
特開2005−132543号公報
しかし、この種の安全装置では、作業員が受信器を携帯することが必須であるため、受信器を携帯し忘れたり、何処かに置き忘れたりした場合には、その作業員の安全を確保することはできない。
また、この種の安全装置では、受信器との間で無線による通信をするため、受信器の向きや取り付け箇所などにより通信特性(感度など)が変化して、通信が不安定になる場合があり、最悪の場合、通信ができなくなる可能性がある。
さらに、この種の安全装置では、受信器を携帯した人にしか安全措置を講じることができないため、例えば、何等かの原因によりエレベータの利用者が昇降路内に立ち入った場合などには、当該利用者の安全を確保する事は非常に困難であった。
実施形態によれば、エレベータの安全装置は、乗り籠の外側に取り付けられた人感センサを有し、この乗り籠が昇降路内を移動したとき、昇降路内に人がいる場合、この人に乗り籠が近付いて接触する前に、この人感センサを介して昇降路内にいる人を検知して、乗り籠を緊急停止させて、昇降路内にいる人から離れる方向に乗り籠を一定距離だけ移動させるようにしている。
図1は、実施形態の安全装置を備えたエレベータの概略図である。 図2は、図1の安全装置の動作を制御する制御系のブロック図である。 図3は、図1の状態から乗り籠を上方へ退避させた状態を示すエレベータの概略図である。 図4は、図1の安全装置でカウンターウェイトの接触を回避する動作を説明するためのエレベータの概略図である。 図5は、図4とともにカウンターウェイトの接触を回避する動作を説明するためのエレベータの概略図である。 図6は、図1の安全装置の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1には、実施形態に係る安全装置を備えたエレベータ100の概略図を示してある。また、図2には、このエレベータ100の動作を制御する制御系のブロック図を示してある。
図1に示すように、エレベータ100は、建物の各階フロア101を連絡した昇降路1を有し、この昇降路1内を上下に移動可能に収容配置された乗り籠2を有する。乗り籠2は、昇降路1の内壁に設けられた図示しないレールに沿って上下に移動可能に取り付けられている。また、乗り籠2には、昇降路1の上の機械室に設置された巻上機4によって駆動されるロープ21が接続され、ロープ21の他端には、乗り籠2と重量バランスをとるためのカウンターウェイト3が取り付けられている。
また、エレベータ100は、昇降路1の上の機械室に設置された制御装置13を有する。制御装置13は、各階フロア101に設置された操作パネル102(図2)或いは乗り籠2内に設置された操作パネル103(図2)を介して利用者が操作した“籠呼び”に応じて、乗り籠2を所定階に移動させるように巻上機4を回転制御する。制御装置13の制御によって巻上機4が回転されると、乗り籠2が上昇されてカウンターウェイト3が下降され、或いは乗り籠2が下降されてカウンターウェイト3が上昇される。つまり、乗り籠2とカウンターウェイト3は、常に相反する方向に移動する。
乗り籠2の天井上には、乗り籠2内の操作パネル103や照明器具(図示せず)の配線をまとめた配線ボックス22が設けられている。また、この他に、乗り籠2の天井上には、スピーカー、ブザー、回転灯などの機能を備えた警報装置12が取り付けられている。この警報装置12の配線も配線ボックス22にまとめられている。そして、この配線ボックス22は、テールコード23を介して上述した制御装置13に接続されている。
また、本実施形態のエレベータ100は、乗り籠2の下に人感センサ5を備えている。言うまでも無く、この人感センサ5は、乗り籠2とともに昇降路1内を移動する。そして、この人感センサ5は、その検出エリア6に人が入ったとき、その人の体温を感知して人の存在を検知する。なお、人感センサ5は、この種の熱を検知するタイプのものの他に、人の動きを検出するタイプや他のあらゆるタイプ(例えば光電センサなど)が使用可能である。
この人感センサ5は、乗り籠2の下の下梁(ここでは図示しない)の略中央に取り付けられている。また、この人感センサ5の配線は、乗り籠2の下梁および側板に沿って天井上まで延設され、乗り籠2の天井上に取り付けられている配線ボックス22にまとめられる。すなわち、この人感センサ5も、テールコード23を介して制御装置13に接続されている。
この他に、本実施形態のエレベータ100は、カウンターウェイト3にも2つの人感センサ7a、7bを備えている。具体的には、カウンターウェイト3の下端側に一方の人感センサ7aが取り付けられ、カウンターウェイト3の上端側にもう一方の人感センサ7bが取り付けられている。下端側の人感センサ7aは、検出エリア8aを有し、上端側の人感センサ7bは、検出エリア8b(図3にのみ代表して図示してある)を有する。
なお、上述した制御装置13、人感センサ5、7a、7b、および警報装置12が、当該エレベータ100の安全装置として機能する。
以下、上記構造のエレベータ100の安全装置の動作について、図1乃至図6を参照して説明する。図3乃至図5は、図1とともに安全装置の動作を説明するための動作説明図であり、図6は、この動作を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、2つの状況を想定して安全装置の動作を説明するが、装置構成および図6のフローチャートは共通である。
初めに、当該エレベータ100の保守点検時において、図1に示すように、1人の作業員9が乗り籠2に乗って、もう1人の作業員10が昇降路1の下端のピット31内に入って作業している第1の状況を想定する。
まず、制御装置13は、エレベータ100が起動中である場合(図6、ステップ1;YES)、安全措置として、乗り籠2の人感センサ5、およびカウンターウェイト3の人感センサ7a、7bを作動させておく(ステップ2)。エレベータ100は起動させた状態で保守点検される。
この状態で、何等かの不具合によって、乗り籠2が下降して、図1に示すように、人感センサ5の検出エリア6内にピット31の作業員10が入ると(ステップ3;YES)、すなわちピット31の作業員10に乗り籠2が一定距離を超えて近付くと(ステップ3;YES)、制御装置13は、次のような安全措置を講じる(ステップ4)。
つまり、このとき、制御装置13は、まず、エレベータ100を緊急停止するため巻上機4を停止させる。人感センサ5の検出エリア6は、このタイミングでエレベータ100を停止させた場合に、少なくとも、乗り籠2が作業員10に決して接触することのない範囲に設定されている。
同時に、制御装置13は、警報装置12を作動させ、作業員9、10に対して「乗り籠2が下降していること」の注意を促す。警報の種類としては、乗り籠2がピット31内の作業員10に近付いていることのアナウンス、ブザー音、回転灯を回転させて視覚的に注意を促すこと、などがある。
さらに、このとき、制御装置13は、図3に示すように、一旦停止した乗り籠2を作業員10から離れる方向、ここでは上方(図3の矢印方向)に一定距離だけ移動させる。これにより、当該作業員10の頭上に乗り籠2下との間に十分なクリアランスを形成でき、作業の安全性を確保できる。なお、制御装置13は、巻上機4を反転運定する際にも、警報装置12を作動させる。
そして、ステップ4の安全措置の後、制御装置13は、巻上機4のブレーキ4a(図2)を作動させて、エレベータ100を運転休止状態とする(ステップ5)。このとき、巻上機4のブレーキ4aをかけることで、より安全性を高めることができる。
この後、制御装置13は、図示しないタイマーをセットして、ステップ5で運転休止状態にした後、一定時間内に、人感センサ5が作業員10を検知したか否かを判断する(ステップ6、7)。そして、制御装置13は、この運転休止状態が一定時間継続したことをトリガーとして(ステップ6;YES、ステップ7;YES)、エレベータ100の運転休止状態を解除する(ステップ8)。このとき、制御装置13は、同時に、警報装置12の動作も停止させる。
以上、制御装置13は、ステップ1〜ステップ8の動作を、エレベータ100を停止するまで(ステップ1;NO)続け、全ての人感センサ5、7a、7bの動作を停止させて(ステップ9)動作を終了する。
次に、当該エレベータ100の保守点検時において、図4に示すように、1人の作業員9が乗り籠2の中に乗って、もう1人の作業員11が乗り籠2の天井上に乗って作業している第2の状況を想定する。
制御装置13は、まず、エレベータ100が起動中である場合(図6、ステップ1;YES)、安全措置として、乗り籠2の人感センサ5、およびカウンターウェイト3の人感センサ7a、7bを作動させておく(ステップ2)。エレベータ100は起動させた状態で保守点検される。
この状態で、何等かの不具合によって、乗り籠2が上昇して、図4に示すように、カウンターウェイト3の下端側の人感センサ7aの検出エリア8a内に乗り籠2の上の作業員11が入ると(ステップ3;YES)、すなわち乗り籠2の上の作業員11にカウンターウェイト3が一定距離を超えて近付くと(ステップ3;YES)、制御装置13は、次のような安全措置を講じる(ステップ4)。
つまり、このとき、制御装置13は、まず、エレベータ100を緊急停止するため巻上機4を停止させる。人感センサ7aの検出エリア8aは、このタイミングでエレベータ100を停止させた場合に、少なくとも、カウンターウェイト3が作業員11に決して接触することのない範囲に設定されている。
同時に、制御装置13は、警報装置12を作動させ、作業員9、11に対して「カウンターウェイト3が下降していること」の注意を促す。警報の種類としては、カウンターウェイト3が乗り籠2の上の作業員11に近付いていることのアナウンス、ブザー音、回転灯を回転させて視覚的に注意を促すこと、などがある。
さらに、このとき、制御装置13は、図5に示すように、一旦停止した乗り籠2を、カウンターウェイト3から作業員11が離れる方向、ここでは下方(図5の矢印方向)に一定距離だけ移動させる。これにより、当該作業員11とカウンターウェイト3との間に十分なクリアランスを形成でき、作業の安全性を確保できる。なお、制御装置13は、巻上機4を反転運定する際にも、警報装置12を作動させる。
そして、ステップ4の安全措置の後、制御装置13は、巻上機4のブレーキ4a(図2)を作動させて、エレベータ100を運転休止状態とする(ステップ5)。このとき、巻上機4のブレーキ4aをかけることで、より安全性を高めることができる。
この後、制御装置13は、図示しないタイマーをセットして、ステップ5で運転休止状態にした後、一定時間内に、人感センサ7aが作業員11を検知したか否かを判断する(ステップ6、7)。そして、制御装置13は、この運転休止状態が一定時間継続したことをトリガーとして(ステップ6;YES、ステップ7;YES)、エレベータ100の運転休止状態を解除する(ステップ8)。このとき、制御装置13は、同時に、警報装置12の動作も停止させる。
以上、制御装置13は、ステップ1〜ステップ8の動作を、エレベータ100を停止するまで(ステップ1;NO)続け、全ての人感センサ5、7a、7bの動作を停止させて(ステップ9)動作を終了する。
以上のように、上述した実施形態によれば、信頼性の高い確実な安全措置を講じることができるエレベータの安全装置を提供することができる。
すなわち、本実施形態によると、乗り籠2の下やカウンターウェイト3の上下に人感センサ5、7a、7bを取り付けたため、昇降路1に入る作業員は、特別な受信器などの器具を携帯する必要がなく、受信器を携帯し忘れたり置き忘れたりする心配も無く、信頼性の高い安全措置を講じることができる。
また、本実施の形態によると、乗り籠2やカウンターウェイト3に取り付けた人感センサ5、7a、7bを配線を介して制御装置13に有線で接続したため、信号の送受信を確実にでき、信頼性を高めることができる。
さらに、本実施形態によると、万が一、エレベータ100の利用者が昇降路1内に立ち入った場合であっても、その利用者に対する安全措置を確実に講じることができ、作業員のみならず利用者に対する安全も確保できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載した発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述した実施形態では、詳細な説明を省略したが、カウンターウェイト3の上端側に配置した人感センサ7bを用いて昇降路1内の作業員を検出することもできる。この場合、例えば、乗り籠2を最上階フロアに停止させた状態で保守点検する状況において、乗り籠2が不用意に下降してしまった場合、乗り籠2の上に乗って下降している作業員に対して、カウンターウェイト3が下方から近付く状況となる。このような状況にあっても、本実施形態の安全装置は、作業員がカウンターウェイト3に接触する前にエレベータ100を緊急停止することができ、確実な安全措置を講じることができる。
また、上述した実施形態では、複数の人感センサ5、7a、7bを有線で制御装置13に接続したが、無線で信号を送受信しても良い。
1…昇降路、2…乗り籠、3…カウンターウェイト、4…巻上機、5、7a、7b…人感センサ、6、8a、8b…検出エリア、9、10、11…作業員、12…警報装置、13…制御装置、100…エレベータ。

Claims (8)

  1. 乗り籠の外側に取り付けられた人感センサと、
    上記乗り籠が昇降路内を移動したとき、当該昇降路内に人がいる場合、この人に当該乗り籠が近付いて接触する前に、上記人感センサを介して当該昇降路内にいる人を検知して、上記乗り籠を緊急停止させて、当該昇降路内にいる人から離れる方向に当該乗り籠を一定距離だけ移動させる制御装置と、
    を有するエレベータの安全装置。
  2. 上記制御装置は、上記乗り籠を上記離れる方向に上記一定距離だけ移動させた後、当該乗り籠を停止させて運転休止状態とし、上記人感センサを介して上記昇降路内にいる人を一定時間継続して検知しない場合に、上記運転休止状態を解除する請求項1の安全装置。
  3. 上記昇降路内にいる人に上記乗り籠が近付いていることを知らせるための警報装置をさらに有し、
    上記制御装置は、上記警報装置を動作させる請求項1の安全装置。
  4. 上記制御装置は、上記乗り籠を上記離れる方向に移動させる際にも上記警報装置を動作させる請求項3の安全装置。
  5. 乗り籠のカウンターウェイトに取り付けられた人感センサと、
    上記乗り籠が昇降路内を移動したとき、当該昇降路内に人がいる場合、この人に上記カウンターウェイトが近付いて接触する前に、上記人感センサを介して当該昇降路内にいる人を検知して、上記乗り籠を緊急停止させて上記カウンターウェイトを停止させ、当該昇降路内にいる人から離れる方向に上記カウンターウェイトを一定距離だけ移動させる制御装置と、
    を有するエレベータの安全装置。
  6. 上記制御装置は、上記カウンターウェイトを上記離れる方向に上記一定距離だけ移動させた後、上記乗り籠を停止させて運転休止状態とし、上記人感センサを介して上記昇降路内にいる人を一定時間継続して検知しない場合に、上記運転休止状態を解除する請求項5の安全装置。
  7. 上記昇降路内にいる人に上記カウンターウェイトが近付いていることを知らせるための警報装置をさらに有し、
    上記制御装置は、上記警報装置を動作させる請求項5の安全装置。
  8. 上記制御装置は、上記カウンターウェイトを上記離れる方向に移動させる際にも上記警報装置を動作させる請求項7の安全装置。
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