JP2012050988A - レーザスクライブ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このレーザスクライブ方法は、パルスレーザ光をサファイア基板に照射してスクライブする方法であって、第1工程と第2工程とを備えている。第1工程は、ビーム強度の調整されたパルスレーザ光をサファイア基板に照射し、改質領域としてのレーザ加工痕を基板の裏面に形成する工程である。第2工程は、パルスレーザ光をその焦点位置を固定して分断予定ラインに沿って走査し、基板の裏面から表面に到達しない深さまで進行する線状加工痕を分断予定ラインに沿って周期的に形成する工程である。
【選択図】図4
Description
図1は、本発明の一実施形態によるレーザスクライブ方法が適用される半導体ウェハの一例である。この図1に示す半導体ウェハ1は、サファイア基板2上に窒化物半導体が積層され、複数の発光ダイオード等の発光素子3が分割予定ライン4によって区画されて形成されたものである。
また、図2は、本発明の一実施形態による加工方法を実施するためのレーザ加工装置5の概略構成を示したものである。レーザ加工装置5は、レーザ光線発振器や制御部を含むレーザ光線発振ユニット6と、レーザ光を所定の方向に導くための複数のミラーを含む伝送光学系7と、伝送光学系7からのレーザ光を集光させるための集光レンズ8と、を有している。なお、ウェハ1はテーブル9に載置されており、レーザ光とウェハ1が載置されるテーブル9とは、相対的に上下方向に移動が可能であるとともに、水平面内で相対移動が可能となっている。
以上のようなレーザ加工装置5を用いたレーザスクライブ方法は以下の通りである。
線状加工痕の形成メカニズムを、図4を用いて説明する。図4(a)で示すように、焦点位置が基板裏面付近になるようにレーザ照射条件を設定し、レーザ光を照射する。なお、レーザ光の条件については、後述する。レーザ光が照射されると、同図(b)で示すように、あるレーザパルス(以下、単に「パルス」と記載することもある)によって基板の裏面に加工痕10aが形成される。
次に、前述のような線状加工痕が形成されるビーム強度のしきい値について説明する。ここで、以下のような計算条件で、サファイア基板の内部におけるビーム径を計算した結果を、図6以降に示している。なお、基板内部におけるビーム径は、図5に示すdであり、図6以降では、基板内部におけるビーム半径を示している。
レーザ波長:355nm
入射ビーム径(図5のD0):5mm
エムスクエア:1.2
集光レンズ8の焦点:20mm
サファイア屈折率:1.76
<計算結果1:基板厚み150μm>
図6に、厚みが150μmの試料(サファイア基板)において、焦点位置を、基板表面位置を「0」として+50μmから−250μmまで7段階で変化させた場合のビーム半径と高さ(基板表面を「0」とした)との計算結果を示している。なお、図6はビームの片側のみを示しており、実際のレーザ光のビーム形状は、ビーム半径「0」を挟んで対称となる。また、例えば焦点位置「−50μm」では、−100μmの位置でビームが集光しているが、これは、レーザ光がサファイア基板内部では屈折するからであり、各焦点位置はレーザ光が空気中を進行した場合の値を示すものである。
0 : ×(加工不可)
−50μm : ○(表面加工)
−100μm : ◎(線状加工)
−150μm : ×(加工不可)
−200μm : ×(加工不可)
−250μm −
ここで、「表面加工」とは、図4に示した加工痕の形成メカニズムにおいて、レーザのビーム強度が基板内部の全域(全厚み)において強く、加工痕が基板表面にまで到達する加工である。具体的には、図6の焦点位置「−50μm」のビーム形状を見ると、試料(基板)内部の全厚みにおいてビーム半径8μm以下である。このため、基板内部の全域においてビーム強度は高く、加工痕は表面まで到達する。
図9に、厚みが200μmのサファイア基板において、焦点位置を、基板表面位置を「0」として+50μmから−250μmまで7段階で変化させた場合のビーム半径と高さ(基板表面を「0」とした)との計算結果を示している。なお、この図9の条件においても、前述と同様に、仮定1及び2を仮定する。
0 : ×(加工不可)
−50μm : ○(表面加工)
−100μm : ◎(線状加工)
−150μm : △(裏面加工)
−200μm : ×(加工不可)
−250μm −
ここで、「裏面加工」とは、図4に示した加工痕の形成メカニズムにおいて、加工痕の上昇する高さが低く、裏面の狭い範囲ですべてのエネルギが吸収されて、基板裏面近傍に均一な深さの改質領域の層が形成される加工である。具体的には、図9の焦点位置「−150μm」のビーム形状を見ると、試料(基板)内部の裏面近傍においてのみビーム半径8μm以下である。このため、加工痕は線状加工のように上昇せず、図10に示すように、基板裏面において均一な深さの改質領域の層13が形成される。この場合も、目的とする線状加工痕は形成されない。
以上から、加工痕にレーザパルスがオーバラップして照射されたとき、先の加工痕に接して新しい加工痕が形成されるレーザ光のビーム強度は、出力3.2W、周波数120MHz、パルス幅15ps、ビーム半径8μmであることから、8.8×1012 W/m2であることがわかる。
ここで、前述のように、「裏面加工」では、線状加工痕が周期的に形成されるのではなく、走査方向に隣接する線状加工痕がつながったような面状の加工痕が形成される。このような裏面加工と線状加工との境界について以下に検討する。
具体的には、図12の例では、単位体積当たりに吸収されるエネルギは、
3.2(J/s)/(200(mm/s)×72(μm)×14.6(μm))=1.5×1010(J/m3)
となる。図13に、様々な加工結果について、単位体積当たりに吸収されるエネルギを計算した結果を示す。この図13から、表面加工または裏面加工になる場合は、単位体積当たりに吸収されるエネルギが2.0×1010(J/m3)以上であることがわかる。以上より、単位体積当たりに吸収されるエネルギ2.0×1010(J/m3)をしきい値として加工状態が変化し、しきい値以下では線状加工痕が形成され、しきい値を越えると隣接する線状加工痕がつながったような面状の加工痕が形成されると考えられる。
以上をまとめると、サファイア基板の内部に、周期的な線状加工痕を形成するためには、以下の条件で加工することが必要である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
4 分断予定ライン
10 レーザ加工痕
Claims (4)
- パルスレーザ光を脆性材料基板に照射してスクライブするレーザスクライブ方法であって、
ビーム強度の調整されたパルスレーザ光を脆性材料基板に照射し、改質領域としてのレーザ加工痕を脆性材料基板の裏面に形成する第1工程と、
パルスレーザ光をその焦点位置を固定して分断予定ラインに沿って走査し、脆性材料基板の裏面から表面に到達しない深さまで進行する線状加工痕を分断予定ラインに沿って周期的に形成する第2工程と、
を備えたレーザスクライブ方法。 - 前記第1工程では、パルスレーザ光のビーム強度が、脆性材料基板の裏面で8.8×1012 W/m2を越え、表面までの基板内部において8.8×1012 W/m2を下回るように調節される、請求項1に記載のレーザスクライブ方法。
- 前記第2工程では、脆性材料基板において、単位体積当たりに吸収されるエネルギが2.0×1010 J/m3以下になるようにレーザ照射及び走査条件が調節される、請求項2に記載のレーザスクライブ方法。
- 前記脆性材料はサファイアである、請求項1から3のいずれかに記載の脆性材料基板。
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