JP2012050509A - 電子内視鏡システム - Google Patents

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Takayuki Nakamura
貴行 仲村
Takeshi Ashida
毅 芦田
Hidetoshi Hirata
英俊 平田
Shinichi Yamakawa
真一 山川
Kazuyoshi Hara
和義 原
Takayuki Iida
孝之 飯田
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Abstract

【課題】挿入部の先端に設けた温度センサが正常に機能するか否かを判別することができる電子内視鏡システムを提供する。
【解決手段】電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、測定部41や判別部42を有するプロセッサ装置13、光源装置14等からなる。電子内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部の先端部20に、温度センサ30とCMOSセンサ21を有する。測定部41は、温度センサ30を用いてCMOS温度を測定する。光源装置14は、ライトガイド28等を通じて、光源45で発生させた照明光を先端部20から被検体内に照射する。判別部42は、電子内視鏡システム11が起動されたときに、光源装置14から所定条件の判別用照明光を照射させることにより、先端部20の温度を上昇させながら、CMOS温度を取得し、CMOS温度の変化に基づいて温度センサ30が正常に機能するか否かを判別する。
【選択図】図2

Description

本発明は、被検体内に挿入される挿入部の先端に温度センサを有する電子内視鏡システムに関する。
従来、医療分野において、電子内視鏡システムを利用した検査が広く普及している。電子内視鏡システムは、被検体(患者)の体内に挿入される挿入部を有する電子内視鏡と、電子内視鏡に接続されるプロセッサ装置及び光源装置等から構成される。
電子内視鏡は、被検体内に照明光を照射する照明光学系や、被検体内を撮像する撮像素子を挿入部の先端(以下、先端部という)に有する。プロセッサ装置は、撮像素子から出力される撮像信号に対して各種信号処理を施し、診断に供する観察画像を生成する。観察画像は、プロセッサ装置に接続されたモニタに表示される。光源装置は、照明光を発生する光源を有し、光量を調節した照明光を電子内視鏡に供給する。照明光は、電子内視鏡内に挿通されたライトガイドを通じて先端部に導光され、照明光学系や照明窓を介して被検体内に照射される。
電子内視鏡を使用すると、ライトガイドの伝達損失による発熱や、撮像素子の発熱等によって先端部の温度が上昇する。先端部の温度が上昇すると、撮像素子の暗電流ノイズが増加し、いわゆる白傷が目立つようになり観察画像が劣化する。また、高温(例えば65℃以上)の状態が続くと、撮像素子の寿命が縮まるという問題もある。
こうした先端部の温度上昇の問題を解決するために、近年では、先端部に温度センサを設け、先端部の温度が所定以上に上昇しないように照明光量を制御する電子内視鏡システムが知られている(特許文献1〜3)。また、先端部に照明光を発するLEDを設けた電子内視鏡も知られているが、照明光を発光するときにLEDが発熱するので、先端部の発熱の問題は上述と同様であり、温度センサによって先端部の温度を測定し、これに応じて照明光量を制御する電子内視鏡が知られている(特許文献4,5)。
特開昭63−071233号公報 特開2007−117538号公報 特開2008−080112号公報 特開2007−252516号公報 特開2008−035883号公報
上述のように、電子内視鏡システムにおいては、先端部の温度に応じて照明光量を調節することによって先端部の温度上昇を抑えることが好ましい。特許文献1−5に記載されているような従来の電子内視鏡システムは、こうした制御を先端部の温度が正しく測定されることを前提として行っている。このため、温度センサが故障した場合には、先端部の温度上昇を適切に抑止することができないことがある。
例えば、温度センサの故障によって、先端部の温度が実際の温度よりも低く測定されてしまうと、観察画像に白傷が目立つようになる高温を超えても照明光量を増大させてしまうことがある。また、温度センサの故障によって、先端部の温度が実際の温度よりも高く測定されてしまうと、先端部の温度が低温であるにもかかわらず照明光量が低く抑えられ、常に暗い観察画像しか撮影できなくなり、診断に支障をきたすことがある。
また、先端部温度に応じて照明光量等を調節する電子内視鏡は、温度センサが故障した場合、上述のような不具合を抱えながらも観察画像の撮影は可能であるため、温度センサの故障には気付き難い。このため、温度センサが故障したまま使用され続けしまうこともあり、長期にわたって診断に支障をきたしてしまったり、撮像素子等の他の部材の故障を招いて、電子内視鏡が早期に故障してしまうこともある。
こうしたことから、先端部温度を測定し、これに応じて照明光量等を調節する電子内視鏡システムにおいては、先端部温度を測定する温度センサが正常に機能しているか否かを定期的にチェックすることが望ましい。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、先端部に備える温度センサが正常に動作するか否かを判別する電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
本発明の電子内視鏡システムは、被検体内に挿入される挿入部の先端部分に、温度センサと前記被検体内を撮像する撮像素子を有する電子内視鏡と、前記温度センサを用いて前記先端部分の温度を測定する先端温度測定手段と、前記先端部分から照明光を照射する照明光照射手段と、前記先端部分の温度が上昇するときに、前記先端部分の温度変化に基づいて前記温度センサが正常に機能するか否かを判別する判別手段と、を備えることを特徴とする。
前記温度センサが正常に機能する場合に、前記温度センサによって測定される前記先端部分の経時的な温度変化を表す昇温プロファイルを予め記憶する記憶手段を備え、前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇するときに、前記温度センサを用いて前記先端温度測定手段が測定した前記先端部分の経時的な温度変化を、前記昇温プロファイルと比較することにより、前記温度センサが正常に機能するか否かを判別することが好ましい。
前記先端部分の温度に基づいて前記照明光の光量を自動調節する照明光調節手段を備えることが好ましい。
前記照明光調節手段は、前記判別手段によって前記温度センサが正常に機能すると判別された場合に、前記先端部分の温度変化に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節し、前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に、前記照明光照射手段から前記先端部分の温度が所定温度以上に上昇しないことが保証される安全光量の前記照明光を照射させることが好ましい。
また、前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に機能し、前記照明光調節手段から取得する前記照明光の照射履歴に基づいて前記先端部分の温度を推定する先端温度推定手段を備え、前記照明光量調節手段は、前記判別手段によって前記温度センサが正常に機能すると判別された場合に、前記先端部分の温度変化に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節し、前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に、前記先端温度推定手段によって推定された前記先端部分の温度に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節しても良い。
この場合、前記先端温度推定手段は、前記照明光の照射履歴に基づいて前記照明光によって前記先端部分に流入した熱量を算出し、当該熱量と、前記先端部分について予め測定された前記先端部分の熱容量,熱抵抗,前記撮像素子の発熱量とに基づいて前記先端部分の温度を推定することが好ましい。
前記判別手段は、前記判別を行うときに、照明光照射手段から所定光量の前記照明光を判別用照明光として照射させることにより前記先端部分の温度を上昇させることが好ましい。
前記判別手段は、前記先端部分の温度から前記判別用照明光の照射を開始した時点の前記先端部分の温度を差し引いて算出した温度差の時間変化に基づいて前記判別を行うことが好ましい。
前記判別手段は、当該システムが起動されたときに前記判別を行うことが好ましい。
前記判別手段による判別結果を報知する報知手段を備えることが好ましい。
前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇し始めてから熱平衡状態に至るまでの過渡期内の1点を含む少なくとも2点において、前記温度センサによって測定される前記先端部分の温度変化と前記昇温プロファイルとを比較することが好ましい。
前記電子内視鏡は、前記温度センサとして、第1温度センサと第2温度センサの2個の温度センサを有し、前記先端温度測定手段は、前記第1温度センサを用いて前記先端部分の第1の温度を測定するとともに、前記第2温度センサを用いて前記先端部分の第2の温度を測定し、前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇するときに、前記第1の温度の経時変化と前記第2の温度の経時変化を比較することにより、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサが正常に機能するか否かを判別しても良い。
前記第1温度センサと前記第2温度センサは、同一の箇所の温度を測定することが好ましい。
本発明によれば、先端部に備える温度センサが正常に動作するか否かを判別するする電子内視鏡システムを提供することができる。
電子内視鏡システムの構成を示す外観図である。 電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。 CMOSセンサの電気的構成を示すブロック図である。 絞り機構の構成を示す説明図である。 昇温プロファイルの様態を示すグラフである。 電子内視鏡システムの作用を示すフローチャートである。 光量上限を制限する様態を示すグラフである。 温度センサを2個備えた電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。 2個の温度センサの昇温プロファイルを示すグラフである。 温度センサを2個備えた電子内視鏡システムにおいて各温度センサの正常動作を判別する様態を示すグラフである。 温度センサを2個備えた電子内視鏡システムの作用を示すフローチャートである。 温度センサが故障した場合に、先端部の温度を推定する電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
[第1実施形態]
図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセッサ装置13、及び光源装置14からなる。電子内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連接された操作部17と、プロセッサ装置13及び光源装置14に接続されるコネクタ18と、操作部17‐コネクタ18間を繋ぐユニバーサルコード19とを有する。挿入部16の先端(以下、先端部という)20には、被検体内撮影用のCMOS型イメージセンサ(図2参照。以下、CMOSセンサという)21が設けられている。
操作部17には、先端部20を上下左右方向に湾曲させるためのアングルノブや、挿入部16の先端からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画記録するためのレリーズボタン、モニタ22に表示された観察画像の拡大/縮小を指示するズームボタンといった操作部材が設けられている。また、操作部17の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部16内の鉗子チャネルを通して、先端部20に設けられた鉗子出口に連通している。
プロセッサ装置13は、光源装置14と電気的に接続され、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置13は、ユニバーサルコード19や挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、CMOSセンサ21の駆動を制御する。また、プロセッサ装置13は、伝送ケーブルを介して、CMOSセンサ21から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置13で生成され画像データは、プロセッサ装置13にケーブル接続されたモニタ22に観察画像として表示される。
図2に示すように、先端部20には、観察窓23、照明窓24、タイミングジェネレータ(以下、TGという)26、CPU27、温度センサ30等が設けられている。観察窓23の奥にはレンズ群およびプリズムからなる対物光学系25によって被検体内の像が撮像領域51(図3参照)に結像されるようにCMOSセンサ21が配置されている。照明窓24からは照明光が被検体内に照射される。照明光は、光源装置14から電子内視鏡12に供給され、ユニバーサルコード19及び挿入部16に挿通されたライトガイド28によって導光され、出射端に配置された照明レンズ29によって照明窓24を介して被検体内に照射される。
CMOSセンサ21は、対物光学系25によって撮像領域51に結像された被検体内の像を光電変換する。CMOSセンサ21は、複数の画素を有し、各画素は入射光量に応じた画素値である撮像信号を出力する。撮像領域51は、中央の受光部と、受光部を囲むように設けられたオプティカルブラックとからなる。受光部は開口された画素が配列された領域であり、各画素に複数の色セグメントからなるカラーフィルタが形成されている。カラーフィルタは、例えばベイヤー配列の原色(RGB)あるいは補色(CMYまたはCMYG)カラーフィルタである。オプティカルブラックは、遮光膜によって遮光された画素からなる領域であり、暗電流ノイズに応じた撮像信号(暗時出力値)を出力する。したがって、CMOSセンサ21が出力する撮像信号には、受光部の画素から出力される撮像信号とともに、オプティカルブラックの画素から出力される撮像信号が含まれる。受光部の画素から出力される撮像信号は観察画像の生成に用いられ、オプティカルブラックの画素から出力される撮像信号は、受光部の画素から出力される撮像信号の暗電流補正に用いられる。CMOS21が出力する撮像信号は、ユニバーサルコード19及びコネクタ18を介してプロセッサ装置13に入力され、DSP32(後述)の作業メモリに一旦格納される。その後、撮像信号に対して各種信号処理が施され、観察画像が生成される。
温度センサ30は、例えばサーミスタからなり、CMOSセンサ21に取り付けられる。温度センサ30は、CMOSセンサ21の温度が上昇すると抵抗値が増大し、CMOSセンサ21の温度が下降すると抵抗値が減少する。温度センサ30の抵抗値は、後述するようにDSP32に設けられた測定部41によって測定され、温度に換算される。なお、ここでは、温度センサ30としてサーミスタを用いる例を説明するが、熱電対等、他の温度センサを用いても良い。
TG26には、CMOSセンサ21にクロック信号を与える。CMOSセンサ21は、TG26から入力されるクロック信号に応じて撮像動作を行ない、撮像信号を出力する。なお、TG26はCMOSセンサ21内に設けられていても良い。CPU27は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13とが接続された後、プロセッサ装置13のCPU31からの動作開始信号に基づいてTG26を駆動させる。
プロセッサ装置13は、CPU31、デジタル信号処理回路(以下、DSPという)32、デジタル画像処理回路(以下、DIPという)33、表示制御回路34、操作部35等を有する。
CPU31は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続されており、プロセッサ装置13全体の動作を統括的に制御する。ROM36には、プロセッサ装置13の動作を制御するための各種プログラム(OS,アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ、温度センサ30の抵抗値を温度に換算する特性データや起動時の昇温プロファイル43等)が記憶されている。CPU31は、ROM36から必要なプログラムやデータを読み出して、作業メモリであるRAM37に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU31は、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、操作部35やLAN等のネットワークより取得し、RAM37に記憶する。
DSP32は、CMOSセンサ21から入力される撮像信号に対して、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、画像データを生成する。DSP32で生成された画像データは、DIP33の作業メモリに入力される。また、DSP32は、例えば生成した画像データの各画素の輝度を平均した平均輝度値等、ALC制御(後述)に必要なALC制御用データを生成し、CPU31に入力する。
さらに、DSP32は、CMOSセンサ21の温度を測定する測定部41、温度センサ30の動作が正常であるか否かを自動的に判別する判別部42を備える。
測定部41は、温度センサ30の抵抗値を測定し、これを温度センサ30の特性データに基づいて温度に換算することによってCMOSセンサ21の温度(以下、CMOS温度という)を測定する。測定部41によるCMOS温度の測定は、CMOSセンサ21の撮影フレーム毎や数フレーム毎など、所定の時間間隔毎に行われる。測定部41によって測定されたCMOS温度はALC制御や判別部42による温度センサ30の動作チェックに用いられる。
判別部42は、電子内視鏡システム11の起動時に動作し、判別用照明光照射信号をプロセッサ装置13のCPU31を介して光源装置14のCPU48に入力する。これにより、電子内視鏡システム11の起動時に、最大光量の照明光が判別用照明光として一定の時間出力される。こうして電子内視鏡システム11の起動時に最大光量の照明光が照射されている間、判別部42には測定部41からCMOS温度が入力される。電子内視鏡システム11の起動直後のCMOS温度は、室温等、先端部20が置かれた環境の温度(以下、環境温度という)であり、判別用照明光が照射されることにより徐々に上昇する。そして、ある程度の時間が経過して先端部20が熱平衡状態に達する。先端部20が熱平衡状態になったときに示すCMOS温度は、環境温度と判別用照明光の光量との関係によって定まるものであり、環境温度に応じて異なるが、先端部20が熱平衡状態に達すれば一定の温度に落ち着く。
判別部42は、測定部41から入力されるCMOS温度と、昇温プロファイル43とに基づいて、温度センサ30が正常に機能しているか否かを判別する。昇温プロファイル43は、温度センサ30が正常に動作する場合にCMOS温度が上昇する様態を示すデータであり、予め測定され、ROM36に記憶されている。このため、判別部42は、測定部41から入力されるCMOS温度が、昇温プロファイル43に対して所定の範囲内に収まっているときに、温度センサ30が正常に動作していると判別し、CMOS温度が昇温プロファイル43に対して所定の範囲外であった場合に、温度センサ30が故障しているものと判別する。判別部42による温度センサ30の動作に関する判別結果は、CPU31に入力される。CPU31は、温度センサ30が故障していることを示す判別結果が判別部42から入力されたときには、モニタ22にその旨を表示し、温度センサ30が故障していることを電子内視鏡システム11の使用者に報知する。また、判別部42による判別結果は、CPU31を介して、光源装置14のCPU48に入力され、ALC制御に用いられる。
DIP33は、DSP32で生成された画像データに対して、電子変倍、色強調処理、エッジ強調処理等の各種画像処理を施す。DIP33で各種画像処理が施された画像データは、観察画像として表示制御回路34に入力される。
表示制御回路34は、DIP33から入力された観察画像を格納するVRAMを有する。また、表示制御回路34は、CPU31からROM36及びRAM37に記憶されたグラフィックデータ等を受け取る。グラフィックデータ等には、観察画像のうち、被写体が写された有効画素領域のみを表示させる表示マスク、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報、GUIといったものがある。表示制御回路34は、VRAMに格納した観察画像に対して、グラフィックデータ等の重畳処理を行うとともに、モニタ22の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換してモニタ22に出力する。これにより、モニタ22に観察画像が表示される。
操作部35は、プロセッサ装置13の筐体に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスであり、電子内視鏡12の操作部17にあるボタン等も含む。CPU31は、操作部35からの操作信号に応じて、電子内視鏡システム11の各部を動作させる。
プロセッサ装置13には、上記の他にも、画像データに所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮処理を施す圧縮処理回路や、レリーズボタンの操作に連動して、圧縮された画像をリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらは,データバス等を介してCPU31と接続されている。
光源装置14は、光源45、絞り機構46、波長選択フィルタ47、CPU48を有する。
光源45は、赤色から青色までのブロードな波長の光(例えば、主に400nm以上800nm以下の波長帯の光、以下、通常光という)を発生する。光源45は例えばキセノンランプからなり、一定の光量の通常光を発光する。光源45で発生した通常光の光量は、絞り機構46によって調節される。また、光源45で発生した通常光は、波長選択フィルタ47によって特定の狭い波長帯の光(以下、特殊光という)に制限されて被検体内に照射される場合がある。こうして光源45から発せられた照明光(通常光または特殊光)は、集光レンズ49で就航されてライトガイド28の入射端に導光される。
絞り機構46は、後述するように絞り開口64(図4参照)や絞り開口64を開閉する絞り羽根65(図4参照)等からなり、照明光の光量を調節する。絞り機構46は、撮影の様態やCMOS温度等に応じて、CPU48によって自動的に制御される。
波長選択フィルタ47は、光源45から発せられた通常光を特殊光に制限するフィルタである。波長選択フィルタ47は、例えば円板の半分が切り欠かれた半円状の形状を有し、光源45と集光レンズ49の間を横切るようにモータ回転される。また、波長選択フィルタ47には、その回転位置を検出するセンサが設けられている。波長選択フィルタ47が光源45と集光レンズ49の間を横切っている間は特殊光が照明光として被検体内に照射され、波長選択フィルタ47の切り欠き部分が光源45と集光レンズ49の間を横切っている間は通常光が照明光として被検体内に照射される。特殊光としては、例えば、450nm、500nm、550nm、600nm、780nm近傍の波長の光が挙げられる。
450nm近傍の特殊光による撮影は、表層の血管やピットパターン等の被観察部位表面の異微細構造の観察に適している。500nm近傍の照明光では、被観察部位の陥凹や隆起等のマクロな凹凸構造を観察することができる。550nm近傍の照明光は、ヘモグロビンによる吸収率が高く、微細血管や発赤の観察に適し、650nm近傍の照明光は、肥厚の観察に適している。深層血管の観察には、インドシアニングリーン(ICG)等の蛍光物質を静脈注射し、780nm近傍の照明光を用いることで明瞭に観察することができる。
なお、ここでは波長選択フィルタ47を用いるが、波長選択フィルタ47にかえて、あるいは波長選択フィルタ47に加えて、光源45として波長帯が異なる光を発スルLEDやLD等を複数備えておき、これらの点灯と消灯を制御することにより通常光と特殊光を切り替えても良い。また、青色レーザー光源と、青色レーザー光の照射により緑色〜赤色の蛍光光を発する蛍光体を用いて通常光を発生させ、さらに波長選択フィルタで特殊光を発生させても良い。
CPU48は、プロセッサ装置13のCPU31と通信し、絞り機構46及び波長選択フィルタ47の動作制御を行う。CPU48による絞り機構46の制御は、撮影の様態に応じて自動的に照明光の光量を調節するALC(Auto Light Control)制御である。CPU48の行うALC制御は、DSP32で生成されたALC制御用データに基づいて行われる。また、CPU48は、ALC制御を行う際に、プロセッサ装置13のCPU31を介して、CMOS温度を取得する。そして、CMOS温度に応じて照明光量の上限を所定値に制限し、この上限以下の光量となる範囲内でALC制御を行う。
例えば、CMOS温度が所定の閾値以下の温度である場合には、CPU48は、光源45の発光量や絞り機構46の構成によって決まる最大光量Lmaxを上限として、最大光量Lmax以下の範囲内でALC制御用データに基づいて撮影に最適となるように照明光量を調節する。また、CMOS温度が所定の閾値よりも高温である場合には、CPU48は照明光量の上限を光量上限L1に制限し、光量上限L1以下の範囲内でALC制御用データに基づいて撮影に最適となるように照明光量を調節する。
さらに、電子内視鏡システム11の起動時に、判別部42によって温度センサ30が故障していると判別された場合には、CPU48は、先端部20の温度上昇が最も抑止され、CMOSセンサ21等に不具合が生じないことが保証される安全光量L2に照明光量を制限する。
ライトガイド48は、例えば、複数の石英製光ファイバーを巻回テープ等で収束してバンドル化したものである。ライトガイド28の出射端に導かれた照明奥は、照明レンズ29によって拡散されて被検体内に照射される。
図3に示すように、CMOSセンサ21は、垂直走査回路56、相関二重サンプリング(CDS)回路57、列選択トランジスタ58、水平走査回路59、及び出力隘路61から構成される。
撮像領域51には、画素62がマトリクス状に配列されている。画素62は、フォトダイオードD1、増幅用トランジスタM1、画素選択用トランジスタM2、およびリセット用トランジスタM3を有する。フォトダイオードD1は、光電変換によって、入射光量に応じた信号電荷を生成するとともに、これを蓄積する。フォトダイオードD1に蓄積された信号電荷は、増幅用トランジスタM1によって撮像信号として増幅され、画素選択用トランジスタM2によって、所定のタイミングで画素62外に出力される。また、フォトダイオードD1に蓄積された信号電荷は、所定のタイミングでリセット用トランジスタM3を介してドレインに排出される。画素選択用トランジスタM2、およびリセット用トランジスタM3はNチャンネルトランジスタであり、ゲートにHighレベル“1”が印加されるとオン、Lowレベル“0”が印加されるとオフとなる。
撮像領域51には、垂直走査回路56からから水平方向(X方向)に行選択線L1および行リセット線L2が配線されているとともに、CDS回路57から垂直方向(Y方向)に列信号線L3が配線されている。行選択線L1は、画素選択用トランジスタM2のゲートに接続されており、行リセット線L2は、リセット用トランジスタM3のゲートに接続されている。また、列信号線L3は、画素選択用トランジスタM2のソースに接続され、CDS回路57を介して、対応する列の列選択トランジスタ58に接続されている。
CDS回路57は、垂直走査回路56によって選択された行選択線L1に接続された画素62の撮像信号を、TG26から入力されるクロック信号に基づいて保持し、ノイズ除去を行う。水平走査回路59は、TG26から入力されるクロック信号に基づいて水平走査信号を発生し、列選択トランジスタ58のオン、オフ制御を行う。
列選択トランジスタ58は、出力回路61に接続された出力バスライン63とCDS回路57との間に設けられており、水平走査信号に応じて、出力バスライン63に撮像信号を転送させる画素を選択する。
出力回路61は、CDS回路57から出力バスライン63に順に転送される撮像信号を増幅し、A/D変換して出力する。出力回路61による撮像信号の増幅率は、CPU27から出力回路61にゲイン調節信号を入力することにより調節される。その後、出力回路61は、撮像信号をA/D変換してDSP32に出力する。
図4に示すように、絞り機構46は、絞り開口64を開閉する絞り羽根65と、絞り開口87を閉じる位置に絞り羽根65を付勢するスプリング66とを備えている。絞り羽根65は、モータ67から与えられるトルクによってスプリング66の付勢力に抗して絞り開口64の開口量が大きくなる方向(時計方向)に回転し、トルクの大きさとスプリング66の付勢力が釣り合う位置で停止する。トルクが大きいとスプリング66の付勢力に抗する力も大きくなるので、絞り開口64の開口量も大きくなる。トルクが小さいとスプリング66の付勢力に抗する力が小さくなるので絞り開口64の開口量が小さくなる。モータ67のトルクは、PWM値(後述)の増加とともに大きくなり、PWM値が下がると減少する。
光源装置14のCPU48は、DSP32によって算出されたALC制御用データに基づいて、絞り羽根65とスプリング66からなる絞り調節機構68を制御する。CPU48は、ALC制御用データに応じて、モータ67のトルクを決定するPWM(パルス幅変調)値を算出し、モータドライバ(図示しない)によってPWM値に応じた駆動パルスを発生させてモータ67を駆動する。PWM値は、モータ67の駆動パルスのデューティ比(パルス幅をパルス周期で割った値)を決定するもので、モータ67のトルクを決定する。CPU48は、ALC制御用データが増加を要求する信号であるバアには、増加分に応じてPWM値を上げ、減少を要求する信号である場合には、減少分に応じてPWM値を下げることにより、ALC制御を行う。
図5に示すように、昇温プロファイル43は、電子内視鏡システム11の起動時からの経過時間tに対して、CMOS温度T(t)と環境温度Tからの差(以下、単に温度差という)ΔT(t)=T(t)−Tを記録したデータである。電子内視鏡システム11は、起動時に、判別部42によって判別用照明光が照射されることにより、先端部20の温度は環境温度Tから上昇し、最終的に環境温度Tによって定まる所定温度Tに収束して熱平衡状態に達する。したがって、昇温プロファイル43は、温度差ΔTが0(=T−T)からΔT=T−Tまで変化する様態である。
昇温プロファイル43に記録された温度差ΔT(t)は、電子内視鏡システム11の起動時(時刻t=0)からCMOS温度T(t)が熱平衡状態の温度T1に至る過程である過渡期C1のデータと、先端部20が熱平衡状態に達した後の定常期C2のデータとを含む。過渡期C1は、電子内視鏡システム11の起動時(時刻t=0)から判別用照明光を照射したときに、温度差ΔT(t)が0からΔT1に収束する間の期間であり、図5に示すように一定の曲線にしたがって変化する期間である。定常期C2は、先端部20の温度が熱平衡状態に達して、温度差ΔT(t)がΔT1に収束した後、判別部42によって温度センサ30の動作に関する判別が完了して判別用照明光の照射が終了されるまでの期間である。
電子内視鏡システム11の起動時に測定されるCMOS温度T(t)や、定常期C2に到達したCMOS温度Tは、環境温度Tに応じて異なる。しかし、温度差ΔT(t)はCMOS温度T(t)から環境温度Tを差し引いて算出されるので、温度差ΔT(t)の時間変化を記録した昇温プロファイル43は、環境温度Tに対してほぼ普遍である。
電子内視鏡システム11の起動時には、CMOSセンサ21が周辺環境と熱平衡状態にあり、CMOS温度Tが環境温度Tに等しい。このため、判別部42は、電子内視鏡システム11の起動時(t=0)に測定されたCMOS温度T(t=0)を環境温度Tとし、これを測定部41によって順次測定され入力されるCMOS温度T(t)から差し引くことにより温度差ΔT’(t)を算出する。そして、判別部42は、算出した温度差ΔT’(t)を昇温プロファイル43と比較し、温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43とほぼ一致する場合に、温度センサ30が正常に動作すると判別し、温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43と一致しない場合に温度センサ30が故障していると判別し、判別結果をCPU31に入力する。
電子内視鏡システム11の起動時に算出される温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43と一致するか否かの判断は、温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43に対して一定の範囲(以下、正常範囲という)44に収まっているか否かで判別される。正常範囲44は、例えば、図5に破線で示すように、昇温プロファイル43の各時のデータ値に対して±5%の幅を持たせた数値範囲であり、昇温プロファイル43とともに予め定められ、ROM36に記憶される。例えば、温度センサ30が故障して、CMOSセンサ21の温度を正しく反映しない抵抗値を示すようになってしまった場合、これにより算出される温度差ΔT’(t)のグラフG1は正常範囲44から外れる。
また、電子内視鏡システム11の起動時に算出される温度差ΔT’(t)と昇温プロファイル43が一致するか否かの比較は、少なくとも過渡期C1の範囲内の1点を含む2点以上のデータ値を比較して行われる。温度センサ30が正常に機能しているか否かを正確に判別するためである。
例えば、温度センサ30が故障してCMOSセンサ21の温度によらず一定の抵抗値を示すようになってしまった場合、算出されるΔT’(t)のグラフG2も経過時間tによらず、一定値を示す。グラフG2は、昇温プロファイル43と交わるため、偶然にもこの1点だけでグラフG2のデータと昇温プロファイル43のデータを比較すると、正常範囲44にグラフG2が収まっているように判別され、温度センサ30が故障しているにもかかわらず、これを検出することができない。算出されたΔT’(t)と昇温プロファイル43を2点以上で比較することにより、こうしたエラーを回避することができる。
さらに、故障した温度センサ30が示す抵抗値から算出される温度差ΔT’(t)が、昇温プロファイル43の定常期C2で示す温度差ΔTと一致する場合、定常期C2内の2点以上で温度差ΔT’(t)と昇温プロファイル43を比較しても、測定された温度差ΔT’(t)が正常範囲44内に収まっているように判別され、温度センサ30の故障が見逃されてしまう。こうしたエラーは、少なくとも過渡期C1に含まれるデータで、測定された温度差ΔT’(t)と昇温プロファイル43を比較することにより回避される。
上述のように構成される電子内視鏡システム11の作用について説明する。電子内視鏡12で被検体内を観察する際、術者は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13及び光源装置14を接続し、プロセッサ装置13及び光源装置14の電源をオンにする。
図6に示すように、電子内視鏡システム11を起動すると、判別部42が光源装置14のCPU48に判別用照明光照射信号を入力することにより、開口絞り64が全開され、開口絞り64の大きさで定まる最大光量Lmaxの照明光が判別用照明光として照射される(ステップS11)。判別用照明光が照射されることにより、先端部20の温度は徐々に上昇し、最終的に先端部20がおかれた環境温度Tに応じた所定の温度Tに安定する。
判別用照明光の照射開始と同時に、測定部41は、温度センサ30の抵抗値の測定を開始し、測定した温度センサ30の抵抗値をCMOS温度Tに換算して、判別部42に入力する。
判別部42は、電子内視鏡システム11の起動時(t=0)に測定部41から入力されるCMOS温度T(t=0)を環境温度Tとし、CMOS温度T(t)と環境温度Tとの温度差ΔT’(t)を算出する(ステップS12)。そして、判別部42は、算出した温度差ΔT’(t)と昇温プロファイル43を比較し(ステップS13)、測定した温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43に対して一定の範囲(正常範囲44)内に収まっているか否かによって、温度センサ30が正常に機能しているか否かを判別する(ステップS14)。
測定した温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43に対して正常範囲44内にある場合、判別部42は温度センサ30が正常に機能している旨の判別結果をプロセッサ装置13のCPU31に入力する。CPU31は、温度センサ30が正常に機能していることを示す判別結果が判別部42から入力されると、温度センサ30に関する判別が完了したこと、及び、温度センサ30が正常に機能していることを示すメッセージをモニタ22に表示する(ステップS15)。
また、CPU31は、温度センサ30の動作に関する判別が完了したことを示す判別完了信号と判別結果を光源装置14のCPU48に入力する。光源装置14のCPU48は、判別完了信号を受けると、絞り開口64を全て覆う位置に絞り羽根65が移動するように絞り調節機構68を制御することにより、判別用照明光の照射を停止する。
その後、操作部35を操作して、被検体に関する情報等を入力するとともに、挿入部16を被検体に挿入して検査が開始される(ステップS16)。このとき、CPU48は、測定部41からCPU31を介して入力されるCMOS温度T(t)、及びDSP32から入力されるALC制御用データに基づいて通常のALC制御を行う(ステップS17)。温度センサ30が正常に機能している場合の通常のALC制御は、照明光量の上限を制限する必要が生じたときに、照明光量の上限が光量上限L1に制限される。
一方、測定した温度差ΔT’(t)が昇温プロファイル43に対して正常範囲44外にある場合、判別部42は温度センサ30が故障している旨の判別結果をプロセッサ装置13のCPU31に入力する。CPU31は、温度センサ30が故障していることを示す判別結果が判別部42から入力されると、温度センサ30に関する判別が完了したこと、及び、温度センサ30が故障していることを示すメッセージをモニタ22に表示する(ステップS21)。
また、CPU31は、温度センサ30の動作に関する判別が完了したことを示す判別完了信号と判別結果を光源装置14のCPU48に入力する。光源装置14のCPU48は、判別完了信号を受けて、前述と同様に判別用照明光の照射を停止する。
その後、操作部35を操作して、被験体に関する情報等を入力するとともに、挿入部16を被検体内に挿入して検査が開始される(ステップS22)。このとき、CPU48は、照明光量を安全光量L2に制限する(ステップS23)。
検査時の照明光量の制御は、図7に示すように行われる。まず、グラフG3に示すように、温度センサ30が正常に機能している場合、検査を開始した時点では、照明光量の上限は最大光量Lmaxまで開放し、最大光量Lmax以下の範囲内で、ALC制御用データに基づいて自動的に制御される。検査を続け、CMOS温度Tが光量上限を制限が必要となる温度Taを超えると、CPU48は、光量上限を所定の光量上限L1に制限し、光量上限L1以下の範囲内で、ALC制御用データに基づいて照明光量を自動調節する。その後、CMOS温度Tが光量上限の制限を解除可能な温度Tbになるまで、光量上限の制限は継続され、温度TbにまでCMOS温度Tが下降したときに、再び光量上限を最大光量Lmaxに引き上げる。これを繰り返すことにより、CMOS温度を、観察画像に白傷が目立つようになる温度以下の範囲内に収めたまま、検査を行うことができる。
一方、温度センサ30が故障しているときに検査を開始すると、グラフG4に示すように、CPU48は、照明光量を常に安全光量L2に制限する。例えば、故障した温度センサ30を用いて測定したCMOS温度Tを無視して、ALC制御用データだけに基づいて照明光量を調節すると、ALC制御用データが照明光量を増大することを示すデータであれば、CMOS温度Tが、白傷が目立つようになる高温状態であっても、さらに照明光量を増大させてしまうからである。照明光量が安全光量L2以下であれば、CMOS温度Tは、常に閾値Taよりも低い温度に保たれる。
上述のように、電子内視鏡システム11は、起動時に温度センサ30が正常に動作するか否かを判別し、温度センサ30が正常に機能しているか否かを検知することができる。
なお、上述の第1実施形態では、CMOSセンサ21に温度センサ30を設け、先端部20の温度として、CMOS温度Tを測定する例を説明したが、温度センサ30は、先端部20の最先端の表面(先端面)等、先端部20の他の箇所に設けても良い。
なお、上述の第1実施形態では、昇温プロファイル43をプロセッサ装置13のROM36に記憶しておく例を説明したが、これに限らない。電子内視鏡12は、機種や用途、製造時期等の種類が異なると、先端部20の構成や温度センサ30の特性等が異なるため、昇温プロファイル43も電子内視鏡12の種類毎に異なる。また、電子内視鏡システム11は、複数種類の電子内視鏡の中から検査等に適切なものを選択し、電子内視鏡12だけを交換して使用されることがある。したがって、電子内視鏡システム11で使用される可能性のある全ての電子内視鏡12に対応するように、各々の昇温プロファイル43をプロセッサ装置13に予め記憶しておくことが困難である場合もある。このため、昇温プロファイル43は、各電子内視鏡12にROMを設ける等して、電子内視鏡12に記憶しておくことがより好ましい。この場合、プロセッサ装置13は、電子内視鏡システム11の起動時に電子内視鏡12のROMに記憶された昇温プロファイル43を取得すれば良い。
また、上述の第1実施形態では、昇温プロファイル43がROM36に予め記憶されている例を説明したが、これに限らない。例えば、昇温プロファイル43は、電子内視鏡システム11とLAN等の通信ネットワークで接続されたサーバー等に記憶しておき、プロセッサ装置13は、電子内視鏡システム11の起動時に、電子内視鏡12のID等を読み取り、読み取ったID等に応じた昇温プロファイル43を取得するようにしても良い。
なお、上述の第1実施形態では、CMOSセンサ21に温度センサ30を設けることによりCMOS温度Tを測定する例を説明したが、温度センサ30の配置スペースや配線等の都合によっては、温度センサ30を先端部20の他の箇所に設けても良い。この場合にも、上述の第1実施形態と同様にして温度センサ30が正常に機能しているか否かを判別することができる。
なお、上述の第1実施形態では、先端部20に温度センサ30を1つ設ける例を説明したが、温度センサ30は先端部20の複数箇所に設けても良い。こうして複数箇所に温度センサ30を設ける場合には、昇温プロファイル43を用いずに、各温度センサが正常に機能しているか否かを判別することができる。この例を、以下、第2実施形態として説明する。但し、第1実施形態で説明したものと同じ部材等には同様の符号を付し、その説明を省略する。
[第2実施形態]
図8に示すように、電子内視鏡システム71は、先端部20に2つの温度センサを有する電子内視鏡システムであり、CMOSセンサ21に温度センサ30が取り付けられているとともに、先端部20の筐体表面(以下、先端面という)72に温度センサ73が取り付けられている。先端部20の外面にはアタッチメントカバー(図示しない)が取り付けられることもあるが、温度センサ73は、概ね先端部20の外面の温度を測定するセンサである。温度センサ73は、CMOSセンサ21に設けられた温度センサ30と同様に、例えばサーミスタからなり、ここでは温度センサ30と温度センサ73はほぼ同様の昇温特性を持つとする。また、温度センサ73の抵抗値は、測定部41によって測定される。
測定部41は、温度センサ30及び温度センサ73の抵抗値をそれぞれ測定し、各々の温度センサ30,73について予め記憶された特性データを用いて、各抵抗値を温度に換算する。温度センサ30はCMOSセンサ21に設けられているため、温度センサ30によって測定される温度はCMOS温度である。温度センサ73は、先端面72に設けられているため、温度センサ73によって測定される温度は先端面温度である。測定部41によって測定されたCMOS温度及び先端面温度は、判別部74に入力され、各温度センサ30,73が正常に機能しているか否かの判別に用いられる。また、CMOS温度及び先端面温度は、CPU31を介して光源装置14のCPU48に入力され、ALC制御に用いられる。
判別部74は、電子内視鏡システム11の起動時に動作し、判別用照明光照射信号をCPU31を介して光源装置CPU48に入力する。これにより、電子内視鏡システム11の起動時に、判別用照明光が照射される。また、判別部74は、測定部41から入力されるCMOS温度と先端面温度に基づいて、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能しているか否かを判別する。
まず、判別部74は、CMOS温度が入力されると、電子内視鏡システム11の起動時のCMOS温度をCMOSセンサ21近傍の環境温度T(センサ)を記憶し、これを用いて順次入力されるCMOS温度Tセンサ(t)から環境温度T(センサ)を差し引くことにより、温度差ΔTセンサ(t)を算出する。
同時に、判別部74は、電子内視鏡システム11の起動時(t=0)に入力された先端面温度T先端(t=0)を先端面72近傍の環境温度T(先端)を記憶し、これを用いて順次入力される先端面温度T先端(t=0)から環境温度T(先端)を差し引くことにより、温度差ΔT先端(t)を算出する。
図9に示すように、判別部74で算出される温度差ΔTセンサ(t)や温度差ΔT先端(t)は、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能している場合、いずれも判別用照明光の照射により過渡期C1に徐々に上昇し、所定時間の経過後、先端部20が熱平衡状態に達して定常期C2にはいると、ほぼ一定の温度に安定する。温度センサ30と温度センサ73がほぼ同様の特性のセンサの場合には、温度差ΔTセンサ(t)と温度差ΔT先端(t)はほぼ同様の時間変化を示す。判別部74は、温度差ΔTセンサ(t)と温度差ΔT先端(t)をCMOS温度及び先端面温度が入力されると同時に各時刻について算出する。温度センサ30や温度センサ73が故障している場合には、例えば、故障した温度センサについて測定される温度差ΔTのグラフはグラフG5のように一定値を示すようになったり、センサ特性の経時変化等によってグラフG6のように本来示すべき値とは異なる値を示すようになる。
上述のように、温度差ΔTセンサ(t)及び温度差ΔT先端(t)を算出すると、図10に示すように、判別部74は、さらに温度差ΔTセンサ(t)と温度差ΔT先端(t)のギャップδ(t)=ΔT先端(t)−ΔTセンサ(t)を算出する。こうして算出される各温度差ΔT間のギャップδ(t)には、正常範囲75が設けられている。正常範囲75は、温度センサ30及び温度センサ73の配置や先端部20内の構成等によって予め定められる。判別部74は、少なくとも過渡期C1の範囲内の1点を含む2点以上のデータ値を比較することにより、ギャップδ(t)が正常範囲75に収まっているか否かを判別し、その判別結果に応じて温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能しているか否かを判別する。
具体的には、ギャップδ(t)がグラフG7のように正常範囲44に収まっている場合、判別部74は、温度センサ30及び温度センサ73がともに正常に機能していると判別する。ギャップδ(t)がグラフG8やグラフG9のように正常範囲75から外れる場合には、判別部74は、温度センサ30または温度センサ73の少なくともいずれかが故障していると判別する。グラフG8は、温度センサ30が故障し、温度差ΔTセンサ(t)がグラフG5(図9参照)のような特性を示す場合の例であり、グラフG9は、温度センサ30が故障し、温度差ΔTセンサ(t)がグラフG6(図9参照)のような特性を示す場合の例である。
温度センサ30及び温度センサ73の動作についての判別結果は、CPU31に入力される。CPU31は、判別部74から入力される判別結果に基づいて、モニタ22にメッセージ等を表示するとともに、判別結果を光源装置14のCPU48に入力する。光源装置14のCPU48は、CMOS温度、先端面温度、ALC制御用データ、及び判別結果に基づいてALC制御を行う。
上述のように構成される電子内視鏡システム71は、以下のように動作する。図11に示すように、電子内視鏡システム71を起動すると、判別用照明光が照射される(ステップS31)。判別用照明光が照射されることにより、先端部20の温度が徐々に上昇し、最終的に先端部20がおかれた環境温度T(≒T(先端),T(センサ))に応じた所定の温度に安定する。
判別用照明光の照射開始と同時に、測定部41は、温度センサ30及び温度センサ73の抵抗値の測定を開始し、測定した温度センサ30及び温度センサ73の抵抗値をそれぞれCMOS温度及び先端面温度に換算して、判別部74に入力する。
判別部74は、電子内視鏡システム71の起動時(t=0)に測定部41から入力されるCMOS温度Tセンサ(t)及び先端面温度T先端(t)を、それぞれ環境温度T(センサ)及び環境温度T(先端)とし、CMOS温度Tセンサ(t)と環境温度T(センサ)の温度差ΔTセンサ(t)と、先端面温度T先端(t)と環境温度T(先端)の温度差ΔT先端(t)を算出する(ステップS32)。さらに、判別部74は、温度差ΔT先端(t)から温度差ΔTセンサ(t)を差し引くことにより、温度差ΔTセンサ(t)とΔT先端(t)のギャップδ(t)を算出する(ステップS33)。そして、判別部74は、ギャップδ(t)が正常範囲75に収まっているか否かによって、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能しているか否かを判別する(ステップS34)。
ギャップδ(t)が正常範囲75内に収まっていた場合、判別部74は、温度センサ30及び温度センサ73がともに正常に機能している旨の判別結果をプロセッサ装置13のCPU31に入力する。CPU31は、温度センサ及び温度センサ73がともに正常に機能していることを示す判別結果が判別部74から入力されると、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能するか否かの判別が完了したこと、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能していることを示すメッセージをモニタ22に表示する(ステップS35)。
また、CPU31は、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能するか否かの判別が完了したことを示す判別完了信号と判別結果を、光源装置14のCPU48に入力する。光源装置14のCPU48は、判別完了信号を受けると、判別用照明光の照射を停止する。
その後、操作部35を操作して、被検体に関する情報等を入力するとともに、挿入部16を被検体に挿入して検査が開始される(ステップS36)。このとき、CPU48は、測定部41からCPU31を介して入力されるCMOS温度Tセンサ(t)、先端面温度T先端(t)、DSP32から入力されるALC制御用データに基づいてALC制御を行う(ステップS37)。温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能している場合の通常のALC制御は、照明光量の上限を制限する必要が生じたときに、照明光量の上限が光量上限L1に制限される。なお、照明光量の上限を制限する必要があるか否かは、前述の第1実施形態と同様にして、CMOS温度Tセンサ(t)と先端面温度T先端(t)の2つの温度についてそれぞれ判断される。
そして、これらのうち少なくともいずれか一方の判断で照明光量が必要と判断された場合に、照明光量の上限が光量上限L1に制限される。一方、照明光量の上限が光量上限L1に制限された後、CMOS温度Tセンサ(t)と先端面温度T先端(t)がともに所定の閾値以下の温度に低下したときに、照明光量の上限を再び最大光量Lmaxに引き上げられる。なお、ALC制御において用いるCMOS温度Tセンサ(t)についての閾値(第1実施形態ではTa及びTb)と先端面温度T先端(t)についての閾値は、各々別個に定められている。
一方、ギャップδ(t)が正常範囲75内に収まっていない場合、判別部74は、温度センサ30または温度センサ73の少なくとも一方が故障している旨の判別結果をプロセッサ装置13のCPU31に入力する。CPU31は、温度センサ30または温度センサ73が故障している旨の判別結果が入力されると、温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能するか否かの判別が完了したこと、温度センサ30または温度センサ73が故障していることを示すメッセージをモニタ22に表示する(ステップS41)。
また、CPU31は、温度センサ30または温度センサ73が正常に機能するか否かの判別が完了したことを示す判別完了信号と判別結果を、光源装置14のCPU48に入力する。光源装置14のCPU48は、判別完了信号を受けると、判別用照明光の照射を停止する。
その後、操作部35を操作して、被験体に関する情報等を入力するとともに、挿入部16を被検体に挿入して検査が開始される(ステップS42)。このとき、CPU48は、照明光量を安全光量L2に制限する(ステップS43)。
上述のように、電子内視鏡システム71は、先端部20に2つの温度センサ30,73を有し、これらが正常に機能するか否かを各温度センサ30,73によって測定される温度差ΔTセンサ(t)と温度差ΔT先端(t)のギャップδ(t)の大きさによって判別することができる。これは2つの温度センサ30,73が同時に故障することが極めて稀であることを利用して簡便に温度センサ30,73が正常に機能するか否かを判別することができる。また、第1実施形態の電子内視鏡システム11のように、昇温プロファイル43を予め記憶しておく必要がないので、電子内視鏡12を製造するときに昇温プロファイル43を測定する手間を省けるとともに、ROM36の節約になる。
なお、上述の第2実施形態では、CMOS温度と先端面温度を測定する例を説明したが、温度センサは温度を測定する必要のある任意の箇所に設けて良い。また、温度センサ30,73を両方共にCMOSセンサ21に取り付けるなど、複数の温度センサを同一の箇所に設けても良い。
なお、上述の第2実施形態では、先端部20に2個の温度センサ30,73を設ける例を説明したが、先端部20には3以上の温度センサを設けても良く、温度を測定する必要がある箇所に任意に温度センサを設けることができる。先端部20に3以上の温度センサを設ける場合には、その中の1つ(例えばCMOSセンサ21に取り付けた温度センサ30)を基準として、基準の温度センサと他の1の温度センサとの間でギャップδを算出し、これを判断基準とすることで上述の第2実施形態と同様に各温度センサが正常に機能するか否かを判別することができる。また、3以上の温度センサを用いる場合には、温度センサが故障していたときに、どの温度センサが故障しているか容易に特定できる。したがって、温度センサが故障した場合には、故障した温度センサだけを用いないようにして、ALC制御を行うようにしても良い。
なお、上述の第2実施形態では、簡単のために2つの温度センサ30,73の特性がほぼ同じであるものとしたが、これに限らない。例えば、温度センサ30と温度センサ73を各々特性の異なるサーミスタで構成するときには、当然に昇温時のプロファイルも異なる。こうした場合であっても、各温度センサの特性は既知であるので、各温度センサ30,73の昇温プロファイルが合致するように、一方の温度差ΔT(t)を他方の温度センサのプロファイルに合わせて変換すれば、上述の第2実施形態で説明したように各温度センサが正しく機能するか否かを判別することができる。
なお、上述の第2実施形態では、温度差ΔTセンサ(t)と温度差ΔT先端(t)のギャップδ(t)を算出し、ギャップδ(t)の値が正常範囲75に収まるか否かを判別し、これに応じて温度センサ30及び温度センサ73が正常に機能しているか否かを判別するが、これに限らない。先端部20の温度が、CMOSセンサ21と先端面72とでほぼ同じ温度であるときには、温度差を算出せず、CMOS温度と先端面温度のギャップを直接算出し、これに基づいて温度センサ30,73が正常に機能しているか否かを判別するようにしても良い。
なお、上述の第2実施形態では、CMOSセンサ21に温度センサ30を設けるとともに、先端面72に温度センサ73を設け、先端部20の異なる2箇所の温度を各々の温度センサ30,73で測定する例を説明したがこれに限らない。例えば、CMOSセンサ21に温度センサ30,73を取り付けたり、先端面72に温度センサ30,73を取り付け、2つの温度センサで同一箇所の温度を測定するようにしても良い。こうしてほぼ同じ特性を持つ2つの温度センサ30,73で同一箇所の温度を測定するようにすると、温度センサ30,73の相互の動作が正常か否かをより正確に診断することができる。
なお、上述の第1,第2実施形態では、温度センサが故障していた場合に、照明光量の上限を安全光量L2に制限する例を説明したがこれに限らない。例えば、温度センサが故障した場合には、電子内視鏡12のメンテナンスを促すメッセージをモニタ22に表示するとともに、温度センサが故障した電子内視鏡12を用いた検査が開始できないように、プロセッサ装置13や光源装置14の各部の機能を停止させる等して、電子内視鏡システム11の使用を禁止しても良い。
また、温度センサが故障していた場合、照明光量の上限を安全光量L2に一律に制限するのではなく、照明光を照射した履歴から先端部20の温度を推定し、先端部20の推定温度に基づいてALC制御が行われるようにしても良い。この場合、図12に示す電子内視鏡システム81のように、DSP32に先端温度推定部82を設ける。ここでは昇温プロファイル43を用いる第1実施形態の例をベースに説明するが、第2実施形態の電子内視鏡システム71をベースにする場合にも同様である。
先端温度推定部82は、判別部42において温度センサ30が故障していると判別された場合に駆動され、CPU31を介して光源装置14のCPU48から照明光の照射履歴を順次取得する。照明光の照射履歴は、例えば、検査が開始されてからPWM値をどのように変化させたかを示す履歴データ(各時刻のPWM値の具体的な値)である。先端温度推定部82は、取得した照明光の照射履歴に基づいて、現在の先端部20の温度を推定する。そして、先端温度推定部82によって推定された先端部温度は、CPU31を介して光源装置14のCPU48に入力され、CPU48は推定された先端部温度に基づいて、通常のALC制御(最大光量Lmaxと光量上限L1のいずれかに上限が制限されるALC制御。第1実施形態参照。)を行う。このように、温度センサが故障した場合に、先端部20の推定温度を算出し、これに基づいてALC制御を行うようにすることで、温度センサが故障した場合であっても光量不足にならない状態で観察画像を撮影することができる。
先端温度推定部82による先端部20の温度の推定は、例えば以下のようにして行われる。
先端部20の温度をT(℃)、あるサンプリング時刻tとtn−1との間で生じた先端部20の温度変化量をΔT、先端部20の熱容量C、サンプリング時刻t〜tn−1間に照明光等によって先端部20に流入した熱量をΔQとすると、先端部20の温度変化量ΔTは、ΔT=ΔTn−1+ΔQ/C (以下、式1という)と表せる。先端部20の熱容量Cは予め測定され、ROM36に記録されている。
サンプリング時刻t〜tn−1間に先端部20に流入した熱量ΔQは、サンプリング間隔dt=t−tn−1間の照明光による単位時間あたりの発熱量をq、CMOSセンサ21の発熱量をq、先端部20の熱抵抗をRとすると、ΔQ=(q+q)dt−ΔTn−1・dt/R (以下、式2という)で表せる。CMOSセンサ21の発熱量q,先端部20の熱抵抗Rは予め測定され、ROM36に記録されている。
上記式2を式1に代入すると、先端部20の温度変化量ΔTは、ΔT=ΔTn−1+(q+q)dt/C−ΔTn−1・dt/(C・R) (以下、式3という)と表せる。
先端温度推定部82は、PWM値の履歴データに基づいてqを算出する。そして、算出したqを用いることにより、上記式3にしたがってΔTを算出し、これを累積的に加算することによって先端部温度の推定値を算出する。
なお、第1,第2実施形態では、電子内視鏡システム11,71の起動時に温度センサ30(,73)が正常に機能するか否かの判別を実施する例を説明したが、判別のタイミングは任意である。但し、上述の第1,第2実施形態のように、少なくとも検査開始前であることが好ましい。また、電子内視鏡システム11,71の起動毎に判別を行う必要はなく、一定の期間(例えば、1ヶ月に1回等)毎に判別が行われるようにしても良い。また、定期的に行われるメンテナンス時に判別が実施されるようにしても良い。
また、上述の第1,第2実施形態では、電子内視鏡システム11,71が起動されると、温度センサ30(,73)が正常に機能するか否かの判別が自動的に実施される例を説明したが、操作部35等からの入力によって、任意のタイミングで温度センサが正常に機能するか否かの判別を実施可能にしておくことが好ましい。
なお、上述の第1,第2実施形態では、CMOS温度(及び先端面温度)に対して2つの閾値Ta,Tbを設けてALC制御を行う例を説明したが、ALC制御において照明光量の上限を切り替える閾値は、1つでも良く、3以上でも良い。また、上述の第1,第2実施形態では、ALC制御を行う際に、照明光量の上限を最大光量Lmaxと光量上限L1とで切り替える例を説明したが、3以上の閾値によって照明光量の上限を切り替える際には、CMOS温度等に対して設けられた各閾値に対応して、より細かく照明光量の上限が切り替えられるように、光量上限を複数定めておくことが好ましい。CMOS温度の閾値や照明光量の上限を定めた数が多い場合、照明光量の上限を切り替える際に生じるハンチングが抑止され、観察画像の視認性を向上させることができる。
なお、上述の第1,第2実施形態では、撮像素子(イメージセンサ)としてCMOSイメージセンサ21を用いる例を説明したが、CCD型のイメージセンサ等、他の周知のイメージセンサを用いることができる。
なお、上述の第1,第2実施形態では、各画素62にRGBのカラーフィルタが設けられ、カラーの撮像信号を得る方式(いわゆる同時式)を用いる例を説明したが、画素62にカラーフィルタを設けず、照明光の色をRGBに順に切り替えてフレーム毎に各色の撮像信号を得る方式(いわゆる面順次式)を採用しても良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、光源45としてキセノンランプを用いる例を説明したが、光源45はLDやLED等他の周知の光源を好適に用いることができる。上述の実施形態では、絞り機構46によって照明光量を調節する例を説明したが、LDやLED等の光量調節の容易な光源を用いる場合には、LDやLEDの出力を調節することによって照明光量を調節するようにしても良い。また、LDやLEDを照明光の光源として用いる場合には、これを先端部20に設けても良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、照明光量を調節して先端部20の発熱を低減させる例を説明したが、これに限らない。例えば、CMOS温度等に応じて撮像信号の増幅率を変動させ、ALC制御用データの内容を調節することによって間接的にALC制御による照明光の光量を調節しても良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、CMOS温度等に応じて照明光量の上限を設定する例を説明したが、CMOS温度が閾値Ta(あるいは別途定めた所定閾値)を超えた場合に、撮像信号に暗電流補正を施すようにし、白傷の発生を抑止することが好ましい。また、CMOS温度は、専ら暗電流補正のオンオフの切り替えに用いるようにしても良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、所定時間間隔毎にCMOS温度を測定する例を説明したが、CMOS温度を測定する時間間隔は、CMOSセンサ21のフレーム(例えば30fpsや60fps)毎でも良く、また、数フレーム毎でも良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、CMOS温度等、温度を用いて温度センサ30(,73)が正常に機能するか否かの判別を行う例を説明したがこれに限らない。例えば、温度センサ30の抵抗値を用いて、温度センサ30が正常に機能するか否かの判別を行うようにしても良い。また、温度センサとして熱電対等を用いる場合も同様である。
なお、上述の第1,第2実施形態では、温度センサ30が正常に動作するか否かを判別するときに、環境温度が室温である例を説明したが、これに限らない。例えば、電子内視鏡システム11,71の起動時に、先端部20を恒温槽等に入れ、任意の一定温度環境下に置くことで、先端部20近傍の環境温度を積極的に一定値に保つようにしても良い。
なお、温度センサ30(,73)が正常に動作するか否か判別されるときには、CMOSセンサ21は停止されていても良く、予め定められたフレームレートで駆動してCMOSセンサ21からの発熱量を所定量に調節した状態で温度センサ30(,73)が正常に動作するか否かの判別を行っても良い。
なお、上述の第1,第2実施形態では、温度センサ30が正常に機能するか否かの判別を行った後、判別が完了したことや判別結果をモニタ22に表示して、技師等に報知する例を説明したがこれに限らない。例えば、LEDランプやスピーカ等から音や光を発してこうした情報を技師等に報知しても良い。
なお、上述の第1実施形態では、昇温プロファイル43に定められた正常範囲44は、昇温プロファイル43の値に±5%の範囲内としたが、正常範囲44は任意に定めることができる。また、第1実施形態では、正常範囲44が昇温プロファイル43の値に対してパーセンテージで定められているが、一定の温度幅で定められていても良い。第2実施形態については、ギャップδ(t)について同様の正常範囲75が定められているが、これについても同様である。
なお、上述の第1,第2実施形態では、温度センサ30,73が正常に機能するか否かを判別するときに、判別用照明光を照射して先端部20を加熱する例を説明したが、これに限らない。例えば、先端部20を所定温度の熱浴に入れる等して先端部20を加熱しても良い。この場合、環境温度Tは熱浴に入れる直前の先端部20の温度であり、最終的に熱平衡状態に達した定常期C2においては熱浴の温度に安定する点を除けば上述の第1,第2実施形態と同様であり、前述の方法で温度センサ30,73が正常に機能するか否かを判別することができる。
11,71,81 電子内視鏡システム
12 電子内視鏡
13 プロセッサ装置
14 光源装置
16 挿入部
17 操作部
18 コネクタ
19 ユニバーサルコード
20 先端部
21 CMOSセンサ
22 モニタ
23 観察窓
24 照明窓
25 対物光学系
26 TG
27 CPU
28 ライトガイド
29 照明レンズ
30,73 温度センサ
31 CPU
32 DSP
33 DIP
34 表示制御回路
35 操作部
36 ROM
37 RAM
41 測定部
42,74 判別部
43 昇温プロファイル
44,75 正常範囲
45 光源
46 絞り機構
47 波長選択フィルタ
48 CPU
49 集光レンズ
51 撮像領域
56 垂直走査回路
57 CDS回路
58 列選択トランジスタ
59 水平走査回路
61 出力回路
62 画素
63 出力バスライン
64 絞り開口
65 絞り羽根
66 スプリング
67 モータ
68 絞り調節機構
72 先端面
82 先端温度推定部

Claims (13)

  1. 被検体内に挿入される挿入部の先端部分に、温度センサと前記被検体内を撮像する撮像素子を有する電子内視鏡と、
    前記温度センサを用いて前記先端部分の温度を測定する先端温度測定手段と、
    前記先端部分から照明光を照射する照明光照射手段と、
    前記先端部分の温度が上昇するときに、前記先端部分の温度変化に基づいて前記温度センサが正常に機能するか否かを判別する判別手段と、
    を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
  2. 前記温度センサが正常に機能する場合に、前記温度センサによって測定される前記先端部分の経時的な温度変化を表す昇温プロファイルを予め記憶する記憶手段を備え、
    前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇するときに、前記温度センサを用いて前記先端温度測定手段が測定した前記先端部分の経時的な温度変化を、前記昇温プロファイルと比較することにより、前記温度センサが正常に機能するか否かを判別すること
    を特徴とする請求項1記載の電子内視鏡システム。
  3. 前記先端部分の温度に基づいて前記照明光の光量を自動調節する照明光調節手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子内視鏡システム。
  4. 前記照明光調節手段は、前記判別手段によって前記温度センサが正常に機能すると判別された場合に、前記先端部分の温度変化に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節し、前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に、前記照明光照射手段から前記先端部分の温度が所定温度以上に上昇しないことが保証される安全光量の前記照明光を照射させることを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡システム。
  5. 前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に機能し、前記照明光調節手段から取得する前記照明光の照射履歴に基づいて前記先端部分の温度を推定する先端温度推定手段を備え、
    前記照明光量調節手段は、前記判別手段によって前記温度センサが正常に機能すると判別された場合に、前記先端部分の温度変化に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節し、前記判別手段によって前記温度センサが故障していると判別された場合に、前記先端温度推定手段によって推定された前記先端部分の温度に基づいて前記照明光の光量の上限を設定して前記上限以下の範囲内で前記照明光の光量を調節することを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡システム。
  6. 前記先端温度推定手段は、前記照明光の照射履歴に基づいて前記照明光によって前記先端部分に流入した熱量を算出し、当該熱量と、前記先端部分について予め測定された前記先端部分の熱容量,熱抵抗,前記撮像素子の発熱量とに基づいて前記先端部分の温度を推定することを特徴とする請求項5に記載の電子内視鏡システム。
  7. 前記判別手段は、前記判別を行うときに、照明光照射手段から所定光量の前記照明光を判別用照明光として照射させることにより前記先端部分の温度を上昇させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
  8. 前記判別手段は、前記先端部分の温度から前記判別用照明光の照射を開始した時点の前記先端部分の温度を差し引いて算出した温度差の時間変化に基づいて前記判別を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
  9. 前記判別手段は、当該システムが起動されたときに前記判別を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
  10. 前記判別手段による判別結果を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
  11. 前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇し始めてから熱平衡状態に至るまでの過渡期内の1点を含む少なくとも2点において、前記温度センサによって測定される前記先端部分の温度変化と前記昇温プロファイルとを比較することを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
  12. 前記電子内視鏡は、前記温度センサとして、第1温度センサと第2温度センサの2個の温度センサを有し、
    前記先端温度測定手段は、前記第1温度センサを用いて前記先端部分の第1の温度を測定するとともに、前記第2温度センサを用いて前記先端部分の第2の温度を測定し、
    前記判別手段は、前記先端部分の温度が上昇するときに、前記第1の温度の経時変化と前記第2の温度の経時変化を比較することにより、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサが正常に機能するか否かを判別すること
    を特徴とする請求項1記載の電子内視鏡システム。
  13. 前記第1温度センサと前記第2温度センサは、同一の箇所の温度を測定することを特徴とする請求項12に記載の電子内視鏡システム。
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